(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166699
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】エンジン制御方法
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20241122BHJP
F02D 41/34 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F02D45/00 362
F02D41/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082989
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】秋元 良友
(72)【発明者】
【氏名】田中 保嗣
【テーマコード(参考)】
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G301JA04
3G301JA34
3G301MA01
3G301MA11
3G301NE15
3G301PA11Z
3G301PD02Z
3G301PE01Z
3G384AA27
3G384BA09
3G384BA13
3G384DA15
3G384DA50
3G384EB07
3G384FA04Z
3G384FA40Z
3G384FA56Z
(57)【要約】
【課題】エンジンのトルクの変化を緩和させつつ、エンジンの過回転を防止するエンジン制御方法を提供する。
【解決手段】第1気筒15aと第2気筒15bを備えるエンジン11を制御するエンジン制御方法は、第1工程と第2工程と第3工程を備える。第1工程では、回転速度Aが第1基準値B1以上で、かつ、第2基準値B2未満であるとき、第1空燃比D1が理論空燃比よりもリーンになるように第1量Q1は制御され、第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンになるように第2量Q2は制御される。第2工程では、回転速度Aが第2基準値B2以上で、かつ、第3基準値B3未満であるとき、第1量Q1はゼロに制御され、第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンになるように第2量Q2は制御される。第3工程では、回転速度Aが第3基準値B3以上であるとき、第1量Q1はゼロに制御され、第2量Q2はゼロに制御される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1気筒と第2気筒を備えるエンジンを制御するエンジン制御方法であって、
前記エンジンの回転速度が第1基準値以上で、かつ、前記第1基準値よりも大きな第2基準値未満であるとき、前記第1気筒に供給される混合気の空燃比である第1空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように前記第1気筒に供給される燃料の量である第1量を制御し、前記第2気筒に供給される混合気の空燃比である第2空燃比が前記理論空燃比よりもリーンになるように前記第2気筒に供給される燃料の量である第2量を制御する第1工程と、
前記エンジンの前記回転速度が前記第2基準値以上で、かつ、前記第2基準値よりも大きな第3基準値未満であるとき、前記第1量をゼロに制御し、前記第2空燃比が前記理論空燃比よりもリーンになるように前記第2量を制御する第2工程と、
前記エンジンの前記回転速度が前記第3基準値以上であるとき、前記第1量をゼロに制御し、前記第2量をゼロに制御する第3工程と、
を備える
エンジン制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジン制御方法において、
前記第1工程では、前記第1空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように前記第2量は制御され、
前記第2工程では、前記第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように前記第2量は制御される
エンジン制御方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエンジン制御方法において、
前記エンジンの前記回転速度が前記第1基準値よりも小さな第4基準値以上で、かつ、前記第1基準値未満であるとき、前記第1量と前記第2量を制御する第4工程を、さらに備え、
前記第4工程では、前記第4工程の前記第1空燃比が前記第1工程の前記第1空燃比よりもリッチになるように前記第1量は制御され、前記第4工程の前記第2空燃比が前記第1工程の前記第2空燃比よりもリッチになるように前記第2量は制御される
エンジン制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載のエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が16未満になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が16未満になるように前記第2量は制御される
エンジン制御方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載のエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が12以下になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が12以下になるように前記第2量は制御される
エンジン制御方法。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第4工程から前記第1工程に移行するとき、前記第1量は減少し、かつ、前記第2量は減少する
エンジン制御方法。
【請求項7】
請求項3から6のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第4基準値と前記第1基準値の間の差は、100rpm以下である
エンジン制御方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第1工程では、前記第2空燃比は、前記第1空燃比と等しい
エンジン制御方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第1工程では、前記第2量は、前記第1量と等しい
エンジン制御方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第1基準値は、7000rpm以上である
エンジン制御方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第2基準値と前記第1基準値の間の差は、前記第3基準値と前記第2基準値の間の差よりも小さい
エンジン制御方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第3基準値と前記第2基準値の間の差は、前記第2基準値と前記第1基準値の間の差の2倍以上である
エンジン制御方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第2基準値と前記第1基準値の間の差は、200rpm以下である
エンジン制御方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記第1気筒に連通する第1吸気部に設けられる第1燃料噴射装置を制御することによって、前記第1量は制御され、
前記第2気筒に連通する第2吸気部に設けられる第2燃料噴射装置を制御することによって、前記第2量は制御される
エンジン制御方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のエンジン制御方法において、
前記エンジンは、鞍乗型車両に搭載される
エンジン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は車両を開示する。車両は、エンジンと第1燃料噴射装置と第2燃料噴射装置を備える。エンジンは、第1気筒と第2気筒を有する。第1燃料噴射装置は、第1気筒に燃料を供給する。第2燃料噴射装置は、第2気筒に燃料を供給する。燃料が第1気筒および第2気筒において燃焼することによって、エンジンは回転し、エンジンはトルクを出力する。
【0003】
車両は、燃料カット制御装置を備える。燃料カット制御装置は、エンジンの回転速度に基づいて、第1燃料噴射装置と第2燃料噴射装置を制御する。具体的には、燃料カット制御装置は、第1工程と第2工程と第3工程を実行する。
【0004】
エンジンの回転速度が第1基準値以下であるとき、第1工程は実行される。第1工程では、燃料カット制御装置は、第1気筒への燃料の供給をカットせず、かつ、第2気筒への燃料の供給をカットしない。すなわち、第1工程では、燃料カット制御装置は、第1気筒に燃料を供給し、第2気筒に燃料を供給する。
【0005】
エンジンの回転速度が第1基準値よりも大きく、かつ、第2基準値以下のとき、第2工程は実行される。第2工程では、燃料カット制御装置は、第1気筒への燃料の供給をカットし、第2気筒への燃料の供給をカットしない。すなわち、第2工程では、燃料カット制御装置は、第1気筒への燃料の供給を停止し、第2気筒に燃料を供給する。このため、第2工程では、エンジンの回転速度を上げることは難しい。
【0006】
エンジンの回転速度が第2基準値よりも大きいとき、第3工程は実行される。第3工程では、燃料カット制御装置は、第1気筒への燃料の供給をカットし、第2気筒への燃料の供給をカットする。すなわち、第3工程では、燃料カット制御装置は、第1気筒への燃料の供給を停止し、第2気筒への燃料の供給を停止する。このため、第3工程では、エンジンの回転速度を上げることは一層難しい。
【0007】
まとめると、燃料カット制御装置は、第2工程と第3工程を備える。このため、エンジンの回転速度は過度に高くなり難い。すなわち、燃料カット制御装置は、エンジンの過回転を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の燃料カット制御装置では、第1工程において第1気筒に供給される燃料の量と第2工程において第1気筒に供給される燃料の量の間の差は、大きい。このため、第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は激しい。
【0010】
特許文献1の燃料カット制御装置では、第1工程から第2工程に移行するとき、第1気筒に供給される燃料の減少量は大きい。このため、第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は大きい。
【0011】
同様の理由により、第2工程から第3工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は激しい。第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は大きい。
【0012】
エンジンのトルクの変化が激しいとき、車両の挙動の変化は激しい。エンジンのトルクの減少量が大きいとき、車両は著しく減速する。
【0013】
車両の挙動の変化が激しいとき、車両のドライバビリティは悪化し易い。車両の挙動の変化が激しいとき、運転者の乗り心地は低下し易い。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エンジンのトルクの変化を緩和させつつ、エンジンの過回転を防止するエンジン制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、第1気筒と第2気筒を備えるエンジンを制御するエンジン制御方法であって、
前記エンジンの回転速度が第1基準値以上で、かつ、前記第1基準値よりも大きな第2基準値未満であるとき、前記第1気筒に供給される混合気の空燃比である第1空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように前記第1気筒に供給される燃料の量である第1量を制御し、前記第2気筒に供給される混合気の空燃比である第2空燃比が前記理論空燃比よりもリーンになるように前記第2気筒に供給される燃料の量である第2量を制御する第1工程と、
前記エンジンの前記回転速度が前記第2基準値以上で、かつ、前記第2基準値よりも大きな第3基準値未満であるとき、前記第1量をゼロに制御し、前記第2空燃比が前記理論空燃比よりもリーンになるように前記第2量を制御する第2工程と、
前記エンジンの前記回転速度が前記第3基準値以上であるとき、前記第1量をゼロに制御し、前記第2量をゼロに制御する第3工程と、
を備える
エンジン制御方法である。
【0016】
エンジン制御方法はエンジンを制御するためのものである。エンジンは第1気筒と第2気筒を備える。エンジン制御方法は、第1工程と第2工程と第3工程を備える。エンジンの回転速度が第1基準値以上で、かつ、第2基準値未満であるとき、第1工程は実行される。エンジンの回転速度が第2基準値以上で、かつ、第3基準値未満であるとき、第2工程は実行される。エンジンの回転速度が第3基準値以上であるとき、第3工程は実行される。第2基準値は、第1基準値よりも大きい。第3基準値は、第2基準値よりも大きい。
【0017】
第1工程と第2工程と第3工程では、第1量と第2量が制御される。第1量は、第1気筒に供給される燃料の量である。第2量は、第2気筒に供給される燃料の量である。
【0018】
第1工程では、第1空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように、第1量は制御される。第1空燃比は、第1気筒に供給される混合気の空燃比である。このため、第1工程の第1量は、比較的に少ない。第1工程の第1量は、ゼロよりも大きい。第1工程では、第2空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように、第2量は制御される。第2空燃比は、第2気筒に供給される混合気の空燃比である。このため、第1工程の第2量は、比較的に少ない。第1工程の第2量は、ゼロよりも大きい。
【0019】
第2工程では、第1量はゼロに制御される。このため、第2工程の第1量は、ゼロである。第2工程では、第1気筒への燃料の供給は停止される。第2工程では、第2空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように、第2量は制御される。このため、第2工程の第2量は、比較的に少ない。第2工程の第2量は、ゼロよりも大きい。
【0020】
第3工程では、第1量はゼロに制御される。このため、第3工程の第1量は、ゼロである。第3工程では、第1気筒への燃料の供給は停止される。第3工程では、第2量はゼロに制御される。このため、第3工程の第2量は、ゼロである。第3工程では、第2気筒への燃料の供給は停止される。
【0021】
上述の通り、第1工程の第1量は、比較的に少ない。第1工程の第2量は、比較的に少ない。よって、第1工程では、エンジンの回転速度を上げることは少し難しい。
