(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166762
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20241122BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241122BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01L29/78 655F
H01L29/78 652N
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/06 301M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 655A
H01L29/78 655B
H01L29/78 652K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083085
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松田 成修
(57)【要約】
【課題】ゲート抵抗領域でのブレークダウンを抑制した半導体装置を提供する。
【解決手段】実施の形態に係る半導体装置1は、第1導電型の第1半導体領域10と、第1半導体領域10の上に形成された第2型導電型の第2半導体領域16と、第2半導体領域16の上に絶縁膜38を介してゲート電極14を形成した第1トレンチ構造12Aを有する半導体素子領域100と、平面的に見て半導体素子領域100の外側に、第2半導体領域16と電気的に接続されて設けられた第2型導電型の第3半導体領域17と、第3半導体領域17の上に絶縁膜40を介してゲート抵抗26を形成した第2トレンチ構造12Gを有するゲート抵抗領域200とを備える。第3半導体領域17の深さDPは、第2半導体領域16の深さDBより深く、第2トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGよりも浅い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に形成された第2型導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に第1絶縁膜を介してゲート電極を形成した第1トレンチ構造を有する半導体素子領域と、
平面的に見て、前記半導体素子領域の外側に前記第2半導体領域と電気的に接続されて設けられた第2型導電型の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に第2絶縁膜を介してゲート抵抗を形成した第2トレンチ構造を有するゲート抵抗領域と
を備え、
前記第3半導体領域の深さは、前記第2半導体領域の深さより深く、前記第2トレンチ構造のトレンチ深さよりも浅い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1トレンチ構造のトレンチ深さと前記第2トレンチ構造のトレンチ深さが等しい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1トレンチ構造のトレンチ間隔と、前記第2トレンチ構造のトレンチ間隔が等しい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1トレンチ構造のトレンチ幅と、前記第2トレンチ構造のトレンチ幅が等しい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1トレンチ構造のトレンチ間隔よりも前記第2トレンチ構造のトレンチ間隔が広い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
平面的に見て、前記半導体素子領域の外側に設けられた耐圧改善領域を備え、
前記耐圧改善領域は、
前記第3半導体領域と、
前記第3半導体領域を貫通するように形成された第3トレンチ構造と、
前記第3トレンチ構造内に第3絶縁膜を介して形成された第1フローティング電極と
を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート抵抗領域は、前記第2トレンチ構造の周囲の前記第3半導体領域を貫通する第4トレンチ構造により囲まれており、第4トレンチ構造にはトレンチ内に絶縁膜を介して第2フローティング電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2トレンチ構造は複数備えられており、
前記第2トレンチ構造の少なくとも一部はゲートランナーと電気的に接続させる第1コンタクトと、前記第1コンタクトと離間してゲートパッドと電気的に接続させる第2コンタクトを備え、
