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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166708
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】冊子作成システム
(51)【国際特許分類】
   B42C 19/02 20060101AFI20241122BHJP
   B65H 45/22 20060101ALI20241122BHJP
   B65H 39/042 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B42C19/02
B65H45/22
B65H39/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083002
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】田口 和教
(72)【発明者】
【氏名】井村 良太
【テーマコード(参考)】
3F050
3F108
【Fターム(参考)】
3F050AA09
3F050BA03
3F050BD01
3F050CB01
3F050CB07
3F050CD07
3F050CE06
3F050LA16
3F050LB01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC10
3F108BA02
3F108CA02
3F108CC01
(57)【要約】
【課題】冊子の作成の処理速度を維持しながら、冊子の品質を向上できる技術を提供する。
【解決手段】冊子作成システムは、複数のグループに分けられた複数の供給ラインと、対応する供給ラインから供給されるシートセット要素の端縁にガイドを当接させて位置決めし、そこから所定の方向に送り出す複数の方向変換機構と、複数の折り機構と、複数のグループのそれぞれについて、グループに属する1つまたは複数の供給ラインのそれぞれから1つずつ供給されたシートセット要素であって、対応する折り機構においてそれぞれ折り目が付与されたシートセット要素を、1つのシートセットとして搬送する搬送機構52と、複数の供給ラインを制御する制御部と、を備え、制御部は、複数のグループのそれぞれによるシートセット要素の供給を同時並行して実行させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートセットを形成し、それに所定の加工を施して冊子に仕上げる冊子作成システムであって、
複数のグループに分けられた複数の供給ラインであって、それぞれが、少なくとも1枚のシートを含むシートセット要素を供給する複数の供給ラインと、
複数の方向変換機構であって、それぞれが、対応する供給ラインから供給されるシートセット要素の端縁にガイドを当接させて位置決めし、当該シートセット要素をそこから所定の方向に送り出す複数の方向変換機構と、
複数の折り機構であって、それぞれが、対応する方向変換機構から送り出されたシートセット要素にそれぞれの基準線に沿って折り目を付ける複数の折り機構と、
前記複数のグループのそれぞれについて、グループに属する1つまたは複数の供給ラインのそれぞれから1つずつ供給されたシートセット要素であって、対応する折り機構においてそれぞれ折り目が付与されたシートセット要素を、1つのシートセットとして搬送する搬送機構と、
前記複数の供給ラインを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数のグループのそれぞれによるシートセット要素の供給を同時並行して実行させる、
冊子作成システム。
【請求項2】
前記複数の方向変換機構はそれぞれ、対応する供給ラインから供給されるシートセット要素の端縁に、複数回ガイドを当接させる請求項1に記載の冊子作成システム。
【請求項3】
前記搬送機構は、搬送方向に沿って設けられた複数の搬送区画を有し、当該複数の搬送区画のそれぞれに送り込まれたシートセット要素により構成されるシートセットを、搬送区画ごと搬送方向に搬送し、
前記制御部は、隣接する搬送区画には、互いに異なるグループから供給されるシートセット要素を送り込む請求項1に記載の冊子作成システム。
【請求項4】
前記複数のグループのうちのいずれかのグループに属する供給ラインの給送部においてシートが無くなった場合、当該グループを除く残りのグループによるシートセット要素の供給を継続する請求項1に記載の冊子作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、冊子作成装置を開示する。この冊子作成装置は、複数の丁合装置と、複数の丁合装置に対応して設けられ、対応する丁合装置から供給されるシート束に折り目を付ける折り機構と、を備え、折り目が付けられたシート束を重ねて冊子を作成する。この冊子作成装置によれば、丁合と折りが並列化されるため、単位時間あたりに作成可能な冊子数(以下、処理速度という)が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/042756号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
折り装置では、供給ラインから供給されたシート束を、対応する方向変換機構においてガイドに当接させて位置決めし、そこから所定の方向に搬送しながらシート束に折り目を付ける。その位置決めにおいてシート束の端をしっかり揃えることが冊子の品質の向上につながる。
【0005】
特許文献1では、冊子を1冊作成するたびに各供給ラインから折り装置にシート束が供給され、冊子を1冊作成するたびに対応する方向変換機構においてシート束を位置決めする。したがって、シート束の位置決めの時間は比較的制限される。位置決めの時間を十分に確保できれば、冊子の品質を向上できる。
【0006】
