(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166744
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】配線器具
(51)【国際特許分類】
H01H 9/02 20060101AFI20241122BHJP
H01H 35/00 20060101ALI20241122BHJP
G01D 11/30 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01H9/02 L
H01H35/00 S
G01D11/30 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083064
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
【テーマコード(参考)】
5G052
5G055
【Fターム(参考)】
5G052AA12
5G052BB10
5G052HA22
5G052HC10
5G052HD01
5G055AA15
5G055AG18
(57)【要約】
【課題】取付時における制約を抑制してハウジングを造営材以外の取付対象物へ取り付けることができる配線器具を提供する。
【解決手段】ハウジング10を固定した取付ベース20を造営材100へ取り付けることで、造営材100にハウジング10と共に所定の機器を取り付けることができる。ここで、ハウジング10は、取付ベース20に対して着脱可能に固定される。そのため、ハウジング10を造営材以外の取付対象物へ取り付けるときは、ハウジング10から取付ベース20を取り外すことができる。当該状態では、ハウジング10からは、フランジ25などの造営材100へ取り付けるための構造が取り除かれている。従って、造営材100以外の取付対象物へハウジング10を取り付ける際に、フランジ25などと取付対象物が干渉することを抑制した状態でハウジング10を取り付けることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機器を収容するハウジングと、
取付対象孔を有する造営材への取り付けが可能な取付ベースと、を備え、
前記ハウジングは、前記取付ベースに対して着脱可能に固定される、配線器具。
【請求項2】
前記ハウジング及び前記取付ベースは、前記ハウジングを前記取付ベースに固定可能とする固定構造を少なくとも一対有し、
一対の前記固定構造同士の間隔は、前記造営材の取付対象孔の直径よりも小さい、請求項1に記載の配線器具。
【請求項3】
前記ハウジング及び前記取付ベースは、前記ハウジングを前記取付ベースに押し付けることで、前記ハウジングを前記取付ベースに固定可能とする固定構造を有する、請求項1に記載の配線器具。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記取付ベースから取り外された状態で、板状の台座に対して取付可能である、請求項1に記載の配線器具。
【請求項5】
前記ハウジングは、センサ機能を備える、請求項1に記載の配線器具。
【請求項6】
前記ハウジングは、通信機能を備える、請求項1に記載の配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、造営材にセンサを設ける際に用いられる配線器具が知られている。特許文献1に記載の配線器具は、筒状のボディとボディの表面から突出するフランジとを有する器具本体を有する。配線器具は、取付対象孔が設けられた造営材に取り付ける取付ベースであって、ボディの一部を厚さ方向に通すボディ用貫通孔を有し、フランジと造営材との間に挟み込まれる取付ベース本体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような配線器具は、センサ等を有するハウジング自体にフランジが設けられている。従って、配線器具は、造営材の対象孔の箇所にしか取り付けることができなかった。
【0005】
本開示は、取付時における制約を抑制してハウジングを造営材以外の取付対象物へ取り付けることができる配線器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る配線器具は、所定の機器を収容するハウジングと、取付対象孔を有する造営材への取り付けが可能な取付ベースと、を備え、ハウジングは、取付ベースに対して着脱可能に固定される。
【0007】
