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  • 特開-部品供給装置 図1
  • 特開-部品供給装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166670
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
B65G47/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082912
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA24
3F080BA01
3F080BA02
3F080BC01
3F080CA01
3F080CE11
(57)【要約】
【課題】本発明は、部品がすくい溝に噛み込むことを防止可能な部品供給装置を提供する。
【解決手段】
頭部S1および軸部S2を有する棒状部品Sを多数貯留可能なホッパ20と、前記ホッパ20の内部で昇降して前記棒状部品Sをすくい上げるすくい板30と、前記すくい板30と連続し棒状部品を受け取り可能な搬送手段40とを有し、前記すくい板30の上面には、前記搬送手段に向かい伸びるすくい溝31が形成され、前記すくい溝31は、前記棒状部品の軸部S2より若干広い溝幅かつ、棒状部品の軸部S2の長さ寸法に対して短く構成されていることを特徴とする部品供給装置10による。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部および軸部を有する棒状部品を多数貯留可能なホッパと、前記ホッパの内部で昇降して前記棒状部品をすくい上げるすくい板と、前記すくい板と連続し棒状部品を受け取り可能な搬送手段とを有し、
前記すくい板の上面には、前記搬送手段に向かい伸びるすくい溝が形成されている部品供給装置において、
前記すくい溝は、前記棒状部品の軸部より若干広い溝幅かつ、棒状部品の軸部の長さ寸法に対して短く構成されていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記すくい板の上面には、当該すくい板上に位置する棒状部品をすくい溝に案内する集積部と、前記集積部と搬送手段との間に位置しすくい溝から外れている棒状部品をすくい板上から排除する選別部とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記集積部は、前記すくい溝の上縁部からすくい板の側面に向かうにつれて徐々に高くなるよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記選別部は、前記すくい溝の上縁部からすくい板の側面に向かうにつれて徐々に低くなるよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記選別部が前記棒状部品の軸方向寸法より長く構成されていることを特徴とする請求項2に記載の部品供給装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ等の棒状部品を供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ等の棒状部品を下流工程に供給する部品供給装置として特許文献1に示されたものが知られている。この部品供給装置は、内部にねじを多数貯留可能なホッパと、このホッパ内で昇降するすくい板と、このすくい板と連続可能なシュートレールを有している。なお、前記すくい板の上面には、ねじの脚部と遊嵌可能なすくい溝が形成されており、ねじを吊下可能に構成されている。このため、すくい板は、下降した際にホッパ内のねじをすくい溝に吊下するとともに、上昇した際に前記ねじをすくい溝に沿って滑落させてシュートレールまで案内できる。この結果、部品供給装置は、ホッパ内部に貯留されているねじを整列した状態でシュートレールおよびシュートレールに連続する下流工程に供給可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-060924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の部品供給装置は、脚部が細長いねじや、ねじ山のピッチが広いねじ等を供給する際、前記ねじのねじ山がすくい溝の開口部や隣接するねじに引っかかり、ねじがすくい溝に噛み込んだ状態で固着することがあった。このようにすくい溝にねじが噛み込み固着すると、供給不足が生じたり、すくい板やねじが破損したりする等の問題が生じる。
【0005】
そのため、本発明は、ねじがすくい溝に噛み込むことを防止可能な部品供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、頭部および軸部を有する棒状部品を多数貯留可能なホッパと、前記ホッパの内部で昇降して前記棒状部品をすくい上げるすくい板と、前記すくい板と連続し棒状部品を受け取り可能な搬送手段とを有し、前記すくい板の上面には、前記搬送手段に向かい伸びるすくい溝が形成されている部品供給装置において、前記すくい溝は、前記棒状部品の軸部より若干広い溝幅かつ、棒状部品の軸部の長さ寸法に対して短く構成されていることを特徴とする。なお、前記すくい板の上面には、当該すくい板上に位置する棒状部品をすくい溝に案内する集積部と、前記集積部と搬送手段との間に位置しすくい溝から外れている棒状部品をすくい板上から排除する選別部とが形成されていることが好ましい。また、前記集積部は、前記すくい溝の上縁部からすくい板の側面に向かうにつれて徐々に高くなるよう構成されていることが好ましい。さらに前記選別部は、前記すくい溝の上縁部からすくい板の側面に向かうにつれて徐々に低くなるよう構成されていることが好ましい。しかも、前記選別部が前記棒状部品の軸方向寸法より長く構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、すくい溝が浅く、棒状部品の軸部が噛み込み可能な深さを有さないため、噛み込みが発生しない。これにより、供給不良が発生しない等の利点を有する。なお、すくい板上に位置する棒状部品をすくい溝に案内する集積部と、すくい溝から外れている棒状部品をすくい板上から排除する選別部とが形成されていることにより、ねじの供給速度が低下しない等等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る部品供給装置の構造を示す右側面図である。
