(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166713
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】飛行体離発着場管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/02 20060101AFI20241122BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G08G5/02 A
G08G1/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083012
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】303023223
【氏名又は名称】株式会社シーテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 敏郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF05
5H181KK07
5H181KK10
(57)【要約】
【課題】ドローン等の飛行体の使用頻度を向上させることが可能な飛行体離発着場管理システムを提供する。
【解決手段】ユーザーUdが使用する通信端末14からユーザーUdが離発着させるドローン12の登録を受け付け(S2)、その受け付けたドローン12を識別して少なくともドローン12の大きさに関する情報をネットワーク16やドローン12のリモートID等に基づいて取得し(S3)、その取得したドローン12の大きさに基づいて、登録あるいは通信によって取得した複数の離発着スペースの中から離発着可能な大きさのスペースのみを抽出し(S8,S10)、抽出された離発着スペースに関する情報を通信端末14に送信する(S11)構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に離発着可能でかつ搭乗する操縦者なしで飛行可能な飛行体の離発着スペースを管理する飛行体離発着場管理システムであって、
前記飛行体が離発着可能な複数の前記離発着スペースに関する情報を取得する離発着スペース情報取得部と、
ユーザーが使用する通信端末から、該ユーザーが離発着させる前記飛行体の登録を受け付ける受付部と、
受け付けた前記飛行体を識別し、少なくとも前記飛行体の大きさに関する情報を取得する飛行体情報取得部と、
前記飛行体情報取得部が取得した前記飛行体の大きさに基づいて、前記離発着スペース情報取得部が取得した複数の前記離発着スペースの中から、離発着可能な大きさのスペースのみを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記離発着スペースに関する情報を前記通信端末に送信する送信部と、
を備えた飛行体離発着場管理システム。
【請求項2】
当該飛行体離発着場管理システムは、自動車を駐車可能な駐車スペースについてその空き情報を管理する駐車場管理システムに対して、通信によって接続可能とされ、
前記離発着スペース情報取得部は、前記駐車場管理システムにおける前記駐車スペースの空き情報を、前記離発着スペースとして取得する請求項1に記載の飛行体離発着場管理システム。
【請求項3】
前記抽出部は、前記飛行体が離発着可能なスペースの大きさが自動車1台分の前記駐車スペースの大きさを超える場合において、複数台分の前記駐車スペースが隣接して存在する場合に、その隣接する複数台分の前記駐車スペースを前記離発着スペースとして抽出する請求項2に記載の飛行体離発着場管理システム。
【請求項4】
前記受付部は、前記飛行体に個別に割り当てられた識別番号の入力を受け付けるものとされ、
前記飛行体情報取得部は、前記識別番号に基づいて、前記飛行体の大きさに関する情報を取得する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【請求項5】
前記飛行体は、前記識別番号および機体の種別に関する機種番号を含むリモートIDに関する情報であるID情報を発信しており、
当該飛行体離発着場管理システムは、前記飛行体が発信しているID情報を取得し、そのID情報に基づいて前記飛行体の大きさに関する情報を取得する請求項4に記載の飛行体離発着場管理システム。
【請求項6】
前記飛行体は、衛星から出射する信号に基づいて位置測定を行う衛星測位システムに接続されており、
当該飛行体離発着場管理システムは、前記ID情報に含まれる前記飛行体の位置情報を取得する請求項5に記載の飛行体離発着場管理システム。
【請求項7】