この配線器具は、所定の機器を収容するハウジングと、取付対象孔を有する造営材への取り付けが可能な取付ベースと、を備える。従って、ハウジングを固定した取付ベースを造営材へ取り付けることで、造営材にハウジングと共に所定の機器を取り付けることができる。ここで、ハウジングは、取付ベースに対して着脱可能に固定される。そのため、ハウジングを造営材以外の取付対象物へ取り付けるときは、ハウジングから取付ベースを取り外すことができる。当該状態では、ハウジングからは、フランジなどの造営材へ取り付けるための構造が取り除かれている。従って、造営材以外の取付対象物へハウジングを取り付ける際に、フランジなどと取付対象物が干渉することを抑制した状態でハウジングを取り付けることができる。以上より、取付時における制約を抑制してハウジングを造営材以外の取付対象物へ取り付けることができる。
【0008】
ハウジング及び取付ベースは、ハウジングを取付ベースに固定可能とする固定構造を少なくとも一対有し、一対の固定構造同士の間隔は、造営材の取付対象孔の直径よりも小さくてよい。この場合、固定構造同士の間隔を小さくすることに伴い、ハウジングの大きさも小さくすることができる。そのため、ハウジングから分離することができる取付ベースの構造を構築し易くなる。
【0009】
ハウジングは、取付ベースから取り外された状態で、板状の台座に対して取付可能であってよい。この場合、ハウジングは、フランジなどの制約なく、容易に台座に取り付けることができる。従って、ハウジングを取り付けた台座を用いて、分電盤などの各場所へ、ハウジング内の機器を取り付けることができる。
【0010】
ハウジングは、センサ機能を備えてよい。この場合、造営材、及び造営材以外の取付対象物に対して、センサ機能を付与することができる。
【0011】
ハウジングは、通信機能を備えてよい。この場合、造営材、及び造営材以外の取付対象物に対して、通信機能を付与することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る配線器具によれば、取付時における制約を抑制してハウジングを造営材以外の取付対象物へ取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る配線器具が造営材に取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る配線器具が造営材に取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る配線器具が造営材に取り付けられた状態の一例を示す展開斜視図である。
【
図4】実施形態に係る配線器具が造営材に取り付けられた状態の一例を示す展開斜視図である。
【
図5】フランジカバーに覆われた状態の取付ベースを示す斜視図である。
【
図7】台座に取り付けられたハウジングを示す斜視図である。
【
図8】変形例に係る配線器具の固定構造を示す図である。
【
図9】変形例に係る配線器具の固定構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」「前」「背」等の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0015】
図1及び
図2は、実施形態に係る配線器具が造営材に取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。
図3及び
図4は、造営材及び配線器具の展開斜視図である。図中のX軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z軸方向が垂直方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z軸方向を上下方向ともいう。
【0016】
図1及び
図2に示す配線器具1は、造営材及び板状の台座に取り付け可能な器具である。配線器具1は、例えば、造営材100に取り付けられる。造営材100は、例えば、水平方向に延在する天井の部材であり、配線器具1を設置するために設けられる取付孔101が形成されている。配線器具1は、造営材100の取付孔101に埋め込まれて造営材100に取り付けられる。造営材100の取付孔101は、一例として、円形状の孔である。
【0017】
配線器具1は、例えば、人感センサ装置である。配線器具1は、人体を検知する不図示のセンサを有する。このセンサは、例えば、赤外線センサである。配線器具1は、このセンサにより対象領域内の人の存否を検出し、検出結果に応じて負荷装置を制御する。負荷装置は、例えば、照明、エアコン等を含む。負荷装置が照明である場合、配線器具1は、例えば、対象領域内に人の存在を検出するときに点灯するように照明を制御する。負荷装置が照明である場合、配線器具1は、例えば、対象領域内に人の存在が検出されないときに消灯するように照明を制御する。配線器具1は、例えば、照度センサ装置であってもよい。この場合、配線器具1は、周囲の明るさを感知する照度センサを有していてもよい。
【0018】
配線器具1は、ハウジング10と、取付ベース20と、を備える。配線器具1は、少なくとも1つの端子45を備えていてもよい。配線器具1は、フランジカバー22を備えていてもよい。配線器具1は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する不図示の電源ユニット、センサを制御する不図示の制御基板等を備えていてもよい。