【0022】
上述の通り、第2工程の第1量は、ゼロである。第2工程の第2量は、比較的に少ない。よって、第2工程では、エンジンの回転速度を上げることは難しい。
【0023】
上述の通り、第3工程の第1量は、ゼロである。第3工程の第2量は、ゼロである。よって、第3工程では、エンジンの回転速度を上げることは一層難しい。
【0024】
上述の通り、第1工程の第1量は、比較的に少ない。第2工程の第1量は、ゼロである。このため、第1工程から第2工程に移行するとき、第1量は減少する。第1工程の第1量と第2工程の第1量の間の差は、比較的に小さい。第1工程から第2工程に移行するとき、第1量の減少量は比較的に小さい。上述の通り、第1工程の第2量は、比較的に少ない。第2工程の第2量は、比較的に少ない。このため、第1工程の第2量と第2工程の第2量の間の差は、とても小さい。よって、第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は穏やかである。第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は小さい。
【0025】
上述の通り、第2工程の第1量は、ゼロである。第3工程の第1量は、ゼロである。このため、第2工程の第1量と第3工程の第1量の間の差は、無い。第2工程から第3工程に移行するとき、第1量は増減しない。上述の通り、第2工程の第2量は、比較的に少ない。第3工程の第2量は、ゼロである。このため、第2工程から第3工程に移行するとき、第2量は減少する。第2工程の第2量と第3工程の第2量の間の差は、比較的に小さい。第2工程から第3工程に移行するとき、第2量の減少量は比較的に小さい。よって、第2工程から第3工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は穏やかである。第2工程から第3工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は小さい。
【0026】
まとめると、エンジン制御方法では、エンジンの回転速度が高くなるにしたがって、第1量と第2量は緩やかに減少する。言い換えれば、エンジンの回転速度が高くなるにしたがって、エンジン制御方法は第1量と第2量を緩やかにカットする。よって、エンジン制御方法は、エンジンのトルクの変化を緩和させつつ、エンジンの過回転を防止する。エンジン制御方法は、エンジンのトルクの変化を緩和させつつ、エンジンの回転速度が過度に高くなることを防止する。
【0027】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1工程では、前記第1空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように前記第2量は制御され、
前記第2工程では、前記第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
【0028】
第1工程では、第1空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように第1量は制御される。このため、第1工程の第1空燃比を理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0029】
第1工程では、第1空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように第1量は制御される。このため、第1工程の第1量は、一層少ない。よって、第1工程の第1量と第2工程の第1量の間の差は、一層小さい。第1工程から第2工程に移行するとき、第1量の減少量は一層小さい。したがって、第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は一層穏やかである。第1工程から第2工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は一層小さい。
【0030】
第1工程では、第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように第2量は制御される。このため、第1工程の第2空燃比を理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0031】
第2工程では、第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように第2量は制御される。このため、第2工程の第2空燃比を理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0032】
第2工程では、第2空燃比が16以上で、かつ、20以下になるように第2量は制御される。このため、第2工程の第2量は、一層少ない。よって、第2工程の第2量と第3工程の第2量の間の差は、比較的に小さい。第2工程から第3工程に移行するとき、第2量の減少量は一層小さい。したがって、第2工程から第3工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は一層穏やかである。第2工程から第3工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は一層小さい。
【0033】
上述したエンジン制御方法において、
前記エンジンの前記回転速度が前記第1基準値よりも小さな第4基準値以上で、かつ、前記第1基準値未満であるとき、前記第1量と前記第2量を制御する第4工程を、さらに備え、
前記第4工程では、前記第4工程の前記第1空燃比が前記第1工程の前記第1空燃比よりもリッチになるように前記第1量は制御され、前記第4工程の前記第2空燃比が前記第1工程の前記第2空燃比よりもリッチになるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
【0034】
エンジン制御方法は、第4工程を備える。エンジンの回転速度が第4基準値以上で、かつ、第1基準値未満であるとき、第4工程は実行される。第4基準値は、第1基準値よりも小さい。第4工程では、第1量と第2量は制御される。
【0035】
第4工程では、第4工程の第1空燃比が第1工程の第1空燃比よりもリッチになるように、第1量は制御される。このため、第4工程の第1量は、比較的に多い。第4工程では、第4工程の第2空燃比が第1工程の第2空燃比よりもリッチになるように、第2量は制御される。このため、第4工程の第2量は、比較的に多い。
【0036】
上述の通り、第1工程の第1量は、ゼロよりも大きい。このため、第4工程の第1量と第1工程の第1量の間の差は、比較的に小さい。上述の通り、第1工程の第2量は、ゼロよりも大きい。このため、第4工程の第2量と第1工程の第2量の間の差は、比較的に小さい。よって、第4工程から第1工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は穏やかである。
【0037】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が16未満になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が16未満になるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
このため、第4工程の第1空燃比を第1工程の第1空燃比よりもリッチにすることは、容易である。第4工程の第2空燃比を第1工程の第2空燃比よりもリッチにすることは、容易である。
【0038】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が15以下になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が15以下になるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
このため、第4工程の第1空燃比を第1工程の第1空燃比よりもリッチにすることは、一層容易である。第4工程の第2空燃比を第1工程の第2空燃比よりもリッチにすることは、一層容易である。
【0039】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が13以下になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が13以下になるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
このため、第4工程の第1空燃比を第1工程の第1空燃比よりもリッチにすることは、一層容易である。第4工程の第2空燃比を第1工程の第2空燃比よりもリッチにすることは、一層容易である。
【0040】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が12以下になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が12以下になるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
このため、第4工程の第1空燃比を第1工程の第1空燃比よりもリッチにすることは、一層容易である。第4工程の第2空燃比を第1工程の第2空燃比よりもリッチにすることは、一層容易である。
【0041】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4工程から前記第1工程に移行するとき、前記第1量は減少し、かつ、前記第2量は減少する
ことが好ましい。
第4工程から第1工程に移行するとき、第1量は減少する。上述の通り、第4工程の第1量と第1工程の第1量の間の差は、比較的に小さい。このため、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量の減少量は比較的に小さい。第4工程から第1工程に移行するとき、第2量は減少する。上述の通り、第4工程の第2量と第1工程の第2量の間の差は、比較的に小さい。このため、第4工程から第1工程に移行するとき、第2量の減少量は比較的に小さい。よって、第4工程から第1工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は小さい。
【0042】
上述の通り、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量は減少する。このため、第1工程において、第1空燃比を理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0043】
上述の通り、第4工程から第1工程に移行するとき、第2量は減少する。このため、第1工程において、第2空燃比を理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0044】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4工程では、前記第1空燃比が5以上になるように前記第1量は制御され、前記第2空燃比が5以上になるように前記第2量は制御される
ことが好ましい。
第4工程では、第1空燃比が5以上になるように第1量は制御される。このため、第4工程の第1量は、過度に多くない。よって、第4工程の第1量と第1工程の第1量の間の差は、過度に大きくない。第4工程から第1工程に移行するとき、第1量の減少量は過度に大きくない。第4工程では、第2空燃比が5以上になるように第2量は制御される。このため、第4工程の第2量は、過度に多くない。よって、第4工程の第2量と第1工程の第2量の間の差は、過度に大きくない。第4工程から第1工程に移行するとき、第2量の減少量は過度に大きくない。したがって、第4工程から第1工程に移行するとき、エンジンのトルクの変化は過度に激しくない。第4工程から第1工程に移行するとき、エンジンのトルクの減少量は過度に大きくない。
【0045】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1工程の前記第1量は、前記第4工程の前記第1量の70%以上で、かつ、90%以下であり、
前記第1工程の前記第2量は、前記第4工程の前記第2量の70%以上で、かつ、90%以下である
ことが好ましい。
このため、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量を減少させることは容易である。第4工程から第1工程に移行するとき、第2量を減少させることは容易である。
【0046】
上述したエンジン制御方法において、
前記第4基準値と前記第1基準値の間の差は、100rpm以下である
ことが好ましい。
このように、第4工程が実行される回転速度の範囲は狭くてもよい。
【0047】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1工程では、前記第2空燃比は、前記第1空燃比と等しい
ことが好ましい。
このため、第1工程では、第2空燃比の制御は、第1空燃比の制御と共通である。よって、第1工程の制御は簡素である。
【0048】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1工程では、前記第2量は、前記第1量と等しい
ことが好ましい。
第1工程において、第2空燃比を第1空燃比と等しくすることは、容易である。
【0049】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1基準値は、7000rpm以上である
ことが好ましい。
このため、エンジンの回転速度が7000rpm以上であるとき、第1工程が開始される。言い換えれば、エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、第1工程は実行されない。エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、第2工程も実行されない。エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、第3工程も実行されない。よって、エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は第1量をカットしない。エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は第2量をカットしない。したがって、エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法はエンジンのトルクを変化させない。エンジンの回転速度が7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は介入しない。
【0050】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1基準値は、8000rpm以上である
ことが好ましい。
よって、エンジンの回転速度が8000rpm未満であるとき、エンジン制御方法はエンジンのトルクを変化させない。
