(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166685
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】画像形成システム及びシート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/60 20060101AFI20241122BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20241122BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20241122BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B65H29/60 B
B65H29/62 Z
B65H43/00
B65H29/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082965
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田岡 桂太朗
【テーマコード(参考)】
3F048
3F053
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048BA06
3F048BA08
3F048BB02
3F048CA01
3F048CA02
3F048EA11
3F048EB28
3F048EB29
3F053BA03
3F053BA12
3F053BA18
3F053EA01
3F053EB04
3F053EC02
3F053ED12
3F053ED19
3F053ED31
3F053LA01
3F053LB05
3F053LB06
(57)【要約】
【課題】高剛度のシートであっても画像品質の低下を抑制する。
【解決手段】プリントモジュールによりシートに形成された画像を読み取る検品モジュール800と、検品モジュール800で画像を読み取られたシートを搬送する反転モジュール600と備える。反転モジュール600は、湾曲した形状を有する湾曲経路61と、湾曲経路61の第1位置と第2位置と、を連結し、かつ、湾曲経路61よりも湾曲が小さい形状を有する水平搬送路620と、第1位置において搬送されるシートの搬送先を湾曲経路61と水平搬送路620とに切り替える入口切替部602と、湾曲経路61から分岐し、かつ、湾曲経路61から搬送されるシートを引き込んでシートの表裏を反転する第2反転部640と、を有する。制御部は、入口切替部602により搬送先を湾曲経路61にする第1動作と、水平搬送路620にする第2動作を実行可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によりシートに形成された画像を読み取る読取装置と、
前記読取装置で画像を読み取られたシートを搬送する搬送装置と、
前記読取装置で読み取られた画像が正常画像である場合に、該正常画像が形成されたシートを前記搬送装置を経て排出する第1排出部と、
前記読取装置で読み取られた画像が異常画像である場合に、該異常画像が形成されたシートを前記搬送装置を経て排出する第2排出部と、
シートの排出先を前記第1排出部と前記第2排出部とに切り替える排出切替部と、
前記読取装置と前記搬送装置と前記排出切替部とを制御する制御部と、を備え、
前記搬送装置は、
湾曲した形状を有する第1搬送経路と、
前記第1搬送経路の第1位置と、前記第1位置よりシート搬送方向の下流に設けられた第2位置と、を連結し、かつ、前記第1搬送経路よりも湾曲が小さい形状を有する第2搬送経路と、
前記第1位置において搬送されるシートの搬送先を前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とに切り替える経路切替部と、
前記第1搬送経路から分岐し、かつ、前記第1搬送経路から搬送されるシートを引き込んでシートの表裏を反転する反転経路と、を有し、
前記制御部は、前記経路切替部により前記搬送先を前記第1搬送経路にする第1動作と、前記経路切替部により前記搬送先を前記第2搬送経路にする第2動作と、を実行可能である、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記読取装置がシートに形成された画像を読み取った場合に、
シートの剛性が第1の剛性であるときは前記第1動作を実行し、
シートの剛性が前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性であるときは前記第2動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記読取装置がシートに形成された画像を読み取った場合に、
シートの坪量が第1の坪量であるときは前記第1動作を実行し、
シートの坪量が前記第1の坪量よりも大きい第2の坪量であるときは前記第2動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記読取装置がシートに形成された画像を読み取った場合に、
シートの厚みが第1の厚みであるときは前記第1動作を実行し、
シートの厚みが前記第1の厚みよりも厚い第2の厚みであるときは前記第2動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2動作の実行時のシート搬送速度を、前記読取装置で画像を読み取られたシートが前記排出切替部に到達するまでに前記画像が正常画像であるか異常画像であるかを判断できるシート搬送速度にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2動作の実行時のシート搬送速度を、前記第1位置から前記第2位置までの搬送時間が前記第1動作の実行時における前記第1位置から前記第2位置までの搬送時間以上になるシート搬送速度にする、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記搬送装置は、第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材に対向して配置され、前記第1ガイド部材との間に前記第2搬送経路が設けられた第2ガイド部材とを有し、
