(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166660
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】フィルム切断供給装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/22 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
B65B61/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082892
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】砂田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】鴨島 勉
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA02
3E056BA14
3E056CA11
3E056DA01
3E056EA03
3E056EA06
3E056EA08
3E056FB01
(57)【要約】
【課題】ウエブ状フィルムを複数の枚葉フィルムに切断するとともに複数の容器に対して正確に位置決めが可能なフィルム切断供給装置を提供する。
【解決手段】ウエブ状フィルムFを搬送するフィルム搬送装置12と、搬送方向に所定間隔でウエブ状フィルムFを切断するフィルム切断装置と、フィルム搬送装置12と平行に設けられ、複数の容器Cを所定ピッチで搬送する容器搬送コンベヤ18と、切断された枚葉フィルムFaを各容器Cへ移載するフィルム移載装置16とを備える。フィルム搬送装置12は、無端チェーン12Cに取り付けられた複数のグリッパ20を備え、グリッパ20の中の第1グリッパによりウエブ状フィルムFの下流端を保持し、第1グリッパの上流に位置する第2グリッパ20で上流部を保持した状態で第1、第2グリッパ20、20間のウエブ状フィルムFを切断して枚葉フィルムFaとし、フィルム移載装置16により容器Cに供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブ状フィルムを搬送するフィルム搬送手段と、
前記ウエブ状フィルムの搬送方向に沿って所定の間隔で複数配置されるとともに、前記ウエブ状フィルムを搬送方向と交差する方向に切断するフィルム切断手段と、
前記フィルム搬送手段と平行に設けられ、複数の容器を所定ピッチで搬送する容器搬送手段と、
前記フィルム切断手段によって切断された複数の枚葉フィルムを各容器へ移載するフィルム移載手段とを備え、
前記フィルム搬送手段は、
無端搬送部材に取り付けられた複数のグリッパを備え、
前記複数のグリッパの中の第1グリッパにより前記ウエブ状フィルムの下流端を保持するとともに当該第1グリッパの上流に位置する前記複数のグリッパの中の第2グリッパにより前記ウエブ状フィルムを保持した状態で前記フィルム切断手段により前記第1、第2グリッパ間の前記ウエブ状フィルムを切断して枚葉フィルムとした後、これら枚葉フィルムを前記フィルム移載手段によって前記複数の容器に供給する
ことを特徴とするフィルム切断供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブ状のフィルムを切断して容器へ供給するフィルム切断供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
納豆容器へ被膜を供給する装置や容器にフィルムをシールする装置などでは、原反から供給されるウエブ状のフィルムを切断して枚葉のフィルムを作成した後、枚葉フィルムを各容器へと供給している(特許文献1参照)。特許文献1の