【0019】
ハウジング10は、例えば、電気絶縁性を有する合成樹脂材料等により構成されている。ハウジング10は、上下方向に延在し、有底筒状を呈する。ハウジング10の外形は、例えば、略直方体状である。ハウジング10は、端子45の少なくとも一部を収容する。ハウジング10は、不図示の電源ユニット、制御基板等を収容する。
【0020】
図3及び
図4に示すように、取付ベース20は、フランジ25と、取付構造30と、を備える。フランジ25は、造営材100の下方に設けられる。フランジ25は、ハウジング10の下端部を覆うように設けられ、ハウジング10より水平方向の外側に延在している。フランジ25は、例えば、略円板状を呈する。
図3及び
図4に示す例では、フランジカバー22の中央領域に貫通孔21が形成される。
【0021】
取付構造30は、ハウジング10を造営材100に取り付けるための部材である。取付構造30は、例えば、造営材100に形成された取付孔101に挿通されると共に、造営材100を上下方向から挟んで造営材100に取り付けられる。作業者は、ハウジング10を取付ベース20に固定した後に、取付構造30によって取付ベース20を造営材100に取り付ける。これにより、造営材100に配線器具1を取り付けることができる。具体的には、取付構造30は、ハウジングを挟持可能であって上下方向に延在する延在部32を有する。ハウジング10は、フランジ25の上面に対して固定される。ハウジング10は、延在部32により挟持される位置に設けられる。
【0022】
フランジカバー22は、例えば、有底円筒状を呈する。フランジカバー22は、フランジ25の側面及び下面の少なくとも一部を覆う。フランジカバー22の内径は、フランジ25の外径と略同じ寸法である。フランジカバー22は、例えば、溝部と爪部を用いた係合構造によりフランジ25に取り付け可能である。フランジカバー22には、底面にレンズなどを挿通可能な貫通孔21が形成されている。当該貫通孔44は、ハウジング10の開口部13と連通する。
【0023】
以下、ハウジング10及び取付ベース20の構成についてより詳細に説明する。
図3及び
図4に示すように、ハウジング10は、Z軸方向に対向する下面10a、上面10bと、X軸方向に対向する側面10c,10dと、Y軸方向に対向する端面10e,10fと、を有する。下面10aは、Z軸方向の負側に配置され、上面10bは、Z軸方向の正側に配置される。側面10cは、X軸方向の負側に配置され、側面10dは、X軸方向の正側に配置される。端面10eは、Y軸方向の負側に配置され、端面10fは、Y軸方向の正側に配置される。ハウジング10は、Z軸方向に長手方向を有すると共に、X軸方向を厚み方向とする扁平な直方体形状を有する。上面10bと側面10dとの間の角部には、電線が挿入される端子45が設けられる。
【0024】
ハウジング10は、ケース11と、ケース12とを組み合わせることによって構成される。ケース11,12は、ハウジング10をX軸方向に半割れとした構造を有する。ケース11は、ハウジング10のX軸方向の負側の半分を構成する。ケース12は、ハウジング10のX軸方向の正側の半分を構成する。ケース11は、側面10cと、X軸方向の負側の半分の領域の下面10a、上面10b、及び端面10e,10fと、を有する。ケース11は、側面10cと、X軸方向の負側の半分の領域の下面10a、上面10b、及び端面10e,10fと、を有する。
【0025】
ケース11,12の内部にセンサ類が収容されている場合、ハウジング10は、センサ機能を備える。ケース11、12の内部に通信機器が収容されている場合、ハウジング10は、通信機能を備える。
【0026】
図3に示すように、ハウジング10の下面10aの中央位置には、内部のセンサからの信号などを外部へ発振するための開口部13が形成される。開口部13は、フランジ25の中央の貫通孔44、及びフランジカバー22の中央の貫通孔21とXY平面内にて同位置に配置される。また、ハウジング10の下面10aには、後述の固定構造40が設けられる。
【0027】
次に、
図5及び
図6を参照して、取付ベース20について詳細に説明する。
図5は、フランジカバー22に覆われた状態の取付ベース20を示す斜視図である。
図6は、取付ベース20の平面図である。取付ベース20は、取付対象孔である取付孔101を有する造営材100への取り付けが可能な部材である。取付ベース20は、ハウジング10とは着脱可能な別部品として構成される。従って、ハウジング10は、取付ベース20に対して着脱可能に固定される。
【0028】
フランジ25は、Z軸方向の負側の下面25a(
図3参照)と、Z軸方向の正側の上面25bと、を有する。造営材100への取り付け状態において、上面25bは造営材100側の面となり、下面25aは室内側の面となる。取付構造30は、フランジ25の上面25bに設けられる。
