(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166651
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】走行玩具セット
(51)【国際特許分類】
A63H 18/02 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A63H18/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082874
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染矢 優希
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA06
2C150CA08
2C150DA06
2C150DA33
2C150DC03
2C150DF01
2C150EA02
2C150EB04
2C150FB28
(57)【要約】
【課題】興趣に富む玩具遊びをすることが可能な走行玩具セットを提供する。
【解決手段】走行体と、走行体が走行するスロープ20を有する玩具基材1と、を備える走行玩具セット10であって、玩具基材1は、スロープ20の上部の発進位置SPから離れて配置される第1位置P1と、発進位置SPに隣接して配置される第2位置P2と、の間で走行体を移動させる移動手段13を有し、移動手段13は、走行体が上面に載せられる運搬台16と、この上面が上側を向く姿勢を維持しつつ、運搬台16を第1位置P1と第2位置P2との間で回転軸C回りに移動させる移動アーム15と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体が走行するスロープを有する玩具基材と、を備える走行玩具セットであって、
前記玩具基材は、前記スロープの上部の発進位置から離れて配置される第1位置と、前記発進位置に隣接して配置される第2位置と、の間で前記走行体を移動させる移動手段を有し、
前記移動手段は、
前記走行体が上面に載せられる運搬台と、
前記上面が上側を向く姿勢を維持しつつ、前記運搬台を前記第1位置と前記第2位置との間で回転軸回りに移動させる移動アームと、を有する、
走行玩具セット。
【請求項2】
前記玩具基材は、前記運搬台が前記第2位置に配置されたときに、前記運搬台のうち少なくとも前記上面を前記スロープに向けて傾斜させる発進手段を有する、
請求項1に記載の走行玩具セット。
【請求項3】
前記運搬台は、
前記移動アームに接続される下台と、
前記下台に対して傾斜可能な上台と、を有し、
前記上台は、前記走行体が載せられる前記上面を有し、
前記発進手段は、前記運搬台が前記第2位置に配置されたときに、前記上台を前記スロープの前記発進位置に向けて傾斜させる、
請求項2に記載の走行玩具セット。
【請求項4】
前記走行体は、前記下台との間の磁力により前記上台の前記上面に保持され、
前記上台が前記下台に対して傾斜したときに、前記走行体の磁力による保持状態が解除される、
請求項3に記載の走行玩具セット。
【請求項5】
前記玩具基材は、前記移動手段の動作に伴い、音及び振動の少なくとも一方を発生させる感覚付与手段を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の走行玩具セット。
【請求項6】
前記玩具基材は、前記移動手段の姿勢を維持する姿勢維持手段を有し、
前記姿勢維持手段は、前記運搬台が前記第1位置または前記第2位置に配置されたときに、前記移動アームの前記回転軸回りの周方向位置を一定に維持する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の走行玩具セット。
【請求項7】
前記玩具基材は、液体が貯留される槽を有し、
前記槽は、前記回転軸回りにおいて、前記第1位置と前記第2位置との間に配置され、
前記移動アームが前記回転軸回りに回転することで、前記運搬台に載せられた前記走行体が、前記槽の液体内を通過する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の走行玩具セット。
【請求項8】
前記走行体は、前記走行体の外面の少なくとも一部に配置される可逆熱変色性能部を有する、
請求項7に記載の走行玩具セット。
【請求項9】
前記槽は、
前記運搬台に載せられた前記走行体が通過する第1槽と、
前記第1槽と仕切り壁によって区画された第2槽と、
前記仕切り壁を貫通し、前記第1槽と前記第2槽とを連通する連通孔と、を有する、
請求項8に記載の走行玩具セット。
【請求項10】
前記走行体は、
荷台と、
前記荷台に積載可能な積載物と、を有し、
前記玩具基材は、前記積載物を前記荷台に積載する積載手段を有し、
前記積載手段は、
前記積載物が投入される投入口と、
前記投入口に投入された前記積載物が載置される傾斜壁と、
前記傾斜壁の下端部に位置する積載ストッパーを備える回動体と、を有し、
前記回動体は、
前記積載ストッパーが前記傾斜壁の下端部から上側へ突出し、前記積載物が前記傾斜壁から滑り落ちるのを規制する第1姿勢と、
前記積載ストッパーが前記傾斜壁の下端部を延長するように前記傾斜壁に沿って延び、前記積載物が前記傾斜壁から滑り落ちるのを許容する第2姿勢と、の間で回動可能とされ、
前記第1姿勢とされた前記回動体が前記走行体により押されたときに、前記回動体は前記第1姿勢から前記第2姿勢へと回動し、前記積載物が前記傾斜壁から前記積載ストッパー上を滑り落ちて、前記荷台に積載される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の走行玩具セット。
【請求項11】
前記玩具基材は、前記積載手段から前記第1位置の前記運搬台へと前記走行体を案内する案内路を有する、
請求項10に記載の走行玩具セット。
【請求項12】
前記スロープを転がる転動体をさらに備え、
前記スロープは、前記スロープの走行面のうち前記発進位置よりも下側に配置される転動体保持部を有し、
前記転動体は、前記転動体保持部に保持された状態で、前記スロープを走行する前記走行体に押されることにより、前記転動体保持部に保持された状態が解除され、前記走行面を転がり落ちる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の走行玩具セット。
【請求項13】
前記玩具基材は、前記走行体を収容可能な収容穴部を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の走行玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の走行玩具セットとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この走行玩具セットは、走行体と、走行体が走行する軌道を備えた軌道玩具とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の走行玩具セットでは、より興趣に富む玩具遊びを提供する点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、興趣に富む玩具遊びをすることが可能な走行玩具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0007】
〔本発明の態様1〕
走行体と、前記走行体が走行するスロープを有する玩具基材と、を備える走行玩具セットであって、前記玩具基材は、前記スロープの上部の発進位置から離れて配置される第1位置と、前記発進位置に隣接して配置される第2位置と、の間で前記走行体を移動させる移動手段を有し、前記移動手段は、前記走行体が上面に載せられる運搬台と、前記上面が上側を向く姿勢を維持しつつ、前記運搬台を前記第1位置と前記第2位置との間で回転軸回りに移動させる移動アームと、を有する、走行玩具セット。
【0008】
本発明の走行玩具セットでは、例えば子供等のユーザーが、第1位置に配置した運搬台の上面に走行体を載せ、移動アームを回転軸回りに移動させる。これにより、運搬台の上面に走行体が載せられた状態が維持されたまま、この運搬台とともに走行体が第1位置から第2位置へと移動させられる。またユーザーは、第2位置からスロープの上部の発進位置に走行体を動かして、走行体を自重等によりスロープ上で走行させることができる。
【0009】
本発明の走行玩具セットによれば、ユーザーが、複数種類の玩具遊びを組み合わせて楽しむことができる。具体的に、ユーザーは、移動アームを例えばクレーン等に見立てて、移動アームを移動させることによって走行体を第1位置から第2位置へと運搬する第1の玩具遊びと、スロープを例えば滑り台等に見立てて、第2位置からスロープ上に移動した走行体を自重等によって滑走させる第2の玩具遊びとを、複合的に楽しむことができる。このため、従来品の走行玩具セットに比べて、本発明の走行玩具セットでは、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0010】
〔本発明の態様2〕
前記玩具基材は、前記運搬台が前記第2位置に配置されたときに、前記運搬台のうち少なくとも前記上面を前記スロープに向けて傾斜させる発進手段を有する、態様1に記載の走行玩具セット。
【0011】
この場合、ユーザーが移動アームを回転軸回りに回転させ、運搬台が第1位置から第2位置へ移動したときに、発進手段が運搬台の上面をスロープに向けて傾斜させる。これにより、運搬台の上面に載せられた走行体が、自重等によってスロープへ移動し、スロープ上を走行する。
