(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166704
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】蓄電池システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20241122BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20241122BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H02J7/34 D
H02J7/35 K
H02J7/34 B
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082998
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】森川 健
(72)【発明者】
【氏名】矢萩 克彦
(72)【発明者】
【氏名】恵良本 康博
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB05
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】 電気自動車と接続することでシステム内の蓄電池容量を増加することを可能とする蓄電池システムを提供する。
【解決手段】
系統用DC/ACの入出力電力と、PV用DC/DC7の出力電力と、双方向充電器の入出力電力とから前記主要回路3に流れる電力の算出を行う主回路電力算出部12と、を備え、主回路電力算出部12において算出した電力源での入出力電力が各電力源の定格電力以下であり、且つ主要回路3に流れる電力が主要回路3の定格出力以下である場合に、主要回路3に流れる電力を蓄電池に充放電される電力とし、主回路電力算出部12において算出した電力源での入出力電力が各電力源の定格電力以上、または主要回路3に流れる電力が主要回路3の定格出力を超える場合に、各電力源の電力を制御し、制御後に主要回路3に流れる電力を蓄電池に充放電される電力とする電力源電力抑制部16を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統と電力供給対象となる負荷に接続する電力変換器と、
太陽光発電パネルと接続し、太陽光発電パネルからの出力する電力の変換を行う太陽光発電用DC/DCコンバータと、
電気自動車と双方向に充電可能に接続する1台または複数台の双方向充電器と、
前記電力変換器、前記太陽光発電用DC/DCコンバータ、及び前記双方向充電器が接続する主要回路と、
前記主要回路にDC/DCコンバータを介さずに接続する蓄電池と、
を有する蓄電池システムにおいて、
前記電力変換器の入出力電力、前記太陽光発電用DC/DCコンバータの出力電力、及び前記双方向充電器の入出力電力に基づいて、前記主要回路に流れる電力を算出する主回路電力算出部と、
前記主回路電力算出部において算出した前記電力源での入出力電力が各電力源の定格電力以下であり、且つ前記主要回路に流れる電力が前記主要回路の定格出力以下である場合に、前記主要回路から前記蓄電池に充放電される電力を算出する蓄電池充放電力算出部と、
前記主回路電力算出部において算出した前記電力源での入出力電力が各電力源の定格電力を超える場合、または前記主要回路に流れる電力が前記主要回路の定格電力を超える場合に、前記各電力源の電力を前記蓄電池に充放電される電力とする電力源電力抑制部と、
を備えることを特徴とする蓄電池システム。
【請求項2】
前記電力源電力抑制部は、前記各電力源の電力抑制方法として、
電力変換器からの主要回路に対する充放電のスケジュールを優先する電力変換器のスケジュール優先モードと、
前記太陽光発電での発電効率を優先する太陽光発電効率優先モードと、
のいずれかの電力制御モードを有することを特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項3】
前記電力変換器のスケジュール優先モードにおいて、
太陽光発電用DC/DCコンバータの出力電力からの出力電力がある場合には、前記電力変換器から前記蓄電池へ供給される電力に優先して太陽光発電用DC/DCコンバータからの出力電力により前記蓄電池を充電するエコ充電モードと、
太陽光発電用DC/DCコンバータからの出力電力がある場合、及び/または前記蓄電池に充電された電力がある場合には、それらの電力により電気自動車のバッテリーの充電を行う電気自動車エコ充電モードと、
のいずれか1つのエコモードを備えることを特徴とする請求項2に記載の蓄電池システム。
【請求項4】
前記双方向充電器の主要回路側の入出力電力、及び双方向充電器の電気自動車側の入出力電力は直流電力であり、