図4に示された従来の納豆容器への薄膜供給装置では、一列で搬送される容器の先頭容器にウエブ状フィルム(薄膜F)の先端を挿入し、先頭容器Cの移動とともにウエブ状の薄膜Fを繰り出すことで後続の複数の容器上に薄膜Fを位置させている。そして同状態で薄膜Fをニクロム線で容器ごとに溶断して枚葉フィルムとし、各枚葉フィルムをそのまま容器C内に挿入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の
図4に示された従来の構成では、薄膜Fの先部F1は、先頭(イ)の容器C内の食品に密着して、先頭の容器(C)と一緒に図示左方向へ移動している。したがって、先頭の容器Cが搬送中に回転するなどしてその姿勢が不安定になると、後続の容器C上の薄膜Fがずれたり蛇行したりして後続の容器Cの上に薄膜Fを正確に位置決めできない。また先頭(イ)の容器Cが、姿勢の安定した状態で走行したとしても、風や静電気により、先頭(イ)の容器Cで引かれる薄膜Fが、後続の容器Cの上でずれたりまたは蛇行したりし易いといった問題がある。
【0005】
本願発明は、ウエブ状フィルムを複数の枚葉フィルムに切断するとともに複数の容器に対して正確に位置決めが可能なフィルム切断供給装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルム切断供給装置は、ウエブ状フィルムを搬送するフィルム搬送手段と、前記ウエブ状フィルムの搬送方向に沿って所定の間隔で複数配置されるとともに、前記ウエブ状フィルムを搬送方向と交差する方向に切断するフィルム切断手段と、前記フィルム搬送手段と平行に設けられ、複数の容器を所定ピッチで搬送する容器搬送手段と、前記フィルム切断手段によって切断された複数の枚葉フィルムを各容器へ移載するフィルム移載手段とを備え、前記フィルム搬送手段は、無端搬送部材に取り付けられた複数のグリッパとを備え、前記複数のグリッパの中の第1グリッパにより前記ウエブ状フィルムの下流端を保持するとともに当該第1グリッパの上流に位置する前記複数のグリッパの中の第2グリッパにより前記ウエブ状フィルムを保持した状態で前記フィルム切断手段により前記第1、第2グリッパ間の前記ウエブ状フィルムを切断して枚葉フィルムとした後、これら枚葉フィルムを前記フィルム移載手段によって前記複数の容器に供給することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ウエブ状フィルムを複数の枚葉フィルムに切断するとともに複数の容器に対して正確に位置決めが可能なフィルム切断供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態であるフィルム切断供給装置のフィルム切断時の配置を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図1のフィルム切断供給装置のフィルム供給時の配置を示す模式的な平面図である。
【
図3】Y方向に沿ったフィルム切断供給装置の部分的な断面図である。
【
図4】切断位置、供給位置、切断高さ、退避高さの配置を示す模式的な側面図である。
【
図5】本実施形態のフィルム搬送/切断処理の様子を時系列に示すフィルム搬送装置の模式的な平面図である
【
図6】第1変形例の下流端近傍におけるグリッパとホルダの関係を示すウエブ状フィルムの側方からの拡大側面図である。
【
図7】第2変形例の下流端近傍におけるグリッパとホルダの関係を示すウエブ状フィルムの側方からの拡大側面図である。
【
図8】第1、第2変形例におけるフィルム搬送/切断処理の様子を時系列に示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1、
図2は、本発明の一実施形態であるフィルム切断供給装置の配置を示す模式的な平面図であり、
図3は
図1、2のフィルム切断供給装置の部分的な断面図である。なお、
図1はウエブ状フィルムを切断するときの様子を示し、
