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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166726
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】乾燥システム
(51)【国際特許分類】
   F26B 25/06 20060101AFI20241122BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20241122BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F26B25/06 B
F26B9/06 H
F26B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083029
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】深川 孝博
(72)【発明者】
【氏名】前川 亘
(72)【発明者】
【氏名】田中 遥子
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB03
3L113AC03
3L113AC69
3L113BA05
3L113CB02
3L113DA16
3L113DA17
(57)【要約】
【課題】 省スペース化を実現する乾燥システムの提供。
【解決手段】 熱源から供給される熱により温風を発生させる温風発生装置と、集合体の状態で通気性を有する乾燥対象物6のうち少なくとも一部を保持し、温風発生装置に接続されて温風が供給される乾燥実施部61と、乾燥実施部61に取り付けられ、乾燥対象物6が収容可能な収容袋62とを備え、収容袋62は、軟質のシート状体から構成された袋部62cを有する乾燥システムである。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源から供給される熱により温風を発生させる温風発生装置と、
集合体の状態で通気性を有する乾燥対象物のうち少なくとも一部を保持し、前記温風発生装置に接続されて前記温風が供給される乾燥実施部と、
前記乾燥実施部に取り付けられ、前記乾燥対象物が収容可能な収容袋と、を備え、
前記収容袋は、軟質のシート状体から構成された袋部を有する乾燥システム。
【請求項2】
前記乾燥実施部は、乾燥実施時の上端が開放された収容部であって、内部に前記乾燥対象物が保持され、前記温風発生装置に接続される収容部を備え、
前記収容袋は、前記収容部に対して着脱可能であり、前記収容部に装着した状態で、前記乾燥実施部を上下反転することで内部に前記乾燥対象物が移動させられ、
前記上下反転によって前記収容袋が落下しないように、前記収容部に対して前記収容袋を係止する係止部を更に備えた、請求項1に記載の乾燥システム。
【請求項3】
前記乾燥実施部は、フォークリフトの爪が配置される爪受容部を有する、請求項1または2に記載の乾燥システム。
【請求項4】
前記係止部は、前記収容袋を前記収容部に被せた状態で外方から縛ることのできる固縛体であり、
前記収容部の外面には、前記固縛体が上下にずれることを抑制する突起が設けられている、請求項2に記載の乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、バイオマス燃料を得るために用いられる乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、木材チップの乾燥用コンテナが開示されている。この乾燥用コンテナは、バイオマス発電に用いられ、コンテナ本体内に、乾燥対象物である木材チップを収容することが可能である。乾燥用コンテナは残材燃焼装置に接続され、乾燥用コンテナと残材燃焼装置との接続により、残材燃焼装置で発生した熱がコンテナ本体内に供給されて、その熱によりコンテナ本体内に貯留された多量の木材チップが乾燥されるよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-132146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の乾燥用コンテナは、鋼製の箱体とされる。そのため、乾燥用コンテナの不使用時における置き場所についてスペースを必要とするため、不経済となっている。
【0005】
