(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166712
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】エッチング加工製品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C23F 1/00 20060101AFI20241122BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20241122BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C23F1/00 102
H01L23/50 A
G03F7/40 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083011
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】永井 雄祐
【テーマコード(参考)】
2H196
4K057
5F067
【Fターム(参考)】
2H196AA27
2H196HA17
4K057WA11
4K057WB02
4K057WB04
4K057WC08
4K057WD05
4K057WM04
4K057WN01
5F067DA16
(57)【要約】
【課題】 高アスペクト比で高精細パターンを有するエッチング加工製品を簡便に製造する技術を提供する。
【解決手段】 エッチング加工製品は、第1面とその裏面である第2面とを有し、1以上の貫通孔群が設けられた金属板からなる。上記1以上の貫通孔群の各々は、各辺の長さが上記金属板の厚さ以上である矩形状の開口を前記第1面に有している第1貫通孔と、幅が上記金属板の上記厚さ未満である線形状の開口を各々が上記第1面に有し、上記第1貫通孔の周囲に配置された複数の第2貫通孔とを含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面とその裏面である第2面とを有し、1以上の貫通孔群が設けられた金属板からなり、前記1以上の貫通孔群の各々は、各辺の長さが前記金属板の厚さ以上である矩形状の開口を前記第1面に有している第1貫通孔と、幅が前記金属板の前記厚さ未満である線形状の開口を各々が前記第1面に有し、前記第1貫通孔の周囲に配置された複数の第2貫通孔とを含んだエッチング加工製品。
【請求項2】
前記複数の第2貫通孔の各々の前記開口は幅が20乃至150μmの範囲内にあり、前記第1貫通孔の前記開口の面積S1と、前記複数の第2貫通孔の各々の前記開口の面積S2との比S1/S2は10以上である請求項1に記載のエッチング加工製品。
【請求項3】
前記第1貫通孔の前記開口の各辺の長さL1と、前記複数の第2貫通孔の各々の前記開口の幅W2との比L1/W2は10乃至900の範囲内にある請求項1に記載のエッチング加工製品。
【請求項4】
前記1以上の貫通孔群の各々において、前記複数の第2貫通孔の各々の前記開口は、前記第1貫通孔の前記開口までの距離が3.5mm以下である請求項1に記載のエッチング加工製品。
【請求項5】
前記金属板には、前記1以上の貫通孔群の各々を取り囲むように配列した複数の第3貫通孔が更に設けられ、前記第1貫通孔の前記開口の各辺の長さL1と、前記複数の第3貫通孔の配列が取り囲む各領域の前記第1面における寸法L3との比L1/L3は0.5以下である請求項1に記載のエッチング加工製品。
【請求項6】
前記複数の第3貫通孔の前記第1面における開口幅W3と、前記複数の第2貫通孔の各々の前記開口の幅W2との比W3/W2は5乃至50の範囲内にある請求項5に記載のエッチング加工製品。
【請求項7】
前記1以上の貫通孔群の各々において、前記複数の第2貫通孔の各々の前記開口は、前記第1貫通孔の前記開口までの距離及び前記複数の第3貫通孔の開口までの最短距離の少なくとも一方が2.0mm以下である請求項5に記載のエッチング加工製品。
【請求項8】
前記1以上の貫通孔群は2以上の貫通孔群である請求項1に記載のエッチング加工製品。
【請求項9】
第1面とその裏面である第2面とを有している金属板を準備することと、
エッチングマスクを前記第1面の上に形成することと、
前記エッチングマスクを設けた前記第1面へエッチング液を噴霧して、前記金属板をエッチングすることと
を含み、
前記エッチングマスクとして、1以上の開口パターンが設けられ、前記1以上の開口パターンの各々は、各辺の長さが前記金属板の厚さ以上である矩形状の開口を有する第1開口部と、幅が前記金属板の前記厚さ未満である線形状の開口を各々が有し、前記第1開口部の周囲に配置された複数の第2開口部とを含んだものを使用して、前記エッチングにおいて、エッチングレートに違いを生じさせて前記第1開口部の位置で前記金属板に第1貫通孔を形成し、その後、前記複数の第2開口部の位置で前記金属板に複数の第2貫通孔をそれぞれ形成するエッチング加工製品の製造方法。
【請求項10】