図2は切断された枚葉フィルムを各容器に供給したときの様子を示す。また、本実施形態では容器搬送方向をX方向、これに直交する水平方向のうち枚葉フィルム移載方向をY方向、鉛直方向上向きをZ方向として参照する。
【0010】
本実施形態のフィルム切断供給装置10は、フィルム搬送装置(フィルム搬送手段)12により供給されるウエブ状フィルム(被膜)Fをフィルム切断装置(フィルム切断手段)14によりフィルム搬送方向と交差する方向に切断して枚葉フィルムFaとし、フィルム移載装置(フィルム移載手段)16により各枚葉フィルムFaを容器搬送コンベヤ(容器搬送手段)18により搬送される容器Cに供給する装置である。本実施形態において、容器Cは納豆用の容器であり、発酵して納豆になる前の蒸し煮されて納豆菌が付着された大豆が収容(収容物M)されている。大豆自体は水分を含んだ湿った状態にあり、枚葉フィルムFaは、容器C内の納豆菌を均一に発酵させるとともに、出来上がった納豆の乾燥を防止するために容器C内に収容された大豆の上に被せられる。
【0011】
容器Cは矩形の蓋付容器であり、容器搬送コンベヤ18のフィルム搬送装置12とは反対側に蓋Caを展開した状態(開放した状態)で容器搬送コンベヤ18上を1列でX方向に搬送される。容器搬送コンベヤ18は、X方向に延在して容器Cの底面を支持する一対のレール18Aと、上側スパンがレール18Aに沿ってその間に延在する無端チェーン18Bとを備える。無端チェーン18Bには、各容器Cの後縁に係合して容器Cを所定ピッチでレール18A上を搬送させる係合爪18Cが取り付けられる。
【0012】
フィルム搬送装置12は、フィルム供給区間Sにおいて容器搬送コンベヤ18と平行にX方向に沿って配置される。フィルム供給区間Sではフィルム切断装置14により切断された枚葉フィルムFaがフィルム移載装置16によりフィルム搬送装置12から容器搬送コンベヤ18上の複数の容器Cに同時に供給される。図示例では、フィルム供給区間Sにおいて7個の容器Cに同時に枚葉フィルムFaが供給され、容器Cは7個ずつ間欠的に容器搬送コンベヤ18上を搬送される。
【0013】
フィルム搬送装置12は、モータ12Mにより垂直軸(Z方向軸)周りに回転する一対のスプロケット12A、12Bに掛け回される上下一対の無端チェーン(無端搬送部材)12Cを備える。無端チェーン12Cの各スパンは容器搬送コンベヤ18に平行(X方向)に配置され、無端チェーン12Cには外側に水平に延出する3つのグリッパ20が等間隔で設けられる。各グリッパ20は上下方向(Z方向)に開閉可能であり、X方向に沿って容器搬送コンベヤ18との間を水平な姿勢で供給されるウエブ状フィルムFを上下から把持可能である。なお、
図1、
図2に示されるフィルム搬送装置12では、下流側のスプロケット12Aがモータ12Mにより駆動される原動スプロケット、上流側のスプロケット12Bが従動スプロケットであるがこれに限定されるものではない。
【0014】
図3に示すように、各グリッパ20は、固定爪22とその基端部に設けられる水平ピボット軸22Aを中心に回動可能な可動爪24とからなる。可動爪24は図示しないスプリングによってグリッパ20を閉じる方向に常時付勢されている。可動爪24において水平ピボット軸22Aとは反対側の端部にはカムフォロア24Aが設けられ、後述する昇降カム26と係合可能である。なお、昇降カム26は、カム昇降装置26Aにより昇降可能であり、グリッパ20が従動スプロケット12B周りに回転されウエブ状フィルムF側のスパンに移動される際に、ウエブ状フィルムFに干渉することを防止するためグリッパ20を開放しておくための機構である。
【0015】
後述するように、ウエブ状フィルムFは、その先端がフィルム搬送装置12の上流側においてグリッパ20の1つに把持され、無端チェーン12Cの容器搬送コンベヤ18側のスパンに沿ってX方向に引き出される。なお、フィルム搬送装置12の上流側には、ウエブ状フィルムFを所定速度で繰り出す不図示の繰り出し装置が配置される。
【0016】
