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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166691
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】光アンテナおよび光アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/124 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G02B6/124
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082979
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小田 敏宏
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AA02
2H147BG04
2H147CA11
2H147CD02
2H147CD11
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
(57)【要約】
【課題】出射効率の高い光アンテナおよび光アンテナアレイを提供する。
【解決手段】光アンテナは、光を伝搬する導波路50と、導波路50の延設方向を第1方向とし、第1方向に垂直な方向を第2方向とし、第1方向および第2方向の両方に垂直な方向を第3方向として、第2方向における導波路50の両側に、第1方向において所定の周期で配置された複数の第1回折格子61を含む第1回折格子群60と、第2方向における導波路50の両側に、第1方向において第1回折格子61と同じ周期で配置された複数の第2回折格子71を含む第2回折格子群70と、を備え、第1方向および第3方向において、第1回折格子61と第2回折格子71とは重心位置が互いに異なり、第2方向において、第2回折格子71は第1回折格子61よりも導波路50に近い位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アンテナであって、
光を伝搬する導波路(50)と、
前記導波路の延設方向を第1方向とし、前記第1方向に垂直な方向を第2方向とし、前記第1方向および前記第2方向の両方に垂直な方向を第3方向として、前記第2方向における前記導波路の両側に、前記第1方向において所定の周期で配置された複数の第1回折格子(61、611、612)を含む第1回折格子群(60)と、
前記第2方向における前記導波路の両側に、前記第1方向において前記第1回折格子と同じ周期で配置された複数の第2回折格子(71、711、712)を含む第2回折格子群(70)と、を備え、
前記第1方向および前記第3方向において、前記第1回折格子と前記第2回折格子とは重心位置が互いに異なり、
前記第2方向において、前記第2回折格子は前記第1回折格子よりも前記導波路に近い位置に配置されている光アンテナ。
【請求項2】
前記導波路、前記第1回折格子、前記第2回折格子は、基板(20)上に積層された複数の膜の一部で構成されており、
前記第1回折格子は、前記導波路と同じ階層の膜で構成されており、
前記第2回折格子は、前記導波路と異なる階層の膜で構成されている請求項1に記載の光アンテナ。
【請求項3】
前記第2回折格子の重心位置は、前記導波路に対して前記第3方向の上部にある請求項1に記載の光アンテナ。
【請求項4】
前記導波路、前記第1回折格子、前記第2回折格子は、互いに離された状態で配置されている請求項1に記載の光アンテナ。
【請求項5】
前記第2回折格子は、前記導波路および前記第1回折格子よりも屈折率が低い材料で構成されている請求項1に記載の光アンテナ。
【請求項6】
前記導波路および前記第1回折格子はシリコンで構成されており、
前記第2回折格子は窒化シリコンで構成されている請求項5に記載の光アンテナ。
【請求項7】
前記導波路に対して前記第2方向の一方側に配置された前記第1回折格子を第1一方側回折格子(611)とし、
前記導波路に対して前記第2方向の他方側に配置された前記第1回折格子を第1他方側回折格子(612)とし、
前記導波路に対して前記第2方向の一方側に配置された前記第2回折格子を第2一方側回折格子(711)とし、
前記導波路に対して前記第2方向の他方側に配置された前記第2回折格子を第2他方側回折格子(712)として、
複数の前記第1他方側回折格子は、複数の前記第1一方側回折格子に対して、前記第1方向にオフセットされて配置されており、
複数の前記第2他方側回折格子は、複数の前記第2一方側回折格子に対して、前記第1方向にオフセットされて配置されており、
前記第1一方側回折格子に対する前記第1他方側回折格子のオフセットの量は、前記第2一方側回折格子に対する前記第2他方側回折格子のオフセットの量と等しい請求項1に記載の光アンテナ。
【請求項8】
前記第1一方側回折格子に対する前記第1他方側回折格子のオフセットの量、および、前記第2一方側回折格子に対する前記第2他方側回折格子のオフセットの量は、前記第1方向における前記第1回折格子および前記第2回折格子の周期の半分である請求項7に記載の光アンテナ。