【0051】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1基準値は、9000rpm以上である
ことが好ましい。
よって、エンジンの回転速度が9000rpm未満であるとき、エンジン制御方法はエンジンのトルクを変化させない。
【0052】
上述したエンジン制御方法において、
前記第2基準値と前記第1基準値の間の差は、前記第3基準値と前記第2基準値の間の差よりも小さい
ことが好ましい。
第2基準値と第1基準値の間の差は、第1工程が実行されるエンジンの回転速度の範囲に相当する。第3基準値と第2基準値の間の差は、第2工程が実行されるエンジンの回転速度の範囲に相当する。このため、第1工程が実行されるエンジンの回転速度の範囲は、第2工程が実行されるエンジンの回転速度の範囲よりも、狭い。よって、第1工程の期間は比較的に短い。したがって、第1工程から第2工程に速やかに移行することは、容易である。その結果、エンジンの過回転を速やかに防止することは、容易である。
【0053】
上述したエンジン制御方法において、
前記第3基準値と前記第2基準値の間の差は、前記第2基準値と前記第1基準値の間の差の2倍以上である
ことが好ましい。
このため、第2基準値と第1基準値の間の差を、第3基準値と第2基準値の間の差よりも小さくすることは、容易である。
【0054】
上述したエンジン制御方法において、
前記第2基準値と前記第1基準値の間の差は、200rpm以下である
ことが好ましい。
このため、第2基準値と第1基準値の間の差を、第3基準値と第2基準値の間の差よりも小さくすることは、容易である。
【0055】
上述したエンジン制御方法において、
前記第3基準値と前記第2基準値の間の差は、100rpm以上である
ことが好ましい。
このため、第2基準値と第1基準値の間の差を、第3基準値と第2基準値の間の差よりも小さくすることは、容易である。
【0056】
上述したエンジン制御方法において、
前記第3基準値と前記第2基準値の間の差は、200rpm以上である
ことが好ましい。
このため、第2基準値と第1基準値の間の差を、第3基準値と第2基準値の間の差よりも小さくすることは、一層容易である。
【0057】
上述したエンジン制御方法において、
前記第3基準値と前記第2基準値の間の差は、500rpm以下である
ことが好ましい。
このため、第3基準値と第2基準値の間の差は、過度に広くない。よって、第2工程の期間は、過度に長くない。したがって、第2工程は適切なタイミングで第3工程に移行する。その結果、エンジンの過回転を適切に防止することは、容易である。
【0058】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1気筒に連通する第1吸気部に設けられる第1燃料噴射装置を制御することによって、前記第1量は制御され、
前記第2気筒に連通する第2吸気部に設けられる第2燃料噴射装置を制御することによって、前記第2量は制御される
ことが好ましい。
第1吸気部は第1気筒に連通する。第1燃料噴射装置は第1吸気部に設けられる。第1燃料噴射装置を制御することによって、第1量は制御される。ここで、第1燃料噴射装置は、第1吸気部を通じて第1気筒に燃料を供給する。このため、第1量を制御することは、容易である。同様に、第2吸気部は第2気筒に連通する。第2燃料噴射装置は第2吸気部に設けられる。第2燃料噴射装置を制御することによって、第2量は制御される。ここで、第2燃料噴射装置は、第2吸気部を通じて第2気筒に燃料を供給する。このため、第2量を制御することは、容易である。
【0059】
上述したエンジン制御方法において、
前記第1燃料噴射装置の燃料噴射時間を制御することによって、前記第1量は制御され、
前記第2燃料噴射装置の燃料噴射時間を制御することによって、前記第2量は制御される
ことが好ましい。
このため、第1量を制御することは、一層容易である。第2量を制御することは、一層容易である。
【0060】
上述したエンジン制御方法において、
前記エンジンは、鞍乗型車両に搭載される
ことが好ましい。
エンジンのトルクの変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両の挙動の変化は穏やかである。エンジンのトルクの減少量が小さいとき、鞍乗型車両は穏やかに減速する。鞍乗型車両の挙動の変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両のドライバビリティは悪化し難い。鞍乗型車両の挙動の変化が穏やかであるとき、運転者の乗り心地は低下し難い。
【発明の効果】
【0061】
エンジン制御方法は、エンジンのトルクの変化を緩和させつつ、エンジンの過回転を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】実施形態に係る鞍乗型車両の左側面図である。
【
図2】鞍乗型車両の一部を模式的に示す概念図である。
【
図3】エンジン制御方法を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、図面を参照して本発明に係る鞍乗型車両1について説明する。
【0064】
1.鞍乗型車両1の概略構成
図1は、実施形態に係る鞍乗型車両1の左側面図である。鞍乗型車両1は、ストリート型の車両に分類される。
【0065】
図1は、鞍乗型車両1の前後方向X、幅方向Yおよび上下方向Zを示す。前後方向X、幅方向Yおよび上下方向Zは、鞍乗型車両1に乗車した運転者(ライダーともいう)を基準として定義される。前後方向X、幅方向Yおよび上下方向Zは互いに直交する。前後方向Xおよび幅方向Yは、水平である。上下方向Zは、鉛直である。
【0066】
「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「右方」、「左方」はそれぞれ、鞍乗型車両1に乗車した運転者にとっての「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「右方」、「左方」を意味する。本明細書において特に断らない限り、「前方」および「後方」は、前後方向Xと平行な方向のみならず、前後方向Xに近い方向も含む。前後方向Xと近い方向は、例えば前後方向Xとのなす角度が45度以下の方向である。同様に、特に断らない限り、「右方」および「左方」は、幅方向Yと平行な方向のみならず、幅方向Yに近い方向も含む。特に断らない限り、「上方」および「下方」は、上下方向Zと平行な方向のみならず、上下方向Zに近い方向も含む。各図では、参考として、FRONT、REAR、UP、DOWN、RIGHT、LEFTを適宜に示す。
【0067】
本明細書では、「鞍乗型車両1の側面視において」を、適宜に「車両側面視において」という。
【0068】
鞍乗型車両1は、車体フレーム2を備える。車体フレーム2は、メインフレーム3を備える。メインフレーム3は、鞍乗型車両1の前部から後方に延びる。より詳しくは、メインフレーム3は、後方かつ下方に延びる。
【0069】
鞍乗型車両1はステアリング装置4と前輪8を備える。ステアリング装置4は鞍乗型車両1の前部に設けられる。ステアリング装置4は車体フレーム2に支持される。ステアリング装置4は、車体フレーム2に対して、回転可能である。前輪8は、ステアリング装置4に支持される。
【0070】
ステアリング装置4は、ハンドル5とフロントサスペンション6と前車軸7を備える。ハンドル5は、例えば、アクセル操作子(不図示)を含む。アクセル操作子は、例えば、アクセルグリップである。フロントサスペンション6は、ハンドル5から下方に延びる。前車軸7は、フロントサスペンション6の下部に支持される。前輪8は、前車軸7に支持される。前輪8は、前車軸7回りに回転可能である。
【0071】
鞍乗型車両1は、燃料タンク9を備える。燃料タンク9は、車両側面視において、メインフレーム3の上方に配置される。燃料タンク9は、ステアリング装置4の後方に配置される。燃料タンク9は、燃料を貯留する。
【0072】
鞍乗型車両1は、シート10を備える。シート10は、車両側面視において、メインフレーム3の上方に配置される。シート10は、燃料タンク9の後方に配置される。シート10の全部は、燃料タンク9の上端よりも下方に配置される。シート10の一部は、燃料タンク9と同じ高さ位置に配置される。
【0073】
鞍乗型車両1は、エンジン11を備える。エンジン11の少なくとも一部は、車両側面視において、メインフレーム3の下方に配置される。エンジン11は、ステアリング装置4の後方に配置される。エンジン11は、燃料タンク9およびシート10の下方に配置される。エンジン11は、燃料を燃焼させることによって、回転し、トルクを生み出す。
【0074】
エンジン11は、鞍乗型車両1に搭載される。エンジン11は、車体フレーム2に支持される。例えば、エンジン11は、メインフレーム3に支持される。エンジンは、車体フレーム2にリジッドに支持される。エンジン11は車体フレーム2に固定される。エンジン11は、車体フレーム2に対して揺動不能である。エンジン11は、車体フレーム2に対して回転不能である。エンジン11は、リジッドマウントエンジンに分類される。
【0075】
鞍乗型車両1は、ピボット軸21とスイングアーム22と後車軸23と後輪24を備える。ピボット軸21は、燃料タンク9およびシート10の下方に配置される。ピボット軸21は、エンジン11の後方に配置される。ピボット軸21は、車体フレーム2に支持される。スイングアーム22は、ピボット軸21に支持される。スイングアーム22は、ピボット軸21回りに揺動可能である。スイングアーム22は、ピボット軸21から後方に延びる。後車軸23は、スイングアーム22の後部に支持される。後輪24は、後車軸23に支持される。後輪24は後車軸23回りに回転可能である。
【0076】
鞍乗型車両1はチェーン25を備える。チェーン25はエンジン11と後輪24を連結する。チェーン25は、エンジン11から後輪24にトルクを伝達する。エンジン11は、チェーン25を介して、後輪24を駆動する。具体的には、エンジン11は、後輪24を後車軸23回りに回転させる。
【0077】
鞍乗型車両1の運転者は、シート10に跨がって着座し、ニーグリップを行う。ニーグリップは、鞍乗型車両1の一部を運転者の両脚で挟み込むことである。鞍乗型車両1の一部は、例えば、メインフレーム3および燃料タンク9の少なくとも一部である。運転者は、ハンドル5を握って、ステアリング装置4を操舵する。運転者は、ハンドル5に設けられるアクセル操作子を操作する。
【0078】
2.エンジン11とエンジン11に関連する構成についての詳細
図1を参照する。エンジン11は、クランクケース12とシリンダユニット13を備える。シリンダユニット13は、クランクケース12の上方に設けられる。
【0079】
図1、
図2を参照する。
図2は、鞍乗型車両1の一部を模式的に示す概念図である。
【0080】
エンジン11は、多気筒エンジンに分類される。例えば、エンジン11は、2気筒エンジンに分類される。
【0081】
エンジン11は、第1気筒15aと第2気筒15bを備える。第1気筒15aと第2気筒15bはそれぞれ、空間である。第1気筒15aと第2気筒15bはそれぞれ、エンジン11内に位置する。第1気筒15aと第2気筒15bはそれぞれ、シリンダユニット13内に位置する。
【0082】
エンジン11は、第1ピストン16aと第2ピストン16bを備える。第1ピストン16aは第1気筒15aに配置される。第1ピストン16aは第1気筒15aにおいて移動する。第2ピストン16bは第2気筒15bに位置する。第2ピストン16bは第2気筒15bにおいて移動する。
【0083】
第1気筒15aと第1ピストン16aは、第1燃焼室を区画する。第1燃焼室は、第1気筒15aの一部である。第2気筒15bと第2ピストン16bは、第2燃焼室を区画する。第2燃焼室は、第2気筒15bの一部である。
【0084】
エンジン11は、クランク軸17を備える。クランク軸17は、エンジン11内に設置される。クランク軸17は、クランクケース12内に設置される。クランク軸17は、第1ピストン16aおよび第2ピストン16bに連結される。
【0085】
エンジン11は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bを備える。第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bはそれぞれ、空間である。第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bはそれぞれ、エンジン11内に位置する。第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bはそれぞれ、シリンダユニット13内に位置する。第1吸気ポート18aは、第1気筒15aに連通する。第1吸気ポート18aは、第1気筒15aに空気を送る。第2吸気ポート18bは、第2気筒15bに連通する。第2吸気ポート18bは、第2気筒15bに空気を送る。
【0086】
エンジン11は、不図示の第1吸気弁と第2吸気弁を備える。第1吸気弁は、第1吸気ポート18aに設けられる。第1吸気弁は、第1吸気ポート18aを開閉する。第1吸気弁が第1吸気ポート18aを開くとき、第1気筒15aは第1吸気ポート18aに連通する。第1吸気弁が第1吸気ポート18aを開くとき、第1吸気弁は、第1気筒15aが第1吸気ポート18aから空気を取り込むことを、許容する。第1吸気弁が第1吸気ポート18aを閉じるとき、第1気筒15aは第1吸気ポート18aから遮断される。第1吸気弁が第1吸気ポート18aを閉じるとき、第1吸気弁は、第1気筒15aが第1吸気ポート18aから空気を取り込むことを、禁止する。第2吸気弁は、第2吸気ポート18bに設けられる。第2吸気弁は、第2吸気ポート18bを開閉する。
【0087】
エンジン11は、第1排気ポート19aと第2排気ポート19bを備える。第1排気ポート19aと第2排気ポート19bはそれぞれ、空間である。第1排気ポート19aと第2排気ポート19bはそれぞれ、エンジン11の内部に位置する。第1排気ポート19aと第2排気ポート19bはそれぞれ、シリンダユニット13の内部に位置する。第1排気ポート19aは、第1気筒15aに連通する。第1気筒15aは、第1排気ポート19aに排気ガスを出す。第2排気ポート19bは、第2気筒15bに連通する。第2気筒15bは、第2排気ポート19bに排気ガスを出す。
【0088】
エンジン11は、不図示の第1排気弁と第2排気弁を備える。第1排気弁は、第1排気ポート19aに設けられる。第1排気弁は、第1排気ポート19aを開閉する。第1排気弁が第1排気ポート19aを開くとき、第1気筒15aは第1排気ポート19aに連通する。第1排気弁が第1排気ポート19aを開くとき、第1排気弁は、第1気筒15aが第1排気ポート19aに排気ガスを出すことを、許容する。第1排気弁が第1排気ポート19aを閉じるとき、第1気筒15aは第1排気ポート19aから遮断される。第1排気弁が第1排気ポート19aを閉じるとき、第1排気弁は、第1気筒15aが第1排気ポート19aに排気ガスを出すことを、禁止する。第2排気弁は、第2排気ポート19bに設けられる。第2排気弁は、第2排気ポート19bを開閉する。