【0012】
すなわち、発進手段が設けられていることで、第2位置に配置された運搬台上からスロープ上へとユーザーが走行体を移動させる操作が不要となるため、上述した第1の玩具遊び(走行体の運搬)と第2の玩具遊び(走行体の滑走)とを連続的に造作なく楽しむことができる。
【0013】
また、傾斜した運搬台上を走行体が走行し始めることで勢いがつき、この勢いを保ったまま、走行体が安定してスロープ上を走行する。例えばスロープの下部にジャンプ台等を設けた場合には、走行体を勢いよくジャンプ台から飛び出させることが可能になり、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0014】
〔本発明の態様3〕
前記運搬台は、前記移動アームに接続される下台と、前記下台に対して傾斜可能な上台と、を有し、前記上台は、前記走行体が載せられる前記上面を有し、前記発進手段は、前記運搬台が前記第2位置に配置されたときに、前記上台を前記スロープの前記発進位置に向けて傾斜させる、態様2に記載の走行玩具セット。
【0015】
この場合、運搬台が第1位置から第2位置へ移動したときに、発進手段が、運搬台の下台に対して上台を傾斜させる。これにより、上台の上面に載せられた走行体が、上台からスロープの発進位置へと安定して移動させられ、スロープ上を走行する。本発明の上記構成によれば、上述した第1の玩具遊び(走行体の運搬)から第2の玩具遊び(走行体の滑走)への連続動作がよりスムーズに行える。
【0016】
〔本発明の態様4〕
前記走行体は、前記下台との間の磁力により前記上台の前記上面に保持され、前記上台が前記下台に対して傾斜したときに、前記走行体の磁力による保持状態が解除される、態様3に記載の走行玩具セット。
【0017】
この場合、運搬台が第1位置から第2位置へ移動する際には、走行体が、下台との間で作用する磁力により、上台上に保持された状態で安定して運搬される。このため、運搬台の移動時において、走行体が運搬台から落下するような不具合が抑制される。
【0018】
そして、運搬台が第2位置に配置されたときに、上台が下台に対して傾斜させられることで、上台上の走行体と下台との間の距離が広がり、走行体に作用する磁力が低下する。運搬台は、走行体を磁力によって保持することができなくなり、走行体の保持状態が解除される。このとき、上台が傾斜しているため、走行体は上台の傾斜に沿って、運搬台からスロープの発進位置へと移動させられる。
【0019】
上記構成によれば、発進手段が上台を傾斜させるという1アクションにより、磁力による走行体の保持状態の解除と、スロープ上への走行体の移動とを、両方ともに行うことができる。すなわち、発進手段による上台の傾斜動作が、走行体の磁力解除と発進補助とを兼ねている。シンプルな構造によって、運搬台上からスロープ上へと走行体をスムーズに移動させることができる。
【0020】
〔本発明の態様5〕
前記玩具基材は、前記移動手段の動作に伴い、音及び振動の少なくとも一方を発生させる感覚付与手段を有する、態様1から4のいずれか1つに記載の走行玩具セット。
【0021】
上記構成では、ユーザーが、移動手段の移動アームを回転軸回りに回転させる動作を行ったときに、この動作に伴って感覚付与手段が、音及び振動の少なくとも一方を発生させる。ユーザーは、移動アームの回転によって運搬台とともに走行体が運搬されていく様子を、視覚のみならず、聴覚や触覚(感触)等の種々の感覚によって認識し、楽しむことができる。
【0022】
〔本発明の態様6〕
前記玩具基材は、前記移動手段の姿勢を維持する姿勢維持手段を有し、前記姿勢維持手段は、前記運搬台が前記第1位置または前記第2位置に配置されたときに、前記移動アームの前記回転軸回りの周方向位置を一定に維持する、態様1から5のいずれか1つに記載の走行玩具セット。
【0023】
上記構成では、移動手段の運搬台が第1位置または第2位置に配置されたときに、姿勢維持手段が、移動アームの回転軸回りの周方向位置を一定に維持する。すなわち、姿勢維持手段によって、運搬台を第1位置または第2位置に配置した状態で維持することができる。このため、ユーザーは、第1位置または第2位置に留まっている運搬台に対して、走行体を載せたり降ろしたり(発進させたり)する操作を安定して行うことができる。玩具遊びの操作性が向上する。
【0024】
〔本発明の態様7〕
前記玩具基材は、液体が貯留される槽を有し、前記槽は、前記回転軸回りにおいて、前記第1位置と前記第2位置との間に配置され、前記移動アームが前記回転軸回りに回転することで、前記運搬台に載せられた前記走行体が、前記槽の液体内を通過する、態様1から6のいずれか1つに記載の走行玩具セット。
【0025】
この場合、ユーザーが、移動アームを回転軸回りに回転させて、運搬台とともに走行体を第1位置から第2位置へ運搬するときに、この走行体を、槽の液体内に通過させて遊ぶことができる。このため、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0026】
〔本発明の態様8〕
前記走行体は、前記走行体の外面の少なくとも一部に配置される可逆熱変色性能部を有する、態様7に記載の走行玩具セット。
【0027】
この場合、走行体が槽の液体内を通過するときに、液体の温度に応じて、走行体の外面に設けられた可逆熱変色性能部を変色させて遊ぶことができる。
【0028】
具体的に、可逆熱変色性能部は、例えば、走行体の外面のうち、第1色が付与されたベース面上に、可逆熱変色性インキが塗布されることにより構成される。可逆熱変色性インキは、第1の温度以下ではベース面が有する第1色とは異なる第2色を呈し、第1の温度よりも高い第2の温度以上では消色する。これにより、走行体の可逆熱変色性能部は、第1の温度以下となった場合にユーザーに視認される色(第2色)と、第2の温度以上となった場合にユーザーに視認される色(第1色)とが、互いに異なる。
【0029】
本発明の走行玩具セットを、例えば浴槽やプール等で使用する場合において、玩具基材の槽内の液体の温度、及び、浴槽やプール内の液体の温度のうち、一方を第1の温度以下とし、他方を第2の温度以上とする。これにより、各液体内で走行体の色を適宜変化させて、視覚による遊びを付与することができる。
【0030】
〔本発明の態様9〕
前記槽は、前記運搬台に載せられた前記走行体が通過する第1槽と、前記第1槽と仕切り壁によって区画された第2槽と、前記仕切り壁を貫通し、前記第1槽と前記第2槽とを連通する連通孔と、を有する、態様7または8に記載の走行玩具セット。
【0031】
この場合、所定の温度とされた液体を第2槽に供給すると、この液体が連通孔を通して第1槽に流入する。例えば、第1槽を運搬台及び走行体の通過に適した形状とし、第2槽を液体の供給に適した形状とすることができる。第2槽が設けられることで、槽全体としての形状の自由度が高められ、第1槽及び第2槽をそれぞれより機能的な形状に形成することができる。
【0032】
また、槽内に氷等の固形物を供給する場合には、固形物を第2槽に供給する。これにより、固形物を第2槽に留めておくことができる。運搬台及び走行体が第1槽を通過するときに、これらの移動が固形物によって阻害されるような不具合が抑制される。
【0033】
〔本発明の態様10〕
前記走行体は、荷台と、前記荷台に積載可能な積載物と、を有し、前記玩具基材は、前記積載物を前記荷台に積載する積載手段を有し、前記積載手段は、前記積載物が投入される投入口と、前記投入口に投入された前記積載物が載置される傾斜壁と、前記傾斜壁の下端部に位置する積載ストッパーを備える回動体と、を有し、前記回動体は、前記積載ストッパーが前記傾斜壁の下端部から上側へ突出し、前記積載物が前記傾斜壁から滑り落ちるのを規制する第1姿勢と、前記積載ストッパーが前記傾斜壁の下端部を延長するように前記傾斜壁に沿って延び、前記積載物が前記傾斜壁から滑り落ちるのを許容する第2姿勢と、の間で回動可能とされ、前記第1姿勢とされた前記回動体が前記走行体により押されたときに、前記回動体は前記第1姿勢から前記第2姿勢へと回動し、前記積載物が前記傾斜壁から前記積載ストッパー上を滑り落ちて、前記荷台に積載される、態様1から9のいずれか1つに記載の走行玩具セット。
【0034】
この場合、ユーザーが、走行体を例えばダンプカーやトラック等に見立てて、積載手段によって積載物を荷台に積載する第3の玩具遊びを楽しむことができる。具体的には、ユーザーが、第1姿勢とされた回動体を走行体で押し込み第2姿勢へと回動させることにより、予め投入口から投入しておいた積載物を、傾斜壁及び積載ストッパー上から走行体の荷台に滑り落として、積載することができる。
【0035】
そして、積載物を搭載した走行体を用いて、上述した第1の玩具遊び(走行体の運搬)や第2の玩具遊び(走行体の滑走)を組み合わせた複合的な玩具遊びを楽しむことができる。このため、本発明の上記構成によれば、より興趣に富む玩具遊びを提供することが可能である。
【0036】
〔本発明の態様11〕
前記玩具基材は、前記積載手段から前記第1位置の前記運搬台へと前記走行体を案内する案内路を有する、態様10に記載の走行玩具セット。
【0037】
この場合、ユーザーが、積載手段において積載物を積載した走行体を、案内路を利用して第1位置へと案内する玩具遊びを楽しむことができる。すなわち、案内路が設けられることで、上述した第3の玩具遊び(走行体への積載物の積載)と第1の玩具遊び(走行体の運搬)とを、案内路を介した一連の動作として連続的に楽しむことができる。