【請求項9】
光アンテナアレイであって、
請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光アンテナ(10、11、12、13)を複数備える光アンテナアレイ。
【請求項10】
該複数の光アンテナのうち少なくとも2つの光アンテナは、前記第1回折格子を共有する請求項9に記載の光アンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光アンテナおよび光アンテナアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LiDAR(Light Detection And Ranging)等に用いられる光走査装置は、光源と、光源の出力光を伝搬する導波路と、光を導波路の外部に射出する光アンテナとを備える。光アンテナは、基板と、基板に積層された下側クラッド層および上側クラッド層とを備え、下側クラッド層と上側クラッド層との間に導波路が配置された多層構造とされている。LiDARでは、このような光アンテナを複数並べた光アンテナアレイを用いて、光の射出方向を調整する。
【0003】
例えば特許文献1に記載の光アンテナは、導波路と、導波路の両側に配置された回折格子を備えており、この回折格子から光を射出する。回折格子は導波路と同じ層で構成されており、このような構成では、光アンテナの製造の簡易化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-173992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光アンテナの主な特性指標として上面出射率が用いられるが、特許文献1に記載の光アンテナでは、導波路と回折格子の周囲が厚さ方向の上下に対称な構造とされているため、上面と下面に等量の光が射出され、出射効率が低くなる。
【0006】
本開示は上記点に鑑みて、出射効率の高い光アンテナおよび光アンテナアレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の1つの観点によれば、光アンテナは、光を伝搬する導波路(50)と、導波路の延設方向を第1方向とし、第1方向に垂直な方向を第2方向とし、第1方向および第2方向の両方に垂直な方向を第3方向として、第2方向における導波路の両側に、第1方向において所定の周期で配置された複数の第1回折格子(61、611、612)を含む第1回折格子群(60)と、第2方向における導波路の両側に、第1方向において第1回折格子と同じ周期で配置された複数の第2回折格子(71、711、712)を含む第2回折格子群(70)と、を備え、第1方向および第3方向において、第1回折格子と第2回折格子とは重心位置が互いに異なり、第2方向において、第2回折格子は第1回折格子よりも導波路に近い位置に配置されている。
【0008】
これによれば、第1回折格子と第2回折格子を同じ電界強度の場所に配置することが可能となり、第1回折格子と第2回折格子の射出光の光量を等しくすることができる。また、第3方向の一方側における第1回折格子と第2回折格子の射出光の位相を等しくすることができる。また、第3方向の他方側における第1回折格子と第2回折格子の射出光の位相を逆位相とすることができる。このように、第3方向の一方側では第1回折格子と第2回折格子の射出光の光量と位相を揃えることにより、これらの射出光が効率よく強め合うようになる。一方、第3方向の他方側では第1回折格子と第2回折格子の射出光の位相を逆位相とすることにより、これらの射出光が弱め合うようになる。これにより、第3方向の一方側への出射効率を向上させることができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態にかかる光アンテナの上面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図1のIII部分の拡大図である。
図4図2のIV部分の拡大図である。
図5図1のV-V断面図である。
図6】比較例の上面図である。
図7図6のVII-VII断面図である。
図8】第1実施形態のFFP(Far Field Pattern)である。
図9】第1実施形態のビーム形状を示す斜視図である。
図10】第2実施形態にかかる光アンテナの断面図であって、図2に相当する図である。
図11】第2実施形態のFFPである。
図12】第3実施形態にかかる光アンテナの上面図である。
図13】第3実施形態のFFPである。
図14】第3実施形態のビーム形状を示す斜視図である。
図15】第4実施形態にかかる光アンテナアレイの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。図1に示す本実施形態の光アンテナ10は、例えばレーザレーダやFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)式のLiDAR等に適用される。
【0013】