図1には、ウエブ状フィルムFの先端を把持したグリッパ20がフィルム供給区間Sの下流端まで移動された状態が示される。このとき次のグリッパ20は、開放された状態でフィルム供給区間Sの上流端まで移動され、その後直ぐに閉じられてウエブ状フィルムFの上流部を把持する。またこのとき、残り1つのグリッパ20は、反対側のスパンの略中央に位置し、余剰フィルム回収箱27の上で開放される。
【0017】
フィルム供給区間Sの上流端と下流端に位置する2つのグリッパ20により把持されるウエブ状フィルムFの上方には、ウエブ状フィルムFに沿って、すなわちX方向に沿ってフィルム切断装置14が配置される。一方、ウエブ状フィルムFの下方にはウエブ状フィルムFに沿って、すなわちX方向に沿ってフィルム移載装置16が配置される。
【0018】
フィルム切断装置14には、フィルム供給区間Sの上流端と下流端に位置する2つのグリッパ20により把持されるウエブ状フィルムFをX方向に沿って所定間隔で幅方向(Y方向)に切断し枚葉フィルムFaとするための複数(本実施形態では8枚)の切断刃14Aを備える。切断刃14Aは、各々切断刃昇降装置14Bにより昇降され、後述するようにフィルム移載装置16上においてウエブ状フィルムFを切断する。なお、
図1、
図2においてフィルム切断装置14は省略されている。
【0019】
フィルム移載装置16は、切断刃14Aにより切断された各枚葉フィルムFaを保持するための複数(本実施形態では7台)のホルダ16Aを備える。各ホルダ16Aの上面は、例えば枚葉フィルムFaよりも僅かに幅広(Y方向長さ)の矩形を呈し、フィルム搬送装置12側の側面はスライダー16Bを介して、ウエブ状フィルムFに沿ってX方向に延在するレール28に沿って摺動自在に保持される。
【0020】
レール28の両端は、支持部材28Aを介してナット30に支持され、ナット30は、Y方向に延在するボールネジ32に螺合する。ボールネジ32が各々モータ32Mにより回転されることによりレール28はY方向に並進可能である。
【0021】
各ホルダ16Aの下面には接続部材16Cが取り付けられ、その先端には下向きにカムフォロア16Dが設けられる。各カムフォロア16Dは、ホルダ16Aの下方に配置されるカムプレート34に形成されたカム溝34Aに各々嵌合される。モータ32Mによりボールネジ32が回転されると、ナット30に支持されるレール28に保持される各ホルダ16AはY方向に移動され、このときレール28によりX方向に摺動自在に保持される各ホルダ16Aは、カム溝34Aの軌道に沿って移動するカムフォロア16DによりX方向にも移動されホルダ16A間の間隔が拡縮される。
【0022】
上記動作によりホルダ16Aは、
図1に示されるフィルム搬送装置12のグリッパ20に保持されるウエブ状フィルムFの真下に位置(切断位置P1、
図4参照)から、
図2に示される容器搬送コンベヤ18上の各容器Cの真上の位置(供給位置P2、
図4参照)へとY方向に移動可能である。切断位置P1においてホルダ16Aは密接して整列され、各切断刃14Aは、隣り合うホルダ16A同士が密接する位置、および最下流のホルダ16Aの前縁部(ウエブ状フィルムFの先端を把持するグリッパ20近傍)と最上流のホルダ16Aの後縁部(ウエブ状フィルムFの上流側を把持するグリッパ20近傍)においてウエブ状フィルムFを切断して枚葉フィルムFaとする。
【0023】
一方、容器搬送コンベヤ18上の各容器Cは、互いに所定距離離間した所定搬送ピッチ状態で搬送される。そのため供給位置P2においてホルダ16A同士は容器Cの搬送ピッチに合わせて所定距離離間される。すなわち、ホルダ16Aは、切断位置P1から供給位置P2へとY方向に移動される間に、カムプレート34のカム溝34Aの軌道に沿って容器Cの搬送ピッチまでX方向に互いに離間される。
【0024】
また、フィルム移載装置16において、ボールネジ32やそのモータ32M、カムプレート34は、ベースプレート36の上に装置され、ベースプレート36は昇降装置36AによりZ方向に昇降自在に支持される。すなわち、