本発明は、省スペース化を実現する乾燥システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乾燥システムは、熱源から供給される熱により温風を発生させる温風発生装置と、集合体の状態で通気性を有する乾燥対象物のうち少なくとも一部を保持し、前記温風発生装置に接続されて前記温風が供給される乾燥実施部と、前記乾燥実施部に取り付けられ、前記乾燥対象物が収容可能な収容袋と、を備え、前記収容袋は、軟質のシート状体から構成された袋部を有する。
【0007】
上記構成の乾燥システムによれば、収納袋の袋部を畳めるので、不使用時における収容袋が占めるスペースが小さくなる。
【0008】
本発明の乾燥システムでは、前記乾燥実施部は、乾燥実施時の上端が開放された収容部であって、内部に前記乾燥対象物が保持され、前記温風発生装置に接続される収容部を備え、前記収容袋は、前記収容部に対して着脱可能であり、前記収容部に装着した状態で、前記乾燥実施部を上下反転することで内部に前記乾燥対象物が移動させられ、前記上下反転によって前記収容袋が落下しないように、前記収容部に対して前記収容袋を係止する係止部を更に備えるよう構成されてもよい。
【0009】
上記構成の乾燥システムによれば、乾燥対象物が移動させられた収容袋を運搬に供することができ、運搬に供する収容袋の不使用時における置き場を省スペース化できる。
【0010】
本発明の乾燥システムでは、前記乾燥実施部は、フォークリフトの爪が配置される爪受容部を有するものである。
【0011】
上記構成の乾燥システムによれば、乾燥実施部を、フォークリフトを用いて運搬できる。
【0012】
本発明の乾燥システムでは、前記係止部は、前記収容袋を前記収容部に被せた状態で外方から縛ることのできる固縛体であり、前記収容部の外面には、前記固縛体が上下にずれることを抑制する突起が設けられている構成を採用することもできる。
【0013】
上記構成の乾燥システムによれば、突起により、固縛体による確実な係止が可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の乾燥システムによれば、畳める収容袋により、不使用時の置き場が省スペース化される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る乾燥システムの構成の概要図である。
図2図2は、乾燥コンテナの乾燥実施部の正面図である。
図3図3は、乾燥実施部の平面図である。
図4図4は、乾燥実施部の左側面図である。
図5図5は、乾燥実施部の右側面図である。
図6図6は、乾燥実施部の一部を破断した背面図である。
図7図7は、図6におけるVII拡大図である。
図8図8は、乾燥実施部と連結管との接続状態を示す斜視図である。
図9図9は、乾燥コンテナの平面配置図である。
図10図10は、乾燥コンテナの側面配置図である。
図11図11は、乾燥コンテナの使用状態図であり、(a)は乾燥実施部に収容袋を被せた状態図、(b)は(a)の状態をフォークリフトで持ち上げた状態図、(c)は(b)の状態で上下反転させた状態図、(d)はフォークリフトで乾燥実施部のみを持ち上げた状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる乾燥システムについて、バイオマス乾燥システムを用いた例として、図1ないし図11を参照しつつ説明する。
【0017】
本発明において用いる「バイオマス」とは、動植物に由来する物質であり、一定の形態を有する固体であって、乾燥して含有水分量を減少させることで燃焼可能な材料である。例えば木材(廃材、おがくず等)、植物残渣(わら、除去された雑草等)、可燃性の廃棄物(食品廃棄物等)、動物の排泄物、下水汚泥である。本実施形態では、木材(間伐材、剪定された樹木、建築廃材等)をチップ状にした木質チップを用いる。なお、以下の「乾燥対象物」と「燃料」は、含有水分量が異なるが、物としては同じである。
【0018】
本実施形態に係るバイオマス乾燥システム1は、図1に示すように、温水を作るボイラ設備3と、ボイラ設備3によって作られた温水が供給される熱交換器4であって、温水の熱エネルギを空気(外気)に伝達する熱交換器4と、ボイラ設備3と熱交換器4とに接続され、流体を流通させる流路を構成する配管構造5と、熱交換器4によって温められた空気を、バイオマスからなる乾燥対象物6を収容する乾燥コンテナ2に送る送風設備7と、を備える。
【0019】
本実施形態のバイオマス乾燥システム1では、ボイラ設備3、熱交換器4、配管構造5、送風設備7によって、乾燥コンテナ2に温風Wを供給するための温風設備(温風発生装置)が構成されている。