前記エッチングマスクの形成は、
前記第1面の上に感光性樹脂層を設けることと、
前記感光性樹脂層をパターン露光することと、
パターン露光後の前記感光性樹脂層を現像することと
を含んだ請求項9に記載のエッチング加工製品の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のエッチング加工製品の製造方法において、前記パターン露光に使用するレチクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング加工製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の高密度実装化に伴い、高精細パターンを要求されるエッチング加工製品のファインピッチ化が急速に進展し、近年においてはエッチングの限界加工ピッチとなりつつある。これらの部品の多くはフォトエッチング法で製造されている。フォトエッチング法では、銅系や鉄系の金属材料表面に耐腐食性のフォトレジスト膜を所望するパターンに形成し、パターンから露出した金属部分をエッチング液にて腐食し加工する。
【0003】
このようなエッチング液を用いたウェットエッチングでは、フォトレジストの開口部からフォトレジスト直下まで等方的にエッチングが進行するので、サイドエッチングが問題となる。サイドエッチングとは、フォトレジスト膜面下へも等方的エッチングが入ることをいい、サイドエッチング量が多いと金属材料のエッチング部分を高アスペクト比にするには、隣り合うパターンとのピッチを狭くできないといった問題が発生する。このため従来のフォトエッチング技術により金属のエッチング加工製品を製造する場合、金属材料の厚さよりも開口幅が狭い高アスペクト比の貫通孔を形成することは難しく、上述したファインピッチ化に対応することが非常に困難となっている。
【0004】
この問題を解決するために、フォトエッチング法により金属層に設けられた貫通孔が、金属層の表層側に一次エッチングによる側壁を有し、深層側に電着フォトレジストを用いた二次エッチングによる側壁を有する金属のエッチング加工製品が開発されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)しかしながら、このエッチング加工製品を製造するためには現行プロセスが使えないため、設備改造やプロセスの最適化などが必要となる。また、この方法は2段エッチングを行うものであり、プロセスが複雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-204251号公報
【特許文献2】特開2004-218033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高アスペクト比で高精細パターンを有するエッチング加工製品を簡便に製造する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、第1面とその裏面である第2面とを有し、1以上の貫通孔群が設けられた金属板からなり、上記1以上の貫通孔群の各々は、各辺の長さが上記金属板の厚さ以上である矩形状の開口を上記第1面に有している第1貫通孔と、幅が上記金属板の上記厚さ未満である線形状の開口を各々が上記第1面に有し、上記第1貫通孔の周囲に配置された複数の第2貫通孔とを含んだエッチング加工製品が提供される。
【0008】
本発明の他の側面によると、上記複数の第2貫通孔の各々の上記開口は幅が20乃至150μmの範囲内にあり、上記第1貫通孔の上記開口の面積S1と、上記複数の第2貫通孔の各々の上記開口の面積S2との比S1/S2は10以上である上記側面に係るエッチング加工製品が提供される。
【0009】
本発明の更に他の側面によると、上記第1貫通孔の上記開口の各辺の長さL1と、上記複数の第2貫通孔の各々の上記開口の幅W2との比L1/W2は10乃至900の範囲内にある上記側面の何れかに係るエッチング加工製品が提供される。
【0010】
本発明の更に他の側面によると、上記1以上の貫通孔群の各々において、上記複数の第2貫通孔の各々の上記開口は、上記第1貫通孔の上記開口までの距離が3.5mm以下である上記側面の何れかに係るエッチング加工製品が提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、上記金属板には、上記1以上の貫通孔群の各々を取り囲むように配列した複数の第3貫通孔が更に設けられ、上記第1貫通孔の上記開口の各辺の長さL1と、上記複数の第3貫通孔の配列が取り囲む各領域の上記第1面における寸法L3との比L1/L3は0.5以下である上記側面の何れかに係るエッチング加工製品が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、上記複数の第3貫通孔の上記第1面における開口幅W3と、上記複数の第2貫通孔の各々の上記開口の幅W2との比W3/W2は5乃至50の範囲内にある請求項5に記載のエッチング加工製品が提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、上記1以上の貫通孔群の各々において、上記複数の第2貫通孔の各々の上記開口は、上記第1貫通孔の上記開口までの距離及び上記複数の第3貫通孔の開口までの最短距離の少なくとも一方が2.0mm以下である上記側面に係るエッチング加工製品が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、上記1以上の貫通孔群は2以上の貫通孔群である上記側面の何れかに係るエッチング加工製品が提供される。