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特開2024-166803業務用車両及び業務用車両の無線給電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166803
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】業務用車両及び業務用車両の無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241122BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241122BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241122BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241122BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241122BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60M7/00 X
B60L50/60
B60L53/12
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083151
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】松本 典浩
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 優二
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BB10
5H105DD10
5H105EE14
5H125AA20
5H125AC12
5H125AC26
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】実用的な特装車等の無線給電システムを提供することを課題とする。
【解決手段】蓄電池21を備え車両本体20に架装物30が取付けられた業務用車両2と、送電装置3とを有し、前記蓄電池に無線給電する業務用車両2の無線給電システム1である。前記業務用車両2は、その側面に受電コイル53が設置されており、前記送電装置3は、交流電源60と、床面又は地面から上方に突出する支持部材65と、当該支持部材65に設けられた送電コイル61を有し、前記業務用車両2を前記送電コイル61の横に駐車して前記送電コイル61に前記受電コイル53を対向させ、前記交流電源60から前記送電コイル61に交流電流を通電し、前記受電コイル53に誘導電流を励起させて前記蓄電池に給電することが可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を備え車両本体に架装物が取付けられた業務用車両と、送電装置とを有し、前記蓄電池に無線給電する業務用車両の無線給電システムであって、
前記業務用車両は、その側面に受電コイルが設置されており、
前記送電装置は、交流電源と、床面又は地面から上方に突出する支持部材と、当該支持部材に設けられた送電コイルを有し、
前記業務用車両を前記送電コイルの横に駐車して前記送電コイルに前記受電コイルを対向させ、前記交流電源から前記送電コイルに交流電流を通電し、前記受電コイルに誘導電流を励起させて前記蓄電池に給電することが可能であることを特徴とする業務用車両の無線給電システム。
【請求項2】
前記業務用車両は特有の機能を有する特装装置を架装物とする特装車であり、前記特装装置は前記機能を有する本体部分を有し、
前記車両本体はシャシフレームを有し、前記シャシフレームの上に前記本体部分が直接的又は他の部材を介して設置されており、前記受電コイルの一部又は全部が前記架装物の前記本体部分の下の領域にあることを特徴とする請求項1に記載の業務用車両の無線給電システム。
【請求項3】
前記業務用車両は特有の機能を有する特装装置を架装物とする特装車であり、前記特装装置は前記機能を有する本体部分を有し、
前記車両本体はシャシフレームを有し、前記シャシフレームの上に前記本体部分が直接的又は他の部材を介して設置されており、前記受電コイルが前記本体部分又は前記本体部分と前記シャシフレームの間の部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の業務用車両の無線給電システム。
【請求項4】
