(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166695
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】食品用日持ち向上剤および食品の日持ち向上方法
(51)【国際特許分類】
A23L 3/3544 20060101AFI20241122BHJP
A23L 3/3562 20060101ALI20241122BHJP
A23L 3/3508 20060101ALI20241122BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20241122BHJP
A23L 27/50 20160101ALI20241122BHJP
【FI】
A23L3/3544
A23L3/3562
A23L3/3508
A23L27/00 D
A23L27/50 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082983
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】516089979
【氏名又は名称】株式会社ウエノフードテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】上杉 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏子
【テーマコード(参考)】
4B021
4B039
4B047
【Fターム(参考)】
4B021LA42
4B021LW03
4B021LW07
4B021MC01
4B021MK02
4B021MK20
4B021MK24
4B021MK25
4B021MK28
4B021MP01
4B039LB01
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4B047LF10
4B047LG09
4B047LG23
4B047LG35
4B047LG65
(57)【要約】
【課題】 真菌類や乳酸菌による食品腐敗の抑制効果が高く、ビタミンB1塩の臭気が抑制された食品用日持ち向上剤を提供する。
【解決手段】 ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料を含有することを特徴とする食品用日持ち向上剤、並びにビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料を食品に添加することを特徴とする食品の日持ち向上方法を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料を含有することを特徴とする食品用日持ち向上剤。
【請求項2】
ビタミンB1塩1重量部に対し、有機酸および/または有機酸塩0.5~100重量部、甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料0.5~20重量部含有する請求項1に記載の食品用日持ち向上剤。
【請求項3】
ビタミンB1塩がビタミンB1ラウリル硫酸塩である、請求頂1に記載の食品用日持ち向上剤。
【請求項4】
有機酸および/または有機酸塩が、酢酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、アジピン酸、ソルビン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩からなる群より選ばれる1種以上である、請求頂1に記載の食品用日持ち向上剤。
【請求項5】
ビタミンB1塩1重量部に対し、酢酸3~30重量部、乳酸ナトリウム0.1~10重量部、甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料0.5~20重量部含有する請求項1に記載の食品用日持ち向上剤。
【請求項6】
甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料に含まれる粗灰分が1~3.5重量%である、請求項1に記載の食品用日持ち向上剤。
【請求項7】
1重量%水溶液を調製した際のpHが1~5.5である、請求項1に記載の食品用日持ち向上剤。
【請求項8】
ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料を食品に添加することを特徴とする食品の日持ち向上方法。
【請求項9】
食品が、しょうゆ、タレ、つゆ、漬物、珍味からなる群から選ばれる1種以上である、請求項8記載の食品の日持ち向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真菌類や乳酸菌による食品腐敗の抑制効果が高く、ビタミンB1塩の臭気が抑制された食品用日持ち向上剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食品分野では、食品の保存性を向上させるために様々な食品保存剤が用いられている。その中でもビタミンB1(チアミン)ラウリル硫酸塩等のビタミンB1塩は種々の微生物に対する抗菌力に優れることが知られている。特に、カビや酵母等の真菌類や乳酸菌に対し、有効であることから、醤油、タレ、つゆ等の防腐や、浅漬け、キムチ等の過発酵抑制に利用されている。しかしながら、ビタミンB1塩は特有の臭気を有するために、添加量を制限せざるを得ず、十分な保存効果が得られない傾向があった。そのため、ビタミンB1塩と他の食品添加剤を組み合わせた組成物が提案されている。
