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  • 特開-バイオマス乾燥システム 図1
  • 特開-バイオマス乾燥システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166727
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】バイオマス乾燥システム
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20241122BHJP
   F26B 25/06 20060101ALI20241122BHJP
   F23K 1/04 20060101ALI20241122BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
F26B9/06 H
F26B25/06 Z
F23K1/04
F26B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083030
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】前川 亘
(72)【発明者】
【氏名】宮内 真紀
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB03
3L113AC03
3L113AC40
3L113AC45
3L113AC51
3L113AC69
3L113BA05
3L113CA02
3L113CB02
3L113CB22
3L113CB24
3L113DA07
(57)【要約】
【課題】設置現場におけるシステム構築を効率化したバイオマス乾燥システムを提供する。
【解決手段】本発明は、バイオマスからなる乾燥対象物を乾燥するために用いられ、第1筐体1と、前記第1筐体1とは異なる第2筐体2と、前記第1筐体1の内部に設けられていてバイオマスからなる燃料を貯留する燃料庫3と、前記第2筐体2の内部に設けられていて前記燃料庫3から供給された前記燃料を燃焼するボイラ4と、前記ボイラ4に接続され、前記ボイラ4で生じた熱エネルギを空気に伝達する熱交換器5と、前記熱交換器5で暖められた空気を、前記乾燥対象物を前記乾燥する温風とする送風機6と、前記乾燥対象物を収容し、前記温風が送られる乾燥コンテナ7と、を備えたバイオマス乾燥システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスからなる乾燥対象物を乾燥するために用いられ、
第1筐体と、
前記第1筐体とは異なる第2筐体と、
前記第1筐体の内部に設けられていてバイオマスからなる燃料を貯留する燃料庫と、
前記第2筐体の内部に設けられていて前記燃料庫から供給された前記燃料を燃焼するボイラと、
前記ボイラに接続され、前記ボイラで生じた熱エネルギを空気に伝達する熱交換器と、
前記熱交換器で暖められた空気を、前記乾燥対象物を前記乾燥する温風とする送風機と、
前記乾燥対象物を収容し、前記温風が送られる乾燥コンテナと、を備えたバイオマス乾燥システム。
【請求項2】
前記乾燥コンテナは、下部に、前記温風が通過する通風部を有し、上部に、前記乾燥対象物を収容する収容部を有し、
前記通風部は、横方向で複数の通風室に区画されている、請求項1に記載のバイオマス乾燥システム。
【請求項3】
前記収容部は、横方向で複数の収容室に区画されており、前記区画をなす隔壁は通風可能とされている、請求項2に記載のバイオマス乾燥システム。
【請求項4】
前記熱交換器及び前記送風機のそれぞれ少なくとも一部は前記第2筐体に設けられている、請求項1に記載のバイオマス乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス燃料を燃焼させて生成した熱エネルギーを利用してバイオマスを乾燥させるバイオマス乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、固型燃料を用いて熱及び電力を供給するシステムが知られている(特許文献1)。このシステムは、4つのコンテナを備える。第1のコンテナ内には、固型燃料燃焼装置が設けられている。第2のコンテナ内には、蒸気ボイラ及び排熱交換器が設けられている。第3のコンテナ内には、蒸気ヘッター及び運転制御装置が設けられている。第4のコンテナ内には、タービン発電機及び受変電設備が設けられている。このシステムは、第1のコンテナの上に第2のコンテナを積み上げて配置するとともに、第3のコンテナの上に第4のコンテナを積み上げて配置し、4つのコンテナを相互に連結することによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2695088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記システムでは、固形燃料を貯留する燃料庫が別途必要であるため、システムを設置現場で構築する際に、時間がかかるおそれがあった。
