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特開2024-166794複数台のケーブル送り出し装置を用いたシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166794
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】複数台のケーブル送り出し装置を用いたシステム
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20241122BHJP
   H02P 5/46 20060101ALI20241122BHJP
   B65H 51/32 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H02G1/06
H02P5/46 F
B65H51/32 H
B65H51/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083138
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】507351850
【氏名又は名称】育良精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 清
(72)【発明者】
【氏名】曽根 栄二
(72)【発明者】
【氏名】大槻 芳朗
【テーマコード(参考)】
5G352
5H572
【Fターム(参考)】
5G352CB08
5G352CC03
5G352CC04
5G352CJ01
5G352CL02
5H572AA14
5H572DD02
5H572EE03
5H572HB07
5H572HC01
5H572HC07
5H572LL22
(57)【要約】
【課題】 複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムにおいて、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)を遠隔操作できるシステムを提供すること。
【解決手段】 各ケーブル送り出し装置は、駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、駆動機構の駆動状態を表す電気信号をコントローラに送信する電気信号送信部と、一対の把持部間の間隔を増減可能なアクチュエータと、コントローラから送信される間隔調整信号に基づいてアクチュエータを制御する間隔調整部と、を有している。コントローラは、各ケーブル送り出し装置から送信される電気信号に基づいて各ケーブル送り出し装置における一対の把持部間の間隔が適切であるか否かを判別する判別部と、判別部による判別結果に基づいて対応するケーブル送り出し装置の間隔調整部に向けて間隔調整信号を送信する調整信号送信部と、を有している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、
各ケーブル送り出し装置は、
互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、
前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、
前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、
前記駆動機構の駆動状態を表す電気信号を前記コントローラに送信する電気信号送信部と、
前記少なくとも一対の把持部間の間隔を増減可能なアクチュエータと、
前記コントローラから送信される間隔調整信号に基づいて前記アクチュエータを制御する間隔調整部と、
を有しており、
前記コントローラは、
各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部と、
各ケーブル送り出し装置から送信される電気信号に基づいて各ケーブル送り出し装置における前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かを判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切でない場合、対応するケーブル送り出し装置の前記間隔調整部に向けて間隔調整信号を送信する調整信号送信部と、
を有している
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、
各ケーブル送り出し装置は、
互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、
前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、
前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、
前記駆動機構の駆動状態を表す電気信号を前記コントローラに送信する電気信号送信部と、
前記少なくとも一対の把持部間の間隔を増減可能なアクチュエータと、
前記コントローラから送信される間隔調整信号に基づいて前記アクチュエータを制御する間隔調整部と、
を有しており、
前記コントローラは、
各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部と、
各ケーブル送り出し装置から送信される電気信号に基づく情報であって各ケーブル送り出し装置における前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かに関する情報を表示する表示部と、
