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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166742
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】静電容量検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20241122BHJP
   H05K 1/03 20060101ALN20241122BHJP
【FI】
H01H36/00 V
H05K1/03 670
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083059
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長屋 崚
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】吉本 崇
【テーマコード(参考)】
5G046
【Fターム(参考)】
5G046AA05
5G046AA07
5G046AB01
5G046AC21
5G046AD25
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】フィルム基板をコネクタに挿入する際の断線を防止することが可能な静電容量検出装置を提供する。
【解決手段】フィルム基板32が、可撓性を有するフィルム状の基材40と、基材40上に形成されたセンサ部32aの主体となる電極42と、基材40上に形成されて電極42から一端32cに向かって延び出した導電部50と、電極42と導電部50とを覆う絶縁性の被覆部46と、被覆部46から露出した状態で導電部50における一端32cの側に形成され、フィルム基板32をコネクタ36に接続するための接続端子部56と、接続端子部56に対して厚み方向に重なる位置に設けられた金属製の補強部60と、を備え、補強部60は、フィルム基板32をコネクタ36に挿入した状態において、コネクタ36の挿入口36aから外側まで延び出した構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量の変化を検出するセンサ部を有するフィルム基板と、前記フィルム基板の一端を挿入させて前記フィルム基板を接続させるコネクタと、を含んで構成される静電容量検出装置であって、
前記フィルム基板は、
可撓性を有するフィルム状の基材と、
前記基材上に形成された前記センサ部の主体となる電極と、
前記基材上に形成され、前記電極から前記一端に向かって延び出した導電部と、
前記電極と前記導電部とを覆う絶縁性の被覆部と、
前記被覆部から露出した状態で前記導電部における前記一端の側に形成され、当該フィルム基板を前記コネクタに接続するための接続端子部と、
前記接続端子部に対して厚み方向に重なる位置に設けられた金属製の補強部と、
を備え、
前記補強部は、前記フィルム基板を前記コネクタに挿入した状態において、前記コネクタの挿入口から外側まで延び出していることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項2】
前記導電部と前記補強部とは、厚み方向に離間した状態で積層されている請求項1に記載の静電容量検出装置。
【請求項3】
前記フィルム基板は、前記基材の一方側の面に、前記電極および前記導電部が形成されるとともに、前記基材の他方側の面に、前記接続端子部が形成され、前記導電部と前記接続端子部とは、前記基材に形成されたスルーホールを利用して電気的に接続された構成とされ、
前記フィルム基板は、前記基材の前記一方側の面における前記電極および前記導電部の上に、前記被覆部,前記補強部がその順で積層されることで、前記導電部と前記補強部とが厚み方向に離間した状態とされている請求項2に記載の静電容量検出装置。
【請求項4】
前記フィルム基板は、前記基材の一方側の面に、前記電極が形成されるとともに、前記基材の他方側の面に、前記接続端子部が形成されており、
前記導電部は、前記電極から延び出して前記一方側の面に形成された一方側延出部と、前記接続端子部から延び出して前記他方側の面に形成された他方側延出部と、前記基材に形成されたスルーホールを利用して前記一方側延出部と前記他方側延出部とを電気的に接続する接続部と、を有するものとされ、
前記補強部は、前記基材の前記スルーホールより前記一端側において前記基材の上に積層されており、前記導電部の前記他方側延出部に対して厚み方向に離間した状態とされている請求項2に記載の静電容量検出装置。
【請求項5】
