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特開2024-166721低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法
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  • 特開-低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166721
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/00 20060101AFI20241122BHJP
   F17C 3/04 20060101ALI20241122BHJP
   B65D 88/06 20060101ALI20241122BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20241122BHJP
【FI】
F17C3/00 A
F17C3/04 A
B65D88/06 B
B65D90/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083024
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】田附 英幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 英晃
(72)【発明者】
【氏名】山田 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正典
(72)【発明者】
【氏名】吉原 知佳
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
【Fターム(参考)】
3E170AA03
3E170AB29
3E170DA01
3E170DA05
3E170JA07
3E170KA10
3E170KB04
3E170KC10
3E170SA20
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB04
3E172BD05
3E172CA02
3E172CA10
3E172DA90
3E172KA02
(57)【要約】
【課題】側壁と屋根との結合部にかかる大きな負荷に充分に耐え得る低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法を提供する。
【解決手段】低温地上式液化ガスタンク1は、円筒状に形成されたコンクリート製の側壁20と、側壁20の径方向内側に設けられ、低温液化ガス2の貯蔵空間Aを形成する金属製のメンブレン30と、貯蔵空間Aの上方を覆う金属製の屋根40と、を備え、側壁20の上端部20aには、径方向内側に突出した肩部22が設けられ、肩部22の下面側に、屋根40が固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成されたコンクリート製の側壁と、
前記側壁の径方向内側に設けられ、低温液化ガスの貯蔵空間を形成する金属製のメンブレンと、
前記貯蔵空間の上方を覆う金属製の屋根と、を備え、
前記側壁の上端部には、径方向内側に突出した肩部が設けられ、
前記肩部の下面側に、前記屋根が固定されている、
低温地上式液化ガスタンク。
【請求項2】
前記屋根は、前記肩部の下面側に、スタッドボルトを介して固定されている、
請求項1に記載の低温地上式液化ガスタンク。
【請求項3】
前記肩部は、
前記側壁の内壁に固定された支持プレートと、
前記支持プレートに固定され、前記側壁の径方向内側に向かって斜め上方向に延びる固定プレートと、
前記固定プレートの上面側に設けられた前記スタッドボルトと、
前記固定プレートの上面側に打設され、前記スタッドボルトを埋設するコンクリート体と、を備え、
前記固定プレートに、前記屋根が固定されている、
請求項2に記載の低温地上式液化ガスタンク。
【請求項4】
コンクリート製の側壁を円筒状に形成し、
前記側壁の径方向内側に、低温液化ガスの貯蔵空間を形成する金属製のメンブレンを形成し、
前記側壁の上端部に、径方向内側に突出した肩部を形成し、
前記肩部の下面側に、前記貯蔵空間の上方を覆う金属製の屋根を固定する、