前記第2搬送経路は、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材に当たることなく前記第1位置と前記第2位置とを連結する仮想平面を配置可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記搬送装置の下流に接続され、かつ、前記第1排出部と前記第2排出部と前記排出切替部とが配置された排出装置を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記搬送装置は、前記第2排出部と前記排出切替部とが配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記読取装置がシートに形成された画像を読み取らない場合に、前記第2動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記第2搬送経路は、水平に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項12】
画像形成されたシートの画像が読み取られたシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記搬送部は、
湾曲した形状を有する第1搬送経路と、
前記第1搬送経路の第1位置と、前記第1位置よりシート搬送方向の下流に設けられた第2位置と、を連結し、かつ、前記第1搬送経路よりも湾曲が小さい形状を有する第2搬送経路と、
前記第1位置において搬送されるシートの搬送先を前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とに切り替える経路切替部と、
前記第1搬送経路から分岐し、かつ、前記第1搬送経路から搬送されるシートを引き込んでシートの表裏を反転する反転経路と、を有し、
前記制御部は、前記経路切替部により前記搬送先を前記第1搬送経路にする第1動作と、前記経路切替部により前記搬送先を前記第2搬送経路にする第2動作と、を実行可能である、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成システムと、画像形成システムにおいてシートを搬送するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成システムにおいて、画像形成されたシートの画像を読み取って元の画像情報と比較することにより、シートの画像形成状態の基準を満たしているか否かを判定する検品装置が接続されたものが知られている。また、この画像形成システムにおいて、検品装置の下流に、排出トレイとパージトレイとを有する排出スタッカを接続したものが知られている(特許文献1参照)。この画像形成システムでは、検品装置において画像形成条件の基準を満たしていれば合格品として排出スタッカの排出トレイへ排出し、満たしていなければ不合格品としてパージトレイへ排出させる検品動作(以下、パージ検品という)を実施する。
【0003】
排出スタッカは、検品装置から排出されたシートを排出トレイに搬送する搬送経路と、搬送経路から分岐してシートをパージトレイに搬送するパージ経路と、搬送経路とパージ経路とを切り替える切替部とを有している。また、この排出スタッカは、搬送経路から分岐してシートの表裏を反転させる反転経路を有している。これにより、シートが搬送経路のみを経て排出トレイに排出された場合はシートの印字面を上向き(フェイスアップ)として排出し、搬送経路から反転経路を経て排出トレイに排出された場合はシートの印字面を下向き(フェイスダウン)として排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、検品装置で読み込んだ画像が合格品か不合格品かを判定するためには、CPUの処理時間が必要となる。このため、使用するシートの搬送方向のサイズとシート搬送速度に応じて、検品装置から排出トレイとパージトレイへの切替部までの搬送距離が必要となる。シートのサイズが大きい場合や、搬送速度が比較的速い場合には、判定に必要な搬送距離が長くなってしまう。このため、装置の大型化を抑制するために、排出スタッカの搬入口から切替部までの搬送経路を、直線状ではなく大きく迂回した湾曲形状にすることが一般的である。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の画像形成システムでは、排出スタッカにおいて搬送経路が大きく湾曲しているので、例えば、高剛度のシートを搬送する場合にガイド部材などに強く摺擦されてしまい、画像品質を低下させる虞がある。
【0007】
本発明は、高剛度のシートであっても画像品質の低下を抑制できる画像形成システム及びシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によりシートに形成された画像を読み取る読取装置と、前記読取装置で画像を読み取られたシートを搬送する搬送装置と、前記読取装置で読み取られた画像が正常画像である場合に、該正常画像が形成されたシートを前記搬送装置を経て排出する第1排出部と、前記読取装置で読み取られた画像が異常画像である場合に、該異常画像が形成されたシートを前記搬送装置を経て排出する第2排出部と、シートの排出先を前記第1排出部と前記第2排出部とに切り替える排出切替部と、前記読取装置と前記搬送装置と前記排出切替部とを制御する制御部と、を備え、前記搬送装置は、湾曲した形状を有する第1搬送経路と、前記第1搬送経路の第1位置と、前記第1位置よりシート搬送方向の下流に設けられた第2位置と、を連結し、かつ、前記第1搬送経路よりも湾曲が小さい形状を有する第2搬送経路と、前記第1位置において搬送されるシートの搬送先を前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とに切り替える経路切替部と、前記第1搬送経路から分岐し、かつ、前記第1搬送経路から搬送されるシートを引き込んでシートの表裏を反転する反転経路と、を有し、前記制御部は、前記経路切替部により前記搬送先を前記第1搬送経路にする第1動作と、前記経路切替部により前記搬送先を前記第2搬送経路にする第2動作と、を実行可能である、ことを特徴とする画像形成システムである。