【0020】
ボイラ設備3は、図1に示すように、筐体30と、筐体30の内部に設けられ、バイオマスからなる燃料(後述するボイラで燃焼させる燃料)を貯留する燃料庫31と、燃料庫31の内部に設けられ、燃料庫31に貯留されている燃料を攪拌する図示しない攪拌装置と、筐体30内において燃料庫31に隣接するように形成されているボイラ庫33と、ボイラ庫33内に設けられ、燃料庫31から供給される燃料を燃焼させるボイラ34と、筐体30の内部(ボイラ庫33)においてボイラ34から離れた位置に設けられ、ボイラ34で燃料を燃焼させることによって発生させた熱で温める水を貯える水タンク35と、燃料庫31の外部から燃料庫31の内部に燃料を移送する燃料移送装置36と、を備える。
【0021】
なお、燃料庫31にはバイオマスからなる燃料が貯留されるが、後述するように、乾燥コンテナ2に貯留されるものもバイオマスからなる燃料(乾燥対象物6)であり、燃料庫31の燃料(乾燥した状態)と、乾燥コンテナ2に貯留される燃料(乾燥していない状態から乾燥した状態に変化する)とは、含有水分量の点で区別される。
【0022】
ボイラ34が燃料を燃焼させることによって熱を発生させると、水タンク35から流入した水は、温められた後に水タンク35に戻る。これにより、水タンク35内の水の温度が徐々に高まり、冷水から温水に変わる。なお、ボイラ庫33には、複数(本実施形態では2つ)の水タンク35が配置されており、この2つの水タンク35は、互いに流体的に接続されている。
【0023】
また、本実施形態の熱交換器4は、空冷式の熱交換器4である。熱交換器4は、水タンク35から供給された流体(温水W1)の熱を外気に伝達する図示しない伝熱部と、伝熱部を収容するハウジング41と、を有する。ハウジング41には、一方向に向けて空気を流通させることができるように開口が形成されている。本実施形態のハウジング41は、前面と背面とに空気が流通可能な通気口が形成されている。
【0024】
配管構造5は、水タンク35から熱交換器4に送る流体(温水W1)を流通させる第1流路50と、熱交換器4から水タンク35に送る流体を流通させる第2流路51と、を有する。
【0025】
第1流路50は、水タンク35と熱交換器4の取水部とに接続されている。第2流路51は、水タンク35と熱交換器4の吐出部とに接続されている。
【0026】
なお、バイオマス乾燥システム1では、第1流路50内を開閉する開閉弁と、該開閉弁の開閉動作を制御する開閉制御部とを有する、図示しない制御ユニットが設けられている。開閉弁が開かれると、第1流路50を介して水タンク35から熱交換器4の取水部への流体の供給が開始され、開閉弁が閉じられると、水タンク35から熱交換器4の取水部への流体の供給が停止される。
【0027】
また、制御ユニットは開閉制御部を備え、水タンク35に貯留されている流体の温度を示す情報(水温情報)を取得する温度情報取得部と、切替判定部の判定結果に基づいて開閉弁の開閉状態を切り替える切替命令部と、を有する。
【0028】
温度情報取得部は、例えば、水タンク35内に設置した温度センサから水温情報を取得するように構成される。切替命令部は、開閉弁の開閉状態を切り替えるか否かを判定する基準として設定される水温基準値と水温情報とを比較する比較処理と、水温基準値と水温情報との比較結果と開閉弁の開閉状態とに基づいて開閉弁の開閉状態を切り替える切替処理とを行うように構成されている。
【0029】
送風設備7は、図1に示すように、熱交換器4の伝熱部に対する送風方向において、熱交換器4の伝熱部の前方に配置され、熱交換器4で発生させた風が流入するように、ハウジング41の前面に取り付けられる送風管70と、送風管70に接続される送風装置71と、送風装置71と乾燥コンテナ2の送風口202とに連結される連結管72と、を有する。
【0030】
送風装置71が駆動すると、送風管70内の空気を吸引して、連結管72に向けて送り出すように構成されている。また、送風管70の内部は、上述のようにハウジング41の前面に形成されている通気口に連通している。送風装置71が駆動している状態においては、ハウジング41の背面に形成されている通気口を介してハウジング41の内部に入り込んだ空気は、伝熱部の熱を受けて温められた後、送風管70、送風装置71、連結管72を通り、温風Wが乾燥コンテナ2に供給される。
【0031】
ここで、本実施形態のバイオマス乾燥システム1における乾燥コンテナ2は、乾燥実施部61と、乾燥実施部61とは別体の収容袋62とを備える。