前記蓄電池、前記電力変換器、前記太陽光発電用DC/DCコンバータ、及び双方向充電器は、直流電力が流れる主要回路と接続されることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項5】
前記双方向充電器は複数台の双方向充電器であり、
主回路電力算出部での前記主要回路の電力の算出において、前記双方向充電器からの入出力電力として、各双方向充電器の入出力電力の合計を利用することを特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項6】
前記主要回路において、前記蓄電池に加えて新たな蓄電池を追加で接続した場合、
前記蓄電池充放電力算出部、及び電力源電力抑制部は、前記主要回路に流れる電力を、前記蓄電池と新たに追加した蓄電池に充放電される電力とすることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項7】
前記蓄電池の通常の充電の完了後、追加で充電を行う押し込み充電制御部をさらに備え、
前記押し込み充電制御部は、押し込み充電を複数回に分けて実施し、
各回の押し込み充電を行う際には前記蓄電池の出力電力を段階的に抑制すること、
を特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電気自動車と接続することでシステム内の蓄電池容量を増加することを可能とする蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やビルなどの建物に設置された太陽光発電システムで発電された電力を貯めておく蓄電池システムが知られている。蓄電池システムでは、太陽光発電システムが発電した余剰電力を蓄電池に充電しておき、必要なときに放電して利用することが可能である。これにより、蓄電池システムでは、太陽光発電システムで発電した電力をより有効に活用し、自家消費率の向上や災害時の備えとして利用することができる。
【0003】
蓄電池システムでは、太陽光発電システムで発電した電力を蓄電池に充電するが、容量が小さい蓄電池では、電力を供給する能力が限られており、電力が必要となる時間帯に十分な電力を供給することが難しい。また、太陽光発電などの再生可能エネルギー源を用いて電力を生成している場合、発電量がピークに達する日中に発生した余剰電力を貯蔵する能力が限られるので、太陽光発電のメリットを十分に活用しづらい。また、電力を多く貯蔵できないため、電力価格が時間帯によって変動することを利用し蓄電池の充電を行う場合にも、電力価格が安い時間帯に充電を行う恩恵を十分に受けることが難しくなる。
【0004】
一方で、蓄電池システムの蓄電池を大きくする場合、初期投資と維持費が高くなる。また、蓄電池システムは一般的に大きく、大容量のシステムはさらに大きなスペースを必要となる。そこで、蓄電池システム用の蓄電池だけではなく、電気自動車(EV)のバッテリーを蓄電池システムの電力供給源として使用する方法V2X(Vehicle-to-Everything))が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
V2Xを利用する蓄電池システムでは、蓄電池からの出力電圧を調整し、主要回路(ロード)が必要とする適切な電圧レベルに保つために、蓄電池と主要回路との間にDC/DCコンバータを搭載するのが一般的である。しかしながら、DC/DCコンバータを設置することで、初期設置費用や保守コストが増加する。一方、蓄電池と接続するDC/DCコンバータを省くことで、システムが単純化され設置や運用が容易となる。
【0007】
上記課題を解決すべく、V2Xを利用する蓄電池システムにおいて、蓄電池と主要回路との間にDC/DCコンバータを設定することなく、安定的でかつ高効率の蓄電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本実施形態に係る高効率の蓄電池システムは、電力系統と電力供給対象となる負荷に接続する電力変換器と、太陽光発電パネルと接続し、太陽光発電パネルからの出力する電力の変換を行う太陽光発電用DC/DCコンバータと、電気自動車と双方向に充電可能に接続する1台または複数台の双方向充電器と、前記電力変換器、前記太陽光発電用DC/DCコンバータ、及び前記双方向充電器が接続する主要回路と、前記主要回路にDC/DCコンバータを介さずに接続する蓄電池と、を有する蓄電池システムにおいて、前記電力変換器の入出力電力、前記太陽光発電用DC/DCコンバータの出力電力、及び前記双方向充電器の入出力電力に基づいて、前記主要回路に流れる電力を算出する主回路電力算出部と、前記主回路電力算出部において算出した前記電力源での入出力電力が各電力源の定格電力以下であり、且つ前記主要回路に流れる電力が前記主要回路の定格出力以下である場合に、前記主要回路から前記蓄電池に充放電される電力を算出する蓄電池充放電力算出部と、前記主回路電力算出部において算出した前記電力源での入出力電力が各電