前記業務用車両は特有の機能を有する特装装置を架装物とする特装車であり、前記特装装置は前記機能を有する本体部分がデッキフレームに載置されたものであり、
前記車両本体はシャシフレームを有し、前記シャシフレームの上に前記架装物が直接的又は他の部材を介して設置されており、前記受電コイルが前記デッキフレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の業務用車両の無線給電システム。
【請求項5】
蓄電池を備え車両本体に架装物が取付けられた業務用車両において、その側面に受電コイルが設置されており、前記受電コイルに誘導電流を励起させて前記蓄電池に給電することが可能であることを特徴とする業務用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特装車やトラック等の業務用車両に関するものである。また本発明は、業務用車両に搭載された蓄電池に無線給電する業務用車両の無線給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な業務用車両として、ダンプトラック、散水車、給水車、コンクリートポンプ、ミキサートラック、タンクローリー、粉粒体運搬車、塵芥収集車、着脱ボディ車等の特装車が知られている。特装車は、車両本体に特有の機能を有する特装装置が取り付けられた業務用車両である。
特装車の多くは、シリンダや油圧モータ等の油圧機器を駆動源として所望の機能を果たすものである。車両の多くは、PTO(Power Take-Off)と称される車両本体のエンジンから動力を取り出す動力取り出し装置を有し、当該PTOによって油圧ポンプ等を駆動し、油圧機器に作動油を供給している。
【0003】
これに対して、蓄電池によって電動モータを駆動して油圧ポンプ等を駆動し、油圧機器に作動油を供給する構成の業務用車両が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に開示された業務用車両では、業務用車両に給電線を接続して蓄電池が充電される。
また、路線バスに電動バスが使用されている例がある。さらに電動の路線バスに対して無線給電し、蓄電池に充電する路線電動バスの無線給電システムが知られている。
無線給電を行う路線電動バスは、車体の底面に受電コイルが設置されている。路線電動バスの給電システムでは、地面に送電コイルが設置されている。路線電動バスの無線給電システムでは、送電コイルの上に電動バスを駐車して、給電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-120727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特装車に対して無線給電することが望まれている
路線電動バスの無線給電システムを特装車に応用することが考えられるが、前記した無線給電システムでは、給電中における受電コイルと送電コイルの位置関係を目視できないという問題がある。
即ち、無線給電システムの原理は、送電コイルに受電コイルを対向させ、送電コイルに交流電流を通電し、受電コイルに誘導電流を励起させるものである。そのため、送電コイルと受電コイルの間に、他の導電体が入ってしまうと受電コイルの誘導電流の励起に障害が起きる懸念がある。そのため給電中における受電コイルと送電コイルの位置関係を目視したいという要求がある。
【0006】
また路線電動バスの無線給電システムでは、送電コイルが地面にあるから、運転席から送電コイルや受電コイルを目視しにくく、送電コイルに受電コイルが対向する様に駐車させるのが困難である。
さらに、車両本体の電動化に伴って車体の底面に受電コイルを取り付けるスペースを確保することが困難である。
【0007】
また車体の底面に受電コイルを取り付けると、当該部分の地上高が低くなり、道路上の障害物等にぶつかってしまう懸念がある。即ち、路線電動バスは、走行ルートが定まっており、道路状況は安定している。そのため路線電動バスの走行ルートには問題となるような障害物は少ない。そのため路線バスは、車高が低くても弊害は少ない。
これに対して、塵芥収集車やダンプトラック等の特装車は、悪路を走る機会が多く、車体の底面に受電コイルを取り付けると、当該受電コイルが道路上の障害物と衝突してしまう危険がある。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するものであり、実用的な特装車等の無線給電システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するための態様は、蓄電池を備え車両本体に架装物が取付けられた業務用車両と、送電装置とを有し、前記蓄電池に無線給電する業務用車両の無線給電システムであって、前記業務用車両は、その側面に受電コイルが設置されており、前記送電装置は、交流電源と、床面又は地面から上方に突出する支持部材と、当該支持部材に設けられた送電コイルを有し、前記業務用車両を前記送電コイルの横に駐車して前記送電コイルに前記受電コイルを対向させ、前記交流電源から前記送電コイルに交流電流を通電し、前記受電コイルに誘導電流を励起させて前記蓄電池に給電することが可能であることを特徴とする業務用車両の無線給電システムである。