【0038】
〔本発明の態様12〕
前記スロープを転がる転動体をさらに備え、前記スロープは、前記スロープの走行面のうち前記発進位置よりも下側に配置される転動体保持部を有し、前記転動体は、前記転動体保持部に保持された状態で、前記スロープを走行する前記走行体に押されることにより、前記転動体保持部に保持された状態が解除され、前記走行面を転がり落ちる、態様1から11のいずれか1つに記載の走行玩具セット。
【0039】
この場合、ユーザーが、予め転動体保持部に保持しておいた転動体を、スロープを走行する走行体によって突き転がす玩具遊びを楽しむことができる。このため、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0040】
〔本発明の態様13〕
前記玩具基材は、前記走行体を収容可能な収容穴部を有する、態様1から12のいずれか1つに記載の走行玩具セット。
【0041】
この場合、ユーザーが、玩具基材の収容穴部を例えばトンネルや車庫等に見立てて、走行体を収容穴部に収容する玩具遊びを楽しむことができる。このため、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の前記態様の走行玩具セットによれば、興趣に富む玩具遊びをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本実施形態の走行玩具セットの玩具基材を示す斜視図であり、運搬台が第1位置に配置された状態を表す。
【
図3】
図3は、本実施形態の走行玩具セットの玩具基材を示す斜視図であり、運搬台が第2位置に配置された状態を表す。
【
図6】
図6は、走行玩具セットの走行体、走行体の積載物、及び転動体を示す斜視図であり、具体的に、
図6(a)は第1の走行体、
図6(b)は第2の走行体、
図6(c)は第2の走行体の積載物、
図6(d)は転動体を表す。
【
図7】
図7は、走行玩具セットの走行体、走行体の積載物、及び転動体を示す斜視図であり、具体的に、
図7(a)は第1の走行体、
図7(b)は第2の走行体、
図7(c)は第2の走行体の積載物、
図7(d)は転動体を表す。
【
図8】
図8は、運搬台を示す縦断面図であり、詳しくは、第2位置以外の位置(例えば、第1位置)に配置された運搬台の縦断面図を表す。
【
図9】
図9は、
図4の玩具基材の一部を示す縦断面図であり、詳しくは、第2位置に配置された運搬台の縦断面図を表す。
【
図10】
図10は、玩具基材の一部を示す斜視図であり、詳しくは、第2位置に配置された運搬台近傍を表す。
【
図11】
図11は、玩具基材の一部を示す縦断面図であり、具体的には、感覚付与手段及び姿勢維持手段を表す。
【
図12】
図12は、玩具基材の積載手段近傍を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、玩具基材の積載手段近傍を示す縦断面図であり、回動体が第1姿勢とされた状態を表す。
【
図14】
図14は、玩具基材の積載手段近傍を示す縦断面図であり、回動体が第2姿勢とされた状態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の一実施形態の走行玩具セット10について、図面を参照して説明する。本実施形態の走行玩具セット10は、例えば、子供等のユーザーが浴槽やプール等で玩具遊びをするのに適している。
【0045】
走行玩具セット10は、
図1等に示す玩具基材1と、
図6(a)、
図6(b)等に示す走行体51,52と、
図6(d)等に示す転動体53と、を備える。
図1及び
図4に示すように、玩具基材1は、玩具基材1のベースとなり略直方体状の外形形状を有する基材台部11と、基材台部11に立設される板状の基材壁部12と、基材壁部12に回転軸C回りに回転可能に支持される移動手段13と、を備える。
【0046】
ここで、本実施形態で用いる方向の定義について、説明する。本実施形態では、各図に適宜XYZ直交座標系(3次元直交座標系)を設定し、各構成について説明する。
各図においてZ軸方向は、鉛直方向を表している。本実施形態ではZ軸方向を、上下方向と呼ぶ。上下方向のうち、上側は+Z側に相当し、下側は-Z側に相当する。基材壁部12は、基材台部11から上側に向けて突出している。
【0047】
また、各図においてX軸方向及びY軸方向は、鉛直方向と垂直な水平面が広がる方向に相当する。本実施形態ではX軸方向及びY軸方向のうち、Y軸方向を、前後方向と呼ぶ。前後方向のうち、前側は-Y側に相当し、後側は+Y側に相当する。基材壁部12の一対の板面は、Y軸方向を向く。具体的に、基材壁部12の一対の板面のうち、一方の板面は前側(-Y側)を向き、他方の板面は後側(+Y側)を向く。また、移動手段13の回転中心となる回転軸Cは、前後方向(Y軸方向)に延びている。
【0048】
また、本実施形態ではX軸方向及びY軸方向のうち、X軸方向を、左右方向と呼ぶ。左右方向のうち、左側は-X側に相当し、右側は+X側に相当する。基材台部11は、左右方向に延びている。
【0049】
また、特に説明しない限り、移動手段13の回転軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、回転軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、回転軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
【0050】
また、回転軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。本実施形態では、
図4及び
図9に示すように玩具基材1を前側(-Y側)から見た正面視で、回転軸Cを中心とする時計回りの方向を周方向一方側θ1と呼び、回転軸Cを中心とする反時計回りの方向を周方向他方側θ2と呼ぶ。
図11に示すように玩具基材1を後側(+Y側)から見た背面視では、回転軸Cを中心とする反時計回りの方向が周方向一方側θ1に相当し、回転軸Cを中心とする時計回りの方向が周方向他方側θ2に相当する。
【0051】
まず、
図6(a)~(d)及び
図7(a)~(d)を参照して、走行体51,52及び転動体53について説明する。
走行体51,52及び転動体53は、玩具遊びをするユーザーの安全性等を考慮して、湯や水等の液体の液面に浮かばせることが可能に構成されている。走行体51,52及び転動体53には、適正な浮力を付与するため、液面に浮上可能な樹脂材料や発泡スチロール等が適宜用いられる。
【0052】
図6(a)、(b)及び
図7(a)、(b)に示すように、本実施形態の走行玩具セット10は、複数種類の走行体51,52を備える。すなわち、走行玩具セット10には、複数の走行体51,52が設けられる。各走行体51,52は、例えば、略直方体状の外形形状を有する。複数の走行体51,52は、
図6(a)及び
図7(a)に示す第1の走行体51と、
図6(b)及び
図7(b)に示す第2の走行体52と、を含む。
【0053】
本実施形態では、第1の走行体51と第2の走行体52の各形状が互いに異なっている。具体的に、第1の走行体51は、例えばブルドーザー等の建設用自動車(建設機械)の形状を模した玩具カーである。また、第2の走行体52は、例えばダンプカーやトラック等の貨物運搬用自動車の形状を模した玩具カーである。各走行体51,52は、それぞれ、複数(図示の例では4つ)の車輪54を有している。
【0054】
また、各走行体51,52は、それぞれ、マグネット55を有している。マグネット55は、走行体51,52の内部に収容されており、走行体51,52の下端部に配置される。マグネット55は、走行体側マグネット55と言い換えてもよい。
走行体51,52のうち、少なくともマグネット55を保持する部分及びその下側周辺の部分は、樹脂材料等の非磁性体により構成される。
【0055】
また、各走行体51,52は、それぞれ、可逆熱変色性能部56を有する。可逆熱変色性能部56は、走行体51,52の外面の少なくとも一部に配置される。具体的に、可逆熱変色性能部56は、走行体51,52の外部に露出される外面が有する前面、後面、上面及び一対の側面のうち、少なくとも一面以上に配置される。なお、可逆熱変色性能部56は、走行体51,52の外面全域にわたって配置されていてもよい。
【0056】
可逆熱変色性能部56は、例えば、走行体51,52の外面のうち、第1色が付与されたベース面上に、可逆熱変色性インキが塗布されることにより構成される。可逆熱変色性インキは、第1の温度以下ではベース面が有する第1色とは異なる第2色を呈し、第1の温度よりも高い第2の温度以上では消色する。これにより、走行体51,52の可逆熱変色性能部56は、第1の温度以下となった場合にユーザーに視認される色(第2色)と、第2の温度以上となった場合にユーザーに視認される色(第1色)とが、互いに異なる。
【0057】
図6(b)、(c)及び
図7(b)、(c)に示すように、第2の走行体(走行体)52は、荷台57と、荷台57に積載可能な積載物58と、を有する。荷台57は、走行体52の上面に配置される。荷台57は、上側に開口する有底穴状であり、図示の例では四角形穴状をなしている。また、本実施形態では積載物58が、例えば、複数の丸太を模した形状とされている。積載物58は、略三角形柱状の外形形状を有する。すなわち、積載物58は、多角形柱状をなしている。
【0058】