前記送信部は、前記通信端末に、前記抽出部によって抽出された前記離発着スペースを地図上に表示するためのデータを送信する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体の離発着スペースを管理する飛行体離発着場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、撮影や測位のために無人航空機(いわゆるドローン)の使用が増えている。また、無人航空機について新制度が開始され、無人航空機のレベル4飛行(有人地帯での補助なし目視外飛行)が可能となった。それにより、近い将来には、無人航空機が、荷物の配送や災害時の緊急物資の輸送等に多く利用されることが予測される。また、近年では、自動運転(無操縦者)で人を運ぶことが可能な有人ドローンや空飛ぶクルマ等の開発が進められており、自由な移動手段として期待されている。そのような状況下、例えば、下記特許文献1のように、各無人航空機の飛行経路を決定するシステムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した無人航空機,有人ドローン,空飛ぶクルマは、飛行する前提として、離発着できる場所が必ず必要となる。そして、それらドローン等は、概して鉛直方向に離発着するタイプのものが多く、通常の航空機のような広いスペース(滑走路など)は必要ない。しかしながら、操縦者がいないため、事前に離発着スペースを確保することが必須であるものの、現在では、一般的なドローンですら離発着スペースは非常に限られている。また、ドローン等は、様々な大きさのものが存在することから、機種に応じた離発着スペースを確保すること、特に、目的地の近くに確保することが難しいという問題がある。そのような理由により、ドローン等を使用することは未だ難しい状況にある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、ドローン等の飛行体の使用頻度を向上させることが可能な飛行体離発着場管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願に開示される飛行体離発着場管理システムは、下記の構成とされている。
(1)鉛直に離発着可能でかつ搭乗する操縦者なしで飛行可能な飛行体の離発着スペースを管理する飛行体離発着場管理システムであって、
前記飛行体が離発着可能な複数の前記離発着スペースに関する情報を取得する離発着スペース情報取得部と、
ユーザーが使用する通信端末から、該ユーザーが離発着させる前記飛行体の登録を受け付ける受付部と、
受け付けた前記飛行体を識別し、少なくとも前記飛行体の大きさに関する情報を取得する飛行体情報取得部と、
前記飛行体情報取得部が取得した前記飛行体の大きさに基づいて、前記離発着スペース情報取得部が取得した複数の前記離発着スペースの中から、離発着可能な大きさのスペースのみを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記離発着スペースに関する情報を前記通信端末に送信する送信部と、
を備えた飛行体離発着場管理システム。
【0007】
本願に開示の飛行体離発着場管理システムは、「飛行体」として、鉛直に離着陸ができるタイプのもので、かつ、遠隔操作あるいは自動操縦(プログラムによる自動的に操縦されること)によって飛行できるものを前提としている。「飛行体」としては、例えば、無人航空機、操縦者でない者を運ぶことが可能なドローン(いわゆるパッセンジャードローン)、空飛ぶクルマやバイクなどである。本願に開示の飛行体離発着場管理システムは、ユーザーが登録したそのような飛行体に対し、その飛行体が離発着可能な大きさの離発着スペースに関する情報のみを送信することができ、例えば、ユーザーから携帯端末やPC等を用いてその情報の開示が求められた場合に、離発着スペースに関する情報の一覧や、離発着スペースを地図に重ね合わせた画像を表示させるようにすることが可能である。なお、通信端末に送信する情報には、各離発着スペースが空いているか否かの情報を含むことが望ましい。
【0008】
本願に開示の飛行体離発着場管理システムにおいて「飛行体情報取得部」は、例えば、種々の飛行体の大きさに関する情報を、当該システムが備える記憶部に記憶させておき、その記憶部から取得してもよいし、インターネットを利用して取得してもよい。なお、飛行体を識別するための「識別番号」は特に限定されるものではないが、例えば、無人航空機には、個別の識別番号として、リモートIDを搭載することが義務付けられているため、そのリモートIDに含まれる識別番号を利用できる。また、そのリモートIDは、自身に関する情報を定期的に発信するものであるため、その発信された情報を利用して、飛行体の大きさに関する情報を取得するような構成とすることができる。具体的には、リモートIDには、識別番号に加えて、機体の種別が分かる番号も含まれており、その番号からインターネットを利用して飛行体の大きさに関する情報を取得することが可能である。
【0009】