図2】(a)は本発明に係る部品供給装置の構造を示す要部拡大右側面図であり、(b)は(a)のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1および図2において10は、頭部S1および軸部S2を有する棒状部品の一例であるねじSを締結装置等の下流工程に整列搬送する部品供給装置である。この部品供給装置10は、ねじSを多数貯留可能に構成されたホッパ20と、このホッパ20内のねじSをすくい上げるすくい板30と、このすくい板30に連続するシュートレール40とを有している。
【0010】
前記ホッパ20は、部品供給装置10のフレーム11に固定され、上方に開口する中空漏斗状部材である。このホッパ20の底部には、前記すくい板30が通過可能な矩形孔21が形成されており、この矩形孔21の前後は、後述するすくい板30の揺動軸35を中心とした弧状面を有する仕切り板22,23が固定されており、前側の仕切り板22上には、若干の隙間を空けて前記シュートレール40の後端部が配置されている。なお、シュートレール40の後端部にも前側の仕切り板22と同様に揺動軸35を中心とした弧状面が設けられている。
【0011】
前記すくい板30は、フレーム11に固定された揺動軸35を中心に揺動する旋回アーム36の先端に固定されており、常時前記ホッパ20内に介在するよう設けられている。このすくい板30は、前記揺動軸35を中心とした略扇形状に構成されており、その前後面は、それぞれ前記仕切り板22、23とほぼ同じ曲率に構成されている。このため、旋回アーム36が揺動すると、図1に示すようにすくい板30は、前記矩形孔21を通り、ホッパ20の内部で上下に往復揺動することとなる。
【0012】
また、すくい板30の上面には、図2の(a)に示すように前後方向に貫通形成されたすくい溝31と、このすくい溝31の上縁部からすくい溝31の側方縁部に向かい伸びる選別部32および集積部33が形成されている。前記すくい溝31は、ねじSの軸部S2の外径より若干大きい溝幅を有する矩形溝であり、その深さ寸法は、軸部S2の長さ寸法より短く、本実施形態においては軸部S2の外径とほぼ同寸に構成されている。このため、ねじSは、軸部S2がすくい溝31の底面に当接し、すくい板30の上面に対して傾斜した状態に保持される。また、前記選別部32は、前記すくい溝31からすくい板30の側面に向かうに連れて徐々に下方に向かうテーパ形状の斜面であり、すくい板30の前側上縁部から前記ねじSの軸方向寸法より長い範囲に渡って形成されている。一方、前記集積部33は、前記選別部32の後方に形成されたすくい溝31からすくい板30の側面に向かうに連れて徐々に上方に向かう逆テーパ形状の斜面であり、その上端部は、前記ねじSの頭部S1外径より広く構成されている。これら構造により、すくい板30は、図2の(b)に示すように軸部S2がすくい溝31の底面に当接し、頭部S1がすくい溝31の上縁部あるいは前記集積部33の斜面に当接した傾斜状態のねじSを保持し、当該ねじSをすくい溝31に沿ってシュートレール40まで案内できる。
【0013】
なお、前記フレーム11には、前記旋回アーム36を揺動させる揺動機構12が設けられている。この揺動機構12は回転駆動源の一例であるモータ(図示せず)の駆動を受けて回転する主動ローラ13と、この主動ローラ13とベルト14を介して連動する従動ローラ15を有しており、従動ローラ15には、前記旋回アーム36と係合するカム機構(図示せず)が連結されている。このように前記モータの回転駆動を受けた主動ローラ13および従動ローラ15が回転することにより、前記カム機構と係合する旋回アーム36が揺動してすくい板30を昇降させる。なお、すくい板30は、図1に示すようにその上面が前記ホッパ20の底部とほぼ同じ高さ(以下、最下降高さという)および図1の二点鎖線に示すように上面の前側端部がシュートレール40の上面よりも僅かに上方に位置する高さ(以下、最上昇高さという)との間で往復するように構成されている。これにより、前記ホッパ20内に貯留されたねじSがすくい板30上に滑落できるとともに、前記最上昇高さに達したすくい溝31に保持されたねじSがシュートレール40上に滑落可能となる。
【0014】