力源の定格電力を超える場合、または前記主要回路に流れる電力が前記主要回路の定格電力を超える場合に、前記各電力源の電力を前記蓄電池に充放電される電力とする電力源電力抑制部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態の蓄電システムによれば、蓄電池をDC/DCコンバータレスの蓄電システムであっても、各電力源での入出力電力を制御することで、蓄電池の過充電や過放電を防ぐシステムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態の蓄電池システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態の蓄電池システムの制御部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の蓄電池システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態の蓄電池システムの制御部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施形態で押し込み充電を行う際の各電力源の電力の抑制を示す図である。
【
図6】第2の実施形態で押し込み充電を行う際の各電力源の電力の抑制を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
[1-1.構成]
(全体構成)
本実施形態に係る蓄電池システムについて図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施形態の蓄電池システムの概略構成を示す概略構成である。蓄電池システム1は、V2Xを構成し、蓄電池システム1は電力系統や電力の供給対象の建物(住宅、オフィスビル、学校や病院、工場など)と接続する。蓄電池システム1は、電力系統からの電力や、システム内の太陽光発電からの電力でシステム内の蓄電池、及び蓄電システムに接続された電気自動車(以下、EVとする)の充電を行うとともに、システム1内の太陽光発電システム、蓄電池、及び電気自動車を電力源として、電力の供給対象の建物に対して電力の供給を行う。
図1に示すように、蓄電池システム1は、電力変換器2(インバータ)、主要回路3、蓄電池4、BMU5、PV6、DC/DCコンバータ7、EV8、双方向充電器9、制御部10、操作表示器20を、備える。
【0012】
蓄電池システム1には、内部に電力変換器2を備え、電力変換器2の交流側は電力系統や電力の供給対象である建物と接続される。供給対象の建物に供給された電力は、建物内の負荷で使用される。一方、電力変換器2の直流側は、主要回路3を介して、蓄電池、PV6、EV8と接続される。蓄電池システム1は、蓄電用のデバイスとして、蓄電池4やEV8のバッテリーを備え、PV6やEV8で発電した電力や電力系統からの電力を蓄電池4やEV8のバッテリーに蓄える。蓄電池4やEV8のバッテリーは、放電用のデバイスとしても利用され、電力供給対象の建物に対する電力供給や電力系統に対して売電を行うことも可能である。また、蓄電池4を利用してEV8のバッテリーを充電するともできる。蓄電池システム1では、蓄電池4と主要回路3との間にDC/DCコンバータを設置しない。
【0013】
電力変換器2は、直流電力を交流電力に変換するとともに、電圧レベルの調整を行う。電力変換器2は、主要回路3の直流電力を、電力系統や電力供給対象の建物内の負荷で必要となる交流電力に変換する。また、電力変換器2は、出力電圧の周波数と位相を公共電力網と同期させる。これにより、蓄電池4からの電力を安全に公共電力網に供給することが可能となる。
【0014】
主要回路3は、蓄電池システム1の直流電力が流れる主要な回路である。主要回路3は、母線と、母線と各電力源(電力変換器2、蓄電池4、DC/DCコンバータ7、双方向充電器9)とを接続するバスバーから構成される。主要回路3は、電力変換器2の蓄電池4側と、蓄電池4、DC/DCコンバータ7を介してPV6、双方向充電器9を介してEV8と接続される。主要回路3の定格電流は、蓄電池4の最大充放電出力の2倍を1つの基準として決定する。例えば、各電力源の入出力の上限電力(以下、電力源の定格電力とする)が最大50kWである場合には、主要回路3に流れる最大電力(以下、主要回路3の定格電力)を100kWとする。主要回路3の配線径は、この定格電力に基づいて選択される。
【0015】
蓄電池システムにおいて、蓄電池4の入出力電力の定格電力、電力変換器2のDC/ACコンバータの定格電力、DC/DCコンバータ7の定格電力、双方向充電器9の定格電力をそれぞれ50kWとする。
【0016】
蓄電池4は、主要回路3に接続されており、電力系統から供給された電力や、PV6で発電した電力や、EV8から出力された電力を貯蔵する。一方で、蓄電池4は、蓄えられた電力を電力系統や電力供給対象の建物内の負荷、EV8に対して電力を供給する。