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、冊子の作成の処理速度を維持しながら、冊子の品質を向上できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の冊子作成システムは、シートセットを形成し、それに所定の加工を施して冊子に仕上げる冊子作成システムであって、複数のグループに分けられた複数の供給ラインであって、それぞれが、少なくとも1枚のシートを含むシートセット要素を供給する複数の供給ラインと、複数の方向変換機構であって、それぞれが、対応する供給ラインから供給されるシートセット要素の端縁にガイドを当接させて位置決めし、当該シートセット要素をそこから所定の方向に送り出す複数の方向変換機構と、複数の折り機構であって、それぞれが、対応する方向変換機構から送り出されたシートセット要素にそれぞれの基準線に沿って折り目を付ける複数の折り機構と、複数のグループのそれぞれについて、グループに属する1つまたは複数の供給ラインのそれぞれから1つずつ供給されたシートセット要素であって、対応する折り機構においてそれぞれ折り目が付与されたシートセット要素を、1つのシートセットとして搬送する搬送機構と、複数の供給ラインを制御する制御部と、を備える。制御部は、複数のグループのそれぞれによるシートセット要素の供給を同時並行して実行させる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冊子の作成の処理速度を維持しながら、冊子の品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る冊子作成システムの斜視図である。
図2】供給ラインの構成を示す図である。
図3図1の折り装置とその周辺を模式的に示す上面図である。
図4図1の折り装置の側面図である。
図5図4の搬送機構の斜視図である。
図6図4のB-B断面図である。
図7】折り機構の一例を示す斜視図である。
図8】冊子作成システムの制御系を示すブロック図である。
図9】搬送機構の搬送区画へのシートセット要素の送り込みの一例を示す図である。
図10】搬送機構の搬送区画へのシートセット要素の送り込みの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0012】
実施の形態の冊子作成システムの詳細を説明する前に、概要を説明する。冊子作成システムは、複数の供給ラインと、折り装置と、制御部と、を備える。複数の供給ラインは、例えばユーザの入力にしたがって、複数のグループに分けられる。複数のグループのそれぞれには、少なくとも1つの供給ラインが属する。複数の供給ラインは、それぞれが、少なくとも1枚のシートを含むシートセット要素を折り装置に供給する。
【0013】
折り装置は、複数の方向変換機構と、複数の折り機構と、搬送機構と、を含む。複数の方向変換機構は、対応する供給ラインから供給されるシートセット要素を位置決めし、そこから所定の方向に送り出す。複数の折り機構は、対応する方向変換機構から送り出されたシートセット要素に折り目を付ける。
【0014】
搬送機構は、折り目が付けられたシートセット要素を下流側に搬送する。搬送機構は特に、複数のグループのそれぞれについて、グループに属する1つまたは複数の供給ラインのそれぞれから1つずつ供給されたシートセット要素であって、対応する折り機構においてそれぞれ折り目が付与されたシートセット要素を、1つのシートセットとして下流側に搬送する。すなわち、或るグループに属する供給ラインが1つである場合、その供給ラインから供給されたシートセット要素は、それ1つでシートセットを構成し、下流側に搬送される。或るグループに属する供給ラインが複数である場合、その複数の供給ラインのそれぞれから供給されたシートセット要素は、搬送機構において互いに重ねられてシートセットを構成し、下流側に搬送される。
【0015】
制御部は、複数のグループのそれぞれによるシートセット要素の供給を同時並行して実行させる。ここで、シートセット要素の供給を同時並行して実行するとは、「1つのシートセット要素の作成開始から、その1つのシートセット要素の折り装置への排出まで」を一連の供給処理とした場合に、複数のグループのそれぞれによる一連の供給処理の実施が、少なくとも部分的に、時間的に重なることをいう。
【0016】
この場合、例えばグループが1つだけの場合や、複数のグループがシートセット要素の供給を同時並行して実行しない場合と比べて、冊子作成システム全体としてのシートセットひいては冊子の作成の処理速度を維持しながら、各供給ラインが単位時間当たりに送り出すシートセット要素の数を少なくでき、方向変換機構におけるシートセット要素の位置決めに十分な時間を確保できる。その結果、シートセットひいては冊子の品質が向上する。
【0017】
図1は、実施の形態に係る冊子作成システム1の斜視図である。冊子作成システム1は、文字や画像が印刷された用紙などのシートに丁合、折り、綴じ、断裁などの後処理を施して冊子を作成する。
【0018】
冊子作成システム1は、第1供給ライン10_1、第2供給ライン10_2、第3供給ライン10_3および第4供給ライン10_4(以下、特に区別しない場合には「供給ライン10」という)と、折り装置16と、綴じ装置18と、小口断裁装置20と、天地断裁装置22と、ベルトスタッカ24と、統合制御装置26と、を備える。
【0019】
複数の供給ライン10はそれぞれ、折り装置16にシートセット要素を供給する。シートセット要素は、1枚または重ねられた複数枚のシート、つまり少なくとも1枚のシートを含む。なお、供給ライン10の数は特に限定されない。冊子作成システム1は、2つ、3つまたは5つ以上の供給ライン10を備えてもよい。
【0020】
第1供給ライン10_1は、丁合装置12A_1,12B_1を含む。第2供給ラインは、丁合装置12A_2,12B_2を含む。第3供給ライン10_3は、丁合装置12A_3,12B_3を含む。第4供給ライン10_4は、丁合装置12A_4,12B_4を含む。これらを特に区別しない場合には「丁合装置12」という。なお、供給ライン10が備える丁合装置12の数は特に限定されない。供給ライン10ごとで丁合装置12の数が異なっていてもよい。
【0021】
丁合装置12は、複数の給送部を含む。複数の給送部のそれぞれには、シートの束が積載されている。丁合装置12は、複数の給送部のそれぞれからシートを給送しながらシートを重ね合わせてシートセット要素を作成する。この場合、シートセット要素は複数のシートで構成される。また丁合装置12は、給送部から送り出したシートを重ねることなくシートセット要素として送り出すこともある。この場合、シートセット要素は1枚のシートで構成される。丁合装置12Aと丁合装置12Bは直列に配置されており、上流側に配置された丁合装置12Aによって作成されたシート束に下流側に配置された丁合装置12Bによって作成されたシート束を重ね合わせることが可能である。それらを重ね合わせずに、別々のシート束とすることも可能である。