前記補強部と前記接続端子部とは、直接または金属を介して接続されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の静電容量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、静電容量センサが開示されており、その静電容量センサは、三次元成形される際にセンサ電極が引き延ばされることを抑制すべく、センサ電極と重なる領域に絶縁性の補強層が形成されている。この下記特許文献1に記載の静電容量センサは、比較的薄型のものであり、近年では、車両のタッチスイッチ等に採用されている。また、この静電容量センサは、基材上に、センサ電極から基材の端部にまで延びる配線(導電部)が形成され、その基材の端部コネクタに接続するための接続端子部が形成される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-89305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、センサ電極が設けられる基材として、比較的厚みが薄いフィルム状の部材が用いられることが記載されている。ここで、基材が、そのような可撓性を有するフィルム状の部材から形成されている静電容量センサ等のフィルム基板を、接続端子部においてコネクタに接続する構成の静電容量検出装置を考える。その場合、作業者は、接続端子部の近傍を把持してフィルム基板をコネクタに挿入することになるが、フィルム基板の撓み等によって、接続端子部と導電部との境界ライン付近に引っ張り力が作用し、その部分において断線が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、フィルム基板をコネクタに挿入する際の断線を防止することが可能な静電容量検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願に開示される静電容量検出装置は、下記の構成とされている。
(1)静電容量の変化を検出するセンサ部を有するフィルム基板と、前記フィルム基板の一端を挿入させて前記フィルム基板を接続させるコネクタと、を含んで構成される静電容量検出装置であって、
前記フィルム基板は、
可撓性を有するフィルム状の基材と、
前記基材上に形成された前記センサ部の主体となる電極と、
前記基材上に形成され、前記電極から前記一端に向かって延び出した導電部と、
前記電極と前記導電部とを覆う絶縁性の被覆部と、
前記被覆部から露出した状態で前記導電部における前記一端の側に形成され、当該フィルム基板を前記コネクタに接続するための接続端子部と、
前記接続端子部に対して厚み方向に重なる位置に設けられた金属製の補強部と、
を備え、
前記補強部は、前記フィルム基板を前記コネクタに挿入した状態において、前記コネクタの挿入口から外側まで延び出していることを特徴とする静電容量検出装置。
【0007】
本願に開示の静電容量検出装置は、接続端子に対して金属製の補強部が積層されているとともに、その補強部が、コネクタの挿入口から外側にまで延び出した長さとされている。そのため、作業者は、フィルム基板のコネクタへの接続作業の際に、フィルム基板の接続端子をコネクタへの挿入が完了する位置まで、補強部を把持した状態で行うことが可能である。したがって、本願に開示の静電容量検出装置によれば、フィルム基板をコネクタに接続する際に、接続端子部の近傍で導電部が断線することを防止することができる。なお、本願に開示の静電容量検出装置において、補強部は、例えば、それを形成する金属として、例えば、ブリキ等の合金やステンレスなどを採用することができ、印刷,塗装,蒸着等の方法によって形成してもよいし、薄膜状の金属を貼着して形成してもよい。
【0008】
また、上記構成の静電容量検出装置において、以下に示す種々の態様とすることが可能である。なお、本発明は以下の態様に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0009】
(2)前記導電部と前記補強部とは、厚み方向に離間した状態で積層されている(1)項に記載の静電容量検出装置。
【0010】
この構成の静電容量検出装置において、導電部は、例えば、銅や銀等の金属から形成することができ、それら金属製の導電部と補強部とが、互いに離間した状態で積層されていること、例えば、それらの間に基材や被覆部が介在することで、導電部と補強部とを、疑似的なコンデンサとして機能させることができる。したがって、この構成の静電容量検出装置によれば、導電部のノイズを抑制することができ、誤作動が生じることを抑制することができる。
【0011】