図4に示されるように、ホルダ16Aはベースプレート36を昇降することによりフィルム搬送装置12に保持されるウエブ状フィルムFの下面に当接し、フィルムFの切断が行われる切断高さH1と、これよりも僅かに低く、ウエブ状フィルムFの先端を把持しフィルムFを引き出すグリッパ20がホルダ16Aに接触しない退避高さH2との間で昇降可能である。なお、
図4は切断位置P1、供給位置P2、切断高さH1、退避高さH2の配置を示す模式的な側面図である。
【0025】
ウエブ状フィルムFがグリッパ20によりホルダ16Aの上方に引き出される間、ホルダ16Aは切断位置P1において退避高さH2に保持される。ウエブ状フィルムFの先端を把持するグリッパ20がフィルム供給区間Sの下流端に達し、フィルム供給区間Sの上流端のグリッパ20がウエブ状フィルムFの上流側を把持すると、
図4に示されるように、ホルダ16Aが切断高さH1までZ方向に上昇され、ホルダ16Aの上面はウエブ状フィルムFの下面に当接する。ホルダ16Aの上面には不図示の吸引孔が設けられ、ホルダ16A上のウエブ状フィルムFはホルダ16Aに吸着される。
【0026】
この状態で、フィルム切断装置14の各切断刃14Aが下降され、ホルダ16A上のウエブ状フィルムFは枚葉フィルムFaに切断される。切断された枚葉フィルムFaは、各ホルダ16A上に吸着・保持され、ホルダ16Aにより切断位置P1から供給位置P2へとY方向に移動される。
【0027】
供給位置P2に移動された各ホルダ16Aの上方には
図4に示されるようにフィルム移載装置16のフィルム移載ヘッド38が各々配置される。フィルム移載ヘッド38はヘッド昇降装置38Aにより昇降可能であり、例えば下面に吸引機構を備える。ホルダ16Aが供給位置P2へ到達すると下降されてホルダ16A上に載置された枚葉フィルムFaをその下面に吸着・保持する。その後、ホルダ16Aが供給位置P2から切断位置P1へ向けて移動されると、フィルム移載ヘッド38は更に下降されて下方に位置する容器Cに吸着した枚葉フィルムFaを投入する。枚葉フィルムFaが容器C内に収容された煮豆の上に押し被せると吸引が停止されてフィルム移載ヘッド38は元の高さまで上昇される。
【0028】
次に
図5を参照して、本実施形態のフィルム搬送装置12およびフィルム切断装置14によるフィルム搬送/切断処理について説明する。
図5は、フィルム搬送/切断処理の様子を時系列に示すフィルム搬送装置12の模式的な平面図である。なお、
図5では、3つのグリッパ20のそれぞれを20A、20B、20Cとして区別する。
【0029】
図5(a)は、ウエブ状フィルムFの先端がフィルム搬送装置12のグリッパ20Aによりフィルム供給区間Sにおける下流端Aまで引き出され停止された状態(
図1に対応)が示される。このとき、無端チェーン12Cのグリッパ20Aの1つ下流側に配置されるグリッパ20Bはフィルム供給区間Sにおける上流端Bに位置し、ウエブ状フィルムFを上流端Bで把持する。
【0030】
また、無端チェーン12Cのグリッパ20Bの無端チェーン12Cの搬送方向の1つ上流側(グリッパ20Aの1つ下流側)に位置するグリッパ20Cは、ウエブ状フィルムFとは反対側のスパンの中央位置Cに位置する。このときグリッパ20Cは、余剰フィルム回収箱27の真上に位置し、グリッパ20Cが開放されてグリッパ20Cが把持する余剰フィルムFbは、余剰フィルム回収箱27に廃棄される。
【0031】
次に、フィルム切断装置14の各切断刃14Aが、グリッパ20A、20Bに把持される切断位置P1のウエブ状フィルムFに向けて押し下げられ、
図5(b)に示されるようにホルダ16A毎に枚葉フィルムFaに切断される。切断された枚葉フィルムFaは、カム溝34Aの軌道に沿ったホルダ16AのY方向への移動により供給位置P2へと移動される。これにより、