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、第1面とその裏面である第2面とを有している金属板を準備することと、エッチングマスクを上記第1面の上に形成することと、上記エッチングマスクを設けた上記第1面へエッチング液を噴霧して、上記金属板をエッチングすることとを含み、
上記エッチングマスクとして、1以上の開口パターンが設けられ、上記1以上の開口パターンの各々は、各辺の長さが上記金属板の厚さ以上である矩形状の開口を有する第1開口部と、幅が上記金属板の上記厚さ未満である線形状の開口を各々が有し、上記第1開口部の周囲に配置された複数の第2開口部とを含んだものを使用して、上記エッチングにおいて、エッチングレートに違いを生じさせて上記第1開口部の位置で上記金属板に第1貫通孔を形成し、その後、上記複数の第2開口部の位置で上記金属板に複数の第2貫通孔をそれぞれ形成するエッチング加工製品の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、上記エッチングマスクの形成は、上記第1面の上に感光性樹脂層を設けることと、上記感光性樹脂層をパターン露光することと、パターン露光後の上記感光性樹脂層を現像することとを含んだ上記側面に係るエッチング加工製品の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、上記側面に係るエッチング加工製品の製造方法において、上記パターン露光に使用するレチクルが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高アスペクト比で高精細パターンを有するエッチング加工製品を簡便に製造する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエッチング加工製品の一部を示す上面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すエッチング加工製品を部分的に拡大した上面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すエッチング加工製品を個片化したエッチング加工製品の上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係るエッチング加工製品の製造方法の一工程を示す断面図である。
【
図5】
図5は、従来のスプレーエッチングにおける問題点を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、比較例1のエッチング加工製品の上面図である。
【
図7】
図7は、スプレーエッチングにおけるエッチングマスクの開口幅とエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第1貫通孔の有無がエッチングファクタ(EF)に及ぼす影響を示すグラフである。
【
図9】
図9は、第2貫通孔の幅とエッチングファクタ(EF)との関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、フォトエッチング法におけるサイドエッチング現象及びエッチングファクタを説明するための断面図である。
【
図11】
図11は、フォトエッチング法におけるサイドエッチング現象を説明するための断面図である。
【
図12】
図12は、フォトエッチング法におけるサイドエッチング現象を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0021】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエッチング加工製品の一部を示す上面図である。
図2は、
図1に示すエッチング加工製品を部分的に拡大した上面図である。
図3は、
図1に示すエッチング加工製品を個片化したエッチング加工製品の上面図である。ここで「エッチング加工製品」という用語は、製造過程において用いられている
図1に示す個片化される前の状態を示すこともあり、
図3に示す切断され個片化された後の状態を示すこともあり、特に必要がない限り、これらを区別しないで用いている。本発明の実施形態に係るエッチング加工製品は、例えば、リードフレーム等の高精細パターンを要求される用途に用いることができる。