【0022】
丁合装置12が丁合したシート束すなわちシートセット要素は、図示を省略した搬送機構によってx方向(第1の方向)に搬送され、折り装置16に搬出される。x方向は、例えば水平方向である。
【0023】
折り装置16は、複数の供給ライン10のそれぞれから搬入されるシートセット要素の搬送方向を、x方向からy方向(第2の方向)に方向変換する。y方向は、例えば水平方向であり、例えば平面視においてx方向に直交する方向である。
【0024】
折り装置16は、y方向に方向変換したシートセット要素に折り筋を付け、その折り筋に沿ってシートセット要素を山折り状(すなわち断面形状が逆V字状)に折る。山折り状のシートセット要素は、それ1つで、あるいは他の少なくと1つの山折り状のシートセット要素と重ねられて、シートセットを構成する。折り装置16は、図示を省略した搬送機構によってシートセットをy方向に搬送し、綴じ装置18に搬出する。
【0025】
綴じ装置18は、綴じ機構32を備える。綴じ機構32は、シートセットを折り目で綴じて冊子を作成する。綴じ機構32は、作成した冊子を小口断裁装置20に搬出する。
【0026】
小口断裁装置20は、綴じ装置18から搬入された冊子の小口を断裁し、天地断裁装置22に搬出する。天地断裁装置22は、小口断裁装置20から搬入された冊子の天地を断裁し、ベルトスタッカ24に搬出する。ベルトスタッカ24は、搬入される冊子を順次蓄積する。
【0027】
統合制御装置26は、冊子作成システム1を統合的に制御する。統合制御装置26は、例えばPCにより構成される。
【0028】
図2は、供給ライン10の構成を示す図である。供給ライン10は、第1中継搬送装置34および第2中継搬送装置36をさらに備える。
【0029】
2つの丁合装置12はそれぞれ、複数の給送部38と、垂直搬送機構44と、水平搬送機構46と、を備える。複数の給送部38は、鉛直方向に並設される。なお、給送部38の並設方向は鉛直方向に限定されない。以降では、各丁合装置12がそれぞれ10個の給送部38を備える場合について説明するが、給送部38の数は特には限定されない。
【0030】
複数の給送部38は、棚40と、給送機構42と、を含む。棚40には、複数のシートが積載される。給送機構42は、対応する棚40から1枚ずつシートを送り出す給送を実行する。給送機構42は、図示の例ではエアサクション式の給送機構であるが、フリクション式の給送機構であってもその他の給送機構であってもよい。給送機構42によって送り出されたシートは、垂直搬送機構44によって鉛直下方に搬送されながら重ね合わせ可能である。
【0031】
水平搬送機構46は、後述の第1中継搬送装置34を介して上流の丁合装置12から搬送されたシート束を下流に搬送する。水平搬送機構46の下流側端部は垂直搬送機構44の下流側端部に合流しており、この合流地点にて、上流側から搬送されたシートまたはシート束と、その丁合装置12で作成されたシートまたはシート束とを重ね合わせ可能である。
【0032】
丁合装置12Aと丁合装置12Bとの間には、第1中継搬送装置34が配置される。第1中継搬送装置34は搬送機構47を有する。搬送機構47は、上流の丁合装置12で作成されたシートまたはシート束を下流の丁合装置12に搬送する。搬送機構47には、図示の例ではベルト搬送機構が採用されているが、例えばローラ搬送機構などが採用されてもよい。
【0033】
丁合装置12Aの下流側には、第2中継搬送装置36が設けられている。第2中継搬送装置36は搬送機構48を有する。搬送機構48は、丁合装置12Aから搬出されたシートまたはシート束(すなわちシートセット要素)を搬送して折り装置16に搬出する。搬送機構48には、図示の例ではベルト搬送機構が採用されているが、例えばローラ搬送機構などが採用されてもよい。
【0034】
図3は、折り装置16とその周辺を模式的に示す上面図である。折り装置16は、第1方向変換機構84_1、第2方向変換機構84_2、第3方向変換機構(図示せず)および第4方向変換機構(図示せず)(以下、特に区別しない場合には「方向変換機構84」」という)と、第1折り機構50_1、第2折り機構50_2、第3折り機構(図示せず)および第4折り機構(図示せず)(以下、特に区別しない場合には「折り機構50」という)と、を備える。
【0035】
第1方向変換機構84_1、第2方向変換機構84_2、第3方向変換機構、第4方向変換機構はそれぞれ、第1供給ライン10_1、第2供給ライン10_2、第3供給ライン10_3、第4供給ライン10_4に対応する方向変換機構である。
【0036】
第1折り機構50_1、第2折り機構50_2、第3折り機構、第4折り機構はそれぞれ、第1供給ライン10_1、第2供給ライン10_2、第3供給ライン10_3、第4供給ライン10_4に対応する折り機構である。
【0037】
方向変換機構84は、対応する供給ライン10のx方向における下流側、かつ、対応する折り機構50のy方向における上流側に配置され、対応する供給ライン10から搬入されるシートセット要素Sの搬送方向をx方向からy方向に方向変換し、対応する折り機構50に搬出する。
【0038】
例えば、第1方向変換機構84_1は、第1供給ライン10_1のx方向における下流側、かつ、第1折り機構50_1のy方向における上流側に配置され、第1供給ライン10_1から搬入されるシートセット要素Sの搬送方向をx方向からy方向に方向変換し、第1折り機構50_1に搬出する。
【0039】
方向変換機構84は、第1ガイド86と、第2ガイド88と、図示しない搬送機構と、を含む。第1ガイド86および第2ガイド88は、x方向に互いに間隔をあけて配置される。第1ガイド86は、第2ガイド88とx方向で対向する第1ガイド面86aを有する。第1ガイド面86aの法線方向はx方向に一致する。第2ガイド88は、第1ガイド86とx方向で対向する第2ガイド面88aを有する。第2ガイド面88aの法線方向はx方向に一致する。第1ガイド86および第2ガイド88はそれぞれ、図示しない移動機構によってx方向に移動可能に構成される。
【0040】
方向変換機構84は、折り制御部72(後述)からの制御信号に基づいて、第1ガイド86と第2ガイド88とのx方向における間隔Wがシートセット要素Sのx方向の長さlよりも広い状態に、第1ガイド86および第2ガイド88を待機させる。方向変換機構84は、供給ライン10から供給されるシートセット要素Sを、図示しない搬送機構によって第1ガイド86と第2ガイド88との間に搬送する。第1ガイド86と第2ガイド88との間に搬送されたシートセット要素Sは、第1ガイド面86aに当接して停止する。