(3)前記フィルム基板は、前記基材の一方側の面に、前記電極および前記導電部が形成されるとともに、前記基材の他方側の面に、前記接続端子部が形成され、前記導電部と前記接続端子部とは、前記基材に形成されたスルーホールを利用して電気的に接続された構成とされ、
前記フィルム基板は、前記基材の前記一方側の面における前記電極および前記導電部の上に、前記被覆部,前記補強部がその順で積層されることで、前記導電部と前記補強部とが厚み方向に離間した状態とされている(2)項に記載の静電容量検出装置。
【0012】
この構成の静電容量検出装置は、前述した導電部と補強部とをコンデンサとして機能させる構成が具体化された一態様である。この構成の静電容量検出装置は、導電部と補強部との間に被覆部が介在することで、導電部と補強部とが離間した状態で積層されている。
【0013】
(4)前記フィルム基板は、前記基材の一方側の面に、前記電極が形成されるとともに、前記基材の他方側の面に、前記接続端子部が形成されており、
前記導電部は、前記電極から延び出して前記一方側の面に形成された一方側延出部と、前記接続端子部から延び出して前記他方側の面に形成された他方側延出部と、前記基材に形成されたスルーホールを利用して前記一方側延出部と前記他方側延出部とを電気的に接続する接続部と、を有するものとされ、
前記補強部は、前記基材の前記スルーホールより前記一端側において前記基材の上に積層されており、前記導電部の前記他方側延出部に対して厚み方向に離間した状態とされている(2)項に記載の静電容量検出装置。
【0014】
この構成の静電容量検出装置は、前述した導電部と補強部とをコンデンサとして機能させる構成が具体化されたまた別の一態様である。この構成の静電容量検出装置は、導電部と補強部との間に基材が介在することで、導電部と補強部とが離間した状態で積層されている。
【0015】
(5)前記補強部と前記接続端子部とは、直接または金属を介して接続されている(1)項から(4)項のいずれか一項に記載の静電容量検出装置。
【0016】
フィルム基板がコネクタを介して接続される制御用の回路基板は、その基板に実装されている素子の中に発熱するものが存在する。その素子の熱は、例えば、回路基板の面積を大きくすることで、熱を効果的に放熱する構成とされる場合があるが、配置スペースに制限がある場合など、回路基板の大きさを大きくすることが難しい場合もある。この構成の静電容量装置は、その回路基板の熱を、コネクタ,接続端子部を経由して、金属製の補強部に伝えることができ、補強部からも放熱することができる。したがって、この構成の静電容量検出装置は、回路基板の排熱性に優れたものとなる。なお、この構成の静電容量検出装置において、補強部を接続端子に接続する構成は、特に限定されず、基材や被覆部の外側から回り込んで直接接続されていてもよく、基材や被覆部に形成したスルーホールを利用して間接的に接続してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルム基板をコネクタに挿入する際の断線を防止することが可能な静電容量検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1の静電容量検出装置が採用された車両における天井の室内側を示す平面図
図2】実施形態1の静電容量検出装置であるスイッチの断面図
図3図2に示すフィルム基板の平面図
図4】実施形態2の静電容量検出装置であるスイッチの断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態である静電容量検出装置は、車両に搭載される照明装置10に採用されている。本実施形態の照明装置10は、図1に示すように、自動車の天井12に配されたオーバーヘッドコンソール14に設けられている。オーバーヘッドコンソール14は、車幅方向中央において、車両前後方向に延びる長手状のものであり、前端が運転席と助手席との間に位置し、後端が車両中央付近まで延びている。オーバーヘッドコンソール14は、後端に車室内全体を照らすドームランプ16を備えており、そのドームランプ16が、本実施形態の静電容量検出装置を含んで構成されるものである。なお、図示は省略しているが、このオーバーヘッドコンソール14は、照明以外にも、収納部等の種々の機能部を有するものとなっている。
【0020】
ドームランプ16は、光源であるLED20と、そのLED20の車室側(下方側)を覆ってLED20の光を車室内に向けて拡散させるレンズ部材22と、を含んで構成される。なお、レンズ部材22は、LED20から出射された光を透過可能な透明な樹脂、例えば、ポリカーボネートからなる。また、オーバーヘッドコンソール14は、車幅方向における両側の外縁に沿ったライン状の2本のイルミネーションランプ24を備えている。そのイルミネーションランプ24は、詳しい説明および図示は省略するが、光源であるLEDからの光を導光体によって導光しつつ、車室に向かって出射する構成のものとされている。