【0024】
図1に示すエッチング加工製品1は、第1面とその裏面である第2面とを有し、2以上の貫通孔群が設けられた金属板10からなり、上述のとおり、個片化前の状態である。貫通孔群の各々は、
図1及び
図2に示すように複数の第3貫通孔13の配列により取り囲まれている。第3貫通孔13は、互いに形状の異なる第3貫通孔13a、13b及び13cから構成されている。この複数の第3貫通孔13の配列により取り囲まれた各領域を、複数の第3貫通孔13の配列に沿って切断して個片化したものが
図3に示すエッチング加工製品1である。
図3中の符号Fは、複数の第3貫通孔13の配列により取り囲まれた上記領域の外枠を示す。
【0025】
エッチング加工製品1に設けられた貫通孔群の各々は、矩形状の開口を金属板10の第1面に有している第1貫通孔11と、第1貫通孔11の周囲に配置され、各々が線形状の開口を上記第1面に有している第2貫通孔12とが設けられている。以下において、第1貫通孔11を「矩形パターン」といい、第2貫通孔12を「線形パターン」ということがある。
【0026】
エッチング加工製品1に設けられた第1貫通孔11、第2貫通孔12及び第3貫通孔13は、金属板10にフォトエッチング法によりパターン形成された貫通孔である。フォトエッチング法を用いて金属エッチング製品を製造する場合、金属材料表面に形成されたレジストパターンから露出した金属部分をエッチング液にて腐食し加工する。この場合の従来技術の問題点であるサイドエッチング現象を、
図10乃至12を用いて説明する。
【0027】
図10乃至12は、フォトエッチング法におけるサイドエッチング現象並びにエッチングファクタを説明するための断面図であり、3つの工程を時系列で示している。フォトエッチング法を用いた両面エッチングでは、
図10に示す金属板10の両面に形成された感光性樹脂層(レジスト層)14を、フォトマスクを介した露光及び現像により所望とするパターン形状にパターニングし、
図11に示すレジストパターン14bを得る。次いで、レジストパターン14bから露出した金属部分にエッチング液を接触させて腐食することにより、
図12に示すエッチング孔12bを形成する。
【0028】
このようなエッチング液を用いたウェットエッチングでは、上述したように、金属材料の深さ方向と水平方向に対して等方的にエッチングが進行するため、フォトレジスト膜面下へもエッチングが入るサイドエッチングが問題となる。サイドエッチング現象により、
図12に示すようにエッチング孔12の開口幅がレジストパターン14bの開口幅より大きくなる。
【0029】
被エッチング加工物の水平方向より深さ方向へのエッチングを優先させた異方性を有するウェットエッチングとして、スプレーエッチングが知られている。スプレーエッチングでは、エッチング液をノズルから噴射し、材料表面へエッチング液滴を吹き付ける。この深さ方向への液圧の効果により、エッチング孔の底部に溜まったエッチング液を優先的に置換し、これにより深さ方向のエッチング速度を向上させることができる。一般的にフォトエッチング法により金属材料の貫通加工を行う場合、エッチング異方性を有するスプレーエッチングが、エッチングファクタ(EF)が高く加工精度に優れるため、高精細パターンを形成することができるとされている。
【0030】
ここで、エッチングファクタ(EF)とは、
図12に示すように、エッチング深度をd、サイドエッチング量をSとした場合d/Sで示される。エッチング深度dが同じであれば、サイドエッチング量Sが小さいとエッチングファクタ(EF)は大きくなり、サイドエッチング量Sが大きいとエッチングファクタ(EF)は小さくなる。エッチングファクタ(EF)が大きい値を示すほど、サイドエッチングが抑制され、加工精度に優れたパターンであることを示す。
【0031】
しかしながら、エッチングに異方性を有するスプレーエッチングによっても所望とするレベルにエッチングファクタを改善することは難しく、高アスペクト比で高精細パターンを有するエッチング加工製品を製造することは困難であった。
【0032】
この問題に対し、本実施形態に係るエッチング加工製品1は、高精細な線形パターンである第2貫通孔12の近傍に、特定の矩形パターンである第1貫通孔11を設けたことにより、スプレーエッチング時におけるサイドエッチングが効果的に抑制され、エッチングファクタ(EF)が高く加工精度に優れる。このため第2貫通孔12の線形パターンは、高アスペクト比で高精細パターンである。
以下、本実施形態に係るエッチング加工製品1について詳細に説明する。
【0033】
エッチング加工製品1を構成する金属板10の材質としては、エッチング可能な金属であればよく、例えば、銅、鉄、あるいはこれらの合金などが挙げられる。金属板10の厚さは特に限定されず、例えば用途に応じて適宜設定される。一例によると、金属板10の厚さは、好ましくは50乃至300μmの範囲内であり、より好ましくは100乃至200μmの範囲内である。
【0034】
