IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人東京工業大学の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166750
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】発光性化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/61 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
C07C211/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083070
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】堀 有琉斗
(72)【発明者】
【氏名】小西 玄一
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光安定性が高く、溶液中のみならず固体状態においても高い蛍光量子収率を示す新規発光性化合物とその製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される発光性化合物である。

(式中、Wは、水素、アルキル基、アルコキシ基であり、Xは、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORであり、Yは電子供与基であり、mは0または1であり、Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOであり、R~RおよびRは、アルキル基等であり、Rは、置換/非置換のフェニル基である。)
【選択図】図14B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(1)で表され、
【化1】

Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基であり、
Xは、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORであり、
とRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、またはCHCH(OCHCHOCHで表されるポリエチレングリコール鎖であり、
nは1以上の整数であり、
、R、およびRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基であり、
はフェニル基または置換フェニル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基であり、
Yは電子供与基であり、
mは0または1であり、
Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOであり、
は、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基であり、
前記置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である発光性化合物。
【請求項2】
前記電子供与基は、炭素数1から8のアルコキシ基ならびに以下の構造式で表されるアミノ基および置換アミノ基から選択され、
【化2】

、R、R10、R11、およびR12は、独立に、水素、炭素数1から10のアルキル基または置換アルキル基であり、
、R、R10、R11、またはR12が前記置換アルキル基の場合の置換基は、ハロゲン、カルボキシル基、エチニル基、アジド基、アミド基、アミノ基、またはジフェニルフォスフィノフェニル基であり、
kは1以上4以下の整数である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項3】
、R、R10、R11、またはR12が前記置換アルキル基の場合、R、R、R10、R11、またはR12上の前記置換基は、前記置換アルキル基の末端炭素上に位置する、請求項2に記載の発光性化合物。
【請求項4】
Wは水素またはメチル基である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項5】
は、パーフルオロアルキル基である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項6】
前記パーフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基である、請求項5に記載の発光性化合物。
【請求項7】
前記置換アルキル基の前記置換基は、前記置換アルキル基の末端炭素上に位置する、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコール鎖の数平均分子量は、500以上2000以下である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項9】
Xは、ジメチルメチレン基である、請求項1に記載の発光性化合物。
【請求項10】
以下の一般式(2)で表され、
【化3】

Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基であり、
とXは、独立に、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORであり、
とRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、またはCHCH(OCHCHOCHで表されるポリエチレングリコール鎖であり、
nは1以上の整数であり、
、R、およびRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基であり、
はフェニル基または置換フェニル基であり、
前記置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基であり、
Yは電子供与基であり、
mは0または1であり、
Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOであり、
は、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基であり、
前記置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である発光性化合物。
【請求項11】
前記電子供与基は、炭素数1から8のアルコキシ基ならびに以下の構造式で表されるアミノ基および置換アミノ基から選択され、
【化4】

、R、R10、R11、およびR12は、独立に、水素、炭素数1から10のアルキル基または置換アルキル基であり、
、R、R10、R11、またはR12が前記置換アルキル基の場合の置換基は、ハロゲン、カルボキシル基、エチニル基、アジド基、アミド基、アミノ基、またはジフェニルフォスフィノフェニル基であり、
kは1以上4以下の整数である、請求項10に記載の発光性化合物。
【請求項12】
、R、R10、R11、またはR12が前記置換アルキル基の場合、R、R、R10、R11、またはR12上の前記置換基は、前記置換アルキル基の末端炭素上に位置する、請求項11に記載の発光性化合物。
【請求項13】
は、パーフルオロアルキル基である、請求項10に記載の発光性化合物。
【請求項14】
前記パーフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基である、請求項13に記載の発光性化合物。
【請求項15】
前記置換アルキル基の前記置換基は、前記置換アルキル基の末端炭素上に位置する、請求項10に記載の発光性化合物。
【請求項16】
とXは互いに同一である、請求項10に記載の発光性化合物。
【請求項17】
とXは、いずれもジアルキルメチレン基である、請求項10に記載の発光性化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、発光性化合物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の極性環境に応答して蛍光色を変化させるソルバトクロミック蛍光色素は、分析化学、特にバイオイメージングに有用であるだけでなく、ミセルやソフトマターの構造解析や固体発光材料として期待されている。例えば非特許文献1には、細胞膜の脂質層のモデルの構造解析において、プッシュ-プル型のピレン誘導体が糖成分の識別に利用できることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】YOSUKE NIKO、外8名、SCI REPORTS,2016年,第6巻,p.18870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、部分的に橋かけされたビフェニル、ターフェニル、またはクアテルフェニル骨格を有する新規発光性化合物とその製造方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、光安定性が高く、溶液中のみならず固体状態においても高い蛍光量子収率を示す新規発光性化合物とその製造方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、以下の一般式(1)で表される発光性化合物である。ここで、Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基である。Xは、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORである。RとRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基またはCHCH(OCHCHOCHで表されるポリエチレングリコール鎖である。nは1以上の整数である。R、R、およびRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基である。Rは、フェニル基または置換フェニル基である。置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基である。Yは電子供与基である。mは0または1である。Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOである。Rは、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基である。置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である。