【0089】
鞍乗型車両1は、吸気管31を備える。吸気管31は、エンジン11に接続される。吸気管31は、エンジン11に空気を供給する。
【0090】
具体的には、吸気管31は、シリンダユニット13に接続される。
【0091】
より詳しくは、吸気管31は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bに接続される。吸気管31は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bに連通する。吸気管31は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bを通じて、第1気筒15aと第2気筒15bに連通する。吸気管31は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bに空気を供給する。吸気管31は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bを通じて、第1気筒15aと第2気筒15bに空気を供給する。
【0092】
例えば、吸気管31は、第1吸気部32aと第2吸気部32bを備える。第1吸気部32aは、第1吸気ポート18aに接続される。第1吸気部32aは、第1吸気ポート18aに連通する。第1吸気部32aは、第1吸気ポート18aを通じて、第1気筒15aに連通する。第1吸気部32aは、第1吸気ポート18aに空気を供給する。第1吸気部32aは、第1吸気ポート18aを通じて、第1気筒15aに空気を供給する。第2吸気部32bは、第2吸気ポート18bに接続される。第2吸気部32bは、第2吸気ポート18bに連通する。第2吸気部32bは、第2吸気ポート18bを通じて、第2気筒15bに連通する。第2吸気部32bは、第2吸気ポート18bに空気を供給する。第2吸気部32bは、第2吸気ポート18bを通じて、第2気筒15bに空気を供給する。
【0093】
例えば、吸気管31は、集合吸気部33を備える。集合吸気部33は、第1吸気部32aと第2吸気部32bに接続される。集合吸気部33は、第1吸気部32aと第2吸気部32bを集合する。言い換えれば、第1吸気部32aと第2吸気部32bは、集合吸気部33から分岐する。集合吸気部33は、第1吸気部32aと第2吸気部32bに空気を供給する。
【0094】
鞍乗型車両1は、エアクリーナ34を備える。エアクリーナ34は、吸気管31に接続される。エアクリーナ34は、吸気管31に空気を供給する。
【0095】
例えば、エアクリーナ34は、集合吸気部33に接続される。エアクリーナ34は、集合吸気部33に空気を供給する。
【0096】
鞍乗型車両1は、スロットル35を備える。スロットル35は、吸気管31に設けられる。スロットル35は、吸気管31を開閉する。スロットル35は、吸気管31を流れる空気の量を調整する。
【0097】
吸気管31を流れる空気の量は、エンジン11の吸気量に相当する。このため、スロットル35は、エンジン11の吸気量を調整する。
【0098】
吸気管31を流れる空気の量は、第1気筒15aおよび第2気筒15bの吸気量に相当する。このため、スロットル35は、第1気筒15aおよび第2気筒15bの吸気量を調整する。
【0099】
運転者によるアクセル操作子の操作にしたがって、スロットル35は作動する。
【0100】
例えば、スロットル35は、機械式スロットルに分類される。鞍乗型車両1は、連結部材(不図示)を備える。連結部材は、アクセル操作子とスロットル35を機械的に連結する。連結部材は、例えば、ワイヤ、ケーブルおよびリンク機構の少なともいずれかを含む。
【0101】
例えば、スロットル35は、第1スロットル36aと第2スロットル36bを備える。第1スロットル36aは、第1吸気部32aに設けられる。第1スロットル36aは、第1吸気部32aを開閉する。第1スロットル36aは、第1吸気部32aを流れる空気の量を調整する。第2スロットル36bは、第2吸気部32bに設けられる。第2スロットル36bは、第2吸気部32bを開閉する。第2スロットル36bは、第2吸気部32bを流れる空気の量を調整する。
【0102】
第1吸気部32aを流れる空気の量は、第1気筒15aの吸気量に相当する。このため、第1スロットル36aは、第1気筒15aの吸気量を調整する。第2吸気部32bを流れる空気の量は、第2気筒15bの吸気量に相当する。このため、第2スロットル36bは、第2気筒15bの吸気量を調整する。
【0103】
第1スロットル36aは、例えば、スロットル弁を含む。第2スロットル36bは、例えば、スロットル弁を含む。
【0104】
例えば、第1スロットル36aと第2スロットル36bは、互いに連結される。第1スロットル36aのスロットル弁と第2スロットル36bのスロットル弁は、共通の弁シャフトに固定される。
【0105】
例えば、第1スロットル36aと第2スロットル36bは、一体に作動する。第1スロットル36aと第2スロットル36bは、一体に開閉する。このため、第2スロットル36bの位置は、第1スロットル36aの位置と等しい。第2スロットル36bの開度は、第1スロットル36aの開度と等しい。よって、第2気筒15bの吸気量は、第1気筒15aの吸気量と実質的に等しい。
【0106】
鞍乗型車両1は、燃料噴射装置37を備える。燃料タンク9は、燃料噴射装置37に燃料を供給する。燃料噴射装置37は、エンジン11に燃料を供給する。
【0107】
例えば、燃料噴射装置37は、吸気管31に設けられる。燃料噴射装置37は、吸気管31に燃料を噴射する。吸気管31は、エンジン11に燃料を送る。燃料噴射装置37は、吸気管31を通じて、エンジン11に燃料を供給する。
【0108】
より詳しくは、吸気管31は、第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bに燃料を送る。例えば、第1吸気部32aは、第1吸気ポート18aに燃料を送る。第2吸気部32bは、第2吸気ポート18bに燃料を送る。第1吸気ポート18aは、第1気筒15aに燃料を送る。第2吸気ポート18bは、第2気筒15bに燃料を送る。燃料噴射装置37は、吸気管31と第1吸気ポート18aと第2吸気ポート18bを通じて、第1気筒15aと第2気筒15bに燃料を供給する。
【0109】
例えば、燃料噴射装置37は、空気の流れる方向において、スロットル35の下流に配置される。燃料噴射装置37は、エンジン11とスロットル35の間に位置する吸気管31の部分に設けられる。
【0110】
例えば、燃料噴射装置37は、第1燃料噴射装置38aと第2燃料噴射装置38bを備える。第1燃料噴射装置38aは、第1吸気部32aに設けられる。第1燃料噴射装置38aは、第1吸気部32aに燃料を噴射する。第1燃料噴射装置38aは、第1吸気部32aおよび第1吸気ポート18aを通じて、第1気筒15aに燃料を供給する。第2燃料噴射装置38bは、第2吸気部32bに設けられる。第2燃料噴射装置38bは、第2吸気部32bに燃料を噴射する。第2燃料噴射装置38bは、第2吸気部32bおよび第2吸気ポート18bを通じて、第2気筒15bに燃料を供給する。
【0111】
例えば、第1燃料噴射装置38aは、空気の流れる方向において、第1スロットル36aの下流に配置される。第1燃料噴射装置38aは、エンジン11と第1スロットル36aの間に位置する第1吸気部32aの部分に設けられる。第2燃料噴射装置38bは、空気の流れる方向において、第2スロットル36bの下流に配置される。第2燃料噴射装置38bは、エンジン11と第2スロットル36bの間に位置する第2吸気部32bの部分に設けられる。
【0112】
燃料が噴射されるとき、空気は燃料を含んだ混合気になる。このため、燃料が第1気筒15aに供給されるとき、空気と燃料の混合気は第1気筒15aに供給される。燃料が第1気筒15aに供給されないとき、空気のみが第1気筒15aに供給される。燃料が第2気筒15bに供給されるとき、空気と燃料の混合気は第2気筒15bに供給される。燃料が第2気筒15bに供給されないとき、空気のみが第2気筒15bに供給される。
【0113】
鞍乗型車両1は、点火装置41を備える。点火装置41は、エンジン11に取り付けられる。点火装置41は、エンジン11内の混合気に点火する。混合気は、エンジン11内で燃焼する。
【0114】
例えば、点火装置41は、シリンダユニット13に取り付けられる。
【0115】
点火装置41は、第1気筒15aおよび第2気筒15b内の混合気に点火する。混合気は、第1気筒15aおよび第2気筒15b内で燃焼する。
【0116】
例えば、点火装置41は、第1点火装置42aと第2点火装置42bを備える。第1点火装置42aは、第1気筒15a内の混合気に点火する。混合気は、第1気筒15a内で燃焼する。第2点火装置41bは、第2気筒15b内の混合気に点火する。混合気は、第2気筒15b内で燃焼する。
【0117】
第1点火装置42aは、第1気筒15aに設けられる。第1点火装置42aは、第1気筒15aに延びる。第2点火装置42bは、第2気筒15bに設けられる。第2点火装置42bは、第2気筒15bに延びる。
【0118】
第1点火装置42aは、例えば、点火プラグを含む。第2点火装置42bは、例えば、点火プラグを含む。
【0119】
第1気筒15aにおける混合気の燃焼により、第1ピストン16aは第1気筒15aにおいて往復移動する。第2気筒15bにおける混合気の燃焼により、第2ピストン16bは第1気筒15aにおいて往復移動する。第1ピストン16aと第2ピストン16bは、クランク軸17を駆動する。第1ピストン16aと第2ピストン16bが往復移動するとき、クランク軸17は回転する。
【0120】
要するに、混合気の燃焼により、クランク軸17は回転する。混合気の燃焼により、エンジン11は回転する。混合気の燃焼により、エンジン11はトルクを生み出す。
【0121】
混合気は、燃焼して、排気ガスになる。例えば、第1気筒15aにおける混合気の燃焼により、排気ガスが第1気筒15aにおいて生成される。第2気筒15bにおける混合気の燃焼により、排気ガスが第2気筒15bにおいて生成される。
【0122】
鞍乗型車両1は、排気管45を備える。排気管45は、エンジン11に接続される。エンジン11は、排気管45に排気ガスを出す。排気管45は、排気ガスを運ぶ。
【0123】
排気管45は、シリンダユニット13に接続される。
【0124】
排気管45は、第1排気ポート19aと第2排気ポート19bに接続される。排気管45は、第1排気ポート19aと第2排気ポート19bに連通する。排気管45は、第1排気ポート19aと第2排気ポート19bを通じて、第1気筒15aと第2気筒15bに連通する。第1排気ポート19aは、排気管45に排気ガスを送る。第2排気ポート19bは、排気管45に排気ガスを送る。第1気筒15aと第2気筒15bは、第1排気ポート19aと第2排気ポート19bを通じて、排気管45に排気ガスを出す。
【0125】
例えば、排気管45は、第1排気部46aと第2排気管46bを備える。第1排気部46aは、第1排気ポート19aに接続される。第1排気部46aは、第1排気ポート19aに連通する。第1排気部46aは、第1排気ポート19aを通じて、第1気筒15aに連通する。第1気筒15aは、第1排気ポート19aを通じて、第1排気部46aに排気ガスを出す。第2排気管46bは、第2排気ポート19bに接続される。第2排気部46bは、第2排気ポート19bに連通する。第2排気部46bは、第2排気ポート19bを通じて、第2気筒15bに連通する。第2気筒15bは、第2排気ポート19bを通じて、第2排気部46bに排気ガスを出す。
【0126】
例えば、排気管45は、集合排気部47を備える。集合排気部47は、第1排気部46aと第2排気部46bに接続される。集合排気部47は、第1排気部46aと第2排気部46bを集合する。第1排気部46aは、集合排気部47に排気ガスを送る。第2排気管46bは、集合排気部47に排気ガスを送る。
【0127】
鞍乗型車両1は、触媒48を備える。触媒48は、排気管45に設けられる。排気ガスは、触媒48を通過する。触媒48は、排気ガスを浄化する。
【0128】
例えば、触媒48は、集合排気部47に設けられる。
【0129】
例えば、触媒48は、三元触媒である。
【0130】
触媒48が排気ガスを浄化した後、排気管45は排気ガスを放出する。排気管45は、排気ガスを鞍乗型車両1の外部に放出する。
【0131】
例えば、集合排気部47は排気ガスを放出する。
【0132】
鞍乗型車両1は、回転速度センサ51を備える。回転速度センサ51は、エンジン11に取り付けられる。回転速度センサ51は、エンジン11の回転速度を検出する。
【0133】
回転速度センサ51は、例えば、クランクケース12に取り付けられる。回転速度センサ51は、例えば、クランク軸17に取り付けられる。回転速度センサ51は、例えば、クランク軸17の回転速度を検出する。
【0134】
鞍乗型車両1は、スロットルセンサ52を備える。スロットルセンサ52は、スロットル35に取り付けられる。スロットルセンサ52は、例えば、弁シャフトに取り付けられる。スロットルセンサ52は、吸気管31を流れる空気の量を検出する。
【0135】
例えば、スロットルセンサ52は、スロットルポジションを検出する。スロットルポジションは、スロットル35の位置である。例えば、スロットルポジションは、スロットル35の開度である。
【0136】
鞍乗型車両1は、空燃比センサ53を備える。空燃比センサ53は、混合気の空燃比を検出する。
【0137】
混合気の空燃比は、混合気中の空気と燃料の質量比である。混合気の空燃比は、混合気中の空気の質量を、混合気中の燃料の質量で除した値である。
【0138】
より詳しくは、空燃比センサ53は、第1気筒15aおよび第2気筒15bに供給される混合気の空燃比を検出する。空燃比センサ53は、燃焼する前の混合気の空燃比を検出する。
【0139】
例えば、空燃比センサ53は、排気管45に設けられる。空燃比センサ53は、排気ガス中の酸素の濃度を検出する。排気ガス中の酸素の濃度は、混合気の空燃比を示す指標である。混合気の空燃比は、排気ガス中の酸素の濃度に基づいて、特定される。
【0140】
例えば、空燃比センサ53は、排気ガスの流れる方向において、触媒48の上流に配置される。空燃比センサ53は、エンジン11と触媒48の間に位置する排気管45の部分に設けられる。空燃比センサ53は、集合排気部47に設けられる。
【0141】
鞍乗型車両1は、制御部61を備える。制御部61は、例えば、ROM(リードオンリメモリ)とプロセッサとRAM(ランダムアクセスメモリ)を含む。ROMは、各種のプログラムを記憶する。ROMに記憶されたプログラムは、例えば、エンジン制御プログラムを含む。プロセッサは、演算処理を行う。プロセッサは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。これにより、プロセッサは、各種の機能を実現する。プロセッサは、例えば、CPU(中央演算処理装置)である。RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。RAMは、プロセッサの作業領域として使用される。
【0142】