【0021】
そして、照明装置10は、上記ドームランプ16をON・OFFするスイッチ30が、イルミネーションランプ24に重なるように配されている。なお、運転席,助手席,左右の後部座席の各々から操作できるように、それぞれの座席に対応して、4つのスイッチ30が設けられている。これらのスイッチ30が、本実施形態の静電容量検出装置であり、乗員が触れたことを検出して、LED20のON・OFFを切り替えるもの、いわゆるタッチスイッチとなっている。
【0022】
スイッチ30は、図2に示すように、静電容量センサを構成する主体となるフィルム基板32と、マイコン等が実装された制御基板34と、フィルム基板32を制御基板34に接続するためのコネクタ36と、を含んで構成される。フィルム基板32は、図3に示すように、静電容量の変化を検出する概して矩形状のセンサ部32aを有し、そのセンサ部32aが、イルミネーションランプ24のラインに重なるように配されている。なお、フィルム基板32は、図3において平面状に記載しているが、実際には、イルミネーションランプ24が有するレンズ部材に沿った形状に成形されている。そして、フィルム基板32は、そのセンサ部32aから直線状に延び出した長手状の配線部32bを有し、その配線部32bの端部(フィルム基板32の一端である)32cが、コネクタ36に接続する端子となっている。
【0023】
フィルム基板32は、図2に示すように、基材40上に、電極42および配線パターン44,被覆層(被覆部)46が、積層されたものとなっている。なお、図2においては、被覆層46が上側に位置するように図示しているが、本実施形態の照明装置10に配される場合には、被覆層46が下側に位置する状態で配される。つまり、センサ部32aにおける被覆層46の表面(図2における上面)が、オーバーヘッドコンソール14において室内側に露出した状態で配され、乗員からの操作を受け付ける箇所となる。
【0024】
基材40は、厚みが比較的薄く(例えば、50μm程度)で、可撓性を有するフィルム状の部材である。基材40は、本実施形態において、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、ほぼ無色透明で、光透過性を有するものとなっている。なお、基材40の材質としては、PETに限定されず、ポリカーボネート、アクリル樹脂製のフィルム等であってもよい。
【0025】
電極42は、導電材料によって矩形状に形成されたものであり、基板40に対して、センサ部32aにおける中央に形成されている。この電極42が、乗員の指が接近した場合に微弱な静電容量の変化を検出する。電極42の材料としては、ポリチオフェン系導電ポリマー(例えば、PEDOT)、ITO(酸化インジウムスズ)等を採用することができる。なお、この電極42は、透明電極であり、光透過性を有するものである。
【0026】
配線パターン44は、図3に示すように、一方側が電極42に接続され、他方側が、基材40の配線部32bに相当する部分に沿ってそれの端部32cまで直線的に延びる導電ライン(導電部)50を有する。また、配線パターン44は、基材40の外縁に沿って延びて電極42および導電ライン50を囲むように延びるグランドライン52を有する。つまり、そのグランドライン52は、その両側の端部52a,52bが、基材40の配線部32bにおける端部32cに位置しており、導電ライン50の端部50aととともに、互いに間隔を空けて整列して配されている。なお、これら導電ライン50およびグランドライン52は、例えば、銅、銀、金、アルミニウムなど金属により形成したものとすることができ、その形成方法は特に限定されない。
【0027】
なお、基材40には、前記配線パターン44が形成された面と逆側の面(図2における下面)における、フィル基板32の端部32c側に相当する部分に、接続端子部56が形成されている。接続端子部56は、導電ライン50の端部50aおよびグランドライン52の両端部52a,52bの各々に対応する端子が、カーボンブラックによって配線部32bの長手方向に沿って長手状に形成されている。そして、導電ライン50の端部50aおよびグランドライン52の両端部52a,52bの各々と、各端子とは、図2に示すように、基材40に形成されたスルーホール40aを利用して接続されている。
【0028】
被覆層46は、基材40における電極42および配線パターン44を覆うように形成されている。具体的には、被覆層46は、絶縁性樹脂材料であるとともに、光透過性を有する合成樹脂材料、例えば、アクリルやポリカーボネートからなる。
【0029】
