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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166753
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/06 20060101AFI20241122BHJP
   B65H 54/02 20060101ALI20241122BHJP
   B65H 54/22 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B65H63/06 C
B65H54/02 Z
B65H54/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083074
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 拓之
【テーマコード(参考)】
3F056
3F115
【Fターム(参考)】
3F056AA05
3F056AB02
3F115CA41
3F115CA44
3F115CB01
3F115CG12
(57)【要約】
【課題】検出装置を保持する保持部材を樹脂材料にて形成しても、ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しないようにする。
【解決手段】糸巻取装置100は、ヤーンクリアラ35と、ワキシング装置36と、保持部材33と、フレーム部材7と、を備える。ヤーンクリアラ35は、糸供給部1とパッケージ20との間を走行する糸10の状態を検出する。ワキシング装置36は、糸10にワックスWを付与する。保持部材33は、樹脂材料により形成されヤーンクリアラ35を保持する。フレーム部材7には、保持部材33とワキシング装置36とが固定される。保持部材33とワキシング装置36のいずれか一方には係合部33cが設けられ、他方には被係合部36fが設けられ、係合部33cが被係合部36fに係合することで、保持部材33とワキシング装置36が連結される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸供給部から供給される糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置であって、
前記糸供給部と前記パッケージとの間を走行する前記糸の状態を検出する検出装置と、
前記糸にワックスを付与するワキシング装置と、
前記検出装置を保持する保持部材と、
前記保持部材と前記ワキシング装置とが固定されるフレーム部材と、
を備え、
前記保持部材は、樹脂材料により形成され、
前記保持部材と前記ワキシング装置のいずれか一方には係合部が設けられ、他方には被係合部が設けられ、
前記係合部が前記被係合部に係合することで、前記保持部材と前記ワキシング装置が連結される、
巻取装置。
【請求項2】
前記ワキシング装置は、前記フレーム部材と接触し固定される本体部を有し、
前記本体部の少なくとも一部は、樹脂材料により形成される、請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記保持部材と前記ワキシング装置は、第1方向において前記フレーム部材に固定され、
前記係合部は、前記第1方向に延びるピン形状を有し、
前記被係合部は、ピン形状の前記係合部が係合する凹形状を有する、
請求項1又は2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記係合部は、前記保持部材に設けられ、樹脂材料により形成され、
前記被係合部は、前記ワキシング装置に設けられ、金属材料により形成される、
請求項3に記載の巻取装置。
【請求項5】
前記糸供給部と前記パッケージとの間を走行する前記糸の走行速度を測定する走行速度測定部をさらに備え、
前記走行速度測定部は、前記保持部材に保持される、
請求項1~4のいずれかに記載の巻取装置。
【請求項6】
前記フレーム部材は、接地される導通部を有し、
前記保持部材は、前記走行速度測定部と前記導通部とを連結する保持部材のための連結部材を有し、
前記保持部材のための連結部材は、導電性を有する、
請求項5に記載の巻取装置。
【請求項7】
前記フレーム部材は、接地される導通部を有し、
前記ワキシング装置は、
前記ワキシング装置を走行する前記糸をガイドする糸道ガイドと、
前記糸道ガイドと前記導通部とを連結するワキシング装置のための連結部材と、
前記ワキシング装置のための連結部は、導電性を有する、請求項1~6のいずれかに記載の巻取装置。
【請求項8】
前記係合部と前記被係合部との係合は、前記糸の糸道を基準として前記フレーム部材に近づく方向に30mm以内で行われ、かつ前記糸道を基準として前記フレーム部材から離れる方向に20mm以内で行われる、請求項1~7のいずれかに記載の巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給糸ボビンなどの糸供給部から供給された糸を巻き取って、糸のパッケージを形成する巻取装置が知られている。この巻取装置には、糸供給部とパッケージとの間を走行する糸の状態を検出する検出装置と、糸にワックスを付与するワキシング装置と、が設けられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-34847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の巻取装置において、ワキシング装置は、巻取装置のフレーム部材に固定される。検出装置は、フレーム部材に固定された保持部材により保持される。巻取装置では、ワキシング装置、保持部材を樹脂材料により形成することが検討されている。その一方で、樹脂材料は変形しやすいため、樹脂材料で形成した装置、部材の変形が問題となる可能性がある。