【化1】
【0006】
本発明の実施形態の一つは、以下の一般式(2)で表される発光性化合物である。ここで、Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基である。XとXは、独立に、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORである。RとRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基またはCHCH(OCHCHOCHで表されるポリエチレングリコール鎖である。nは1以上の整数である。R、R、およびRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基である。Rは、フェニル基または置換フェニル基である。置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基である。Yは電子供与基である。mは0または1である。Zは、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOである。Rは、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基である。置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である。
【化2】
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]-2,2,2-トリフルオロエタン-1オン(FRF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図1B】FRFの種々の溶媒における発光スペクトル。
図2A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(N-FR-F)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図2B】N-FR-Fの種々の溶媒における発光スペクトル。
図3A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物メチル[7-(N,N-ジエチルアミノ)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル]カルボキシラート(FCM)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図3B】FCMの種々の溶媒における発光スペクトル。
図4A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-{4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル)]フェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπF1)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図4B】FRπF1の種々の溶媒における発光スペクトル。
図5A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-{[4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)]フェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπF2)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図5B】FRπF2の種々の溶媒における発光スペクトル。
図6A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物1-{4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]-3-メチルフェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπMeF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図6B】FRπMeFの種々の溶媒における発光スペクトル。
図7A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物メチル4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ベンゾエート(FπCM)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図7B】FπCMの種々の溶媒における発光スペクトル。
図8A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物メチル4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]ベンゾエート(FπpCM)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図8B】FπpCMの種々の溶媒における発光スペクトル。
図9A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物2,2,2-トリフルオロ-1-{4-[6,6,12,12-テトラメチル-8-(ピペリジン-1-イル)-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル]フェニル}エタン-1-オン(IFπF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図9B】IFπFの種々の溶媒における発光スペクトル。
図10A】本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物2,2,2-トリフルオロ-1-[6,6,12,12-テトラメチル-8-(ピペリジン-1-イル)-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル]エタン-1-オン(IFF)の種々の溶媒における吸収スペクトル。
図10B】IFFの種々の溶媒における発光スペクトル。
図11】ポリメタクリル酸メチルマトリクス中に分散したFπCM、FπA、およびFRπFの発光スペクトル。
図12A】FπCMによるモデル細胞の染色画像。
図12B】FπCMによるマウス乳腺上皮細胞の染色画像。
図13】FπCMとProdanのトルエン溶液に対して400nmの励起光を照射した際の発光強度の経時変化プロット。
図14A】405nmの励起光を0分、10分、および30分照射した、Lurdanによるマウス乳腺上皮細胞の染色画像。
図14B】405nmの励起光を0分、10分、および30分照射した、FπCMによるマウス乳腺上皮細胞の染色画像。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
以下、アルキル基とは、脂肪族炭化水素から一つの水素原子が失われて生じる1価の置換基であり、C2n+1で表される置換基を指す。nは1以上の整数である。特筆しない限り、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、および環状アルキル基を含む。置換アルキル基とは、アルキル基の一つまたは複数の水素原子を水素原子以外の原子または置換基で置換することで生じる1価の置換基を指す。アルキル基と同様、特筆しない限り、置換アルキル基も置換直鎖アルキル基、置換分岐アルキル基、および置換環状アルキル基を含む。アルコキシ基とは、OC2n+1で表される1価の置換基であり、アルキル基と同様、特筆しない限り、アルコキシ基は直鎖アルコキシ基、分岐アルコキシ基、および環状アルコキシ基を含む。
【0010】
以下、アミノ基とはNHで表される置換基であり、一つまたは二つの水素が水素以外の原子または置換基によって置換されているアミノ基を置換アミノ基と呼ぶ。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物の構造と特性について説明する。本発光性化合物は、部分的に橋かけされたビフェニル、ターフェニル、またはクアテルフェニル骨格を有する共役化合物である。具体的には、本発光性化合物は、互いにパラ位で連結された二つ、三つ、または四つのベンゼン環骨格を有し、かつ、一部の隣接する二つのベンゼン環が炭素、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、またはリンで橋かけされた共役化合物である。実施例において実証されるように、本発光性化合物は溶液中で高い吸光度と蛍光量子収率を示し、かつ、固体状態においても高い蛍光量子収率を示す。さらに、耐光性が高く、長期に亘って蛍光特性を維持することができる。このため、本発光性化合物は、電界発光表示装置に利用可能な材料として機能するだけでなく、分析化学、特にバイオイメージングに有用である。