【0003】
特許文献1には、キトサン、チアミンラウリル硫酸塩、乳酸、乳酸ナトリウムおよびエチルアルコールを含む食品保存用水溶性組成物が記載されているが、エチルアルコールと乳酸が共存する場合、乳酸エチルが発生するという課題やキトサンが食品中の蛋白質と凝集し、不活化することにより十分な保存効果が得られないという課題があった。
【0004】
特許文献2には、チアミンラウリル硫酸塩と乳酸および/または乳酸ナトリウムとを組み合わせた抗菌剤が記載されている。しかしながら、乳酸や乳酸ナトリウムとの組み合わせでは、チアミンラウリル硫酸塩の特有の臭気は抑制されず、食品の風味が損なわれる傾向があった。また、チアミンラウリル硫酸塩の溶解には、高濃度の乳酸が必要となるため、食品の味質が損なわれる傾向があった。
【0005】
特許文献3には、ビタミンB1およびマルチトールを有効成分として含有する日持ち向上剤が記載されている。しかしながら、マルチトールではビタミンB1特有の臭気の抑制が不十分であり、また、粉末状のマルチトールを用いた場合には、保管中に固結を生じやすいという課題があった。
【0006】
したがって、ビタミンB1塩特有の臭気が抑制され、真菌類や乳酸菌に対し、優れた静菌作用を有する食品保存剤が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-206356号公報
【特許文献2】特開2007-063149号公報
【特許文献3】特開2008-295349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ビタミンB1塩特有の臭気を抑制すると共に、カビや酵母等の真菌類や乳酸菌の増殖を抑制し、食品の保存性を改善することが可能な食品用日持ち向上剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ビタミンB1塩に、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料とを併用することにより、ビタミンB1塩特有の臭気を抑制しつつ、それぞれを単独で使用した場合に比べて相乗的に真菌類あるいは乳酸菌の増殖を抑制し、食品の風味に影響を及ぼすことなく食品の保存性が著しく改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料を含有することを特徴とする食品用日持ち向上剤に関する。また、本発明は、ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、並びに甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料を食品に添加することを特徴とする食品の日持ち向上方法も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食品用日持ち向上剤は、ビタミンB1塩を含んでいるにもかかわらず、ビタミンB1特有の臭気が抑制され、食品本来の風味を損ないにくい。本発明の食品用日持ち向上剤は、特にカビ、酵母、乳酸菌による汚染を防ぎ、食品の保存性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の食品用日持ち向上剤に含有させるビタミンB1塩としてはラウリル硫酸塩、セチル硫酸塩等が挙げられる。その中でも溶解性の点および微生物の増殖抑制効果の点でラウリル硫酸塩が好ましい。ビタミンB1塩は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0013】
ビタミンB1塩の割合は、特に限定されないが、食品用日持ち向上剤全量に対して、0.5~20重量%が好ましく、1~15重量%がより好ましく、2~10重量%がさらに好ましい。2~3.5重量%のものが例示される。ビタミンB1塩の割合が0.5重量%未満の場合、微生物の増殖抑制効果が不十分となる傾向があり、20重量%を超える場合、ビタミンB1塩特有の臭気の抑制が不十分となる傾向がある。
【0014】
本発明の食品用日持ち向上剤に使用する有機酸としては酢酸、乳酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、アジピン酸、ソルビン酸等が挙げられる。有機酸塩としては前記有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩が挙げられる。これら有機酸類のなかでも、酢酸、乳酸ナトリウム、グルコン酸、クエン酸が好ましく、酢酸、乳酸ナトリウム、グルコン酸がより好ましく、酢酸、乳酸ナトリウムがさらに好ましく、酢酸と乳酸ナトリウムの併用が特に好ましい。