【0005】
例えば、検出装置を保持する保持部材が変形して、ワキシング装置と検出装置との位置関係が保持部材の変形前後で変化することが考えられる。巻取装置においては、ワキシング装置と検出装置との間の位置関係は変化しないことが求められる。このため、保持部材を変形しやすい樹脂材料で形成する場合には、保持部材の変形により、ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しないようにする必要がある。
【0006】
本発明の目的は、糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置において、検出装置を保持する保持部材を樹脂材料にて形成しても、ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一態様に係る巻取装置は、糸供給部から供給される糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置である。巻取装置は、検出装置と、ワキシング装置と、保持部材と、フレーム部材と、を備える。検出装置は、糸供給部とパッケージとの間を走行する糸の状態を検出する。ワキシング装置は、糸にワックスを付与する。保持部材は、検出装置を保持する。フレーム部材には、保持部材とワキシング装置とが固定される。この巻取装置では、保持部材は、樹脂材料により形成される。また、保持部材とワキシング装置のいずれか一方には係合部が設けられ、他方には被係合部が設けられ、係合部が被係合部に係合することで、保持部材とワキシング装置が連結される。
【0008】
上記の巻取装置では、保持部材とワキシング装置のいずれか一方に設けた係合部を、他方に設けた被係合部に係合させることで、保持部材とワキシング装置とを連結している。保持部材とワキシング装置とが連結されることで、ワキシング装置が保持部材の変形を制限するので、保持部材とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなる。保持部材とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなることで、保持部材に保持された検出装置とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなる。すなわち、上記の巻取装置では、検出装置を保持する保持部材が変形しやすい樹脂材料にて形成されていても、ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しにくい。ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しにくいことで、ワキシング装置、検出装置が糸道から外れて配置されることを抑制できる。
【0009】
上記の巻取装置において、ワキシング装置は、フレーム部材と接触し固定される本体部を有してもよい。この場合、本体部の少なくとも一部は、樹脂材料により形成されていてもよい。これにより、ワキシング装置を軽量化できる。
【0010】
上記の巻取装置において、保持部材とワキシング装置は、第1方向においてフレーム部材に固定されていてもよい。この場合、係合部は、第1方向に延びるピン形状を有し、被係合部は、ピン形状の係合部が係合する凹形状を有してもよい。これにより、例えば、ワキシング装置をフレーム部材に固定した状態で、保持部材を第1方向に移動させて、フレーム部材から離間させ、又は、フレーム部材に近接させることができる。また、その逆に、保持部材をフレーム部材に固定した状態で、ワキシング装置を第1方向に移動させて、フレーム部材から離間させ、又は、フレーム部材に近接させることができる。つまり、保持部材とワキシング装置のフレーム部材への組順に制限がなくなる。
【0011】
上記の巻取装置において、係合部は、保持部材に設けられ、樹脂材料により形成されてもよい。また、被係合部は、ワキシング装置に設けられ、金属材料により形成されてもよい。これにより、被係合部の強度が高くなり、保持部材の変形がさらに抑制され、ワキシング装置と検出装置との位置関係がさらに変化しにくくなる。
【0012】
また、保持部材に設けられたピン形状の係合部を樹脂材料で形成し、ワキシング装置に設けられた凹形状の被係合部を金属材料で形成することにより、係合部と被係合部の強度を高めつつ、そのサイズを小さくできる。
【0013】
上記の巻取装置は、走行速度測定部をさらに備えてもよい。走行速度測定部は、糸供給部とパッケージとの間を走行する糸の走行速度を測定する。この場合、走行速度測定部は、保持部材に保持されてもよい。これにより、保持部材とワキシング装置との位置関係が変化しにくいことで、走行速度測定部とワキシング装置との位置関係も変化しにくくなる。すなわち、ワキシング装置、検出装置、走行速度測定部の位置関係が変化しにくくなる。