【0010】
業務用車両は、何らかの役務を行う車両である。業務用車両には、バスや乗用車等の人を運ぶことを主目的とするものは含まれない。
本態様の業務用車両の無線給電システムでは、受電コイルが業務用車両の側面に設置されている。また送電コイルは、床面又は地面から上方に突出する支持部材に設けられている。
そのため本態様の業務用車両の無線給電システムによると、給電中における受電コイルと送電コイルの位置関係を目視することができる。例えば業務用車両から降りた運転手や助手は、車両の下をのぞきこまなくても給電中における受電コイルと送電コイルの位置関係を目視することができる。
また送電コイルの位置を確認しながら車両を動かすことができるので、送電コイルに受電コイルが対向する様に駐車させることが容易である。
また本態様の業務用車両の無線給電システムでは、受電コイルが業務用車両の側面にあるので、車高が低くならず、悪路を走行することができる。
なお本態様の業務用車両の無線給電システムは、特装車等の車両に適するシステムであり、バスや乗用車には不向きである。即ち、バスや乗用車は、側面が地面近くまで鋼板のホディで覆われている。そのため送電コイルを近づけると、ボディに渦電流が生じ、ボディを傷めてしまう。またボディに磁束が奪われて送電効率が著しく低下してしまう。
【0011】
上記した態様において、前記業務用車両は特有の機能を有する特装装置を架装物とする特装車であり、前記特装装置は前記機能を有する本体部分を有し、前記車両本体はシャシフレームを有し、前記シャシフレームの上に前記本体部分が直接的又は他の部材を介して設置されており、前記受電コイルの一部又は全部が前記架装物の前記本体部分の下の領域にあることが望ましい。
【0012】
本態様の業務用車両の無線給電システムで採用する業務用車両は、塵芥収集車等の特装車である。本態様の業務用車両は、特有の機能を有する本体部分を有し、シャシフレームの上に本体部分が直接的又は他の部材を介して設置されている。
本態様の業務用車両では、受電コイルの一部又は全部が架装物の本体部分の下の領域にあるので、受電コイルは架装物の本体部分で保護される。
【0013】
上記した各態様において、前記業務用車両は特有の機能を有する特装装置を架装物とする特装車であり、前記特装装置は前記機能を有する本体部分を有し、前記車両本体はシャシフレームを有し、前記シャシフレームの上に前記本体部分が直接的又は他の部材を介して設置されており、前記受電コイルが前記本体部分又は前記本体部分と前記シャシフレームの間の部材に固定されていることが望ましい。
【0014】
本態様によると、受電コイルをしっかりと取り付けることができる。
【0015】
上記した各態様において、前記業務用車両は特有の機能を有する特装装置を架装物とする特装車であり、前記特装装置は前記機能を有する本体部分がデッキフレームに載置されたものであり、前記車両本体はシャシフレームを有し、前記シャシフレームの上に前記架装物が直接的又は他の部材を介して設置されており、前記受電コイルが前記デッキフレームに固定されていることが望ましい。
【0016】
本態様によると、受電コイルをしっかりと取り付けることができる。
【0017】
業務用車両に関する態様は、蓄電池を備え車両本体に架装物が取付けられた業務用車両において、その側面であってホイールベース間の位置に受電コイルが設置されており、前記受電コイルに誘導電流を励起させて前記蓄電池に給電することが可能であることを特徴とする。
【0018】
本態様の業務用車両は、無線給電によって蓄電池を充電することができる。
本態様の業務用車両では、給電中における受電コイルと送電コイルの位置関係を目視することができる。また本態様の業務用車両は、受電コイルが業務用車両の側面にあるので、車高が低くならず、悪路を走行することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の業務用車両の無線給電システムによると、給電中における受電コイルと送電コイルの位置関係を目視することができる。本発明の業務用車両の無線給電システムによると、送電コイルに受電コイルが対向する様に駐車させるのが容易である。さらに本態様の業務用車両は、受電コイルが業務用車両の側面にあるので、車高が低くならず、悪路を走行することができる。