図5(c)に示されるように、グリッパ20Aは下流端Aにおいて余剰フィルムFbを把持し、グリッパ20Bは上流端Bにおいて、ウエブ状フィルムFの新たな先端を把持する。
【0032】
その後、各ホルダ16Aがカム溝34Aに沿って供給位置P2から切断位置P1へと戻されるとともに、切断高さH1から退避高さH2へと下降される(
図4参照)。そして原動スプロケット12Aにより無端チェーン12Cが走行され、
図5(d)に示されるように、下流端Aのグリッパ20Aは余剰フィルムFbを把持したまま中央位置Cへと移動される。また、上流端Bのグリッパ20Bはウエブ状フィルムFの新な先端を把持したまま下流端Aに向けて移動され、中央位置Cのグリッパ20Cは閉じられた後、上流端Bに向けて移動される。なお、ホルダ16Aは退避高さH2まで下降されているため、グリッパ20Bの移動における固定爪22のホルダ16Aへの接触が防止される。
【0033】
また、グリッパ20Cのカムフォロア24Aは、従動スプロケット12Bを介してウエブ状フィルムF側のスパンへ到達する手前で、カム昇降装置26Aにより下降された昇降カム26(
図3参照)と係合する。カムフォロア24Aが昇降カム26により押し下げられることにより、グリッパ20Cの可動爪24は上向きに回動されグリッパ20Cは開放される。すなわち、グリッパ20Cの固定爪22はウエブ状フィルムFの下面に沿って移動され、可動爪24はウエブ状フィルムFの上方を移動される。これによりグリッパ20Cが従動スプロケット12Bから上流端Bへと回り込む際に、グリッパ20Cがウエブ状フィルムFに接触することが防止される。
【0034】
図5(e)には、ウエブ状フィルムFの新たな先端を把持するグリッパ20Bが下流端Aに到達するとともに、グリッパ20Cが上流端B、余剰フィルムFbを把持したグリッパ20Aが中央位置Cに到達した状態が示される。
【0035】
グリッパ20Bが下流端Aに到達し、グリッパ20Cが上流端Bに到達すると、ホルダ16Aが退避高さH2から切断高さH2へと上昇され、各ホルダ16Aの上面がウエブ状フィルムFの下面に当接する。
【0036】
また、グリッパ20Cが上流端Bに到達すると、カム昇降装置26Aにより昇降カム26が元の位置まで上昇され、可動爪24は不図示の付勢部材により固定爪22に向けて閉じられる。これにより上流端Bにおいてウエブ状フィルムFがグリッパ20Cにより把持される。
【0037】
また、中央位置Cに到達したグリッパ20Aのカムフォロア24Aは押し下げられ、グリッパ20Aが把持していた余剰フィルムFbが余剰フィルム回収箱27に廃棄される。
図5(a)~
図5(e)の動作が繰り返されることにより、ウエブ状フィルムFは、順次枚葉フィルムFaに裁断され、容器搬送コンベヤ18により搬送される容器Cへと供給される。
【0038】
以上のように、本実施形態のフィルム切断供給装置によれば、フィルム搬送装置により供給されるウエブ状フィルムをフィルム切断装置により複数の枚葉フィルムに切断した後、フィルム移載装置により容器搬送コンベヤ上の各容器の上に移動することにより、切断された枚葉フィルムを複数の容器に対して正確に位置決めすることができる。
【0039】
次に
図6~
図8を参照して、本実施形態のフィルム切断供給装置10の変形例について説明する。上述した実施形態では、ウエブ状フィルムFの先端を把持するグリッパ20により余剰フィルムFbが発生したが、変形例のフィルム切断供給装置では、余剰フィルムFbの発生を防止する。
【0040】
実施形態では、最下流に位置する切断刃14Aがウエブ状フィルムFの先端を把持するグリッパ20Aよりも上流側でウエブ状フィルムFを切断するため、当該グリッパ20Aが把持する部分は余剰フィルムFbとなった。そのため変形例では、余剰フィルムFbが発生しないように、最下流に位置する切断刃を無くし、ウエブ状フィルムFの搬送長さは枚葉フィルムFaの7枚分とし、ウエブ状フィルムFの先端を把持するグリッパ20Aの1つ上流側に位置するとともに、ウエブ状フィルムFの上流側を把持するグリッパ20Bの下流側直近でウエブ状フィルムFを切断する。そうすることにより、グリッパ20Bが把持する部分は次に切断される最下流の枚葉フィルムFaの下流端に位置することになる。