【0005】
本発明は、バイオマス乾燥システムにおいて、設置現場におけるシステム構築を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バイオマスからなる乾燥対象物を乾燥するために用いられ、第1筐体と、前記第1筐体とは異なる第2筐体と、前記第1筐体の内部に設けられていてバイオマスからなる燃料を貯留する燃料庫と、前記第2筐体の内部に設けられていて前記燃料庫から供給された前記燃料を燃焼するボイラと、前記ボイラに接続され、前記ボイラで生じた熱エネルギを空気に伝達する熱交換器と、前記熱交換器で暖められた空気を、前記乾燥対象物を前記乾燥する温風とする送風機と、前記乾燥対象物を収容し、前記温風が送られる乾燥コンテナと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、燃料庫とボイラとが別の筐体に設けられてユニット化されているため、設置現場でシステムを構築する際に、各ユニットを配置することで、各要素を別々に組み立てることに比べるとシステム構築にかかる時間を短縮できる。
【0008】
また、前記バイオマス乾燥システムでは、前記乾燥コンテナは、下部に、前記温風が通過する通風部を有し、上部に、前記乾燥対象物を収容する収容部を有し、前記通風部は、横方向で複数の通風室に区画されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、乾燥対象物を乾燥する温風が、通風部の各通風室を経由して収容部に送られるため、乾燥対象物を満遍なく乾燥可能である。
【0010】
また、前記バイオマス乾燥システムでは、前記収容部は、横方向で複数の収容室に区画されており、前記区画をなす隔壁は通風可能とされていてもよい。
【0011】
この構成によれば、収容室を区画する隔壁が、乾燥対象物が収容室間を移動するのを防止しつつ、温風は収容室間を移動可能なので、乾燥対象物を満遍なく乾燥可能である。
【0012】
また、前記バイオマス乾燥システムでは、前記熱交換器及び前記送風機のそれぞれ少なくとも一部は前記第2筐体に設けられていてもよい。
【0013】
この構成によれば、ボイラに加え、熱交換器及び送風機も第2筐体にまとめることができるため、システム構築にかかる時間を更に短縮できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、バイオマス乾燥システムにおいて、設置現場におけるシステム構築を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るバイオマス乾燥システムの構成の概略図である。
図2】前記バイオマス乾燥システムにおける乾燥コンテナの模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るバイオマス乾燥システム10について、添付図面を参照しつつ説明する。バイオマス乾燥システムは、バイオマスからなる乾燥対象物を乾燥するために用いられる。本発明において用いる「バイオマス」とは、動植物に由来する物質であり、一定の形態を有する固体であって、乾燥して含有水分量を減少させることで燃焼可能な材料である。例えば木材(廃材、おがくず等)、植物残渣(わら、除去された雑草等)、可燃性の廃棄物(食品廃棄物等)、動物の排泄物、下水汚泥である。本実施形態では、木材(間伐材、剪定された樹木、建築廃材等)をチップ状にした木質チップを用いる。なお、以下の「乾燥対象物」と「燃料」は、含有水分量が異なるが、物としては同じである。
【0017】
図1に示すように、バイオマス乾燥システム10は、第1筐体1と、第1筐体1とは異なる第2筐体2と、を備える。第1筐体1や第2筐体2は、例えば、海上輸送用のコンテナ(20フィートコンテナ)を利用して形成できる。また、バイオマス乾燥システム10は、第1筐体1の内部に固定的に設けられていてバイオマスからなる燃料を貯留する燃料庫3と、第2筐体2の内部に固定的に設けられていて燃料庫3から供給された燃料を燃焼するボイラ4と、を備える。また、バイオマス乾燥システム10は、ボイラ4に接続され、ボイラ4で生じた熱エネルギを空気に伝達する熱交換器5と、熱交換器5で暖められた空気を、乾燥対象物を乾燥する温風とする送風機6と、乾燥対象物を収容し、温風が送られる乾燥コンテナ7と、を備える。