【0032】
乾燥実施部61は上述のように、熱源であるボイラ設備3、熱交換器4、配管構造5、送風設備7によって乾燥コンテナ2に温風Wを供給するための温風設備(温風発生装置)に接続されており、乾燥実施部61は、該温風Wが吹き出すように構成されている。
【0033】
図2ないし図8に示すように、本実施形態では、乾燥実施部61の形状は底部側の矩形状の基台部61Aと、基台部61Aの上側に配置された円筒状の収容部61Bとを備えており、基台部61Aと収容部61Bとは、基台部61Aの上面と収容部61Bの下部に配置された取付フランジ61dを介して一体的に形成されている。収容部61Bは、上端が開放されている。
【0034】
基台部61Aは直方体形状を有しており、図4図6に示すように、その側面には、フォークリフト9(図11(b)、(c)、(d))の爪9aが入り込む爪受容部61aが形成されている。基台部61Aの寸法の一例を示すと、平面視して、縦横が1100cm、上下高さが144cmとされる。
【0035】
収容部61Bは、集合体の状態で通気性を有して、バイオマスからなる、ボイラ設備3で用いられる燃料とは区別される乾燥対象物6を収容することが可能な領域を内部に有する。収容部61Bは、図3図8に示すように、本実施形態では円筒状であり、基台部61Aの上面から上方に、図3図6図7に示すように、パンチングメタル状の有孔デッキ61Cが配置されている。この有孔デッキ61Cには多数の通気孔610が形成されて、これらの通気孔610は乾燥対象物6を乾燥させる温風Wの吹き出し口となっている。
【0036】
通気孔610は円形であり、径寸法が乾燥対象物6の寸法よりも小さく設定されている。収容部61Bの上面は開放されている。収容部61Bの上端部には、周方向に間隔をあけて把手61bが形成されている。把手61bは、側面視でコの状状であり、把手61bを把持することで、乾燥実施部61を操作しやすくしている。
【0037】
収容部61Bの外周には、後述する収容袋62を係止するための、収容部61Bの外方へ突出する突起611,611が、上下方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態では、突起611,611は、収容部61Bの周方向に沿う突条とされる。突起611,611は、収容袋62を挟んで、例えば図11(a)に示すように、固縛体(ラッシングベルト)612を締結するよう配置されている。このような固縛体612は、収容袋62を収容部61Bに被せた状態で外方から縛ることのできる係止部である。
【0038】
なお、上下方向一対の突起611,611は、後述するように、上下反転時に引っ掛かるようにすれば、このうちの1つであってもよいし、突起611,611を複数形成するようにしてもよい。さらに、突起611,611(突条)は、収容部61Bの周方向に間隔を置いて配置されるようにすることも可能である。
【0039】
このような乾燥実施部61は、本実施形態では図9図10に示すように、ボイラ設備3の筐体30の側面30aに沿うよう2つ平行に配置可能とされている。なお、図1の状態と図9図10の状態では、乾燥実施部61の配置は異なっているが、図1は全体の概略図であり、乾燥実施部61が連結管72に接続されていることに関しては、図1図9図10ともに同様である。また、乾燥実施部61は、ボイラ設備3の筐体30の側面30aに沿うよう2つ平行に配置されているが、例えば1つ、あるいは3つ以上とすることもできる。
【0040】
図8に示すように、乾燥実施部61には、連結管72が着脱自在に取り付けられている。連結管72の取付け部分は、乾燥実施部61から突出した送風口202と、連結管72の端部に配置した挿入口72aとを連結するものであって、挿入口72aおよび送風口202が、アダプタ72bを介して着脱自在となっている。送風口202は、有孔デッキ61Cの下側とされている。本実施形態では、送風口202は、基台部61Aと収容部61Bに亘って形成されている。送風口202における収容部61B側の端部は、有孔デッキ61Cの下方から直接温風Wが噴出されるよう構成されている。
【0041】
収容袋62は、乾燥実施部61に乾燥対象物6を収容した状態で、乾燥実施部61の収容部61Bを覆うように配置することが可能とされる。収容袋62は、本実施形態では、フレキシブルコンテナバッグ状の袋体(筒状体)とされ、布製とされる。
【0042】