エッチング加工製品1に設けられた貫通孔群の各々は、上述のとおり、金属板10の第1面に矩形状の開口を有している第1貫通孔11を含んでいる。「矩形状」とは、長方形及び正方形を含んだ矩形状を意味し、長方形及び正方形の何れであってもよい。なお、「矩形状」には、第1貫通孔11の形成過程において角部に不可避的に生じ得る曲面部が含まれていてもよい。第1貫通孔11の矩形状の開口は、
図2及び
図3に示される辺の長さLx1及びLy1の各々が、金属板10の厚さ以上である。辺の長さLx1及びLy1は、矩形状の開口が長方形である場合は互いに異なり、正方形である場合は同一である。以下において、第1貫通孔11の矩形状の開口の各辺の長さを、Lx1及びLy1のように区別しないでL1と表記する場合がある。
【0035】
貫通孔群の各々は、上述のとおり、第1貫通孔11の周囲に配置された複数の第2貫通孔12を含んでいる。複数の第2貫通孔12は、線形状の開口を各々が金属板10の第1面に有している。第2貫通孔12の線形状の開口は、
図2及び
図3に示される線形パターンの幅W2が、金属板10の厚さ未満である。
【0036】
このように、第1貫通孔11の矩形状の開口の各辺の長さL1は金属板10の厚さ以上であり、第2貫通孔12の線形状の開口の幅W2は金属板10の厚さ未満であり、L1>W2の関係を有している。エッチング加工製品1の製造方法において、これら要件を満たす第1貫通孔11及び第2貫通孔12の各々に対応した位置に開口を有するエッチングマスク(レジストパターン)を用いてスプレーエッチングを行うことにより、サイドエッチングが効果的に抑制され、エッチングファクタ(EF)が向上する。このため高アスペクト比で高精細な線形パターン(第2貫通孔12)を有するエッチング加工製品1が得られる。このようにエッチングファクタ(EF)が向上するメカニズムについては、後述する第2実施形態に係るエッチング加工製品の製造方法において説明する。
【0037】
エッチング加工製品1において、第1貫通孔11と第2貫通孔12の寸法及び配置は、エッチングファクタ(EF)を向上させる観点から、以下であることが好ましい。
【0038】
すなわち、エッチング加工製品1において、複数の第2貫通孔12の各々の開口は、幅W2が好ましくは20乃至150μmの範囲内にあり、より好ましくは20乃至100μmの範囲内にあり、更に好ましくは20乃至40μmの範囲内にある。
【0039】
第1貫通孔11の開口の面積S1と、複数の第2貫通孔12の各々の開口の面積S2との比S1/S2は、好ましくは10以上であり、より好ましくは10以上200以下の範囲内にあり、更に好ましくは10以上40以下の範囲内にある。
【0040】
第1貫通孔11の開口の各辺の長さL1と、複数の第2貫通孔の各々の開口の幅W2との比L1/W2は、好ましくは10乃至900の範囲内にあり、より好ましくは100乃至600の範囲内にあり、更に好ましくは200乃至450の範囲内にある。
【0041】
エッチング加工製品1に設けられた複数の貫通孔群の各々において、複数の第2貫通孔12の各々の開口は、第1貫通孔11の開口までの距離が好ましくは3.5mm以下である。これは、
図2及び
図3に示すエッチング加工製品1において、第1貫通孔11の開口から最も離れた位置にある第2貫通孔12の開口から第1貫通孔11の開口までの距離D12aが、好ましくは3.5mm以下であることを意味する。距離D12aは、より好ましくは1.5mm以上3.5mm以下の範囲内であり、更に好ましくは1.0mm以上2.5mm以下の範囲内である。
【0042】
上述のとおり、個片化前の
図1及び
図2に示すエッチング加工製品1において、複数の貫通孔群の各々は複数の第3貫通孔13(13a、13b、13c)の配列により取り囲まれている。第1貫通孔11の開口の各辺の長さL1と、複数の第3貫通孔13の配列が取り囲む各領域の寸法L3との比L1/L3は、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.05以上0.5以下の範囲内であり、更に好ましくは0.2以上0.4以下の範囲内である。ここで、複数の第3貫通孔13の配列が取り囲む各貫通孔群の上記領域は、
図3に示す個片化後のエッチング加工製品1における外枠Fで囲まれた領域に対応する。そして、上記寸法L3はLx3及びLy3に対応し、上記L1/L3は、Lx1/Lx3及びLy1/Ly3を意味する。このように、ここでは上記領域の寸法をLx3及びLy3のように区別しないでL3と表記する場合がある。
【0043】
個片化前のエッチング加工製品1において、複数の第3貫通孔13の上記第1面における開口幅W3と、複数の第2貫通孔の各々の開口の幅W2との比W3/W2は、好ましくは5乃至50の範囲内にあり、より好ましくは7乃至40の範囲内にあり、更に好ましくは10乃至25の範囲内にある。
【0044】
個片化前のエッチング加工製品1に設けられた複数の貫通孔群の各々において、複数の第2貫通孔12の各々の開口は、第1貫通孔11の開口までの距離及び複数の第3貫通孔13の開口までの最短距離の少なくとも一方が、好ましくは2.0mm以下である。これは、