オペレータからの前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かに関する入力を受け付ける入力部と、
前記入力部によって受け付けられた前記入力に基づいて、対応するケーブル送り出し装置の前記間隔調整部に向けて間隔調整信号を送信する調整信号送信部と、
を有している
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
前記駆動機構は、電動モータであり、
前記電気信号は、前記電動モータの電流値である
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記判別部は、前記電流値の変動の程度に基づいて、前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かを判別するようになっている
ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記駆動機構は、電動モータであり、
前記電気信号は、前記電動モータの電流値である
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記表示部は、前記電流値の変動の程度に関する情報を表示するようになっている
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラと各ケーブル送り出し装置との間の通信は、リレー方式で実施される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、
各ケーブル送り出し装置は、
互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、
前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、
前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、
を有しており、
前記コントローラは、
各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部
を有しており、
前記コントローラと各ケーブル送り出し装置との間の通信は、リレー方式で実施される
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、
各ケーブル送り出し装置は、
互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、
前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、
前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、
を有しており、
前記コントローラは、
各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部と、
オペレータからのケーブル弛み情報の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部によって受け付けられた前記ケーブル弛み情報に基づいて、ケーブル弛み位置に先行する弛み先行ケーブル送り出し装置の前記駆動機構の速度が当該ケーブル弛み位置に後続する弛み後続ケーブル送り出し装置の前記駆動機構の速度よりも一時的に高速になるように、当該弛み先行ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部及び/または当該弛み後続ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けての前記駆動指令を変更する指令信号変更部と、
を有している
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに逆方向に回転する一対の把持部によってケーブルを挟みながら送り出すケーブル送り出し装置を複数台用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル送り出し装置は、既に様々なタイプのものが利用されている。例えば、本件出願人は、特許文献1のケーブル送り出し装置を開発して、特許を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6496283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建設現場によっては、1本のケーブルを長距離に亘って引き回す必要がある。この場合、ケーブル送り出し装置を複数台用いることが必要である。
【0005】
従来は、図8に示すように、複数台のケーブル送り出し装置51a~51eに対して、1台のインバータ制御盤52が共通に接続されて、当該インバータ制御盤52から各ケーブル送り出し装置51a~51eの内蔵モータ(一対の把持部の一方を回転駆動する)へ、コントロ-ラ53からの指示に従って、電源の供給と周波数制御信号の供給との両方が実施されている。
【0006】
このような従来の態様では、同時に稼働できるケーブル送り出し装置51a~51eの台数が、インバータ制御盤52の性能(特には、インバータ容量)に依存して制限されてしまう。具体的には、台数が増えすぎると電圧降下の懸念が生じてしまう。このため、本件出願人が市販している標準的なシステムの場合、ケーブル送り出し装置の最大数は18台である。
