(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166717
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】コンクリート組成物、コンクリート構造物、コンクリート構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20241122BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20241122BHJP
C04B 24/06 20060101ALI20241122BHJP
C04B 24/30 20060101ALI20241122BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B22/08 Z
C04B24/06 A
C04B24/30 B
C04B22/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083017
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】大島 佑介
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 亮介
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB00
4G112MB13
4G112PB05
4G112PB10
4G112PB17
4G112PB35
(57)【要約】
【課題】鉄筋コンクリート中の鉄筋の防錆剤としてホウ酸塩を用いた場合に、凝結が遅延することを抑制できるコンクリート組成物、コンクリート構造物、およびコンクリート構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】ベースコンクリートと、ホウ酸塩と、凝結促進剤と、を含む、コンクリート組成物。前記ホウ酸塩と前記凝結促進剤との配合比が、質量比で、1/5~1/4である。前記凝結促進剤が、アルミニウムスルホン酸塩を含む。前記凝結促進剤が、さらに、メラミン系化合物、オキシカルボン酸およびオキシカルボン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースコンクリートと、ホウ酸塩と、凝結促進剤と、を含む、コンクリート組成物。
【請求項2】
前記ホウ酸塩と前記凝結促進剤との配合比が、質量比で、1/5~1/4である、請求項1に記載のコンクリート組成物。
【請求項3】
前記凝結促進剤が、アルミニウムスルホン酸塩を含む、請求項1に記載のコンクリート組成物。
【請求項4】
前記凝結促進剤が、さらに、メラミン系化合物、オキシカルボン酸およびオキシカルボン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載のコンクリート組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート組成物の硬化物からなる、コンクリート構造物。
【請求項6】
ベースコンクリートに凝結促進剤を加えて練り混ぜて、前記ベースコンクリートと前記凝結促進剤の混練物を調製する工程と、
前記混練物にホウ酸を加えて、コンクリート組成物を調製する工程と、
前記コンクリート組成物を、鉄筋を配した型枠内に流し込んで締固める工程と、を有する、コンクリート構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート組成物、コンクリート構造物、およびコンクリート構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート中の鉄筋を防食する方法(以下、「防食方法」と言う。)としては、防錆剤を用いて、既設コンクリートの表面や、製造時の生コンクリートに防錆処理を施す方法が知られている。
【0003】
既設コンククリートの表面にタンニン酸を塗布して、防錆処理をする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法は、既設の硬化コンクリート中の鉄筋の防食を目的としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属の防食に利用される材料としては、ホウ酸塩が知られている。ホウ酸緩衝液中において、pH9以上では、炭素鋼が不働態化することが知られている。また、ホウ酸緩衝液中において、pH9以上では、ホウ酸緩衝液が一定濃度の塩分を含んでいても、炭素鋼の不働態被膜を維持できることが知られている。これにより、コンクリートが中性化した場合にも鉄筋の腐食を抑制できるだけでなく、塩害に対する鉄筋の耐久性も向上する。
【0006】
しかしながら、コンクリートにホウ酸塩を添加すると、コンクリートの凝結が著しく遅延する。また、コンクリートに対するホウ酸塩の添加量が多い場合、コンクリートの強度低下の懸念がある。そのため、ホウ酸塩は、コンクリートの防錆剤として使用されることはなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、鉄筋コンクリート中の鉄筋の防錆剤としてホウ酸塩を用いた場合に、凝結が遅延することを抑制できるコンクリート組成物、コンクリート構造物、およびコンクリート構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ベースコンクリートと、ホウ酸塩と、凝結促進剤と、を含む、コンクリート組成物。