図1図2に示すように、光アンテナ10は、基板20と、基板20上に積層されたクラッド層30、コア層40とを備えている。また、光アンテナ10は導波路50、第1回折格子群60、第2回折格子群70を備えており、導波路50、第1回折格子群60、第2回折格子群70はコア層40の一部で構成されている。なお、図1ではクラッド層30の図示を省略している。
【0014】
基板20の上面に平行な一方向をX方向とし、基板20の上面に平行でX方向に垂直な方向をY方向とする。X方向、Y方向の両方に垂直な方向をZ方向とする。X方向は、導波路50の延設方向であり、Y方向は、導波路50の幅方向である。Z方向は、クラッド層30、コア層40の積層方向であるとともに、導波路50の厚さ方向である。X方向は第1方向に相当し、Y方向は第2方向に相当し、Z方向は第3方向に相当する。
【0015】
基板20は、シリコン(Si)等で構成されている。クラッド層30は、それぞれシリコン酸化膜(SiO)等の絶縁膜とされた第1クラッド層31、第2クラッド層32、第3クラッド層33を備えており、第1クラッド層31、第2クラッド層32、第3クラッド層33は基板20の上面に順に積層されている。
【0016】
コア層40は、それぞれSi膜で構成された第1コア層41、第2コア層42を備えている。第1コア層41は第1クラッド層31の上面に積層されており、所定の形状にパターニングされている。第2クラッド層32は、第1コア層41から露出した第1クラッド層31の上面と、第1コア層41とを覆うように形成されている。第2コア層42は第2クラッド層32の上面に積層されており、所定の形状にパターニングされている。第3クラッド層33は、第2コア層42から露出した第2クラッド層32の上面と、第2コア層42とを覆うように形成されている。
【0017】
このように、光アンテナ10は、基板20上に積層された複数の膜を備える多層構造とされている。そして、第1回折格子群60は導波路50と同じ階層の膜で構成されており、第2回折格子群70は導波路50とは異なる階層の膜で構成されている。
【0018】
具体的には、第1コア層41は、X方向に延設された直線状の部分を含むようにパターニングされており、この直線状の部分で導波路50が構成されている。導波路50は、光アンテナ10に入力された光を伝搬するものである。
【0019】
また、第1コア層41は、Y方向において導波路50の両側に配置された複数の矩形板状の部分を含むようにパターニングされており、この複数の矩形板状の部分で第1回折格子群60が構成されている。第1回折格子群60は、導波路50を伝搬する光を導波路50の外部に射出するためのものである。
【0020】
第1回折格子群60を構成する複数の矩形板状の部分を、それぞれ第1回折格子61とする。第1回折格子61の上面は、X方向に平行な2辺と、Y方向に平行な2辺とを有する矩形状とされている。複数の第1回折格子61のうち、導波路50に対してY方向の一方側に配置された第1回折格子61を第1回折格子611とし、導波路50に対してY方向の他方側に配置された第1回折格子61を第1回折格子612とする。第1回折格子611、612は、それぞれ第1一方側回折格子、第1他方側回折格子に相当する。第1回折格子611、612は、導波路50とは離された状態で配置されている。
【0021】
第1回折格子611は、X方向において一定のピッチで周期的に並んでいる。第1回折格子612は、X方向において第1回折格子611と同じピッチで周期的に並んでいる。第1回折格子群60では、1つの第1回折格子611と1つの第1回折格子612とで構成された第1回折格子対62が複数配置されている。そして、各第1回折格子対62において、第1回折格子611と第1回折格子612は、導波路50を挟んで対向するように、X方向の同じ位置に配置されている。
【0022】
第2コア層42は、Y方向において導波路50の両側に配置された複数の矩形板状の部分を含むようにパターニングされており、この複数の矩形板状の部分で第2回折格子群70が構成されている。第2回折格子群70は、導波路50を伝搬する光を導波路50の外部に射出するためのものである。
【0023】
第2回折格子群70を構成する複数の矩形板状の部分を、それぞれ第2回折格子71とする。第2回折格子71の上面は、X方向に平行な2辺と、Y方向に平行な2辺とを有する矩形状とされている。複数の第2回折格子71のうち、導波路50に対してY方向の一方側に配置された第2回折格子71を第2回折格子711とし、導波路50に対してY方向の他方側に配置された第2回折格子71を第2回折格子712とする。第2回折格子711、712は、それぞれ第2一方側回折格子、第2他方側回折格子に相当する。
【0024】
第2回折格子711、712を構成する第2コア層42と、導波路50、第1回折格子611、612を構成する第1コア層41との間には、第2クラッド層32が配置されている。そのため、第2回折格子711、712は、導波路50、第1回折格子611、612とは離された状態で配置されている。
【0025】