前記第2トレンチ構造の少なくとも一部は前記ゲートランナー又は前記ゲートパッドの何れか一方と電気的に接続する第3コンタクトを備え、前記ゲートランナー又は前記ゲートパッドの何れか他方と電気的に接続する第4コンタクトを備えない、請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2半導体領域の上に前記第1絶縁膜に接して配置された第1導電型の第4半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第4半導体領域に接続された第1電極と
を備え、
前記第1電極は、前記第3半導体領域と接続されている、請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
平面的に見て、前記半導体素子領域と前記ゲート抵抗領域との間に前記ゲート抵抗領域に接続されるゲートパッドを備える、請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1トレンチ構造の延びる方向と前記第2トレンチ構造の延びる方向は互いに平行である、請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1トレンチ構造と前記第2トレンチ構造は複数並置されており、
前記第1トレンチ構造の延びる方向と前記第2トレンチ構造の延びる方向は互いに非平行であり、
複数の前記ゲート抵抗がコンタクトを介して接続される前記ゲートランナーの箇所の方向と、複数の前記ゲート電極と接続される前記ゲートランナーの箇所の方向とが異なる、請求項8の半導体装置。
【請求項13】
前記第2半導体領域の上に前記第1絶縁膜に接して配置された第1導電型の第4半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第4半導体領域に接続された第1電極と
を備え、
前記第2トレンチ構造は複数備えられており、
前記第2トレンチ構造の少なくとも一部はゲートランナーと電気的に接続させる第1コンタクトと、前記第1コンタクトと離間してゲートパッドと電気的に接続させる第2コンタクトを備え、
前記第2トレンチ構造の少なくとも一部は前記第1電極と電気的に接続させる第5コンタクトを備える、請求項1から7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2半導体領域の上に前記第1絶縁膜に接して配置された第1導電型の第4半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第4半導体領域に接続された第1電極と
を備え、
前記第2トレンチ構造の少なくとも一部は前記第1電極と電気的に接続させる第5コンタクトを備える、請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力用半導体素子として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor以下、IGBTと称する)や酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET: Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor以下、MOSと称する)等の絶縁ゲート構造のスイッチング素子が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-197914号公報
【特許文献2】特開2023-17246号公報
【特許文献3】特開2013-62523号公報
【特許文献4】特開2023-8669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体チップの特性ばらつきを抑制するため、ゲート電極やゲート配線(ゲートランナー)の抵抗とは別に半導体チップ内にゲート抵抗素子としての抵抗領域を内蔵した半導体装置がある。このような半導体装置は、例えば、ゲートパッドとゲート配線との間の半導体基板表面上に絶縁膜を介して形成されたポリシリコン抵抗が構成されている。
【0005】
ところで、活性領域に例えばトレンチゲート構造の半導体素子が設けられ、半導体基板表面上に絶縁膜を介してポリシリコン抵抗を形成する場合、トレンチゲート構造とは別工程で半導体基板表面上のポリシリコン抵抗を形成しなければならず、ポリシリコン抵抗を設けることにより、工数が増加・半導体装置の面積が増加してしまう。そこでポリシリコン抵抗にもトレンチ構造を採用するが、トレンチ構造のポリシリコン抵抗を形成したゲート抵抗領域において、ブレークダウンが生じることがある。
【0006】
