(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166741
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】健康帽子
(51)【国際特許分類】
A42B 1/0175 20210101AFI20241122BHJP
A42B 1/002 20210101ALI20241122BHJP
【FI】
A42B1/0175
A42B1/002
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083057
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】523174675
【氏名又は名称】山川 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】山川 和彦
(57)【要約】
【課題】装着者の頭部のツボや背外側前頭前野、後頭葉に適合する位置に磁気を配置することによって、装着者の薄毛予防、健康改善の効果を発揮しうる健康帽子の提供。
【解決手段】健康帽子10は、クラウン部20を形成する被覆材21と、被覆材21の内面に位置する梁部分40とを有する。梁部分40は、クラウン部20の中心点Oから放射線状に延びる直線状部分41A~41Dと、中心点Oを中心として同心円状に延びる内外側環状部分42,43とを含み、直線状部分41A~41Dと内外側環状部分42,43とには、複数の磁性体50が間隔を空けて配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウン部を有する健康帽子であって、
前記クラウン部を形成する被覆材と、前記被覆材の内面に位置する梁部分とを有し、
前記梁部分は、前記クラウン部の中心点から放射線状に延びる直線状部分と、前記中心点を中心として同心円状に延びる内外側環状部分とを含み、
前記直線状部分と前記内外側環状部分とには、複数の磁性体が間隔を空けて配置されていることを特徴とする前記健康帽子。
【請求項2】
前記直線状部分は、前記中心点において互いに交差する、前後方向へ延びる縦断部分と、それと直交するように幅方向へ延びる横断部分と、それらに交差する左右斜断部分とを有し、前記縦断部分のうちの前記中心点から後方へ延びる部分、前記左斜断部分のうちの前記中心点から斜め前方へ延びる部分及び前記右斜断部分のうちの前記中心点から斜め前方へ延びる部分に位置する前記磁性体が他の前記磁性体よりも大きな外形を有している請求項1に記載の健康帽子。
【請求項3】
前記直線状部分は、前記中心点において互いに交差する、前後方向へ延びる縦断部分と、それと直交するように横方向へ延びる横断部分と、それらに交差する左右斜断部分とを有し、前記縦断部分のうちの前記中心点から前方へ延びる部分及び前記右斜断部分のうちの前記中心点から斜め前方へ延びる部分に位置する前記磁性体が他の前記磁性体よりも大きな外形を有している請求項1に記載の健康帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康用の帽子は公知である。例えば、特許文献1には、磁気効果により健康を維持するために、磁石(磁性体)が配置された帽子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された健康帽子では、帽子の頂上に位置する天ボタンにのみ磁石が配置されており、頭部全体の血流を十分に改善することができない。
【0005】
本発明の課題とするところは、従来技術の改良であって、装着者の頭部のツボに適合する位置に磁気を配置することによって、装着者の薄毛予防、健康改善の効果を発揮しうる健康帽子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、クラウン部を有する健康帽子に関する。
【0007】
本発明に係る健康帽子は、前記梁部分は、前記クラウン部の中心点から放射線状に延びる直線状部分と、前記中心点を中心として同心円状に延びる内外側環状部分とを含み、前記直線状部分と前記内外側環状部分とには、複数の磁性体が間隔を空けて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る健康帽子によれば、クラウン部の中心点から放射線状に延びる直線状部分と、中心点を中心として同心円状に延びる内外側環状部分とを含み、直線状部分と内外側環状部分とには、複数の磁性体が間隔を空けて配置されていることによって、装着者の頭部にあるツボが刺激されて、薄毛予防、健康改善の効果を発揮しうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本発明に係る健康帽子の着用状態における正面から視た斜視図。