第2回折格子711は、X方向において一定のピッチで周期的に並んでいる。第2回折格子712は、X方向において第2回折格子711と同じピッチで周期的に並んでいる。第2回折格子群70では、1つの第2回折格子711と1つの第2回折格子712とで構成された第2回折格子対72が複数配置されている。そして、各第2回折格子対72において、第2回折格子711と第2回折格子712は、導波路50を挟んで対向するように、X方向の同じ位置に配置されている。
【0026】
図3図4に示すように、第1回折格子61、第2回折格子71のX方向のピッチをそれぞれp1、p2とする。第1回折格子61のX方向、Y方向の幅をそれぞれwx1、wy1とし、第1回折格子61の厚さすなわちZ方向の幅をt1とし、Y方向における第1回折格子61の中心と導波路50の側面との距離をd1とする。第2回折格子71のX方向、Y方向の幅をそれぞれwx2、wy2とし、第2回折格子71の厚さをt2とし、Y方向における第2回折格子71の中心と導波路50の側面との距離をd2とする。導波路50および第1回折格子61と第2回折格子71とのZ方向の距離をd3とし、導波路50のY方向の幅をwy3とし、導波路50の厚さをt3とし、X方向における第1回折格子61の中心と第2回折格子71の中心との距離をd4とする。
【0027】
本実施形態では、p1=p2とされている。すなわち、第1回折格子61と第2回折格子71はX方向において同じ周期で配置されている。しかしながら、第1回折格子61と第2回折格子71はX方向において重心位置が互いに異なり、第2回折格子対72は第1回折格子対62に対してX方向の一方側にずれた位置に配置されている。
【0028】
また、第1回折格子61と第2回折格子71はY方向において重心位置が互いに異なり、Y方向において第2回折格子71は第1回折格子61よりも導波路50に近い位置に配置されている。
【0029】
また、第1回折格子61と第2回折格子71はZ方向において重心位置が互いに異なり、第2回折格子71を第1コア層41の上部にある第2コア層42の一部で構成することにより、第2回折格子71の重心位置は導波路50に対してZ方向の上部に位置している。
【0030】
光アンテナ10をLiDARに用いる際には、図示しない光源を光アンテナ10に接続し、光源からの光が導波路50に入力されるようにする。これにより、導波路50に入力された光が第1回折格子群60、第2回折格子群70から光アンテナ10の外部に射出される。そして、LiDARの検知範囲に物体がある場合には、物体による反射光を受光素子で受信し、これにより生成された受信信号を解析することにより、物体が検出される。
【0031】
このように光アンテナ10を用いる場合には、物体を精度よく検出するために、射出光の強度が高いことが望ましい。本実施形態では、第1回折格子群60が射出する光と、第2回折格子群70が射出する光とが互いに強め合い、光アンテナ10全体での上方への射出光の光量が大きくなるように、第1回折格子群60と第2回折格子群70が配置されている。
【0032】
具体的には、第1回折格子61と第2回折格子71は、0次モードすなわち基本モードの光が導波路50を伝搬したときに、第1回折格子61の位置での電界強度と第2回折格子71の位置での電界強度が等しくなるように配置されている。
【0033】
0次モードの光が導波路50を伝搬すると、導波路50の周囲の電界強度は図5に示すようになる。すなわち、導波路50の周囲に同心楕円状の等高線L1、L2、L3が描かれるように電界強度が分布する。そして、第1回折格子61と第2回折格子71は、同じ電界強度の等高線L3上に配置されている。なお、図5では基板20の図示を省略している。
【0034】
このように、第1回折格子61と第2回折格子71とを同じ電界強度の場所に配置すると、第1回折格子群60の射出光と第2回折格子群70の射出光との強度が等しくなるため、これらの射出光が強め合う効果が高くなる。
【0035】
また、X方向、Z方向における第1回折格子61、第2回折格子71の位置は、Z方向の一方側で第1回折格子群60の射出光と第2回折格子群70の射出光との位相が等しくなり、他方側でこれらの射出光の位相が逆位相となるように設定されている。
【0036】
具体的には、光が導波路50のうち第1回折格子61付近を伝搬するタイミングと第2回折格子71付近を伝搬するタイミングとの差により、第1回折格子群60、第2回折格子群70の射出光に位相差が生じる。また、Z方向における第1回折格子61と第2回折格子71との距離により、第1回折格子群60、第2回折格子群70の射出光に位相差が生じる。第1回折格子61、第2回折格子71は、Z方向の上部においてこれらの位相差が互いにキャンセルされるように配置されている。なお、このように第1回折格子61と第2回折格子71を配置することにより、Z方向の下部においては、これらの射出光の位相が逆位相となる。
【0037】
このように、Z方向の上部において第1回折格子群60の射出光と第2回折格子群70の射出光との位相を揃え、Z方向の下部においてこれらの射出光の位相を逆位相とすることにより、これらの射出光が光アンテナ10の上部において強め合う効果が高くなる。
【0038】