実施の形態が解決しようとする課題は、ゲート抵抗領域でのブレークダウンを低減した半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態に係る半導体装置は、第1導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に形成された第2型導電型の第2半導体領域と、第2半導体領域の上に第1絶縁膜を介してゲート電極を形成した第1トレンチ構造を有する半導体素子領域と、平面的に見て半導体素子領域の外側に、第2半導体領域と電気的に接続されて設けられた第2型導電型の第3半導体領域と、第3半導体領域の上に第2絶縁膜を介してゲート抵抗を形成した第2トレンチ構造を有するゲート抵抗領域とを備える。第3半導体領域の深さは、第2半導体領域の深さより深く、第2トレンチ構造のトレンチ深さよりも浅い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施の形態によれば、ゲート抵抗領域でのブレークダウンを低減した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施の形態に係る半導体装置の一部分の上面図。
【
図1B】実施の形態に係る半導体装置の全体構造の上面図。
【
図8A】実施の形態に係る半導体装置のゲート抵抗用トレンチ構造の詳細な上面図。
【
図9】実施の形態の変形例1に係る半導体装置の一部分の上面図。
【
図10】実施の形態の変形例1に係る半導体装置の全体構造の上面図。
【
図11A】実施の形態の変形例2に係る半導体装置の一部分の上面図。
【
図11B】実施の形態の変形例2に係る半導体装置の全体構造の上面図。
【
図12】実施の形態の変形例3に係る半導体装置の全体構造の上面図。
【
図13】実施の形態の変形例4に係る半導体装置の断面図。
【
図14】実施の形態の変形例5に係る半導体装置の断面図。
【
図15】実施の形態の変形例5に係る半導体装置のゲート抵抗用トレンチ構造の詳細な上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部の長さの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。なお、本発明において「上面」、「下面」などの上、下を特定する用語は、記載の便宜上使用しているのであって、側面上に設けられている場合であっても、本発明の構成要件と実質同一であれば、本発明の権利範囲に属するものである。また、「上」とは対象に接して形成される場合だけでなく、別の層を介して形成される場合をも含む。
【0012】
以下の説明においては、半導体装置の方向をXYZ軸で定義する。断面図で左右方向をX軸方向、紙面垂直方向をY軸方向、XY平面に垂直方向をZ軸方向とする。尚、これらの方向については、一例である。パターンの配置によっては、適宜変更可能である。また、以下の説明においては、半導体装置としてIGBTを中心に記載するが、MOSFETであっても良い。また、電子注入促進型絶縁ゲートトランジスタ(IEGT:Injection Enhanced Gate Transistor)や逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)などの他の絶縁ゲート構造の素子であってもよい。また、スーパージャンクションMOSFET(Super Junction MOSFET)や相補型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(CMOSFET:Complementary Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であっても良い。
【0013】
(実施の形態)
図1Aは、実施の形態に係る半導体装置1の一部分の上面図である。また、
図1Bは、実施の形態に係る半導体装置1の全体構造の上面図である。
図2は、
図1AのI-I線に沿う断面図であり、
図3は、
図1AのII-II線に沿う断面図であり、
図4は、
図1AのIII-III線に沿う断面図である。
図5は、
図1AのIV-IV線に沿う断面図であり、
図6は、
図1AのV-V線に沿う断面図であり、
図7は、
図1AのVI-VI線に沿う断面図である。
【0014】
実施の形態に係る半導体装置1は、
図1~
図7に示すように、半導体素子領域100と、ゲート抵抗領域200と、耐圧改善領域300とを備える。
【0015】
半導体素子領域100は、第1導電型の第1半導体領域10と、第1半導体領域10の上に形成された第2型導電型の第2半導体領域16と、第2半導体領域16の上に第1絶縁膜38を介してゲート電極14を形成したゲートトレンチ構造12Aを有する。尚、
図1Bにおいて、破線Pで囲まれて表示される領域は、半導体素子領域100内において、ゲートトレンチ構造12Aが複数並列に配置される領域であることを示しており、ゲートトレンチ構造12Aの長手方向はX方向となっている。
【0016】
ゲート抵抗領域200は、平面的に見て、半導体素子領域100の外側に第2半導体領域16と電気的に接続されて設けられた第2型導電型の第3半導体領域17と、第3半導体領域17の上に第2絶縁膜40を介してゲート抵抗26を形成したゲート抵抗トレンチ構造12Gを有する。半導体基板の表面上には絶縁膜34が設けられ、絶縁膜34上にゲートパッド24Pとゲートランナー22Lが設けられている。ゲート抵抗26は、絶縁膜34に設けられたコンタクト28を介してゲートランナー22Lに接続され、絶縁膜34に設けられたコンタクト30を介してゲートパッド24Pに接続されている。コンタクト28は導電層28Lを介してゲートランナー22Lに接続される。また、コンタクト30は導電層30Pを介してゲートパッド24Pに接続される。尚、コンタクト28、30の一部はゲート抵抗26の上面から内部へ埋め込まれている。また、