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、画像形成されたシートの画像が読み取られたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記搬送部は、湾曲した形状を有する第1搬送経路と、前記第1搬送経路の第1位置と、前記第1位置よりシート搬送方向の下流に設けられた第2位置と、を連結し、かつ、前記第1搬送経路よりも湾曲が小さい形状を有する第2搬送経路と、前記第1位置において搬送されるシートの搬送先を前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とに切り替える経路切替部と、前記第1搬送経路から分岐し、かつ、前記第1搬送経路から搬送されるシートを引き込んでシートの表裏を反転する反転経路と、を有し、前記制御部は、前記経路切替部により前記搬送先を前記第1搬送経路にする第1動作と、前記経路切替部により前記搬送先を前記第2搬送経路にする第2動作と、を実行可能である、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高剛度のシートであっても画像品質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成システムを示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る検品モジュール、反転モジュール、排出モジュールを示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る反転モジュールにおける処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係る画像形成システムにおいて、2台の排出モジュールを連結した状態を示す断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るパージ検品における処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態に係る検品モジュール、反転モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1~
図5を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、画像形成システムをインクジェット記録システム1に適用した場合について説明している。
図1は、インクジェット記録システム1の概略構成の一例を示す模式図である。このインクジェット記録システム1は、反応液とインクとの2液を用いてシートSにインク像を形成する記録物を製造する枚葉式のインクジェット記録システムである。本実施形態のインクジェット記録システム1は、画像形成装置及び複数のシート搬送装置を組み合わせて成るものであり、ここではキャスタ又はアジャスタといった足回り部品によって自立可能で筐体的に独立している装置をモジュールと表記して説明する。
【0013】
インクジェット記録システム1は、給送モジュール100、プリントモジュール200、乾燥モジュール300、定着モジュール400、冷却モジュール500、検品モジュール800、反転モジュール600、排出モジュール700を備えている。
図1に示すように、給送モジュール100から供給されるカット紙状のシートSは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出モジュール700で排出される。
【0014】
シート給送装置の一例である給送モジュール100は、シートSを収容する3つの収納庫111,112,113を有している。各収納庫111,112,113は、装置正面側へ引き出し可能な構成になっている。シートSは、各収納庫111,112,113において不図示の分離ベルト及び搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール200へ搬送される。なお、収納庫111,112,113は3つであることに限定はされず、1つや2つ、あるいは4つ以上を有する構成であってもよい。
【0015】
シートに画像を形成する画像形成装置の一例であるプリントモジュール200は、不図示の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230を有している。給送モジュール100から搬送されたシートSは、作像前レジ補正部によりシートの傾きや位置が補正されプリントベルトユニット220へ搬送される。記録部230は、搬送経路に対し、プリントベルトユニット220と対向する位置に配置されている。記録部230は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッドによりシートS上に記録処理(印字)を行って画像を形成するシート処理部である。記録ヘッドは、搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有している。なお、色数及び記録ヘッドの数は5つには限定されない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。記録部230で印字されたシートSは、プリントベルトユニット220により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスを確保しつつ搬送される。記録部230で印字されたシートSは、記録部のシート搬送方向下流側に配置された不図示のインラインスキャナによりシートSに形成された画像のズレや色濃度が検出される。検出結果は印刷画像の補正に利用される。
【0016】