【
図6】磁気帽子のさらに他の実施例の一例における
図3と同様の図。
【
図7】(a)帯片の平面図。(b)帯片の背面図。(c)
図7(b)のVII(c)-VII(c)線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して具体的に述べる。但し、本発明は以下の具体例に限定されない。本発明の特徴が満たされる範囲内において変更、応用される。
【0011】
図1~3を参照すると、健康帽子(磁気帽子)10は、前後方向(縦断方向)Yと横方向(横断方向)Xとを有し、いわゆる野球用の帽子等に使用されるキャップ型であって、クラウン部20と、庇部30と、クラウン部20と庇部30との間において環状に延びる腰部31とを有する。クラウン部20は、メッシュ状の被覆材21から形成されている。なお、図示例では、健康帽子10は、キャップ型であるが、ベレー帽子、ハット、ハンチング帽子などの各種行為の帽子の形状を有するものであってもよい。
【0012】
被覆材21は、布地又はプラスチックから形成することができる。被覆材21がメッシュ状であることによって通気性に優れるとともに、例えば、被覆材21が酸化チタンを含有することによって、後記の磁性体50によるツボ刺激効果に加えて、酸化チタンによる遠赤外線効果によって、より装着者の頭部の血行が促進される。
【0013】
図3を参照すると、健康帽子10は、また、被覆材21の内面に取り付けられた布地又はプラスチックからなる梁部分40を有する。梁部分40は、クラウン部20の頂上に位置する天ぼたん22が位置する中心点(クラウン部20の中心)Oから放射線状に延びる複数条の直線状部分41A~41Dと、中心点Oを中心として互いに同心円状に延びる内側環状部分43と外側環状部分42とを有する。
【0014】
直線状部分41A~41Dは、中心点Oにおいて互いに交差する、前後方向へ延びる縦断部分41Aと、それと直交するように幅方向へ延びる横断部分42Bと、それらに交差する左右斜断部分41C,41Dとを有する。周方向に隣接する直線状部分41A~41Dどうしがなす角度αは約45度であって、直線状部分41A~41Dは周方向においてほぼ等間隔に離隔して位置している。
【0015】
図2を参照すると、健康帽子10は、その背面において、止着位置によって周寸法を調整可能なサイズ調整手段11を有する。サイズ調整手段11は、健康帽子10の背面に位置する一対のストラップを互いに取り外し可能に連結するための公知の連結手段、例えば、メカニカルファスナ、マジックテープ(登録商標)、バックル、アジャスターレール等によって形成することができる。
【0016】
再び、
図3を参照すると、梁部分40には、間隔を空けて複数の磁性体(磁気体)50が配置されている。磁性体50は、極性を有した強磁性体の合金磁石、又は着磁金属からなる。具体的には、Fe-Al-Ni-Co磁石(鉄-アルミニウム-ニッケル-コバルト、アルニコ磁石)、Fe-Cr-Co磁石(鉄-クロム-コバルト磁石)といった合金磁石のほか、酸化鉄(フェライト)を主成分とするフェライト磁石、Sm-Co磁石やNd-Fe-B磁石(ネオジム磁石)といった希土類磁石、のいずれかから一つ以上選択して使用される。
【0017】
磁性体50は、直径が5~12mm、厚さが0.5mm~3mmの全体が略円形又は略円錐形をなしている。磁性体50が略円錐形を有する場合には、先端が装着者の頭部と対向して位置することによって、頭部のツボを的確に刺激することができる。
【0018】
また、磁性体50は、フェライト、ネオジウム、サマリウムコバルト、ガドリニウム系合金、ランタン系合金などの永久磁石からなる磁性部とそれを被包する母材とから構成された磁気シートであってもよい。磁気シートの母材として、軟質性樹脂材を用いることが好ましい。母材が軟質性樹脂材により形成されることで、複雑な形状を有する人体の皮膚に、より柔軟に折り曲げられて取り付けることが可能である。母材を形成する軟質性樹脂材としては、母材が対象部位の形状に応じて変形可能となるような軟質性を有していれば、特に限定されることはなく、たとえばシリコーンゴム、軟質塩ビ、ポリウレタン、ポリエステル、各種エラストマーなど公知の軟質性の樹脂材料を用いることができる。
【0019】
磁性体50は、梁部分40において、その長さ方向へ離間寸法が5~20mm程度になるように、互いに離間して配置されている。
【0020】