図1Bにおいて、ゲート抵抗トレンチ構造12Gの長手方向はゲートトレンチ構造12Aの長手方向と同じX方向となっている。また、図示しないが、ゲートランナー22Lとゲート電極14とが例えばゲートトレンチ構造12Aの端側(例えば
図1Bの紙面の12Aの上側)で電気的に接続している。また、
図1Bにおいてゲートランナー22Lは半導体素子領域100を囲っているが、ゲートランナー22LはC字のように半導体素子領域100を完全に囲まなくてもよい。また、
図6のように複数のゲート抵抗26上を跨って、絶縁膜34を介してコンタクト28とゲートランナー22Lが形成されている。図示していないが、同様に複数のゲート抵抗26上を跨って、絶縁膜34を介してコンタクト30とゲートパッド24Pが形成されている。また、
図7のように、ゲートパッド24P直下のゲート抵抗トレンチ構造12Gの長手方向の端からゲートトレンチ構造12Aの長手方向の端との間の領域においても、第3半導体領域17が形成されている。
【0017】
耐圧改善領域300は、平面的に見て、半導体素子領域100及び/又はゲート抵抗領域200の外側に設けられ、第2半導体領域16と電気的に接続されて設けられた第2型導電型の第3半導体領域17と、第3半導体領域17の上に第3絶縁膜42を介してフローティング電極32を形成した複数の耐圧改善トレンチ構造12Bを有する。
図2において、隣り合う耐圧改善トレンチ構造12B間には第3半導体領域17が設けられており、
図1Bのように耐圧改善トレンチ構造12Bが半導体素子領域100及び/又はゲート抵抗領域200を囲むように形成されることで、耐圧改善トレンチ構造12B間の第3半導体領域17はフローティング電位となっている。
【0018】
実施の形態に係る半導体装置1をIGBTとして構成する場合には、
図4と5に示すように、第1半導体領域10はN型ドリフト領域、第2半導体領域16はP型ベース層、第3半導体領域17はP型半導体領域となる。第1半導体領域10のマイナスZ方向には、N
+型フィールドストップ領域8、P
+コレクタ領域6及びコレクタ電極4Cが設けられる。Pベース層の第2半導体領域16のZ方向の上には第1絶縁膜38に接してエミッタ領域18が配置され、さらにPベース層の第2半導体領域16とエミッタ領域18にはエミッタ電極20Eが接続される。実施の形態に係る半導体装置1をNチャネルMOSとして構成する場合には、P
+コレクタ領域6はN
+ドレイン領域、コレクタ電極4Cはドレイン電極となる。エミッタ領域18はN
+ソース領域、エミッタ電極20Eはソース電極となる。
【0019】
ここで、
図2に示すように、半導体基板上面から第3半導体領域17の深さDPは、半導体基板上面から第2半導体領域16の深さDBより深く、半導体基板上面からゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGよりも浅い。第3半導体領域17の深さDPを第2半導体領域16の深さDBより深く形成する理由は、実施の形態に係る半導体装置1の耐圧改善領域300において、半導体素子領域100よりも高耐圧を実現し、半導体素子領域100側でブレークダウンさせるためである。
【0020】
図2に示すように、ゲートトレンチ構造12Aのトレンチ深さDAとゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGは、等しい値に形成すると良い。ゲートトレンチ構造12Aと、ゲート抵抗トレンチ構造12Gは、トレンチの形成工程において、同時に形成することによって、プロセスの変動に伴う特性ばらつきをより均一化することが可能である。
【0021】
図1に示すように、ゲートトレンチ構造12Aのトレンチ間隔MAと、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ間隔MGは、等しい値に形成すると良い。ゲートトレンチ構造12Aのトレンチ間隔MAと、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ間隔MGは、等しい値に形成することによって、製造工程におけるプロセスの変動に伴う特性ばらつきをより均一化することができるからである。
【0022】
ゲートトレンチ構造12Aのトレンチ幅WAと、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ幅WGは、等しい値に形成可能である。ゲートトレンチ構造12Aのトレンチ幅WAと、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ幅WGは、等しい値に形成することによって、製造工程におけるプロセスの変動をより均一化することができるからである。
【0023】