この様に本発明の業務用車両の無線給電システムは、実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態の業務用車両の無線給電システムの外観構成を示す概念図である。
図2】(a)(b)は、図1の業務用車両の無線給電システムにおける給電手順を示す説明図である。
図3】業務用車両の無線給電システムの構成部材の概念図である。
図4図1の業務用車両の無線給電システムのブロック図である。
図5】業務用車両(塵芥収集車)の側面図であり、(a)は、塵芥収容箱の塵芥排出口を塵芥投入箱で塞いだ状態を示し、(b)は、塵芥投入箱を揺動させて塵芥収容箱の塵芥排出口を開いた状態を示す。
図6】業務用車両(塵芥収集車)の架装物の断面図であり、(a)は回転板が準備姿勢であり、且つ押し込み板の下端側が後端側に退避している状態を示し、(b)は回転板が回転して塵芥をすくい上げ、押し込み板の下端側が後端側に退避している状態を示し、(c)は、押し込み板の下端側が前方に移動して塵芥を塵芥収容箱側に押し込んだ状態を示す。
図7】業務用車両(塵芥収集車)の各部材を概念的に表示した分解斜視図である。
図8】業務用車両(塵芥収集車)の各部材の組合せを概念的に表示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の業務用車両の無線給電システム1(以下、無線給電システム1と略称することがある)は、非接触で業務用車両の蓄電池を充電するものである。
本実施形態の無線給電システム1は、図1の様に、塵芥収集車(業務用車両)2と、送電装置3によって構成されている。
塵芥収集車(業務用車両)2は、図5図7図8の様に、電動のトラック車両(車両本体)20に特装装置たる塵芥収集装置(架装物)30が搭載されたものである。また本実施形態に特有の構成として、受電機器50が搭載されている。
【0022】
トラック車両20及び塵芥収集装置30は、公知のものであり、最初に説明する。
【0023】
図3図7の様に、トラック車両20は、公知のそれと同様にキャビン部5と架台部6を有し、走行輪7を有しており、走行輪7を回転して自走する。
図5図7図8の様に、トラック車両20はシャシフレーム10を備えている。シャシフレーム10は、図7の様に、平行に配された一対の第1縦部材11a、11bを有している。第1縦部材11a、11bは、それぞれトラック車両20の前後方向にのびている。
トラック車両20は、図5の様に、走行用モータ12と蓄電池21を有し、走行用モータ12を駆動源として走行する。
【0024】
次に塵芥収集装置(特装装置 架装物)30について説明する。
塵芥収集装置30は、図7の様に、塵芥等を収集する機能を発揮する本体装置31と、デッキフレーム32と、油圧ユニット33によって構成されている。
油圧ユニット33は、公知のものであり、作動油タンク35と、油圧ポンプ36を備えている。油圧ポンプ36には電動モータ37が接続されており、当該電動モータ37によって油圧ポンプ36が駆動する。
【0025】
本体装置31は、図5の様に、塵芥を収容する塵芥収容箱202と、塵芥投入箱203によって構成されている。塵芥収容箱202は、図5(b)の様に車両20の後端側に塵芥排出口208が開口した箱であり、他方の塵芥投入箱203は、塵芥収容箱202の開口部分(塵芥排出口208)を覆う位置にある。即ち塵芥投入箱203は、図5(a)(b)の様に塵芥収容箱202を蓋するものであり、塵芥収容箱202と塵芥投入箱203とによって、略密閉された塵芥収納空間205が形成される。
そして塵芥投入箱203には、図6の様に塵芥が投入される塵芥投入空間206と、塵芥投入空間206に投入された塵芥を塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205に押し入れる積込装置207が内蔵されている。
【0026】
積込装置207は、回転板式積込装置と称される構造のものがある。
積込装置207は、図6の様に揺動式の押し込み板210と、回転板213とが組み合わされた構造のものである。
即ち積込装置207では、塵芥投入空間206内に回転板213がある。当該回転板213は、水平軸215を中心として回転する。
また押し込み板210は、回転板213の上部であって、塵芥投入箱203の後端側に設けられている。押し込み板210は、水平軸218を中心として、車両20の前後方向に揺動する。
押し込み板210は、油圧シリンダ211によって揺動する。回転板213は、図示しない油圧モータによって回転する。油圧シリンダ211及び油圧モータは、前記した油圧ユニット33から作動油の供給を受けて駆動する。