【0018】
かかる構成によれば、燃料庫3とボイラ4とが別の筐体1、2に設けられてユニット化されているため、設置現場でバイオマス乾燥システム10を構築する際に、各ユニットを配置することで、各要素を別々に組み立てることに比べるとシステム構築にかかる時間を短縮できる。特に、大量のバイオマスを乾燥するバイオマス乾燥システム10では、システム全体が大型化する傾向にあるが、大型のシステムであってもシステム構築に係る時間を短縮することができる。例えば、バイオマス乾燥システム10は、地域全体の熱供給(給湯)システムを構築する際に適している。また、バイオマス乾燥システム10において、一般に流通している輸送用コンテナを第1筐体1や第2筐体2として利用すれば、筐体の入手が容易であり、しかも、筐体の個数を増やすことで大規模化に容易に対応できる。また、大量の木質チップを乾燥させるために乾燥システム10を大型化する場合、1個の筐体では構成要素を収容できない場合であっても、複数の筐体1,2に構成要素が収容されているので、それらの筐体1、2を現場に運べばシステム構築できるから、システム構築にかかる時間を短縮できる。
【0019】
本実施形態では、バイオマス乾燥システム10は、ボイラ4から熱交換器5への熱媒体(例えば、水)を貯留する蓄熱タンクとして、水タンク8を備える。また、バイオマス乾燥システム10は、ボイラ4と水タンク8との間、及び、ボイラ4と熱交換器5との間に接続され、熱媒体(流体)を流通させる流路を構成する配管構造9を備える。さらに、バイオマス乾燥システム10は、燃料庫3からボイラ4へバイオマスからなる燃料を供給する燃料供給手段11を備える。
【0020】
第1筐体1は、内部に燃料庫3が配置される箱体である。第2筐体2は、内部にボイラ4が配置される箱体である。バイオマス乾燥システム10において、第2筐体2は、第1筐体1と離間して配置されるが、第1筐体と接した状態で配置されてもよい。
【0021】
燃料庫3は、バイオマスからなる燃料を保管する。この燃料は、例えば、含有水分率30%~40%程度(重量比)まで乾燥させたチップである。本実施形態では、燃料庫3は、第1筐体1に二つ配置されるが、一つ、乃至、三つ以上配置されてもよい。また、燃料庫3の内部には、ボイラ4にスムーズに燃料を送るために、燃料庫に貯留されているバイオマスからなる燃料を攪拌する攪拌装置が設けられてもよい。
【0022】
本実施形態では、燃料庫3へ乾燥コンテナ7から燃料が移送され、この燃料の移送の手段は問わない。本実施形態では、燃料庫3への燃料の移送は、乾燥コンテナ7から燃料を投入可能に構成され、且つ投入された燃料を搬送する投入側搬送機と、投入側搬送機から燃料を受け取るように構成され、且つ投入側搬送機から燃料を受け取った燃料を燃料庫3の内部に搬送する庫側搬送機と、により行われる。
【0023】
ボイラ4は、燃料庫3から供給される燃料を燃焼し、この燃焼により発生した熱により、熱交換器5を流れる熱媒体(例えば、水)を温める。本実施形態では、ボイラ4は、約80℃の温水を作ることができる。なお、ボイラ4から熱交換器5への熱媒体は、例えば、水であるが、別の流体であってもよい。
【0024】
ボイラ4は、例えば、バイオマスからなる燃料を燃焼させる燃焼部(いわゆる、バーナー)と、燃焼部によってバイオマスからなる燃料を燃焼させるための空間を形成する燃焼室と、を有する。
【0025】
燃料供給手段11は。燃料庫3とボイラ4との間に配置されている。また、燃料供給手段11は、例えば、ベルト搬送により燃料庫3からボイラ4へ燃料を供給する。
【0026】
水タンク8は、熱媒体である水を貯留するタンクである。本実施形態では、水タンク8は、ボイラ4と別に設けられており、ボイラ4に内蔵されていない。また、水タンク8は、第1筐体1の外側であって第2筐体2の外側に設けられている。
【0027】
配管構造9は、ボイラ4から水タンク8に送る熱媒体(水)を流通させる第1流路91と、水タンク8からボイラ4に送る熱媒体(水)を流通させる第2流路92と、を有する。また、配管構造9は、水タンク8から熱交換器5に送る熱媒体(水)を流通させる第3流路93と、熱交換器5から水タンク8に送る熱媒体(水)を流通させる第4流路94と、を有する。
【0028】
熱交換器5は、例えば、ボイラ4から水タンク8を介して送られてくる温水を空気に熱交換する熱交換器である。本実施形態では、熱交換器5は、約80℃の温水を用いて約70℃まで空気を温める。また、熱交換器5は、第1筐体1の外側であって第2筐体2の外側に設けられている。バイオマス乾燥システム10では、熱交換器5は、二つ設けられているが、一つ乃至三つ以上設けられていてもよい。さらに、熱交換器5は、送風機6と別々に形成されている。なお、熱交換器5は、送風機6と一体に形成されていてもよい。