【0007】
また、各ケーブル送り出し装置51a~51eの一対の把持部間の距離(間隔)は、オペレータによって手動で(通常はスパナを用いて)設定及び調整されている。すなわち、例えばケーブルのスリップ等が視認された場合、オペレータが手動で(通常はスパナを用いて)調整作業を実施する必要がある。
【0008】
更に、ケーブルのスリップ等の異常の発見は、オペレータの目視による監視作業に依存している。このため、異常の発見が遅れて、ケーブルの破損が生じてしまうという問題もある。
【0009】
本発明は、以上のような背景に鑑みて創案されたものである。本発明の目的は、複数台のケーブル送り出し装置を用いたシステムであって、同時に稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことが可能であり、各ケーブル送り出し装置におけるケーブルのスリップ等の異常を自動的に把握することが可能であり、及び/または、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)を遠隔操作することが可能である、というシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、各ケーブル送り出し装置は、互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、前記駆動機構の駆動状態を表す電気信号を前記コントローラに送信する電気信号送信部と、前記少なくとも一対の把持部間の間隔を増減可能なアクチュエータと、前記コントローラから送信される間隔調整信号に基づいて前記アクチュエータを制御する間隔調整部と、を有しており、前記コントローラは、各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部と、各ケーブル送り出し装置から送信される電気信号に基づいて各ケーブル送り出し装置における前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かを判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づいて、前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切でない場合、対応するケーブル送り出し装置の前記間隔調整部に向けて間隔調整信号を送信する調整信号送信部と、を有していることを特徴とするシステムである。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有するために、共通のインバータ制御盤を用いる従来システムと比較して、同時に稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことが可能である(実際に、後述する通り、30台以上を同時稼働できることが確認されている)。また、コントローラの判別部が、各ケーブル送り出し装置の駆動機構の駆動状態を表す電気信号に基づいて当該ケーブル送り出し装置における把持部間の間隔が適切であるか否かを判別するため、オペレータの監視負担が顕著に軽減され、異常の発見が遅れるという事態の発生も顕著に抑制され得る。更に、判別部の判別結果に基づいて、対応するケーブル送り出し装置の間隔調整部に向けて間隔調整信号が送信されることで、各ケーブル送り出し装置の間隔調整部がアクチュエータを制御して一対の把持部間の間隔を増減するため、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)を調整するために各ケーブル送り出し装置の設置場所まで出向いて作業することが不要であり、すなわち、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)の調整作業を遠隔操作で実現することが可能である。
【0012】
本発明の第2の態様は、複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、各ケーブル送り出し装置は、互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、前記駆動機構の駆動状態を表す電気信号を前記コントローラに送信する電気信号送信部と、前記少なくとも一対の把持部間の間隔を増減可能なアクチュエータと、前記コントローラから送信される間隔調整信号に基づいて前記アクチュエータを制御する間隔調整部と、を有しており、前記コントローラは、各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部と、各ケーブル送り出し装置から送信される電気信号に基づく情報であって各ケーブル送り出し装置における前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かに関する情報を表示する表示部と、オペレータからの前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かの判断に関する入力を受け付ける入力部と、前記入力部によって受け付けられた前記入力に基づいて、対応するケーブル送り出し装置の前記間隔調整部に向けて間隔調整信号を送信する調整信号送信部と、を有していることを特徴とするシステムである。
【0013】