低温地上式液化ガスタンクの構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、液体窒素などの低温液化ガスを貯蔵する地上式低温タンクが開示されている。この低温タンクは、全金属製の球面屋根付きで平底円筒形の内槽とプレストレストコンクリート製の側壁と側壁に固定された金属製球面屋根からなる外槽との二重殻構造となっており、内槽と外槽の間に粒状パーライト等の保冷材や、冷熱抵抗緩和材を充填して構成されている。
また、下記特許文献2には、円筒状のコンクリート躯体の上部内周の全周に亘ってリングプレートを取り付け、屋根板の周縁部をリングプレートに固着した地上式低温タンクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-267099号公報
【特許文献2】特開平8-338598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の低温タンクでは、大型化し液頭圧が大きくなるにつれて、液圧に耐えるために金属内槽の側部板厚が厚くなっていくが、強度や溶接性の観点から厚板化には限界がある。これを解決するための方策として、側部をプレストレストコンクリート製の側壁とし、その側壁に金属製球面屋根を固定する構造が採用される場合がある。
従来の低温タンクの外槽でも、金属製球面屋根はプレストレストコンクリート製側壁に固定されているが、その作用内圧は0.5kPa程度である。この構造の場合、側壁と金属製球面屋根の接続部には、低温液化ガスによる高いガス内圧(例えば20kPa程度)が作用する。このため、低温タンクの側壁と屋根との結合部に大きな負荷がかかる、という問題がある。
また、従来の低温液化ガスを貯蔵する地下式低温タンクでは、地下に埋設されたコンクリート製の側壁に、金属製球面屋根を固定する構造が採用される場合がある。この場合、球面屋根の外端部は厚板となっており、特許文献2の図1に示すリングプレートのように、1m程度は側壁に埋め込まれている。しかしこの場合、この埋め込まれた部分はコンクリート製の側壁内の鉄筋と多数の干渉を起こし、組立が非常に煩雑になり、鉄筋の配置も制約を受けるという課題がある。更に、地上式低温タンクでコンクリート製の側壁を採用した場合、側壁は内部からの液頭圧に耐える必要があるため、側壁内には円周PC鋼材・鉛直PC鋼材を配置する必要があり、この干渉の解決には更に困難になると想定される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コンクリート製の側壁と金属製の屋根との結合部にかかる負荷に充分に耐え、かつ金属製の屋根の外端部と側壁内の構造物との干渉を大幅に低減し得る低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る低温地上式液化ガスタンクは、円筒状に形成されたコンクリート製の側壁と、前記側壁の径方向内側に設けられ、低温液化ガスの貯蔵空間を形成する金属製のメンブレンと、前記貯蔵空間の上方を覆う金属製の屋根と、を備え、前記側壁の上端部には、径方向内側に突出した肩部が設けられ、前記肩部の下面側に、前記屋根が固定されている。
【0007】
また、本発明の第2の態様では、第1の態様の低温地上式液化ガスタンクにおいて、前記屋根は、前記肩部の下面側に、スタッドボルトを介して固定されていてもよい。
【0008】
また、本発明の第3の態様では、第2の態様の低温地上式液化ガスタンクにおいて、前記肩部は、前記側壁の内壁に固定された支持プレートと、前記支持プレートに固定され、前記側壁の径方向内側に向かって斜め上方向に延びる固定プレートと、前記固定プレートの上面側に設けられた前記スタッドボルトと、前記固定プレートの上面側に打設され、前記スタッドボルトを埋設するコンクリート体と、を備え、前記固定プレートに、前記屋根が固定されていてもよい。
【0009】
本発明の第4の態様に係る低温地上式液化ガスタンクの構築方法は、コンクリート製の側壁を円筒状に形成し、前記側壁の径方向内側に、低温液化ガスの貯蔵空間を形成する金属製のメンブレンを形成し、前記側壁の上端部に、径方向内側に突出した肩部を形成し、前記肩部の下面側に、前記貯蔵空間の上方を覆う金属製の屋根を固定する。
【発明の効果】
【0010】
上記本発明の一態様によれば、側壁と屋根との結合部にかかる大きな負荷に充分に耐え得る低温地上式液化ガスタンク、低温地上式液化ガスタンクの構築方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る低温地上式液化ガスタンクの構成図である。