荷台57及び積載物58のうち、一方は凸部59を有し、他方は凸部59に係合可能な凹部60を有する。凸部59と凹部60とは、着脱可能に係合する。これにより、積載物58は、荷台57に対して着脱可能に取り付けられる。
【0059】
図6(d)及び
図7(d)に示すように、転動体53は、球状の外形形状を有する。本実施形態では転動体53が、例えば、球状の岩石を模した形状とされている。転動体53は、転動体53の外面に開口する孔61を有する。孔61は、転動体53に複数設けられる。各孔61は、例えば、転動体53の内部に溜まった水を抜くための水抜き孔として機能する。
【0060】
次に、
図1~
図5及び
図8~
図15を参照して、玩具基材1について説明する。
玩具基材1は、上述した基材台部11、基材壁部12及び移動手段13のほか、さらに、第1ストッパー26と、第2ストッパー27と、走行体51,52が走行するスロープ20と、発進手段25と、感覚付与手段30と、姿勢維持手段35と、走行体51,52が通過する槽40と、走行体52に積載物58を積載する積載手段70と、案内路80と、収容穴部85と、図示しない吸盤と、を有する。
【0061】
図4に示すように、移動手段13は、回転軸Cを中心とする回転筒14と、回転筒14に固定される移動アーム15と、移動アーム15に接続される運搬台16と、移動アーム15を回転軸C回りに回転させる操作部17と、運搬台ストッパー18と、を有する。
【0062】
図9に示すように、回転筒14は、回転軸Cを中心軸として前後方向に延びる。回転筒14は、円筒状をなしている。回転筒14は、基材壁部12によって回転軸C回りに回転可能に支持される。
【0063】
図2及び
図11に示すように、回転筒14の後端部は、基材壁部12の後側部分に設けられる部材収納室12a内に配置される。回転筒14は、回転筒14の後端部に配置される蓋部14aを有する。蓋部14aは、回転軸Cを中心とする円板状であり、回転筒14の後端側の開口を塞ぐ。
【0064】
蓋部14aは、歯車部14bと、係止凹部14cと、を有する。
歯車部14bは、周方向に沿って配列する複数の歯を有する。歯車部14bは、後述する感覚付与手段30の一部を構成する。係止凹部14cは、蓋部14aの外周面から径方向内側に窪む凹状をなしている。係止凹部14cは、後述する姿勢維持手段35の一部を構成する。
【0065】
図9に示すように、移動アーム15は、回転筒14の前端部に接続され、径方向に延びる。移動アーム15は板状をなしており、その一対の板面が前後方向を向く。移動アーム15は、基材壁部12の前側に配置される。移動アーム15は、回転筒14を介して基材壁部12に支持される。移動アーム15は、回転筒14とともに回転軸C回りに回転可能である。
【0066】
移動アーム15は、第1アーム部15aと、第2アーム部15bと、を有する。
第1アーム部15aは、回転筒14との接続部分から所定の径方向外側へ向けて延びる。第2アーム部15bは、回転筒14との接続部分から前記所定の径方向外側とは異なる他の径方向外側へ向けて延びる。
【0067】
本実施形態では、第1アーム部15a及び第2アーム部15bが、回転筒14から互いに180°反対側となる径方向外側へ向けて、それぞれ延びている。すなわち、第1アーム部15aと第2アーム部15bとは、回転軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置されている。第1アーム部15aの径方向寸法(径方向の全長)は、第2アーム部15bの径方向寸法(径方向の全長)よりも長い。
【0068】
図8に示すように、運搬台16は、上下方向と垂直な方向(水平面方向)に広がる板状の部分を有している。特に図示しないが、運搬台16の上面16aには、走行体51,52が載せられる。
【0069】
図8~
図10に示すように、運搬台16は、移動アーム15に接続される下台16bと、下台16bに対して傾斜可能な上台16cと、を有する。下台16bは、略L字板状をなしている。上台16cは、略平板状をなしている。
【0070】
下台16bは、第1アーム部15aの径方向外端部に接続されている。具体的に、下台16bは、第1アーム部15aの径方向外端部に回動自在に吊り下げられている。このため、移動アーム15の回転軸C回りの周方向位置に関わらず、運搬台16はその自重により、上面16aが上側を向く姿勢を維持可能である。言い換えると、移動アーム15は、運搬台16の上面16aが上側を向く姿勢を維持しつつ、運搬台16を回転軸C回りに移動させる。
【0071】
下台16bは、吊り下げ壁部16eと、下台本体16dと、マグネット保持板16hと、マグネット16gと、連結ピン16fと、を有する。
【0072】
吊り下げ壁部16eは、前後方向と垂直な方向(鉛直面方向)に広がる板状をなしている。吊り下げ壁部16eは、前後方向に延びる吊り下げ軸(図示省略)を介して、第1アーム部15aの径方向外端部に連結されている。吊り下げ壁部16eは、第1アーム部15aに、吊り下げ軸回りに回動自在に支持されている。これにより下台16bは、移動アーム15に吊り下げ軸回りに回動自在に吊り下げられる。
【0073】
下台本体16dは、上下方向と垂直な方向(水平面方向)に広がる板状をなしている。本実施形態では下台本体16dが、左右方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きい長方形板状をなしている。下台本体16dの後端部は、吊り下げ壁部16eの下端部に接続される。
【0074】
マグネット保持板16hは、下台本体16dの下側に配置される。マグネット保持板16hは、下台本体16dの下面にネジ等により着脱可能に取り付けられる。
【0075】
マグネット16gは、マグネット保持板16hに保持される。マグネット16gは、下台本体16dとマグネット保持板16hとの間に配置され、これらの部材間に収容されている。マグネット16gは、運搬台側マグネット16gと言い換えてもよい。
運搬台16のうち、少なくともマグネット16gを保持する部分及びその上側周辺の部分は、樹脂材料等の非磁性体により構成される。
【0076】
連結ピン16fは、下台本体16dの左端部に配置される。連結ピン16fは、前後方向に延びる連結軸Aを中心とする円柱状である。連結ピン16fは、下台本体16dの前側の端面から前側に突出する。また連結ピン16fは、下台本体16dの後側の端面から後側に突出する。
【0077】
上台16cは、下台本体16dの上側に、下台本体16dと隣接して配置される。また上台16cは、吊り下げ壁部16eの前側に配置される。上台16cは、上下方向と垂直な方向(水平面方向)に広がる板状をなしている。本実施形態では上台16cが、左右方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きい長方形板状をなしている。
【0078】
上台16cは、走行体51,52が載せられる上面16aと、水抜き孔16iと、側壁16jと、連結孔16kと、前側ストッパー16mと、右側ストッパー16nと、傾動突起16pと、を有する。
【0079】
走行体51,52が運搬台16の上面16aに載置されたときに、走行体51,52のマグネット55と、下台16bのマグネット16gとの間には、磁力による吸着力が発生する。走行体51,52は、下台16bとの間の磁力により上台16cの上面16aに保持される。また、後述するように上台16cが下台16bに対して傾斜したときに、マグネット55,16g同士の距離が離れることでマグネット55,16g間の磁力は低減し、走行体51,52の磁力による保持状態は解除される。
【0080】
水抜き孔16iは、上台16cを上下方向に貫通する。水抜き孔16iは、上台16cに複数設けられる。上面16a上に垂れ落ちた湯や水等の液体は、水抜き孔16iを通して上面16aから上台16cの下側へ排出される。
【0081】
水抜き孔16iが設けられることにより、走行体51,52が上面16aに載せられたときに、走行体51,52の下部と上面16aとの間に液体が介在するようなことが抑えられる。これにより、走行体51,52が液体の表面張力によって上面16a上に意図せず保持されてしまう不具合が抑制され、上台16cが傾斜したときに、走行体51,52をスムーズに発進させることが可能になる。
【0082】
側壁16jは、前後方向と垂直な方向に広がる板状である。側壁16jは、上台16cのうち少なくとも左端部に配置される。側壁16jは、上台16cの前端部及び後端部に一対設けられる。各側壁16jは、上台16cの前端部または後端部から、下側に向けて突出する。
【0083】
連結孔16kは、側壁16jを前後方向に貫通する。連結孔16kは、連結軸Aを中心とする円孔状である。連結孔16kは、一対の側壁16jにそれぞれ設けられる。すなわち、連結孔16kは、前後方向に互いに間隔をあけて一対設けられる。各連結孔16kには、連結ピン16fがそれぞれ挿入される。
【0084】
連結ピン16fと連結孔16kとは、連結軸A回りに回動自在に嵌合している。これにより、上台16cは、下台16bに対して連結軸A回りに回動可能とされる。なお、
図8は、上台16cが下台本体16d(下台16b)と平行に配置された状態を表しており、
図9及び
図10は、
図8の上台16cが連結軸A回りに回動して、上台16cが下台本体16d(下台16b)に対して傾斜して配置された状態を表している。
【0085】
前側ストッパー16mは、前後方向と垂直な方向に広がる板状である。前側ストッパー16mは、上台16cの前端部に設けられる。前側ストッパー16mは、上台16cの前端部から、上側に向けて突出する。前側ストッパー16mは、運搬台16の上面16aに載せられた走行体51,52が、上面16aから前側へ意図せず落下することを抑制する。