磁性体50は、梁部分40を形成する上下2枚の布地の間に介在された状態で、公知の接着手段又は溶着手段によって固定されている。ただし、本願発明による技術的効果を有する限りにおいて、磁性体50が梁部分40を形成する布地の外面に公知の接着手段又は溶着手段によって取り付けられていてもよい。
【0021】
また、直線状部分41A~41Dと内外側環状部分42,43とは、互いに交差する分において接着又は溶着によって接合されていてもよいし、非接合であってもよい。
【0022】
既述のとおり、装着者の頭部全体に対向するように複数の磁性体50が配置されていることによって、頭部の広い範囲に亘って磁場を印加することができ、広い範囲に亘って磁気治療効果をもたらすことができる。ここで、薄毛の原因として、毛穴の状態や頭皮の血流だけでなく、身体全体の血流やリンパの滞り、ホルモンバランス、体質等に因るところが大きいが、例えば、液状の育毛剤や育毛用のシャンプー等による頭皮や毛髪のみに対する処理は、身体全体の改善を図るものではなく、発毛育毛の継続的で良好な効果を期待できなかった。
【0023】
本発明に係る健康帽子10によれば、頭部のツボに適合する位置に磁性体50が配置されることで、ツボが磁力によって刺激されて頭皮の血行が促進されて、所望の発毛育毛効果を発揮することができる。
【0024】
また、磁性体50は、中心点(クラウン部20の中心)Oから放射状に延びる複数条の直線状部分41A~41Dの長さ方向に間隔を空けて配置されていることによって、頭部の中心から径方向の外側へ向かって血液及びリンパ液の流れが促進されるとともに、磁性体50が中心点Oを中心として同心円状に延びる内外側環状部分42,43においても間隔を空けて配置されていることによって、直線状部分41A~41Dによって中心から外側へ放射状に流れた血液やリンパ液が中心点Oを中心として環流され、より血行が促進される。
【0025】
ツボを刺激して血行を良くするために、磁性体50の磁力(磁束密度)は、20~230mT、好ましくは、35~200mTであることが好ましい。
【0026】
また、血行の促進をさらに効果的にするために、例えば、直線状部分41A~41Dと内外側環状部分42,43とが交差する交点に位置する磁性体50aは、他の磁性体50よりも高い磁力を有していることが好ましい。かかる場合には、直線状部分41A~41Dによる直線状の血液及びリンパ液の流れと内外側環状部分42,43による環流する血液及びリンパ液の流れとが交点でより活発化されて、頭部全体の血行をより向上させることができる。
【0027】
内外側環状部分42,43のうちの一方のみからなる1重の環流に比べて、内外側環状部分42,43による2重の環流によってより血行が促進されるといえる。
【0028】
また、磁性体50は、装着者の頭頂部を上から見て、両耳を結ぶ線と鼻から頭頂部にかけて真っ直ぐに延ばした線が交わる部分に位置するツボである「百会」と対向して位置することが好ましい。「百会」は、様々な経路が集中した万能のツボといわれており、主に、頭や顔の症状に効果があり、「百会」を磁性体50の磁力で刺激することで、薄毛や抜け毛、白髪予防のほかに、高血圧や不眠、胃腸に対する効果を期待できる。
【0029】
また、磁性体50は、「百会」から左右に向かって斜め前に指2本分斜め前の位置にあり、後頭部のコリをほぐすことのできるツボである「通天」と対向して位置することが好ましい。「通天」を磁性体50の磁力で刺激することで頭皮を柔らかくして血行を促進し、抜け毛予防や髪の生え変わりを促進することができ、また、円形脱毛症等の髪の毛のトラブルを解消する効果も期待できる。
【0030】
図4は、健康帽子10の他の実施例の一例における
図3と同様の図であって、本実施例においては、健康帽子10の内面視において、縦断部分41Aのうちの中心点Oから後方へ延びる部分、左斜断部分41Cのうちの中心点Oから斜め前方へ延びる部分及び右斜断部分41Dのうちの中心点Oから斜め前方へ延びる部分に位置する磁性体51(
図4において、説明の便宜上、濃い黒塗りされている部分)が他の磁性体50よりも大きな外形を有している。これによって、磁性体51の磁力(磁束密度)は他の磁性体50よりも大きくなっており、具体的には、他の磁性体50の磁力が130~150mTであるのに対し、磁性体51の磁力は180~220mTである。
【0031】
このように、磁性体51が他の磁性体50よりも高い磁力を有することによって、睡眠作用に効果的なツボが刺激されて、安眠効果を期待できる。
【0032】
図5は、磁気帽子10のさらに他の実施例の一例における
図3と同様の図であって、本実施例においては、健康帽子10の内面視において、縦断部分41Aのうちの中心点Oから前方へ延びる部分及び右斜断部分41Dのうちの中心点Oから斜め前方へ延びる部分に位置する磁性体52(