【0012】
1.橋かけユニットを一つ有する発光性化合物
(1)構造
本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物は、以下の一般式(1)で表されるフルオレン化合物である。一般式(1)において、mは0または1であり、mが0の場合、本発光性化合物は広義のビフェニル誘導体であり、mが1の場合、本発光性化合物は広義のターフェニル誘導体である。
【化3】
【0013】
Wは、水素、炭素数1から8のアルキル基、または炭素数1から8のアルコキシ基である。Xは、二つのベンゼン環を橋かけするユニットであり、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORである。あるいは、Xは、CR、NR、O、およびSから選択してもよく、CRとNRから選択してもよい。あるいは、XはCRでもよい。
【0014】
とRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基またはCHCH(OCHCHOCH(nは1以上の整数)で表されるポリエチレングリコール鎖である。ポリエチレングリコール鎖の数平均分子量に制約はなく、例えば100以上2000以下の範囲から選択すればよい。R、R、およびRは、独立に、水素、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基である。Rは、フェニル基または置換フェニル基である。ここで、置換フェニル基の置換基は、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、または窒素上の置換基が炭素数1から8のアルキル基であるモノアルキルアミノ基若しくはジアルキルアミノ基から選択される。ジフェニルアミノ基のフェニル基には、さらに置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基など)が導入されてもよい。また、置換フェニル基上における置換位置にも制約はなく、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
【0015】
Zは、電子吸引性置換基である。具体的には、Zは、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素)、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOである。好ましくは、Zはカルボキシル基、シアノ基、COR、またはCOである。ここで、Rは、炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基であり、置換アルキル基の置換基は、ハロゲン、水酸基、アミノ基、またはアジド基である。したがって、置換アルキル基は、アルキル基の水素の全てがフッ素で置換されたトリフルオロメチル基に例示されるパーフルオロアルキル基でもよい。パーフルオロアルキル基を用いることで、Zの電子吸引性を増大させることができる。Rが置換アルキル基の場合、当該置換基はRの任意の炭素と結合することができ、例えば置換アルキル基の末端、すなわち、カルボニル炭素から最も離れた位置の炭素上に位置してもよい。
【0016】
Yは電子供与基である。具体的には、Yは炭素数1から8のアルコキシ基、オキシカルボニル基、またはアミノ基若しくは置換アミノ基であり、好ましくは置換アミノ基である。オキシカルボニル基のカルボニル炭素に結合する置換基としては、例えば炭素数1から8のアルキル基または置換アルキル基が挙げられる。アミノ基と置換アミノ基としては、以下の構造式で表される置換基が例示される。
【化4】
【0017】
ここで、kは1以上4以下の整数である。R、R、R10、R11、およびR12は、独立に、水素、炭素数1から10のアルキル基または置換アルキル基である。R、R、R10、R11、またはR12が置換アルキル基の場合の置換基は、ハロゲン、カルボキシル基、エチニル基、アジド基、アミド基、アミノ基、またはジフェニルフォスフィノフェニル基である。R、R、R10、R11、またはR12として置換アルキル基が選択される場合、R、R、R10、R11、またはR12上の置換基は置換アルキル基の任意の炭素と結合してもよく、例えば置換アルキル基の末端、すなわち、置換アミノ基の窒素から最も離れた位置の炭素上に位置してもよい。
【0018】
(2)具体例
XがCRで表される場合、本発光性化合物はフルオレン誘導体である。この場合の本発光性化合物の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
XがNRで表される場合、本発光性化合物はカルバゾール誘導体である。この場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
XがOで表される場合、本発光性化合物はジベンゾフラン誘導体である。この場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
XがSで表される場合、本発光性化合物はジベンゾチオフェン誘導体である。この場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】
【化20】
【0038】
XがSiRで表される場合、本発光性化合物はジベンゾシロール誘導体である。この場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0039】
【化21】
【0040】
【化22】
【0041】
【化23】
【0042】
【化24】
【0043】
XがPORで表される場合、本発光性化合物はジベンゾホスホールオキシド誘導体である。この場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0044】
【化25】
【0045】
【化26】
【0046】
【化27】
【0047】
【化28】
【0048】
XがSOで表される場合、本発光性化合物はジベンゾチオフェンジオキシド誘導体である。この場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。
【0049】
【化29】
【0050】
【化30】
【0051】
【化31】
【0052】
【化32】
【0053】
2.橋かけユニットを二つ有する発光性化合物
(1)構造
本発明の他の実施形態に係る発光性化合物は、以下の一般式(2)で表される化合物である。一般式(2)において、mは0または1であり、mが0の場合、本発光性化合物は広義のターフェニル誘導体であり、mが1の場合、本発光性化合物は広義のクアテルフェニル誘導体である。
【化33】
【0054】
とXは、いずれも二つのベンゼン環を橋かけするユニットであり、独立に、CR、NR、SiR、O、S、SO、またはPORである。あるいは、XとXは、独立に、CR、NR、O、およびSから選択してもよく、CRとNRから選択してもよい。あるいは、XとXはCRでもよい。XとXは互いに同一でもよく、異なってもよい。例えば、XとXがいずれもCRの場合、Xに含まれるRとRは、それぞれXに含まれるRとRと同一でも異なってもよい。XとXがNR、SiR、O、S、SO、またはPORである場合も同様である。W、R、R、R、R、R、R、Z、ならびにYとその置換基であるR、R、R10、R11、およびR12は、橋かけユニットが一つの場合の発光性化合物と同様であるため、説明は割愛する。
【0055】
(2)具体例
またはXがCRで表される場合の本発光性化合物の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもCRで表されるが、XとXの一方がCRで表され、他方がNR、SiR、O、S、SO、またはPORで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0056】
【化34】
【0057】
【化35】
【0058】
【化36】
【0059】
【化37】
【0060】
またはXがNRで表される場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもNRであるが、XとXの一方がNRで表され、他方がCR、SiR、O、S、SO、またはPORで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0061】
【化38】
【0062】
【化39】
【0063】
【化40】
【0064】
【化41】
【0065】
またはXがOで表される場合の本発光性化合物の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもOであるが、XとXの一方がOで表され、他方がCR、NR、SiR、S、SO、またはPORで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0066】
【化42】
【0067】
【化43】
【0068】
【化44】
【0069】
【化45】
【0070】