乾燥モジュール300は、デカップリング部320、乾燥ベルトユニット330、温風吹付部340を有しており、プリントモジュール200の記録部230でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクの定着性を高める。プリントモジュール200の記録部230で印字されたシートSは、乾燥モジュール300のシート搬送方向上流側に配置されたデカップリング部320に搬送される。デカップリング部320では、上方から風圧とベルトの摩擦でシートSを搬送することができ、ベルト上のシートSを弱く保持して搬送することで、インク像を形成するプリントベルトユニット220上のシートSのズレを防ぐ。乾燥ベルトユニット330はベルトの下方に、温風吹付部340はベルトの上方に、ベルトを挟んで対向して配置されている。デカップリング部320から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット330にて吸着搬送されると同時に、温風吹付部340から熱風を受けてインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートSの表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0017】
定着モジュール400は、定着ベルトユニット410を有している。定着ベルトユニット410は上ベルトユニットと下ベルトユニットとを有しており、乾燥モジュール300から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートSに定着させることができる。
【0018】
冷却モジュール500は、冷却部510を複数有しており、定着モジュール400から搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部510は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートSに当てることにより、シートSを冷却するように構成されている。冷却部510は、搬送経路に対し上側と下側の両方に配置され、シートSを両面から冷却する。
【0019】
また、冷却モジュール500は搬送経路切替部を有しており、シートSを検品モジュール800に搬送する場合と、両面印刷時に使用する両面搬送経路に搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り替えることができる。両面印刷時には、シートSは冷却モジュール500の下部の搬送経路に搬送される。この場合、冷却モジュール500から、定着モジュール400、乾燥モジュール300、プリントモジュール200、給送モジュール100の両面搬送経路に沿って更に搬送される。定着モジュール400の両面搬送経路には、シートSの表裏を反転させる第1反転部420が設けられている。そして、再度、給送モジュール100から、プリントモジュール200の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230へ搬送され、記録部230で印字される。
【0020】
検品モジュール800は、冷却モジュール500の下流に接続されている。検品モジュール800は、読取装置の一例であり、プリントモジュール200によりシートに形成された画像を読み取る。検品モジュール800は、シートの上面に印字された画像を読み取る読取部810と、下面に印字された画像を読み取る読取部820とを有している。読取部810,820は、シートの表面と裏面を1つのシート搬送路を1度通過させるだけでそれぞれ読み取り可能としている。
【0021】
反転モジュール600は、搬送装置及びシート搬送装置の一例であり、検品モジュール800で画像を読み取られたシートを搬送する。反転モジュール600は、画像形成されたシートの画像が読み取られたシートを搬送する搬送部60を有している。反転モジュール600は第2反転部640を有し、搬送されるシートSの表裏を反転させることができ、排出されるシートSの表裏向きを変更することができる。排出モジュール700は、トップトレイ720とスタックトレイ750とを有し、反転モジュール600から搬送されたシートSを整列積載する。本実施形態のインクジェット記録システム1では、給送モジュール100から排出モジュール700まで、1面目の画像形成工程だけであれば略水平のみ又は緩やかな屈曲搬送路のみで搬送が可能となっている。
【0022】
制御部10は、CPUと、RAMと、ROMとを有し、インクジェット記録システム1の各部を制御する。CPUは、各センサ類から入力される検出信号やROMに格納される情報に基づいて、所望のタイミング、及び必要な制御量で電気部品を動作させるために出力信号を各電気部品に出力する。よって、実際に電気部品の制御を行うのは、CPUとなる。ROM及びRAMは各部の制御に必要な情報データを格納し、CPUはROMに格納される情報データを読み込んだり、RAMに書き込んだりする。制御部10は、検品モジュール800と、反転モジュール600と、排出モジュール700と、その他のモジュールを制御する。尚、本実施形態では、制御部10はインクジェット記録システム1に内蔵されている場合について説明しているが、これには限られず、インクジェット記録システム1に接続された外部コンピュータを制御部としてもよい。
【0023】
[反転モジュール]
次に、反転モジュール600の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、検品モジュール800、反転モジュール600、排出モジュール700のシート搬送路を示す断面図である。反転モジュール600は、上流装置からシートを略水平に受け取って搬送する入口搬送路601と、入口搬送路601から搬送経路を分岐して切り替える入口切替部602とを有している。入口切替部602から分岐された経路のうち一方は、略水平のまま搬送して合流部621まで搬送する水平搬送路620である。合流部621から下流は、反転モジュール600に接続される下流の装置にシートを渡すための出口搬送路690となっていて、ここも略水平な搬送路構成としている。尚、反転モジュール600のこれらの構成は、搬送部60の一部である。
【0024】