【0014】
上記の巻取装置において、フレーム部材は、接地される導通部を有してもよい。この場合、保持部材は、保持部材のための連結部材を有してもよい。保持部材のための連結部材は、走行速度測定部と導通部とを連結する部材である。保持部材のための連結部材は、導電性を有してもよい。これにより、走行速度測定部への帯電が抑制されるので、走行速度測定部に対する静電気の影響を抑制できる。
【0015】
上記の巻取装置において、フレーム部材は、接地される導通部を有してもよい。この場合、ワキシング装置は、糸道ガイドと、ワキシング装置のための連結部材と、を有してもよい。糸道ガイドは、ワキシング装置を走行する糸をガイドする。ワキシング装置のための連結部材は、糸道ガイドと導通部とを連結する。ワキシング装置のための連結部材は、導電性を有してもよい。これにより、糸道ガイドへの帯電が抑制されるので、糸道ガイドに生じる静電気による影響を抑制できる。
【0016】
上記の巻取装置において、係合部と被係合部との係合は、糸の糸道を基準としてフレーム部材に近づく方向に30mm以内で行われ、かつ糸道を基準としてフレーム部材から離れる方向に20mm以内で行われてもよい。これにより、糸道に近い位置で係合部と被係合部とが係合するので、糸道の位置がより正確となる。
【発明の効果】
【0017】
検出装置を保持する保持部材が変形しやすい樹脂材料にて形成されていても、ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】糸巻取装置の構成を示す図。
図2】保持部材の前面斜視図。
図3】保持部材の背面斜視図。
図4】ワキシング装置を第1方向からみた正面図。
図5】モータケーシングの内部を示す図。
図6】保持部材とワキシング装置とが連結された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1実施形態
(1)糸巻取装置全体
図1を用いて、糸巻取装置100を説明する。図1は、糸巻取装置100の構成を示す図である。糸巻取装置100は、糸供給部1から供給された糸10を巻き取ってパッケージ20を形成する装置である。糸巻取装置100は、糸供給部1と、糸処理実行部3と、巻取部5と、フレーム部材7と、を備える。
【0020】
糸巻取装置100において、糸供給部1、糸処理実行部3、巻取部5は、糸10の走行方向の上流側から下流側へ向かってこの順に配置される。糸供給部1は、パッケージ20を形成するための糸を供給する。糸処理実行部3は、糸供給部1から供給された糸10を走行させて巻取部5に供給する。巻取部5は、糸処理実行部3から供給された糸10を巻き取ってパッケージ20を形成する。
【0021】
フレーム部材7は、糸巻取装置100の構成要素を支持する。フレーム部材7の内部には、糸巻取装置100を制御するためのユニット制御部が設けられている。フレーム部材7は、樹脂材料により形成されている。また、フレーム部材7には、導通部71(図3)が設けられる。導通部71は、接地された導電性を有する部材(例えば、銅などの金属部材)である。導通部71は接地されているので、導通部71はグラウンド電位となっている。
【0022】
(2)糸供給部
以下、糸供給部1、糸処理実行部3、巻取部5の詳細を説明する。糸供給部1は、給糸ボビン11から糸10を解舒し供給する。糸供給部1は、解舒補助装置13を有している。解舒補助装置13は、規制部材15を給糸ボビン11からの糸10の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン11からの糸10の解舒を補助する。規制部材15は、給糸ボビン11から解舒された糸の回転と遠心力によって給糸ボビン11の上方に形成されたバルーンに対して接触し、当該バルーンに適切なテンションを付与することによって糸の解舒を補助する。
【0023】
(3)糸処理実行部
糸処理実行部3は、糸供給部1から供給された糸10を走行させて巻取部5に供給する。糸処理実行部3は、張力付与装置31と、スプライサ32と、保持部材33と、走行速度測定装置34と、ヤーンクリアラ35と、ワキシング装置36と、を有している。
【0024】
張力付与装置31は、フレーム部材7の第1方向D1の面に固定され、糸10の走行方向において糸供給部1とスプライサ32との間に配置される。すなわち、張力付与装置31は、糸処理実行部3において糸10の走行方向の最上流側に配置される。張力付与装置31は、走行する糸10に所定のテンションを付与する。
【0025】
スプライサ32は、フレーム部材7の第1方向D1の面に固定され、糸10の走行方向において張力付与装置31と走行速度測定装置34との間に配置される。スプライサ32は、走行する糸10が切れたとき(糸切れ時)又は糸10を切断したとき(糸切断時)に、糸供給部1側の糸10と、巻取部5側の糸10と、を糸継ぎする装置である。
【0026】
スプライサ32により糸継ぎをする際、糸供給部1側の糸10と巻取部5側の糸10とがスプライサ32に導入される。この目的のため、糸処理実行部3は、下糸捕捉部37と、上糸捕捉部38と、を有する。
【0027】
下糸捕捉部37は、スプライサ32の上流側において、フレーム部材7に対して第1方向D1の軸周りに回動可能に設けられる。下糸捕捉部37の先端には、吸引口37aが設けられる。下糸捕捉部37には吸引源が接続されている。下糸捕捉部37は、吸引源により吸引口37aに吸引流を発生させることで、給糸ボビン11側の糸10を吸引捕捉する。