収容袋62において、乾燥実施部61の、収容部61Bに対して係合する部分を基部62aと特定し、基部62aと反対側の部分を締部62bと特定する。また、収容袋62は、基部62aと締部62bとに一体に設けられた袋部62cを備える。袋部62cは、軟質のシート状体(本実施形態では布)から構成されている。
【0043】
このような上記乾燥コンテナ2において、乾燥実施部61の収容部61Bには人手(作業者)や、あるいは場合によって重機を使って乾燥対象物6を収容する。例えば、乾燥対象物6は乾燥実施部61のサイズに合わせて1m3収容する。そして、収容袋62を乾燥実施部61の収容部61Bに基部62a側から被せ、締部62bに対しては、必要に応じて図示しない集塵機を取り付ける。なお、収容袋62の取り付けは、乾燥対象物6の乾燥後に行ってもよい。
【0044】
そして、乾燥実施部61の送風口202と連結管72の挿入口72aとを連結し、バイオマス乾燥システム1を利用して、ボイラ設備3からの温風Wで、乾燥実施部61に収容された乾燥対象物6を乾燥させる。このとき、締部62bに集塵機を取り付けた場合では、乾燥対象物6の粉塵が、集塵機によって外部に漏れることが防止でき、有孔デッキ61Cの通気孔610から、ボイラ設備3で生成された温水W1に応じた温度に設定された温風Wが吹き出ることによって、乾燥対象物6の乾燥が円滑に行える。
【0045】
ところで、乾燥対象物6の乾燥が終了して、乾燥対象物6を乾燥実施部61(収容部61B)の外に排出する場合は、次のようにして行う。まず、集塵機を取り外して、収容袋62の締部62bを括る。但し、収容袋62の締部62bが予め括られているのであれば、括る必要はない。また、収容袋62の基部62a(収容部61Bの突起611,611の間)に対して固縛体612を収容袋62の外方から締結して、収容袋62と収容部61Bとを係合し、これにより、収容袋62と収容部61Bとを一体化させる(図11(a)参照)。また、突起611,611と固縛体612によって、収容袋62と収容部61Bとの確実な係止が可能となる。
【0046】
そして、乾燥実施部61の送風口202と連結管72の挿入口72aとを取り外し、図11(b)で示すように、フォークリフト9の爪9aを基台部61Aの爪受容部61aに挿入し、爪9aを持ち上げて、乾燥実施部61と収容袋62とを所定の管理場所まで運搬する。
【0047】
このようにした後、図11(c)で示すように、フォークリフト9の爪9aを上下反転させる。このため、フォークリフト9としては、爪9aを上下反転できる構成のものを用いる。この時点で、乾燥実施部61と収容袋62とが上下反転する。この時、乾燥実施部61(収容部61B)と収容袋62とは、突起611,611と係合する固縛体612によって、乾燥実施部61と収容袋62とが一体化されているので、前記上下反転することで、乾燥対象物6が、収容部61Bの開口端から収容袋62の内部に落下移動させられる。
【0048】
そしてフォークリフト9で乾燥対象物6を所定の場所まで搬送し、図11(d)で示すように、フォークリフト9の爪9aを降ろして、固縛体612を解く。固縛体612を解くことで、乾燥実施部61と収容袋62との係合が無くなり、乾燥実施部61と収容袋62とが着脱可能となるから、フォークリフト9の爪9aを上動させ、収容袋62を下に置いて、乾燥実施部61のみを持ち上げる。そして今度は、乾燥実施部61から分離された状態となった収容袋62の基部62aを括って、収容袋62を保管する。
【0049】
上記動作は乾燥コンテナ2毎に行われて、収容袋62を管理場所に保管することができる。あるいは、収容袋62の基部62aを括って燃料移送装置36に移動させ、燃料移送装置36を用いて、燃料化された乾燥対象物6を燃料庫31に移動させてもよい。
【0050】
このような構成を有するバイオマス乾燥システム1の乾燥コンテナ2によれば、乾燥対象物6が収容袋62に収容されて、収容袋62の袋部62cを畳めるので、乾燥対象物6の保管や、運搬に用いる収容袋62の置き場所の省スペース化を実現できる。
【0051】
本発明に係るバイオマス乾燥システム1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
上記実施形態では、乾燥コンテナ2は、バイオマス乾燥システム1を利用する場合であったが、その他の例として、熱源から供給される熱により温風を発生させる温風発生装置に接続されるものであればよい。
【0053】
上記実施形態では、乾燥コンテナ2における収容部61Bは円筒状に形成されていた。しかしながら、収容部61Bは角筒状等に形成することもできる。
【0054】