またはXがSで表される場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもSであるが、XとXの一方がSで表され、他方がCR、NR、SiR、O、SO、またはPORで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0071】
【化46】
【0072】
【化47】
【0073】
【化48】
【0074】
【化49】
【0075】
またはXがSiRで表される場合の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもSiRであるが、XとXの一方がSiRで表され、他方がCR、NR、O、S、SO、またはPORで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0076】
【化50】
【0077】
【化51】
【0078】
【化52】
【0079】
【化53】
【0080】
またはXがSOで表される場合の本発光性化合物の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもSOであるが、XとXの一方がSOで表され、他方がCR、NR、SiR、O、S、またはPORで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0081】
【化54】
【0082】
【化55】
【0083】
【化56】
【0084】
【化57】
【0085】
またはXがPORで表される場合の本発光性化合物の具体的な例として以下に示す化合物が挙げられるが、本発光性化合物はこれらに限られず、上述した定義の範疇に含まれる化合物はいずれも本発光性化合物に該当する。例えば、以下に示す例ではXとXがいずれもPORであるが、XとXの一方がPORで表され、他方がCR、NR、SiR、O、S、またはSOで表される化合物も本発光性化合物に含まれる。
【0086】
【化58】
【0087】
【化59】
【0088】
【化60】
【0089】
【化61】
【0090】
3.発光性化合物の特性
実施例でも示されるように、上述した発光性化合物は、溶液中、紫外領域(約370nmから390nmの領域)において大きな吸光係数を示すとともに、可視光領域に強い蛍光を示す。溶媒にも依存するが、蛍光量子収率は30%から90%程度に達する。さらに、溶媒によって蛍光ピーク波長が変化するという広義のソルバトクロミズムを示す。また、溶媒や置換基にも依存するものの、310nmにも達する大きなストークスシフトを示す。このため、置換基を適宜選択することで発光波長を制御することも可能であり、励起光として汎用される405nm付近の光を吸収し、比較的長波長(例えば赤色領域の波長)の発光を与えることができる。赤色領域の光は生体透過性が高いため、本発光性化合物はバイオイメージングのためのプローブ色素として有用であると言える。
【0091】
さらに、本発光性化合物は、固体状態においても比較的高い蛍光量子収率で発光することができる。例えばZがエステル基(CO)の場合には、マトリクス中に分散した状態においても80%近い蛍光量子収率を示すことができる。また、本発光性化合物は光による耐性が高く、溶液中または固体状態で励起光を長時間照射しても褪色や蛍光量子収率の低下がほとんど観察されない。このため、本発光性化合物は、長期に亘って安定性の高いプローブ色素として利用できるとともに、電界発光素子の発光層におけるホストまたはドーパントとしても有用であると言える。
【0092】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で説明した発光性化合物の製造方法について説明する。ただし、以下に示す製造方法は一例に過ぎず、他の様々なルートを経由して本発光性化合物を製造することも可能である。
【0093】
1.橋かけユニットを一つ有する発光性化合物
(1)XがCRの場合
本発光性化合物がフルオレン誘導体の場合には、例えば以下のスキームに従って本発光性化合物を製造することができる。ここで、Lは脱離基であり、典型的には臭素またはヨウ素などのハロゲン、トリフルオロメタンスルホニル基、フルオロスルホニル基、パラトルエンスルホニル基などが例示される。
【化62】
【0094】
このスキームに従った製造方法では、2位と7位に脱離基Lを有するフルオレンを出発原料とし、9位のメチレン基をアルキル化する。アルキル化は、塩基によるプロトンの引き抜き、および引き続くヨウ化アルキルなどのアルキル化剤との反応を利用すればよい。その後、一方の脱離基Lに対して電子供与基であるYを導入する。例えばYがアミノ基の場合には、上記スキームのように、パラジウム触媒などの金属触媒を用いるカップリング反応を利用して対応するアミン(Y-H)と反応させればよい。その後、他方の脱離基を利用してトランスメタル化し、対応するカルボニル化合物と反応させればよい。トランスメタル化は、リチオ化またはグリニャール化でもよい。カルボニル化合物としては、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルトリフルオロアセトアミド、二酸化炭素(ドライアイス)などが例示される。Zがシアノ基の場合には、対応するアミド基の脱水などを利用してもよい。Zがエステル基の場合には、Zとしてカルボキシル基を導入し、その後、酸触媒によるエステル化、またはカルボキシル基のカルボニルクロリドへの変換とアルコールとの反応などを行えばよい。
【0095】
一般式(1)においてmが1の場合には、以下のスキームに示すように、一方の脱離基Lを利用してYを導入した後、電子吸引基であるZを有するフェニルボロン酸またはフェニルボロン酸エステルをパラジウム触媒などを用いてカップリングさせればよい。
【化63】
【0096】
(2)XがNR、SiR、O、S、SO、またはPORの場合
XがNR、SiR、O、S、SO、またはPORの場合も同様である。すなわち、以下のスキームに示すように、脱離基Lを有するカルバゾール誘導体、ジベンゾシロール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾチオフェンジオキシド誘導体、ジベンゾホスホールオキシド誘導体を用い、一方の脱離基Lをカップリング反応を用いてYへ変換する。その後、他方の脱離基Lを利用してカルボニル基やカルボキシル基、アミド基などを導入すればよい。
【0097】
【化64】
【0098】
なお、ジベンゾチオフェンジオキシド誘導体は、対応するジベンゾチオフェンを過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、tert-ブチルペルオキシド、メタ過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いて酸化することで得ることができる。また、ジベンゾホスホールオキシド誘導体は、対応する5-ハロ-5-ヒドロジベンゾホスホール-5-オキシド誘導体、およびRに対応するアリールリチウム(すなわち、RLi)またはアリールマグネシウムハライド(例えば、RMgX、Xはハロゲン)を反応することで得ることができる(以下の式参照)。あるいは、図示しないが、対応する5-ヒドロジベンゾホスホールとRに対応するアリール金属などをパラジウム触媒存在下でカップリングし、その後、過酸化水素などの酸化剤で酸化してもい。
【化65】
【0099】
2.橋かけユニットを二つ有する発光性化合物
一般式(2)で表される本発光性化合物も、一般式(1)で表される本発光性化合物と同様、適宜公知の方法を適用して脱離基Lが二つ導入されたターフェニル骨格を合成し、その後、パラジウム触媒などの金属触媒を利用するカップリング反応によってYとZを導入すればよい。ターフェニル骨格の合成方法に制約はなく、種々の経路で合成すればよい。例えば、XとXがいずれもCRの場合には、下記スキームに示すように、2,5-ジブロモ-p-キシレンを出発物質として用い、鈴木カップリングを利用するフェニル基の導入、メチル基の酸化と引き続く脱水環化、カルボニル基の還元、メチレン基のアルキル化、末端ベンゼン環の臭素化によって脱離基Lとして臭素が導入されたターフェニル骨格(フルオレン誘導体)を得ることができる。
【化66】
【実施例0100】
本実施例では、本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物の合成、およびその特性評価について述べる。
【0101】
1.装置
H-NMRスペクトルと13C-NMRスペクトルは、テトラメチルシランを内部標準として用いたCDClまたはDMSO-d溶液をBRUKER 500(500MHz)分光光度計で測定することで得た。H-NMRのデータは化学シフト(δ、単位ppm)、シグナルの多重度(sは一重線、dは二重線、tは三重線、mは多重線)、積分比、カップリング定数(J、単位Hz)によって記述され、13C-NMRのデータは化学シフト(δ、単位ppm)によって記述される。紫外-可視スペクトルは、JASCO V-670紫外-可視分光光度計を用いて測定した。蛍光スペクトルは、JASCO FP-6500分光蛍光光度計を用いて測定した。蛍光量子収率(絶対量子収率)は、浜松ホトニクスQuantaurus-QY絶対PL量子収率測定装置を用いて測定した。蛍光寿命は、HORIBA時間相関単一光子計数法を用いて測定した。
【0102】
2.発光性化合物の合成
(1)1-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]-2,2,2-トリフルオロエタン-1オン(FRF)
FRFは、以下のスキームに従って合成した。
【化67】
【0103】