【0028】
上糸捕捉部38は、スプライサ32の下流側において、フレーム部材7に対して第1方向D1の軸周りに回動可能に設けられる。上糸捕捉部38の先端には、サクションマウス38aが設けられる。上糸捕捉部38には吸引源が接続されている。上糸捕捉部38は、吸引源によりサクションマウス38aに吸引流を発生させることで、パッケージ20側の糸10を吸引捕捉する。
【0029】
この構成で、糸切断時又は糸切れ時においては、上糸捕捉部38の回動により、サクションマウス38aが、図1に示す待機位置からパッケージ20近傍の捕捉位置へと移動し、パッケージ20を逆回転させることでパッケージ20から出てきた糸10を吸引捕捉する。その後、サクションマウス38aが捕捉位置から待機位置へと移動し、パッケージ20側の糸10をスプライサ32に導入する。また、下糸捕捉部37の吸引口37aが、図1に示す捕捉位置で給糸ボビン11側の糸10を吸引捕捉し、その後、捕捉位置から導入位置へと移動すること給糸ボビン11側の糸10をスプライサ32に導入する。スプライサ32は、このように導入された2つの糸10の端部を所定の糸継動作によって糸継ぎする。
【0030】
保持部材33は、フレーム部材7の第1方向D1の面に固定され、糸10の走行方向においてスプライサ32とワキシング装置36との間に配置される。保持部材33は、上流側(すなわち、スプライサ32に近い側)に走行速度測定装置34を保持し、下流側(すなわち、ワキシング装置36に近い側)にヤーンクリアラ35を保持している。保持部材33は、樹脂材料により形成されており、軽量化が図られている。
【0031】
走行速度測定装置34は、糸供給部1とパッケージ20との間を走行する糸10の走行速度を測定する。走行速度測定装置34は、例えば、光を照射して糸10を検出することで糸10の走行速度を測定する光電センサである。
【0032】
ヤーンクリアラ35は、糸供給部1とパッケージ20との間を走行する糸10の状態を検出する。ヤーンクリアラ35は、走行する糸10の太さや異物を検出し、糸10の太さ及び/又は異物に関する検出結果に基づいて糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ35には、糸欠陥を検出したときに糸10を切断するカッターが設けられる。また、ヤーンクリアラ35は、糸10の走行を検出し、糸10の走行を検出できないときに、糸10の糸切れが生じたことを検出できる。ヤーンクリアラ35により糸欠陥が検出されて糸10が切断されたとき、又は、ヤーンクリアラ35により糸切れが検出されたときに、上記で説明した糸継ぎが実行される。
【0033】
上記のように、走行速度測定装置34とヤーンクリアラ35とを1つの保持部材33に保持することにより、走行速度測定装置34とヤーンクリアラ35とをフレーム部材7に個別に固定した場合と比較して、走行速度測定装置34とヤーンクリアラ35との間の位置関係が変化しにくくなる。
【0034】
ワキシング装置36は、フレーム部材7の第1方向D1の面に固定され、糸10の走行方向において保持部材33と巻取部5との間に配置される。すなわち、ワキシング装置36は、糸処理実行部3において糸10の走行方向の最下流側に配置される。ワキシング装置36は、巻取部5に供給される糸10にワックスWを付与する。ワキシング装置36は、モータ36b(図5)によりワックスWを軸周りに回転させつつ糸10をワックスWに接触させて、糸10にワックスWを付与する。
【0035】
後述するように、ワキシング装置36と保持部材33とが連結されることで、ワキシング装置36と保持部材33との間の位置関係が、樹脂材料で形成された保持部材33の変形により変化することが抑制されている。
【0036】
糸処理実行部3は、クリーニング部39を有している。クリーニング部39は、走行する糸10に付着している異物を吸引して除去する装置である。クリーニング部39の基端はシャッタ装置を介して吸引源に接続され、クリーニング部39の先端には吸引口が形成されている。クリーニング部39の吸引口は、ワキシング装置36と巻取部5との間で走行する糸10に対して近接して配置される。
【0037】
(4)巻取部
巻取部5は、糸処理実行部3を通過した糸10を巻き取ってパッケージ20を形成する。巻取部5は、クレードル51と、綾振りドラム53と、を有する。クレードル51は、巻取管21を着脱可能に支持する。巻取管21は、紙管であってもプラスチック式の芯管であってもよい。綾振りドラム53は、巻取管21の周面又はパッケージ20の周面に接触して従動回転して糸10をトラバースさせる。
【0038】
クレードル51は、第1方向D1の軸周りに回動可能となっている。これにより、クレードル51が第1方向D1の軸周りに回動して、巻取管21への糸10の巻取に伴うパッケージ20の径の増大を吸収できる。なお、巻取部5は、図1に示すようにコーン形状のパッケージ20、又は、円筒形状のパッケージ20を形成可能である。
【0039】
(5)保持部材の詳細構成
以下、図2図3を用いて、保持部材33の詳細構成を説明する。図2は、保持部材33の前面斜視図である。図3は、保持部材33の背面斜視図である。保持部材33は、装置固定部33aと、フレーム固定部33bと、係合部33cと、第1連結部材33dと、を有する。保持部材33において、装置固定部33aと、フレーム固定部33bと、係合部33cは、樹脂材料により一体形成されている。