水平搬送路620は、第2搬送経路の一例であり、入口搬送路601の第1位置である入口切替部602と、入口切替部602よりシート搬送方向の下流に設けられた第2位置である合流部621とを連結する。本実施形態では、水平搬送路620は直線状であり、略水平に配置されている。即ち、水平搬送路620は、後述する湾曲経路61の湾曲した部分を飛ばして直線状に連結している。水平搬送路620には、第1ガイド部材62と、第1ガイド部材62に対向して配置された第2ガイド部材63とが設けられている。水平搬送路620は、第1ガイド部材62と第2ガイド部材63との間に設けられている。水平搬送路620には、第1ガイド部材62及び第2ガイド部材63に当たることなく入口切替部602と合流部621とを連結する仮想平面を配置可能である。このように水平搬送路620を直線状にしているため、高剛度のシートを搬送する場合であってもガイド部材などに強く摺擦されることを回避し画像品質の低下を抑制することができる。尚、本実施形態では、水平搬送路620は直線状であるようにしているが、これには限られず、少なくとも、後述する湾曲経路61を通紙するよりはシートの摩擦が小さければよく、水平搬送路620は湾曲経路61よりも湾曲が小さい形状を有していればよい。また、水平搬送路620は、水平であることに限られず、全体として傾斜していてもよい。
【0025】
入口切替部602から分岐された経路の他方は、入口搬送路601から下方に略垂直に曲げて略鉛直方向下向きにシートを搬送する下行き搬送路630である。下行き搬送路630の下流端には、反転前搬送路644と戻し搬送路651との2つの搬送路のいずれかに経路を切り替える反転前切替部631が設けられている。反転前搬送路644は、シートの進行方向の先端と後端を逆にスイッチバックさせる第2反転部640に連続している。反転前搬送路644の下流端には、第2反転部640へシートを案内し、第2反転部640にてスイッチバックさせた後のシートを搬送する反転後搬送路643へシートを案内する反転後切替部642が設けられている。第2反転部640はシートを挟持して送るゴムローラ対を有しており、ゴムローラ対は不図示の駆動モータによって回転方向をCWとCCWとに切替可能に制御される。
【0026】
第2反転部640は、反転経路の一例であり、後述する湾曲経路61から分岐し、かつ、湾曲経路61から搬送されるシートを引き込んでシートの表裏を反転する。制御部10は、第2反転部640により搬送先を湾曲経路61にする第1動作と、第2反転部640により搬送先を水平搬送路620にする第2動作と、を実行可能である。尚、制御部10は、検品モジュール800がシートに形成された画像を読み取らない場合にも、第2動作を実行可能である。
【0027】
戻し搬送路651の下流端と反転後搬送路643の下流端とは合流し、出口搬送路690に向かって戻る上行き搬送路650に連続している。上行き搬送路650は、下流端で合流部621において出口搬送路690に合流する。従って、シートが下行き搬送路630及び上行き搬送路650のみを経て排出された場合は、シートの印字面を上向き(フェイスアップ(以下、FUという))として排出する。一方、下行き搬送路630から第2反転部640を経て排出された場合は、シートの印字面を下向き(フェイスダウン(以下、FDという))として排出する。ここで、入口搬送路601、下行き搬送路630、戻し搬送路651、上行き搬送路650、出口搬送路690を合わせて湾曲経路61とする。即ち、湾曲経路61は、湾曲した形状を有する第1搬送経路の一例である。また、入口切替部602は、経路切替部の一例であり、入口切替部602において搬送されるシートの搬送先を湾曲経路61と水平搬送路620とに切り替える。
【0028】
上述した搬送路構成の通り、反転モジュール600は、
(1)受け取ったシートを迂回させて搬送するシート搬送路
(2)受け取ったシートを迂回させ、かつ、反転させて搬送する反転搬送路
(3)受け取ったシートを屈曲させずに略直線的に搬送するシート搬送路
の3パターンのシート搬送経路を有したシート反転搬送装置となっている。
【0029】
[排出モジュール]
次に、排出モジュール700の構成について、
図2を用いて説明する。排出モジュール700は、上流装置からシートを略水平に受け取って搬送する入口搬送路701と、入口搬送路701から分岐する水平搬送路702と、トップトレイ720に連続するトップトレイ搬送路703と、トップトレイ切替部721と、を有している。トップトレイ切替部721は、入口搬送路701からシートの搬送先を水平搬送路702とトップトレイ搬送路703とで切り替える。トップトレイ切替部721は、排出切替部の一例であり、シートの排出先をスタックトレイ750とトップトレイ720とに切り替える。
【0030】
トップトレイ720は、数100枚のシートを積載可能である。水平搬送路702の下流端には、スルーパス切替部731が設けられている。スルーパス切替部731で分岐したシート搬送路のうち一方はスルー搬送路730であり、他方はスタックトレイ750へシートを搬送するターン搬送路740である。スルー搬送路730は、受け取ったシートを更に下流のモジュールへ渡すために設けられている。スタックトレイ750は、数1000枚のシートを積載可能である。
【0031】
排出モジュール700の下流には、後処理用途に応じたシート後処理装置が接続される。シート後処理装置は、様々なインクジェット記録システム1で汎用的に用いられることがあるため、使用するシート後処理装置によってシートの受け取り高さが複数存在する。そのため、シート後処理装置のシートの受け取り高さに合わせるように排出モジュール700の排出部として、スルー搬送路730以外に中スルー搬送路741と低スルー搬送路742とが設けられている。また、中スルー搬送路741へ経路を分岐させる中スルー切替部743と、低スルー搬送路742へ経路を分岐させる低スルー切替部744とが設けられている。本実施形態では、後処理装置への排出部として複数の搬送路を示したが、これには限られず、使用する後処理装置に応じてスルー搬送路730、中スルー切替部743、低スルー切替部744のうちの1つ又は2つの搬送路を配置するようにしてもよい。
【0032】
[パージ検品]