本発明の第2の態様によっても、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有するために、共通のインバータ制御盤を用いる従来システムと比較して、同時に稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことが可能である(実際に、後述する通り、30台以上を同時稼働できることが確認されている)。また、コントローラの表示部が、各ケーブル送り出し装置の駆動機構の駆動状態を表す電気信号に基づく情報であって当該ケーブル送り出し装置における把持部間の間隔が適切であるか否かに関する情報を表示するため、オペレータの監視負担が顕著に軽減され、異常の発見が遅れるという事態の発生も顕著に抑制され得る。更に、オペレータの判断(判別)結果に関する当該オペレータによる入力部からの入力に基づいて、対応するケーブル送り出し装置の間隔調整部に向けて間隔調整信号が送信され、これによって各ケーブル送り出し装置の間隔調整部がアクチュエータを制御して一対の把持部間の間隔を増減するため、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)を調整するために各ケーブル送り出し装置の設置場所まで出向いて作業することが不要であり、すなわち、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)の調整作業を遠隔操作で実現することが可能である。
【0014】
第1の態様でも第2の態様でも、前記駆動機構は、例えば電動モータであり、前記電気信号は、例えば当該電動モータの電流値である。この場合、第1の態様では、前記判別部が、前記電流値の変動の程度に基づいて、前記少なくとも一対の把持部間の間隔が適切であるか否かを判別するようになっていることが好ましく、第2の態様では、前記表示部が、前記電流値の変動の程度に関する情報を表示するようになっていることが好ましい。
【0015】
また、前記コントローラと各ケーブル送り出し装置との間の通信は、リレー方式(例えば、920MHz帯無線マルチホップメッシュネットワーク)で実施されることが好ましい。これによれば、各通信信号は隣接する(リレー対象の)ケーブル送り出し装置に到達すれば足りるため、通信信号の強度(すなわち、消費エネルギコスト)を抑制することができる。
【0016】
このようなリレー方式の採用は、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有するという特徴と相俟って、本発明のシステムを非常に広範囲に敷設することを可能にする(実際に、コントローラから最も離れて敷設されるケーブル送り出し装置がコントローラから1km程度の範囲内であれば、安定的な通信状態を維持できる)。
【0017】
少なくとも本願出願の時点では、この点のみを特徴とする発明も特許付与を求める対象とする。すなわち、本発明の第3の態様は、複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、各ケーブル送り出し装置は、互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、を有しており、前記コントローラは、各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部を有しており、前記コントローラと各ケーブル送り出し装置との間の通信は、リレー方式で実施されることを特徴とするシステムである。
【0018】
補足すれば、従来はインバータ制御部を内蔵したケーブル送り出し装置というものが存在しておらず、共通のインバータ制御盤を併用することが必要であったため(この場合、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有する本発明の各態様と比較して、低コストというメリットはある)、同時稼働できるケーブル送り出し装置の台数に制限があり(前述のように本件出願人提供の既存システムでは18台)、共通のインバータ制御盤から遠く離れた場所にケーブル送り出し装置を設置するということは想定されていなかったところ、本発明の第3の態様によれば、同時稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことができるため(30台を超えても問題無く稼働する)、コントローラから1km程度にまで離れてケーブル送り出し装置を敷設することが可能であり、その場合にリレー方式を採用することで、通信信号の強度(すなわち、消費エネルギコスト)を抑制することができるのである。
【0019】
また、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有する場合、各ケーブル送り出し装置の駆動機構を異なる速度で駆動することも実現可能である。例えば、ケーブルの弛みが発見された場合において、ケーブル弛み位置に先行する弛み先行ケーブル送り出し装置の駆動機構の速度を、当該ケーブル弛み位置に後続する弛み後続ケーブル送り出し装置の駆動機構の速度よりも、高速となるように一時的に制御することで、ケーブルの弛みを解消することができる。
【0020】