【0040】
装置固定部33aは、第1方向D1に延びる。装置固定部33aには、走行速度測定装置34とヤーンクリアラ35とが固定される。具体的には、走行速度測定装置34は、第1ねじ33eにより、装置固定部33aの上流側に固定される。ヤーンクリアラ35は、第2ねじ33fにより、装置固定部33aの下流側に固定される。少なくとも第1ねじ33eは、導電性を有する材料(例えば、金属材料)により形成されている。
【0041】
フレーム固定部33bは、第1方向D1における装置固定部33aの一端から、装置固定部33aの延長方向とは垂直な方向に延びる。フレーム固定部33bは、ねじなどの固定部材により、フレーム部材7の第1方向D1の面に固定される。すなわち、保持部材33は、第1方向D1においてフレーム部材7の面に固定される。
【0042】
係合部33cは、装置固定部33aにおける下流側の面から突出し、第1方向D1に延びる円筒形のピン形状を有する突起である。係合部33cは、ワキシング装置36に設けられた被係合部36f(図4)に係合することで、保持部材33とワキシング装置36とを連結する。
【0043】
第1連結部材33dは、装置固定部33aの背面(走行速度測定装置34とヤーンクリアラ35とが固定される面とは反対側の面)に接触するように設けられた、導電性を有する部材である。第1連結部材33dは、例えば、金属材料(例えば、銅)製である。保持部材33をフレーム部材7に固定したときに、第1連結部材33dの少なくとも一部は、フレーム部材7に設けられた導通部71に接触する。導電性を有する第1連結部材33dが導通部71に接触することで、第1連結部材33dは、グラウンド電位かそれに近い電位となっている。
【0044】
また、上記のとおり、第1連結部材33dは保持部材33に接触し、第1連結部材33dはグラウンド電位かそれに近い電位となっている。これにより、保持部材33への帯電が抑制される。
【0045】
さらに、第1ねじ33eにより走行速度測定装置34を保持部材33に固定した際に、第1連結部材33dと第1ねじ33eとが接触する。上記のとおり、第1連結部材33dと導通部71とが接触し、第1ねじ33eは導電性を有するので、保持部材33に固定された走行速度測定装置34は、第1ねじ33eと第1連結部材33dとを介して、導通部71と電気的に連結される。すなわち、走行速度測定装置34は、グラウンド電位かそれに近い電位となっている。これにより、走行速度測定装置34への帯電が抑制されるので、走行速度測定装置34に対する静電気の影響を抑制できる。このように、上記の第1連結部材33dと第1ねじ33eによって、走行速度測定装置34と導通部71とが連結されるので、第1連結部材33dと第1ねじ33eは、「保持部材のための連結部材」と呼ぶこともできる。
【0046】
なお、本開示の「導電性を有する」とは、各構成要素への過剰な帯電を抑制できる程度の導電性を有することを意味する。すなわち、「導電性を有する部材」と記載した場合、当該部材は、0かそれに近い電気抵抗を有することに限られず、過剰な帯電を抑制できる程度に電気を流すことができれば、ある程度の電気抵抗を有してもよいことを意味する。また、「電気的に連結される」も同様に、連結される部材同士が、0かそれに近い電気抵抗にて接続されることに限られず、過剰な帯電を抑制できる程度の電気抵抗を有して接続されてもよいことを意味する。
【0047】
また、第1連結部材33dが走行速度測定装置34に接触し、第1連結部材33dにより走行速度測定装置34と導通部71とを連結できる場合には、第1ねじ33eを省略するか、または、第1ねじ33eが導電性を有しなくともよい。
【0048】
(6)ワキシング装置の詳細構成
以下、図4図5を用いて、ワキシング装置36の詳細構成を説明する。図4は、ワキシング装置36を第1方向D1からみた正面図である。図5は、モータケーシング36aの内部を示す図である。ワキシング装置36は、モータケーシング36aと、モータ36bと、糸道ガイド36c~36eと、被係合部36fと、を主に有する。
【0049】
モータケーシング36aは、モータ36bを収納する。モータケーシング36aは、樹脂材料により形成され、軽量化されている。第1方向D1におけるモータケーシング36aの一端が、フレーム部材7の第1方向D1の面に固定されることで、ワキシング装置36はフレーム部材7に固定される。
【0050】
モータ36bは、モータケーシング36a内で、モータブラケットBKに固定されている。モータブラケットBKは、導電性を有する材料(例えば、金属材料)で形成されている。モータケーシング36aとモータブラケットBKとは、ワキシング装置36の本体を構成しており、「本体部」と呼ぶこともできる。
【0051】
モータ36bの出力回転軸には軸芯36gが設けられる。軸芯36gには、軸芯36gの回転に伴い回転するワックス保持部材36hが挿入されている。ワックス保持部材36hには、ワックスWが保持される。この構成では、モータ36bの出力回転軸が回転することにより軸芯36gが軸周りに回転し、この軸芯36gの回転によりワックス保持部材36hに保持されたワックスWが軸周りに回転する。
【0052】