【0029】
熱交換器5は、供給された熱媒体(水)の熱を外気に伝達する。具体的に、熱交換器5は、水タンク8から送り出された熱媒体(水)が流通する取水部と、取水部に接続される流路部と、流路部を通過して水タンク8に送り出される熱媒体(水)が流通する吐水部と、外気を取り入れる空気取り入れ口と、を有する。
【0030】
送風機6は、熱交換器5により温められた空気に流れを生じさせることにより温風を発生させる。本実施形態では、送風機6は、第1筐体1の外側であって第2筐体2の外側に設けられている。また、送風機6は、温風を発生させる送風部と、発生させた温風が乾燥コンテナ7に流入するように構成される送風管60と、を有する。本実施形態では、送風機6は、二つの送風部と、各送風部から二本ずつに分岐した送風管60と、を含む。なお、バイオマス乾燥システム10に設けられる送風機6の数、送風機6の備える送風部の数や、送風管60の分岐の本数は限定されない。
【0031】
乾燥コンテナ7における乾燥対象物は、例えば、含有水分率50%程度(重量比)のチップである。乾燥コンテナ7は、上面に開口が形成されている箱体である。また、乾燥コンテナ7は、例えば、海上輸送用のコンテナ(40フィートコンテナ)を利用して形成できる。本実施形態では、乾燥コンテナ7は、図2に示すように、下部に、温風が通過する通風部70を有する。また、乾燥コンテナ7は、上部に、乾燥対象物を収容する収容部71を有する。具体的に、乾燥コンテナ7は、上面に開口が形成されているコンテナ本体72と、コンテナ本体72の内部の空間を上下方向において二つの空間に仕切るデッキ73と、を有する。
【0032】
デッキ73には、面直交方向において貫通する複数の貫通穴(図示なし)が形成されているため、コンテナ本体72の内部の空間は水平方向全体に渡ってデッキ73によって仕切られているが、通風部70と、収容部71とは、貫通穴を介して互いに連通している。
【0033】
デッキ73における貫通穴は乾燥対象物の単体よりも小さい開口とされている。この貫通穴の形状は、円形状や、矩形状、線状等の様々な形状を採用し得る。
【0034】
通風部70には、送風機6から延びる送風管60が接続されている。本実施形態では、通風部70は、通風部70は、横方向で複数の通風室700に区画されている。かかる構成によれば、送風機6で発生する温風が、通風部70の各通風室700を経由して収容部71に送られるため、乾燥対象物を満遍なく乾燥可能である。特に、多量の乾燥対象物を収容するような大型の乾燥コンテナ7を備えたバイオマス乾燥システム10であっても、温風が収容部71の全体に満遍なく送られるため、乾燥対象物を満遍なく乾燥可能である。
【0035】
本実施形態では、通風部70は、四つの通風室700に区画されている。さらに、通風室700の区画をなす隔壁701は通風不可とされている。また、本実施形態では、各通風室700に、一本ずつ送風管60が接続されている。なお、通風部70は、二つ、三つ、又は五つ以上の通風室700に区画されていてもよい。隔壁701は、上下方向に沿って延びている。
【0036】
収容部71は、横方向で複数の収容室710に区画されており、区画をなす隔壁711は通風可能とされている。かかる構成によれば、隔壁711は、乾燥対象物が収容室710間を移動するのを防止しつつ、温風は収容室710間を移動可能なので、乾燥対象物を満遍なく乾燥可能である。特に、多量の乾燥対象物を収容するような大型の乾燥コンテナ7を備えたバイオマス乾燥システム10であっても、収容室710に送られた温風が収容部71の全体に満遍なく広がるため、乾燥対象物を満遍なく乾燥可能である。
【0037】
本実施形態では、収容部71は、四つの収容室710に区画されている。なお、収容部71は、二つ、三つ、又は五つ以上の収容室710に区画されていてもよい。
【0038】
隔壁711には、複数の通気穴が設けられている。隔壁711における通気穴は乾燥対象物の単体よりも小さい開口とされている。例えば、隔壁711は、通気穴が設けられた板であっても、金網であってもよい。なお、隔壁711における通気穴の形状は、円形状や、矩形状、線状等の様々な形状を採用し得る。
【0039】
また、隔壁711は、上下方向に沿って延びている。本実施形態では、隔壁711は、隔壁701の真上の位置において、隔壁711の延長上に延びている。
【0040】