なお、理論的には第1回折格子61、第2回折格子71がX方向、Z方向にそれぞれ入力光の1/4波長分ずれていれば射出光の位相が揃うが、実際にはシミュレーションによって位相が揃う位置を調べることができる。また、前述した他の寸法や位置についても、射出光が効率的に強め合う数値をシミュレーションによって調べることができる。
【0039】
本発明者らが行ったシミュレーションでは、導波路50、第1回折格子61、第2回折格子71の寸法等を例えば以下のように設定した場合に、上面への出射効率が高くなった。すなわち、wx1=200nm、wy1=200nm、p1=630nm、t1=210nm、d1=425nmである。また、wx2=200nm、wy2=200nm、p2=630nm、t2=210nm、d2=280nmである。また、d3=50nm、wy3=480nm、t3=210nm、d4=155nmである。
【0040】
なお、上面への出射効率は、上面出射率を用いて評価した。上面出射率は、上面方向の射出光の強度Pupと、下面方向の射出光の強度Pdownの合計に対する強度Pupの割合であり、Pup/(Pup+Pdown)で求められる。第1回折格子61等の寸法を上記のように設定した場合には、上面出射率は0.96となった。
【0041】
図6図7に示す比較例では、第2回折格子群70が形成されておらず、回折格子が導波路50と同層の第1回折格子群60のみとされている。これにより、導波路50周辺の断面図が直線L4で示す水平面に対して上下対称になっているため、上面と下面に等量の光が射出され、上面出射率は0.50となる。このように、本実施形態では上面への出射効率が比較例よりも高くなっている。
【0042】
なお、本実施形態における射出光のビーム形状は、図8図9に示すようになる。すなわち、射出光はY方向の両側に広がる一方で、X方向には傾斜せず、YZ平面に沿って上方に放射される。そして、射出光はY方向の一方側と他方側とにピークを有する。すなわち、射出光は2つのピークを有するビーム形状となる。なお、図8では、光強度の数値を最大値で正規化している。また、図9では、ビームの放射領域が領域R1、R2、R3の3つに分かれており、領域R1~R3のうち中央の領域R2に対してY方向の両側に位置する領域R1、R3の光量が多いことをハッチングで示している。また、図9では基板20、クラッド層30の図示を省略している。このようなビーム形状は、例えばLiDARの走査角度を大きくしたい場合や、同時に2方向の物体を検出したい場合等に有利である。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、Y方向における導波路50の両側に、X方向において第1回折格子61と同じ周期で第2回折格子71が配置されている。そして、X方向およびZ方向において第1回折格子61と第2回折格子71との重心位置が互いに異なり、Y方向において第2回折格子71は第1回折格子61よりも導波路50に近い位置に配置されている。
【0044】
これにより、第1回折格子61と第2回折格子71を同じ電界強度の場所に配置することが可能となり、第1回折格子61と第2回折格子71の射出光の光量を等しくすることができる。また、Z方向の一方側における第1回折格子61と第2回折格子71の射出光の位相を等しくすることができる。また、Z方向の他方側における第1回折格子61と第2回折格子71の射出光の位相を逆位相とすることができる。そして、Z方向の一方側では第1回折格子61と第2回折格子71の射出光の光量と位相を揃え、他方側ではこれらの射出光を逆位相とすることにより、Z方向の一方側でこれらの射出光が効率よく強め合うようになり、出射効率を向上させることができる。
【0045】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
(1)導波路50、第1回折格子61、第2回折格子71は、基板20上に積層された複数の膜の一部で構成されている。そして、第1回折格子61は、導波路50と同じ階層の膜である第1コア層41で構成されており、第2回折格子71は、導波路50とは異なる階層の膜である第2コア層42で構成されている。これによれば、第1コア層41と第2コア層42の2層で導波路50、第1回折格子群60、第2回折格子群70を構成することができるため、光アンテナ10の製造が容易になる。
【0047】
(2)第2回折格子71の重心位置は、導波路50に対してZ方向の上部にある。X方向、Y方向において上記のように第1回折格子61、第2回折格子71を配置し、第2回折格子71を導波路50に対してZ方向の上部に配置することで、Z方向の上部において第1回折格子61と第2回折格子71の射出光の位相を等しくすることができる。したがって、上面への出射効率を向上させることができる。また、第2回折格子71を導波路50および第1回折格子61の下部に形成する場合に比べて、光アンテナ10の製造が容易になる。
【0048】
(3)第1回折格子61と第2回折格子71は同じ材料で構成されている。これによれば、第1回折格子61と第2回折格子71を同様の半導体プロセスで形成することができるため、光アンテナ10の製造が容易になる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して第2回折格子71の材料を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