【0041】
方向変換機構84は、第1ガイド86と第2ガイド88との間に搬送されたシートセット要素Sを位置決めする。方向変換機構84は特に、後続の折り機構50においてシートセット要素Sの所望の位置に折り目が付けられるように、当該シートセット要素Sを位置決めする。詳しくは、方向変換機構84は、(i)第1ガイド面86aと第2ガイド面88aとのx方向における間隔Wがシートセット要素Sのx方向の長さlと等しく、かつ、(ii)平面視において、シートセット要素Sにおいて折り目が付けられるべき位置を基準線Lが通るように、第1ガイド86および第2ガイド88の少なくとも一方を移動させ、シートセット要素Sを位置決めする。例えばシートセット要素Sのx方向における中央に折り目を付ける場合は、第1ガイド面86aと第2ガイド面88aとのx方向における中央を基準線Lが通るように、第1ガイド86および第2ガイド88の少なくとも一方を移動させる。方向変換機構84は、位置決めしたシートセット要素Sを、折り機構50に向けてy方向に直線的に搬送する。折り機構50は、シートセット要素Sに基準線Lに沿った(すなわちy方向に延びる)折り目を付ける。つまり、折り機構50において折り目が付けられるx方向位置を通る仮想線が基準線Lとなる。
【0042】
例えば、第1ガイド面86aと基準線Lとのx方向における距離D1が、シートセット要素Sのx方向における下流側の端縁Sa(シートセットとなったときに小口側となる端縁Sa)から折り目を付けるべき位置までの距離D2と等しくなる位置に、第1ガイド86を予め待機(移動)させておき、第1ガイド86と第2ガイド88との間にシートセット要素Sが搬送されて当該シートセット要素Sが第1ガイド面86aに当接して停止したら、第2ガイド88をシートセット要素Sの上流側の端縁Sbに当接させ、さらに第2ガイド88をシートセット要素Sの端縁Sbから上流側に少し離れた位置とシートセット要素Sの端縁Sbに当接する位置との間を往復動させる。これにより、シートセット要素Sが位置決めされるとともに、小口側となる端縁Sa,Sbが揃う。
【0043】
また例えば、距離D1が距離D2よりも大きくなる位置(例えば予め定めた所定距離だけ大きくなる位置)に、第1ガイド86を予め待機(移動)させておき、第1ガイド86と第2ガイド88との間にシートセット要素Sが搬送されて当該シートセット要素Sが第1ガイド面86aに当接して停止したら、間隔Wがシートセット要素Sのx方向の長さlと等しくなるように第1ガイド86および第2ガイド88を移動させ、さらに第2ガイド88をシートセット要素Sの端縁Sbから上流側に少し離れた位置とシートセット要素Sの端縁Sbに当接する位置との間を往復動させる。これにより、シートセット要素Sが位置決めされるとともに、小口側となる端縁Sa,Sbが揃う。
【0044】
いずれにせよ、基準線Lに対する第1ガイド86の待機位置が変更可能であり、距離D2に応じた距離D1の位置に、第1ガイド86を待機させる。
【0045】
距離D1は、所定の入力装置を介して、供給ライン10ごとに、ユーザによって設定可能であってもよい。折り制御部72は、ユーザによって設定された距離D1にしたがって第1ガイド86を移動させればよい。
【0046】
複数の供給ライン10のそれぞれがシートひいてはシートセット要素Sのx方向における長さlを検出するための適宜のセンサを備え、センサが検出した長さlに基づいて、折り制御部72が距離D1を設定してもよい。また、ユーザが長さlに関する情報を入力し、入力された長さlに関する情報に基づいて折り制御部72が距離D1を設定してもよい。長さlに関する情報は、長さlそのものであってもよいし、国際標準規格やJIS規格における紙のサイズ(例えばA3、A4など)であってもよい。なお、シートセット要素Sのx方向における中央に折り目を付ける場合に、折り制御部72が距離D1を決定してもよい。折り制御部72が自動で距離D1を設定することで、ユーザの負担が軽減される。折り制御部72が設定した距離D1は、所定の入力装置を介して、ユーザが微調整(変更)可能であってもよい。
【0047】
図4は、折り装置16をx方向に見た側面図である。図4では方向変換機構84の表示は省略している。図5は、搬送機構52の斜視図である。図5では一対の鞍部材60の表示は省略している。図6は、図4のB-B断面図である。折り装置16は、搬送機構52と、センサ54と、をさらに備える。
【0048】
複数の折り機構50は、搬送機構52の上方に設けられる。折り機構50は、対応する供給ライン10から供給されるシートセット要素に折り目を付与する。
【0049】
折り機構50は、下流、かつ、下方にシートセット要素を移動させながら、シートセット要素を山折り状に折る。
【0050】
図7は、折り機構50の一例を示す斜視図である。この例の折り機構50は、下流、かつ、下方に搬送しながら、筋付機構501によりシートセット要素に折り筋を付与し、さらに折り曲げ機構502によりシートセット要素を山折り状に折り曲げる。
【0051】
筋付機構501は、上方に配置された凸ローラ511と、凸ローラ511の下方に配置された凹ローラ512と、を含む。凸ローラ511の外周面には、周方向に延在する凸条が形成されている。凹ローラ512の外周面には、周方向に延在する凹溝が形成されている。筋付機構501は、凸ローラ511と凹ローラ512との間を通過するシートセット要素に、凸条と凹溝とで挟んで搬送方向に延びる折り筋を付ける。
【0052】
折り曲げ機構502は、折り筋が付けられたシートセット要素を徐々に山型に変形させる変形機構521と、山型に変形させたシートセット要素の頂部を挟み、折り目Fを形成する左右一対のプレスローラ522と、を含む。変形機構521は、下方のプーリ群にガイドされた下丸ベルト523がシートセット要素の下方を支持し、その両サイドで上丸ベルト524がシートセット要素を下方に徐々に押し下げることにより、シートセット要素を変形させる。変形されたシートセット要素の頂部がプレスローラ522の間に導入され、しっかりと折り目が付けられる。
【0053】
なお、折り機構50の構成はこの例に限定されず、公知の、あるいは将来利用可能な技術を用いて構成されればよい。
【0054】
図4~6に戻り、搬送機構52は、上流側プーリ55と、上流側プーリ55よりも下流側に設けられる下流側プーリ56と、上流側プーリ55および下流側プーリ56に巻き回される無端状の搬送ベルト58と、一対の鞍部材60と、を含む。