アルゴン気流下、2,7-ジブロモ-9H-フルオレン(6.48g、20mmol)のテトラヒドロフラン(THF、100mL)溶液に0℃でカリウムt-ブトキシド(4.94g、44mmol)を加え、反応溶液を室温で攪拌した。1.5時間後、ヨウ化メチル(2.5mL、40mmol)を加え、さらに室温で2時間攪拌した。反応溶液を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することで、2,7-ジブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレンを白色の固体として収率90%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.54(t,J=4.0Hz,4H),7.46(d,J=7.9Hz,2H),1.46(s,6H)
【0104】
2,7-ジブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン(3.5g、10mmol)、カリウムt-ブトキシド(1.06g、11mmol)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP、0.74g、1.2mmol)、酢酸パラジウム(90mg、0.40mmol)をトルエン(100mL)に溶解し、100℃で攪拌した。ピペリジンを2,7-ジブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレンに対して1当量加え、反応混合物を100℃で4時間攪拌した。反応溶液を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、1-(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン2-イル)ピペリジンを白色の固体として収率42%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.54(d,J=8.2Hz,1),7.48(s,1H),7.44(d,J=7.9Hz,1H),7.39(d,J=7.9Hz,1H),6.98(s,1H),6.91(d,J=7.6Hz,1H),3.22(t,J=5.2Hz,4H),1.75(s,4H),1.61(t,J=5.8Hz,2H),1.44(s,6H)
【0105】
1-(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン2-イル)ピペリジン(1.07g、3.0mmol)のTHF(10mL)溶液に-78℃でn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.3M、1.57mL、3.6mmol)を加えた。1時間後、2,2,2-トリフルオロ-N,N-ジメチルアセトアミド(0.40mL、3.6mmol)を加え、さらに-78℃で2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することでFRFを黄色の固体として収率45%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.06(s,1H),8.02(d,J=8.2Hz,1H),7.67(d,J=3.7Hz,1H),7.65(d,J=4.0Hz,1H),6.97(d,J=1.8Hz,1H),6.94(dd,J=8.5,2.1Hz,1H),3.31(t,J=5.3Hz,4H),1.77-1.72(m,4H),1.64(q,J=5.7Hz,2H),1.49(s,6H)
【0106】
(2)1-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(N-FR-F)
N-FR-Fは、以下のスキームに従って合成した。
【化68】
【0107】
2,7-ジブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン(1.76g、5.0mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(0.53g、5.5mmol)、BINAP(0.37g、0.60mmol)、酢酸パラジウム(45mg、0.20mmol)をトルエン(50mL)に溶解し、100℃で攪拌した。ジメチルアミン(0.63mL、6.0mmol)を加え、反応混合物を100℃で2時間攪拌した。反応溶液を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、ジエチル(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミンを黄色の固体として収率22%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.50(d,J=8.2Hz,1H),7.44(s,1H),7.39(d,J=7.9Hz,1H),7.36(d,J=8.2Hz,1H),6.67(s,1H),6.66-6.64(m,1H),3.41(q,J=7.0Hz,4H),1.44(s,6H),1.20(t,J=7.0Hz,6H)
【0108】
ジエチル(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(1.1g、3.0mmol)のTHF(10mL)溶液に-78℃でn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.6M、1.4mL、3.6mmol)を加えた。1時間後、2,2,2-トリフルオロ-N,N-ジメチルアセトアミド(0.40mL、3.6mmol)を加え、さらに-78℃で2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、塩化メチレンとヘキサンで再結晶することで、N-FR-Fを黄色固体として収率60%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.03(s,1H),8.00(d,J=7.9Hz,1H),7.64-7.60(m,2H),6.70(d,J=7.3Hz,2H),3.46(q,J=7.1Hz,4H),1.49(s,6H),1.24(t,J=7.0Hz,6H)
【0109】
(3)メチル[7-(N,N-ジエチルアミノ)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル]カルボキシラート(FCM)
FCMは、以下のスキームに従って合成した。
【化69】
【0110】
アルゴン気流下、ジエチル(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(1.72g、5.0mmol)のTHF(15mL)溶液にn-ブチルリチウム(1.6M、2.88mL、7.5mmol)を滴下した。この溶液を-78℃で30分攪拌し、室温に昇温し、ドライアイスに投入し、2時間攪拌した。その後、反応混合物を20%塩酸で処理し、ろ過し、析出物を水で洗浄し、減圧下で乾燥した。この析出物とp-トルエンスルホン酸(0.10g、0.50mol)のメタノール(15mL)溶液を18時間環流した。冷却後、反応溶液を塩化メチレンで抽出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v))で精製することでFCMを黄色固体として収率67%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.05(d,J=10.4Hz,2H),7.59(dd,J=10.5,8.4Hz,2H),6.70-6.68(m,2H),3.90(s,3H),3.45(q,J=7.1Hz,3H),1.49(s,4H),1.23(t,J=7.2Hz,4H)
【0111】
(4)1-{4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル)]フェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπF1)
FRπF1は、以下のスキームに従って合成した。
【化70】
【0112】
アルゴン気流下、1-(4-ブロモフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(1.01g、4.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.32g、5.2mmol)、酢酸カリウム(1.18g、12mmol)、およびPd(dppf)Cl・CHCl(0.163g、0.20mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)懸濁液を50℃で一晩攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v)、ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することで2,2,2-トリフルオロ-1-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エタン-1-オンを無色のオイルとして収率89%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.04(d,J=7.3Hz,2H,H),7.96(d,J=8.5Hz,2H),1.37(s,12H)
【0113】