[2]前記ホウ酸塩と前記凝結促進剤との配合比が、質量比で、1/5~1/4である、[1]に記載のコンクリート組成物。
[3]前記凝結促進剤は、アルミニウムスルホン酸塩を含む、[1]に記載のコンクリート組成物。
[4]前記凝結促進剤が、さらに、メラミン系化合物、オキシカルボン酸およびオキシカルボン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[3]に記載のコンクリート組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のコンクリート組成物の硬化物からなる、コンクリート構造物。
[6]ベースコンクリートに凝結促進剤を加えて練り混ぜて、前記ベースコンクリートと前記凝結促進剤の混練物を調製する工程と、
前記混練物にホウ酸を加えて、コンクリート組成物を調製する工程と、
前記コンクリート組成物を、鉄筋を配した型枠内に流し込んで締固める工程と、を有する、コンクリート構造物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鉄筋コンクリート中の鉄筋の防錆剤としてホウ酸塩を用いた場合に、凝結が遅延することを抑制できるコンクリート組成物、コンクリート構造物、およびコンクリート構造物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のコンクリート組成物、コンクリート構造物、およびコンクリート構造物の製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
[コンクリート組成物]
本発明の一実施形態に係るコンクリート組成物は、ベースコンクリートと、ホウ酸と、凝結促進剤と、を含む。
【0012】
「ベースコンクリート」
ベースコンクリートは、水と、セメントと、細骨材と、粗骨材と、化学混和剤と、を含む。
【0013】
(水)
水は、特に限定されず、JIS A 5308:2019「レディーミクストコンクリート」に適合する水を使用できる。
【0014】
(セメント)
セメントは、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料等を主原料とした、水による化学反応で硬化する粉体であれば特に限定されない。例えば、ポルトランドセメント(JIS R 5210:2009)、高炉セメント(JIS R 5211:2009)、シリカセメント(JIS R 5212:2009)、フライアッシュセメント(JIS R 5213:2009)、エコセメント(JIS R 5214:2009)等が挙げられる。
【0015】
ポルトランドセメントは、普通・早強・超早強・中庸熱・低熱・耐硫酸塩の6種類の各ポルトランドセメントと、それぞれの低アルカリ形の合計12種類が規格化されている(JIS R 5210:2009)。
【0016】
高炉セメントは、高炉スラグの混合量によって、高炉セメントA種、高炉セメントB種、高炉セメントC種に分類されている(JIS R 5211:2009)。
高炉セメントA種・・・高炉スラグ混合量5~30質量%
高炉セメントB種・・・高炉スラグ混合量10~60質量%
高炉セメントC種・・・高炉スラグ混合量60~70質量%
【0017】
(細骨材)
細骨材は、特に限定されず、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」等に規定されるコンクリート用の骨材であればよい。
【0018】
(粗骨材)
粗骨材は、特に限定されず、JIS A 5005:2020「コンクリート用砕石及び砕砂」等に規定されるコンクリート用の粗骨材であればよい。
【0019】
(化学混和剤)
化学混和剤は、特に限定されず、通常、セメントと混合して用いられる化学混和剤を使用できる。
【0020】
(ホウ酸塩)
本実施形態のコンクリート組成物におけるホウ酸塩の含有量は、求められる耐食性に応じて決定される。ホウ酸イオンを含む水溶液環境下における炭素鋼の自己不働態挙動については既知であり、下記の式(1)により不働態化の判定が可能である。
SPI=(0.5[SO4
2-]+[Cl-])/([HCO3
-]+14[B(OH)4
-]E) (1)
上記の式(1)中、[Cl-]は塩化物、[B(OH)4
-]はホウ酸に対応する。ここで、コンクリート中は本来、高アルカリ環境であるため、HCO3
-は0である。SO4
2-の供給源は、セメントと、後述する凝結促進剤であるが、セメントに含まれるSO4
2-は微量であるため、概ね凝結促進剤にて決定される。B(OH)4
-は、添加するホウ酸塩によって決定される。
【0021】
(凝結促進剤)
凝結促進剤は、アルミニウムスルホン酸塩を含むことが好ましく、アルミニウムスルホン酸塩からなることがより好ましい。さらに、凝結促進剤は、メラミン系化合物、オキシカルボン酸およびオキシカルボン酸の塩からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0022】