本実施形態では、検品モジュール800において検品した結果、画像形成条件の基準を満たしていれば合格品としてメイントレイへ排出し、満たしていなければ不合格品としてパージトレイへ排出させる検品動作を実施する。この検品動作をパージ検品という。そこで、本実施形態では、排出モジュール700のスタックトレイ750をメイントレイとし、排出モジュール700のトップトレイ720をパージトレイとし、排出モジュール700のトップトレイ切替部721をパージ切替部として用いる。即ち、スタックトレイ750は、第1排出部の一例であり、検品モジュール800で読み取られた画像が正常画像である場合に、該正常画像が形成されたシートを反転モジュール600を経て排出する。また、トップトレイ720は、第2排出部の一例であり、検品モジュール800で読み取られた画像が異常画像である場合に、該異常画像が形成されたシートを反転モジュール600を経て排出する。
【0033】
ここで、検品モジュール800にて読み取った画像の合否判定について説明する。まず、基準となる画像を印字したシートを、読取部810,820に通過させる。そのとき、シート上の画像を基準画像として制御部10に登録する。その後、プリントモジュール200から出力搬送されてくるシートの画像を読取部810,820にて読み取る。先に登録した基準画像の画像情報と、その後に出力搬送されてくるシートの読取画像情報とを比較し、基準画像と読取画像との差を検出する。その差が予め決めた合否判定値を下回るか否かで合否を判定する。
【0034】
[通紙モード]
次に、使用するシート及びジョブ(シートの物性や印字面のFU/FDの選択等)に応じて適切な通紙モードの例を、反転モジュール600を中心に説明する。
【0035】
<低剛度のシートを使用する場合>
比較的低剛度のシートを使用する場合、下行き搬送路630と上行き搬送路650を経由する迂回搬送路又は水平搬送路620のいずれのシート搬送路を通紙させても、シートを屈曲させて通紙させる際に生じる画像ダメージの発生リスクが低い。このため、成果物品位を担保できる。例えば、検品モジュール800を装着しないインクジェット記録システム1の場合、シートをFUのまま出口搬送路690まで搬送するときは水平搬送路620経由のルートを通紙すればよい。FDで通紙するときには、第2反転部640を経由するルートを通紙させる。本実施形態のように検品モジュール800を装着したインクジェット記録システム1でパージ検品を実行する場合、パージ検品を実施するために下行き搬送路630及び上行き搬送路650を経由するルートを通紙させる。シートが下行き搬送路630及び上行き搬送路650を経由する間に、制御部10はシートの先端がトップトレイ切替部721に到着する前にパージ検品の結果を取得することができる。
【0036】
次に、FUで通紙するジョブとFDで通紙するジョブとを、それぞれランダムに通紙させる場合の生産性について説明する。例えば、複数のシートをスタックトレイ750内で重ねて冊子を作成する場合について説明する。この場合、
・片面印字された表紙をFUで下流に搬送するジョブ(スタックトレイ750内ではFD)
・本身となる両面印字されたシートをFDで下流に搬送するジョブ(スタックトレイ750内ではFU)
・裏表紙となる片面印字されたシートをFDで下流に搬送するジョブ(スタックトレイ750内ではFU)
を1セットとしてこれを複セット繰り返して印刷する。
【0037】
例えば、上述の例では、1冊目の冊子の裏表紙を印刷する先行ジョブがFDで、それに後続する2冊目の冊子の表紙を印刷するジョブがFUの後続ジョブとなる。この場合、先行ジョブのシート後端が出口搬送路690への合流部621よりも下流にいる状態で、後続ジョブのシート先端が出口搬送路690への合流部621に到達する必要がある。このため、先行ジョブのシートは下行き搬送路630及び上行き搬送路650を搬送されるので、後続ジョブのシートが下行き搬送路630及び上行き搬送路650を搬送されるときは、シート間隔を比較的狭めることができる。これに対し、先行ジョブのシートは下行き搬送路630及び上行き搬送路650を搬送されるので、後続ジョブのシートが水平搬送路620を搬送されるときは、先行ジョブのシートが合流部621を抜けるまで後続シートは水平搬送路620を搬送できない。このため、シート間隔を比較的広げる必要がある。
【0038】
従って、後続ジョブを水平搬送路620へ通紙させる場合に必要なジョブ同士の間隔をTaとし、下行き搬送路630及び上行き搬送路650を通紙させる場合に必要なジョブ同士の間隔をTbとすると、Ta>Tbの関係になる。よって、このようなジョブを混載させて印刷稼働させるときに、トータルの生産性低下を抑制するためにはジョブ間隔を小さく保つ必要がある。このため、Tbのジョブ間隔となる先行ジョブも後続シートジョブも下行き搬送路630及び上行き搬送路650を通紙するモードを選択するようにできる。
【0039】
次に、ジョブ選択の手順について、
図3に示すフローチャートに沿って説明する。制御部10はジョブを受け付けたときは、FU/FDの異なるジョブが連続するか否かを判断する(ステップS1)。制御部10は、FU/FDの異なるジョブが連続しないと判断した場合は(ステップS1:NO)、FUジョブであれば水平搬送路620を通紙させ、FDジョブであれば下行き搬送路630を通紙させる(ステップS2)。
【0040】
制御部10は、FU/FDの異なるジョブが連続すると判断した場合は(ステップS1:YES)、先行ジョブはFDで排出するジョブか否かを判断する(ステップS3)。制御部10は、先行ジョブがFDで排出するジョブであると判断した場合は(ステップS3:YES)、後続ジョブは下行き搬送路630を通紙させる(ステップS4)。制御部10は、先行ジョブがFDで排出するジョブでないと判断した場合は(ステップS3:NO)、後続ジョブはFUで排出するジョブか否かを判断する(ステップS5)。
【0041】