上記実施形態では、通気孔610は円形であった。しかしながら、通気孔610の孔径は、バイオマス(木材チップ)が通過しないサイズに設定されていればよく、通気孔610の形状は、矩形状、線状等の様々な形状を採用し得る。さらに、有孔デッキ61Cを金網とし、金網の開口部が通気孔610であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、収容部61Bの外周下部に突起611,611を形成して、収容袋62の基部62aと収容部61Bとを、固縛体612等によって係合するものを挙げた。しかしながら、収容部61Bの外周と、収容袋62の基部62aとを係合する手段としては、突起611,611に限定されず、例えば収容部61Bの外周と、収容袋62の基部62aとに、それぞれ係合爪部および被係合爪部を設けて、収容部61Bの外周と、収容袋62の基部62aとを係合するようにしてもよい。なお、係合爪部および被係合爪部が係合する際には、フォークリフト9の爪9aを上下反転させても(図11(c)の状態)、収容袋62が収容部61Bから外れないようにすることは必要である。
【0056】
さらに、上記実施形態では、収容部61Bの外周下部に突起611,611を形成して、収容袋62の基部62aと収容部61Bとを、固縛体(ラッシングベルト)612等によって係合するものを挙げた。しかしながら、固縛体612を用いることなく、収容袋62自体に、収容部61Bと袋部62cとを締め付けて係止する、係止部の一部としての係止用紐を設けることもできる。
【0057】
上記実施形態では、フォークリフト9の爪9aを挿入する爪受容部61aを、乾燥実施部61の基台部61Aに形成するものを挙げた。しかしながら、爪受容部61aは乾燥実施部61の収容部61Bに形成することもできる。この場合、基台部61Aと収容部61Bとを離脱可能に設けておき、基台部61Aから、有孔デッキ61Cを含めた収容部61Bのみを前述のように上下反転させて、収容袋62の基部62aを括るようにしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、乾燥対象物6を収容部61Bに収容した際には、収容部61Bにのみ乾燥対象物6を収容する例を挙げた。しかしながら、収容部61Bの開口端に対し、収容袋62の締部62b側を上にあげるとともに、収容袋62の基部62aを収容部61Bに、固縛体612で一体化させることもできる。この場合では、温風Wの風力によっては、収容袋62の締部62b側にも乾燥対象物6を収容することができる。
【0059】
上記実施形態では、収容袋62は、フレキシブルコンテナバッグ状の袋体としたが、これに限定されず、通気性を有し、温風Wに耐えられる合成樹脂製のものであってもよい。また、収容袋62の締部62bに、収容部61Bの内径に相応するパンチングメタルを装着することもできる。
【0060】
上記実施形態では、乾燥実施部61は、基台部61Aと収容部61Bとを備えていた。しかしながら、乾燥実施部61は、収容部61Bのみでもよい。その際には、温風設備(温風発生装置)を、収容部61Bの有孔デッキ61Cの下側に接続すればよい。
【0061】
上記実施形態のバイオマス乾燥システム1では、燃料庫とボイラ庫が1つの筐体の中に設けられていたが、この構成に限定されない。例えば、燃料庫とボイラ庫は、別々の筐体の中に設けられていてもよい。
【0062】
上記実施形態のバイオマス乾燥システム1では、水タンク35と水タンク35が筐体30の内部に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、水タンク35と水タンク35は筐体30の外部に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…バイオマス乾燥システム、2…乾燥コンテナ、3…ボイラ設備、4…熱交換器、5…配管構造、6…乾燥対象物、7…送風設備、9…フォークリフト、9a…爪、30…筐体、31…燃料庫、33…ボイラ庫、34…ボイラ、35…水タンク、41…ハウジング、61…乾燥実施部、61A…基台部、61B…収容部、61C…有孔デッキ、61a…爪受容部、62…収容袋、62a…基部、62b…締部、62c…袋部、70…送風管、71…送風装置、72…連結管、72a…挿入口、202…送風口、610…通気孔、611,611…突起、612…固縛体、W…温風、W1…温水
図1
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図11