さらに、ゲートトレンチ構造12Aのトレンチ間隔MAよりもゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ間隔MGを広く形成しても良い。半導体素子領域100側でブレークダウンさせると、半導体装置1のスイッチング時に発振する場合がある。そこで、ゲート抵抗領域200のトレンチ間隔MGを半導体素子領域100のトレンチ間隔MAよりも広くし、ゲート抵抗領域200のトレンチ底部近傍でブレークダウンさせてもよい。ここで云うトレンチ間隔とは、正確にはトレンチとトレンチとの間の半導体領域(メサ部)のピッチである。ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ間隔MGを半導体素子領域100のゲートトレンチ構造12Aのトレンチ間隔MAよりも広くすると、ゲート抵抗トレンチ構造12GのP型半導体領域17の部分に電気力線が入り込みやすくなるため、ゲート抵抗領域200のトレンチ底部近傍でブレークダウンしやすくなる。
【0024】
更に、
図1A及び
図1Bに示すように、平面的に見て、半導体素子領域100及び/又はゲート抵抗領域200の外側に設けられた耐圧改善領域300を備えていても良い。
【0025】
耐圧改善領域300は、
図2~
図4に示すように、第3半導体領域17と、第3半導体領域17を貫通するように形成された耐圧改善トレンチ構造12Bと、耐圧改善トレンチ構造12B内に第3絶縁膜42を介して形成されたフローティング電極32とを備える。耐圧改善領域300のトレンチ間隔MBおよび耐圧改善領域のトレンチ幅WBは、耐圧に応じて設定すればよい。耐圧改善トレンチ構造12Bのトレンチ深さDBBは、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGと等しい値に形成すると良い。
【0026】
ゲート抵抗領域200よりもチップ端側には耐圧改善領域300が活性領域100を囲むように設けられており、その耐圧改善領域300内には複数のトレンチ型の耐圧改善構造が形成されている。この耐圧改善構造のトレンチ間のメサ部の表面にもP型半導体領域17が形成されており、ゲート抵抗領域200側のP型半導体領域17の部分はゲート抵抗領域200のP型半導体領域17と接続している。耐圧改善領域300のP型半導体領域17もゲート抵抗領域200のP型半導体領域17と同様にPベース領域16よりも深く形成されており、P型半導体領域17と耐圧改善トレンチ構造12Bを挟んで外側のP型半導体領域17とは耐圧改善トレンチ構造12Bで分断されている。耐圧改善領域300が半導体素子領域100とゲート抵抗領域200とを囲む。また、耐圧改善領域300の耐圧改善トレンチ構造12Bのトレンチ間のメサ部の表面のP型半導体領域17とゲート抵抗領域200のP型半導体領域17との間はN型ドリフト領域で分断されていない。
【0027】
更に、
図1A及び
図1Bに示すように、平面的に見て、半導体素子領域100及び/又はゲート抵抗領域200の外側に設けられたゲートランナー22Lを備えていても良い。ここで、ゲートランナー22Lは、半導体素子領域100の外側でゲート抵抗領域200の外側又は内側でかつ耐圧改善領域300に内側に設けられている。ゲートランナー22Lは、半導体素子領域100のゲート電極14と電気的に接続されている。また、ゲートランナー22Lは、
図1A及び
図2に示すように、コンタクト28を介して一部のゲート抵抗26に接続される。ゲート抵抗26は、ポリシリコンにより形成可能である。
【0028】
したがって、ゲート抵抗領域200のゲート抵抗トレンチ構造12Gと、半導体素子領域100のゲートトレンチ構造12Aを同時に形成可能であり、ゲート抵抗26が半導体素子領域100と同時形成可能である。また、ゲート抵抗トレンチ構造12Gを用いることにより、ゲート抵抗の面積が縮小化可能である。
【0029】
また、ゲートランナー22Lに接続されるコンタクト28、ゲートパッド24Pに接続されるコンタクト30の有無によって、抵抗値の調整が可能である。ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ幅WGやゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ間隔MG、ゲート抵抗26の長さを調整することによっても、ゲート抵抗領域の耐圧の調整が可能である。
【0030】
また、
図1A及び
図1Bに示すように、半導体素子領域100とゲートランナー22Lとの間にゲートパッド24Pが設けられていても良い。ゲートパッド24Pは、
図1A及び
図2に示すように、コンタクト30を介して少なくとも一部のゲート抵抗26に接続される。図示は省略するが、ゲートパッド24Pには外部配線が接続される。
【0031】
(ゲート抵抗トレンチ構造)
図8Aは、ゲート抵抗領域200のゲート抵抗トレンチ構造12Gの詳細な上面図であり、
図8Bは、
図8AのVII―VII線に沿う断面図である。なお、
図1Aや
図1Bでは5個のゲート抵抗トレンチ構造12Gを示していたが、
図8Aでは11個のゲート抵抗トレンチ構造12Gが配置されている例が示されている。