アルミニウムスルホン酸塩としては、各種の硫酸アルミニウムが挙げられる。硫酸アルミニウムは、一般式Al2(SO4)3・nH2Oで表される。前記一般式中のnは0~18の範囲にある。硫酸アルミニウムとしては、無水硫酸アルミニウム、または様々な数の結晶水の硫酸アルミニウムのいずれのものもであっても使用できる。
【0023】
アルミニウムスルホン酸塩の平均粒径は、特に限定されるものではないが、500μm以下が好ましく、325μm以下がより好ましい。
なお、アルミニウムスルホン酸塩の平均粒径は、堀場製作所社製、レーザ回折/散乱式粒度分布計により測定した値である。
【0024】
メラミン系化合物としては粉末のメラミン系化合物が好ましく、メチロールメラミン縮合物、メラミンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等が挙げられる。具体的には、日本シーカ株式会社製の製品名「シーカメントFF」等が使用可能である。
【0025】
オキシカルボン酸としては、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等が挙げられる。オキシカルボン酸の塩としては、上記オキシカルボン酸の塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本実施形態のコンクリート組成物において、ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比は、質量比で、1/5~1/4が好ましく、1/5がより好ましい。前記配合比が前記下限値以上であると、ホウ酸を含むコンクリート組成物の凝結速度を、始発までの期間において、ベースコンクリートのみで凝結した場合と同等にすることができる。前記配合比が前記上限値以下であると、終結までの期間において、ベースコンクリートのみで凝結した場合と同等にすることができる。
【0027】
(その他の成分)
本実施形態のコンクリート組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記以外の従来使用されている成分を混合して使用してもよい。
【0028】
本実施形態のコンクリート組成物によれば、ベースコンクリートと、ホウ酸塩と、凝結促進剤と、を含むため、ホウ酸塩を含んでいても、コンクリート組成物の凝結が遅延することを抑制できる。また、本実施形態のコンクリート組成物は、ホウ酸塩を含むため、鉄筋を含むコンクリート構造物を製造した場合に、鉄筋の腐食を抑制できる。
【0029】
[コンクリート構造物]
本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物は、本発明の一実施形態に係るコンクリート組成物の硬化物からなる。
【0030】
本実施形態のコンクリート構造物によれば、上述の実施形態のコンクリート組成物の硬化物からなるため、鉄筋を含む場合に、鉄筋の腐食を抑制できる。
【0031】
[コンクリート構造物の製造方法]
本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法は、ベースコンクリートに凝結促進剤を加えて練り混ぜて、前記ベースコンクリートと前記凝結促進剤の混練物を調製する工程(以下、「工程1」と言う。)と、前記混練物にホウ酸塩を加えて、コンクリート組成物を調製する工程(以下、「工程2」と言う。)と、前記コンクリート組成物を、鉄筋を配した型枠内に流し込んで締固める工程(以下、「工程3」と言う。)と、を有する。
【0032】
本実施形態のコンクリート構造物の製造方法は、工程1の前に、ベースコンクリートを調製する工程を有していてもよい。
ベースコンクリートを調製する工程では、まず、上記の水と、セメントと、細骨材と、粗骨材と、化学混和剤とを、所定量混合して、ベースコンクリートを調製する。
【0033】
工程1では、上記のベースコンクリートに、上記の凝結促進剤を所定量加えて、これらを練り混ぜて、ベースコンクリートと凝結促進剤の混練物を調製する。
ベースコンクリートと凝結促進剤を練り混ぜる方法は、特に限定されず、例えば、コンクリート製造プラントのミキサ内でもよく、コンクリート製造プラントのミキサでベースコンクリートを製造し、アジテータ車に投入した後、アジテータ車のドラム内に凝結促進剤を投入して混練してもよい。
【0034】
工程2では、工程1で得られた混練物にホウ酸塩を所定量加えて、上述の実施形態のコンクリート組成物を得る。
【0035】
工程3では、コンクリート組成物を、鉄筋を配した型枠内に流し込んで締固める。
以上の工程により、上述の実施形態のコンクリート構造物が得られる。
【0036】
本実施形態のコンクリート構造物の製造方法によれば、上述の実施形態のコンクリート組成物を用いてコンクリート構造物を製造するため、ベースコンクリートのみを用いた場合と同等に凝結を遅延することなく、コンクリート組成物を凝結することができる。
【0037】
また、本実施形態のコンクリート構造物の製造方法によれば、上記工程1と工程2をこの順に行うことにより、上述の実施形態のコンクリート組成物が得られる。ベースコンクリートにホウ酸塩を加えて、ベースコンクリートとホウ酸塩の混合物を調製し、その混合物に凝結促進剤を練り混ぜた場合、凝結促進剤の凝結促進効果が得られず、上述の実施形態のコンクリート組成物を得るために、さらに多量の凝結促進剤が必要となってしまう。