【0041】
なお、変形例の構成は、フィルム搬送装置12のグリッパやフィルム移載装置16のホルダに係る構成以外、上述した実施形態と同様であり同様の構成に関しては同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0042】
図6、
図7は、それぞれ第1、第2変形例の下流端A近傍におけるグリッパとホルダの関係を示すウエブ状フィルムFの側方からの拡大側面図である。
【0043】
図6の第1変形例のグリッパには、吸引保持部材40が用いられる。吸引保持部材40は、ウエブ状フィルムFの幅方向に延出する部材(例えばグリッパ20と略同じ長さを有する)であり、その中心に沿って吸着孔41が多数設けられる。なお、吸引保持部材40の上面には、バキューム源に接続されるホース43が接続される。すなわち、ウエブ状フィルムFの先端は、吸引保持部材40の下面に吸着・保持される。ウエブ状フィルムF切断時、吸引保持部材40は最下流のホルダ16Aの下流側端部に沿ってホルダ16A上に押し当てられる。
【0044】
図7に示される第2変形例では、グリッパ20は実施形態と同様の構造を備えるが、最下流のホルダ42が実施形態と異なる。なお、最下流のホルダ42以外のホルダ16Aは、実施形態や第1変形例と同様である。第2変形例におけるグリッパ20は、ウエブ状フィルムF切断時、最下流のホルダ42の下流側端部に沿ってホルダ42上に押し当てられる。そのためホルダ42がその他のホルダ16Aと同様の構成であると、固定爪22の下面がホルダ42の上面に接触し、ウエブ状フィルムFは固定爪22の厚さ分、ホルダ16Aやホルダ42の上面よりも上方位置に浮いた状態となり切断刃14Aによる切断が適切に行えない。そのため第2変形例のホルダ42の下流端は、グリッパ20の固定爪22が接触しないようにホルダ42の幅方向に沿って切り取られ、段部42Aとして構成される。
【0045】
第1、第2変形例では、吸引保持部材(グリッパ)40やグリッパ20が把持する部分が最下流の枚葉フィルムFaに含まれるため、余剰フィルムFbが発生しない。
図8は、第1、第2変形例におけるフィルム搬送/切断処理の様子を時系列に示す模式的な平面図であり、実施形態の
図5に対応する。
【0046】
図8(a)~
図8(e)に示されるように、第1、第2変形例では中央位置Cに余剰フィルム回収箱27は配置されず、グリッパによる余剰フィルムFbの廃棄処理は行われない。なお、その他の処理は、
図5に示される実施形態と同様である。
【0047】
以上のように、第1、第2変形例においても実施形態と同様の効果が得られる。また、第1、第2変形例では、余剰フィルムの発生を防止できる。
【0048】
なお、本実施形態の枚葉フィルムは容器内に充填されたが、容器の開口部をシールするために用いられてもよい。また、本実施形態においてグリッパの数は、3つであったが、グリッパの数は4つ以上であってもよい。また、本実施形態では、容器Cの停止時に枚葉フィルムFaを投入していたが、フィルム移載ヘッド38を容器Cの搬送方向に移動可能とし、連続搬送される容器Cに追従移動させながら枚葉フィルムFaを容器Cに投入することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 フィルム切断供給装置
12 フィルム搬送装置(フィルム搬送手段)
12C 無端チェーン(無端搬送部材)
14 フィルム切断装置(フィルム切断手段)
16 フィルム移載装置(フィルム移載手段)
18 容器搬送コンベヤ(容器搬送手段)
20、40 グリッパ
C 容器
F ウエブ状フィルム
Fa 枚葉フィルム
Fb 余剰フィルム