制御部61は、記憶部62を含む。記憶部62は、上述したROMおよびRAMの一部を含んでもよい。記憶部62は、上述したROMおよびRAM以外の部品を含んでもよい。記憶部62は、半導体メモリおよびハードディスクの少なくともいずれかであってもよい。
【0143】
制御部61は、鞍乗型車両1に設けられるElectric Control Unit(ECU)であってもよい。
【0144】
制御部61は、エンジン11を制御する。
【0145】
制御部61は、燃料噴射装置37、点火装置41、回転速度センサ51、スロットルセンサ52および空燃比センサ53に、電気的に接続される。制御部61は、燃料噴射装置37、点火装置41、回転速度センサ51、スロットルセンサ52および空燃比センサ53と、通信する。
【0146】
制御部61は、燃料噴射装置37を制御する。燃料噴射装置37は、制御部61の制御にしたがって、動作する。
【0147】
制御部61は、第1燃料噴射装置38aと第2燃料噴射装置38bを制御する。第1燃料噴射装置38aと第2燃料噴射装置38bは、制御部61の制御にしたがって、動作する。
【0148】
制御部61は、第1量Q1と第2量Q2を制御する。第1量Q1は、第1気筒15aに供給される燃料の量である。第2量Q2は、第2気筒15bに供給される燃料の量である。
【0149】
例えば、第1量Q1は、第1燃料噴射装置38aが噴射する燃料の量に相当する。第2量Q2は、第2燃料噴射装置38bが噴射する燃料の量に相当する。このため、制御部61は、第1燃料噴射装置38aを制御することによって、第1量Q1を制御する。制御部61は、第2燃料噴射装置38bを制御することによって、第2量Q2を制御する。
【0150】
第1量Q1は、例えば、第1燃料噴射装置38aの燃料噴射時間に依存する。第2量Q2は、例えば、第2燃料噴射装置38bの燃料噴射時間に依存する。このため、制御部61は、第1燃料噴射装置38aの燃料噴射時間を制御することによって、第1量Q1を制御する。制御部61は、第2燃料噴射装置38bの燃料噴射時間を制御することによって、第2量Q2を制御する。
【0151】
制御部61は、点火装置41を制御する。点火装置41は、制御部61の制御にしたがって、動作する。
【0152】
回転速度センサ51は、回転速度センサ51の検出結果を制御部61に出力する。制御部61は、回転速度センサ51の検出結果を取得する。
【0153】
スロットルセンサ52は、スロットルセンサ52の検出結果を制御部61に出力する。制御部61は、スロットルセンサ52の検出結果を取得する。
【0154】
空燃比センサ53は、空燃比センサ53の検出結果を制御部61に出力する。制御部61は、空燃比センサ53の検出結果を取得する。
【0155】
記憶部62は、燃料量条件情報Eを記憶する。燃料量条件情報Eは、第1量Q1および第2量Q2を決定するための情報である。燃料量条件情報Eは、例えば、エンジン11の回転速度と第1量Q1と第2量Q2の間の関係を規定する。
【0156】
3.エンジン制御方法の動作例
エンジン制御方法の動作を説明する。
図3は、エンジン制御方法を模式的に示すグラフである。
図3は、エンジン11の回転速度と第1量Q1と第2量Q2の関係を示す。
【0157】
制御部61は、回転速度センサ51の検出結果に基づいて、回転速度Aを取得する。回転速度Aは、エンジン11の回転速度である。具体的には、回転速度Aは、エンジン11の回転速度の計測値である。回転速度Aは、回転速度センサ51によって計測される。回転速度Aの単位は、例えば、[rpm]である。
【0158】
制御部61は、回転速度Aに基づいて、第1量Q1と第2量Q2を制御する。制御部61は、回転速度Aと燃料量条件情報Eに基づいて、第1量Q1と第2量Q2を制御する。その結果、第1量Q1は、回転速度Aに応じて変わる。第2量Q2は、回転速度Aに応じて変わる。
【0159】
エンジン制御方法は、回転速度Aに応じて、第1工程と第2工程と第3工程と第4工程に区分される。
【0160】
回転速度Aが第1基準値B1以上で、かつ、第2基準値B2B1未満であるとき、第1工程は実行される。
回転速度Aが第2基準値B2以上で、かつ、第3基準値B3未満であるとき、第2工程は実行される。回転速度Aが第3基準値B3以上であるとき、第3工程が実行される。回転速度Aが第4基準値B4以上で、かつ、第1基準値B1未満であるとき、第4工程は実行される。
【0161】
第1工程では、制御部61は、第1量Q1と第2量Q2を制御する。第2工程では、制御部61は、第1量Q1と第2量Q2を制御する。第3工程では、制御部61は、第1量Q1と第2量Q2を制御する。第4工程では、制御部61は、第1量Q1と第2量Q2を制御する。
【0162】
第1-第4基準値B1-B4はそれぞれ、回転速度の基準値である。第1-第4基準値B1-B4はそれぞれ、例えば、定数である。
【0163】
例えば、第1基準値B1は、7000rpm以上である。例えば、第1基準値B1は、8000rpm以上である。例えば、第1基準値B1は、9000rpm以上である。
【0164】
第2基準値B2は、第1基準値B1よりも大きい。第3基準値B3は、第2基準値B2よりも大きい。第4基準値B4は、第1基準値B1よりも小さい。
【0165】
第2基準値B2と第1基準値B1の間の差は、第1工程が実行される回転速度Aの範囲に相当する。第2基準値B2と第1基準値B1の間の差を、「差C1」と呼ぶ。
【0166】
第3基準値B3と第2基準値B2の間の差は、第2工程が実行される回転速度Aの範囲に相当する。
第3基準値B3と第2基準値B2の間の差を、「差C2」と呼ぶ。
【0167】
第4基準値B4と第1基準値B1の間の差は、第4工程が実行される回転速度Aの範囲に相当する。
第4基準値B4と第1基準値B1の間の差は、「差C4」と呼ぶ。
【0168】
例えば、差C1は、差C2よりも、小さい。例えば、差C2は、差C1の2倍以上である。
【0169】
例えば、差C1は、200rpm以下である。例えば、差C1は、100rpm以下である。
【0170】
例えば、差C2は、100rpm以上である。例えば、差C2は、200rpm以上である。
【0171】
例えば、差C2は、500rpm以下である。
【0172】
差C4は、小さくてもよい。例えば、差C4は、差C1よりも小さい。例えば、差C4は、差C2よりも小さい。例えば、差C4は、100rpm以下である。
【0173】
あるいは、差C4は、大きくてもよい。例えば、差C4は、差C1よりも大きい。例えば、差C4は、差C2よりも大きい。例えば、差C4は、100rpmよりも大きい。
【0174】
例えば、第4基準値B4は、0rpmであってもよい。
【0175】
例えば、第1基準値B1は、9,450rpmである。第2基準値B2は、9,600rpmである。第3基準値B3は、10,000rpmである。第4基準値B4は、9,400rpmである。差C1は、150rpmである。差C2は、400rpmである。差C4は、50rpmである。
【0176】
以下では、第1工程、第4工程、第2工程、第3工程の順に、説明する。
【0177】
第1工程を説明する。第1工程では、第1空燃比D1が理論空燃比よりもリーンになるように、第1量Q1は制御される。第1工程では、第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンになるように、第2量Q2は制御される。
【0178】
第1空燃比D1は、第1気筒15aに供給される混合気の空燃比である。第2空燃比D2は、第2気筒15bに供給される混合気の空燃比である。燃料がガソリンの場合、理論空燃比は、例えば、14.7である。「第1空燃比D1が理論空燃比よりもリーンである」とは、例えば、「第1空燃比D1が14.7よりも大きい」ことと同じ意味である。「第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンである」とは、例えば、「第2空燃比D2が14.7よりも大きい」ことと同じ意味である。
【0179】
例えば、第1工程では、第1空燃比D1が16以上で、かつ、20以下になるように、第1量Q1は制御される。第1工程では、第2空燃比D2が16以上で、かつ、20以下になるように、第2量Q2は制御される。
【0180】
例えば、第1工程では、第2空燃比D2が第1空燃比D1と等しくなるように、第1量Q1と第2量Q2は制御される。
【0181】
第1工程では、第2量Q2が第1量Q1と等しくなるように、第1量Q1と第2量Q2は制御される。
【0182】
第1工程の第1量Q1と第2量Q2は、燃料量条件情報Eに規定される。
【0183】
その結果、第1工程の第1量Q1は、第1量Q1bである。第1量Q1bは、ゼロよりも大きい。第1工程では、第1量Q1bの燃料が第1気筒15aに供給される。例えば、燃料噴射装置37は、第1量Q1bの燃料を第1気筒15aに供給する。第1燃料噴射装置38aは、第1量Q1bの燃料を噴射する。
【0184】
第1工程の第2量Q2は、第2量Q2bである。第2量Q2bは、ゼロよりも大きい。第1工程では、第2量Q2bの燃料が第2気筒15bに供給される。例えば、燃料噴射装置37は、第2量Q2bの燃料を第2気筒15bに供給する。第2燃料噴射装置38bは、第2量Q2bの燃料を噴射する。
【0185】
例えば、第1工程では、第2量Q2bは、第1量Q1bと等しい。すなわち、第1工程の第2量Q2bは、第1工程の第1量Q1bと等しい。
【0186】
図3は、さらに、エンジン11の回転速度Aと第1空燃比D1と第2空燃比D2の関係を示す。その結果、第1工程の第1空燃比D1は、第1空燃比D1bである。すなわち、第1工程では、第1空燃比D1bの混合気が、第1気筒15aで燃焼する。第1空燃比D1bは、理論空燃比よりもリーンである。第1空燃比D1bの混合気の燃焼は、「リーンバーン」と呼ばれることがある。
【0187】
第1工程の第2空燃比D2は、第2空燃比D2bである。すなわち、第1工程では、第2空燃比D2bの混合気が、第2気筒15bで燃焼する。第2空燃比D2bは、理論空燃比よりもリーンである。第2空燃比D2bの混合気の燃焼は、「リーンバーン」と呼ばれることがある。
【0188】
例えば、第1空燃比D1bは、16以上で、かつ、20以下である。第2空燃比D2bは、16以上で、かつ、20以下である。
【0189】
例えば、第2空燃比D2bは、第1空燃比D1bと等しい。
【0190】
第4工程を説明する。第4工程では、第4工程の第1空燃比D1が第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチになるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第4工程の第2空燃比D2が第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチになるように、第2量Q2は制御される。
【0191】
「第4工程の第1空燃比D1が第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチである」とは、「第4工程の第1空燃比D1が第1工程の第1空燃比D1bよりも小さい」ことと同じ意味である。「第4工程の第2空燃比D2が第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチである」とは、「第4工程の第2空燃比D2が第1工程の第2空燃比D2bよりも小さい」ことと同じ意味である。
【0192】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が16未満になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が16未満になるように、第2量Q2は制御される。
【0193】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が15以下になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が15以下になるように、第2量Q2は制御される。
【0194】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が13以下になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が13以下になるように、第2量Q2は制御される。
【0195】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が12以下になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が12以下になるように、第2量Q2は制御される。
【0196】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が5以上になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が5以上になるように、第2量Q2は制御される。
【0197】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が11.5になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が11.5になるように、第2量Q2は制御される。
【0198】
例えば、第4工程では、第1空燃比D1が出力空燃比になるように、第1量Q1は制御される。第4工程では、第2空燃比D2が出力空燃比になるように、第2量Q2は制御される。
【0199】
出力空燃比は、エンジン11の出力を最大化させる空燃比である。
【0200】
例えば、第4工程では、第2空燃比D2が第1空燃比D1と等しくなるように、第1量Q1と第2量Q2は制御される。
【0201】
第4工程では、第2量Q2が第1量Q1と等しくなるように、第1量Q1と第2量Q2は制御される。
【0202】
第4工程の第1量Q1と第2量Q2は、燃料量条件情報Eに規定される。
【0203】
その結果、第4工程の第1量Q1は、第1量Q1aである。第1量Q1aは、ゼロよりも大きい。第4工程では、第1量Q1aの燃料が第1気筒15aに供給される。
【0204】
第4工程の第2量Q2は、第2量Q2aである。第2量Q2aは、ゼロよりも大きい。第4工程では、第2量Q2aの燃料が第2気筒15bに供給される。
【0205】
例えば、第4工程では、第2量Q2aは、第1量Q1aと等しい。
【0206】
例えば、第4工程の第1量Q1aは、第1工程の第1量Q1bよりも大きい。このため、第1工程から第4工程に移行するとき、第1量Q1は増加する。逆に、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量Q1は減少する。
【0207】
例えば、第4工程の第2量Q2aは、第1工程の第2量Q2bよりも大きい。このため、第1工程から第4工程に移行するとき、第2量Q2は増加する。逆に、第4工程から第1工程に移行するとき、第2量Q2は減少する。
【0208】
例えば、第1工程の第1量Q1bは、第4工程の第1量Q1aの70%以上で、かつ、90%以下である。
【0209】
例えば、第1工程の第2量Q2bは、第4工程の第2量Q2aの70%以上で、かつ、90%以下である。
【0210】