図2及び
図3に示すエッチング加工製品において、第1貫通孔11の開口から最も近い位置にある第2貫通孔12の開口までの距離D12bと、複数の第2貫通孔12の開口から複数の第3貫通孔13の開口までの最短距離D12cの少なくとも一方が、好ましくは2.0mm以下であることを意味する。上記距離(すなわち、距離D12bと距離D12cのより短い方の距離)は、より好ましくは1.0mm以上2.0mm以下の範囲内であり、更に好ましくは1.0mm以上1.5mm以下の範囲内である。
【0045】
エッチング加工製品1は、フォトエッチング法により製造され、エッチングはスプレーエッチングにより行われる。以下に本発明の第2実施形態に係るエッチング加工製品の製造方法について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係るエッチング加工製品の製造方法の一工程を示す断面図であり、具体的にはスプレーエッチング工程の断面図である。
【0046】
本発明の第2実施形態に係るエッチング加工製品の製造方法は、
第1面とその裏面である第2面とを有している金属板10を準備することと、
エッチングマスク14aを上記第1面の上に形成することと、
上記エッチングマスク14aを設けた上記第1面へエッチング液を噴霧して、上記金属板10をエッチングすること、
とを含む。以下、各工程について説明する。なお、以下には、金属板10の第1面側をエッチング処理する形態について説明するが、本発明の第2実施形態に係るエッチング加工製品の製造方法は、金属板10の第2面側も同様の方法でエッチング処理することにより、金属板10を両面エッチングする形態も包含するものである。
【0047】
<金属板の準備>
金属板10の好ましい材質及び厚さは、上述したとおりである。被エッチング材として、通常、長尺帯状の金属板10が用いられる。長尺帯状の金属板10を搬送ローラ等の搬送手段上を搬送させながら、上述した工程を連続的に行う。金属板10は表面を洗浄して酸化被膜層を除去したものが使用される。
【0048】
<エッチングマスクの形成>
金属板10の第1面上にエッチングマスク14aを形成する。エッチングマスク14aはフォトリソグラフィプロセスにより形成することができる。
感光性樹脂(フォトレジスト)を用いて金属板10の第1面上に感光性樹脂層(レジスト層)を形成する。感光性樹脂層の形成は、ドライフィルムレジストを用いてもよいし、液状フォトレジストを塗布してもよい。ドライフィルムレジストを用いる場合には、ラミネーターが用いられる。液状フォトレジストを塗布する場合には、スピンコーター、ロールコーター、ディップコーターなど通常使用されるフォトレジストコート方法を用いることができる。なお、感光性樹脂層の塗布を行った後、乾燥させることが好ましい。
【0049】
次いで、得られた感光性樹脂層を露光する。露光は、フォトマスクとしてレクチルを使用してパターン露光するマスク露光方式であってよい。マスク露光方式としては、マスクと感光性樹脂層を密着して露光するコンタクト露光、マスクと感光性樹脂層との間に間隔を開けて露光するプロキシミティ露光、又はレーザー露光等の何れも用いることができる。
【0050】
次いで、露光後の感光性樹脂層を現像し、必要に応じて硬膜処理を行う。現像は、アルカリ現像液に浸漬するか、もしくはアルカリ現像液を噴霧することによって行うことができる。アルカリ現像液として、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用される。また、現像液には消泡剤や界面活性剤を添加してもよい。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル現像法等を使用することができる。
【0051】
<スプレーエッチング>
上掲で得たレジストパターン14aをエッチングマスクとして、スプレーエッチングを行う。
図4は、スプレーエッチング工程の断面図である。
図4に示す工程において、ノズル21から噴出されるエッチング液のスプレー22が、符号Aで示す方向に搬送される被エッチング材、すなわちエッチングマスク14aを設けた金属板10に吹き付けられている。エッチング液としては、例えば、塩化第2鉄水溶液などの公知のエッチング液を用いることができる。
【0052】
エッチングマスク14aは、上述したエッチング加工製品1が有する第1貫通孔11及び第2貫通孔12の各々に対応した位置に開口を有する。すなわち、エッチングマスク14aは、1以上の開口パターンが設けられ、この1以上の開口パターンの各々は、各辺の長さL1が金属板10の厚さ以上である矩形状の開口を有する第1開口部31と、幅W2が金属板10の厚さ未満である線形状の開口を各々が有し、第1開口部の周囲に配置された複数の第2開口部32とを含んでいる。このエッチングマスク14aを用いたスプレーエッチングは、サイドエッチングを効果的に抑制することができ、加工精度に優れるため、本実施形態に係る製造方法により得られるエッチング加工製品1は、高アスペクト比で高精細の線形パターン12を有する。このメカニズムについて、従来のスプレーエッチングにおける問題点を指摘しながら以下に説明する。