【0017】
BMU5は、蓄電池4をモニターし、蓄電池4が適切な速度で充電及び放電されることを確認する。また、蓄電池4の電圧、電流、温度などを監視します。BMU5は、制御部10とデータを授受可能に接続され、制御部10に対して蓄電池4の蓄電池の状態とパフォーマンスに関するデータを送信する。
【0018】
PV6は、PVパネルを含み、光エネルギー(主に太陽光)を直接電気エネルギーに変換し、変換した電気エネルギーを電力として出力する。PV6の主要回路側には、DC/DCコンバータ7が接続される。
【0019】
DC/DCコンバータ7は、PV6から出力された電力の調整をおこなうコンバータである。DC/DCコンバータ7は、制御部10と通信可能に接続され、制御部10からの指令に基づいて、出力電力の制御を行う。
【0020】
EV8は、充放電可能なバッテリーを搭載する自動車である。EV8は、電気自動車だけでなく、充放電可能なバッテリーを搭載していれば、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含んでも良い。
【0021】
双方向充電器9は、EV8のバッテリーと主要回路との間で電力を双方向に流す装置である。一方向の充電器と異なり、双方向充電器9は電力をEV8から主要回路に送ることも、逆に主要回路の電力をEV8に送ることも可能とする。
【0022】
(制御部10の構成)
制御部10は、電力変換器2、DC/DCコンバータ7、双方向充電器9を制御することで、主要回路に流れる電力を制御し、蓄電池4の供給される電力、及び蓄電池4から出力される電力の制御を行う。
【0023】
制御部10は、
図2に示すように、電力源電力監視部11、主回路電力算出部12、電力源定格設定部13、主回路定格設定部14、蓄電池充放電力算出部15、電力源電力抑制部16、電力制御モード選択部17、エコモード選択部18、入出力電力指示部19を備える。
【0024】
電力源電力監視部11は、蓄電池システム1内の各電力源からのデータを一定周期で受信し、各電力源から主要回路へ出力される電力及び主要回路から各電力源へ入力する電力を監視する。また、リアルタイムのデータだけでなく、各電力源の入出力電力の設定変更を検出し、設定変更後に各電力源から主要回路へ出力される電力及び主要回路から各電力源へ入力する電力についても監視を行う。電力源電力監視部11は、電力変換器2のDC/ACコンバータ、DC/DCコンバータ7、双方向充電器9からのデータを受信可能に構成される。
【0025】
主回路電力算出部12は、主要回路3に流れる電力を電力源電力監視部11で受信した各電力源の入出力電力に基づいて算出する。例えば、電力変換器2のDC/ACコンバータが10kWで蓄電池4に対して充電、DC/DCコンバータ7が20kWで発電、双方向充電器9から10kWで放電される場合には、各電力源の入出力電力を合計し、主要回路3から蓄電池4に対して40kW(10kW+20kW+10kW)の電力が流れると算出する。
【0026】
電力源定格設定部13は、各電力源の定格電力の設定を行う。各電力源において定格電力が50kWの場合には、電力源定格設定部13は各電力源の定格電力を50kWと設定する。
【0027】
主回路定格設定部14は、主要回路3の電力の上限の設定を行う。主要回路3において定格電力が100kWの場合には、主回路定格設定部14は主要回路3の定格電力を100kWとする。
【0028】
蓄電池充放電力算出部15は、主回路電力算出部12の演算の結果、各電力源の入出力電力が各電力源の定格電力が上限以下、且つ主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力以下の場合には、主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力を蓄電池4の充放電量と算出する。
【0029】
電力源電力抑制部16は、主回路電力算出部12の演算の結果、各電力源の入出力電力が電力源の定格値を超える場合、または且つ主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力を超える場合には、各電力源の入出力電力の抑制を行う。電力源抑制部で各電力源の入出力電力の抑制を行い、各電力源の入出力電力が各電力源の定格電力が上限以下、且つ主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力以下となるように各電力源の制御を行う。
【0030】
例えば、電力変換器2において50kW充電、DC/DCコンバータ7が50kWの発電、双方向充電器9から50kW放電される場合、蓄電池4に充電される電力は各電力源の動作の結果の150kW(50kW+50kW+50kW)となる。電力源電力抑制部16は、蓄電池4に充電される電力が50kW以下となるように、各電力源の出力を抑制する。
【0031】