すなわち、本発明の第4の態様は、複数台のケーブル送り出し装置と、コントローラと、を用いたシステムであって、各ケーブル送り出し装置は、互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部と、前記少なくとも一対の把持部の少なくとも一方側を回転駆動する駆動機構と、前記コントローラから送信される駆動指令信号に基づいて前記駆動機構をインバータ制御するインバータ制御部と、を有しており、前記コントローラは、各ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部と、オペレータからのケーブル弛み情報の入力を受け付ける入力部と、前記入力部によって受け付けられた前記ケーブル弛み情報に基づいて、ケーブル弛み位置に先行する弛み先行ケーブル送り出し装置の前記駆動機構の速度が当該ケーブル弛み位置に後続する弛み後続ケーブル送り出し装置の前記駆動機構の速度よりも高速になるように、当該弛み先行ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部及び/または当該弛み後続ケーブル送り出し装置の前記インバータ制御部に向けての前記駆動指令を変更する指令信号変更部と、を有していることを特徴とするシステムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の態様によれば、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有するために、共通のインバータ制御盤を用いる従来システムと比較して、同時に稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことが可能である(実際に、後述する通り、30台以上を同時稼働できることが確認されている)。また、コントローラの判別部が、各ケーブル送り出し装置の駆動機構の駆動状態を表す電気信号に基づいて当該ケーブル送り出し装置における把持部間の間隔が適切であるか否かを判別するため、オペレータの監視負担が顕著に軽減され、異常の発見が遅れるという事態の発生も顕著に抑制され得る。更に、判別部の判別結果に基づいて、対応するケーブル送り出し装置の間隔調整部に向けて間隔調整信号が送信されることで、各ケーブル送り出し装置の間隔調整部がアクチュエータを制御して一対の把持部間の間隔を増減するため、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)を調整するために各ケーブル送り出し装置の設置場所まで出向いて作業することが不要であり、すなわち、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)の調整作業を遠隔操作で実現することが可能である。
【0022】
あるいは、本発明の第2の態様によれば、各ケーブル送り出し装置がインバータ制御部を有するために、共通のインバータ制御盤を用いる従来システムと比較して、同時に稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことが可能である(実際に、後述する通り、30台以上を同時稼働できることが確認されている)。また、コントローラの表示部が、各ケーブル送り出し装置の駆動機構の駆動状態を表す電気信号に基づく情報であって当該ケーブル送り出し装置における把持部間の間隔が適切であるか否かに関する情報を表示するため、オペレータの監視負担が顕著に軽減され、異常の発見が遅れるという事態の発生も顕著に抑制され得る。更に、オペレータの判断(判別)結果に関する当該オペレータによる入力部からの入力に基づいて、対応するケーブル送り出し装置の間隔調整部に向けて間隔調整信号が送信され、これによって各ケーブル送り出し装置の間隔調整部がアクチュエータを制御して一対の把持部間の間隔を増減するため、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)を調整するために各ケーブル送り出し装置の設置場所まで出向いて作業することが不要であり、すなわち、各ケーブル送り出し装置の把持部間の距離(間隔)の調整作業を遠隔操作で実現することが可能である。
【0023】
あるいは、本発明の第3の態様によれば、同時稼働できるケーブル送り出し装置の台数を増やすことができるため、コントローラからより遠く離れてケーブル送り出し装置を敷設することが可能であり、その場合にリレー方式を採用することで、通信信号の強度(すなわち、消費エネルギコスト)を抑制することができる。
【0024】
あるいは、本発明の第4の態様によれば、ケーブルの弛みを遠隔操作によって解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略図である。
図2図1のシステムで用いられるケーブル送り出し装置の概略図である。
図3】ケーブル送り出し装置において、ケーブルが正常に送り出されている時の電流値の変動状態を示すグラフである。
図4】ケーブル送り出し装置において、ケーブルの送り出しにスリップが生じている時の電流値の変動状態を示すグラフである。
図5】ケーブル送り出し装置において、ケーブルに引っかかりが生じている時の電流値の状態を示すグラフである。
図6】コントローラにおいて、スリップ状態が生じていることを示す表示例である。
図7】コントローラにおいて、過電流状態(ケーブルの引っかかり状態)が生じていることを示す表示例である。
図8】従来のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
(構成:第1の態様)
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の概略図であり、図2は、図1のシステム1で用いられるケーブル送り出し装置10(10a~10e)の概略図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施形態のシステム1は、複数台(図1には5台が図示されている)のケーブル送り出し装置10a~10eと、コントローラ20と、を備えている。
【0029】