糸道ガイド36c~36eは、ワキシング装置36を走行する糸10をガイドする。糸道ガイド36c~36eは、例えば、セラミックス材料で形成されている。糸道ガイド36cは、ワキシング装置36の最下流に設けられた第1導通部材36iに固定される。第1導通部材36iは、導電性を有する材料(例えば、金属材料)により形成された板状の部材である。
【0053】
一方、糸道ガイド36d、36eは、第2導通部材36jに固定される。第2導通部材36jは、導電性を有する材料(例えば、金属部材)により形成され、水平方向に延びワキシング装置36の下流側に配置される第1板部材P1と、水平方向に延びワキシング装置36の上流側に配置される第2板部材P2と、第1板部材P1と第2板部材P2とを接続する第3板部材P3と、を有する。
【0054】
第1板部材P1には、第1導通部材36iに固定された糸道ガイド36cに対向するよう、糸道ガイド36dが固定される。第2板部材P2には、第1板部材P1に固定された糸道ガイド36dと対向するよう、糸道ガイド36eが固定される。第3板部材P3は、モータケーシング36aの側面に固定される。第3板部材P3がモータケーシング36aの側面に固定されることで、第2導通部材36jは、モータケーシング36aに固定される。
【0055】
上記の糸道ガイド36c~36eは、導電性を有する第2連結部材36kにより、フレーム部材7の導通部71と連結されている。具体的には、糸道ガイド36c~36eと導通部71とは以下のようにして連結されている。糸道ガイド36c~36eと導通部71とを連結する第2連結部材36kは、第1接続部材C1と、第2接続部材C2と、第3接続部材C3と、を有する。
【0056】
第1接続部材C1は、導電性を有する材料(例えば、金属材料)により形成され、導通部71とモータブラケットBKとを接続する。第2接続部材C2は、導電性を有する材料(例えば、金属材料)により形成され、一端がモータブラケットBKに固定され、他端がモータケーシング36aに固定される。第2導通部材36jがモータケーシング36aに固定されたときに、第2接続部材C2の他端は、第2導通部材36jに接触する。このようにして、第2接続部材C2は、モータブラケットBKと第2導通部材36jとを接続する。
【0057】
上記のようにして、糸道ガイド36d、36eを固定した第2導通部材36jが、第1接続部材C1と第2接続部材C2とにより、導通部71と電気的に連結される。これにより、糸道ガイド36d、36eの電位が0又はそれに近い電位となるので、糸道ガイド36d、36eへの帯電が抑制される。糸道ガイド36d、36eへの帯電が抑制されることで、糸道ガイド36d、36eにて静電気が生じにくくなり、糸道ガイド36d、36eに生じる静電気による影響を抑制できる。例えば、糸道ガイド36d、36eに静電気が生じにくくなることで、糸道ガイド36d、36eへの風綿が付着しにくくなる。
【0058】
第2連結部材36kの第3接続部材C3は、導電性を有する材料(例えば、金属材料)により形成され、第1導通部材36iと第2導通部材36jとを電気的に連結する。このようにして、糸道ガイド36cが固定された第1導通部材36iが、導通部71と電気的に連結される。これにより、糸道ガイド36cの電位が0又はそれに近い電位となるので、糸道ガイド36cへの帯電が抑制される。糸道ガイド36cへの帯電が抑制されることで、糸道ガイド36cにて静電気が生じにくくなり、糸道ガイド36cに生じる静電気による影響を抑制できる。例えば、糸道ガイド36cに静電気が生じにくくなることで、糸道ガイド36cへの風綿が付着しにくくなる。
【0059】
被係合部36fは、ワキシング装置36の上流に設けられた、凹形状の部材である。被係合部36fの凹形状部分には、保持部材33の係合部33cが係合する。被係合部36fは、金属材料により形成されて、強度が高められている。これにより、被係合部36fは、変形しにくくなっている。被係合部36fに保持部材33の係合部33cが係合することで、図6に示すように、保持部材33とワキシング装置36とが、糸10の走行方向に連結される。図6は、保持部材33とワキシング装置36とが連結された状態を示す図である。
【0060】
保持部材33の係合部33cとワキシング装置36の被係合部36fとの係合は、糸道ガイド36c~36eにより定められる糸の糸道に近い位置で行われる。具体的には、係合部33cと被係合部36fとの係合は、糸道を基準として、フレーム部材7に近づく方向(図1における第1方向D1の右方向)に30mm以内で行われ、糸道を基準としてフレーム部材7から離れる方向(図1における第1方向D1の左方向)に20mm以内で行われる。これにより、糸道に近い位置で係合部33cと被係合部36fとが係合するので、糸道の位置がより正確となる。なお、フレーム部材7に近い位置で係合部33cと被係合部36fとの係合が行われた方が樹脂による変形が制限されるため、より好ましい。
【0061】
糸道ガイド36c~36eが平面視でV形状となっている場合、上記の糸道の基準は、糸道ガイド36c~36eのV字の谷の部分となる。
【0062】
上記の係合部33cと被係合部36fとにより保持部材33とワキシング装置36とを連結する構成では、例えば、樹脂材料で形成された保持部材33が上流側(図6における下方向)に変形しようとしても、ワキシング装置36の被係合部36fが保持部材33を支える状態となっているので、保持部材33の変形が制限される。上記のように、被係合部36fは金属材料により形成されて、強度が高められ変形しにくくなっているので、保持部材33の変形をさらに制限できている。保持部材33の変形が制限されることにより、保持部材33とワキシング装置36との位置関係が変化しにくくなる。