【0053】
図5は、従来のスプレーエッチングにおける問題点を説明するための断面図である。従来のスプレーエッチングによっては、エッチングに異方性をもたせても所望とするレベルにエッチングファクタ(EF)を改善することが困難である理由は以下のとおりである。すなわち、従来のスプレーエッチングで使用されているエッチングマスク14bは、エッチングマスク14aが有する第2開口部32に対応する線形状の開口を有する複数の開口部32bを有するが、その周辺にはエッチングマスク14aが有する第1開口部31に対応する矩形状の開口を有する開口部は形成されていない。
【0054】
上述したとおり、スプレーエッチングは被エッチング材に対する深さ方向への液圧の効果により、エッチング孔の底部に溜まったエッチング液を優先的に置換し、これにより深さ方向のエッチング速度を向上させることができる。一般的にエッチング異方性を有するスプレーエッチングが、エッチングファクタ(EF)が高く加工精度に優れるため、高精細パターンを形成することができるとされている。
【0055】
しかしながら、
図5に示すようにエッチングマスク14bを用いてスプレーエッチングを行った場合、エッチングマスク14b上にエッチング液による厚い液膜23(例えば、1mm程度)が形成され、この液膜がエッチング孔12bの底部に溜まったエッチング液を優先的に置換することを阻害する。この液膜23の厚さを低減するために、例えば、スプレーを左右方向に揺動させて、厚い液膜が形成されることを抑制することが考えられる。しかしながら、面付によってはエッチング加工パターンが端部から長距離の中央エリアに配置されている場合や、隣接するノズルから噴射されるスプレーの干渉により、液膜の厚さを効率よく低減することは困難であった。
【0056】
これに対し本実施形態に係る製造方法においてスプレーエッチングに使用されるエッチングマスク14aは、上述のとおり、高精細な線形パターンである複数の第2開口部32の近傍に矩形状の開口を有する第1開口部31含んでいる。このエッチングマスク14aを用いてスプレーエッチングを行うことにより、第1開口部31に位置するエッチング孔と第2開口部32に位置するエッチング孔との間にエッチングレートに違いを生じさせる。すなわち、第1開口部31に位置するエッチング孔のエッチングレートを第2開口部32に位置するエッチング孔のエッチングレートより大きくする。これにより第1開口部31の位置で金属板10に第1貫通孔11を先に形成し、その後、第2開口部32の位置で金属板10に第2貫通孔12を形成する。
【0057】
このように第1貫通孔11を第2貫通孔12より先に形成することで、
図4に示すように、エッチング孔12aのエッチングの進行と同時にエッチング液が第1貫通孔11から除去されるため、エッチング液の液膜23が厚くなることが抑制される。このためスプレーエッチングの異方性によりエッチング孔12aの底部に溜まったエッチング液を優先的に置換することが可能となり、深さ方向のエッチング速度が向上し、エッチングファクタ(EF)が向上する。
【0058】
エッチングマスク14aの第1開口部31に位置するエッチング孔と第2開口部32に位置するエッチング孔との間でエッチングレートに違いが生じるのは、開口寸法が相違するためである。上述したとおり、第1開口部31の矩形状の開口の各辺の長さL1と、複数の第2開口部32各々の線形状の開口の幅W2はL1>W2の関係にあり、第1開口部31の方が第2開口部32より開口寸法が大きい。開口寸法が大きくなるに伴いエッチングレートは向上するため、開口寸法のより大きい第1開口部31に位置する第1貫通孔11の方が第2開口部32に位置する第2貫通孔12よりも先に形成される。
【0059】
但し、開口寸法がある閾値を超えるとエッチングレートの増加率は小さくなり、それ以上はほぼ一定となる。
図7は、金属板をスプレーエッチングしたときのフォトレジストの開口幅と深さ方向のエッチングレート(エッチング速度)との関係の一例を示すグラフである。エッチング条件等は後掲の[実施例]に記載の条件に準拠している。
【0060】
図7からわかるように、エッチングマスクの開口幅が大きくなるに伴いエッチングレートは増加するが、開口幅がある閾値を超えるとエッチングレートの増加率は急激に減少し、ほぼ一定となる。これはエッチングマスクの開口幅が、エッチング孔の底部に溜まったエッチング液の置換に影響を及ぼしていることに起因すると推測される。すなわち、開口幅がある閾値未満の場合、開口幅が狭くなるに伴い、エッチング液の置換が困難になるため、エッチングレートは低下する。一方、開口幅がある閾値を超えると、エッチング液の置換が開口の寸法による影響を受けずにスムーズに行われるため、エッチングレートは一定になると推測される。
【0061】