前記シュートレール40は、その後端部が前記ホッパ20に侵入する2本の板材から構成されており、これら板材は、前記頭部S1の外径より狭く、なおかつ軸部S2の外径より若干広い所定の隙間を開けて設置されている。このため、シュートレール40は、その上面に頭部S1の座面を当接させた状態でねじSを吊下できる。このシュートレール40は、振動駆動源41に保持されており、この振動駆動源41の振動により吊り下げ支持したねじSを前方に搬送するように構成されている。また、シュートレール40の上方には、ねじSの頭部S1と接触しない程度の隙間を開けて押え板が設けられており、ねじSがシュートレール40から外れないよう構成されている。さらに、前記シュートレール40の後端部の上方には、シュートレール40上に乗りあげたねじSをシュートレール40からホッパ20側に排除する排除ユニット42が設けられている。この排除ユニット42は、前記従動ローラ15が回転した際、所定の支軸43を中心に揺動する揺動ロッド44と、この揺動ロッド44の駆動を受けて前後方向に往復移動するスライドブロック45とから構成されている。前記スライドブロック45は、前記すくい板30が最上昇高さに位置する際、そのストロークの最前部に位置するとともに前記すくい板30が最下降高さに位置する際、最後部に位置するよう構成されており、前記すくい板30の昇降と同じ周期で駆動している。また、前記スライドブロック45の後端部には、前後方向一体に往復可能な排除部材46が設けられている。この排除部材46は、シュートレール40に対して摺動可能に構成されており、その下面には、シュートレール40に吊下された状態のねじSの頭部S1より若干大きく構成された通過溝が形成されている。このため、スライドブロック45および排除部材46が前後方向に往復移動すると、シュートレール40上に乗りあげたねじSは排除部材46によってホッパ20側に押し戻される一方、シュートレール40に吊下された状態のねじSは、頭部S1が通過溝を通過可能なため、排除部材46と干渉することなく前方に搬送される。なお、このシュートレール40の前端部には、シュートレール40に吊下されたねじSを1本ずつ下流行程に供給可能な供給ユニット47が連続している。
【0015】
次に、上記のように構成された部品供給装置10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると、前記揺動機構12のモータが駆動する。これにより、前記主動ローラ13および従動ローラ15が回転駆動して、前記すくい板30を揺動させる。これにより、すくい板30が最下降高さまで下降する課程で前記ホッパ20内に貯留されたねじSがすくい板30上に転落し、これら転落したねじSの一部が前記すくい溝31に保持される。この時、すくい溝31上方に集積部33が形成されており、ねじSの頭部S1および軸部S2が当該集積部33の斜面に沿って滑落可能なため、ねじSがすくい溝31に嵌まり易くなり、供給速度が向上する。
【0016】
上述のように最下降高さまで下降後、すくい板30は、従動ローラ15の回転に従い、上昇駆動する。これにより、すくい板30が最上昇高さ付近に到達すると、すくい板30の上面がシュートレール40側に向かい傾斜するため、前記すくい溝31に保持されたねじSは、すくい溝31に沿ってシュートレール40に向かい滑落する。
【0017】
前記すくい板30の昇降途中において、すくい溝31に嵌まっていないねじS(以下、不整列ねじSという)は、すくい板30上から脱落する。この時、すくい溝31がねじSの軸部S2の長さ寸法より浅く構成されているため、軸部S2先端がすくい溝31に入った状態のねじSであっても横方向の力が付与されると即座に脱落する。このため、従来の部品供給装置10のようにねじSがすくい溝31に噛み込んだ状態にならない。また、すくい板30が最上昇高さ付近に到達すると、すくい板30上のねじSは、シュートレール40に向かい滑落する。この時、前記選別部32がねじSの長さ駿府以上に構成されているため、その滑落途中にねじSが選別部32のみに接する時間が存在することとなる。これにより、すくい板30上に残留している不整列ねじSは、当該選別部32を通過する際にその斜面に沿って側方側に付勢されてすくい板30上から脱落する。この結果、不整列ねじSがシュートレール40まで供給されることがほとんどなく、不整列ねじSの脚部先端がシュートレール40の隙間に後端側から進入して、シュートレール40内で噛み込むことも防止できる。
【0018】
上述のようにすくい板30からシュートレール40上に滑落したねじSは、すくい溝31に連続するシュートレール40に吊下される。この時、シュートレール40上には、排除ユニット42が設けられているため、万一不整列ねじSがシュートレール40まで到達した場合でも、前記当該不整列ねじSをシュートレール40上から排除できる。その後、シュートレール40に吊下されたねじSは、前方に位置する供給ユニット47まで振動搬送され、供給ユニット47から下流工程に一本ずつ分離供給される。
【0019】
なお、本発明に係る部品供給装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記選別部32および集積部33は、傾斜面からなるテーパ形状に限定されず、曲面や段付き形状等、その他の形状から構成されても何ら問題ない。また、前記すくい溝31は、凹溝に限定されず、集積部33に連続するV字溝や底面が前記ねじSの軸部S2とより大きい曲率に構成された弧状面を有するU字溝等、その他の形状であっても何ら問題ない。さらに、前記集積部33および選別部32は、それぞれねじSの軸方向寸法以上の長さを有するように構成されており、すくい板30上のねじSがいずれか一方にのみ接触する瞬間があるよう構成されている。しかも、前記シュートレール40は、ねじSを前方に搬送する搬送手段の一例であり、すくい板30からねじSを受け取り可能であれば、その他の構造であっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0020】
10 … 部品供給装置
11 … フレーム
12 … 揺動機構
20 … ホッパ
30 … すくい板
31 … すくい溝
32 … 選別部
33 … 集積部
35 … 揺動軸
36 … 旋回アーム
40 … シュートレール
41 … 振動駆動源
42 … 排除ユニット
47 … 供給ユニット
S … 棒状部品
S1 … 頭部
S2 … 軸部

図1
図2