【0063】
凹形状の被係合部36fを樹脂材料で形成しても強度を高めることができるが、その場合には、凹形状の被係合部36fの厚み(すなわち、サイズ)が大きくなる。よって、保持部材33に設けられたピン形状の係合部33cを樹脂材料で形成し、ワキシング装置36に設けられた凹形状の被係合部36fを金属材料で形成することにより、係合部33cと被係合部36fの強度を高めつつ、そのサイズを小さくできる。
【0064】
保持部材33とワキシング装置36との位置関係が変化しにくくなることで、保持部材33に固定された走行速度測定装置34及びヤーンクリアラ35とワキシング装置36との位置関係も変化しにくくなる。すなわち、糸巻取装置100では、走行速度測定装置34と、ヤーンクリアラ35と、ワキシング装置36と、の位置関係が変化しにくくなっている。この結果、糸巻取装置100では、走行速度測定装置34及びヤーンクリアラ35と保持する保持部材33が変形しやすい樹脂材料で形成されていても、走行速度測定装置34及びヤーンクリアラ35が糸10の糸道から外れて配置されることを抑制できる。
【0065】
また、上記のように、保持部材33に設けられた係合部33cは、第1方向D1に延びた形状を有している。これにより、例えば、ワキシング装置36をフレーム部材7に固定した状態で、保持部材33を第1方向D1に移動させて、フレーム部材7から離間させ(保持部材33をフレーム部材7から取り外す)、又は、フレーム部材7に近接させる(保持部材33をフレーム部材7に取り付ける)ことができる。
【0066】
また、その逆に、保持部材33をフレーム部材7に固定した状態で、ワキシング装置36を第1方向D1に移動させて、ワキシング装置36をフレーム部材7から離間させ(ワキシング装置36をフレーム部材7から取り外す)、又は、フレーム部材7に近接させる(ワキシング装置36をフレーム部材7に釣り付ける)ことができる。つまり、保持部材とワキシング装置のフレーム部材への組順に制限がなくなる。
【0067】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)綾振溝を形成した綾振りドラム53の代わりに、綾振溝を形成していない回転ローラの回転によりパッケージ20(巻取管21)を回転させてもよい。この場合の糸10の綾振りは、例えば、トラバースアームを用いて行うことができる。
【0068】
(B)上記で説明した係合部をワキシング装置36に設け、この係合部が係合する被係合部を保持部材33に設けてもよい。
【0069】
(C)上記の実施形態では、ワキシング装置36に設けられた被係合部36fは、金属材料で形成されていた。しかし、これに限られず、被係合部36fを樹脂材料にて形成してもよい。
【0070】
(D)上記の技術は、他の種類の巻取装置(例えば、給糸ボビンを有さない空気紡績機など)にも適用できる。
【0071】
(E)上記の実施形態においては、ワキシング装置36の本体部(モータケーシング36aとモータブラケットBK)のうち、モータブラケットBKが金属材料で形成されていた。しかし、これに限られず、モータブラケットBKも樹脂材料で形成して、本体部全体を樹脂材料で形成してもよい。
【0072】
3.実施形態の特徴
上記実施形態は、下記のようにも説明できる。
(1)巻取装置(例えば、糸巻取装置100)は、糸供給部(例えば、糸供給部1)から供給される糸(例えば、糸10)を巻き取ってパッケージ(例えば、パッケージ20)を形成する巻取装置である。巻取装置は、検出装置(例えば、ヤーンクリアラ35)と、ワキシング装置(例えば、ワキシング装置36)と、保持部材(例えば、保持部材33)と、フレーム部材(例えば、フレーム部材7)と、を備える。検出装置は、糸供給部とパッケージとの間を走行する糸の状態を検出する。ワキシング装置は、糸にワックス(例えば、ワックスW)を付与する。保持部材は、検出装置を保持する。フレーム部材には、保持部材とワキシング装置とが固定される。この巻取装置では、保持部材は、樹脂材料により形成される。また、保持部材とワキシング装置のいずれか一方には係合部(例えば、係合部33c)が設けられ、他方には被係合部(例えば、被係合部36f)が設けられ、係合部が被係合部に係合することで、保持部材とワキシング装置が連結される。
【0073】
上記の巻取装置では、保持部材とワキシング装置のいずれか一方に設けた係合部を、他方に設けた被係合部に係合させることで、保持部材とワキシング装置とを連結している。保持部材とワキシング装置とが連結されることで、ワキシング装置が保持部材の変形を制限するので、保持部材とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなる。保持部材とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなることで、保持部材に保持された検出装置とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなる。すなわち、上記の巻取装置では、検出装置を保持する保持部材が変形しやすい樹脂材料にて形成されていても、ワキシング装置と検出装置との位置関係が変化しにくい。
【0074】