その結果、第4工程の第1空燃比D1は、第1空燃比D1aである。すなわち、第4工程では、第1空燃比D1aの混合気が、第1気筒15aで燃焼する。第4工程の第1空燃比D1aは、第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチである。第4工程の第1空燃比D1aは、第1工程の第1空燃比D1bよりも小さい。
【0211】
第4工程の第2空燃比D2は、第2空燃比D2aである。すなわち、第4工程では、第2空燃比D2aの混合気が、第2気筒15bで燃焼する。第4工程の第2空燃比D2aは、第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチである。第4工程の第2空燃比D2aは、第1工程の第2空燃比D2bよりも小さい。
【0212】
例えば、第1空燃比D1aは、16未満である。第2空燃比D2aは、16未満である。
【0213】
例えば、第1空燃比D1aは、15以下である。第2空燃比D2aは、15以下である。
【0214】
例えば、第1空燃比D1aは、13以下である。第2空燃比D2aは、13以下である。
【0215】
例えば、第1空燃比D1aは、12以下である。第2空燃比D2aは、12以下である。
【0216】
例えば、第1空燃比D1aは、5以上である。第2空燃比D2aは、5以上である。
【0217】
例えば、第1空燃比D1aは、11.5である。第2空燃比D2aは、11.5である。
【0218】
例えば、第1空燃比D1aは、出力空燃比と等しい。第2空燃比D2aは、出力空燃比と等しい。
【0219】
例えば、第2空燃比D2aは、第1空燃比D1aと等しい。
【0220】
第2工程を説明する。第2工程では、第1量Q1はゼロに制御される。第2工程では、第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンになるように、第2量Q2は制御される。
【0221】
例えば、第2工程では、第2空燃比D2が16以上で、かつ、20以下になるように、第2量Q2は制御される。
【0222】
第2工程の第1量Q1と第2量Q2は、燃料量条件情報Eに規定される。
【0223】
その結果、第2工程の第1量Q1は、第1量Q1cである。第1量Q1cは、ゼロである。第2工程では、第1気筒15aへの燃料の供給は停止される。例えば、燃料噴射装置37は、燃料を第1気筒15aに供給しない。第1燃料噴射装置38aは、燃料を噴射しない。
【0224】
第2工程の第2量Q2は、第2量Q2bである。第2工程の第2量Q2bは、ゼロよりも大きい。第2工程では、第2量Q2bの燃料が第2気筒15bに供給される。
【0225】
第2工程の第1量Q1cは、第1工程の第1量Q1bよりも小さい。このため、第1工程から第2工程に移行するとき、第1量Q1は減少する。
【0226】
第2工程の第1量Q1cは、第4工程の第1量Q1aよりも小さい。
【0227】
第1工程の第1量Q1bと第2工程の第1量Q1cの間の差は、第4工程の第1量Qaと第2工程の第1量Q1cの間の差よりも、小さい。
【0228】
第2工程の第2量Q2bは、第1工程の第2量Q2bと実質的に等しくてもよい。第1工程から第2工程に移行するとき、第2量Q2は減少しなくてもよい。あるいは、第2工程の第2量Q2bは、第1工程の第2量Q2bよりも小さくてもよい。第1工程から第2工程に移行するとき、第2量Q2は減少してもよい。
【0229】
例えば、第2工程の第2量Q2bは、第4工程の第2量Q2aよりも小さい。
【0230】
例えば、第1工程の第2量Q2bと第2工程の第2量Q2bの間の差は、第4工程の第2量Qaと第2工程の第2量Q2bの間の差よりも、小さい。
【0231】
例えば、第2工程の第2量Q2bは、第4工程の第2量Q2aの70%以上で、かつ、90%以下である。
【0232】
第2工程の第2量Q2bは、第2工程の第1量Q1cよりも多い。
【0233】
その結果、第2工程では、混合気は第1気筒15aに供給されない。第2工程では、空気のみが第1気筒15aに供給される。第2工程では、燃焼は、第1気筒15aで起こらない。すなわち、第2工程では、第1気筒15aは非燃焼状態にある。
【0234】
第2工程の第2空燃比D2は、第2空燃比D2bである。すなわち、第2工程では、第2空燃比D2bの混合気が、第2気筒15bで燃焼する。第2工程の第2空燃比D2bは、理論空燃比よりもリーンである。
【0235】
例えば、第2工程の第2空燃比D2bは、16以上で、かつ、20以下である。
【0236】
第3工程を説明する。第3工程では、第1量Q1はゼロに制御される。第3工程では、第2量Q2はゼロに制御される。
【0237】
第3工程の第1量Q1と第2量Q2は、燃料量条件情報Eに規定される。
【0238】
その結果、第3工程の第1量Q1は、第1量Q1cである。第1量Q1cは、ゼロである。第3工程では、第1気筒15aへの燃料の供給は停止される。
【0239】
第3工程の第2量Q2は、第2量Q2cである。第2量Q2cは、ゼロである。第3工程では、第2気筒15bへの燃料の供給は停止される。例えば、燃料噴射装置37は、燃料を第2気筒15bに供給しない。第2燃料噴射装置38bは、燃料を噴射しない。
【0240】
第3工程の第1量Q1cは、第2工程の第1量Q1cと等しい。第2工程から第3工程に移行するとき、第1量Q1は増減しない。
【0241】
第3工程の第1量Q1cは、第1工程の第1量Q1bよりも小さい。
【0242】
第3工程の第1量Q1cは、第4工程の第1量Q1aよりも小さい。
【0243】
第2工程の第1量Q1cと第3工程の第1量Q1cの間の差は、第4工程の第1量Q1aと第3工程の第1量Q1cの間の差よりも、小さい。
【0244】
第3工程の第2量Q2cは、第2工程の第2量Q2bよりも小さい。このため、第2工程から第3工程に移行するとき、第2量Q2は減少する。
【0245】
第3工程の第2量Q2cは、第1工程の第2量Q2bよりも小さい。
【0246】
第3工程の第2量Q2cは、第4工程の第2量Q2aよりも小さい。
【0247】
第2工程の第2量Q2bと第3工程の第2量Q2cの間の差は、第4工程の第2量Q2aと第3工程の第2量Q2cの間の差よりも、小さい。
【0248】
第3工程の第2量Q2cは、第3工程の第1量Q1cと等しい。
【0249】
その結果、第3工程では、混合気は第1気筒15aに供給されない。第3工程では、空気のみが第1気筒15aに供給される。第3工程では、燃焼は、第1気筒15aで起こらない。すなわち、第3工程では、第1気筒15aは非燃焼状態にある。
【0250】
第3工程では、混合気は第2気筒15bに供給されない。第3工程では、空気のみが第2気筒15bに供給される。第3工程では、燃焼は、第2気筒15bで起こらない。すなわち、第3工程では、第2気筒15bは非燃焼状態にある。
【0251】
4.実施形態の効果
エンジン制御方法は、エンジン11を制御するためのものである。エンジン11は、第1気筒15aと第2気筒15bを備える。エンジン制御方法は、第1工程と第2工程と第3工程を備える。エンジン11の回転速度Aが第1基準値B1以上で、かつ、第2基準値B2未満であるとき、第1工程は実行される。エンジン11の回転速度Aが第2基準値B2以上で、かつ、第3基準値B3未満であるとき、第2工程は実行される。エンジン11の回転速度Aが第3基準値B3以上であるとき、第3工程は実行される。第2基準値B2は、第1基準値B1よりも大きい。第3基準値B3は、第2基準値B2よりも大きい。
【0252】
第1工程と第2工程と第3工程では、第1量Q1と第2量Q2が制御される。第1量Q1は、第1気筒15aに供給される燃料の量である。第2量Q2は、第2気筒15bに供給される燃料の量である。
【0253】
第1工程では、第1空燃比D1が理論空燃比よりもリーンになるように、第1量Q1は制御される。第1空燃比D1は、第1気筒15aに供給される混合気の空燃比である。このため、第1工程の第1量Q1bは、比較的に少ない。第1工程の第1量Q1bは、ゼロよりも大きい。第1工程では、第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンになるように、第2量Q2は制御される。第2空燃比D2は、第2気筒15bに供給される混合気の空燃比である。このため、第1工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。第1工程の第2量Q2bは、ゼロよりも大きい。
【0254】
第2工程では、第1量Q1はゼロに制御される。このため、第2工程の第1量Q1cは、ゼロである。第2工程では、第1気筒15aへの燃料の供給は停止される。第2工程では、第2空燃比D2が理論空燃比よりもリーンになるように、第2量Q2は制御される。このため、第2工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。第2工程の第2量Q2bは、ゼロよりも大きい。
【0255】
第3工程では、第1量Q1はゼロに制御される。このため、第3工程の第1量Q1cは、ゼロである。第3工程では、第1気筒15aへの燃料の供給は停止される。第3工程では、第2量Q2はゼロに制御される。このため、第3工程の第2量Q2cは、ゼロである。第3工程では、第2気筒15bへの燃料の供給は停止される。
【0256】
上述の通り、第1工程の第1量Q1bは、比較的に少ない。第1工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。よって、第1工程では、エンジン11の回転速度Aを上げることは、少し難しい。第1工程では、エンジン11の回転速度Aを減少させることは、少し容易である。
【0257】
上述の通り、第2工程の第1量Q1cは、ゼロである。第2工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。よって、第2工程では、エンジン11の回転速度Aを上げることは、難しい。第2工程では、エンジン11の回転速度Aを減少させることは、容易である。
【0258】
上述の通り、第3工程の第1量Q1cは、ゼロである。第3工程の第2量Q2cは、ゼロである。よって、第3工程では、エンジン11の回転速度Aを上げることは一層難しい。第3工程では、エンジン11の回転速度Aを減少させることは、一層容易である。
【0259】
上述の通り、第1工程の第1量Q1bは、比較的に少ない。第2工程の第1量Q1cは、ゼロである。このため、第1工程から第2工程に移行するとき、第1量Q1は減少する。第1工程の第1量Q1bと第2工程の第1量Q1cの間の差は、比較的に小さい。第1工程から第2工程に移行するとき、第1量Q1の減少量は比較的に小さい。上述の通り、第1工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。第2工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。このため、第1工程の第2量Q2bと第2工程の第2量Q2bの間の差は、とても小さい。よって、第1工程から第2工程に移行するとき、エンジン11のトルクの変化は穏やかである。第1工程から第2工程に移行するとき、エンジン11のトルクの減少量は小さい。
【0260】
上述の通り、第2工程の第1量Q1cは、ゼロである。第3工程の第1量Q1cは、ゼロである。このため、第2工程の第1量Q1cと第3工程の第1量Q1cの間の差は、無い。第2工程から第3工程に移行するとき、第1量Q1は増減しない。上述の通り、第2工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。第3工程の第2量Q2cは、ゼロである。このため、第2工程から第3工程に移行するとき、第2量Q2は減少する。第2工程の第2量Q2bと第3工程の第2量Q2cの間の差は、比較的に小さい。第2工程から第3工程に移行するとき、第2量Q2の減少量は比較的に小さい。よって、第2工程から第3工程に移行するとき、エンジン11のトルクの変化は穏やかである。第2工程から第3工程に移行するとき、エンジン11のトルクの減少量は小さい。
【0261】
まとめると、エンジン制御方法では、エンジン11の回転速度Aが高くなるにしたがって、第1量Q1と第2量Q2は緩やかに減少する。言い換えれば、エンジン11の回転速度Aが高くなるにしたがって、エンジン制御方法は第1量Q1と第2量Q2を緩やかにカットする。よって、エンジン制御方法は、エンジン11のトルクの変化を緩和させつつ、エンジン11の過回転を防止する。エンジン制御方法は、エンジン11のトルクの変化を緩和させつつ、エンジン11の回転速度Aが過度に高くなることを防止する。
【0262】
エンジン11のトルクの変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両1の挙動の変化は穏やかである。エンジン11のトルクの減少量が小さいとき、鞍乗型車両1は穏やかに減速する。鞍乗型車両1の挙動の変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両1のドライバビリティは悪化し難い。鞍乗型車両1の挙動の変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両1の運転者の乗り心地は低下し難い。よって、第1工程から第2工程に移行するときであっても、鞍乗型車両1は、優れたドライバビリティを有する。第1工程から第2工程に移行するときであっても、鞍乗型車両1は、運転者にとって快適である。
【0263】
同様の理由により、第2工程から第3工程に移行するときであっても、鞍乗型車両1は、優れたドライバビリティを有する。第2工程から第3工程に移行するときであっても、鞍乗型車両1は、運転者にとって快適である。
【0264】
上述の通り、第2工程および第3工程が実行される前に、第1工程が実行される。第1工程では、エンジン11の回転速度Aの上昇が少し鈍化する。このため、第2工程および第3工程では、エンジン11の回転速度Aの上昇を鈍化させることは、より容易である。第2工程および第3工程では、エンジン11の回転速度Aを減少させることは、より容易である。よって、第2工程および第3工程が実行される時間を短縮することは、容易である。
【0265】
第2工程では、燃焼は、第1気筒15aで起こらない。このため、第2工程では、未燃焼燃料が発生することある。未燃焼燃料とは、燃焼することなく、エンジン11から排出される燃料を意味する。未燃焼燃料は、例えば、第1工程では、燃料噴射装置37から噴射され、第1吸気部32aに付着し、第1気筒15aに入らない。そして、未燃焼燃料は、第2工程では、第1吸気部32aから第1気筒15aに入る。未燃焼燃料は、第2工程では、第1気筒15aで燃焼せずに、第1気筒15aを通過する。未燃焼燃料は、第2工程では、排気管45を流れ、触媒48に到達する。未燃焼燃料は、触媒48に付着する。
【0266】
上述した通り、第1工程の第1量Q1bは、比較的に少ない。このため、第1工程では、第1吸気部32aに付着する燃料の量は、比較的に少ない。よって、第2工程において発生する未燃焼燃料の量は、比較的に少ない。すなわち、第2工程において触媒48に付着する未燃焼燃料の量は、比較的に少ない。よって、第2工程では、触媒48は好適に保護される。例えば、第2工程では、触媒48の温度が過度に高くなり難い。
