(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166792
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】水栓柱
(51)【国際特許分類】
E03B 9/04 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
E03B9/04 Z
E03B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083133
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 由加理
(57)【要約】
【課題】上部に水受けが配設された水栓柱において、取付けられる水受けを容易に交換できるとともに外観見栄えもよい水栓柱を提供する。
【解決手段】上端部に水受け部3が載置固定された水栓柱1である。柱部分2の内部に給水管5と水受け部3からの排水管6が配設されている。柱部分2の上部であって水受け部3の下部に給水管5を開閉する水栓本体41が取付けられており、水栓本体41から上方に延びて水受け部3の内部に吐水することができる吐水管42が水受け部3に接触しない状態で配設されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に水受けが載置固定された水栓柱であって、
該水栓柱の柱部分の内部に給水管と前記水受けからの排水管が配設されており、
前記柱部分の上部であって前記水受けの下部に前記給水管を開閉する水栓本体が取付けられており、
該水栓本体から上方に延びて前記水受けの内部に吐水することができる吐水管が前記水受けに接触しない状態で配設されている水栓柱。
【請求項2】
請求項1において、
前記水受けは、上方に開口を有し中心軸に関して軸対称な器状をしており、
前記排水管に対し螺合によって連結される排水流路を内筒部分に有する円筒状の排水筒部が前記中心軸を中心として前記水受けの底面部から下方に延びて配設されている水栓柱。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記吐水管は、前記水栓本体から上方に向けて延びるとともに途中から下方に向けて湾曲して延びるグースネック状をしている水栓柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓柱に関する。詳しくは、上部に水受けが配設された水栓柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設置された水栓柱の上部に水受けを配置して立った姿勢で手を洗ったりすることのできるものがある。特許文献1において開示された水栓柱においては、水栓柱の上部に水栓と水受けが取付けられるとともに、水受けから排水する排水パイプが水栓柱の外側に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された水栓柱においては、上部に取付けられる水受けに水栓が取付けられている構造のものであったり、水受けを交換しようとすると水栓を取り外す必要がある構造のものであったりするので、材質、色、形状等が異なる複数種類の水受けを準備して簡単に交換して変化を楽しむことがしにくいという問題があった。また、水受けからの排水パイプも水栓柱から外部に露出して配設されているので外観見栄えが悪いという問題もあった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、上部に水受けが配設された水栓柱において、取付けられる水受けを容易に交換できるとともに外観見栄えもよい水栓柱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、上端部に水受けが載置固定された水栓柱であって、該水栓柱の柱部分の内部に給水管と前記水受けからの排水管が配設されており、前記柱部分の上部であって前記水受けの下部に前記給水管を開閉する水栓本体が取付けられており、該水栓本体から上方に延びて前記水受けの内部に吐水することができる吐水管が前記水受けに接触しない状態で配設されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、水栓柱の柱部分の上端部に水受けが吐水管と接触しない状態で載置固定されているので、水栓本体を取り外すことなく水受けを容易に交換することができる。また、吐水管への給水管と水受けからの排水管とが水栓柱の柱部分の内部に配設されているので外部から視認できず外観見栄えが良い。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記水受けは、上方に開口を有し中心軸に関して軸対称な器状をしており、前記排水管に対し螺合によって連結される排水流路を内筒部分に有する円筒状の排水筒部が前記中心軸を中心として前記水受けの底面部から下方に延びて配設されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、水受けは上方に開口を有し中心軸に関して軸対称な器状をしているので水栓柱の上端部に安定して取付けられることができる。また、中心軸を中心として前記水受けの底面部から下方に延びる排水筒部を排水管に螺合によって連結させればよいので、水栓本体及び吐水管を取り外すことなく排水筒部を中心軸を中心に排水管に対して回転させて排水管に対して取付けることができる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記吐水管は、前記水栓本体から上方に向けて延びるとともに途中から下方に向けて湾曲して延びるグースネック状をしていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、水受けを回避して吐水管を配置しやすく外観的にも優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態である水栓柱の斜視図である。
【
図2】上記実施形態における水栓柱の側面図である。
【
図3】上記実施形態における水栓柱の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る水栓柱1について、