【0055】
不図示のモータに駆動されて下流側プーリ56が回転することにより、搬送ベルト58が回転する。例えば、搬送ベルト58が図示のように歯付きベルト(コグドベルト)で、プーリ55,56が歯付きプーリであってもよい。搬送ベルト58は、所定部数の冊子を連続して作成する間、好ましくは一定の速度で、走行し続ける。下流側プーリ56の回転速度は可変であってもよい。言い換えると、搬送ベルト58の移動速度は可変であってもよい。
【0056】
搬送ベルト58は、例えばエラストマ等の、柔軟性を有する材料によって形成される。搬送ベルト58は、断面が逆V字状の外周面58aを有する。搬送ベルト58は、特に限定されないが、本実施の形態では、内周面58bを底辺とし、外周面58aを等辺とする略二等辺三角形の断面形状を有する。
【0057】
搬送ベルト58の外周には、外側に突出するプッシャ62が、例えば周方向(延在方向)に等間隔に設けられている。複数のプッシャ62によって、y方向に沿って連続的に並ぶ複数の搬送区画64が定められる。詳しくは、y方向に隣接する2つのプッシャ62の間の上を向いている搬送ベルト58の外周面58aの部分が、1つの搬送区画64を構成する。折り機構50からこれらの搬送区画64にシートセット要素が搬入される。シートセット要素は、1つで、あるいは搬送区画64において重ねられて、シートセットを構成する。
【0058】
鞍部材60は、山折り状のシートセットを逆V字状に開かせる部材である。鞍部材60は、搬送機構52の搬送方向(すなわちy方向)に延在する斜め上を向いた一対のガイド面60aであって、下側ほどx方向に互いに離れる一対のガイド面60aを有する。
【0059】
搬送区画64に収容されたシートセットは、搬送ベルト58の外周面と鞍部材60のガイド面60aとによって、山折り状態が保たれたまま、プッシャ62によって後端が押されてy方向下流側に搬送される。
【0060】
なお、搬送機構52は、y方向に沿って設けられた複数の搬送区画64を有し、搬送区画64に収容されたシートセットを、その山折り状態を保ったまま搬送区画64ごとy方向に移動させるものであれば、上述の構成には限定されない。
【0061】
搬送機構52により折り装置16の下流側端部まで搬送されたシートセットは、図示を省略した補助搬送機構によって綴じ装置18に搬出される。補助搬送機構は、下流側プーリ56に沿って下方に転回する搬送ベルト58からシートセットを離間させ、引き続き水平方向に搬送する。補助搬送機構の搬送速度は、搬送ベルト58の搬送速度よりも高速に設定されている。補助搬送機構は、シートセットを、搬送ベルト58が下方に回り込む直前に離間させる。これにより、シートセットの後端と、搬送ベルト58とともに下方に回り込むプッシャ62とが干渉するのを防ぐことができる。
【0062】
センサ54は、プッシャ62の通過を検出するために設けられる。したがってセンサ54には、プッシャ62の通過を検出可能な適宜のセンサが採用されればよい。
【0063】
図8は、冊子作成システム1の制御系を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0064】
統合制御装置26は、ジョブ情報取得部66と、メイン制御部68と、を含む。ジョブ情報取得部66は、所定の入力装置を用いてユーザが入力する、冊子を作成するジョブについての各種の情報を取得する。ジョブ情報には、作成する冊子の部数、複数の供給ライン10のグループ分け情報、複数のグループのそれぞれが作成するシートセット要素の数、使用する給送部、などが含まれる。
【0065】
メイン制御部68は、ユーザが入力するスタート指示を取得する。メイン制御部68は、スタート指示を取得すると、各装置(機構)にスタート信号や、各装置を作動させるための作動信号を送信する。メイン制御部68は特に、ジョブ情報取得部66が取得した複数の供給ライン10のグループ分けにしたがって各供給ライン10の各丁合装置12の各給送部の給送タイミングを制御して、グループごとにシートセットを作成する。
【0066】
いずれかの給送部においてシートが1枚も積載されていない(すなわちシート無しの状態の)場合の取り扱いは特に限定されず、適宜の処理がなされればよい。なお、シート無しか否かは、例えば給送部ごとに適宜のセンサを設けて検出すればよい。
【0067】
例えばメイン制御部68は、シート無し状態の給送部の送り出しのみをスキップしてもよい。つまり、シート無し状態の給送部が属するグループによるシートセット要素の供給を継続してもよい。
【0068】
また例えばメイン制御部68は、シート無し状態の給送部が属するグループによるシートセット要素の供給を停止し、残りのグループによるシートセット要素の供給は継続してもよい。
【0069】
また例えばメイン制御部68は、すべてのグループによるシートセット要素の供給を停止(すなわちエラーとしてジョブを停止)してもよい。
【0070】
冊子作成システム1はさらに、丁合装置12A_1,12B_1,12A_2,12B_2,12A_3,12B_3,12A_4,12B_4それぞれの作動を制御する丁合制御部70A_1,70B_1,70A_2,70B_2,70A_3,70B_3,70A_4,70B_4(以下、特に区別しない場合には「丁合制御部70」という)と、折り機構50_1,50_2,50_3,50_4それぞれの作動を制御する折り制御部72_1,72_2,72_3,72_4(以下、特に区別しない場合には「折り制御部72」という)と、搬送機構52の作動を制御する搬送制御部74と、綴じ機構32の作動を制御する綴じ制御部78と、小口断裁装置20の作動を制御する小口断裁制御部80と、天地断裁装置22の作動を制御する天地断裁制御部82と、を備える。
【0071】
搬送制御部74は、センサ54の検知結果に基づいて、各丁合装置12に一斉にトリガ信号を送信する。搬送制御部74は、例えば、プッシャ62を所定回数検知するたびに、トリガ信号を送信する。
【0072】
丁合制御部70は、対応する丁合装置12による丁合を制御する。丁合制御部70は、丁合装置12の給送機構42、垂直搬送機構44および水平搬送機構46などの各機構の作動を制御する。丁合制御部70は、トリガ信号を受信するたびに丁合装置12を制御し、1つの搬送区画64に送り込むべきシートを給送する。
【0073】