本願に開示の飛行体離発着場管理システムにおいて「離発着スペース情報取得部」が取得する「離発着スペース」としては、ドローンの運行を管理している施設管理者,施設運営会社,公共団体等が有するドローンの離発着スペースに限らず、例えば、個人や法人から利用を承諾された敷地等も採用できる。そして、「離発着スペース情報取得部」は、例えば、当該システムが備える記憶部に、それらを登録しておき、その記憶部から取得するような構成とすることができる。また、例えば、「離発着スペース」として、後に詳しく説明するが、駐車場管理システムと連携して、駐車場管理システムが管理する駐車スペースを採用するような構成とすることもできる。つまり、そのような構成の場合、「離発着スペース情報取得部」は、インターネット等の通信手段によって、駐車場管理システムにおける前記駐車スペースの空き情報を、離発着スペースとして取得するような構成とすることができる。
【0010】
本願に開示の飛行体離発着場管理システムにおいて、離発着スペースを利用したいユーザーは、例えば、個人,法人,ドローンによる配送等を行う業者など飛行体を利用する者全般である。つまり、本願に開示の飛行体離発着管理システムは、それらユーザーと、離発着スペースの提供者との、マッチングを行うものと考えることでき、ドローン等の飛行体の使用頻度の向上、ドローンの利便性の向上を図ることができる。なお、ユーザーと離発着スペースの提供者との間で使用料金が発生するような場合には、通信端末においてキャッシュレス決済が行える機能を搭載させることで、無人航空機で遠く離れた離発着スペースを利用する場合であっても、問題なく利用することができる。
【0011】
また、本願に開示の飛行体離発着場管理システムは、ドローンの飛行経路等を管理するドローン運航管理システムと連携することで、飛行体の離陸,飛行,着陸までを、スムース行えるようになり、よりドローン等の利便性を向上させることができる。さらに、災害時等の緊急時におけるドローン等による物資の輸送を行う場合には、そのドローン等を優先して離発着できるような構成とすることができる。
【0012】
また、上記構成の飛行体離発着場管理システムにおいて、以下に示す種々の態様とすることが可能である。なお、本発明は以下の態様に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0013】
(2)当該飛行体離発着場管理システムは、自動車を駐車可能な駐車スペースについてその空き情報を管理する駐車場管理システムに対して、通信によって接続可能とされ、
前記離発着スペース情報取得部は、前記駐車場管理システムにおける前記駐車スペースの空き情報を、前記離発着スペースとして取得する(1)項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【0014】
この構成のドローン離発着場管理システムは、種々の場合に多く存在する自動車の駐車場をも、ドローンの離発着スペースとして利用することができ、目的地により近い位置に離発着スペースを確保することができ、ドローンの使用頻度をより向上させることができる。
【0015】
(3)前記抽出部は、前記飛行体が離発着可能なスペースの大きさが自動車1台分の前記駐車スペースの大きさを超える場合において、複数台分の前記駐車スペースが隣接して存在する場合に、その隣接する複数台分の前記駐車スペースを前記離発着スペースとして抽出する(2)項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【0016】
飛行体には、撮像や測量を行う比較的小さなものから、将来的には、人が乗り込めるものまで、種々の大きさのものが存在するが、この構成の飛行体離発着場管理システムによれば、単一の駐車スペースを超える大きさの飛行体であっても、隣接する駐車スペースをまとめて確保して、飛行体の離発着スペースとして抽出することができるため、駐車場を効率的に利用することができる。
【0017】
(4)前記受付部は、前記飛行体に個別に割り当てられた識別番号の入力を受け付けるものとされ、
前記飛行体情報取得部は、前記識別番号に基づいて、前記飛行体の大きさに関する情報を取得する(1)項から(3)項のいずれか一項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【0018】
この構成の飛行体離発着場管理システムは、ユーザーに飛行体に関する細かな情報の入力を求める必要がないため、ユーザーに使用され易いものとなる。
【0019】
(5)前記飛行体は、前記識別番号および機体の種別に関する機種番号を含むリモートIDに関する情報であるID情報を発信しており、
当該飛行体離発着場管理システムは、前記飛行体が発信しているID情報を取得し、そのID情報に基づいて前記飛行体の大きさに関する情報を取得する(4)項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【0020】
この構成の飛行体離発着場管理システムは、無人航空機に義務付けられたリモートIDを利用するため、前述したように、ユーザーの飛行体の機種を容易に特定して、飛行体の大きさに関する情報を容易に取得することができる。