フィルム基板32は、また、配線部32bの端部32c側(以下の説明において、「端子側」と呼ぶ場合がある。)に、金属製の補強部材(補強部)60が積層されている。詳しく言えば、補強部材60は、接続端子部56に対して厚み方向に重なるように、被覆層46の上側に設けられている。補強部材60は、平面視で、配線部32bの幅方向(長手方向に交差する方向,図3における上下方向)の幅と、ほぼ同一の幅のものとされ、配線部32bの端部32cから配線部32bに沿ってセンサ部32a部側(以下、「電極42側」と呼ぶ場合がある。)に延びる矩形状とされている。また、補強部材60は、その矩形状の本体部60aに対して端子側の端部の一部から、配線部32bの端部32c沿って延び出した延出部60bを有している。その延出部60bは、基材40を超えて接続端子部56に接する位置まで延びている。詳しく言えば、延出部60bは、幅方向に間隔をおいて一対設けられ、導電ライン50に接続される端子56aには接続されず、グランドライン52の両端部52a,52bに接続される2つの端子56bに接続されている。
【0030】
また、補強部材60は、図2に示すよう、フィルム基板32をコネクタ36に挿入した状態において、コネクタ36の挿入口36aから外側まで延び出す長さとされている。そのため、作業者は、フィルム基板32のコネクタ36への接続作業に際に、フィルム基板32の接続端子である配線部32bの端部32c側の部分のコネクタ36への挿入が完了する位置まで、補強部材60を把持した状態で行うことが可能である。例えば、フィルム基板32の撓み等によって、接続端子部56のセンサ部32側の端部付近に引っ張り力が作用し易く、その部分において断線が生じる虞があるが、本スイッチ30においては、フィルム基板32をコネクタ36に接続する際に、接続端子部56の近傍で導電ライン50が断線することを防止することができる。
【0031】
また、本スイッチ30においては、導電ライン50と補強部材60とは、それらの間に絶縁材料からなる被覆層46が存在し、厚み方向に離間した状態で積層されている。そのような構成により、導電ライン50と補強部材60とを、疑似的なコンデンサとして機能させることができる。したがって、本スイッチ30によれば、導電ライン50のノイズを抑制することができ、誤作動が生じることを抑制することができる。
【0032】
さらに、本スイッチ30において、フィルム基板32がコネクタ36を介して接続される制御基板34は、その制御基板34に実装されているマイコン等の素子は発熱するものであり、ひいては、制御基板34も加熱されることとなる。それに対して、本スイッチ30は、補強部材60(詳しく言えば、延出部60b)と接続端子部56(詳しく言えば、端子56b)とが直接接続された構成とされていることで、制御基板34の熱を、コネクタ36,接続端子部56を経由して、金属製の補強部材60に伝えることができ、補強部材60からも放熱することができる。したがって、本スイッチ30は、制御基板34の排熱性に優れたものとなっている。
【0033】
<実施形態2>
続いて、本発明の第2の実施形態である静電容量検出装置について、図4を参照しつつ説明する。第2の実施形態の静電容量検出装置は、第1の実施形態と同様に、ドームランプ16のスイッチ100である。本実施形態のスイッチ100は、第1の実施形態のスイッチ30と、フィルム基板の構成のみが相違するため、以下に、そのスイッチ100が備えるフィルム基板102について詳しく説明する。なお、スイッチ100の説明において、第1の実施形態のスイッチ30と同様のものに対しては、同じ符号を付し、その説明は簡便に行う、あるいは、省略するものとする。
【0034】
スイッチ100は、第1実施形態のスイッチ30と同様に、コネクタ36を介して制御基板34に接続するものである。フィルム基板102は、第1の実施形態に係るフィルム基板32と同一の外形形状をなすものであり、第1の実施形態と同様に、矩形状のセンサ部102aと、そのセンサ部102aから直線状に延び出した長手状の配線部102bと、を有する。つまり、フィルム基板102は、第1の実施形態の基材40とほぼ同一の基材104を有し、第1の実施形態と同様に、基材104上に、電極106および配線パターン108が形成されている。
【0035】
電極106は、第1の実施形態と同様に、センサ部102aの中央に形成されている。配線パターン108は、第1実施形態と同様に、導電ライン110とグランドライン112とを有している。グランドライン112は、第1の実施形態と同様であるが、導電ライン110が、第1の実施形態と相違する。詳しく言えば、導電ライン110は、電極106から端子側に延び出して、電極106が形成された一方側の面(図4における上面)に形成された一方側導電ライン(一方側延出部)110aと、接続端子部114から延び出して他方側の面(図4における下面)に形成された他方側導電ライン(他方側延出部)110bと、基材104に形成されたスルーホール104aを利用して一方側導電ライン110aと他方側導電ライン110bとを電気的に接続する接続部110cと、を有するものとされている。