【0086】
右側ストッパー16nは、左右方向と垂直な方向に広がる板状である。右側ストッパー16nは、上台16cの右端部に設けられる。右側ストッパー16nは、上台16cの右端部から、上側に向けて突出する。右側ストッパー16nは、運搬台16の上面16aに載せられた走行体51,52が、上面16aから右側へ意図せず落下することを抑制する。
【0087】
傾動突起16pは、上台16cの左端部に配置される。傾動突起16pは、上台16cの後側の端面から後側に突出する突起状である。傾動突起16pは、吊り下げ壁部16eの左側に配置される。傾動突起16pの上面は、平面状をなしている。
【0088】
図9に示すように、操作部17は、第2アーム部15bの径方向外端部に配置される。操作部17は、第2アーム部15bの径方向外端部から前側に突出する。操作部17は、ユーザーにより把持されて、操作される。操作部17には、湯や水等の液体が付着しても滑りにくい凹凸形状等の外形形状が付与されていることが好ましい。
【0089】
図1、
図3及び
図4等に示すように、ユーザーは、操作部17を把持して回転軸C回りに回転させることにより、移動アーム15、運搬台16及び運搬台16に載置された走行体51,52を、回転軸C回りに移動させることができる。すなわち、ユーザーは、操作部17を回転軸C回りに回転させることで、移動手段13及び走行体51,52を、回転軸C回りに移動可能である。
【0090】
詳しくは、ユーザーの操作により、移動手段13は、スロープ20の上部の発進位置SPから離れて配置される
図1に示す第1位置P1と、発進位置SPに隣接して配置される
図3及び
図4に示す第2位置P2との間で、運搬台16とともに走行体51,52を移動させる。具体的には、移動アーム15が、運搬台16を第1位置P1と第2位置P2との間で回転軸C回りに移動させる。
【0091】
図4に示すように本実施形態では、運搬台16の第1位置P1が、回転軸Cよりも右側かつ下側に配置されている。また、運搬台16の第2位置P2は、回転軸Cよりも左側に位置し、かつ、スロープ20の発進位置SPの右側にスロープ20の上部(発進位置SP)と隣接して配置される。
また本実施形態では、運搬台16が第1位置P1と第2位置P2との間で移動する際に、移動アーム15の回転軸Cを中心とする回転角度は、例えば、180°程度とされている。
【0092】
図9及び
図10に示すように、運搬台ストッパー18は、移動アーム15の第1アーム部15aから前側に突出する突起状をなす。運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、運搬台ストッパー18は、運搬台16の吊り下げ壁部16eに対して右側から接触し、または隙間をあけて対向する。
【0093】
運搬台ストッパー18が設けられることで、運搬台16が第2位置P2に配置された状態から、吊り下げ壁部16eが図示しない吊り下げ軸回りに回動して吊り下げ壁部16eと第1アーム部15aとの間の隙間がそれ以上に狭められることが規制される。これにより、ユーザーが前記隙間に指などを挟むようなことが防止される。また、運搬台ストッパー18が吊り下げ壁部16eに側方から接触することで、第2位置P2に配置された運搬台16の姿勢が安定する。
【0094】
図1に示すように、第1ストッパー26は、基材壁部12から前側に突出する突起状をなす。運搬台16が第1位置P1に配置されたときに、第1ストッパー26は、移動アーム15の第1アーム部15aに対して周方向他方側θ2から接触し、または隙間をあけて対向する。第1ストッパー26が設けられることで、運搬台16が第1位置P1に配置された状態から、移動アーム15がそれ以上に周方向他方側θ2へ向けて回転することが規制される。
【0095】
図3、
図9及び
図10に示すように、第2ストッパー27は、基材壁部12から前側に突出する突起状をなす。運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、第2ストッパー27は、移動アーム15の第1アーム部15aに対して周方向一方側θ1から接触し、または隙間をあけて対向する。第2ストッパー27が設けられることで、運搬台16が第2位置P2に配置された状態から、移動アーム15がそれ以上に周方向一方側θ1へ向けて回転することが規制される。
【0096】
図1~
図5に示すように、スロープ20は、玩具基材1の左側部分及び前側部分にわたって配置される。スロープ20は、基材台部11及び基材壁部12の左側及び前側にわたって位置している。スロープ20は、スロープ20の上部に位置する発進位置SPから下部に位置する後述するジャンプ台28へ向けて、連続的に傾斜して延びている。
【0097】
本実施形態ではスロープ20が、直線状に延びる直線スロープ部と、湾曲状に延びる湾曲スロープ部とを組み合わせて構成されている。また、湾曲スロープ部には、螺旋状に延びる螺旋スロープ部が含まれる。
【0098】
スロープ20は、走行面21と、ガイド壁22と、転動体保持部23と、スロープ水抜き孔24と、ジャンプ台28と、切替ストッパー29と、を有する。
【0099】
走行面21は、スロープ20の上部に位置する発進位置SPから下部に位置するジャンプ台28にわたって、スロープ20が延びる方向に沿って延びる。走行面21は、上側を向く面であり、詳しくは、スロープ20が延びる方向に沿って発進位置SPからジャンプ台28へ向かうに従い、下側に向けて傾斜する傾斜面である。言い換えると、走行面21のうち上端部は、スロープ20の発進位置SPとされている。走行面21のうち下端部は、スロープ20のジャンプ台28とされている。
【0100】
走行面21には、走行体51,52が走行させられる。また走行面21には、転動体53が転動させられる。言い換えると、走行体51,52は、走行面21上に配置されることで、走行面21が傾斜する方向に沿ってスロープ20を走行する。また、転動体53は、走行面21上に配置されることで、走行面21が傾斜する方向に沿ってスロープ20を転がる。
【0101】
ガイド壁22は、走行面21の幅方向の両端部に一対設けられる。一対のガイド壁22は、走行面21の幅方向の両端部から上側へ向けて、それぞれ突出する。各ガイド壁22は、スロープ20が延びる方向の略全長にわたって配置されている。ガイド壁22が設けられることで、走行面21上を走行する走行体51,52がスロープ20から脱落することが抑制される。また、走行面21上を転動する転動体53がスロープ20から脱落することが抑制される。
【0102】
転動体保持部23は、スロープ20の走行面21のうち発進位置SPよりも下側に配置される。
図10に示すように、本実施形態では転動体保持部23が、発進位置SPからスロープ20が延びる方向に沿って所定寸法だけ下側へ離れた位置に配置される。前記所定寸法は、例えば、運搬台16の上面16aの左右方向の寸法と同程度の長さとされる。
【0103】
転動体保持部23は、走行面21から下側に窪む凹状をなしている。本実施形態では転動体保持部23が、球状をなす転動体53の外周面形状(球面形状)に対応する凹球面状をなしている。転動体53は、転動体保持部23に載置されることで、転動体保持部23上(つまりスロープ20上)に留まることができる。すなわち、転動体保持部23は、転動体53を保持可能である。
【0104】
転動体53は、転動体保持部23に保持された状態で、スロープ20を走行する走行体51,52に押されることにより、転動体保持部23に保持された状態が解除され、走行面21を転がり落ちる。
【0105】
図1~
図3及び
図5等に示すように、スロープ水抜き孔24は、走行面21に開口し、スロープ20を上下方向に貫通する。スロープ水抜き孔24は、スロープ20が延びる方向に並んで、複数設けられる。走行面21に垂れ落ちた湯や水等の液体は、スロープ水抜き孔24を通して走行面21からスロープ20の下側へ排出される。
【0106】
スロープ水抜き孔24が設けられることにより、走行体51,52が走行面21に配置されたときに、走行体51,52の下部と走行面21との間に液体が介在するようなことが抑えられる。これにより、走行体51,52が液体の表面張力によって走行面21上に意図せず保持されてしまう不具合が抑制され、走行体51,52を走行面21上でスムーズに走行させることが可能になる。
【0107】
また
図10に示すように、本実施形態ではスロープ水抜き孔24が、転動体保持部23にも配置されている。スロープ水抜き孔24が設けられることにより、転動体53が転動体保持部23に配置されたときに、転動体53が液体の表面張力によって転動体保持部23上に意図せず保持されてしまう不具合が抑制される。このため、走行体51,52が転動体保持部23に載置された転動体53を押したときに、転動体保持部23から走行面21上へと転動体53をスムーズに転がすことが可能になる。
【0108】
図1及び
図3~
図5に示すように、ジャンプ台28は、スロープ20の下部に配置される。ジャンプ台28の下側には、例えば、浴槽やプール等が配置される。
【0109】
切替ストッパー29は、スロープ20の走行面21のうちジャンプ台28よりも上側に配置される。切替ストッパー29は、ユーザーが操作することにより回動され、走行面21上の走行体51,52の走行及び転動体53の転動を許容する開状態と、走行面21上の走行体51,52の走行及び転動体53の転動を規制する閉状態と、に切り替え可能である。本実施形態では各図において、切替ストッパー29の閉状態が図示されている。