【実施例0038】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【0039】
[ベースコンクリートの調製]
水(W)としては、水道水を用いた。
セメント(C)としては、普通ポルトランドセメントおよび高炉セメントB種を用いた。
細骨材(S)としては、硬質砂岩砕砂を用いた。
粗骨材(G)としては、硬質砂岩砕石を用いた。
化学混和剤(AE)としては、リグニンスルホン酸塩のAE減水剤を用いた。
これらの材料を、表1(配合A)、表2(配合B)および表3(配合C)に示す通りに配合した。配合Aと配合Bは水セメント比が異なり、その他の条件は同様である。配合Bと配合Cは使用するセメントの種類が異なり、その他の条件は同様である。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
[実験例1]
上記の配合Aのベースコンクリートのみを用いた。
【0044】
[実験例2]
上記の配合Aのベースコンクリート1m3に、ベースコンクリートに含まれるセメントの質量の0.5質量%のホウ酸塩を加えて、コンクリート組成物を調製した。
【0045】
[実験例3]
実験例2のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の2.0質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、1/4とした。凝結促進剤としては、デンカ株式会社製のデンカACF材(以下、単に「ACF材」と言う。)を用いた。
【0046】
[実験例4]
上記の配合Bのベースコンクリートのみを用いた。
【0047】
[実験例5]
上記の配合Bのベースコンクリート1m3に、ベースコンクリートに含まれるセメントの質量の0.2質量%のホウ酸塩を加えて、コンクリート組成物を調製した。
【0048】
[実験例6]
上記の配合Bのベースコンクリート1m3に、ベースコンクリートに含まれるセメントの質量の0.5質量%のホウ酸塩を加えて、コンクリート組成物を調製した。
【0049】
[実験例7]
実験例6のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の0.5質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、1/1とした。
【0050】
[実験例8]
実験例6のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の1.5質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、1/3とした。
【0051】
[実験例9]
実験例6のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の2.0質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、1/4とした。
【0052】
[実験例10]
実験例6のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の2.5質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、1/5とした。
【0053】
[実験例11]
上記の配合Bのベースコンクリート1m3に、ベースコンクリートに含まれるセメントの質量の0.8質量%のホウ酸塩を加えて、コンクリート組成物を調製した。
【0054】
[実験例12]
実験例11のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の2.0質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、2/5とした。
【0055】
[実験例13]
上記の配合Cのベースコンクリートのみを用いた。
【0056】
[実験例14]
上記の配合Cのベースコンクリート1m3に、ベースコンクリートに含まれるセメントの質量の0.5質量%のホウ酸塩を加えて、コンクリート組成物を調製した。
【0057】
[実験例15]
実験例14のコンクリート組成物に、コンクリート組成物に含まれるホウ酸塩の質量の2.0質量%の凝結促進剤を加えて、コンクリート組成物を調製した。ホウ酸塩と凝結促進剤との配合比を、質量比で、1/4とした。
【0058】
実験例1~実験例15のベースコンクリートまたはコンクリート組成物について、水道水を注水し、注水開始から、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に準拠して、コンクリート組成物の硬化物が凝結の始発(コンクリート組成物の硬化物の強度が3.5N/mm2以上となるまでに要した時間)を測定した。結果を表4に示す。
【0059】
【0060】
表4に示す結果から、ホウ酸塩を含むコンクリート組成物にACF材を加えると、凝結の始発までの時間が短縮されることが分かった。特に、実験例3、実験例9,実験例10および実験例15のように、ホウ酸塩とACF材との配合比が、質量比で、1/5~1/4であると、凝結の始発までの時間がベースコンクリートのみの場合と同等またはそれ以下に短縮されることが分かった。