制御部10は、後続ジョブがFUで排出するジョブであると判断した場合は(ステップS5:YES)、後続ジョブが低剛度シートであるか否かを判断する(ステップS6)。制御部10は、後続ジョブが低剛度シートであると判断した場合は(ステップS6:YES)、後続ジョブは下行き搬送路630を通紙させる(ステップS4)。制御部10は、後続ジョブがFUで排出するジョブでないと判断した場合(S5:NO)、又は、低剛度シートでないと判断した場合は(S6:NO)、後続ジョブを下行き搬送路630へ通紙させる選択がされているか否かを判断する(ステップS7)。ここで、ユーザは、例えば、画像ダメージリスク低減を優先するか、ジョブ間の生産性低下回避を優先するかを操作パネルなどから制御部10に予め入力することができるようになっている。この場合、ジョブ間の生産性低下回避を優先する選択がされていると、下行きが指定されているものとして判断される。
【0042】
制御部10は、後続ジョブを下行き搬送路630へ通紙させる選択がされていると判断した場合は(ステップS7:YES)、後続ジョブは下行き搬送路630を通紙させる(ステップS4)。制御部10は、後続ジョブを下行き搬送路630へ通紙させる選択がされていないと判断した場合は(ステップS7:NO)、後続ジョブは水平搬送路620を通紙させる(ステップS8)。
【0043】
<比較的高剛度のシートを使用する場合>
比較的高剛度のシートを使用する場合、下行き搬送路630と上行き搬送路650を経由する迂回搬送路を通紙させると、シートを屈曲させて通紙させる際に生じる画像ダメージの発生リスクが高くなるため成果物品位を低下させる虞がある。上述した画像ダメージについて説明する。高剛度のシートを屈曲させると、屈曲前の平面形状に戻ろうとする力である剛性によってシートとシート搬送路の当接力が高くなる。このように高い当接力で当接した状態でシートを搬送するため、シートがシート搬送路に当接しているシートの画像箇所に傷が発生したり、画像が剥がれたりしてしまう虞がある。そのため、高剛度のシートに関してはシートを極力屈曲させない搬送路を用いることが好ましい。
【0044】
検品モジュール800を装着しないインクジェット記録システムの場合、シートをFUのまま出口搬送路690まで水平搬送路620経由のルートを通紙することが最良である。このルートでは排出モジュール700のトップトレイ720への分岐後の屈曲量が、迂回搬送路や両面搬送路が有している屈曲量よりも小さいため画像ダメージの発生リスクを抑えられる。また、スルー搬送路730を通紙させるルートを用いて排出モジュール700の下流に接続されるモジュールに、略水平な搬送路のまま搬送可能である。
【0045】
一方、本実施形態のように検品モジュール800を装着したインクジェット記録システム1の場合、生産性を低下させて、即ちシート搬送速度を低下させて水平搬送路620のルートを通紙させるようにできる。これにより、制御部10によるパージ検品のための判断時間を確保できるので、パージ検品を実施可能となる。
【0046】
さらに、生産性を低下させないでパージ検品させる場合には、
図4に示すように排出モジュール700の下流に2台目の排出モジュール700Aを連結させる。これにより、排出モジュール700Aのトップトレイ720Aをパージトレイとして用いることで、シート搬送速度の低下を招くことなくパージ検品が可能となる。尚、ここでは排出モジュール700,700Aが2つ連結される場合について説明したが、これには限られず、排出モジュール700は3つ以上連結させるようにしてもよい。
【0047】
ここまでは画像ダメージ発生リスクを抑えた通紙モードについて説明したが、比較的剛度の高いシートでも、印字する画像やシートの表面性・求められる成果物品位によっては迂回搬送路を通紙させても成果物品位を満足する場合がある。例えば、シートの表面がコート層を有していない表面性状では、画像ダメージが発生しにくい、あるいは目立ちにくい場合がある。また、印字する画像の紙面積に対する画像面積が小さい場合、文字/文章系の画像の場合、画像を形成するトナーやインクの濃度が薄めの画像の場合などには、画像ダメージが目立ちにくい場合がある。このように、ニーズに応じて<比較的低剛度のシートを使用する場合>で説明した通紙モードを用いても構わない。その際は、排出モジュール700を複数連結不要で、生産性を低下させずにパージ検品可能となる。
【0048】
次に、これまでに説明した通紙モードの選択手順について、
図5に示すフローチャートに沿って説明する。制御部10はパージ検品ジョブを受け付けたときは、使用するシートが低剛度シートであるか否かを判断する(ステップS10)。制御部10は、使用するシートが低剛度シートであると判断した場合は(ステップS10:YES)、下行き搬送路630を通紙させる(ステップS11、第1動作)。
【0049】
制御部10は、使用するシートが低剛度シートでないと判断した場合は(ステップS10:NO)、低剛度シートを使用するときのシート搬送速度よりも低速でシートを搬送するか否かを判断する(ステップS12)。制御部10は、低剛度シートを使用するときのシート搬送速度よりも低速でシートを搬送すると判断した場合は(ステップS12:YES)、水平搬送路620を通紙させる(ステップS13、第2動作)。ここで、制御部10は、第2動作の実行時のシート搬送速度を、検品モジュール800で画像を読み取られたシートがトップトレイ切替部721に到達するまでに画像が正常画像であるか異常画像であるかを判断できるシート搬送速度にする。本実施形態では、制御部10は、第2動作の実行時のシート搬送速度を、入口切替部602から合流部621までの搬送時間が第1動作の実行時における入口切替部602から合流部621までの搬送時間以上になるシート搬送速度にしている。
【0050】
このように、制御部10は、検品モジュール800がシートに形成された画像を読み取った場合に、シートの剛性が第1の剛性であるときは第1動作を実行し、シートの剛性が第1の剛性よりも大きい第2の剛性であるときは第2動作を実行する。尚、本実施形態では、シートの剛性に基づいて判断しているが、これには限られず、シートの坪量や厚みに基づいて判断するようにしてもよい。坪量に基づく場合は、制御部10は、検品モジュール800がシートに形成された画像を読み取った場合に、シートの坪量が第1の坪量であるときは第1動作を実行し、シートの坪量が第1の坪量よりも大きい第2の坪量であるときは第2動作を実行する。厚みに基づく場合は、制御部10は、検品モジュール800がシートに形成された画像を読み取った場合に、シートの厚みが第1の厚みであるときは第1動作を実行し、シートの厚みが第1の厚みよりも厚い第2の厚みであるときは第2動作を実行する。