アルゴン気流下、1-(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン2-イル)ピペリジン(0.45g、1.2mmol)、2,2,2-トリフルオロ-1-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エタン-1-オン(0.43g、1.4mmol)、リン酸カリウム(0.76g、4.5mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、49mg、0.06mmol)をTHF/HO混合溶媒(5/1、v/v、10mL)に溶解した。この溶液を50℃で一晩攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサンと塩化メチレン(4/1、v/v)で再結晶することで、FRπF1を赤色固体として収率32%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):8.18(d,J=7.9Hz,2H),7.85(d,J=8.5Hz,2H),7.72(d,J=7.6Hz,1H),7.67-7.64(m,2H),7.62(d,J=7.9Hz,1H),7.05(d,J=1.5Hz,1H),6.97(d,J=8.5Hz,1H),3.29(t,J=5.5Hz,4H),1.81-1.76(m,4H),1.65(q,J=5.8Hz,2H),1.55(s,6H)
【0114】
(5)1-{[4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)]フェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπF2)
FRπF2は、以下のスキームに従って合成した。
【化71】
【0115】
アルゴン気流下、ジエチル(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(0.38g、1.1mmol)、2,2,2-トリフルオロ-1-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エタン-1-オン(0.40g、1.3mmol)、リン酸カリウム(0.70g、3.3mmol)、およびPd(PPh(64mg、0.22mmol)をTHF/HO混合溶媒(5/1、v/v、6mL)に溶解した。この溶液を50℃で一晩攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサンと塩化メチレン(4/1、v/v)で再結晶することで、FRπF2を赤色固体として収率53%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.15(d,J=7.9Hz,2H),7.82(d,J=8.5Hz,2H),7.65-7.62(m,2H),7.60-7.57(m,2H),6.73(s,1H),6.69(d,J=8.5Hz,1H),3.45(q,J=7.0Hz,4H),1.52(s,6H),1.23(t,J=7.0Hz,6H,CH
【0116】
(6)メチル4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ベンゾエート(FπCM)
FπCMは、以下のスキームに従って合成した。
【化72】
【0117】
アルゴン気流下、ジエチル(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(1.32g、3.0mmol)、4-メトキシカルボニルフェニルボロン酸(0.809g、4.5mmol)、リン酸カリウム(2.19g、9.0mmol)、およびPd(PPh(0.173mg、0.15mmol)をトルエン/水/メタノール混合溶媒(5/1/2、v/v・v、10mL)に溶解した。この溶液を100℃で6時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v)で再結晶することで、FπCMを黄色固体として収率78%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.10(d,J=8.2Hz,2H),7.72(d,J=8.2Hz,2H),7.63-7.54(m,4H),6.73-6.68(m,2H),3.94(s,3H,OCH),3.44(q,J=7.0Hz,4H),1.52(s,6H),1.23(t,J=7.0Hz,6H)ppm
【0118】
(7)1-[4-(7-ジエチルアミノ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)フェニル]エタン-1-オン(FπA)
FπAは、以下のスキームに従って合成した。
【化73】
【0119】
アルゴン気流下、ジエチル(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(0.69g、2.0mmol)、4-アセチルフェニルボロン酸(0.49g、3.0mmol)、リン酸カリウム(1.46g、6.0mmol)、およびPd(PPh(0.115mg、0.10mmol)をトルエン/水/メタノール混合溶媒(5/1/2、v/v・v、10mL)に溶解した。この溶液を100℃で6時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v)で再結晶することで、FπAを黄色固体として収率88%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.03(d,J=8.2Hz,2H),7.74(d,J=8.2Hz,2H),7.63-7.54(m,4H),6.73-6.68(m,2H),3.44(q,J=7.0Hz,4H),2.64(s,3H),1.52(s,6H),1.23(t,J=7.0Hz,6H)
【0120】
(8)1-{4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]-3-メチルフェニル}-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(FRπMeF)
FRπMeFは、以下のスキームに従って合成した。
【化74】
【0121】
アルゴン気流下、メチル4-ブロモ-3-メチルベンゾエート(1.15g、5.0mmol)、トリフルオロメチルトリメチルシラン(CFTMS)(0.93mL、6.3mmol)のトルエン(15mL)溶液に-78℃でフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF、0.13mL、0.13mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することで、1-(4-ブロモ-3-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オンを黄色固体として収率90%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.92(d,1H),7.73(d,2H),2.50(s,3H)
【0122】
アルゴン気流下、1-(4-ブロモ-3-メチルフェニル)-2,2,2-トリフルオロエタン-1-オン(1.2g、4.5mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.5g、5.9mmol)、酢酸カリウム(1.3g、14mmol)、およびPd(dppf)Cl・CHCl(0.18g、0.23mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)懸濁液を50℃で一晩攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v)、ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することで1-[3-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エタン-1-オンを無色のオイルとして収率63%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.89(d,J=7.6Hz,1H),7.82(d,J=8.9Hz,2H),2.61(s,3H,CH),1.36(s,12H)
【0123】
アルゴン気流下、1-(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン2-イル)ピペリジン(0.47g、1.3mmol)、1-[3-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エタン-1-オン(0.50g、1.6mmol)、リン酸カリウム(0.84g、3.9mmol)、およびPd(PPh(77mg、0.065mmol)をTHF/HO混合溶媒(5/1、v/v、9mL)に溶解した。この溶液を50℃で一晩攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサンと塩化メチレン(4/1、v/v)で再結晶することで、FRπMeFを赤色固体として収率41%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.00(s,1H),7.95(d,J=7.9Hz,1H),7.66(d,J=7.6Hz,1H),7.62(d,J=8.5Hz,1H),7.48(d,J=8.2Hz,1H),7.32(s,1H),7.25(d,J=7.0Hz,1H),7.02(s,1H),6.94(d,J=8.2Hz,1H),3.25(t,J=5.3Hz,4H),2.42(s,3H),1.78-1.74(m,4H),1.64-1.59(m,2H),1.49(s,6H)
【0124】
(9)メチル4-[9,9-ジメチル-7-(ピペリジン-1-イル)-9H-フルオレン-2-イル]ベンゾエート(FπpCM)