図2】一実施形態に係る側壁と屋根との結合部の拡大図である。
図3】一実施形態に係る低温地上式液化ガスタンクの構築方法において、側壁の上端部に屋根を結合する工程を示す説明図である。
図4】一実施形態に係る低温地上式液化ガスタンクの構築方法において、側壁の上端部に屋根を結合する工程を示す説明図である。
図5】一実施形態に係る低温地上式液化ガスタンクの構築方法において、側壁の上端部に屋根を結合する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る低温地上式液化ガスタンク1の構成図である。
低温地上式液化ガスタンク1は、図1に示すように、基礎版10と、側壁20と、メンブレン30と、屋根40と、を概略備えている。低温地上式液化ガスタンク1の内部の貯蔵空間Aには、低温液化ガス2が貯蔵されている。
【0014】
基礎版10は、コンクリート製であり、円板状に形成されている。基礎版10の上面には、図示しない底部ライナや、保冷構造体(保冷材、冷熱抵抗緩和材など)が設けられている。
【0015】
側壁20は、基礎版10の外周縁に、円筒状に形成されている。側壁20は、コンクリート製であり、例えば、PC(プレストレストコンクリート)壁から形成されている。側壁20の内壁には、図示しない側ライナや、保冷構造体50(後述する図2参照)が設けられている。側壁20の外壁には、外階段21が設けられている。
【0016】
メンブレン30は、側壁20の径方向内側に設けられ、低温液化ガス2の貯蔵空間Aを形成している。メンブレン30は、側壁20の内壁及び基礎版10の上面を覆う有底筒状に形成されている。メンブレン30は、金属製の複数のステンレス製薄板から形成され、当該メンブレン30には格子状のコルゲーション(ひだ)が設けられている。
【0017】
屋根40は、上方に凸のドーム状に形成された金属製球面屋根であって、貯蔵空間Aの上方を覆っている。屋根40には、図示しない保冷構造体が設けられている。また、屋根40には、屋根階段41が設けられている。屋根40は、図2に示すように、側壁20の上端部20aに固定されている。
【0018】
図2は、一実施形態に係る側壁20と屋根40との結合部の拡大図である。
図2に示すように、側壁20の上端部20aには、径方向内側に突出した肩部22が設けられている。屋根40は、肩部22の下面側に固定されている。肩部22は、側壁20の上端部20aに沿って、周方向に環状に設けられている。
【0019】
肩部22の下面は、側壁20の径方向内側(タンク中心)に向かって斜め上方向に延びている。肩部22の下面には、厚板の固定プレート23が設けられ、固定プレート23を介して、屋根40の外周縁が固定されている。なお、肩部22の上面22aは、雨水などが溜まらないように、平坦面(水平面)となっている。
【0020】
次に、図3図5を参照して、上記構成の低温地上式液化ガスタンク1の構築方法について説明する。
図3図5は、一実施形態に係る低温地上式液化ガスタンク1の構築方法において、側壁20の上端部20aに屋根40を結合する工程を示す説明図である。図3図5には、側壁20内の構造体として、円周PC鋼材61と、鉛直PC鋼材62と、太径鉛直鉄筋63とを図示している。なお、太径鉛直鉄筋63に沿う円周鉄筋は、図示を省略している。
【0021】
本手法では、先ず基礎版10を形成し、次に基礎版10の外周縁に、円筒状の側壁20を形成する。側壁20の上端部20aの内壁には、図3に示すように、支持プレート24を固定する。支持プレート24は、金属製の厚板であり、複数のスタッドボルト25を備えている。
【0022】
次に、支持プレート24の上端部に、固定プレート23を溶接などで固定する。固定プレート23は、側壁20の径方向内側に向かって斜め上方向に延びる姿勢で、支持プレート24に支持される。
【0023】
固定プレート23の上面側には、複数のスタッドボルト26と、後述するコンクリート体29A(図4参照)を打設するための枠固定用リブ27と、が設けられている。固定プレート23の下面側には、屋根40の径方向の中心部から放射状に延びる鉄骨部材42(メインラフターやサブラフターなど)を固定する屋根固定用リブ28が設けられている。
【0024】