本実施形態の第2回折格子71は、導波路50および第1回折格子61よりも屈折率が低い材料で構成されている。具体的には、本実施形態の第2コア層42は窒化シリコン(SiN)で構成されている。すなわち、導波路50、第1回折格子61がSiで構成されているのに対し、第2回折格子71はSiよりも屈折率が低いSiNで構成されている。
【0051】
第2回折格子群70の屈折率を第1回折格子群60の屈折率よりも低くすることにより、第2回折格子群70から光が射出されにくくなる。そのため、本実施形態では、第1回折格子群60の射出光と第2回折格子群70の射出光の光量を揃えるために、図10に示すように、第2回折格子71の厚さ、すなわち、第2コア層42の厚さは、第1実施形態よりも大きくされている。また、第2回折格子71の厚さは、導波路50の厚さおよび第1回折格子61の厚さよりも大きくされている。
【0052】
本実施形態においても、シミュレーションによって上面出射率の高い寸法を調べることができる。本発明者らが行ったシミュレーションでは、導波路50、第1回折格子61、第2回折格子71の寸法等を例えば以下のように設定した場合に、上面への出射効率が高くなった。すなわち、wx1=220nm、wy1=200nm、p1=630nm、t1=210nm、d1=450nmである。また、wx2=325nm、wy2=400nm、p2=630nm、t2=300nm、d2=265nmである。また、d3=50nm、wy3=480nm、t3=210nm、d4=115nmである。第1回折格子61の寸法等を上記のように設定した場合には、上面出射率は0.93となり、第1実施形態の比較例よりも高くなった。
【0053】
なお、本実施形態においても、図11に示すように、2つのピークを有するビーム形状が得られた。
【0054】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0056】
(1)第2回折格子71は、導波路50および第1回折格子61よりも屈折率が低い材料で構成されている。これによれば、第1回折格子群60に比べて第2回折格子群70から光が射出されにくくなるため、第2回折格子71を第1回折格子61より厚く形成しても第1回折格子群60の射出光と第2回折格子群70の射出光の光量を揃えることができる。そして、第2回折格子71の厚さを大きくすることにより、第2回折格子71を薄く形成する場合に比べて、第2回折格子71の形成が容易になる。また、第2コア層42のパターニングに用いる露光装置等に要求される解像度が低くなるため、圧電素子の製造コストを低減することができる。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して第1回折格子612、第2回折格子712の位置を変更したものであり、その他については第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
図12に示すように、本実施形態では、複数の第1回折格子612は、複数の第1回折格子611に対して、X方向においてオフセットされて配置されている。また、複数の第2回折格子712は、複数の第2回折格子711に対して、X方向においてオフセットされて配置されている。
【0059】
第1回折格子611に対する第1回折格子612のオフセットの量は、第2回折格子711に対する第2回折格子712のオフセットの量と等しい。具体的には、第1回折格子611に対する第1回折格子612のオフセットの量、および、第2回折格子711に対する第2回折格子712のオフセットの量は、X方向における第1回折格子61および第2回折格子71の周期の半分とされている。
【0060】
本実施形態においても、シミュレーションによって上面出射率の高い寸法を調べることができる。本実施形態では、距離d1、d2を第1、第2実施形態よりも小さくした場合に、上面への出射効率が高くなった。具体的には、導波路50、第1回折格子61、第2回折格子71の寸法等を例えば以下のように設定した場合に、上面への出射効率が高くなった。すなわち、wx1=200nm、wy1=300nm、p1=630nm、t1=210nm、d1=375nmである。また、wx2=365nm、wy2=400nm、p2=630nm、t2=300nm、d2=165nmである。また、d3=50nm、wy3=650nm、t3=210nm、d4=130nmである。第1回折格子61の寸法等を上記のように設定した場合には、上面出射率は0.91となり、第1実施形態の比較例よりも高くなった。
【0061】
このように第1回折格子611、612、第2回折格子711、712を配置すると、導波路50のY方向の両側から射出される光の位相がずれてY方向の中央部で強め合うようになり、図13図14に示すように、1つのピークを有するビーム形状が得られる。すなわち、射出光はY方向の両側に広がる一方で、X方向には傾斜せず、YZ平面に沿って上方に放射される。そして、射出光はY方向の中央部である領域R2にピークを有する。このような1つのピークを有するビーム形状が得られる構成では、光アンテナ10が使いやすくなる。また、強度の高い射出光が得られる。