【0021】
(6)前記飛行体は、衛星から出射する信号に基づいて位置測定を行う衛星測位システムに接続されており、
当該飛行体離発着場管理システムは、前記ID情報に含まれる前記飛行体の位置情報を取得する(5)項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【0022】
この構成の飛行体離発着場管理システムは、飛行体の位置情報をも管理することができるため、着陸したか否かや離陸したか否かの判断を行うことができ、離発着スペースが空いたか否かを判断し、離発着スペースの回転率を向上させることができる。
【0023】
(7)前記送信部は、前記通信端末に、前記抽出部によって抽出された前記離発着スペースを地図上に表示するためのデータを送信する(1)項から(6)項のいずれか一項に記載の飛行体離発着場管理システム。
【0024】
この構成の飛行体離発着場管理システムは、ユーザーの飛行体が離発着可能なスペースを地図上に重ねて表示するため、ユーザーがそのスペースの位置を認識し易く、離発着スペースの予約や確保を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ドローン等の飛行体の使用頻度を向上させることが可能な飛行体離発着場管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態のドローン離発着場管理システムに連携するシステム等を示すブロック図
【
図2】実施形態のドローン離発着場管理システムの機能を示すブロック図
【
図3】ユーザーが実施形態のドローン離発着場管理システムを利用する場合の一例を示すフロー図
【
図4】駐車場の駐車スペースをドローンポートとして利用する状態の一例を示す図
【
図5】通信端末にドローンポートが表示された状態の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態である飛行体離発着場管理システムであるドローン離発着場管理システム10について、
図1~
図5を参照しつつ説明する。ドローン離発着場管理システム10は、ドローン12を利用するユーザーUdが、そのドローン12を目的地付近において、着陸(および離陸)させるための離発着スペース(ドローンポート)を検索できるシステムであり、ドローンポート検索システムと呼ぶこともできる。
図1に示すように、ユーザーUdは、自身が所持するスマートフォンやパソコン等の通信端末14から、ネットワーク16を介して、本ドローン離発着場管理システム10にアクセス可能とされている。通信端末14から本ドローン離発着場管理システム10へのアクセスは、本システム10が提供する専用のアプリやソフトを使用した形であってもよいし、ブラウザからWEBサイトに接続する形であってもよい。なお、ネットワーク16は、LAN(Local Area Network),WAN(Wide Area Network),インターネット等の1つ以上の組み合わせにより構築される。また、ネットワーク16は、Wi-Fi等の無線通信および有線通信のいずれかあるいは両者によって構築される。
【0028】
本ドローン離発着場管理システム10は、
図1に示すように、ネットワーク16を介して、種々のシステムと連携するようになっている。具体的には、ドローンの飛行経路等を管理するドローン運行管理システム20、災害時においてその対策を行う災害対策システム22、および、コインパーキング等の自動車を駐車可能な駐車スペースを管理する駐車場管理システム24等である。それらとの連携については、後に説明する。
【0029】
まず、本ドローン離発着場管理システム10の説明の前に、ドローン12について説明する。ドローン12は、撮像,測量,輸送等を行う無人航空機や、操縦者でない者を運ぶことが可能なドローンを含む。なお、本実施形態のシステム10は、ドローンの離発着場を管理するものとしているが、本発明の飛行体離発着管理システムは、対称となる飛行体はドローンに限定されず、鉛直に離発着可能で、かつ、遠隔操作あるいは自動操縦によって飛行できる(換言すれば、搭乗する操縦者なしで飛行できる)ものであればよく、例えば、空飛ぶクルマやバイク等であっても採用すること可能である。また、ドローン12は、電気を動力として飛行するものが一般的であるが、その他の動力で飛行するものであってもよい。
【0030】
ドローン12には、個別に割り当てられた識別番号を含むリモートIDが登録されている。ドローン12は、無線通信によってネットワーク16に接続可能とされており、リモートIDに関する情報であるID情報を、定期的にネットワーク16に発信するものとされている。また、ドローン12は、例えばGPS等の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)に接続されており、自身の位置情報を把握できるようになっている。そして、上記のID情報は、識別番号(登録記号),自身の機体の種別を示す製造番号(機種番号),GNSSによる位置情報を含むものである。