【0051】
制御部10は、低剛度シートを使用するときのシート搬送速度よりも低速でシートを搬送しないと判断した場合は(ステップS12:NO)、複数台の排出モジュール700が連結されているか否かを判断する(ステップS14)。制御部10は、複数台の排出モジュール700が連結されていると判断した場合は(ステップS14:YES)、水平搬送路620を通紙させる(ステップS13)。制御部10は、複数台の排出モジュール700が連結されていないと判断した場合は(ステップS14:NO)、高剛度シートを下行き搬送路630へ通紙させることが許容されているか否かを判断する(ステップS15)。
【0052】
制御部10は、高剛度シートを下行き搬送路630へ通紙させることが許容されていると判断した場合は(ステップS15:YES)、下行き搬送路630を通紙させる(ステップS11)。制御部10は、高剛度シートを下行き搬送路630へ通紙させることが許容されていないと判断した場合は(ステップS15:NO)、パージ検品できない旨を報知する(ステップS16)。これはインクジェット記録システム1の表示部への表示や、接続された外部コンピュータへの情報送信など、適宜な方法で実行する。
【0053】
上述したように、本実施形態のインクジェット記録システム1によれば、反転モジュール600は湾曲経路61の湾曲した部分を飛ばして直線状に連結する水平搬送路620を有している。このため、高剛度のシートを搬送する場合でもシートがガイド部材などに強く摺擦されることを抑制し、画像品質の低下を抑えることができる。
【0054】
このように、本実施形態で示した反転モジュール600と排出モジュール700を用いることで、検品モジュール800の有無や使用するシート及びジョブに適した通紙モードを選択でき、装置の設置幅を抑えることができる。また、印刷成果物品位を維持したインクジェット記録システム1の提供が可能となる。
【0055】
また、1つの反転モジュール600を用いることで検品モジュール800の有無に関わらず印刷機システムを形成でき、信頼性の高いインクジェット記録システム1の提供が可能となる。更に、反転モジュール600の搬送路は、受け取ったシートを迂回させて搬送するシート搬送路/受け取ったシートを迂回させ且つ反転させて搬送する搬送路/受け取ったシートを屈曲させずに略直線的に搬送する搬送路の3パターンを有する。このため、使用するシートに応じて適切な排出方式を選択可能とし成果物品位の信頼性の高いインクジェット記録システム1の提供が可能となる。
【0056】
尚、上述した実施形態では、画像形成システムをインクジェット記録方式のインクジェット記録システム1に適用した場合について説明したが、これには限られず電子写真方式の画像形成システムに適用してもよい。
【0057】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図6を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、反転モジュール1600にトレイが設けられている点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、
図6に示すように、反転モジュール1600に排出トレイ670が設けられている。反転モジュール1600には、第1の実施形態と同様に、入口搬送路601、入口切替部602、下行き搬送路630、戻し搬送路651上行き搬送路650、出口搬送路690、合流部621が設けられている。また、反転モジュール1600には、第1の実施形態と同様に、反転前切替部631、反転前搬送路644、反転後切替部642、第2反転部640、反転後搬送路643が設けられている。本実施形態では、出口搬送路690への水平搬送路620と上行き搬送路650の合流部621より下流に、排出切替部691が配置され、そこから排出トレイ670への搬送路である排出搬送路625が設けられている。
【0059】
このような反転モジュール1600の構成にすると、検品モジュール800を連結したときのパージ検品のためのパージ切替部を排出切替部691に、パージトレイを排出トレイ670に用いることができる。これにより、第1の実施形態で説明した<比較的低剛度のシートを使用する場合>と<比較的高剛度のシートを使用する場合>と同様に、検品モジュール800の有無や使用するシート及びジョブに適した通紙モードを選択できるようになる。これにより、装置の設置幅を抑え、かつ、印刷成果物品位を維持したインクジェット記録システム1の提供が可能となる。尚、本実施形態では、第1の実施形態に対して、パージ検品する際に生産性を落とさずに水平搬送路620を通紙する際に必要な「複数の排出モジュール700を連結させること」以外は、排出モジュール700を必ずしも必要としないようにできる。
【0060】
上述したように、本実施形態のインクジェット記録システム1によれば、反転モジュール1600は湾曲経路61の湾曲した部分を飛ばして直線状に連結する水平搬送路620を有している。このため、高剛度のシートを搬送する場合でもシートがガイド部材などに強く摺擦されることを抑制し、画像品質の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0061】
1…インクジェット記録システム(画像形成システム)、10…制御部、60…搬送部、61…湾曲経路(第1搬送経路)、62…第1ガイド部材、63…第2ガイド部材、200…プリントモジュール(画像形成装置)、600…反転モジュール(搬送装置、シート搬送装置)、602…入口切替部(経路切替部、第1位置)、620…水平搬送路(第2搬送経路)、640…第2反転部(反転経路)、670…排出トレイ(第2排出部)、720…トップトレイ(第2排出部)、721…トップトレイ切替部(排出切替部)、750…スタックトレイ(第1排出部)、800…検品モジュール(読取装置)、1600…反転モジュール(搬送装置、シート搬送装置)