【0036】
上記のように、配線パターン108は、基材104の両面に形成されていることから、基材104の両面には、第1の実施形態と同一の材料からなる被覆層116,117が形成されている。なお、第1の実施形態のフィルム基板32においては、補強部材60が被覆層46の上層に形成されていたが、本実施形態においては、補強部材60と同様の金属からなる補強部118が、被覆層116の下側で、基材104の上に積層形成されている。つまり、被覆層116は、電極104,一方側導電ライン110aおよび補強部118を覆うものとなっている。また、補強部118は、第1の実施形態と同様に、フィルム基板102をコネクタ36に挿入した状態において、コネクタ36の挿入口36aから外側まで延び出す長さとされている。
【0037】
一方、基材40の他方側の面には、配線部102bの端部に相当する箇所に、接続端子部114が第1の実施形態と同様に形成されており、グランドライン112と、他方側導電ライン110bが接続されている。そして、被覆層117は、接続端子部114を露出させた状態で、他方側導電ライン110bを覆うものとなっている。
【0038】
以上のような構成から、本実施形態のスイッチ100においても、フィルム基板102は、補強部118と導電ライン110(詳しく言えば、他方側導電ライン110b)とが、それらの間に基材104が存在し、厚み方向に離間した状態で積層されている。そのような構成により、他方側導電ライン110bと補強部118とを、疑似的なコンデンサとして機能させることができる。したがって、本スイッチ100によれば、導電ライン110のノイズを抑制することができ、誤作動が生じることを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態のスイッチ100は、接続端子部114と補強部118とは、基材104に形成されたスルーホール104bを利用して、そのスルーホール104bの内部に充填された金属製の充填部120によって接続されている。つまり、本スイッチ100は、補強部118と接続端子部114とが充填部120を介して接続された構成とされていることで、制御基板34の熱を、コネクタ36,接続端子部114,充填部120を経由して、金属製の補強部118に伝えることができ、補強部118からも放熱することができる。したがって、本スイッチ100は、制御基板34の排熱性に優れたものとなっている。
【0040】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0041】
上記2つの実施形態においては、フィルム基板上に単一の電極が形成されたものとされていたが、複数の電極と、それに対応する複数の導電ラインとを含むものに、本願に開示の技術を適用することができる。
【0042】
フィルム基板の形状は、特に限定されないが、上記2つの実施形態のように、細長い長手状の配線部32b,102bを有するフィルム基板の方が断線する可能性が高く、本願に開示の技術が好適である。
【0043】
上記実施形態では、静電容量検出装置として車両天井のオーバーヘッドコンソール14に設けられたスイッチ30を例示したが、本願に開示される技術はそれに限らず、ドアトリム等の各種トリム、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、ダッシュボードなどの車両用内装材に設けられたタッチスイッチの他、鉄道、飛行機、船舶等の乗物用内装材に設けられたタッチスイッチに適用することができる。さらに言えば、乗物用内装材以外の用途において使用される静電容量検出装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
30…スイッチ〔静電容量検出装置〕、32…フィルム基板、32a…センサ部、32c…端部〔一端〕、34…制御基板、36…コネクタ、36a…挿入口、40…基材、40a…スルーホール、42…電極、46…被覆層〔被覆部〕、50…導電ライン〔導電部〕、56…接続端子部、60…補強部材〔補強部〕、60b…延出部、100…スイッチ〔静電容量検出装置〕、102…フィルム基板、102a…センサ部、104…基材、104a…スルーホール、104b…スルーホール、106…電極、110…導電ライン〔延出部〕、110a…一方側導電ライン〔一方側延出部〕、110b…他方側導電ライン〔他方側延出部〕、114…接続端子部、116…被覆層、117…被覆層、118…補強部
図1
図2
図3
図4