【0031】
ドローン12を利用するユーザーUdは、特に限定されず、例えば、個人,法人,ドローンによる配送やドローンにより撮像や測量等を行う業者などドローンを利用する者等全般である。そして、ユーザーUdがドローン12を利用する場合、目的となる場所の付近において、ドローン12を離発着させる場所が必要となる。具体的には、ある地域において撮像や測量を行うために、その近傍でドローン12を離陸・着陸させるための場所や、配送業者が依頼人との間で荷物の受け渡しを行うために、依頼人の希望地付近において、ドローン12を着陸・離陸させるための場所が必要となる。なお、ドローン運行管理システム20は、ドローンごとの飛行経路の決定等を行えたとしても、ドローンの目的地である着陸可能な場所の確保を行うことができるものではなく、そのドローンポートの確保は、各ユーザーに委ねられるのが現状である。
【0032】
本実施形態のドローン離発着場管理システム10は、そのようなユーザーUdが、ドローン12の離発着スペースを確保するためのシステムである。本ドローン離発着場管理システム10は、
図2に示すように、CPU,ROM,RAMを有するサーバーや補助記憶装置等を主体として構成されるものであり、各種の機能を発揮する複数の機能部を有するものとなっている。具体的には、本ドローン離発着場管理システム10は、受付部30と、ドローン情報取得部32と、ポート記憶部34と、ポート情報取得部36と,対応ポート抽出部38と、ポート情報送信部40と、を含んで構成される。以下に、それら機能部について、
図3を参照しつつ、ユーザーUdがドローンポートを利用する際の手順に従って、順次説明することとする。
【0033】
ユーザーUdは、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す場合がある)において、本ドローン離発着場管理システム10が提供するアプリケーション(ソフトウェア)を、通信端末14にインストールする。続く、S2において、ユーザーUdは、そのアプリから、自身の情報および利用するドローン12に関する使用情報を入力する。具体的には、入力するドローン12についての情報としては、識別番号を入力するようになっている。なお、アプリケーションを利用して、使用情報を入力する場合を例示したが、インターネットブラウザを用いて専用のWEBサイトにアクセスし、入力を行うことも可能である。本ドローン離発着場管理システム10において、この使用情報の入力を受け付ける部分が、受付部30となっている。
【0034】
本ドローン離発着場管理システム10は、受付部30によって、ユーザーUdの使用情報を受け付けると、S3において、識別番号に基づきドローン12が発信するID情報から製造番号を取得し、使用される機種の特定が行われる。そして、ネットワーク16を利用して、機種のサイズに関する情報が取得される。あるいは、例えば、ドローン12のリモートIDが起動していないような場合には、ネットワーク16を介して、識別番号に基づいて、機種の特定から機種のサイズに関する情報の取得までが行われる。つまり、このドローン12に関する情報を取得する部分が、ドローン情報取得部32である。そして、これらの情報が取得されると、S4において、受付部30は、その情報を含めて、ユーザーUdに関する情報を登録する。
【0035】
次に、実際にユーザーUdがドローンポートを使用する場合について説明する。ユーザーUdは、まず、S5においてアプリを起動し、S6において、ドローン12を離発着させたい場所に関する情報である目的地情報の入力を行って、本ドローン離発着場管理システム10に送信する。本ドローン離発着場管理システム10は、その目的地情報を受信すると、S7において、その定められたエリア内で、かつ、登録されているサイズのドローン12が離発着可能な大きさであるドローンポートを検索するのである。本ドローン離発着場管理システム10は、自身のROMや外部記憶装置等に、ポート記憶部34を有しており、まずは、S8において、そのポート記憶部34からの抽出を行う。
【0036】
このポート記憶部34は、ドローンポートとして利用可能なスペースを提供、あるいは、使用の承諾が得られた場合に、そのスペースを、ドローンポートとして記憶する部分であり、位置情報および広さを含む情報を記憶している。このドローンポートとしては、平地や建物の屋上などが例示でき、例えば、個人,法人,公共団体,施設等の管理者や施設運営会社等から提供あるいは承諾が得られたスペースである。
【0037】