【0029】
取付構造30は、中心線CLよりもX軸方向の負側に配置される延在部32Aと、中心線CLよりもX軸方向の正側に配置される延在部32Bと、を備える。延在部32A,32Bは、上面25bからZ軸方向の正側へ向かって延在する。延在部32A,32Bは、Y軸方向を長手方向として広がると共に、互いにX軸方向に対向するように配置される。延在部32Aの内周側の支持面32aは、ハウジング10の側面10c(
図6参照)を支持する面として機能する。延在部32Bの内周側の支持面32aは、ハウジング10の側面10d(
図6参照)を支持する面として機能する。これにより、延在部32A,32Bは、ハウジング10をX軸方向から挟む態様で支持することができる。
【0030】
延在部32A,32Bは、造営材100を上方から押圧することで、フランジ25との間で造営材100を挟み込む押圧構造33A,33Bをそれぞれ有する。押圧構造33Aは、延在部32AのY軸方向の正側の端部に設けられる。押圧構造33Bは、延在部32BのY軸方向の負側の端部に設けられる。押圧構造33A,33Bは、筒状部34と、ネジ部36と、押圧金具37と、を備える。
【0031】
筒状部34は、Z軸方向に延びる矩形筒状の形状を有する。筒状部34のZ軸方向の正側の端部には、XY平面に広がる上壁部34aが形成される。上壁部34aは、延在部32A,32BのZ軸方向の正側の上面32bよりも、Z軸方向の正側に配置される。筒状部34は、X軸方向における外周側へ向かって開口する開口部34bを有する。開口部34bは、上面25bから上壁部34aへ至るまで、筒状部34全体にわたって形成される。開口部34bは、押圧金具37がネジ部36からX軸方向における外周側へ延びた状態にて、Z軸方向へ往復移動することを許容する。筒状部34は、上面32bと上壁部34aとの間に、上面32b側へ開口する開口部34cを有する。開口部34cは、押圧金具37がネジ部36からY軸方向における上面32b側へ延びることを許容する。筒状部34の周壁部のうち、開口部34cとY軸方向において対向するストッパ壁部34dは、押圧金具37の回転を止めるストッパとして機能する。
【0032】
延在部32Aにおいて、開口部34bはX軸方向の負側へ開口し、開口部34cはY軸方向の負側へ開口する。延在部32Bにおいて、開口部34bはX軸方向の正側へ開口し、開口部34cはY軸方向の正側へ開口する。
【0033】
ネジ部36は、筒状部34の内部空間においてZ軸方向に延在する。組立時において、ネジ部36は、フランジ25の下面25aからZ軸方向の正側へ向かって挿入され、上壁部34aを貫通する。ネジ部36のZ軸方向の正側の端部にはナット38が締結される。
【0034】
押圧金具37は、一方側の端部にてネジ部36を貫通させ、他方側の端部にて造営材100を押圧するように長尺な形状を有する。押圧金具37は、XY平面と平行に広がる金属板によって構成される。押圧金具37は、ネジ部36を中心として回転することができる。取付前においては、押圧金具37は、ネジ部36からY軸方向へ延びて、上面32b上に載置される。このとき、押圧金具37は、開口部34cを挿通した状態となる。
【0035】
次に、取付時においては、ハウジング10を固定した取付ベース20を造営材100の取付孔101に挿入する。この状態で、作業者は、ネジ部36を回転させる。このとき、押圧金具37は、ネジ部36周りに回転することで、ネジ部36からX軸方向の外周側へ向かって延びる状態となる(
図6に示す状態)。このとき、押圧金具37は、開口部34bを挿通した状態となる。ここで、押圧金具37の回転は、ストッパ壁部34dで止められる。作業者が、この状態から更にネジ部36を回転させると、当該ネジ部36がボールネジのように作用することで、押圧金具37がストッパ壁部34dに沿ってZ軸方向の負側へ移動する。押圧金具37が造営材100の上面100bと接触した状態から、更にネジ部36を回転させると、押圧金具37が取付孔101の縁部において上面100bを下方へ押圧する(
図2参照)。これにより、造営材100が、フランジ25と押圧金具37で挟み込まれた状態となり、取付ベース20が造営材100に取り付けられる。
【0036】
ハウジング10及び取付ベース20は、ハウジング10を取付ベース20に固定可能とする固定構造40を少なくとも一対有する。
図5に示すように、取付ベース20は、固定構造40として、一対の貫通孔41を有する。一対の貫通孔41は、中心線CLを挟むように、互いにY軸方向に離間するようにフランジ25に設けられる。一対の貫通孔41は、延在部34A,34Bとで挟まれる領域に形成される。貫通孔41は、フランジ25を貫通し、ハウジング10を固定するためのネジを挿通させる孔である。なお、フランジ25の固定構造40の間には、中心線CL上に貫通孔44が形成される。当該貫通孔44は、ハウジング10の開口部13と連通する。
【0037】
一方、