【0032】
ゲート抵抗領域200は、第2型導電型の第3半導体領域17と、第3半導体領域17の上に第2絶縁膜40を介してゲート抵抗26を形成したゲート抵抗トレンチ構造12Gを有する。ゲート抵抗26は、コンタクト28を介してゲートランナー22Lに接続され、コンタクト30を介してゲートパッド24Pに接続されている。コンタクト28は導電層28Lを介してゲートランナー22Lに接続される。また、コンタクト30は導電層30Pを介してゲートパッド24Pに接続される。ゲート抵抗トレンチ構造12Gは、
図8Aに示すように、複数配置されている。
図8Bに示すように、ゲートランナー22Lとゲート抵抗26との間にはコンタクト抵抗RCLが形成され、ゲートパッド24Pとゲート抵抗26との間にはコンタクト抵抗RCPが形成される。さらに、ポリシリコンで形成されるゲート抵抗26内部には、直列に分布する抵抗RS1、RS2、RS3が形成される。コンタクト28、30が共に形成されているゲート抵抗トレンチ構造12Gでは、所定の値のゲート抵抗26が得られる。コンタクト30が形成されていないゲート抵抗トレンチ構造12Gは、ゲート抵抗26としては機能していない。例えば、
図8Aの紙面の上から1番目と2番目のゲート抵抗トレンチ構造12Gでは、コンタクト28が設けられゲートランナー22Lとゲート抵抗26が電気的に接続しているが、コンタクト30は設けられておらずゲートパッド24Pとゲート抵抗26が電気的に接続していない。
図8Aの紙面の上から11番目のゲート抵抗トレンチ構造12Gも同様である。したがって、11個のゲート抵抗トレンチ構造12Gのうち、8個のゲート抵抗26が並列接続されてゲートランナー22Lとゲートパッド24Pとの間のゲート抵抗として機能し、3個のゲート抵抗トレンチ構造12Gが不使用のゲート抵抗となっている。これにより、ゲート抵抗26の電位はゲート電位が印加されつつ、コンタクトの有無によって、ゲートパッド24Pとゲートランナー22Lとの間でゲート抵抗として機能するゲート抵抗26の本数を調整可能であり、ゲート抵抗の値を調整可能である。接続されるゲート抵抗26の本数とコンタクト28,30を設けるか否かによって、ゲート抵抗トレンチ構造12Gを形成した後であっても、適宜ゲート抵抗領200のゲート抵抗値を変えることができる。尚、ゲート抵抗トレンチ構造12Gの配置は、
図8Aに限定されない。また、上記実施例ではコンタクト30の有無でゲート抵抗の値を調整したが、すべてのゲート抵抗トレンチ構造12Gにコンタクト30を設けてゲートパッド24Pとゲート抵抗26が電気的に接続し、コンタクト28の有無によってゲートパッド24Pとゲートランナー22Lとの間に並列接続されるゲート抵抗トレンチ構造12Gの本数を調整してもよい。
【0033】
実施の形態に係る半導体装置1は、ゲート抵抗トレンチ構造12Gで挟まれた半導体領域にはP型半導体領域17が形成されている。P型半導体領域17の半導体素子領域100側は、
図2の領域Bに示すように、エミッタ電極20Eと電気的に接続している。また、P型半導体領域17は、半導体素子領域100のPベース領域16と接続している。P型半導体領域17の深さDPは、Pベース領域16の深さDBより深く、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGよりも浅い。そして、P型半導体領域17の不純物濃度はPベース領域16の不純物濃度よりも低い。これにより、P型半導体領域17を有するゲート抵抗トレンチ構造12Gや耐圧改善トレンチ構造12Bに比べて、半導体素子領域100のゲートトレンチ構造12A近傍(溝の底部のコーナー部付近)で電界集中が生じる。また、P型半導体領域17は、P型半導体領域17の深さDPは、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGよりも浅いので、半導体装置1のプロセス工程全体が長くなることも回避できる。
【0034】
半導体素子領域(活性領域)100のゲートトレンチ構造12Aと、ゲート抵抗トレンチ構造12Gはトレンチの延伸する方向(
図1AのX方向)、トレンチの幅(WG、WA)、トレンチの深さ(DG、DA)、隣接するトレンチまでのトレンチ間隔(MG、MA)がそれぞれ等しいことが望ましい。ゲートトレンチ構造12Aとゲート抵抗トレンチ構造12Gは同時に形成され、更に同様のトレンチ構造が平面内により広い範囲に形成されることで、トレンチ端部の形状が比較的安定する。これにより、プロセスの共通化だけでなく、トレンチ端部で生じるブレークダウン位置が製造ばらつきで変化することを抑制することができる。
【0035】
図5に示すように、半導体素子領域(活性領域)100のPベース領域16はエミッタ電極20Eと電気的に接続している。Pベース領域16とP型半導体領域17は接続しているため、P型半導体領域17とエミッタ電極20Eが電気的に接続している。また、P型半導体領域17は、ゲートトレンチ構造12Aの端側のどこかがエミッタ電極20Eと直接接続していてもよい。例えば、