なお、固定プレート23の径方向外側の端部は、支持プレート24のスタッドボルト25と共に、側壁20の内壁に埋設される。固定プレート23の径方向外側の端部の埋設長さは、支持プレート24のスタッドボルト25の埋設長さよりも短い。固定プレート23の径方向外側の端部及び支持プレート24のスタッドボルト25は、側壁20にプレストレスを与える円周PC鋼材61、鉛直PC鋼材62、及び太径鉛直鉄筋63と干渉しない長さ及び干渉しない周方向配置を備えている。
【0025】
次に、本手法では、図4に示すように、固定プレート23の枠固定用リブ27に図示しないコンクリート打設枠を取り付け、固定プレート23の上面側に、スタッドボルト26を埋設するコンクリート体29Aを打設する。コンクリート体29Aは、側壁20から径方向内側に突出し、肩部22を形成する。肩部22を形成したら、基礎版10上で構築していた屋根40をエアレイジングなどで浮上させ、屋根40の外周縁を、固定プレート23に溶接などで固定する。
【0026】
次に、本手法では、図5に示すように、コンクリート体29Aと屋根40との間の凹部に、コンクリート体29Bを打設し、肩部22の上面22aを、側壁20の上端部20aと連なる平坦面とする。当該平坦面には、図示しない屋根歩廊板を敷設するとよい。そして、コンクリート体29Bと屋根40との継ぎ目を跨ぐように、傾斜した水切り板43を溶接などにより固定し、継ぎ目から雨水が浸入しないようにする。
【0027】
低温地上式液化ガスタンク1の内部では、コルゲーション付きのメンブレン30を形成する。メンブレン30が完成したら、気密試験を行う。その後、保冷工事、塗装工事、配管工事などを経て、図1に示す低温地上式液化ガスタンク1を構築することができる。
【0028】
上述したように、本実施形態に係る低温地上式液化ガスタンク1は、円筒状に形成されたコンクリート製の側壁20と、側壁20の径方向内側に設けられ、低温液化ガス2の貯蔵空間Aを形成する金属製のメンブレン30と、貯蔵空間Aの上方を覆う金属製の屋根40と、を備え、側壁20の上端部20aには、径方向内側に突出した肩部22が設けられ、肩部22の下面側に、屋根40が固定されている。この構成によれば、低温液化ガス2を貯蔵する際の作用内圧を、肩部22によって充分に受けることができる。このため、低温地上式液化ガスタンク1は、側壁20と屋根40との結合部にかかる大きな負荷に充分に耐え得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では、屋根40は、肩部22の下面側に、スタッドボルト26を介して固定されている。この構成によれば、屋根40の荷重をスタッドボルト26を介して肩部22で充分に支えることができる。
【0030】
また、本実施形態では、肩部22は、側壁20の内壁に固定された支持プレート24と、支持プレート24に固定され、側壁20の径方向内側に向かって斜め上方向に延びる固定プレート23と、固定プレート23の上面側に設けられたスタッドボルト26と、固定プレート23の上面側に打設され、スタッドボルト26を埋設するコンクリート体29Aと、を備え、固定プレート23に、屋根40が固定されている。この構成によれば、側壁20がPC壁であっても、側壁20にプレストレスを与える構造体(円周PC鋼材61、鉛直PC鋼材62、及び太径鉛直鉄筋63)と干渉することなく、側壁20の上端部20aに屋根40を固定できる。
【0031】
また、本実施形態に係る低温地上式液化ガスタンク1の構築方法は、コンクリート製の側壁20を円筒状に形成し、側壁20の径方向内側に、低温液化ガス2の貯蔵空間Aを形成する金属製のメンブレン30を形成し、側壁20の上端部20aに、径方向内側に突出した肩部22を形成し、肩部22の下面側に、貯蔵空間Aの上方を覆う金属製の屋根40を固定する。この構成によれば、側壁20と屋根40との結合部にかかる大きな負荷に充分に耐え得る低温地上式液化ガスタンク1を構築できる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0033】
1…低温地上式液化ガスタンク、2…低温液化ガス、10…基礎版、20…側壁、20a…上端部、21…外階段、22…肩部、22a…上面、23…固定プレート、24…支持プレート、25…スタッドボルト、26…スタッドボルト、27…枠固定用リブ、28…屋根固定用リブ、29A…コンクリート体、29B…コンクリート体、30…メンブレン、40…屋根、41…屋根階段、42…鉄骨部材、43…水切り板、50…保冷構造体、61…円周PC鋼材、62…鉛直PC鋼材、63…太径鉛直鉄筋、A…貯蔵空間
図1
図2
図3
図4
図5