図3に示すように、ハウジング10は、下面10aに固定構造40として一対のネジ孔42を有する。一対のネジ孔42は、ハウジング10の下面10aの中央の開口部13を挟むように、Y軸方向に離間するように設けられる。ネジ孔42は、貫通孔41を貫通したネジを締結させる。これにより、ハウジング10は、ネジの締結によって固定構造40の位置にて取付ベース20に固定される。
【0038】
次に、
図6を参照して、各構成要素の寸法関係について説明する。一対の固定構造40同士の間隔の寸法L1は、造営材100の取付孔101の直径R1よりも小さい。また、ハウジング10のY軸方向の寸法L2は、押圧構造33A,33Bにおけるネジ部36同士のY軸方向の間隔の寸法L3よりも小さい。このように、取付ベース20は、平面視において、ハウジング10よりも外周側に造営材100との取付構造30を有している。そのため、ハウジング10の取付ベース20からの独立性を高めることができる。平面視において、ハウジング10、及び延在部32A,32Bは、いずれの部分も取付孔101の内周側に存在する。そのため、ハウジング10が固定された取付ベース20を造営材100に取り付けるとき、ハウジング10及び取付構造30が取付孔101の縁部と干渉することが防止される。一方、フランジ25は取付孔101よりも外周側まで広がる。また、Y軸方向に延びている状態の押圧金具37は、取付孔101よりも外周側まで延びる。これにより、取付構造30による取付孔101の縁部への取り付けが可能となる。
【0039】
図7に示すように、ハウジング10は、取付ベース20から取り外された状態で、板状の台座60に対して取付可能である。取付ベース20から取り外された状態では、ハウジング10は、単なる直方体の部材となる。すなわち、ハウジング10は、フランジ25のように下面10aから外周側へ延びる部分を有さない。そのため、台座60に対する形状の制約なく、当該台座60に取り付け可能である。台座60の本体部61は平板状に広がる部材である。ハウジング10は、本体部61の上面61a上に取り付けることができる。ハウジング10は、側面10cと上面61aとを接触した状態にて、本体部61に固定される。側面10cには一対のネジ孔65(
図3参照)が形成されているため、本体部61の下面61bからネジを挿入し、ネジ孔65に締結する。これにより、ハウジング10が台座60に固定される。このような台座60は、分電盤のパネルなどに設けられる。あるいは、天井裏に照明の制御用の機器としてハウジング10を用いる場合に用いられる。台座60は、板状の強固な部材である。台座60は、例えば、金属、木材、及び樹脂の少なくともいずれかで構成されている。
【0040】
次に、本実施形態に係る配線器具1の作用・効果について説明する。
【0041】
この配線器具1は、所定の機器を収容するハウジング10と、取付孔101を有する造営材100への取り付けが可能な取付ベース20と、を備える。従って、ハウジング10を固定した取付ベース20を造営材100へ取り付けることで、造営材100にハウジング10と共に所定の機器を取り付けることができる。ここで、ハウジング10は、取付ベース20に対して着脱可能に固定される。そのため、ハウジング10を造営材以外の取付対象物(
図7の台座60など)へ取り付けるときは、ハウジング10から取付ベース20を取り外すことができる。当該状態では、ハウジング10からは、フランジ25などの造営材100へ取り付けるための構造が取り除かれている。従って、造営材100以外の取付対象物へハウジング10を取り付ける際に、フランジ25などと取付対象物が干渉することを抑制した状態でハウジング10を取り付けることができる。以上より、取付時における制約を抑制してハウジング10を造営材100以外の取付対象物へ取り付けることができる。
【0042】
ハウジング10及び取付ベース20、ハウジング10を取付ベース20に固定可能とする固定構造40を少なくとも一対有し、一対の固定構造40同士の間隔は、造営材100の取付孔101の直径よりも小さくてよい。この場合、固定構造40同士の間隔を小さくすることに伴い、ハウジング10の大きさも小さくすることができる。そのため、ハウジング10から分離することができる取付ベース20の構造を構築し易くなる。
【0043】
ハウジング及び取付ベースは、ハウジングを取付ベースに押し付けることで、ハウジングを取付ベースに固定可能とする固定構造を有してよい。この場合、ハウジングを取り付けベースに固定するときに、容易に固定を行うことが可能となる。
【0044】
ハウジングは、取付ベースから取り外された状態で、板状の台座に対して取付可能であってよい。この場合、ハウジングは、フランジなどの制約なく、容易に台座に取り付けることができる。従って、ハウジングを取り付けた台座を用いて、分電盤などの各場所へ、ハウジング内の機器を取り付けることができる。
【0045】