図1~
図3を用いて説明する。水栓柱1は、庭や駐車スペース等の屋外に設置されるもので、手を洗ったり園芸用具を洗ったりするのに利用されるものである。各図において、水栓柱1における前後左右上下の各方向を矢印で示すように定め、方向に関する記述はこの矢印で示す方向に基いて行うものとする。
【0014】
図1~
図3に示すように、水栓柱1は、角柱状の柱部分2と、柱部分2の上端部に載置固定された水受け部3と、柱部分2の上部に取付けられた水栓部4と、を有する。ここで、水受け部3が、特許請求の範囲の「水受け」に相当する。
【0015】
柱部分2は、水平断面が矩形状で上下方向に延びる角筒状をしており、下端部側が地面に固定され、内部に円筒状の給水管5と円筒状の排水管6とが、いずれも上下に延びて配設されている。柱部分2の上端部には、矩形板状の上蓋7が配設されて上方の開口が閉じられている。上蓋7の中央部には、上下に貫通する円形の貫通孔71が形成されている。貫通孔71は、後述する水受け部3の排水筒部34を通すためのものである。給水管5の上端部にはエルボ51の一端部側が取付けられて他端部側は柱部分2における上部後側の方向に向けられて外部に露出するように柱部分2に孔(図示せず)があけられている。給水管5の下端部は、地中に埋設された水道管(図示せず)に連結されている。排水管6の上端部の内筒部には雌ねじが切られており、水受け部3の排水筒部34の外筒部に切られた雄ねじが螺合できるようになっている。排水管6の下端部は、地中に埋設された下水管(図示せず)に連結されている。
【0016】
水受け部3は、上方に向けて開口する中心軸Aを軸とする円筒器状の部材である。円板状の底面部31の外周縁部から上方に向けて延びるように側面部32が形成されている。底面部31の中心に上下方向に貫通する断面が円形の排水口33が形成されている。排水口33の下端部側外周縁部から下方向に延びる中心軸Aを軸とする円筒状の排水筒部34が形成されている。排水筒部34の外筒部には排水管6の上端部の内筒部に切られた雌ねじに螺合可能な雄ねじが切られている。底面部31の下側面は、柱部分2の上蓋7の上側面に対し当接した状態で固定されている。具体的には、排水筒部34が上蓋7の貫通孔71に通されて上蓋7の下側面から下方に向けて突出した状態で、排水管6の上端部に対して螺合するように水受け部3が排水管6に対して回転させられることで締結されて連結されている。これによって、水受け部3の内部の水は、排水筒部34から排水管6を通って下水管に流されるようになっている。
【0017】
水栓部4は、給水管5の上端部に取付けられたエルボ51の他端部側である給水管5の取付けられた側の反対側に連結された水栓本体41と、水栓本体41に取付けられた吐水管42と、を有する。水栓本体41は、前後に回動可能なレバー43を有し、レバー43を後側に倒すことで、内部の弁を開状態として給水管5から供給された水を吐水管42に流す。レバー43を
図1~
図3に示すように、上下に立ち上げた状態に戻すことで、内部の弁を閉状態として給水管5からの水を吐水管42に流さないようにする。吐水管42は、水栓本体41から上方に向けて水受け部3の側面部32の高さより高く垂直に立ち上がる直線状部44と、直線状部44の上端部から先端部の吐水口46を下方に向けるように湾曲して延びる湾曲部45と、を有する。直線状部44は、中心軸を中心に水栓本体41に対して水密状態を保って水平方向に回動できるように水栓本体41に連結されている。直線状部44は、中心軸Aからの距離が水受け部3の底面部31の外周縁の半径より大きくなるように配置されている。これによって、直線状部44は、水受け部3を交換のために中心軸Aを中心に水平方向に回転させても水受け部3に接触しないようになっている。
【0018】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。水栓柱1の柱部分2の上端部に水受け部3が吐水管42と接触しない状態で載置固定されているので水受け部3を水栓部4を取り外すことなく容易に交換することができる。これによって、材質、色、形状等が異なる複数種類の水受けを準備して簡単に交換して変化を楽しむことができる。また、吐水管42への給水管5と水受け部3からの排水管6とが水栓柱1の柱部分2の内部に配設されているので外部から視認できず外観見栄えが良い。
【0019】
また、水受け部3は上方に開口を有し中心軸Aに関して軸対称な器状をしているので水栓柱1の柱部分2の上端部に安定して取付けられることができる。また、中心軸Aを中心として水受け部3の排水筒部34を排水管6に螺合させればよいので、水栓部4を取り外すことなく水受け部3を中心軸Aを中心に排水管6に対して回転させて排水管6に対して取付けることができる。
【0020】
吐水管42は、水栓本体41から上方に向けて延びる直線状部44と、直線状部44の上端部から先端部の吐水口46を下方に向けるように湾曲して延びる湾曲部45と、を有している。これによって、水受け部3を回避して吐水管42を配置しやすく外観的にも優れたものとすることができる。
【0021】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0022】
1.上記実施形態においては、水受け部3を上方に向けて開口する中心軸Aを軸とする円筒器状の部材として構成した。しかし、これに限らず、上方に向けて開口する中心軸Aを軸とする円錐状又は球殻の一部状の部材として構成してもよい。円錐状又は球殻の一部状の部材として構成すれば水受け部からの排水を良好に行えるものとすることができる。
【0023】
2.上記実施形態においては、排水筒部34を底面部31と一体のものとして構成したが、これに限らず、底面部に設けた丸穴に上部にフランジの設けられた筒状の排水筒部を上方から通して排水管6の上端部に対して螺合させることによりフランジ部で丸穴の周縁部を上蓋7に対して押圧するように取付けるようにしてもよい。
【0024】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0025】
1 水栓柱、2 柱部分、3 水受け部(水受け)、4 水栓部、5 給水管、6 排水管、7 上蓋、31 底面部、34 排水筒部、41 水栓本体、42 吐水管、45 湾曲部、46 吐水口、A 中心軸