図2では、活性領域100の端部B近傍で、エミッタ電極20EとP型半導体領域17が接続される。したがって、エミッタ電極20EとPベース領域16、P型半導体領域17が電気的に共通に接続されている。なお、エミッタ電極20Eは絶縁層34でゲート電極14と絶縁している。
【0036】
図2の端部Aに示すように、P型半導体領域17の深さDPはPベース領域16の深さDBより深く、ゲート抵抗トレンチ構造12Gのトレンチ深さDGよりも浅い。
図2におけるP型半導体領域17の開始位置(端部A)はゲートトレンチ構造12Aの長手方向の端よりも半導体素子領域100側(プラスX方向)にあり、ゲートトレンチ構造12Aの長手方向の端近傍の隣接するゲートトレンチ構造12Aで挟まれたメサ部にはP型半導体領域17が形成されている。
【0037】
活性領域100はゲート抵抗領域200や耐圧改善領域300より広いので、活性領域100で電界集中させてブレークダウンさせることで、ブレークダウン電流が狭い領域に流れることによる焼損などの破壊に至らないようにすることができる。
【0038】
(変形例1)
図9は、実施の形態の変形例1に係る半導体装置1Aの一部の上面図である。また、
図10は、実施の形態の変形例1に係る半導体装置1Aの全体構造の上面図である。尚、
図10において、破線Pで囲まれて表示される領域は、半導体素子領域100内において、ゲートトレンチ構造12Aが配置される領域であることを示している。実施の形態の変形例1に係る半導体装置1Aは、
図9及び
図10に示すように、ゲート抵抗領域200と半導体素子領域100との間にゲートランナー22L1を配置した構成を有する。そして、実施の形態に係る半導体装置1(
図1A、
図1B)に比べてゲートパッド24Pとゲートランナー22LをX方向で反対の方向に配置している。このように配置することで、ゲートトレンチ構造12Aの長手方向をゲート抵抗トレンチ構造12Gの長手方向と同じX方向としつつ、ゲートトレンチ構造12Aのゲート電極14の両端をゲートランナー22Lへと容易に接続できる。なお、
図10で示すように、ゲート抵抗領域200をゲートランナー22Lにより取り囲んでいてもよい。また、ゲート抵抗領域200の外側に別の半導体素子領域100を配置してもよい。
【0039】
(変形例2)
図11Aは、実施の形態の変形例2に係る半導体装置1Bの上面図である。
図11Bは、実施の形態の変形例2に係る半導体装置1Bの全体構造の上面図である。尚、
図11Bにおいて、破線Pで囲まれて表示される領域は、半導体素子領域100内において、ゲートトレンチ構造12Aが配置される領域であることを示している。
【0040】
実施の形態に係る半導体装置1及び実施の形態の変形例1に係る半導体装置1Aでは、ゲートトレンチ構造12Aの延びる方向(長手方向)とゲート抵抗トレンチ構造12Gの延びる方向(長手方向)はいずれもX方向である。すなわち、ゲートトレンチ構造12Aの延びる方向とゲート抵抗トレンチ構造12Gの延びる方向は互いに同じ方向である。これに対して、
図11A及び
図11Bに示すように、実施の形態の変形例2に係る半導体装置1Bでは、ゲートトレンチ構造12Aの延びる方向は、Y方向であり、ゲート抵抗トレンチ構造12Gの延びる方向はX方向である。ゲートトレンチ構造12Aの延びる方向とゲート抵抗トレンチ構造12Gの延びる方向は互いに非平行であっても良い。ゲートトレンチ構造12Aの延びる方向をY方向に配置することで、コンタクト28からゲートトレンチ構造12Aのゲート電極14との接続部までのゲートランナー22Lの長さをある程度の長さ以上に確保することができ、プラスマイナスY方向に配置されたゲートランナー22Lからゲートトレンチ構造12Aのゲート電極14への電気信号の応答ばらつきを改善することができる。
【0041】
(変形例3)
図12は、実施の形態の変形例3に係る半導体装置1Cの全体構造の上面図である。尚、
図12において、破線Pで囲まれて表示される領域は、半導体素子領域100内において、ゲートトレンチ構造12Aが配置される領域であることを示している。実施の形態の変形例3に係る半導体装置1Cは、
図12に示すように、ゲート抵抗領域200と半導体素子領域100との間にゲートランナー22L1を配置した構成を有する。なお、ゲート抵抗領域200をゲートランナー22Lにより取り囲んでいてもよい。実施の形態の変形例2に係る半導体装置1(
図11A、
図11B)に比べてゲートパッド24Pとゲートランナー22LをX方向で反対方向に配置している。このように、ゲート抵抗領域200を配置することで、ゲート抵抗26とゲートランナー22L1とを接続し、ゲート電極14とゲートランナー22Lとを接続する。これにより、ゲート抵抗26とゲートランナー22L1との接続部からゲート電極14とゲートランナー22Lとの接続部までのゲートランナーの長さを、ある程度の長さ以上に確保することができ、ゲート電極14への電気信号の面内ばらつきを改善することができる。また、ゲート抵抗領域200の外側(
図12においてゲート抵抗領域200よりマイナスX方向)に別の半導体素子領域100を配置してもよい。
【0042】
(変形例4)