FπpCMは、以下のスキームに従って合成した。
【化75】
【0125】
アルゴン気流下、1-(7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン2-イル)ピペリジン(1.07g、3.0mmol)、4-メトキシカルボニルフェニルボロン酸(0.809g、4.5mmol)、リン酸カリウム(2.19g、9.0mmol)、およびPd(PPh(173mg、0.15mmol)をトルエン/HO/メタノール混合溶媒(5/1/2、v/v/v、10mL)に溶解した。この溶液を100℃で6時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v)で再結晶することで、FπpCMを黄色固体として収率88%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.11(d,J=7.9Hz,2H),7.72(d,J=8.2Hz,2H),7.68-7.56(m,4H),7.03(d,J=11.0Hz,1H),6.94(d,J=8.2Hz,1H),3.95(s,3H),3.25(t,J=5.3Hz,4H),1.78-1.74(m,4H),1.64-1.59(m,2H),1.51(s,6H)
【0126】
(10)2,2,2-トリフルオロ-1-{4-[6,6,12,12-テトラメチル-8-(ピペリジン-1-イル)-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル]フェニル}エタン-1-オン(以下、IFπF)
IFπFは、以下のスキームに従って合成した。
【化76】
【0127】
アルゴン気流下、2,5-ジブロモ-p-キシレン(2.64g、10mmol)、フェニルボロン酸(2.56g、21mmol)、リン酸カリウム(6.37g、30mmol)、Pd(PPh(0.58g、0.5mmol)をトルエン/エタノール/HO混合溶媒(4/1/1、v/v/v、120mL)に溶解した。この溶液を90℃で23時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することで、2’,5’-ジメチル-1,1’:4’1”-ターフェニルを白色固体として収率99%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.42(d,J=7.3Hz,4H),7.37(dd,J=11.7,7.8Hz,6H),7.16(s,2H),2.28(s,6H)
【0128】
2’,5’-ジメチル-1,1’:4’1”-ターフェニル(2.55g、9.86mmol)を60mLのピリジンとKMnO(7g、44.3mmol)と混合し、環流温度で2時間攪拌した。30分ごとに10mLの水とKMnO(3g、19.0mmol)を4時間に亘って加えた。5時間後、60mLの水を加え、還流を一晩維持した。MoOを濾過により取り除き、沸騰した水で洗浄した。ろ液を濃縮し、濃塩酸を加えることにより、析出した1,1’:4’1”-ターフェニル-2’,5’-ジカルボン酸を白色固体として収率73%で得た。H-NMR(500MHz、DMSO-D):δ7.67(s,2H),7.47-7.41(m,10H)
【0129】
硫酸50mLに1,1’:4’1”-ターフェニル-2’,5’-ジカルボン酸(2.3g、7.2mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。冷水50mLを加え、析出物をろ過し、減圧下で乾燥した。この析出物を飽和炭酸カリウム水溶液中で1.5時間攪拌し、ろ過し、減圧下で乾燥することで、インデノ[1,2-b]-6,12-ジオンを紫色固体として収率80%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.82(s,2H),7.70(d,J=7.3Hz,2H),7.57(d,J=5.8Hz,4H),7.36(d,J=7.2Hz)
【0130】
インデノ[1,2-b]-6,12-ジオン(1.6g、5.8mmol)をトリエトキシシラン/トリフルオロ酢酸(1/3、v/v、40mL)に溶解し、得られた溶液を室温で2時間攪拌した。減圧下で揮発性成分を留去し、残渣にヘキサンを加えて2時間攪拌した。析出物をろ過し、減圧下で乾燥することにより、6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレンを白色固体として収率100%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.72-7.80(2H),7.41-7.48(1H),7.27-7.38(2H),1.54-1.58(4H,)
【0131】
アルゴン気流下、インデノ[1,2-b]-6,12-ジオン(1.5g、5.8mmol)をTHF(50mL)に溶解し、0℃でt-ブトキシカリウム(3.3g、29mmol)を加え、反応混合物を室温で攪拌した。1.5時間後、ヨウ化メチル(3.6mL、58mmol)を加え、さらに2時間室温で攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製することで、白色固体を得た。この白色固体を塩化メチレンとヘキサンで再結晶することで、6,6,12,12-テトラメチル6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレンを収率26%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.77(d,J=6.7Hz,4H),7.44(d,J=7.3Hz,2H),7.35(t,J=7.3Hz,2H),7.30(t,J=7.3Hz,2H),1.55(s,12H)
【0132】
6,6,12,12-テトラメチル6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン(1.21g、3.9mmol)と塩化鉄(III)(64mg、0.39mmol)のクロロホルム(30mL)懸濁液に臭素(0.43mL、8.3mmoL)のクロロホルム(10mL)溶液を加え、混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去することで、2,8-ジブロモ-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレンを白色固体として収率83%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.70(s,2H),7.61(d,J=7.9Hz,2H),7.56(s,2H),7.47(dd,J=7.9,1.2Hz,2H),1.53(s,12H)
【0133】
アルゴン気流下、2,8-ジブロモ-6,6,12,12-テトラメチル6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン(1.9g、4.2mmol)、t-ブトキシカリウム(0.70g、6.2mmol)、トリ(o-トリル)ホスフィン(0.26g、0.83mmol)、酢酸パラジウム(93mg、0.20mmol)のトルエン(40mL)溶液に100℃でピペリジン(0.41mL、4.2mmol)を加え、反応混合物を100℃で2時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去することで、白色固体を得た。この白色固体を塩化メチレンとヘキサンで再結晶することで、1-(8-ブロモ-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル)ピペリジンを黄色固体として収率39%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ7.64(s,1H),7.62(s,1H),7.60-7.56(m,2H),7.52(s,1H),7.44(d,J=8.5Hz,1H),7.01(s,1H),6.92(d,J=8.5Hz,1H),3.23(s,4H),1.75(s,4H),1.60(d,J=5.8Hz,2H),1.51(s,6H)
【0134】
アルゴン気流下、1-(8-ブロモ-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル)ピペリジン(0.42g、0.89mmol)、2,2,2-トリフルオロ-1-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エタン-1-オン(0.19g、0.63mmol)、リン酸カリウム(0.57g、2.7mmol)、Pd(PPh(51mg、0.044mmol)のトルエン(10mL)溶液を80℃で一晩攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサン/塩化メチレン(1/3、v/v)で再結晶することで、IFπFを黄色固体として収率16%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.17(d,J=7.9Hz,2H),7.85(d,J=8.5Hz,2H),7.83(d,J=7.9Hz,1H),7.74(s,1H),7.69(s,1H),7.66(d,J=4.9Hz,2H),7.63(s,1H),7.03(s,1H),6.95(d,J=8.2Hz,1H),3.25(t,J=5.2Hz,4H),1.76(d,J=5.2Hz,4H),1.64-1.62(m,2H),1.59(s,6H),1.54(s,6H)。13C-NMR(100MHz、CDCl):δ180.6,180.2,179.9,155.8,155.2,154.0,153.3,149.1,141.1,140.3,137.5,136.6,131.1,128.5,127.8,126.8,121.8,120.7,120.4,118.6,115.8,114.7,114.3,113.5,111.4,51.6,47.0,46.9,28.0,27.8,26.3,24.6