【0027】
積込装置207では、図6(a)の様に回転板213を回転させることによって、図6(b)の様に塵芥投入空間206に投入された塵芥220を一定の高さにすくい上げる。そして図6(c)の様に押し込み板210を揺動させ、押し込み板210の先端で回転板213の表面を拭い、塵芥220を塵芥収容箱202内の塵芥収納空間205内に押し入れる。
【0028】
デッキフレーム32は、トラック車両20のシャシフレーム10に固定される固定部として機能するものであり、鋼材で作られたフレーム枠である。
本実施形態のデッキフレーム32は、図7の様に平行に配された一対の第3縦部材40a、40bを有し、その間に複数の補強部材41が設けられたものである。
デッキフレーム32の第3縦部材40a、40bは、いずれもトラック車両20の前後方向にのびている。
図7の様に、デッキフレーム32の2本の第3縦部材40a、40bを合わせた全体の幅WB(以下、単に全幅WBと称する場合がある)は、シャシフレーム10の一対の第1縦部材11a、11bを合わせたシャシフレーム10全体の幅WA(以下、単に全幅WAと称する場合がある)と略等しい。即ち第1縦部材11aの上に第3縦部材40aが載り、第1縦部材11bの上に第3縦部材40bが載り得る程度にデッキフレーム32の全幅WBと、シャシフレーム10の全幅WAが等しい。
【0029】
本体装置31は、シャシフレーム10の上に固定されている。
即ち、本実施形態では、トラック車両(車両本体)20のシャシフレーム10の上に塵芥収集装置30のデッキフレーム32が載り、さらにデッキフレーム32の上に塵芥収集装置30の本体装置31が載置されている。
図8に示す様に、本体装置31の幅は、シャシフレーム10及びデッキフレーム32の幅よりも広い。即ち本体装置31には、シャシフレーム10及びデッキフレーム32からはみ出したはみ出し部45がある。
【0030】
次に、本実施形態の特徴的構成たる受電機器50について説明する。
受電機器50は、受電ユニット51と、コントローラ52を有している。
受電ユニット51には、受電コイル53が内蔵されている。コントローラ52は、整流回路55及び電圧制御回路56等が内蔵されている。
図3図4の様に、受電コイル53がコントローラ52の入力側に接続されている。またコントローラ52に蓄電池21が接続されている。
【0031】
塵芥収集車(業務用車両)2は蓄電池21の電気によって動作する。
即ち図4の様に、塵芥収集車2には、車両側機器100と、塵芥収集装置側機器101があり、蓄電池21からこれらに対して電力が供給される。車両側機器100として、走行用モータ12と、走行制御装置105がある。塵芥収集装置側機器101には、油圧ユニット33と、特装装置側制御装置106がある。
【0032】
次に、受電機器50の取り付け位置について説明する。
本実施形態の塵芥収集車2では、図5の様に、塵芥収集車2の側面であってホイールベース間66の位置に受電ユニット51が設置されている。より詳細には、図7図8の様に、受電ユニット51の一部がブラケット46により、デッキフレーム32の側面に固定されており、受電ユニット51は、デッキフレーム32の側面から垂下されている。
受電ユニット51の受電コイル53は、塵芥収集車2の側面側に面している。
前記した様に、本体装置31の幅は、シャシフレーム10及びデッキフレーム32の幅よりも広く、本体装置31には、シャシフレーム10及びデッキフレーム32からはみ出したはみ出し部45がある。受電ユニット51は、当該はみ出し部45の下にあり、受電ユニット51の上部ははみ出し部45で覆われている。
コントローラ52は、デッキフレーム32の側面に取り付けられている。
【0033】
本実施形態では、受電ユニット51は、運転席から目視できる位置に取りつけられている。即ち運転者が座席に座ったままの状態で、サイドミラーやルームミラーで受電ユニット51を確認することができる。あるいは窓から頭を出して受電ユニット51を目視できてもよい。
【0034】
次に送電装置3について説明する。
送電装置3は、図1図3図4に示す様に、電源装置(交流電源)60と、送電コイル61によって構成れている。電源装置60は、高周波電源であり、商用電源63から供給された60ヘルツ又は50ヘルツの交流を高周波交流に周波数変換するものである。
【0035】
送電コイル61は、図1乃至図3の様に支持部材65に設けられている。
支持部材65は、駐車場の基準面から垂直に立てられている。即ち駐車場が地上にある場合は、地面から上方に突出する姿勢で設置されている。また駐車場が建物内にある場合は、床面から垂直に立てられている。