また、本ドローン離発着場管理システム10は、前述したように、自動車を駐車するための駐車スペースも、ドローンポートとして検索できるようになっている。具体的には、S9において、登録されているコインパーキング等の複数の駐車場管理システム24に接続して、駐車状況を取得する。そして、各駐車場の空いている駐車スペースを、ドローンポートとして利用するのである。ただし、ドローンは機種によって、様々なサイズがあり、ドローンが離発着可能なスペースの大きさが自動車1台分の駐車スペースScの大きさを超える場合がある。本実施形態におけるドローン12も、自動車1台分程度の幅があるため、離発着可能なスペースとしては、単一の駐車スペースScでは不十分である。そこで、本ドローン離発着場管理システム10は、S10において、
図4に示すように、駐車場管理システム24から受信した駐車状況に基づいて、このドローン12に対しては、隣り合って2つの駐車スペースScがある箇所を、ドローンポートP1として取得するようになっているのである。なお、例えば、機種の異なるドローン50は、荷物52の配送等を行えるタイプのものとなっており、ドローン12よりサイズが大きい。このドローン50に対しては、例えば、前後左右に隣接する4つの駐車スペースScを、ドローンポートP2として取得するようにすることができる。上記のように、ドローン12が離発着可能なスペースであるドローンポートP1を抽出する部分が、対応ポート抽出部38である。
【0038】
そして、対応ポート抽出部38によって複数のドローンポートP1が抽出されると、本ドローン離発着場管理システム10は、詳しく言えば、ポート情報送信部40は、S11において、それら複数のドローンポートP1に関する情報を、具体的には、それら複数のドローンポートP1を地図上に表示するためのデータを、ユーザーUdの通信端末14に送信するようになっている。そして、通信端末14においては、
図5に示すように、既に利用されている箇所も含め、ドローンポートP1として利用可能な位置が表示されるようになっている。
【0039】
その表示された空いている箇所の中から利用したい箇所が存在する場合には、ユーザーUdは、その場所を確保したり、ある時間帯で予約したりすることができる。なお、ドローンポートP1に使用料が生じる場合には、例えば、通信端末14からキャッシュレス決済を受け付けるようにすることができる。キャッシュレス決済を用いれば、駐車場管理システム24を介して駐車スペースScを利用する場合であっても、スムースに決済処理を行うことができ、また、ドローンが無人航空機であっても、現地での決済処理が必要なく、本ドローン離発着場管理システム10に好適である。
【0040】
また、本ドローン離発着場管理システム10は、ドローンポートP1の使用が求められている時間帯およびその前後において、ドローン12から定期的にID情報を取得し、ドローン12の位置情報を把握するようになっている。それにより、ドローン12の位置を把握し、ドローンポートP1にドローン12が着陸しているか否かなどの判断に利用することが可能となっている。
【0041】
本ドローン離発着場管理システム10は、災害時に利用することが可能なシステムとなる。具体的には、災害時において、緊急で支援物資等を輸送する必要が生じた場合に、例えば、車両での運搬が困難な状況において、今後はドローンを用いることが予測される。その災害時に使用されるドローンの識別番号を登録しておき、災害対策システム22等から、ドローンの離発着スペースの確保が求められた場合には、そのスペースの確保を優先するように構成することで、災害時の支援物資等の輸送を、スムースに行うことが可能となる。
【0042】
以上のように、本ドローン離発着場管理システム10は、ドローンのユーザーと、ドローンポートとして利用可能なスペースの提供者との、マッチングを行うものとなっており、ドローンの使用頻度の向上を図ることができると考えられる。また、本ドローン離発着場管理システム10によれば、種々の大きさが存在するドローンに対して適切な大きさのドローンポートのみを開示することができ、ユーザーは、容易にドローンポートを用意することができるため、ドローンの使用頻度の向上を図ることができる。さらに、本ドローン離発着場管理システム10は、多くの駐車場管理システム24と連携し、ドローンポートとして、駐車場の空きスペースも利用するため、ドローンの使用頻度をより向上させることができる。なお、先にも説明したが、本発明の飛行体駐車場管理システムは、今後開発される操縦者でない者が乗り込めるドローン(いわゆるパッセンジャードローン)や空飛ぶクルマも、無人航空機と同様に扱うことができ、適切な離発着スペースを提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
10…ドローン離発着場管理システム〔飛行体離発着場管理システム〕、Ud…ユーザー、12…ドローン〔飛行体〕、14…通信端末、16…ネットワーク、24…駐車場管理システム、30…受付部、32…ドローン情報取得部〔飛行体情報取得部〕、36…ポート情報取得部〔離発着スペース情報取得部〕、38…対応ポート抽出部〔抽出部〕、40…ポート情報送信部〔送信部〕、P1,P2…ドローンポート〔離発着スペース〕、Sc…駐車スペース