本実施形態では、乾燥コンテナ7の構成は、通風部70が複数の通風室700に区画されている点、及び、収容部71が複数の収容室710に区画されている点を除いては、既存の乾燥コンテナ(例えば、出願人による特開2020-69680号公報に記載)の構成と同じである。
【0041】
このバイオマス乾燥システム10では、ボイラ4と、水タンク8と、第1流路91と、熱交換器5と、第2流路92と、によって、流体(水)が循環する経路が形成されている(図1参照)。また、このバイオマス乾燥システム10では、熱交換器5から送風機6を介して乾燥コンテナ7に温風が流れる。
【0042】
本実施形態に係るバイオマス乾燥システム10の構成は、以上の通りである。続いて、バイオマス乾燥システム10の使用方法の一例を説明する。
【0043】
まず、バイオマスからなる乾燥対象物を乾燥コンテナ7に投入する。本実施形態では、乾燥対象物は、乾燥コンテナ7の各収容室710に収容される。
【0044】
次に、燃料庫3からバイオマスからなる燃料を、ボイラ4に供給する。ここで、ボイラ4でバイオマスからなる燃料を燃焼すると、発生した熱が水タンク8内の水を温める。この水は、水タンク8内と、第3流路93と、熱交換器5と、第4流路94との間を循環する。また、この水は、水タンク8内と、第1流路91と、ボイラ4と、第2流路92との間で循環する。熱交換器5では、取り入れられた外気が、ボイラ4で温められた温水により温まる。この温まった空気が、送風機6により温風となり、乾燥コンテナ7の通風室700に流れる。
【0045】
通風室700に流れた温風は、収容室710に移動し、収容室710内のバイオマスからなる乾燥対象物を乾燥する。なお、乾燥させたバイオマスは、一部がボイラ4での燃焼に用いられ、他はバイオマス乾燥システム10の外部の施設(例えば、温浴施設、ゴルフ場、スポーツジム、老人ホーム等)に輸送され利用される。
【0046】
なお、本発明に係るバイオマス乾燥システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0047】
上記実施形態では、熱交換器5及び送風機6は、第1筐体1や第2筐体2の外側に設けられていたが、これに限定されない。熱交換器5及び送風機6のそれぞれ少なくとも一部は、第2筐体2(ボイラ4側)に設けられていてもよい。例えば、熱交換器5の空気取り入れ口のみが、第2筐体2内に開口した構成であってもよい。このような構成では、ボイラ4に加え、熱交換器5及び送風機6も第2筐体2にまとめることができるため、システム構築にかかる時間を更に短縮できる。また、ボイラ4で発生する熱(第2筐体2内の熱気)が、第2筐体2内に設けられた熱交換器5や送風機6のそれぞれ少なくとも一部に伝わりやすいため、システム内での熱効率を向上することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、水タンク8は、第2筐体2の外側に設けられていたが、第2筐体2の内部に設けられてもよい。例えば、水タンク8は、ボイラ4に内蔵されていてもよい。この場合、ボイラ4で発生する熱が、水タンク8内の水に伝わりやすいため、システム内での熱効率を向上することができる。
【0049】
上記実施形態では、乾燥コンテナ7は、デッキ73により内部空間が二つに仕切られていたが、内部空間が仕切られていなくてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、通風部70は、横方向で複数の通風室700に区画されていたが、区画されていなくてもよい。
【0051】
上記実施形態では、収容部71は、横方向で複数の収容室710に区画されていたが、区画されていなくてもよい。
【0052】
上記実施形態のバイオマス乾燥システムの説明では特に言及しなかったが、乾燥コンテナ7は、特装車(例えば、脱着装置付きコンテナ車)に搭載可能なものであってもよいし、例えば、フォークリフト等で運搬可能なものであってもよい。また、設置現場に固定的に設けられていてもよい。
【0053】
なお、システム中、第1筐体1外や第2筐体2外に配置されるもの(熱交換器5、送風機6、水タンク8、配管構造9)は、システムの設置現場に運搬する際に第1筐体1や第2筐体2の内部に収容することもできる。この場合、運送単位(数量)を減らすことができ、システム構築を更に効率化できる。
【符号の説明】
【0054】
1…第1筐体、2…第2筐体、3…燃料庫、4…ボイラ、5…熱交換器、6…送風機、7…乾燥コンテナ、8…水タンク、9…配管構造、10…バイオマス乾燥システム、11…燃料供給手段、60…送風管、70…通風部、71…収容部、72…コンテナ本体、73…デッキ、91…第1流路、92…第2流路、93…第3流路、94…第4流路、700…通風室、710…収容室、711…隔壁
図1
図2