図2に示すように、各ケーブル送り出し装置10(10a~10e)は、互いに対向して配置された一対(二対以上でもよい)の圧縮変形可能なゴム製の把持部11、12と、一対の把持部11、12の少なくとも一方側を(ギヤ及びチェーン等を介して)回転駆動する電動モータ13(駆動機構の一例)と、コントローラ20から送信される駆動指令信号に基づいて電動モータ13をインバータ制御するインバータ制御部14と、一対の把持部11、12間の間隔を増減するアクチュエータ15と、コントローラ20から送信される間隔調整信号に基づいてアクチュエータ15を制御する間隔調整部16と、を有している。
【0030】
また、各ケーブル送り出し装置10は、コントローラ20との送受信を制御する通信制御基板17と、通信制御基板17に接続されたアンテナ18(最大2mまで延びることができる)と、電源コード19(単相100V、または、三相200V)と、を有している。
【0031】
そして、本実施形態では、電動モータ13と通信制御基板17と(場合によっては更にインバータ制御部14と)が協働して、電動モータ13の駆動状態を表す電気信号(本実施形態では、電流値信号)をコントローラ20に送信する(電気信号送信部として機能する)ようになっている。
【0032】
一方、図1に示すように、コントローラ20は、各ケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に向けた駆動指令信号を生成する(あるいは予め用意された候補の中から選択する)指令信号生成(選択)部21と、指令信号生成部21によって生成された駆動指令信号を各ケーブル送り出し装置10に送信する(指令信号送信部として機能する)送受信部22と、を有している。当該送受信部22は、各ケーブル送り出し装置10から送信される電気信号を受信することもできるようになっている。
【0033】
そして、コントローラ20は、送受信部22によって受信される各ケーブル送り出し装置10から送信される電気信号に基づいて各ケーブル送り出し装置10ごとに一対の把持部11、12間の間隔が適切であるか否かを判別する判別部23と、当該判別部23による判別結果に基づいて、一対の把持部11、12間の間隔が適切でない場合、対応するケーブル送り出し装置10の間隔調整部16に向けた間隔調整信号を生成する(あるいは予め用意された候補の中から選択する)間隔調整信号生成(選択)部24と、を有している。
【0034】
そして、送受信部22は、更に、間隔調整信号生成部24によって生成された間隔調整信号を、対応するケーブル送り出し装置10の間隔調整部16に向けて送信する(調整信号送信部として機能する)ようになっている。
【0035】
本実施形態の判別部23は、各ケーブル送り出し装置10の電動モータ13の電流値信号の変動の程度に基づいて、一対の把持部11、12間の間隔が適切であるか否かを判別するようになっている。
【0036】
具体的には、例えばケーブル径90mmの場合、一対の把持部11、12間の間隔はデフォルト値として軸間で165mm(各把持部11、12の最大径が140mm、離間距離が25mm)が採用され得るが、ケーブルが正常に送り出されている時、電動モータ13の電流値の変動状態は、図3の約5.0秒以後のグラフ部分に示すように、1.5A付近で±10%程度の変動範囲内に収まる。
【0037】
一方、ケーブルの送り出しにスリップが生じた状態では、図4の約8.0秒以後のグラフ部分に示すように、電動モータ13の電流値が局所的に1.2A程度にまで降下する。
【0038】
逆に、ケーブルに引っ掛かりが生じた状態では、図5の約7.0秒以後のグラフ部分に示すように、電動モータ13の電流値が過大な状態となる。
【0039】
判別部23は、図3乃至図5を用いて説明した傾向を利用して、所定の閾値に基づいてケーブルの送り出し状態を判別するようになっている。例えば、1.5A±10%が維持されていれば「正常」、1.35A(1.5A-10%)を下回った時間が1秒以上継続していれば「スリップ」、1.65A(1.5A+10%)を上回った時間が1秒以上継続していれば「引っ掛かり」、と判別するようになっている。
【0040】
そして、間隔調整信号生成部24が、判別部23によって「スリップ」が判別される場合(一対の把持部11、12間の間隔が適切でない場合の一例)、一対の把持部11、12間の間隔を狭めるための間隔調整信号を生成し、判別部23によって「引っ掛かり」が判別される場合(一対の把持部11、12間の間隔が適切でない場合の他の一例)、一対の把持部11、12間の間隔を広げるための間隔調整信号を生成するようになっている。
【0041】
判別部23及び/または間隔調整信号生成部24は、例えばメモリ(不図示)内に保存された対応するプログラムを実行するプロセッサによって形成され得る。
【0042】
また、コントローラ20は、送受信部22に接続されたアンテナ25を有している。そして、コントローラ20(のアンテナ25)と各ケーブル送り出し装置10(のアンテナ18)との間の通信は、リレー方式(例えば、920MHz帯無線マルチホップメッシュネットワーク)で実施される。
【0043】
(本実施形態のシステムの使用方法(作用))
各ケーブル送り出し装置10(10a~10e)にケーブルを通していく際には、ケーブルの先端に先行ロープを取り付けて、当該先行ロープを各ケーブル送り出し装置10の一対の把持部11、12間に通していく。
【0044】
例えば、ケーブル径が90mmである時には、直径18mm程度の先行ロープが利用される。
【0045】