【0110】
切替ストッパー29が開状態とされた場合、スロープ20を走行する走行体51,52またはスロープ20を転動する転動体53は、ジャンプ台28からスロープ20の外部(例えば浴槽やプール等)へ飛び出し可能である。切替ストッパー29が閉状態とされた場合、スロープ20を走行する走行体51,52またはスロープ20を転動する転動体53は、切替ストッパー29に接触することで停止され、ジャンプ台28からの飛び出しが規制される。
【0111】
図9及び
図10に示すように、発進手段25は、基材壁部12から前側に突出する突起状をなす。発進手段25の下面は、左側へ向かうに従い下側に延びる傾斜面状である。運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、発進手段25の下面は、傾動突起16pの上面と接触する。発進手段25は、上台16cの傾動突起16pに対して上側から接触し、傾動突起16pを相対的に下側へ押し下げる。
【0112】
これにより、上台16cは、下台本体16d(下台16b)に対して連結軸A回りに回動され、傾斜させられる。詳しくは、上台16cの上面16aが、左側へ向かうに従い下側に向けて延びる傾斜姿勢とされる。
発進手段25は、運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、運搬台16のうち少なくとも上面16aをスロープ20に向けて傾斜させる。本実施形態では発進手段25が、運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、上台16cをスロープ20の発進位置SPに向けて傾斜させる。
【0113】
図11に示すように、感覚付与手段30は、基材壁部12の後側部分(背面部分)に配置される開閉可能な部材収納室12a内に設けられる。感覚付与手段30は、上述した回転筒14の歯車部14bと、爪部31と、を有する。
【0114】
爪部31は、所定方向に延びており、所定方向の両端部のうち一端部(基端部)が基材壁部12に支持され、少なくとも他端部(先端部)が弾性変形可能である。爪部31は、図示の例では上下方向に延びており、その上端部(先端部)が歯車部14bに係止されている。
【0115】
ユーザーが操作部17を操作し、移動手段13とともに回転筒14を回転軸C回りに回転させたときに、歯車部14bの複数の歯は、爪部31の先端部を弾性変形させつつ周方向に順次乗り越える。このとき、感覚付与手段30は、移動手段13の動作に伴い、音及び振動の少なくとも一方を発生させる。本実施形態では感覚付与手段30が、移動手段13の回転軸C回りの回転動作に伴い、音及び振動の両方を発生させる。
【0116】
姿勢維持手段35は、上述した回転筒14の係止凹部14cと、係止突起36と、を有する。
係止突起36は、基材壁部12に支持されており、回転筒14の蓋部14aに径方向外側から対向する。ユーザーが操作部17を操作し、移動手段13を回転軸C回りに移動させて運搬台16を第1位置P1または第2位置P2に配置したときに、係止突起36は、係止凹部14cに係止される。これにより運搬台16は、第1位置P1または第2位置P2に配置された状態で保持される。
【0117】
すなわち、姿勢維持手段35は、移動手段13の姿勢を維持する。具体的に、姿勢維持手段35は、運搬台16が第1位置P1または第2位置P2に配置されたときに、移動アーム15の回転軸C回りの周方向位置を一定に維持する。本実施形態では姿勢維持手段35が、運搬台16が第1位置P1に配置されたときに、移動アーム15の回転軸C回りの周方向位置を一定に維持する。
【0118】
図1~
図3に示すように、槽40は、基材台部11の上面から下側に窪む有底穴状である。槽40には、液体が貯留される。槽40に貯留される液体は、例えば、氷水または湯等である。
図4に示すように、槽40は、回転軸C回りにおいて、第1位置P1と第2位置P2との間に配置される。移動アーム15が回転軸C回りに回転することで、運搬台16及び運搬台16に載せられた走行体51,52は、第1位置P1と第2位置P2との間で槽40の液体内を通過する。
【0119】
上述したように、走行体51,52は液体の液面に浮く性質を有する。本実施形態では走行体51,52が、磁力により運搬台16の上面16aに吸着保持されているため、走行体51,52が槽40の液体内を通過するときに、走行体51,52が運搬台16から離れて浮き上がってしまう不具合が抑制される。
【0120】
基材台部11のうち槽40の前側に配置される前壁11aは、透明な部材により構成されることが好ましい。これによりユーザーは、槽40内を通過する走行体51,52を、前壁11aを通して視認し楽しむことができる。
【0121】
図1及び
図2に示すように、槽40は、運搬台16及び運搬台16に載せられた走行体51,52が通過する第1槽41と、第1槽41と仕切り壁43によって区画された第2槽42と、仕切り壁43を貫通し、第1槽41と第2槽42とを連通する連通孔44と、を有する。
【0122】
第1槽41は、基材壁部12の前側に配置される。第1槽41は、左右方向に延びる有底穴状である。第1槽41は、左右方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きい。第1槽41の上下方向の寸法(つまり深さ)は、左右方向の両端部から中央部へ向かうに従い大きく(深く)なる。
【0123】
第2槽42は、基材壁部12の後側に配置される。第2槽42は、左右方向に延びる有底穴状である。第2槽42は、左右方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きい。本実施形態では第2槽42の前後方向の寸法が、第1槽41の前後方向の寸法よりも小さくされている。第2槽42の上下方向の寸法(つまり深さ)は、左右方向の両端部から中央部へ向かうに従い大きく(深く)なる。特に図示しないが、第2槽42は、第2槽42の内部を左右方向に仕切る補助仕切り壁を有していてもよい。
【0124】
仕切り壁43は、前後方向と垂直な方向に広がる板状である。仕切り壁43は、前後方向において第1槽41と第2槽42との間に配置され、第1槽41と第2槽42とを仕切る。本実施形態では仕切り壁43が、基材壁部12を下側へ延長するように設けられる。
【0125】
連通孔44は、仕切り壁43を前後方向に貫通する。本実施形態では連通孔44が、上下方向に延びる長孔状をなしている。連通孔44の幅寸法(左右方向の寸法)は、例えば、一般的な大きさの氷が通過不能な寸法とされる。連通孔44は、仕切り壁43に複数設けられる。本実施形態では複数の連通孔44が、左右方向に並んで配置される。
【0126】
積載手段70は、基材台部11の右端部に配置される。積載手段70は、積載物58を走行体52の荷台57に積載する(
図15を参照)。
図12~
図15に示すように、積載手段70は、基材台部11の内部に配置される積載物収容室71と、基材台部11の上面に開口する投入口72と、積載物収容室71の下壁を構成する傾斜壁73と、積載物収容室71の下側に配置される回動体74と、を有する。
【0127】
積載物収容室71は、前後方向及び左右方向を壁部によって囲われた、積載物58を収容可能な室(空間)である。本実施形態では積載物収容室71が、略直方体状の室とされている。積載物収容室71の上部は、投入口72を通して上側に開口する。積載物収容室71の下部には、傾斜壁73が配置される。積載物収容室71の下部は、傾斜壁73の右側において、右側に開口する。
【0128】
投入口72は、積載物収容室71の上側に配置され、積載物収容室71の内部と連通する。投入口72には、ユーザーによって積載物58が投入される。積載物58は、投入口72を通して積載物収容室71内に挿入される。本実施形態では投入口72が、積載物58の外形形状(略三角形柱状)に対応する三角形孔状をなしている。すなわち、投入口72は、積載物58が通過可能な多角形孔状をなしている。
【0129】
傾斜壁73は、右側へ向かうに従い下側に延びる傾斜面状をなしている。傾斜壁73には、投入口72に投入された積載物58が載置される。
【0130】
回動体74は、前後方向に延びる回動軸O回りに回動可能とされている。詳しくは、回動体74は、回動軸Oを中心とする図示しないピン及び孔の係合により、基材台部11に回動軸O回りに回動可能に支持されている。回動体74は、
図13に示す第1姿勢と、
図14に示す第2姿勢と、の間で回動可能とされる。
【0131】
回動体74は、積載ストッパー74aと、押込み壁部74bと、回動ストッパー74cと、を有する。
【0132】
積載ストッパー74aは、傾斜壁73の下端部に位置している。本実施形態では積載ストッパー74aが、板状をなしている。
図13に示すように、回動体74が第1姿勢とされた状態では、積載ストッパー74aは、傾斜壁73の下端部から上側へ突出し、傾斜壁73上に載置された図示しない積載物58が傾斜壁73から滑り落ちるのを規制する。また、
図14に示すように、回動体74が第2姿勢とされた状態では、積載ストッパー74aは、傾斜壁73の下端部を延長するように傾斜壁73に沿って延び、積載物58が傾斜壁73から滑り落ちるのを許容する。
【0133】
押込み壁部74bは、板状をなしている。押込み壁部74bは、
図13に示す回動体74の第1姿勢において、回動軸Oから下側に延び、左右方向と垂直な方向に広がる。