丁合制御部70A_1,70B_1は、例えばユーザからの指示にしたがって、丁合装置12A_1,12B_1それぞれから供給されるシートが第1供給ライン10_1において(すなわち折り装置16に搬出される前に)重なって1つのシートセット要素を形成するように丁合装置12A_1,12B_1を制御してもよい。
【0074】
また、丁合制御部70A_1,70B_1は、例えばユーザからの指示にしたがって、丁合装置12A_1から供給されるシートと、丁合装置12B_1から供給されるシートが、それぞれ別々のシートセット要素を形成する(すなわち第1供給ライン10_1において合流しない)ように丁合装置12A_1,12B_1を制御してもよい。
【0075】
丁合制御部70A_2,70B_2についても同様に、1つのシートセット要素を形成するように丁合装置12A_2,12B_2を制御してもよいし、複数のシートセット要素に分かれるように丁合装置12A_2,12B_2を制御してもよい。
【0076】
丁合制御部70A_3,70B_3についても同様に、1つのシートセット要素を形成するように丁合装置12A_3,12B_3を制御してもよいし、複数のシートセット要素に分かれるように丁合装置12A_3,12B_3を制御してもよい。
【0077】
丁合制御部70A_4,70B_4についても同様に、1つのシートセット要素を形成するように丁合装置12A_4,12B_4を制御してもよいし、複数のシートセット要素に分かれるように丁合装置12A_4,12B_4を制御してもよい。
【0078】
続いて、給送のタイミングについて、より詳細に説明する。丁合制御部70は、対応する丁合装置12の位置を示す情報を記憶し、トリガ信号から位置に応じて遅らせたタイミングで対応する丁合装置12の給送機構42の駆動を開始してもよい。
【0079】
詳しくは、丁合装置12ごとで、折り装置16までの距離が異なりうる。少なくとも、丁合装置12A_1から折り装置16までの距離Xa1と丁合装置12B_1から折り装置16までの距離Xb1とは互いに異なり、丁合装置12A_2から折り装置16までの距離Xa2と丁合装置12B_2から折り装置16までの距離Xb2とは互いに異なり、丁合装置12A_3から折り装置16までの距離Xa3と丁合装置12B_3から折り装置16までの距離Xb3とは互いに異なり、丁合装置12A_4から折り装置16までの距離Xa4と丁合装置12B_4から折り装置16までの距離Xb4とは互いに異なる(図1参照)。
【0080】
そこで丁合制御部70は、対応する丁合装置12についての折り装置16までの距離を記憶する。なお、距離に関する情報を記憶してもよい。距離に関する情報は、供給ラインにおいて何番目に連結されている丁合装置12であるかといった情報であってもよい。丁合制御部70は、各給送機構42による給送タイミングを決定する際に、折り装置16までの距離に関する情報を考慮する。例えば、丁合装置12Aが供給するシート束と丁合装置12Bが供給するシート束とを重ねる場合、折り装置16までの距離がより短い丁合装置12Aの給送タイミングを、折り装置16までの距離がより長い丁合装置12Bの給送タイミングよりも、距離の差に応じて遅らせればよい。
【0081】
また、供給ラインごとで搬送機構52との合流位置が異なる。そこで丁合制御部70は、各給送機構42による給送のタイミングを決定する際に、搬送機構52によって搬送される距離を考慮する。例えば、第1供給ライン10_1と第2供給ライン10_2が同じグループにグループ分けされ、したがって第1供給ライン10_1に所属する丁合装置12が供給するシートセット要素と、第2供給ライン10_2に所属する丁合装置12が供給するシートセット要素とを搬送区画64において重ねる場合、第1供給ライン10_1から供給されたシートセット要素が搬送機構52によって搬送される距離と、第2供給ライン10_2から供給されたシートセット要素が搬送機構52によって搬送される距離との差分r(図1参照)の搬送に要する時間だけ、第2供給ライン10_2の丁合装置12よりも早いタイミングで第1供給ライン10_1の丁合装置12を駆動すればよい。
【0082】
搬送機構52の搬送ベルト58の移動速度が可変である場合、搬送機構52の搬送ベルト58の移動速度から、差分rの搬送に要する時間を特定すればよい。
【0083】
また、供給ライン10ごとで搬送速度が異なる場合は、搬送速度の違いを考慮して各供給ラインの各給送機構42からの給送タイミングを決定すればよい。例えば各供給ラインの搬送距離が同じであれば、搬送速度が速い方の供給ラインから供給されるシートセット要素がその分早く搬送機構52に到達することになるので、搬送速度が速い方の供給ラインの丁合装置12は、その分だけ遅いタイミングで給送機構42の駆動を開始すればよい。
【0084】
ただし、方向変換機構や折り機構50が介在するため、合流位置までの搬送時間はばらつきやすい。例えば、シートのサイズ、枚数、材質などによって搬送時間は前後する。したがって、ユーザによって、丁合装置12の各給送機構42の駆動タイミングの微調整が可能であってもよい。システムのいずれかに設けられたタッチパネルや、システムとは別体に設けられたPCコントローラでユーザが微調整を行うことができてもよい。微調整では、搬送時間の論理値から算出されるデフォルト値に対して、プラス方向、マイナス方向の両方に駆動タイミングを調整可能であってもよい。
【0085】
給送機構42ごとに個別に微調整が可能であってもよい。この場合、給送機構42の個体差を吸収できる。
【0086】
また、丁合装置12ごとに、丁合装置12に含まれる複数の給送機構42に対してまとめて同一の微調整が可能であってもよい。この場合、丁合装置12ごとに特有の搬送時間が前後する傾向に応じて、各丁合装置12に含まれる複数の給送機構42の駆動タイミングをまとめて調整することができ、操作が容易となる。
【0087】
また、供給ラインごとに、供給ラインに含まれる複数の給送機構42に対してまとめて同一の微調整が可能であってもよい。この場合、供給ラインごとに特有の搬送時間が前後する傾向に応じて、各供給ラインに含まれる複数の給送機構42の駆動タイミングをまとめて調整することができ、操作が容易となる。
【0088】
以上が冊子作成システム1の基本構成である。
【0089】
図9は、搬送機構52の搬送区画へのシートセット要素の送り込みの一例を示す図である。この例では、1つのシートセットに含まれるシートの枚数が少なく、具体的には折り機構50において適切に折り目を付けることができる枚数であり、したがって1つのシートセット要素で1つのシートセットが構成される場合について説明する。