(2)上記(1)の巻取装置において、ワキシング装置は、フレーム部材と接触し固定される本体部(モータケーシング36a、モータブラケットBK)を有してもよい。この場合、本体部の少なくとも一部は、樹脂材料により形成されていてもよい。これにより、ワキシング装置を軽量化できる。
【0075】
(3)上記(1)又は(2)の巻取装置において、保持部材とワキシング装置は、第1方向(例えば、第1方向D1)においてフレーム部材に固定されていてもよい。この場合、係合部は、第1方向に延びるピン形状を有し、被係合部は、ピン形状の係合部が係合する凹形状を有してもよい。これにより、例えば、ワキシング装置をフレーム部材に固定した状態で、保持部材を第1方向に移動させて、フレーム部材から離間させ、又は、フレーム部材に近接させることができる。また、その逆に、保持部材をフレーム部材に固定した状態で、ワキシング装置を第1方向に移動させて、フレーム部材から離間させ、又は、フレーム部材に近接させることができる。つまり、保持部材とワキシング装置のフレーム部材への組順に制限がなくなる。
【0076】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの巻取装置において、係合部は、保持部材に設けられ、樹脂材料により形成されてもよい。また、被係合部は、ワキシング装置に設けられ、金属材料により形成されてもよい。これにより、被係合部の強度が高くなり、保持部材の変形がさらに抑制され、ワキシング装置と検出装置との位置関係がさらに変化しにくくなる。
【0077】
また、保持部材に設けられたピン形状の係合部を樹脂材料で形成し、ワキシング装置に設けられた凹形状の被係合部を金属材料で形成することにより、係合部と被係合部の強度を高めつつ、そのサイズを小さくできる。
【0078】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの巻取装置は、走行速度測定部(例えば、走行速度測定装置34)をさらに備えてもよい。走行速度測定部は、糸供給部とパッケージとの間を走行する糸の走行速度を測定する。この場合、走行速度測定部は、保持部材に保持されてもよい。これにより、保持部材とワキシング装置との位置関係も変化しにくいことで、走行速度測定部とワキシング装置との位置関係が変化しにくくなる。すなわち、ワキシング装置、検出装置、走行速度測定部の位置関係が変化しにくくなる。
【0079】
(6)上記(5)の巻取装置において、フレーム部材は、接地される導通部(例えば、導通部71)を有してもよい。この場合、保持部材は、保持部材のための連結部材(例えば、第1連結部材33d、第1ねじ33e)を有してもよい。保持部材のための連結部材は、走行速度測定部と導通部とを連結する部材である。保持部材のための連結部材は、導電性を有してもよい。これにより、走行速度測定部への帯電が抑制されるので、走行速度測定部に対する静電気の影響を抑制できる。
【0080】
(7)上記(1)~(6)のいずれかの巻取装置において、フレーム部材は、接地される導通部を有してもよい。この場合、ワキシング装置は、糸道ガイド(例えば、糸道ガイド36c~36e)と、ワキシング装置のための連結部材(例えば、第2連結部材36k)と、を有してもよい。糸道ガイドは、ワキシング装置を走行する糸をガイドする。ワキシング装置のための連結部材は、糸道ガイドと導通部とを連結する。ワキシング装置のための連結部材は、導電性を有してもよい。これにより、糸道ガイドへの帯電が抑制されるので、糸道ガイドに生じる静電気による影響を抑制できる。
【0081】
(8)上記(1)~(7)のいずれかの巻取装置において、係合部と被係合部との係合は、糸の糸道を基準としてフレーム部材に近づく方向に30mm以内で行われ、かつ糸道を基準としてフレーム部材から離れる方向に20mm以内で行われてもよい。これにより、糸道に近い位置で係合部と被係合部とが係合するので、糸道の位置がより正確となる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0083】
100 :糸巻取装置
1 :糸供給部
10 :糸
11 :給糸ボビン
13 :解舒補助装置
15 :規制部材
3 :糸処理実行部
31 :張力付与装置
32 :スプライサ
33 :保持部材
33a :装置固定部
33b :フレーム固定部
33c :係合部
33d :第1連結部材
33e :第1ねじ
33f :第2ねじ
34 :走行速度測定装置
35 :ヤーンクリアラ
36 :ワキシング装置
W :ワックス
36a :モータケーシング
36b :モータ
36c :糸道ガイド
36d :糸道ガイド
36e :糸道ガイド
36f :被係合部
36g :軸芯
36h :ワックス保持部材
36i :第1導通部材
36j :第2導通部材
P1 :第1板部材
P2 :第2板部材
P3 :第3板部材
36k :第2連結部材
C1 :第1接続部材
C2 :第2接続部材
C3 :第3接続部材
37 :下糸捕捉部
37a :吸引口
38 :上糸捕捉部
38a :サクションマウス
39 :クリーニング部
5 :巻取部
20 :パッケージ
21 :巻取管
51 :クレードル
53 :綾振りドラム
7 :フレーム部材
71 :導通部
BK :モータブラケット
D1 :第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6