【0135】
(10)2,2,2-トリフルオロ-1-[6,6,12,12-テトラメチル-8-(ピペリジン-1-イル)-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル]エタン-1-オン(IFF)
IFFは、以下のスキームに従って合成した。
【化77】
【0136】
アルゴン気流下、1-(8-ブロモ-6,6,12,12-テトラメチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2-イル)ピペリジン(0.224g、0.47mmol)のTHF(2mL)溶液に-78℃で2.3Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(0.25mL、0.58mmol)を加えた。1時間後、2,2,2-トリフルオロ-N,N-ジメチルアセトアミド(0.06mL、0.58mmol)を加え、さらに-78℃で2時間攪拌を続けた。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、有機物を塩化メチレンで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3/1、v/v))で精製し、さらにヘキサン/塩化メチレン(1/3、v/v)で再結晶することで、IFFを赤色固体として収率48%で得た。H-NMR(500MHz、CDCl):δ8.11(s,1H),8.08(d,J=8.2Hz,1H),7.83(d,J=8.2Hz,1H),7.77(s,1H),7.66(d,J=10.4Hz,2H),7.02(s,1H),6.95(d,J=8.5Hz,1H),3.28-3.24(m,4H),1.76(d,J=4.6Hz,4H),1.62(t,J=5.6Hz,2H),1.57(s,6H,3),1.53(s,6H)
【0137】
3.特性
(1)溶液中の光物性
上記合成例で合成された発光性化合物、FRF、N-FR-F、FCM、FRπF1、FRπF2、FRπMeF、FπCM、FπpCM、IFπF、およびIFFの種々の溶媒中における吸収スペクトルと発光スペクトルを図1Aから図10Bに示す。これらの発光性化合物のスペクトルデータを以下の表1から10に纏める。各表において、εは吸光係数、λabsは吸収極大波長、λflは発光極大波長、Φflは発光量子収率である。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】
【表5】
【0143】
【表6】
【0144】
【表7】
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】
【0147】
【表10】
【0148】
図1Aから図10Bと表1から表10から理解されるように、溶媒にも依存するものの、本発光性化合物は溶液中で高い吸光係数と発光量子収率を示すことが確認された。注目すべき点の一つは、本発光性化合物がソルバトクロミズムを示す点であり、吸収スペクトルのみならず発光スペクトルも溶媒によって大きく変化する点である。例えばFRFの場合、メタノールとジメチルスルホキシド(DMSO)中での吸収極大波長の差は100nm以上に達する。非プロトン性溶媒中の発光スペクトルを比較すると、全体として、溶媒の極性が増大するに従って吸収波長と発光波長が長波長側にシフトする傾向が確認された。さらに注目すべき点は、非常に大きなストークスシフトを示す点である。例えばFRπFは、310nmもの大きなストークスシフトをTHF中で示す。このため、本発光性化合物の多くは、極性の比較的高い溶媒において長波長側に強い発光を示す。長波長(赤色領域)の光は生体透過性が高いことを考慮すると、これらの結果は、本発光性化合物はバイオイメージングのためのプローブ色素として有用であることを示唆している。
【0149】
代表的な例として、FπCM、FπA、およびFCMの種々の溶媒中における蛍光寿命を測定した結果をそれぞれ表11から表13に纏める。これらの表において、τは蛍光寿命であり、kとknrはそれぞれ輻射減衰速度定数と無輻射減衰速度定数である。これらの結果から、本発光性化合物は極性の変化に関わらずほとんど大きな速度定数の変化がないことから、極性環境に関わらず安定した発光性があるという傾向が確認された。
【0150】
【表11】
【0151】
【表12】
【0152】
【表13】
【0153】
(2)固体状態における光物性
本発光性化合物は、溶液中のみならず、固体状態でも強い蛍光を発することが確認された。代表的な例として、ポリメタクリル酸メチル(PMM)のマトリックス中にFπCM、FπA、またはFRπFを分散させた薄膜を調製し、その蛍光スペクトルを測定した。薄膜は、数平均分子量100,000のPMMAと発光性物質を1.0%含むTHF溶液を調製し、石英基板上にキャストフィルムを作製することで準備した。励起光の波長は370nmであった。図11の測定結果から明らかなように、これらの発光性化合物は固体状態においても明確な発光を与えることが分かる。FπCM、FπA、およびFRπFの発光量子収率は、それぞれ0.78、0.38、0.13であった。
【0154】
(3)バイオイメージング色素としての応用
モデル細胞として飽和脂肪酸モデル細胞であるDSPC(Ld)と不飽和脂肪酸モデル細胞であるDOPC/Chol(Lo)をFπCMのDMSO溶液(1μM)で37℃で5分間染色した。染色後のモデル細胞に励起光(405nm)を照射し、得られた発光を青色領域(400nmから500nm)と赤色領域(500nmから700nm)に分離して取得した。図12Aに示すように、青色発光を示す組成と赤色発光を示す組成があることが確認された。この結果から、FπCMがモデル細胞の極性の相違に基づいて異なる発光を与えること、すなわち、モデル細胞の極性の相違を区別して染色できることが確認された。このことは、染色された細胞の発光を分光することで、極性の相違に基づいて細胞内をイメージングできることを示している。
【0155】
実際、マウス乳腺上皮細胞(EpH4細胞)を用いて同様の処理を行った結果からもこのことが示されている。具体的には、マウス乳腺上皮細胞をFπCMのDMSO溶液(1μM)で、37℃で5分間染色し、染色後のマウス乳腺上皮細胞に励起光(405nm)を照射し、得られた発光を青色領域(400nmから500nm)と赤色領域(500nmから700nm)に分離して取得した。図12Bの(a)と(b)は、それぞれ青色領域と赤色領域の発光で得られた画像である。これらを統合した画像(c)の輝度に対して赤色発光と青色発光の強度比をかけ合わせて得られる画像が(d)である。(d)の画像から理解されるように、実細胞においても極性の異なる部分に対して異なる発光色でイメージングが可能である。
【0156】
(4)耐光性の評価
汎用される蛍光性プローブは耐光性が低く、長期に亘ってバイオイメージングすることが困難である。これに対し、本発光性化合物は高い耐光性を有しており、長期間のバイオイメージングができることが分かった。例えば、光源としてキセノンランプを用い、FπCMのトルエン溶液(10μM)に対して励起光(370nm)を連続的に照射しても、その蛍光強度は少なくとも7000秒以上殆んど変わらないことが確認された(図13)。これに対し、同条件下で汎用プローブであるProdanの耐光性を検討した結果、7000秒後には蛍光強度が20%程度減少することが分かった。これらの結果は、本発光性化合物が耐光性の高いプローブとして利用できることを示唆している。
【0157】
本発光性化合物の高い耐光性は、実細胞においても確認することができた。具体的には、プローブとしてLurdanとFπCMを用い、100μLのHBSS(Hanks‘ Balanced Salt Solution)中、マウス乳腺上皮細胞(EpH4細胞)を37℃で5分間プローブのDMSO溶液(10μM)で染色し、その後、細胞を含む溶液を1mLのHBSSで希釈した。得られた溶液に対して励起光405nmのレーザを照射することで得られた画像を図14A図14Bに示す。図14A図14Bは、それぞれプローブとしてLurdanとFπCMを用い、励起光照射開始後0分、10分、および30分後に同一撮像条件下で得られた画像である。これらの図から明らかなように、プローブとしてLurdanを用いた場合には、発光強度が徐々に低下し、30分後の画像のコントラストが非常に小さいことが分かる。これに対し、プローブとしてFπCMを用いた場合には、画像の明るさの低減は極めて小さく、励起光照射開始30分後でも高いコントラストの画像を取得できることが確認された。これらの結果は、本発光性化合物が実細胞のバイオイメージングにおいても高い耐光性を示すことを意味している。
【0158】
以上のことから、本発明の実施形態の一つに係る発光性化合物は、大きな吸光係数を示し、溶液中のみならず固体状態でも高い蛍光量子収率を示すことが理解される。また、吸収と発光挙動に関してソルバトクロミズムが観察され、かつ、溶媒によっては非常に大きなストークスシフトを示す。さらに、耐光性が高いため、本発光性化合物は、例えば電界発光素子用の材料やバイオイメージングのためのプローブとして有用であると言える。
【0159】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0160】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B