また、電力変換器2において50kW放電、DC/DCコンバータ7が50kWの発電が無く、双方向充電器9が50kW充電と設定された場合、蓄電池放電電力が最大の50kWを超える為、電力変換器2や双方向充電器9での電力制御を抑制し、蓄電池放電電力が50kWを超えないように制御する。
【0032】
電力制御モード選択部17は、電力源抑制部が各電力源の制御を行う際に使用する制御方法やプロセスを示す電力制御モードを有する。電力制御モード選択部17が有する電力制御モードとしては、次の2つの電力制御モードを有する。
1) 電力変換器2からの蓄電池4への充放電スケジュール優先モード
2) PV6の発電効率優先モード
【0033】
電力制御モード選択部17は、各電力源抑制部で電力制御を行う際の電力制御モードの選択を行う。電力制御モード選択部17は、ユーザからの入力を受け付け可能に構成され、ユーザからの選択に従って電力制御モードを決定する。また、電力制御モード選択部17は、予め設定されたプログラムに従って、電力制御モードの選択を行ってもよい。
【0034】
エコモード選択部18は、電力源抑制部が設定した電力制御モードにおいて、PV6を優先して蓄電池4を充電し、系統からの充電量を抑制するエコ充電モードと、太陽光発電電力がある時、及び蓄電池4に充電された電力がある時に、接続されたEV8への充電を実施するEVエコ充電モードの設定を行う。エコモード選択部18は、ユーザからの入力を受け付け可能に構成され、ユーザからの選択に従ってエコモードの決定をする。
【0035】
入出力電力指示部19は、電力源抑制部で決定した各電力源での入出力電力の制御量を、各電力源へ伝送する。各電力源では、入出力電力指示部から受信した入出力電力の制御量に基づいて電力制御を行う。
【0036】
[1-2.作用]
以上の様な構成を有する本実施形態の蓄電池システム1において、蓄電池システム1の蓄電池4にDC/DCコンバータレスで充放電を行う場合の蓄電池システム1の動作について説明する。
図3は、蓄電池システム1で充放電を行う場合の蓄電池システム1の動作の手順を示すフローチャートである。
【0037】
初めに、電力源電力監視部11において、各電力源の入出力電力を取得する(ステップ01)。主回路電力算出部12は、各電力源の入出力電力の電力に基づいて主要回路3に流れる電力を算出する(ステップ02)。
【0038】
次に、主回路電力算出部12で算出された各電力源の入出力電力が各電力源の定格電力が上限以下であるかの判定と(ステップ03)、主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力以下であるかの判定(ステップ04)を行う。
【0039】
各電力源の入出力電力が各電力源の定格電力以下であり、主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力以下である場合には、主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力を蓄電池4の充放電量と算出し、蓄電池4への充放電を行う(ステップ05)。蓄電池4への充放電は、蓄電池4の充放電が完了するまで続ける(ステップ6のNO)。
【0040】
また、主回路電力算出部12の演算の結果、各電力源の入出力電力が電力源の定格値を超える場合(ステップ03のNO)、または且つ主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力を超える場合(ステップ04のNO)には、各電力源の入出力電力の抑制を行う(ステップ06)。
【0041】
電力源抑制部で各電力源の入出力電力の抑制を行い、各電力源の入出力電力が各電力源の定格電力が上限以下、且つ主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力以下となるような各電力源の電力制御を算出する(ステップ07)。
【0042】
そして、電力源抑制部で算出した各電力源の電力制御に基づいて各電力源を動作させ蓄電池4の充放電が終了(ステップ05)するまで、蓄電池4に対する充放電を続ける(ステップ6のNO)。
【0043】
[1-3.効果]
(1)以上の様な本実施形態の蓄電池システムでは、制御部10によって各電力源の動作を制御する。主要回路3に流れる電力を100kW以下、且つ蓄電池4の入出力電力は50kW以下となるように制御するため、DC/DCコンバータを用いなくとも、蓄電池4の過充電や過放電を防ぐことが可能となる。また、主要回路3に流れる電力を主要回路3の定格電力以下、各電力源の入出力電力を各電力源の定格以下となるように、各電力源での入出力電力を制御することで、主要回路3の配線の配線径を抑えてコストダウンを図ることができる。
【0044】