コントローラ20の指令信号生成部21は、先行ロープが通されたケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に向けて、所望の送り出し速度に対応する駆動指令信号を生成する。当該駆動指令信号が、指令信号送信部として機能する送受信部22から、対応するケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に送信される。そして、当該インバータ制御部14が、電動モータ13を制御して、所望の送り出し速度を実現する(最初は負荷がないため低電流である(図3の約0.5秒~約3.5秒のグラフ部分、図4の約3.5秒~約6.0秒のグラフ部分、及び、図5の約2.0秒~約6.0秒のグラフ部分))。
【0046】
先行ロープに取り付けられたケーブルの先端が、一対の把持部11、12間を通過し始めると、電動モータ13に負荷電流が発生し始める(図3の約3.5秒~約5.0秒のグラフ部分、図4の約6.0秒~約8.0秒のグラフ部分、及び、図5の約6.0秒~約7.0秒のグラフ部分)。
【0047】
当該ケーブル送り出し装置10に安定的にケーブルを通すことができたら、電動モータ13の駆動を継続して適宜の長さだけケーブルを送り出す。
【0048】
そして、次のケーブル送り出し装置10の一対の把持部11、12間に先行ロープを通して、同じ作業を繰り返していく。
【0049】
所望の全てのケーブル送り出し装置10に安定的にケーブルを通すことができたら、ケーブル送り出しの準備は完了である。
【0050】
この後、ケーブルを更に送り出す際には、コントローラ20の指令信号生成部21が、各ケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に向けて、所望の送り出し速度に対応する駆動指令信号を生成する。当該駆動指令信号が、指令信号送信部として機能する送受信部22から、各ケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に送信される。そして、当該インバータ制御部14が、電動モータ13を制御して、所望の送り出し速度を実現する。
【0051】
ケーブルの更なる送り出しを実施している間、本実施形態(第1の態様)では、コントローラ20の判別部23が、各ケーブル送り出し装置10の状態を、「正常」、「スリップ」、「引っ掛かり」のいずれかに判別する。
【0052】
そして、間隔調整信号生成部24が、判別部23によって「スリップ」が判別される場合、一対の把持部11、12間の間隔を狭めるための間隔調整信号を生成し、判別部23によって「引っ掛かり」が判別される場合、一対の把持部11、12間の間隔を広げるための間隔調整信号を生成する。(判別部23によって「正常」が判別される場合には、間隔調整信号は生成されない。)
【0053】
そして、送受信部22が、間隔調整信号生成部24によって生成された間隔調整信号を、対応するケーブル送り出し装置10の間隔調整部16に向けて送信する。間隔調整部16は、当該間隔調整信号に基づいてアクチュエータ15を制御して、一対の把持部11、12間の間隔を増減する。
【0054】
(本実施形態のシステムの効果)
以上のような本実施形態のシステム1によれば、各ケーブル送り出し装置10(10a~10e)がインバータ制御部14を有するために、共通のインバータ制御盤52を用いる従来システムと比較して、同時に稼働できるケーブル送り出し装置10の台数を増やすことが可能である。本件発明者は、30台以上の同時稼働が可能であることを実際に確認した。
【0055】
また、本実施形態のシステム1によれば、コントローラ20の判別部23が、各ケーブル送り出し装置10の電動モータ13の駆動状態を表す電流値信号に基づいて当該ケーブル送り出し装置10における一対の把持部11、12間の間隔が適切であるか否かを判別するため、オペレータの監視負担が顕著に軽減され、異常の発見が遅れるという事態の発生も顕著に抑制され得る。
【0056】
更に、本実施形態のシステム1によれば、判別部23の判別結果に基づいて、対応するケーブル送り出し装置10の間隔調整部16に向けて間隔調整信号が送信されて当該間隔調整部16がアクチュエータ15を制御して一対の把持部11、12間の間隔を増減するため、各ケーブル送り出し装置10の一対の把持部11、12間の距離(間隔)を調整するために各ケーブル送り出し装置10の設置場所まで出向いて作業することが不要であり、すなわち、各ケーブル送り出し装置10の一対の把持部11、12間の距離(間隔)の調整作業を遠隔操作で実現することが可能である。
【0057】
更に、本実施形態のシステム1によれば、コントローラ20と各ケーブル送り出し装置10との間の通信がリレー方式(例えば、920MHz帯無線マルチホップメッシュネットワーク)で実施されるため、各通信信号は隣接する(リレー対象の)ケーブル送り出し装置10に到達すれば足りる。これにより、通信信号の強度(すなわち、消費エネルギコスト)を抑制することができる。
【0058】
更に、本実施形態のシステム1は、通信におけるリレー方式の採用と、各ケーブル送り出し装置10がインバータ制御部14を有するという特徴と、の組み合わせにより、非常に広範囲に敷設することが可能である。本件発明者は、コントローラ20から最も離れて敷設されるケーブル送り出し装置10がコントローラ20から1km程度の範囲内であれば、リレー方式の一般的な無線モジュールで安定的な通信状態を維持できることを確認した。
【0059】
(変形例:第2の態様)
前述の実施形態のシステム1では、間隔調整信号生成部24が、自動的に、判別部23によって「スリップ」が判別される場合、一対の把持部11、12間の間隔を狭めるための間隔調整信号を生成し、判別部23によって「引っ掛かり」が判別される場合、一対の把持部11、12間の間隔を広げるための間隔調整信号を生成する。