このため第1開口部31に位置するエッチング孔と第2開口部32に位置するエッチング孔との間でエッチングレートに好適な差をつけるためには、少なくとも複数の第2開口部32各々の線形状の開口の幅W2が上記閾値よりも小さいことが好ましい。この観点から、複数の第2開口部32各々の線形状の開口の幅W2は200μm未満であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。また、第1開口部31の矩形状の開口の各辺の長さL1は200μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。
【実施例0062】
以下に本発明に関連して行った試験について説明する。
(例1)
金属板10として厚み150μmの銅系金属板を準備した。この金属板の表面を酸処理して酸化被膜を除去した後、ドライフィルムレジストを両面にラミネートした。レジスト層(感光性樹脂層)14をフォトマスクを介して露光し、現像することによりパターニング処理を行い、金属板10の両面に上述した第1開口部31及び第2開口部32を有するレジストパターン14aを形成した。現像はアルカリ現像液を用いてスプレー現像により行った。
【0063】
次に、スプレー式エッチング装置にて液温60℃、スプレー圧0.6MPaのエッチング条件で、レジストパターン14aをマスクにして両面エッチングを行った。エッチング液として塩化第2水溶液を用いた。次いで、レジストパターン14aを専用の剥離液で剥離処理することにより、
図3に示すエッチング加工製品1と同様のサンプルを得た。貫通孔に関する寸法及び比、並びに、エッチングファクター(EF)を表1に纏めた。
【0064】
(例2)
例1に対し、レジストパターン14aが有する第2開口部32の開口幅を変更することにより、第2貫通孔12の幅W2を70μmから80μmに変更した以外は例1と同様の方法により、
図3に示すエッチング加工製品1と同様の貫通孔群を有するサンプルを製造した。貫通孔に関する寸法及び比、並びに、エッチングファクター(EF)を表1に纏めた。
【0065】
(例3)
例1に対し、レジストパターン14aが有する第2開口部32の開口幅を変更することにより、第2貫通孔12の幅W2を70μmから50μmに変更した以外は例1と同様の方法により、
図3に示すエッチング加工製品1と同様の貫通孔群を有するサンプルを製造した。貫通孔に関する寸法及び比、並びに、エッチングファクター(EF)を表1に纏めた。
【0066】
(例4)
例1に対し、レジストパターン14aが有する第2開口部32の開口幅を変更することにより、第2貫通孔12の幅W2を70μmから60μmに変更した以外は例1と同様の方法により、
図3に示すエッチング加工製品1と同様の貫通孔群を有するサンプルを製造した。貫通孔に関する寸法及び比、並びに、エッチングファクター(EF)を表1に纏めた。
【0067】
(比較例1)
例1に対し、レジストパターン14aに替えて、第1開口部31を含まないレジストパターン14bをマスクとして使用してスプレーエッチングを行ったこと以外は例1と同様の方法で、エッチング加工サンプルを製造した。得られたサンプルを
図6に示す。
図6に示すエッチング加工製品100は、線形パターンである第2貫通孔12は含むが、矩形パターンである第1貫通孔11は含んでいない。貫通孔に関する寸法及び比、並びに、エッチングファクター(EF)を表1に纏めた。
【0068】
【0069】
(評価)
例1乃至4では、スプレーエッチングにおいて第1貫通孔11が複数の第2貫通孔12の何れよりも先に貫通した。第1貫通孔11が貫通すると液膜23となっていたエッチング液が第1貫通孔11から除去され、その後膜液23は殆ど形成されなかった。一方、比較例1ではスプレーエッチングが進むにつれエッチング液の厚い膜液23が形成されていた。
【0070】
図8は、例1と比較例1のエッチングファクタ(EF)を対比するグラフである。例1の方が比較例1よりエッチングファクタが高く加工精度に優れる。このため高アスペクト比で高精細パターンを形成可能であることがわかる。
【0071】
図9は、例1乃至4について、第2貫通孔12の幅W2とエッチングファクタ(EF)との関係を示すグラフである。第2貫通孔12の幅W2が大きい方がエッチングファクタが大きくなることがわかる。
【0072】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…エッチング加工製品、10…金属板、11…第1貫通孔、12…第2貫通孔、12a、12b…エッチング孔、13、13a、13b、13c…第3貫通孔、14…感光性樹脂層(レジスト層)、14a、14b…レジストパターン(エッチングマスク)、21…ノズル、22…スプレー、23…液膜、31…第1開口部、32、32b…第2開口部、100…比較例1のエッチング加工製品、L1、Lx1、Ly1、L2、L3、Lx3、Ly3…長さ(寸法)、W2、W3…幅、D12a、D12b、D12c…距離、F…外枠、d…エッチング深度、S…サイドエッチング量。