送電コイル61は、支持部材65の一方の面に設けられている。
送電コイル61の高さは、塵芥収集車2の受電コイル53の高さと同じである。
【0036】
次に、無線給電システム1の使用方法について、図2を参照しつつ説明する。
前記した様に、支持部材65は、地面又は床面から上方に突出している。
使用者は、塵芥収集車(業務用車両)2を運転して、図2(a)の様に駐車場に入場し、図2(b)の様に支持部材65の側方に駐車する。このとき塵芥収集車2の受電ユニット51が送電コイル61に正面から対向することとなるように、塵芥収集車2の位置をコントロールする。
運転者は、支持部材65の位置を確認しながら塵芥収集車2を動かすことができるので、送電コイル61に受電コイル53が対向する様に駐車させるのが容易である。
【0037】
そして図示しないスイッチ等を操作することにより、電源装置(交流電源)60を駆動して、送電コイル61に高周波の交流を通電する。その結果、送電コイル61が磁力を発生させ、当該磁力の方向が変化する。
一方、受電コイル53には送電コイル61の磁力線が通過し、高周波交流が励起される。
受電コイル53で発生した高周波交流は、コントローラ52の整流回路55で整流され、電圧制御回路56等を経て蓄電池21に供給され、当該蓄電池21が充電される。
【0038】
本実施形態の無線給電システム1では、充電中の送電コイル61と受電コイル53を目視することができるので、異常があった際に気づきやすい。即ち本実施形態の無線給電システム1では、送電コイル61と受電コイル53がいずれも地上であって、ある程度の高さの位置にあるから、充電中の送電コイル61と受電コイル53を目視することができる。特に本実施形態では、運転席から見える位置に送電コイル61と受電コイル53があるから、運転席に居ながらにして充電中の送電コイル61と受電コイル53を目視することができる。
また受電コイル53の高さは道路よりも相当に高い位置にあるから、塵芥収集車2が悪路を走行することによる地面の突起物への衝突を抑制することが可能である。
また受電コイル53は、本体装置31のはみ出し部45の下にあり、受電ユニット51の上部ははみ出し部45で覆われているので、塵芥収集車2の側面側から何らかの物がぶつかって来ても、受電コイル53に傷がつくことを抑制することができる。
【0039】
以上説明した実施形態では、塵芥収集装置(架装物)30のデッキフレーム32に受電ユニット51に固定したが、塵芥収集装置30の本体装置31と、トラック車両(車両本体)20のシャシフレーム10の間の他の部材に受電ユニット51に固定してもよい。また塵芥収集装置30の本体装置31に受電ユニット51を固定してもよい。推奨するものではないが、トラック車両(車両本体)20のシャシフレーム10に受電ユニット51を固定することも可能である。
【0040】
以上説明した実施形態では、塵芥収集装置(架装物)30に設けられた受電コイル53は固定されていて動かないが、例えば塵芥収集車2の幅方向に移動可能であってもよい。受電コイル53を塵芥収集車2の幅方向に移動させることによって、駐車後に受電コイル53を送電コイル61に近づけることができる。
逆に送電コイル61を水平方向に出没させて駐車後に送電コイル61を受電コイル53に近づけてもよい。
【0041】
以上説明した実施形態では、塵芥収集車2の側面であってホイールベース間66の位置に受電ユニット51が設置されているが、受電ユニット51の取付位置はホイールベース間66に限定されるものではなく、リヤオーバーハングの位置であってもよい。
【0042】
以上、塵芥収集車2を業務用車両の例として本発明の無線給電システム1を説明したが、業務用車両は、塵芥収集車に限定されるものでなく、他の特装車であってもよい。さら業務用車両は、バントラックや平ボディトラック等の貨物車両であってもよい。
以上説明したトラック車両(車両本体)は電動トラックであるが、車両本体は、エンジンを動力源とするものであってもよい。この場合においても、特装装置については蓄電池21の電力によって動作する。
【符号の説明】
【0043】
1 無線給電システム
2 塵芥収集車(業務用車両)
3 送電装置
7 走行輪
10 シャシフレーム
12 走行用モータ
20 トラック車両(車両本体)
21 蓄電池
30 塵芥収集装置(架装物)
31 本体装置
32 デッキフレーム
45 はみ出し部
50 受電機器
51 受電ユニット
52 コントローラ
53 受電コイル
61 送電コイル
65 支持部材
66 ホイールベース間
100 車両側機器
101 塵芥収集装置側機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8