【0062】
本実施形態は、第1、第2実施形態と同様の構成および作動からは第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
(1)複数の第1回折格子612は、複数の第1回折格子611に対して、X方向においてオフセットされて配置されている。また、複数の第2回折格子712は、複数の第2回折格子711に対して、X方向においてオフセットされて配置されている。そして、第1回折格子611に対する第1回折格子612のオフセットの量は、第2回折格子711に対する第2回折格子712のオフセットの量と等しい。これによれば、第1回折格子612、第2回折格子712をオフセットさせるだけで1つのピークを有するビーム形状を得られるので、簡易な方法で射出光の強度を高めることができる。
【0065】
(2)第1回折格子611に対する第1回折格子612のオフセットの量、および、第2回折格子711に対する第2回折格子712のオフセットの量は、X方向における第1回折格子61および第2回折格子71の周期の半分とされている。これによれば、領域R2において第1回折格子611、第2回折格子711からの射出光と第1回折格子612、第2回折格子712からの射出光とが効率的に強め合うため、射出光の強度をさらに高めることができる。
【0066】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して光アンテナ10の数を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
図15に示す光アンテナアレイ80は、複数の光アンテナ10で構成されたものである。本実施形態では、一例として光アンテナアレイ80が3つの光アンテナ10を備える場合について説明する。3つの光アンテナ10をそれぞれ光アンテナ11、12、13とする。
【0068】
光アンテナ11~13が備える導波路50はY方向の一方側から順に並んでいる。そして、光アンテナ11の第1回折格子612、第2回折格子712と光アンテナ12の第1回折格子611、第2回折格子711は光アンテナ11の導波路50と光アンテナ12の導波路50との間に配置されている。また、光アンテナ12の第1回折格子612、第2回折格子712と光アンテナ13の第1回折格子611、第2回折格子711は光アンテナ12の導波路50と光アンテナ13の導波路50との間に配置されている。
【0069】
光アンテナアレイ80が備える複数の光アンテナ10のうち少なくとも2つの光アンテナ10は、第1回折格子61を共有する。具体的には、この2つの光アンテナ10は、隣接する2つの導波路50の間に配置された第1回折格子群60を共有する。隣接する2つの導波路50の間において、第1回折格子群60は、X方向に1列に並んだ複数の第1回折格子61で構成されている。この第1回折格子61は、隣接する2つの光アンテナ10のうち一方の第1回折格子611であるとともに、他方の第1回折格子612である。
【0070】
隣接する2つの導波路50の間に配置された第2回折格子群70は、隣接する2つの光アンテナ10で共有されず、分離されている。上記の1列に並んだ第1回折格子61に対してY方向の一方側には第2回折格子712が配置されており、第1回折格子61に対してY方向の他方側には第2回折格子711が配置されている。
【0071】
本実施形態では、光アンテナ11と光アンテナ12とが第1回折格子61を共有し、光アンテナ12と光アンテナ13とが第1回折格子61を共有する。
【0072】
すなわち、光アンテナ11の導波路50と光アンテナ12の導波路50との間に配置された第1回折格子61は、光アンテナ11の第1回折格子612であるとともに、光アンテナ12の第1回折格子611である。また、光アンテナ12の導波路50と光アンテナ13の導波路50との間に配置された第1回折格子61は、光アンテナ12の第1回折格子612であるとともに、光アンテナ13の第1回折格子611である。
【0073】
光アンテナアレイ80をLiDARに用いる際には、図示しない光源を複数に分岐する導波路を介して光アンテナアレイ80に接続し、光源から出力された光が光アンテナ11~13の導波路50に入力されるようにする。そして、分岐した各導波路に位相シフタを配置し、光アンテナ11~13に入力される光の位相を調整することにより、光アンテナアレイ80全体から射出される光の方向を制御する。
【0074】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
(1)光アンテナアレイ80は、光アンテナ10を複数備える。これによれば、光アンテナアレイ80において、出射効率を向上させることができる。
【0077】
(2)複数の光アンテナ10のうち少なくとも2つの光アンテナ10は、第1回折格子61を共有する。これによれば、光アンテナアレイ80の製造が容易になるとともに、光アンテナ10を狭ピッチで配置し、光アンテナアレイ80を小型化することができる。
【0078】
(他の実施形態)
なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0079】
第2回折格子群70が導波路50および第1回折格子群60の下部に配置されていてもよい。例えば、第2回折格子群70を構成する第2コア層42が第1クラッド層31の上面に形成され、導波路50および第1回折格子群60を構成する第1コア層41が第2クラッド層32の上面に形成されていてもよい。このような構成においても、第1回折格子61と第2回折格子71の上方への射出光の光量と位相を揃えることにより、基板20の上面への出射効率を向上させることができる。
【0080】
上記実施形態では0次モードの光について説明したが、1次モード以上の光についても、電界強度分布を考慮して第1回折格子群60、第2回折格子群70を配置することにより、出射効率を向上させることができる。
【0081】
第1実施形態において第3実施形態のように第1回折格子612、第2回折格子712のオフセットを設けてもよい。第2、第3実施形態の光アンテナ10を用いて第4実施形態の光アンテナアレイ80を構成してもよい。
【0082】
導波路50が直線状ではなく曲がった形状とされていてもよい。
【0083】
(本開示の観点)
[第1の観点]
光アンテナであって、
光を伝搬する導波路(50)と、
前記導波路の延設方向を第1方向とし、前記第1方向に垂直な方向を第2方向とし、前記第1方向および前記第2方向の両方に垂直な方向を第3方向として、前記第2方向における前記導波路の両側に、前記第1方向において所定の周期で配置された複数の第1回折格子(61、611、612)を含む第1回折格子群(60)と、
前記第2方向における前記導波路の両側に、前記第1方向において前記第1回折格子と同じ周期で配置された複数の第2回折格子(71、711、712)を含む第2回折格子群(70)と、を備え、
前記第1方向および前記第3方向において、前記第1回折格子と前記第2回折格子とは重心位置が互いに異なり、
前記第2方向において、前記第2回折格子は前記第1回折格子よりも前記導波路に近い位置に配置されている光アンテナ。
[第2の観点]
前記導波路、前記第1回折格子、前記第2回折格子は、基板(20)上に積層された複数の膜の一部で構成されており、
前記第1回折格子は、前記導波路と同じ階層の膜で構成されており、
前記第2回折格子は、前記導波路と異なる階層の膜で構成されている第1の観点に記載の光アンテナ。
[第3の観点]
前記第2回折格子の重心位置は、前記導波路に対して前記第3方向の上部にある第1または第2の観点に記載の光アンテナ。
[第4の観点]
前記導波路、前記第1回折格子、前記第2回折格子は、互いに離された状態で配置されている第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の光アンテナ。
[第5の観点]
前記第2回折格子は、前記導波路および前記第1回折格子よりも屈折率が低い材料で構成されている第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の光アンテナ。
[第6の観点]
前記導波路および前記第1回折格子はシリコンで構成されており、
前記第2回折格子は窒化シリコンで構成されている第5の観点に記載の光アンテナ。
[第7の観点]
前記導波路に対して前記第2方向の一方側に配置された前記第1回折格子を第1一方側回折格子(611)とし、
前記導波路に対して前記第2方向の他方側に配置された前記第1回折格子を第1他方側回折格子(612)とし、
前記導波路に対して前記第2方向の一方側に配置された前記第2回折格子を第2一方側回折格子(711)とし、
前記導波路に対して前記第2方向の他方側に配置された前記第2回折格子を第2他方側回折格子(712)として、
複数の前記第1他方側回折格子は、複数の前記第1一方側回折格子に対して、前記第1方向にオフセットされて配置されており、
複数の前記第2他方側回折格子は、複数の前記第2一方側回折格子に対して、前記第1方向にオフセットされて配置されており、
前記第1一方側回折格子に対する前記第1他方側回折格子のオフセットの量は、前記第2一方側回折格子に対する前記第2他方側回折格子のオフセットの量と等しい第1ないし第6の観点のいずれか1つに記載の光アンテナ。
[第8の観点]
前記第1一方側回折格子に対する前記第1他方側回折格子のオフセットの量、および、前記第2一方側回折格子に対する前記第2他方側回折格子のオフセットの量は、前記第1方向における前記第1回折格子および前記第2回折格子の周期の半分である第7の観点に記載の光アンテナ。
[第9の観点]
光アンテナアレイであって、
第1ないし第8の観点のいずれか1つに記載の光アンテナ(10、11、12、13)を複数備える光アンテナアレイ。
[第10の観点]
該複数の光アンテナのうち少なくとも2つの光アンテナは、前記第1回折格子を共有する第9の観点に記載の光アンテナアレイ。
【符号の説明】
【0084】
50 導波路
60 第1回折格子群
61、611、612 第1回折格子
70 第2回折格子群
71、711、712 第2回折格子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15