【0015】
本発明の食品用日持ち向上剤における有機酸および/または有機酸塩の割合は、有機酸および有機酸塩の合計量がビタミンB1塩1重量部に対し、0.5~100重量部であるものが好ましく、1~50重量部であるものがより好ましく、3~30重量部であるものがさらに好ましい。有機酸および/または有機酸塩の割合が、0.5重量部未満である場合、日持ち向上効果が不十分となる傾向があり、100重量部を超える場合、酸味や酸臭により食品の味質が損なわれる傾向がある。
【0016】
有機酸と有機酸塩の配合比は限定的ではないが、有機酸1重量部に対して有機酸塩が好ましくは0~0.5重量部、より好ましくは0.01~0.2重量部、さらに好ましくは0.05~0.15重量部である。
【0017】
本発明の食品用日持ち向上剤に使用する甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料(以下、砂糖調製品と称することがある)としては、市販品の他、甜菜糖とサトウキビ由来の糖蜜を個々に入手し、混合してもよい。
【0018】
甜菜糖はヒユ科植物の甜菜から得られる糖であり、製造法の違いにより精製糖(分蜜糖)と含蜜糖に分けられる。本発明においては、いずれを用いてもよい。
【0019】
サトウキビ由来の糖蜜は、サトウキビから精製糖を製造する際に分離される糖分以外の成分を多く含む液体であり、廃糖蜜あるいはモラセスとして入手可能なものを意味する。
【0020】
甜菜糖とサトウキビ由来の糖蜜を混合する場合、目的に応じて任意の割合で混合すればよいが、ビタミンB1塩特有の臭気を抑制し、且つ食品の味質への影響を最小限とするための目安として、砂糖調製品に含まれる粗灰分が、好ましくは1~3.5重量%、より好ましくは1.5~3.4重量%、さらに好ましくは2~3.3重量%となるように混合するのが好ましい。尚、粗灰分は、食品添加物公定書第9版B一般試験法6.灰分及び酸不溶性灰分試験法に記載される灰分試験法に準じた直接灰化法により測定された値を意味する。
【0021】
本発明の食品用日持ち向上剤における砂糖調製品の割合は、ビタミンB1塩1重量部に対し、0.5~20重量部であるものが好ましく、1~15重量部であるものがより好ましく、1.5~10重量部であるものがさらに好ましい。砂糖調製品の割合が、0.5重量部未満である場合、ビタミンB1塩特有の臭気の抑制が不十分となる傾向があり、20重量部を超える場合、甘味により食品の味質が損なわれる傾向がある。
【0022】
本発明の食品用日持ち向上剤の好ましい態様としては、ビタミンB1塩1重量部に対し、酢酸3~30重量部、乳酸ナトリウム0.1~10重量部、砂糖調製品0.5~20重量部含有するものが例示される。
【0023】
本発明の食品用日持ち向上剤のより好ましい態様としては、ビタミンB1塩1重量部に対し、酢酸3.5~25重量部、乳酸ナトリウム0.15~8重量部、甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料1~15重量部含有するものが例示される。
【0024】
本発明の食品用日持ち向上剤のさらに好ましい態様としては、ビタミンB1塩1重量部に対し、酢酸4~20重量部、乳酸ナトリウム0.2~5重量部、甜菜糖およびサトウキビ由来の糖蜜からなる調味料1.5~10重量部含有するものが例示される。
【0025】
また、本発明の食品用日持ち向上剤は、1重量%水溶液を調製した際のpHが、1~5.5であるのが好ましく、1.5~5であるのがより好ましく、2~4.5であるのがさらに好ましい。
【0026】
本発明の食品用日持ち向上剤には、食品の味質や風味に影響を与えない範囲で更に無機酸、無機酸塩、アミノ酸、脂肪酸、脂肪酸エステル、塩基性蛋白・ペプチド、エタノール等の通常食品保存に用いられる他の成分を含有させてもよい。ただし、エタノールを含有させると割合によっては濁りが生じる傾向がある。
【0027】
無機酸および無機酸塩としては、リン酸およびリン酸塩が挙げられる。アミノ酸としてはグリシン、アラニン等が挙げられる。脂肪酸としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の炭素原子数6~18の脂肪酸が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。塩基性蛋白・ペプチドとしてはプロタミン、リゾチーム、ε-ポリリジン、キトサン、ペクチン分解物、ナイシン等が挙げられる。これらの成分は2種以上であってもよい。
【0028】
本発明の食品用日持ち向上剤は、直接食品に添加することにより、食品の保存性を改善することができる。また、本発明の食品用日持ち向上剤に食品を浸漬または食品に噴霧もしくは塗布することによって適用してもよい。
【0029】
食品への適用は、食品加工のいずれの段階であってもよく、加熱食品および非加熱食品の製造工程中、任意の段階で添加すればよい。
【0030】