【0060】
この工程に、オペレータの判断(ないし確認)を関与させてもよい。この場合、オペレータは、各ケーブル送り出し装置10の状況をより確実に把握することができる。
【0061】
具体的には、コントローラ20が、例えばタッチスクリーン26等の表示部を有していて、判別部23による判別結果を表示できるようになっていてもよい。
【0062】
図6は、タッチスクリーン26において、判別部23による「スリップ」の判別結果を示す表示例であり、図7は、タッチスクリーン26において、判別部23による「過電流」の判別結果を示す表示例である。
【0063】
タッチスクリーン26等の表示部には、判別部23による判別結果の代わりに、図3乃至図5に示したような電流値のグラフ(各ケーブル送り出し装置10から送信される電気信号に基づく情報であって各ケーブル送り出し装置10における一対の把持部11、12間の間隔が適切であるか否かに関する情報の一例)が表示されてもよい。このような場合、当該表示に基づいてオペレータが状況判別し、当該判別結果あるいは当該判別結果に基づく間隔の調整指令等をコントローラ20に入力することにすれば、判別部23の実装(搭載)を省略することができる。
【0064】
すなわち、前述の実施形態のシステム1における判別部23は、表示部と、オペレータからの入力(特には、一対の把持部11、12間の間隔が適切であるか否かの判断に関する入力)を受け付ける入力部と、によって置換され得る。更に、タッチスクリーン26であれば、そのような表示部と入力部とを兼ねることができる。
【0065】
このように表示部及び入力部によって判別部23が置換される場合、間隔調整信号生成部24は、入力部からの入力内容が「スリップ」の判別に対応する場合、一対の把持部11、12間の間隔を狭めるための間隔調整信号を生成し、入力部からの入力内容が「引っ掛かり」の判別に対応する場合、一対の把持部11、12間の間隔を広げるための間隔調整信号を生成する。
【0066】
更に、入力部としてのタッチスクリーン26において、一対の把持部11、12間の間隔を狭める量(例えば2mm単位)、あるいは、一対の把持部11、12間の間隔を広げる量(例えば2mm単位)を、上矢印表示部及び下矢印表示部等をタッチ操作することで、オペレータが直接的に指定できるようになっていてもよい。
【0067】
(その他の変形例)
コントローラ20は、スマートフォン(あるいは、そのためのアプリケーションソフトウェア)の態様で提供されてもよい。
【0068】
また、電動モータ13の駆動状態を表す電気信号としては、電流値信号の代わりに電圧値信号が利用されてもよい。
【0069】
なお、各ケーブル送り出し装置10がインバータ制御部14を有するため、各ケーブル送り出し装置10の電動モータ13を異なる速度で駆動することも可能である。例えば、ケーブル送り出し装置10bとケーブル送り出し装置10cとの間でケーブルの弛みが発見された場合において、ケーブル弛み位置に先行するケーブル送り出し装置10cの電動モータ13(場合によって、更にケーブル送り出し装置10d、10eの電動モータ13)の速度を、当該ケーブル弛み位置に後続するケーブル送り出し装置10bの電動モータ13(場合によって、更にケーブル送り出し装置10aの電動モータ13)の速度よりも、高速となるように一時的に制御することで、ケーブルの弛みを解消することができる。
【0070】
すなわち、本発明の第4の態様として、複数台のケーブル送り出し装置10a~10eと、コントローラ20と、を用いたシステムであって、各ケーブル送り出し装置10は、互いに対向して配置された少なくとも一対の把持部11、12と、一対の把持部11、12の少なくとも一方側を回転駆動する電動モータ13(駆動機構の一例)と、コントローラ20から送信される駆動指令信号に基づいて電動モータ13をインバータ制御するインバータ制御部14と、を有しており、コントローラ20は、各ケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に向けて駆動指令信号を送信する指令信号送信部(送受信部22)と、オペレータからのケーブル弛み情報の入力を受け付ける入力部(タッチスクリーン26)と、入力部(タッチスクリーン26)によって受け付けられたケーブル弛み情報に基づいて、ケーブル弛み位置に先行する弛み先行ケーブル送り出し装置10の電動モータ13の速度が当該ケーブル弛み位置に後続する弛み後続ケーブル送り出し装置10の電動モータ13の速度よりも高速になるように、当該弛み先行ケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14及び/または当該弛み後続ケーブル送り出し装置10のインバータ制御部14に向けての前記駆動指令を変更する指令信号変更部と、を有していることを特徴とするシステムが提案される。
【符号の説明】
【0071】
1 システム
10(10a~10e) ケーブル送り出し装置
11 一方の把持部
12 他方の把持部
13 電動モータ
14 インバータ制御部
15 アクチュエータ
16 間隔調整部
17 通信制御基板
18 アンテナ
19 電源コード
20 コントローラ
21 指令信号生成部
22 送受信部
23 判別部
24 間隔調整信号生成部
25 アンテナ
26 タッチスクリーン(入力部)
51a~51e ケーブル送り出し装置
52 インバータ制御盤
53 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8