【0267】
第3工程では、燃焼は、第2気筒15bで起こらない。このため、第3工程では、未燃焼燃料が発生することある。未燃焼燃料は、例えば、第2工程では、燃料噴射装置37から噴射され、第2吸気部32bに付着し、第2気筒15bに入らない。そして、未燃焼燃料は、第3工程では、第2吸気部32bから第2気筒15bに入る。未燃焼燃料は、第3工程では、第2気筒15bで燃焼せずに、第2気筒15bを通過する。未燃焼燃料は、第3工程では、排気管45を流れ、触媒48に到達する。未燃焼燃料は、触媒48に付着する。
【0268】
上述した通り、第2工程の第2量Q2bは、比較的に少ない。このため、第2工程では、第2吸気部32bに付着する燃料の量は、比較的に少ない。よって、第3工程において発生する未燃焼燃料の量は、比較的に少ない。すなわち、第3工程において触媒48に付着する未燃焼燃料の量は、比較的に少ない。よって、第3工程では、触媒48は好適に保護される。例えば、第3工程では、触媒48の温度が過度に高くなり難い。
【0269】
第1工程では、第1空燃比D1が16以上で、かつ、20以下になるように第1量Q1は制御される。このため、第1工程の第1空燃比D1bを理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0270】
第1工程では、第1空燃比D1が16以上で、かつ、20以下になるように第1量Q1は制御される。このため、第1工程の第1量Q1bは、一層少ない。よって、第1工程の第1量Q1bと第2工程の第1量Q1cの間の差は、一層小さい。第1工程から第2工程に移行するとき、第1量Q1の減少量は一層小さい。したがって、第1工程から第2工程に移行するとき、エンジン11のトルクの変化は一層穏やかである。第1工程から第2工程に移行するとき、エンジン11のトルクの減少量は一層小さい。
【0271】
第1工程では、第2空燃比D2が16以上で、かつ、20以下になるように第2量Q2は制御される。このため、第1工程の第2空燃比D2bを理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0272】
第2工程では、第2空燃比D2が16以上で、かつ、20以下になるように第2量Q2は制御される。このため、第2工程の第2空燃比D2bを理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0273】
第2工程では、第2空燃比D2が16以上で、かつ、20以下になるように第2量Q2は制御される。このため、第2工程の第2量Q2bは、一層少ない。よって、第2工程の第2量Q2bと第3工程の第2量Q2cの間の差は、比較的に小さい。第2工程から第3工程に移行するとき、第2量Q2の減少量は一層小さい。したがって、第2工程から第3工程に移行するとき、エンジン11のトルクの変化は一層穏やかである。第2工程から第3工程に移行するとき、エンジン11のトルクの減少量は一層小さい。
【0274】
エンジン制御方法は、第4工程を備える。エンジン11の回転速度Aが第4基準値B4以上で、かつ、第1基準値B1未満であるとき、第4工程は実行される。第4基準値B4は、第1基準値B1よりも小さい。第4工程では、第1量Q1と第2量Q2は制御される。
【0275】
第4工程では、第4工程の第1空燃比D1が第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチになるように、第1量Q1は制御される。このため、第4工程の第1量Q1aは、比較的に多い。第4工程では、第4工程の第2空燃比D2が第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチになるように、第2量Q2は制御される。このため、第4工程の第2量Q2aは、比較的に多い。
【0276】
上述の通り、第1工程の第1量Q1bは、ゼロよりも大きい。このため、第4工程の第1量Q1aと第1工程の第1量Q1bの間の差は、比較的に小さい。上述の通り、第1工程の第2量Q2bは、ゼロよりも大きい。このため、第4工程の第2量Q2aと第1工程の第2量Q2bの間の差は、比較的に小さい。よって、第4工程から第1工程に移行するとき、エンジン11のトルクの変化は穏やかである。
【0277】
よって、第4工程から第1工程に移行するときであっても、鞍乗型車両1は、優れたドライバビリティを有する。第4工程から第1工程に移行するときであっても、鞍乗型車両1は、運転者にとって快適である。
【0278】
第4工程では、第1空燃比D1が16未満になるように第1量Q1は制御される。このため、第4工程の第1空燃比D1aを第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチにすることは、容易である。
【0279】
第4工程では、第2空燃比D2が16未満になるように第2量Q2は制御される。第4工程の第2空燃比D2aを第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチにすることは、容易である。
【0280】
第4工程では、第1空燃比D1が15以下になるように第1量Q1は制御される。このため、第4工程の第1空燃比D1aを第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチにすることは、一層容易である。
【0281】
第4工程では、第2空燃比D2が15以下になるように第2量Q2は制御される。このため、第4工程の第2空燃比D2aを第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチにすることは、一層容易である。
【0282】
第4工程では、第1空燃比D1が13以下になるように第1量Q1は制御される。このため、第4工程の第1空燃比D1aを第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチにすることは、一層容易である。
【0283】
第4工程では、第2空燃比D2が13以下になるように第2量Q2は制御される。このため、第4工程の第2空燃比D2aを第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチにすることは、一層容易である。
【0284】
第4工程では、第1空燃比D1が12以下になるように第1量Q1は制御される。このため、第4工程の第1空燃比D1aを第1工程の第1空燃比D1bよりもリッチにすることは、一層容易である。
【0285】
第4工程では、第2空燃比D2が12以下になるように第2量Q2は制御される。このため、第4工程の第2空燃比D2aを第1工程の第2空燃比D2bよりもリッチにすることは、一層容易である。
【0286】
第4工程から第1工程に移行するとき、第1量Q1は減少する。上述の通り、第4工程の第1量Q1aと第1工程の第1量Q1bの間の差は、比較的に小さい。このため、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量Q1の減少量は比較的に小さい。第4工程から第1工程に移行するとき、第2量Q2は減少する。上述の通り、第4工程の第2量Q2aと第1工程の第2量Q2bの間の差は、比較的に小さい。第4工程から第1工程に移行するとき、第2量Q2の減少量は比較的に小さい。よって、第4工程から第1工程に移行するとき、エンジン11のトルクの減少量は小さい。
【0287】
上述の通り、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量Q1は減少する。このため、第1工程において、第1空燃比D1bを理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0288】
上述の通り、第4工程から第1工程に移行するとき、第2量Q2は減少する。このため、第1工程において、第2空燃比D2bを理論空燃比よりもリーンにすることは、容易である。
【0289】
第4工程では、第1空燃比D1が5以上になるように第1量Q1は制御される。このため、第4工程の第1量Q1aは、過度に多くない。よって、第4工程の第1量Q1aと第1工程の第1量Q1bの間の差は、過度に大きくない。第4工程から第1工程に移行するとき、第1量Q1の減少量は過度に大きくない。
【0290】
第4工程では、第2空燃比D2が5以上になるように第2量Q2は制御される。このため、第4工程の第2量Q2aは、過度に多くない。よって、第4工程の第2量Q2aと第1工程の第2量Q2bの間の差は、過度に大きくない。第4工程から第1工程に移行するとき、第2量Q2の減少量は過度に大きくない。
【0291】
したがって、第4工程から第1工程に移行するとき、エンジン11のトルクの変化は過度に激しくない。第4工程から第1工程に移行するとき、エンジン11のトルクの減少量は過度に大きくない。
【0292】
第1工程の第1量Q1bは、第4工程の第1量Q1aの70%以上で、かつ、90%以下である。このため、第4工程から第1工程に移行するとき、第1量Q1を減少させることは容易である。
【0293】
第1工程の第2量Q2bは、第4工程の第2量Q2aの70%以上で、かつ、90%以下である。このため、第4工程から第1工程に移行するとき、第2量Q2を減少させることは容易である。
【0294】
差C4は、例えば、100rpm以下である。このように、第4工程が実行される回転速度Aの範囲は狭くてもよい。
【0295】
第1工程では、第2空燃比D2bは、第1空燃比D1bと等しい。このため、第1工程では、第2空燃比D2の制御は、第1空燃比D1の制御と共通である。よって、第1工程の制御は簡素である。
【0296】
第1工程では、第2量Q2bは、第1量Q1bと等しい。第1工程において第2空燃比D2bを第1空燃比D1bと等しくすることは、容易である。
【0297】
第1基準値B1は、7000rpm以上である。このため、エンジン11の回転速度Aが7000rpm以上であるとき、第1工程が開始される。言い換えれば、エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、第1工程は実行されない。エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、第2工程も実行されない。エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、第3工程も実行されない。よって、エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は第1量Q1をカットしない。エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は第2量Q2をカットしない。したがって、エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法はエンジン11のトルクを変化させない。エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は介入しない。
【0298】
よって、エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は鞍乗型車両1のドライバビリティを悪化させない。エンジン11の回転速度Aが7000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は運転者の乗り心地を低下させない。
【0299】
第1基準値B1は、8000rpm以上である。したがって、エンジン11の回転速度Aが8000rpm未満であるとき、エンジン制御方法はエンジン11のトルクを変化させない。
【0300】
よって、エンジン11の回転速度Aが8000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は鞍乗型車両1のドライバビリティを悪化させない。エンジン11の回転速度Aが8000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は運転者の乗り心地を低下させない。
【0301】
第1基準値B1は、9000rpm以上である。よって、エンジン11の回転速度Aが9000rpm未満であるとき、エンジン制御方法はエンジン11のトルクを変化させない。
【0302】
よって、エンジン11の回転速度Aが9000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は鞍乗型車両1のドライバビリティを悪化させない。エンジン11の回転速度Aが9000rpm未満であるとき、エンジン制御方法は運転者の乗り心地を低下させない。
【0303】
差C1は、差C2よりも小さい。差C1は、第1工程が実行される回転速度Aの範囲に相当する。差C2は、第2工程が実行される回転速度Aの範囲に相当する。このため、第1工程が実行される回転速度Aの範囲は、第2工程が実行される回転速度Aの範囲よりも、狭い。よって、第1工程の期間は比較的に短い。したがって、第1工程から第2工程に速やかに移行することは、容易である。その結果、エンジン11の過回転を速やかに防止することは、容易である。
【0304】
差C2は、差C1の2倍以上である。このため、差C1を、差C2よりも小さくすることは、容易である。
【0305】
差C1は、200rpm以下である。このため、差C1を、差C2よりも小さくすることは、容易である。
【0306】
差C2は、100rpm以上である。このため、差C1を、差C2よりも小さくすることは、容易である。
【0307】
差C2は、200rpm以上である。このため、差C1を、差C2よりも小さくすることは、容易である。
【0308】
差C2は、500rpm以下である。このため、差C2は、過度に広くない。よって、第2工程の期間は、過度に長くない。したがって、第2工程は適切なタイミングで第3工程に移行する。その結果、エンジン11の過回転を適切に防止することは、容易である。
【0309】
第1吸気部32aは第1気筒15aに連通する。第1燃料噴射装置38aは第1吸気部32aに設けられる。第1燃料噴射装置38aを制御することによって、第1量Q1は制御される。ここで、第1燃料噴射装置38aは、第1吸気部32aを通じて第1気筒15aに燃料を供給する。このため、第1量Q1を制御することは、容易である。
【0310】
同様に、第2吸気部32bは第2気筒15bに連通する。第2燃料噴射装置38bは第2吸気部32bに設けられる。第2燃料噴射装置38bを制御することによって、第2量Q2は制御される。ここで、第2燃料噴射装置38bは、第2吸気部32bを通じて第2気筒15bに燃料を供給する。このため、第2量Q2を制御することは、容易である。
【0311】
第1燃料噴射装置38aの燃料噴射時間を制御することによって、第1量Q1は制御される。このため、第1量Q1を制御することは、一層容易である。
【0312】
第2燃料噴射装置38bの燃料噴射時間を制御することによって、第2量Q2は制御される。このため、第2量Q2を制御することは、一層容易である。
【0313】