(2)本実施形態の蓄電池システムでは、主要回路3に双方向充電器9を介してEV8を接続することが可能であるため、EV8に搭載されている蓄電池4をシステムの一部として扱うことができ、蓄電池システム1で蓄電池4を増設した場合と同様の効果を奏することができる。また、EVは駐車場に停車しているため、蓄電池システムとしての大型化を防げる。さらに、EV用充放電器はDC接続タイプの物を使用し、蓄電池4からEV用充放電器(DC)に直接接続することにより、変換器の電力変換によるロスを防ぐことが可能となる。
【0045】
(3)本実施形態の蓄電池システムは、エコ充電モード選択部を備える。エコ充電モード選択することで系統から蓄電池4に充電するよう設定されていた場合でも、太陽光発電で発電した電力を優先して蓄電池4へ充電し、系統からの充電量を抑制することが可能となる。
【0046】
また、EVエコ充電モードを選択することで、太陽光発電電力がある時および、蓄電池4に充電された電力がある時に、接続されたEV8への充電を実施するようコントロールすることで、太陽光発電由来の電力のみでのEV充電を可能とする。
【0047】
(4)本実施形態の蓄電池システムは、主要回路3に流れる電力を直流電力とする。蓄電池4、太陽光発電に接続するDC/DCコンバータ7、EV8と接続する双方向充電器9(DCタイプ)を直流で組み合わせることにより、電力変換によるロスを無くし高効率化する。
【0048】
(5)電力源電力監視部11では、リアルタイムの各電力源の入出力電力を監視するだけではなく、各電力源の電力制御の設定変更を検出し、設定変更後の各電力源の入出力電力を監視する。各電力源で電力制御の設定変更が行われた際は、設定変更後の入出力電力にて主要回路3に流れる電力から蓄電池4の充放電量の算出をしても良い。演算の結果、各電力源の入出力電力が電力源の定格値を超える場合、または且つ主回路電力算出部12で算出した主要回路3に流れる電力の合計が主要回路3の定格電力を超える場合には、各電力源の入出力電力の抑制を行う。このような構成とすることで、各電力源の入力電力が定格電力を超えた場合に発生する、電力源の過負荷状態を回避することが可能となる。
【0049】
本実施形態では、主要回路に接続する双方向充電器9を1つとしたが、複数台設置することも可能である。複数台の双方向充電器9を備えることで、複数台のEVのバッテリーを蓄電システム内の電力源や電力貯蔵源として利用することが可能となり。蓄電池4を増設しなくとも、蓄電池4を増設した場合と同様の効果を奏することが可能となる。複数台の双方向充電器9を設置する場合には、各双方向充電器9に接続したEVが同時に充放電可能な構成や、各双方向充電器9で優先度をつけ、その優先度に従って充放電をするEVを決定する構成とすることもできる。各双方向充電器9でつける優先度としては、任意の方法を採用することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る蓄電池システムについて図面を参照しつつ詳細に説明する。
図4は、本実施形態の蓄電池システムの制御部の詳細構成を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0051】
[2-1.構成]
(全体構成)
本実施形態の蓄電池4は、リチウムイオン電池で構成される。リチウムイオン電池は充電において、定電圧充電が終了した後に一定時間、定電圧充電を維持し続けることで、電池内部の充電反応を促進し、充電効率を向上させる。
【0052】
制御部10は、
図4に示すように、押し込み充電制御部21をさらに備える。押し込み充電制御部21は、BMU5にて蓄電池4のセル電圧を監視し、押し込み充電のタイミングを把握する。
【0053】
[2-2.作用]
本実施形態の構成を有する蓄電池システムでは、押し込み充電制御部21が、蓄電値への通常の充電が完了し、一定以上の電圧が確保されている状態で次の条件となった場合に、押し込み充電を開始する。
【0054】
1) 充電が完了してから一定時間が経過した場合
2) 充電が完了してから蓄電池4の電圧が一定以上になった場合
3) 充電が完了してから蓄電池4の温度が一定以上になった場合
4) システムが予め設定した時間帯になった場合
【0055】
図5は、系統電力優先モード(系統電力0%設定、太陽光発電100%利用可能)で、押し込み充電を行った時の様子を示すグラフである。蓄電池4に充電を開始して、既定の電力を蓄電した後、蓄電池4に対する通常の充電が完了する。
【0056】
そして、蓄電池4に対する通常の充電が完了後、所定の時間が経過した後、第1の押し込み充電を開始する。第1の押し込み充電では、蓄電池4の電力を50%抑制しつつ、押し込み充電を行う。DC/DCコンバータ7からは、PV6で発電した電力が制御され出力し、蓄電池4に対して充電を行う。これにより、蓄電池4のSOCが96%まで上昇する。
【0057】