図15に示すように、押込み壁部74bには、ユーザーによって走行体52の後端部が接触させられる。
【0134】
回動ストッパー74cは、
図13に示す回動体74の第1姿勢において、回動体74の下面から下側に突出する。回動体74が第1姿勢とされたときに、回動ストッパー74cは、基材台部11のストッパー受11bに対して左側から接触し、または隙間をあけて対向する。回動ストッパー74cが設けられることにより、第1姿勢の位置とされた回動体74が、それ以上に回動軸O回りにおいて第2姿勢の位置とは反対側へ向けて回動することが規制される。
【0135】
第1姿勢とされた回動体74が走行体52により押されたときに、回動体74は第1姿勢から第2姿勢へと回動し、積載物58が傾斜壁73から積載ストッパー74a上を滑り落ちて、走行体52の荷台57に積載される。
【0136】
図1に示すように、案内路80は、基材台部11の右端部に配置される。案内路80は、左側へ向かうに従い上側に向けて延びる傾斜面状をなしている。案内路80は、例えば、傾斜した道路を模した形状とされている。
【0137】
案内路80は、積載手段70の前側に隣り合って配置される。また案内路80は、第1槽41の右側に隣り合って配置される。このため案内路80は、第1位置P1に配置された運搬台16の右側に隣り合って配置される。すなわち、案内路80は、積載手段70と、第1位置P1に配置された運搬台16とに隣接して、これらの間に配置される。案内路80は、積載手段70から第1位置P1の運搬台16へと走行体52を案内するように構成される。
【0138】
収容穴部85は、基材台部11の右端部に配置される。収容穴部85は、基材台部11の前面に開口し、前後方向に延びる。収容穴部85は、基材台部11の下面から上側に向けて窪む半円柱穴状をなしている。収容穴部85には、例えば、トンネルや車庫等を模した形状が付与されている。特に図示しないが、収容穴部85には、走行体51,52が収容可能である。
【0139】
図2に示すように、基材台部11の後面には、取付孔11cが開口する。取付孔11cは、左右方向に互いに間隔をあけて複数(本実施形態では一対)設けられる。各取付孔11cには、図示しない吸盤がそれぞれ着脱可能に取り付けられる。吸盤は、例えば浴室やプールの壁面等に吸着され、これにより玩具基材1は、壁面等に固定される。
【0140】
以上説明した本実施形態の走行玩具セット10では、例えば子供等のユーザーが、第1位置P1に配置した運搬台16の上面16aに走行体51,52を載せ、移動アーム15を回転軸C回りに移動させる。これにより、運搬台16の上面16aに走行体51,52が載せられた状態が維持されたまま、この運搬台16とともに走行体51,52が第1位置P1から第2位置P2へと移動させられる。またユーザーは、第2位置P2からスロープ20の上部の発進位置SPに走行体51,52を動かして、走行体51,52を自重等によりスロープ20上で走行させることができる。
【0141】
本実施形態の走行玩具セット10によれば、ユーザーが、複数種類の玩具遊びを組み合わせて楽しむことができる。具体的に、ユーザーは、移動アーム15を例えばクレーン等に見立てて、移動アーム15を移動させることによって走行体51,52を第1位置P1から第2位置P2へと運搬する第1の玩具遊びと、スロープ20を例えば滑り台等に見立てて、第2位置P2からスロープ20上に移動した走行体51,52を自重等によって滑走させる第2の玩具遊びとを、複合的に楽しむことができる。このため、従来品の走行玩具セットに比べて、本実施形態の走行玩具セット10では、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0142】
また本実施形態では、玩具基材1が、運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、運搬台16のうち少なくとも上面16aをスロープ20に向けて傾斜させる発進手段25を有する。
この場合、ユーザーが移動アーム15を回転軸C回りに回転させ、運搬台16が第1位置P1から第2位置P2へ移動したときに、発進手段25が運搬台16の上面16aをスロープ20に向けて傾斜させる。これにより、運搬台16の上面16aに載せられた走行体51,52が、自重等によってスロープ20へ移動し、スロープ20上を走行する。
【0143】
すなわち、発進手段25が設けられていることで、第2位置P2に配置された運搬台16上からスロープ20上へとユーザーが走行体51,52を移動させる操作が不要となるため、上述した第1の玩具遊び(走行体51,52の運搬)と第2の玩具遊び(走行体51,52の滑走)とを連続的に造作なく楽しむことができる。
【0144】
また、傾斜した運搬台16上を走行体51,52が走行し始めることで勢いがつき、この勢いを保ったまま、走行体51,52が安定してスロープ20上を走行する。本実施形態のように、スロープ20の下部にジャンプ台28を設けた場合には、走行体51,52を勢いよくジャンプ台28から飛び出させることが可能になり、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0145】
また本実施形態では、運搬台16が、移動アーム15に接続される下台16bと、下台16bに対して傾斜可能な上台16cと、を有しており、発進手段25は、運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、上台16cをスロープ20の発進位置SPに向けて傾斜させる。
この場合、運搬台16が第1位置P1から第2位置P2へ移動したときに、発進手段25が、運搬台16の下台16bに対して上台16cを傾斜させる。これにより、上台16cの上面16aに載せられた走行体51,52が、上台16cからスロープ20の発進位置SPへと安定して移動させられ、スロープ20上を走行する。本実施形態の上記構成によれば、上述した第1の玩具遊び(走行体51,52の運搬)から第2の玩具遊び(走行体51,52の滑走)への連続動作がよりスムーズに行える。
【0146】
また本実施形態では、走行体51,52が、下台16bとの間の磁力により上台16cの上面16aに保持され、上台16cが下台16bに対して傾斜したときに、走行体51,52の磁力による保持状態が解除される。
この場合、運搬台16が第1位置P1から第2位置P2へ移動する際には、走行体51,52が、下台16bとの間で作用する磁力により、上台16c上に保持された状態で安定して運搬される。このため、運搬台16の移動時において、走行体51,52が運搬台16から落下するような不具合が抑制される。
【0147】
そして、運搬台16が第2位置P2に配置されたときに、上台16cが下台16bに対して傾斜させられることで、上台16c上の走行体51,52と下台16bとの間の距離が広がり、走行体51,52に作用する磁力が低下する。運搬台16は、走行体51,52を磁力によって保持することができなくなり、走行体51,52の保持状態が解除される。このとき、上台16cが傾斜しているため、走行体51,52は上台16cの傾斜に沿って、運搬台16からスロープ20の発進位置SPへと移動させられる。
【0148】
上記構成によれば、発進手段25が上台16cを傾斜させるという1アクションにより、磁力による走行体51,52の保持状態の解除と、スロープ20上への走行体51,52の移動とを、両方ともに行うことができる。すなわち、発進手段25による上台16cの傾斜動作が、走行体51,52の磁力解除と発進補助とを兼ねている。シンプルな構造によって、運搬台16上からスロープ20上へと走行体51,52をスムーズに移動させることができる。
【0149】
また本実施形態では、玩具基材1が、移動手段13の動作に伴い、音及び振動の少なくとも一方を発生させる感覚付与手段30を有する。
上記構成では、ユーザーが、移動手段13の移動アーム15を回転軸C回りに回転させる動作を行ったときに、この動作に伴って感覚付与手段30が、音及び振動の少なくとも一方を発生させる。ユーザーは、移動アーム15の回転によって運搬台16とともに走行体51,52が運搬されていく様子を、視覚のみならず、聴覚や触覚(感触)等の種々の感覚によって認識し、楽しむことができる。
【0150】
また本実施形態では、玩具基材1が、移動手段13の姿勢を維持する姿勢維持手段35を有しており、姿勢維持手段35は、運搬台16が第1位置P1または第2位置P2に配置されたときに、移動アーム15の回転軸C回りの周方向位置を一定に維持する。
上記構成では、移動手段13の運搬台16が第1位置P1または第2位置P2に配置されたときに、姿勢維持手段35が、移動アーム15の回転軸C回りの周方向位置を一定に維持する。すなわち、姿勢維持手段35によって、運搬台16を第1位置P1または第2位置P2に配置した状態で維持することができる。このため、ユーザーは、第1位置P1または第2位置P2に留まっている運搬台16に対して、走行体51,52を載せたり降ろしたり(発進させたり)する操作を安定して行うことができる。玩具遊びの操作性が向上する。
【0151】
また本実施形態では、玩具基材1が、液体が貯留される槽40を有しており、槽40は、回転軸C回りにおいて、第1位置P1と第2位置P2との間に配置される。移動アーム15が回転軸C回りに回転することで、運搬台16に載せられた走行体51,52が、槽40の液体内を通過する。