エンジン11は、鞍乗型車両1に搭載される。エンジン11のトルクの変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両1の挙動の変化は穏やかである。エンジン11のトルクの減少量が小さいとき、鞍乗型車両1は穏やかに減速する。鞍乗型車両1の挙動の変化が穏やかであるとき、鞍乗型車両1のドライバビリティは悪化し難い。鞍乗型車両1の挙動の変化が穏やかであるとき、運転者の乗り心地は低下し難い。よって、鞍乗型車両1は、優れたドライバビリティを有する。鞍乗型車両1は、運転者にとって快適である。
【0314】
5.変形実施形態
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0315】
(1)上述した実施形態において、燃料量条件情報Eの構成は、適宜に選択される。例えば、燃料量条件情報Eは、第1工程の第1量Q1bを決定するための燃料量条件情報E1bを含んでもよい。以下では、燃料量条件情報E1bの第1例と第2例と第3例を説明する。
【0316】
(1-1)燃料量条件情報E1bの第1例
燃料量条件情報E1bは、マップF1を含む。マップF1は、回転速度と目標値H1の間の関係を規定する。目標値H1は、第1量Q1bの目標値である。第1工程では、制御部61は、回転速度AとマップF1に基づいて、目標値H1を取得する。そして、第1工程では、制御部61は、第1量Q1を目標値H1に制御する。
【0317】
(1-2)燃料量条件情報E1bの第2例
燃料量条件情報E1bは、関数G1を含む。関数G1は、回転速度と目標値H2の間の関係を規定する。目標値H2は、第1量Q1bの目標値である。第1工程では、制御部61は、回転速度Aと関数G1に基づいて、目標値H2を取得する。そして、第1工程では、制御部61は、第1量Q1を目標値H2に制御する。
【0318】
(1-3)燃料量条件情報E1bの第3例
燃料量条件情報E1bは、マップF2と関数G2を含む。マップF2は、回転速度と基礎値Jの間の関係を規定する。基礎値Jは、例えば、エンジン11の出力を最大化させるための第1量Q1の設定値である。関数G2は、基礎値Jと目標値H3の間の関係を規定する。目標値H3は、第1量Q1bの目標値である。例えば、関数G2は、目標値H3が基礎値Jと係数Kの積であることを、規定する。係数Kは、例えば、0よりも大きく、1未満の値である。係数Kは、例えば、0.7以上で、0.9以下である。第1工程では、制御部61は、回転速度AとマップF2に基づいて、基礎値Jを取得する。そして、制御部61は、基礎値Jと関数G2に基づいて、目標値H3を取得する。そして、第1工程では、制御部61は、第1量Q1を目標値H3に制御する。
【0319】
(2)上述した実施形態において、燃料量条件情報Eは、第1工程および第2工程の第2量Q2bを決定するための燃料量条件情報E2bを含んでもよい。燃料量条件情報E2bの構成は、燃料量条件情報E1bと同様に、適宜に選択される。ここで、燃料量条件情報E2bの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1bと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E2bの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1bと異なっていてもよい。
【0320】
(3)上述した実施形態において、燃料量条件情報Eは、第2工程および第3工程の第1量Q1cを決定するための燃料量条件情報E1cを含んでもよい。燃料量条件情報E1cの構成は、燃料量条件情報E1bと同様に、適宜に選択される。ここで、燃料量条件情報E1cの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1bと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E1cの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1bと異なっていてもよい。
【0321】
燃料量条件情報Eは、第3工程の第2量Q2cを決定するための燃料量条件情報E2cを含んでもよい。燃料量条件情報E2cの構成は、燃料量条件情報E1bと同様に、適宜に選択される。ここで、燃料量条件情報E2cの少なくとも一部は、燃料量条件情報E2bと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E2cの少なくとも一部は、燃料量条件情報E2bと異なっていてもよい。燃料量条件情報E2cの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1cと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E2cの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1cと異なっていてもよい。
【0322】
(4)上述した実施形態において、燃料量条件情報Eは、第4工程の第1量Q1aを決定するための燃料量条件情報E1aを含んでもよい。燃料量条件情報E1aの構成は、燃料量条件情報E1bと同様に、適宜に選択される。ここで、燃料量条件情報E1aの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1bと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E1aの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1bと異なっていてもよい。
【0323】
燃料量条件情報Eは、第4工程の第2量Q2aを決定するための燃料量条件情報E2aを含んでもよい。燃料量条件情報E2aの構成は、燃料量条件情報E1bと同様に、適宜に選択される。ここで、燃料量条件情報E2aの少なくとも一部は、燃料量条件情報E2bと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E2aの少なくとも一部は、燃料量条件情報E2bと異なっていてもよい。燃料量条件情報E2aの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1aと共通であってもよい。あるいは、燃料量条件情報E2aの少なくとも一部は、燃料量条件情報E1aと異なっていてもよい。
【0324】
(5)上述した実施形態では、燃料量条件情報Eは、例えば、エンジン11の回転速度と第1量Q1と第2量Q2の間の関係を規定した。その結果、第1量Q1は、回転速度Aに応じて変わった。第2量Q2は、回転速度Aに応じて変わった。但し、これに限られない。以下では、燃料量条件情報Eと第1量Q1と第2量Q2に関する第1例と第2例と第3例を説明する。
【0325】
(5-1)燃料量条件情報Eと第1量Q1と第2量Q2の第1例
燃料量条件情報Eは、エンジン11の回転速度とスロットルポジションと第1量Q1と第2量Q2の間の関係を規定する。制御部61は、スロットルセンサ52の検出結果に基づいて、スロットルポジションLを取得する。スロットルポジションLは、スロットルポジションの計測値である。スロットルポジションLは、スロットルセンサ52によって計測される。制御部61は、回転速度AとスロットルポジションLと燃料量条件情報Eに基づいて、第1量Q1と第2量Q2を制御する。その結果、第1量Q1は、回転速度AとスロットルポジションLに応じて変わる。第2量Q2は、回転速度AとスロットルポジションLに応じて変わる。
【0326】
(5-2)燃料量条件情報Eと第1量Q1と第2量Q2の第2例
燃料量条件情報Eは、エンジン11の回転速度と混合気の空燃比と第1量Q1と第2量Q2の間の関係を規定する。制御部61は、空燃比センサ53の検出結果に基づいて、空燃比Mを取得する。空燃比Mは、混合気の空燃比の計測値である。空燃比Mは、空燃比センサ53によって計測される。制御部61は、回転速度Aと空燃比Mと燃料量条件情報Eに基づいて、第1量Q1と第2量Q2を制御する。その結果、第1量Q1は、回転速度Aと空燃比Mに応じて変わる。第2量Q2は、回転速度Aと空燃比Mに応じて変わる。
【0327】
(5-3)燃料量条件情報Eと第1量Q1と第2量Q2の第3例
燃料量条件情報Eは、エンジン11の回転速度とアクセル操作量と第1量Q1と第2量Q2の間の関係を規定する。アクセル操作量は、運転者によるアクセル操作子の操作量である。アクセル操作子は、例えば、アクセルグリップおよびアクセルペダルの少なくともいずれかである。鞍乗型車両1は、不図示のアクセルセンサを備える。アクセルセンサは、アクセル操作子の操作量を検出する。制御部61は、アクセルセンサの検出結果に基づいて、アクセル操作量Nを取得する。アクセル操作量Nは、アクセル操作子の操作量の計測値である。アクセル操作量Nは、アクセルセンサによって計測される。制御部61は、回転速度Aとアクセル操作量Nと燃料量条件情報Eに基づいて、第1量Q1と第2量Q2を制御する。その結果、第1量Q1は、回転速度Aとアクセル操作量Nに応じて変わる。第2量Q2は、回転速度Aとアクセル操作量Nに応じて変わる。
【0328】
(6)上述した実施形態では、エンジン11は、2気筒エンジンに分類された。但し、これに限られない。エンジン11が有する気筒の数は、3つ以上であってもよい。
【0329】
例えば、エンジン11は、第1気筒15aと第2気筒15bに加えて、第3気筒15cを備える。燃料噴射装置37は、第3気筒15cに燃料を供給する。第1工程と第2工程と第3工程では、第3量Q3が制御される。第3量Q3は、第3気筒15cに供給される燃料の量である。
【0330】
例えば、第1工程と第2工程と第3工程では、第3量Q3は、第1量Q1と同じように、制御される。具体的には、第1工程では、第3空燃比D3が理論空燃比よりもリーンになるように、第3量Q3は制御される。第3空燃比D3は、第3気筒15cに供給される混合気の空燃比である。第2工程と第3工程では、第3量Q3はゼロに制御される。
【0331】
あるいは、第1工程と第2工程と第3工程では、第3量Q3は、第2量Q2と同じように、制御される。具体的には、第1工程と第2工程では、第3空燃比D3が理論空燃比よりもリーンになるように、第3量Q3は制御される。第3工程では、第3量Q3はゼロに制御される。
【0332】
さらに、第4工程では、第3量Q3が制御される。例えば、第4工程では、第3量Q3は、第1量Q1と同じように、制御される。具体的には、第4工程では、第4工程の第3空燃比D3が第1工程の第3空燃比D3よりもリッチになるように、第3量Q3は制御される。
【0333】
(7)上述した実施形態では、スロットル35は、機械式スロットルに分類された。但し、これに限られない。例えば、スロットル35は、電子制御スロットルに分類されてもよい。本変形実施形態では、例えば、鞍乗型車両1は、アクセルセンサとアクチュエータを備える。アクセルセンサは、アクセル操作子の操作量を検出する。アクセル操作子は、例えば、アクセルグリップおよびアクセルペダルの少なくともいずれかである。アクチュエータは、スロットル35を駆動する。制御部61は、アクセルセンサの検出結果に基づいて、アクセル操作量を取得する。制御部61は、アクセル操作量に基づいて、アクチュエータを制御する。
【0334】
(8)上述した実施形態では、第1-第4基準値B1-B4はそれぞれ、定数であった。但し、これに限られない。第1-第4基準値B1-B4の少なくともいずれかは、変数であってもよい。
【0335】
(9)実施形態では、燃料噴射装置37は、吸気管31に設けられた。但し、これに限られない。例えば、燃料噴射装置37は、スロットル35に設けられてもよい。燃料噴射装置37は、スロットル35に取り付けられてもよい。
【0336】
(10)上述した実施形態では、スロットル35は、第1吸気部32aおよび第2吸気部32bに設けられた。但し、これに限られない。例えば、スロットル35は、集合吸気部33に設けられてもよい。
【0337】
(11)上述した実施形態では、空燃比センサ53は、排気ガスの流れる方向において、触媒48の上流に配置された。ただし、これに限られない。例えば、空燃比センサ53は、排気ガスの流れる方向において、触媒48の下流に配置されてもよい。触媒48は、エンジン11と空燃比センサ53の間に位置する排気管45の部分に設けられてもよい。
【0338】
(12)上述した実施形態において、点火装置41の制御は、適宜に選択される。例えば、第1量Q1がゼロよりも大きいときに第1気筒15a内において点火するように、点火装置41は制御される。例えば、第1量Q1がゼロであるときに第1気筒15a内の点火を停止するように、点火装置41は制御される。
【0339】
例えば、第1工程では、点火装置41は、第1気筒15a内において点火する。例えば、第2工程では、点火装置41は、第1気筒15a内において点火しない。例えば、第3工程では、点火装置41は、第1気筒15a内において点火しない。
【0340】
例えば、第4工程では、点火装置41は、第1気筒15a内において点火する。
【0341】
例えば、第2量Q2がゼロよりも大きいときに第2気筒15b内において点火するように、点火装置41は制御される。例えば、第2量Q2がゼロであるときに第2気筒15b内の点火を停止するように、点火装置41は制御される。
【0342】
例えば、第1工程では、点火装置41は、第2気筒15b内において点火する。例えば、第2工程では、点火装置41は、第2気筒15b内において点火する。例えば、第3工程では、点火装置41は、第2気筒15b内において点火しない。
【0343】
例えば、第4工程では、点火装置41は、第2気筒15b内において点火する。
【0344】
(15)実施形態では、前輪8の数は1つである。但し、これに限られない。前輪8の数は2つであってもよい。実施形態では、後輪24の数は1つである。これに限られない。後輪24の数は2つであってもよい。
【0345】
(16)実施形態では、鞍乗型車両1としてのストリート型の車両を例示した。ただし、これに限られない。例えば、鞍乗型車両1を、スクータ型、スポーツ型、オフロード型、不整地走行用車両(ALL-TERRAIN VEHICLE)など、他の種類の車両に変更してもよい。
【0346】
(17)実施形態および上記(1)から(16)で説明した各変形実施形態については、さらに各構成を他の変形実施形態の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0347】
1 :鞍乗型車両
11 :エンジン
15a:第1気筒
15b:第2気筒
31 :吸気管
32a:第1吸気部
32b:第2吸気部
35 :スロットル
37 :燃料噴射装置
38a:第1燃料噴射装置
38b:第2燃料噴射装置
41 :点火装置
45 :排気管
48 :触媒
51 :回転速度センサ
52 :スロットルセンサ
53 :空燃比センサ
61 :制御部
A :エンジンの回転速度
B1 :第1基準値
B2 :第2基準値
B3 :第3基準値
B4 :第4基準値
C1 :第2基準値と第1基準値の間の差
C2 :第3基準値と第2基準値の間の差
C4 :第4基準値と第1基準値の間の差
D1 :第1空燃比
D2 :第2空燃比
E :燃料量条件情報
Q1 :第1量
Q2 :第2量
X :鞍乗型車両の前後方向
Y :鞍乗型車両の幅方向
Z :鞍乗型車両の上下方向