【0090】
複数の供給ライン10は、以下の2つのグループにグループ分けされているものとする。
第1グループ:第1供給ライン10_1
第2グループ:第2供給ライン10_2
【0091】
なお、第3供給ライン10_3および第4供給ライン10_はいずれのグループにも振り分けられていない。第1供給ライン10_1および第2供給ライン10_2のそれぞれが供給するシートセット要素は、それ1つでシートセットを構成する。
【0092】
第1供給ライン10_1は、所定部数分のシートセット要素S1を、折り機構50_1を介して、搬送機構52に順次搬出する。シートセット要素S1は、一定の速度で移動し続ける搬送区画64に1つ飛ばしすなわち一定間隔で送り込まれている。
【0093】
第2供給ライン10_2は、所定部数分のシートセット要素S2を、折り機構50_2を介して、搬送機構52に順次搬出する。シートセット要素S2は、一定の速度で移動し続ける搬送区画64に1つ飛ばしすなわち一定間隔で送り込まれている。シートセット要素S2は、シートセット要素S1が送り込まれた搬送区画64とは別の搬送区画64であって、シートセット要素S1送り込まれた搬送区画64に隣接する搬送区画64に送り込まれている。
【0094】
つまり、第1グループに属する供給ライン10からのシートセット要素S1と、第2グループに属する供給ライン10からのシートセット要素S2が、y方向に交互に並ぶように搬送区画64に送り込まれている。
【0095】
シートセット要素S1と、シートセット要素S2は、同一であっても異なっていてもよいが、異なっている場合は、異なるシートセットが交互に排出されることになるので、これを適宜振り分ける機構が下流側に設けられてもよい。
【0096】
第1グループに属する供給ライン10によるシートセット要素の供給と、第2グループに属する供給ライン10によるシートセット要素の供給は、同時並行して実行される。詳しくは、第1グループに属する第1供給ライン10_1において順次実行される一連の供給処理と、第2グループに属する第2供給ライン10_2において順次実行される一連の供給処理とが、少なくとも部分的に、時間的に重なるように、各グループによるシートセット要素の供給が実行される。
【0097】
なお、複数の供給ライン10が第1グループ、第2グループおよび第3グループの3つのグループにグループ分けされ、第3グループに第3供給ライン10_3のみが属し、第3供給ライン10_3が供給するシートセット要素S3がそれ1つでシートセットを構成してもよい。この場合、搬送機構52において、S1、S2、S3、S1、S2、S3、・・・の順に並ぶようにシートセット要素S1~S3が搬送機構52に送り込まれてもよい。
【0098】
また、複数の供給ライン10が第1グループ、第2グループ、第3グループおよび第4グループの4つのグループにグループ分けされ、第4グループに第4供給ライン10_4が属し、第4供給ライン10_4が供給するシートセット要素S4がそれ1つでシートセットを構成してもよい。この場合、搬送機構52において、S1、S2、S3、S4、S1、S2、S3、S4、・・・の順に並ぶようにシートセット要素S1~S4が搬送機構52に送り込まれてもよい。
【0099】
図10は、搬送機構52の搬送区画へのシートセット要素の送り込みの別の例を示す図である。この例では、1つのシートセットに含まれるシートの枚数が多く、したがって1つのシートセットに含まれるシートは、折り機構50において適切に折り目を付けることができように複数のシートセット要素に分けて供給される場合について説明する。図10では見やすさのため、同じ搬送区画に送り込まれたシートセット要素を重ねずに上下に並べて描いている。
【0100】
複数の供給ライン10は、以下の2つのグループにグループ分けされているものとする。
第1グループ:第1供給ライン10_1、第2供給ライン10_2
第2グループ:第3供給ライン10_3、第4供給ライン10_4
【0101】
第1供給ライン10_1は、所定部数分のシートセット要素S1を、折り機構50_1を介して、搬送機構52に順次搬出する。シートセット要素S1は、一定の速度で移動し続ける搬送区画64に1つ飛ばしすなわち一定間隔で送り込まれている。
【0102】
第2供給ライン10_2は、所定部数分のシートセット要素S2を、折り機構50_2を介して、搬送機構52に順次搬出する。シートセット要素S2は、一定の速度で移動し続ける搬送区画64に1つ飛ばしすなわち一定間隔で送り込まれている。詳しくは、シートセット要素S2は、シートセット要素S1が送り込まれた搬送区画64に送り込まれてシートセット要素S1に重ねられている。
【0103】
第3供給ライン10_3は、所定部数分のシートセット要素S3を、折り機構50_3を介して、搬送機構52に順次搬出する。シートセット要素S3は、一定の速度で移動し続ける搬送区画64に1つ飛ばしで(すなわち一定間隔に)送り込まれている。詳しくは、シートセット要素S3は、シートセット要素S1,S2が送り込まれた搬送区画64とは別の搬送区画64であって、シートセット要素S1,S2が送り込まれた搬送区画64に隣接する搬送区画64に送り込まれている。
【0104】
第4供給ライン10_4は、所定部数分のシートセット要素S4を、折り機構50_4を介して、搬送機構52に順次搬出する。シートセット要素S4は、一定の速度で移動し続ける搬送区画64に1つ飛ばしで(すなわち一定間隔に)送り込まれている。詳しくは、シートセット要素S4は、シートセット要素S3が送り込まれた搬送区画64に送り込まれてシートセット要素S3に重ねられている。
【0105】
つまり、第1グループに属する複数の供給ライン10からのシートセット要素S1,S2と、第2グループに属する複数の供給ライン10からのシートセット要素S3,S4とが、y方向に交互に並ぶように搬送区画64に送り込まれる。
【0106】
第1グループに属する複数の供給ライン10のそれぞれが供給するシートセット要素は、搬送機構52において重ねられてシートセットを構成する。第2グループに複数の供給ライン10のそれぞれが供給するシートセット要素は、搬送機構52において重ねられてシートセットを構成する。したがって、第1グループのシートセットと、第2グループのシートセットは、y方向に交互に並ぶように搬送区画64に収容される。
【0107】