なお、本発明の食品保存方法においては、予め調製した本発明の食品用日持ち向上剤を食品へ適用する態様のみならず、ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、砂糖調製品をそれぞれの割合が上記範囲となるよう個別に食品へ適用する態様もまた含むものとする。
【0031】
本発明の食品用日持ち向上剤の食品に対する適用量は、ビタミンB1塩、有機酸および/または有機酸塩、砂糖調製品間の割合が上記の範囲内でありかつ、食品全量に対し、ビタミンB1塩の割合が、0.0005~0.05重量%、有機酸および/または有機酸塩の割合が0.005~0.05重量%、砂糖調製品の割合が0.001~0.04重量%となるように適用するのが好ましい。ビタミンB1塩の割合が0.001~0.01重量%、有機酸および/または有機酸塩の割合が0.006~0.04重量%、砂糖調製品の割合が0.002~0.04重量%となるように添加するのがより好ましく、ビタミンB1塩の割合が0.002~0.005重量%、有機酸および/または有機酸塩の割合が0.008~0.02重量%、砂糖調製品の割合が0.004~0.01重量%となるように添加するのがさらに好ましい。
【0032】
食品全量に対するビタミンB1塩の割合が0.0005重量%未満、または有機酸および/または有機酸塩の割合が0.005重量%未満、または砂糖調製品の割合が0.001重量%未満の場合、保存条件によっては微生物増殖抑制効果が不十分となる傾向がある。また、食品全量に対するビタミンB1塩の割合が0.05重量%を超える、有機酸および/または有機酸塩の割合が0.0.05重量%を超える、砂糖調製品の割合が0.04重量%を超える場合には食品中に溶け残りが発生するなど、食品本来の風味が損なわれる傾向がある。
【0033】
本発明の食品用日持ち向上剤が使用可能な食品としては、特に限定されるものではなく、非加熱の食品、加熱工程を含む食品のいずれにも適用可能である。例えば、浅漬け、キムチなどの漬物、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、魚肉ソーセージなどの水産製品、イカ塩辛、ウニ塩蔵品等の珍味、コロッケ、トンカツ、フライドチキン、魚フライ、唐揚げなどのフライ製品、ハンバーグ、肉団子、餃子、シュウマイ、ソーセージなどの食肉惣菜、カステラ、スポンジケーキ、饅頭等の和・洋菓子、果汁、ジャムなどの果実加工品、しょう油、つゆ、タレ、ソースなどの調味料等に幅広く使用可能である。特に従来からカビ、酵母等の真菌類や乳酸菌による汚染の報告が多い、しょうゆ、タレ、つゆ、漬物、珍味に優れた効果を発揮する。
【0034】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0035】
実施例1~2および比較例1~2
表1に示す食品用日持ち向上剤(組成物A~D)を調製した。なお、本願実施例の各表において各配合成分の数値はいずれも重量%を示す。また、本実施例に用いた供試菌(産膜酵母)および材料を下記に示す。
【0036】
【0037】
供試菌:Zygosaccharomyces sp.(しょうゆ分離株)
しょうゆ:無添加丸大豆生しょうゆ(フンドーキン醤油株式会社製)
【0038】
しょうゆの保存試験
しょうゆ800gをIHヒーターで4分30秒間煮沸し、冷却後、滅菌水で800gにメスアップした(以下、調整しょうゆと称する)。次いで、供試菌を5%NaCl SCD培地で30℃、24時間培養し、生理食塩水で10倍に希釈して菌液を調製した。調整しょうゆ75gに、表1に示す各組成物を0.05%添加し、菌液を約102CFU/mlとなるように接種した後、25℃の環境下で保存し、2日間、4日間、8日間経過後の菌数を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
【0040】
本発明の食品用日持ち向上剤(組成物AまたはB)を添加した醤油は、8日間経過後も菌の増殖が確認されなかった。
【0041】
官能評価
ビタミンB1臭
表1に示す組成物A~Cの20重量%水溶液を調製し、パネラー10名により、二点比較法(組成物Cの水溶液を対象として、ビタミンB1臭を強く感じた方を選択)により、ビタミンB1臭を評価した。結果を表3および4に示す。
【0042】
【0043】
【0044】
本発明の食品用日持ち向上剤(組成物AまたはB)は、砂糖調製品を含まない組成物Cに対して、いずれもビタミンB1特有の臭気が抑制されていることが確認された。
【0045】
味質
無添加丸大豆生しょうゆ(フンドーキン醤油株式会社製)に表1に示す組成物AおよびBを0.06重量%添加したしょうゆの味を、何も添加しない無添加丸大豆生しょうゆの味と三点識別法(組成物を添加しないしょうゆ2種と組成物を添加したしょうゆ1種の中から組成物を添加したしょうゆを選択)により比較した。パネラー10名による評価結果を表5および6示す。
【0046】
【0047】
【0048】
評価結果に有意差はなく、本発明の食品用日持ち向上剤(組成物AまたはB)は、いずれも何も添加しない無添加丸大豆しょうゆと同等の味質であったことが確認された。