次に、蓄電池4に対する第1の押し込み充電が完了後、所定の時間が経過した後、第2の押し込み充電を開始する。第2の押し込み充電では、蓄電池4の電力を25%抑制しつつ、押し込み充電を行う。DC/DCコンバータ7からは、PV6で発電した電力が制御され出力し、蓄電池4に対して充電を行う。これにより、蓄電池4のSOCが100%まで上昇する。蓄電池4のSOCが100%まで上昇後、押し込み充電を終了する。
【0058】
図6は、太陽光発電優先モード(系統電力0%設定、太陽光発電100%利用可能)で、押し込み充電を行った時の様子を示すグラフである。蓄電池4に充電を開始して、既定の電力を蓄電した後、蓄電池4に対する通常の充電が完了する。
【0059】
そして、蓄電池4に対する通常の充電が完了後、所定の時間が経過した後、第1の押し込み充電を開始する。第1の押し込み充電では、蓄電池4の電力を50%抑制しつつ、押し込み充電を行う。DC/DCコンバータ7からは、PV6で発電した電力が電力抑制されることなく100%の効率で変換され、蓄電池4に対して充電を行う。この時、蓄電池4に入力する電力が蓄電池の定格電力の50%となるように、PV6からの電力の余剰分の50%は、電力変換器2で変換され電力系統や負荷に対して供給される。これにより、蓄電池4のSOCが96%まで上昇する。
【0060】
次に、蓄電池4に対する第1の押し込み充電が完了後、所定の時間が経過した後、第2の押し込み充電を開始する。第2の押し込み充電では、蓄電池4の電力を25%抑制しつつ、押し込み充電を行う。DC/DCコンバータ7からは、PV6で発電した電力が電力抑制されることなく100%の効率で変換され、蓄電池4に対して充電を行う。この時、蓄電池4に入力する電力が蓄電池の定格電力の25%となるように、PV6からの電力の余剰分の75%は、電力変換器2で変換され電力系統や負荷に対して供給される。これにより、蓄電池4のSOCが100%まで上昇する。蓄電池4のSOCが100%まで上昇後、押し込み充電を終了する。
【0061】
[2-3.効果]
(1)以上の様な本実施形態の蓄電池システムでは、蓄電池用DC/DCコンバータを搭載せずに蓄電池容量を0%~100%まで使用可能とし、蓄電池4を100%まで充電後、充電動作を停止したときに起こる電圧低下を抑制する為の押し込み充電も可能とした。
【0062】
さらに、押し込み充電を行うことによって発生するバッテリー内部の反応や熱のために、バッテリーが一時的に高温になることがある。蓄電池4の出力を制限することにより蓄電池4が高温状態となることを抑制し、バッテリーの性能が低下を防止するとともに、安全性を確保することができる。
【0063】
押し込み充電により、蓄電池4に大きな負荷を可能性もあるため、押し込み充電制御部21は、押し込み充電を段階的に行うことで、蓄電池4にかかる負荷を均等に分散することができ、蓄電池4の寿命を延ばすことができます。
【0064】
[他の実施形態]
(1)PV昇圧チョッパ、PV降圧チョッパを採用することにより、主要回路の電圧以下の出力電圧の太陽光パネルや主要回路の電圧を超える出力電圧の太陽光パネルをPV6において利用が可能となる。蓄電池4の充電を効率的に行うことを可能とするため電圧が180V~324Vである。PV昇圧チョッパやPV降圧チョッパを利用しない場合には、PVを構成する太陽光発電パネルの出力電圧をこの範囲内のものを利用する必要がある。一方、PV昇圧チョッパ、PV降圧チョッパを採用することで、主要回路の電圧の範囲外である180V未満の出力電圧の太陽光発電パネルや、324V以上の出力電圧となる太陽光パネル構成を可能とする。
【0065】
(2)蓄電池4は容量を増設可能とし、蓄電池4を増設した場合にでも制御部10によって各電力源の動作を制御することで、蓄電池4に対して充放電を可能とする。50kWPCSを使用した蓄電システムで、蓄電池容量を50kWh程度としていて、自立運転時に50kWの特定負荷へ電力供給した場合、蓄電池容量が100%だったとしても1時間程度で負荷への電力供給が途切れてしまう。
【0066】
そこで、蓄電池システム全体の蓄電池の容量を増加させるため、蓄電池4を複数増設することを可能とする。例えば、蓄電池4と同じ容量・同じ規格の蓄電池を蓄電池4と並列に接続することで、蓄電池システム全体の蓄電池の容量を増加させることが可能となる。この場合にでも、主要回路3に流れる電力を各蓄電池4の充放電量と算出することが可能である。このように、複数台の蓄電池4をシステム内に備えることで、自立運転時に特定負荷への電力供給時間を延ばすことが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 :蓄電池システム
2 :電力変換器
3 :主要回路
4 :蓄電池
5 :BMU
6 :PV
7 :DC/DCコンバータ
8 :EV
9 :双方向充電器
10 :制御部
11 :電力源電力監視部
12 :主回路電力算出部
13 :電力源定格設定部
14 :主回路定格設定部
15 :蓄電池充放電力算出部
16 :電力源電力抑制部
17 :電力制御モード選択部
18 :エコモード選択部
19 : 入出力電力指示部
20 : 操作表示器