ハウジング10は、センサ機能を備えてよい。この場合、造営材100、及び造営材100以外の取付対象物に対して、センサ機能を付与することができる。
【0046】
ハウジング10は、通信機能を備えてよい。この場合、造営材100、及び造営材100以外の取付対象物に対して、通信機能を付与することができる。
【0047】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、
図8に示す構造を採用してもよい。
図8に示す例では、ハウジング10及び取付ベース20は、ハウジング10を取付ベース20に押し付けることで、ハウジングを取付ベース20に固定可能とする固定構造70を有する。この場合、ハウジング10を取り付け取付ベース20に固定するときに、容易に固定を行うことが可能となる。
【0049】
具体的に、
図8に示す固定構造70は、スナップフィット構造によって、ハウジング10を取付ベース20に固定する。
図8(b)に示すように、取付ベース20側の固定構造70は、フランジ25に設けられた一対の係合部71を有する。係合部71は、上面25bから上方へ突出する突出部71aと、突出部71aの上端から水平方向へ張り出す爪部71bと、を有する。突出部71aは、XY平面に平行に広がる板状の形状を有する。爪部71bは、Y軸方向における外周側へ張り出す。
【0050】
これに対し、
図8(a)に示すように、ハウジング10側の固定構造70は、係合部71を受容することによって当該係合部71に係合する一対の被係合部72を有する。被係合部72は、ハウジング10の下面10aに形成される。被係合部72は、係合部71を受容する孔を有する。また、孔の内部には、爪部71bを係合させる溝部(不図示)が形成される。
【0051】
図8に示す固定構造70によれば、取付ベース20の係合部71とハウジング10の被係合部72との位置を合わせた状態で、ハウジング10を取付ベース20に押し付ける。これにより、係合部71が被係合部72の孔に挿入される。係合部71の爪部71bは、被係合部72の内部の溝部にはまり込む。これにより、ハウジング10が固定構造70によって取付ベース20に固定される。
【0052】
図9に示す固定構造70を採用してもよい。
図9に示す固定構造70は、磁石による固定構造によって、ハウジング10を取付ベース20に固定する。
図9(b)に示すように、取付ベース20側の固定構造70は、フランジ25に設けられた一対の磁石部73を有する。磁石部73は、上面25bに磁石を配置することによって構成される。
【0053】
これに対し、
図9(a)に示すように、ハウジング10側の固定構造70は、磁石部73と磁力によって接合される被接合部74を有する。被接合部74は、ハウジング10の下面10aに形成される。被接合部74は、内部に鉄部材や磁石などを含んでいる。そのため、磁石部73と磁力によって接合される。
【0054】
図9に示す固定構造70によれば、取付ベース20の磁石部73とハウジング10の被接合部74との位置を合わせた状態で、ハウジング10を取付ベース20に押し付ける。これにより、磁石部73が被接合部74に近接する。磁石部73は、被接合部74の鉄部材や磁石と磁力によって接合される。これにより、ハウジング10が固定構造70によって取付ベース20に固定される。
【0055】
なお、上述の実施形態では、ハウジング10は扁平な直方体形状を有していたが、形状は特に限定されない。また、取付ベース20もハウジング10を着脱可能に固定できるものであればよく、詳細な構成は特に限定されない。
【0056】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[形態1]~[形態6]に記載する。
【0057】
[形態1]
所定の機器を収容するハウジングと、
取付対象孔を有する造営材への取り付けが可能な取付ベースと、を備え、
前記ハウジングは、前記取付ベースに対して着脱可能に固定される、配線器具。
[形態2]
前記ハウジング及び前記取付ベースは、前記ハウジングを前記取付ベースに固定可能とする固定構造を少なくとも一対有し、
一対の前記固定構造同士の間隔は、前記造営材の取付対象孔の直径よりも小さい、形態1に記載の配線器具。
[形態3]
前記ハウジング及び前記取付ベースは、前記ハウジングを前記取付ベースに押し付けることで、前記ハウジングを前記取付ベースに固定可能とする固定構造を有する、形態1又は2に記載の配線器具。
[形態4]
前記ハウジングは、前記取付ベースから取り外された状態で、板状の台座に対して取付可能である、形態1~3の何れか一項に記載の配線器具。
[形態5]
前記ハウジングは、センサ機能を備える、形態1~4の何れか一項に記載の配線器具。
[形態6]
前記ハウジングは、通信機能を備える、形態1~4の何れか一項に記載の配線器具。
【符号の説明】
【0058】
1…配線器具、10…ハウジング、20…取付ベース、40,70…固定構造、60…台座、100…造営材、101…取付孔(取付対象孔)。