第1グループに属する複数の供給ライン10によるシートセット要素の供給と、第2グループに属する複数の供給ライン10によるシートセット要素の供給は、同時並行して実行される。詳しくは、第1グループに属する第1供給ライン10_1および第2供給ライン10_2において順次実行される一連の供給処理の少なくとも一方と、第2グループに属する第3供給ライン10_3または第4供給ライン10_4において順次実行される一連の供給処理とが、少なくとも部分的に、時間的に重なるように、各グループによるシートセット要素の供給が実行される。
【0108】
なお、冊子作成システム1が例えばさらに多くの供給ライン10を備え、冊子作成システム1の複数の供給ライン10がN(≧3)個のグループにグループ分けされる場合も、第1グループのシートセット、第2グループのシートセット、・・・、第Nグループのシートセット、第1グループのシートセット、第2グループのシートセット、・・・、第Nグループのシートセット、・・・の順にy方向に並ぶように複数のシートセットが搬送区画64に収納されればよい。
【0109】
冊子作成システム1は、ジョブ処理情報を記憶・蓄積し、それを出力可能であってもよい。出力先は、統合制御装置26を介した操作パネルやPCであってもよく、有線またはインターネット等の無線通信回線を通じた外部PCやスマートフォン等の外部端末であってもよい。ジョブ処理情報は、冊子作成システム1の実際の当該ジョブにおける稼働状況及びユーザによる入力情報から、作業開始時間、作業終了時間、その間に実際に冊子作成が行われた時間、作業準備に要した時間、発生したエラーの種類とその処理に要した時間、給送されたシートの枚数、作成された冊子数等を、ジョブ識別情報に紐づけて記憶する。さらに、これらの情報から、ジョブ全体に実際に要した時間T0と、装置が停止していた時間T1を算出し、T2=(T0-T1)/T0を作業効率として算出し、ジョブごとに管理してもよい。停止していた時間T1を、休憩時間等の計画的休止時間T1A、シートの積載作業や部品交換作業等に要する作業上停止時間T1B、エラー停止とその処理に要する性能上停止時間T1C、等に分けてそれぞれ効率を算出し、より精密な分析を行ってもよい。また、実際の稼働時間のなかで、給送されたシートの枚数N1に占める、正常に作成された冊子数N2から、N2/N1を効率として算出してもよい。ホストコンピュータに複数の冊子作成システム1を接続し、複数のシステムの効率を一括管理してもよいし、冊子作成システム1とは異なるシステムとともに管理してもよい。
【0110】
以上説明した本実施の形態によれば、複数の供給ライン10は、複数のグループであって、それぞれが、シートセットを作成する複数のグループに分けられる。複数のグループはそれぞれ、シートセットを順次作成する。また、複数のグループは、同時並行で、シートセットを作成する。これにより、例えばグループが1つだけの場合や、複数のグループが同時並行でシートセットを作成しない場合と比べて、冊子作成システム1全体としてのシートセットひいては冊子の作成の処理速度を維持しながら、各供給ライン10が単位時間当たりに送り出すシートセット要素の数を少なくできるため、方向変換機構84におけるシートセット要素の位置決めに十分な時間を確保できる。したがってシートセット要素の端縁をしっかりと揃えることができ、その結果、シートセットひいては冊子の品質が向上する。
【0111】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0112】
(変形例1)
実施の形態では、第1ガイド86をx方向に移動させることによって第1ガイド86を待機位置に移動(待機)させる(言い換えると距離D1を変化させる)場合について説明したが、折り機構50をx方向に移動可能(すなわち基準線Lを移動可能)に構成し、折り機構50をx方向に移動させることによって、第1ガイド86を待機位置に相対的に移動させてもよい。
【0113】
(変形例2)
実施の形態では、複数の供給ライン10がいずれも丁合装置12を備える場合について説明したが、これには限定されず、複数の供給ライン10のうちの少なくとも1つは、丁合装置12に代えて、例えばシートフィーダを備えてもよいし、また例えばプリンタを備えてもよい。シートフィーダは、積載されたシートの束から1枚ずつシートを送り出す。プリンタは、1枚ずつシートに印刷して送り出す。これらの場合、例えば折り装置16が折り機構50よりも上流側に、1枚ずつ送り出されたシートを蓄積してシートセット要素を形成する蓄積機構を備え、シートセット要素を搬送区画64に供給すればよい。蓄積機構は、適切に折り目を付けることができる枚数のシートを含むシートセット要素を作成して折り装置16に供給すればよい。
【0114】
(変形例3)
実施の形態では、搬送ベルト58が一定速度で移動し続ける場合について説明したが、これには限定されない。搬送ベルト58ひいては搬送区画64は、移動されたり、停止されたりしてもよい。
【0115】
(変形例4)
シートセット要素が折り機構50から搬送機構52に搬出される直前の位置に、プッシャ62を検知するセンサと、折り機構50を通過するシートセット要素を検知するセンサとを設け、両者の検知タイミングから、折り機構50から送られてくるシートセット要素の、搬送区画64に対する到来タイミングの相違を算出し、自動的に給送タイミングにフィードバックするようにしてもよい。すなわち、プッシャ62の到来に対して折り機構50を通過するシートセット要素の到来が、理想値より所定時間早い場合は、給送機構42の駆動タイミングを所定時間遅らせる。プッシャ62の到来に対して折り機構50を通過するシートセット要素の到来が、理想値より所定時間遅い場合は、給送機構42の駆動タイミングを所定時間早める。この制御により、適切なタイミングでシートセット要素を搬送機構52に搬出できる。
【0116】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば、請求項に記載の制御部の機能は、実施の形態の丁合制御部70、折り制御部72、搬送制御部74およびシートセット形成制御部76の組み合わせにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 冊子作成システム、 10 供給ライン、 12 丁合装置、 50 折り機構、 52 搬送機構、 64 搬送区画、 70 丁合制御部、 72 折り制御部、 74 搬送制御部、 84 方向変換機構、 86 第1ガイド、 88 第2ガイド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10