この場合、ユーザーが、移動アーム15を回転軸C回りに回転させて、運搬台16とともに走行体51,52を第1位置P1から第2位置P2へ運搬するときに、この走行体51,52を、槽40の液体内に通過させて遊ぶことができる。このため、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0152】
また本実施形態では、走行体51,52が、走行体51,52の外面の少なくとも一部に配置される可逆熱変色性能部56を有する。
この場合、走行体51,52が槽40の液体内を通過するときに、液体の温度に応じて、走行体51,52の外面に設けられた可逆熱変色性能部56を変色させて遊ぶことができる。
【0153】
具体的に、可逆熱変色性能部56は、第1の温度以下では第2色を呈し、第1の温度よりも高い第2の温度以上では第2色とは異なる第1色を呈する。
本実施形態の走行玩具セット10を、例えば浴槽やプール等で使用する場合において、玩具基材1の槽40内の液体の温度、及び、浴槽やプール内の液体の温度のうち、一方を第1の温度以下とし、他方を第2の温度以上とする。これにより、各液体内で走行体51,52の色を適宜変化させて、視覚による遊びを付与することができる。
【0154】
また本実施形態では、槽40が、運搬台16に載せられた走行体51,52が通過する第1槽41と、第1槽41と仕切り壁43によって区画された第2槽42と、仕切り壁43を貫通し、第1槽41と第2槽42とを連通する連通孔44と、を有する。
この場合、所定の温度とされた液体を第2槽42に供給すると、この液体が連通孔44を通して第1槽41に流入する。例えば、第1槽41を運搬台16及び走行体51,52の通過に適した形状とし、第2槽42を液体の供給に適した形状とすることができる。第2槽42が設けられることで、槽40全体としての形状の自由度が高められ、第1槽41及び第2槽42をそれぞれより機能的な形状に形成することができる。
【0155】
また、槽40内に氷等の固形物を供給する場合には、固形物を第2槽42に供給する。これにより、固形物を第2槽42に留めておくことができる。運搬台16及び走行体51,52が第1槽41を通過するときに、これらの移動が固形物によって阻害されるような不具合が抑制される。
【0156】
また本実施形態では、玩具基材1が、積載物58を荷台57に積載する積載手段70を有しており、積載手段70は、積載物58が投入される投入口72と、投入口72に投入された積載物58が載置される傾斜壁73と、傾斜壁73の下端部に位置する積載ストッパー74aを備える回動体74と、を有する。回動体74は、積載ストッパー74aが傾斜壁73の下端部から上側へ突出し、積載物58が傾斜壁73から滑り落ちるのを規制する第1姿勢と、積載ストッパー74aが傾斜壁73の下端部を延長するように傾斜壁73に沿って延び、積載物58が傾斜壁73から滑り落ちるのを許容する第2姿勢と、の間で回動可能とされる。そして、第1姿勢とされた回動体74が走行体52により左側へ押されたときに、回動体74は第1姿勢から第2姿勢へと回動し、積載物58が傾斜壁73から積載ストッパー74a上を滑り落ちて、荷台57に積載される。
【0157】
この場合、ユーザーが、走行体52を例えばダンプカーやトラック等に見立てて、積載手段70によって積載物58を荷台57に積載する第3の玩具遊びを楽しむことができる。具体的には、ユーザーが、第1姿勢とされた回動体74を走行体52で押し込み第2姿勢へと回動させることにより、予め投入口72から投入しておいた積載物58を、傾斜壁73及び積載ストッパー74a上から走行体52の荷台57に滑り落として、積載することができる。
【0158】
そして、積載物58を搭載した走行体52を用いて、上述した第1の玩具遊び(走行体52の運搬)や第2の玩具遊び(走行体52の滑走)を組み合わせた複合的な玩具遊びを楽しむことができる。このため、本実施形態の上記構成によれば、より興趣に富む玩具遊びを提供することが可能である。
【0159】
また本実施形態では、玩具基材1が、積載手段70から第1位置P1の運搬台16へと走行体52を案内する案内路80を有する。
この場合、ユーザーが、積載手段70において積載物58を積載した走行体52を、案内路80を利用して第1位置P1へと案内する玩具遊びを楽しむことができる。すなわち、案内路80が設けられることで、上述した第3の玩具遊び(走行体52への積載物58の積載)と第1の玩具遊び(走行体52の運搬)とを、案内路80を介した一連の動作として連続的に楽しむことができる。
【0160】
また、本実施形態の走行玩具セット10は、スロープ20を転がる転動体53をさらに備えている。スロープ20は、スロープ20の走行面21のうち発進位置SPよりも下側に配置される転動体保持部23を有しており、転動体53は、転動体保持部23に保持された状態で、スロープ20を走行する走行体51,52に押されることにより、転動体保持部23に保持された状態が解除され、走行面21を転がり落ちる。
この場合、ユーザーが、予め転動体保持部23に保持しておいた転動体53を、スロープ20を走行する走行体51,52によって突き転がす玩具遊びを楽しむことができる。このため、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0161】
また本実施形態では、玩具基材1が、走行体51,52を収容可能な収容穴部85を有する。
この場合、ユーザーが、玩具基材1の収容穴部85を例えばトンネルや車庫等に見立てて、走行体51,52を収容穴部85に収容する玩具遊びを楽しむことができる。このため、より興趣に富む玩具遊びを提供することができる。
【0162】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0163】
前述の実施形態では、走行体51,52が車両を模した形状を有する例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、走行体は、例えばアニメーション等に登場するキャラクターや、キャラクターと車両とを組み合わせた構成等であってもよい。
【0164】
また、前述の実施形態では、転動体53が球状である例を挙げたが、これに限らない。転動体は、走行面21を転動可能な形状とされていればよく、例えば円柱状等であってもよい。
【0165】
また、転動体53が、走行体52の荷台57に積載可能な積載物とされていてもよい。この場合、
図6(d)及び
図7(d)に示すように、転動体53は、転動体53の外面から窪む凹部62を有し、凹部62は、荷台57の凸部59に着脱可能に係合することが好ましい。なお、図示の例では、転動体53の凹部62と水抜き用の孔61とが、互いに同一形状とされている。このため、凹部62は、水抜き用の孔61としても機能し、孔61は、凸部59に係合する凹部62としても機能する。
【0166】
そして、走行体52の荷台57に転動体(積載物)53を積載した状態(係合した状態)で、ユーザーが、第1位置P1に配置した運搬台16の上面16aにこの走行体52を載せ、移動アーム15を操作して第2位置P2へと移動させ、さらに発進位置SPからスロープ20上へ滑走させてもよい。
【0167】
前述の実施形態では、ユーザーが、操作部17を把持して操作し、手動により移動アーム15を回転軸C回りに回転させる例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、例えば、ゼンマイばねを用いた構造により、移動アーム15を回転軸C回りに回転させてもよい。あるいは、モーター等を用いて、自動的に移動アーム15を回転軸C回りに回転させる構造であってもよい。
【0168】
前述の実施形態では、走行体51,52がマグネット55を有し、運搬台16の下台16bがマグネット16gを有する例を挙げたが、マグネット55,16gのうちいずれか一方を、マグネットに替えて金属製の磁性体としてもよい。
また、走行体51,52が、磁力以外の吸着手段や係合手段等により、運搬台16の上面16aに保持されてもよい。
【0169】
また、前述の実施形態では、移動アーム15の第1アーム部15aと第2アーム部15bとが、前後方向から見て、回転軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置される例を挙げたが、これに限らない。第1アーム部15aと第2アーム部15bとの間に形成される回転軸Cを中心とする中心角が、180°以外の角度とされていてもよい。
【0170】
また、玩具基材1は、前述の実施形態で説明した構成とは左右方向に反転された構成とされていてもよい。
【0171】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態及び変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明の走行玩具セットによれば、興趣に富む玩具遊びをすることができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0173】
1…玩具基材、10…走行玩具セット、13…移動手段、15…移動アーム、16…運搬台、16a…上面、16b…下台、16c…上台、20…スロープ、21…走行面、23…転動体保持部、25…発進手段、30…感覚付与手段、35…姿勢維持手段、40…槽、41…第1槽、42…第2槽、43…仕切り壁、44…連通孔、51,52…走行体、53…転動体、56…可逆熱変色性能部、57…荷台、58…積載物、70…積載手段、72…投入口、73…傾斜壁、74…回動体、74a…積載ストッパー、80…案内路、85…収容穴部、C…回転軸、P1…第1位置、P2…第2位置、SP…発進位置