図13は、実施の形態の変形例4に係る半導体装置1Dの全体構造の上面図である。
図13において、破線Pで囲まれて表示される領域は、半導体素子領域100内において、ゲートトレンチ構造12Aが配置される領域であることを示している。ゲート抵抗領域200は、ゲート抵抗領域200の周囲の第3半導体領域17を貫通するトレンチ構造12Cにより囲まれていても良い。このトレンチ構造12Cは、トレンチ構造12Cで囲まれた内側に配置される第3半導体領域17をベース領域から分断し、第3半導体領域17の電位をフローティング電位にすることができる。ゲート抵抗トレンチ構造12Gの周囲を少なくとも1つのトレンチ構造12Cで環状に囲んでもよい。また、耐圧改善トレンチ構造12Bにより、トレンチ構造12Cと活性領域を取り囲んでもよい。ゲート抵抗領域200の周囲を耐圧改善トレンチ構造12Bに囲むことにより、複数のゲート抵抗トレンチ構造12Gの終端部の耐圧のばらつきを抑制することができる。
【0043】
(変形例5)
図14は、実施の形態の変形例5に係る半導体装置1Eの断面図であり、
図15は実施の形態の変形例5の平面図である。
図14は、
図3に対応する断面図において、エミッタ電極20EをマイナスX方向に延伸させて、エミッタコンタクト36を介してゲート抵抗26に接続させている。
図15は、実施の形態の変形例5に係る半導体装置1Eのゲート抵抗領域200部分の拡大された上面図である。
図15において、VIII-VIII線に沿う断面構造は、
図14のゲート抵抗領域200近傍に対応している。
【0044】
不使用のゲート抵抗トレンチをフローティング電位とすると、半導体装置の動作中に不使用のゲート抵抗トレンチ内のゲート抵抗26の電位が不安定となる恐れがある。そこで、ゲートランナー22Lに接続されるコンタクト28又はゲートパッド24Pに接続されるコンタクト30のどちらか一方のみ設けて、他方を設けないようにして、ゲート抵抗26にゲート電位を与えることが考えられる。ゲート電流経路を構成しないポリシリコンゲート抵抗は、電位的にはゲート電位にあると、ゲート電流経路を構成しないポリシリコンゲート抵抗によるゲート容量の増加が生じる。ところで、ゲート抵抗トレンチ構造12Gやその中に設けるポリシリコンのゲート抵抗26を形成後にゲート抵抗値は測定され、ゲートランナー22Lやゲートパッド24Pとのコンタクト(28、30)を設けるか否かを決定する。つまり、ゲート抵抗26の抵抗値の測定後にゲート抵抗トレンチ構造12Gやその中に設けるポリシリコンのゲート抵抗26を追加で形成することはプロセスが大幅に増えるため実際には行わない。
【0045】
図14,
図15のように、実施の形態の変形例5に係る半導体装置1Eでは、ゲート抵抗トレンチ構造12Gとその中のポリシリコンのゲート抵抗26はプラスX方向にゲートランナー22Lからゲートパッド24Pの間だけではなく、そこからさらにエミッタ電極20E直下にまで延びている。ゲート抵抗26として使用するポリシリコンゲート抵抗にはゲートランナー22Lと接続したコンタクト28を通じて一方が接続し、ゲートパッド24Pと接続したコンタクト30を通じて他方が接続する点は同様である。ゲート抵抗26として使用するポリシリコンゲート抵抗にはゲートランナー22L並びにゲートパッド24Pと接続したコンタクト(28、30)を設けないが、エミッタ電極20Eと接続したエミッタコンタクト36を設ける。これにより、ゲート抵抗26として使用しないポリシリコンゲート抵抗はエミッタ電極20Eと同電位となるので、ゲート抵抗26として使用しないポリシリコンゲート抵抗によるゲート容量の増加を抑制することができる。
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0046】
1、1A、1B、1C、1D、1E…半導体装置
4C…コレクタ電極
6…コレクタ領域
8…フィールドストップ領域
10…ドリフト領域(第1半導体領域)
12A…ゲート(第1)トレンチ構造
12B…耐圧改善(第3)トレンチ構造
12C…トレンチ構造
12G…ゲート抵抗(第2)トレンチ構造
14…ゲート電極
16…ベース領域(第2半導体領域)
18…エミッタ領域(第4半導体領域)
17…半導体領域(第3半導体領域)
20E…エミッタ電極(第1電極)
22L、22L1…ゲートランナー
24P…ゲートパッド
26…ゲート抵抗
28、30…コンタクト
28L、30P…導電層
32…フローティング電極
34、38、40、42…絶縁膜
36…エミッタコンタクト
100…半導体素子領域(活性領域)
200…ゲート抵抗領域
300…耐圧改善領域
MA…活性領域のトレンチ間隔
WA…活性領域のトレンチ幅
MB…耐圧改善領域のトレンチ間隔
WB…耐圧改善領域のトレンチ幅
MG…ゲート抵抗領域のトレンチ間隔
WG…ゲート抵抗領域のトレンチ幅
DA…ゲートトレンチ構造のトレンチ深さ
DB…第2半導体領域(ベース領域)の深さ
DE…Nエミッタ領域の深さ
DG…ゲート抵抗トレンチ構造のトレンチ深さ
DP…第3半導体領域(半導体領域)の深さ
DBB…耐圧改善トレンチ構造のトレンチ深さ