図5において、説明の便宜上、濃い黒塗りされている部分)が他の磁性体50よりも大きな外形を有している。これによって、磁性体52の磁力(磁束密度)は他の磁性体50よりも大きくなっており、具体的には、他の磁性体50の磁力が130~150mTであるのに対し、磁性体52の磁力は180~220mTである。
【0033】
このように、磁性体52が他の磁性体50よりも高い磁力を有することによって、精神作用に効果的なツボが刺激されて、鬱状態の回復、改善を期待できる。
【0034】
なお、磁性体51,52の磁力を他の磁性体50よりも高くするためには、外形を大きくするほかに、外形が同じであっても、厚さや磁性材料によって調整することもできる。
【0035】
また、本発明に係る健康帽子10の効果として以下のものが考えられる。
【0036】
鬱病では、思考や意欲を司る「背外側前頭前野」の働きが低下していることが知られている。また、うつ病に関しては、薬物療法と心理療法と並び、第3の治療法として、2019年より磁気治療の適応が認められている。右背外側前頭前野(DLPFC)や後頭頂葉(PPC)をターゲットとして、低頻度の磁気療法を行うことは、脳皮質の興奮を抑えて慢性的な不眠に有効と分かってきている。またうつ病の治療などでも、左DLPFC高頻度TMS治療を行うと改善することも少なくなく、鬱病に伴う不眠症は左高頻度、右低頻度ともに不眠を改善する可能性があるといえる。睡眠時随伴症と呼ばれる、睡眠中に起こる心身機能の異常についても、磁気治療の効果が検討されている。ナルコレプシーでも、左DLPFCをターゲットとした高頻度刺激が、情動脱力発作や歯ぎしりに対して効果を期待できるといえる。
【0037】
図6は、磁気帽子10のさらに他の実施例の一例における
図3と同様の図であって、梁部分40において、磁性体50を有する複数の帯片60が着脱可能に取り付けられている。具体的には、帯片60の内面に位置するメカニカルファスナ手段のフック要素61aが、梁部分40を形成する基材の内面に直接又は内面に貼付されたループ要素61bに止着されている。これにより、ワンタッチで磁性体50を設置、交換することができることから、例えば、交換する前とは磁力の異なる磁性体50を有する梁部分40を取り付けることによって、装着者に合わせた磁力を有する磁性体50を使用することができる。
【0038】
止着手段としては、メカニカルファスナ手段のほかに、スナップボタンを有するスナップ結合手段、粘着剤による止着手段等の各種公知のものを採用することができる。
【0039】
図7(a)~(c)は、帯片60の実施例の一例を示すものである。帯片60は、基材シート62を有し、基材シート62を折り曲げて重ね合わせて、その内部に複数の磁性体50が介在されている。基材シート62は縫着ライン63によって折り曲げられた状態が維持されていて、各磁性体50はそれらの間に位置する縫着ライン64によって移動が規制されている。
図7(b)及び(c)に示すとおり、帯片60の内面に位置するメカニカルファスナ手段のフック要素61aが位置している。
【0040】
本発明に係る健康帽子10を構成する各構成材料には、特に記述がない場合を除き、この種の分野において通常用いられる、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。
【0041】
上記本発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
(1)前記直線状部分は、前記中心点において互いに交差する、前後方向へ延びる縦断部分と、それと直交するように幅方向へ延びる横断部分と、それらに交差する左右斜断部分とを有し、前記縦断部分のうちの前記中心点から後方へ延びる部分、前記左斜断部分のうちの前記中心点から斜め前方へ延びる部分及び前記右斜断部分のうちの前記中心点から斜め前方へ延びる部分に位置する前記磁性体が他の前記磁性体よりも大きな外形を有している。
(2)前記直線状部分は、前記中心点において互いに交差する、前後方向へ延びる縦断部分と、それと直交するように横方向へ延びる横断部分と、それらに交差する左右斜断部分とを有し、前記縦断部分のうちの前記中心点から前方へ延びる部分及び前記右斜断部分のうちの前記中心点から斜め前方へ延びる部分に位置する前記磁性体が他の前記磁性体よりも大きな外形を有している。
【符号の説明】
【0042】
10 健康帽子(磁気帽子)
20 クラウン部
21 被覆材
40 梁部分
41 直線状部分
42 外側環状部分
43 内側環状部分
50 磁性体
51 磁性体
52 磁性体
O 中心点