(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166805
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241122BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083154
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 夏軌
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】監視対象の混雑状況の報知を、監視対象に応じて柔軟に行うための技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本技術に係る制御方法は、監視対象の検出された混雑状況を記憶装置から読み出し、当該混雑状況と目標とする状態との差に基づいて、読み出した混雑状況に対する補正を行い、補正後の混雑状況の報知指示信号を、監視対象の利用者が確認可能な報知装置に出力することを繰り返し行うフィードバック制御をコンピュータが実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の検出された混雑状況を記憶装置から読み出し、当該混雑状況と目標とする状態との差に基づいて、読み出した前記混雑状況に対する補正を行い、補正後の混雑状況の報知指示信号を、前記監視対象の利用者が確認可能な報知装置に出力すること、
を繰り返し行うフィードバック制御をコンピュータが実行する制御方法。
【請求項2】
前記補正は、実際の混雑状況を通知用に補正する際の補正量と補正後の混雑状況を通知した後の混雑状況の変化との関係を予め学習した予測モデルを用いて行われる
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記監視対象は複数の領域を含み、前記目標とする状態は、前記複数の領域の相対的な前記混雑状況に基づいて決定される
請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記予測モデルは、前記複数の領域の各々に対して作成される
請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記予測モデルは、前記監視対象の状況の種別ごとに作成される
請求項2に記載の制御方法。
【請求項6】
前記予測モデルは、転移学習により作成される
請求項2に記載の制御方法。
【請求項7】
前記報知装置への出力後、所定時間以内に、前記混雑状況が前記目標とする状態に収束しないと判断された場合、前記補正量と前記混雑状況の変化との関係を改めて学習し、前記予測モデルを更新する
請求項2に記載の制御方法。
【請求項8】
読み出した前記混雑状況、及び前記目標とする状態を、前記監視対象の管理者に対してさらに通知する
請求項1から7の何れか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
監視対象の検出された混雑状況を記憶装置から読み出し、当該混雑状況と目標とする状態との差に基づいて、読み出した前記混雑状況に対する補正を行い、補正後の混雑状況の報知指示信号を、前記監視対象の利用者が確認可能な報知装置に出力すること、
を繰り返し行うフィードバック制御を実行する制御部を備える制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混雑状況を報知するための制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のトイレ室の混雑状況を管理するトイレ管理方法が提案されていた(例えば、特許文献1)。本技術は、複数のトイレ室の使用状況に関する使用情報を取得する使用情報取得工程と、取得した使用情報に基づいて、複数のトイレ室の実際の混雑状況を判定する混雑状況判定工程と、混雑状況判定工程において判定された実際の混雑状況を補正する混雑状況補正工程と、混雑状況補正工程において補正された混雑状況の補正結果を出力端末に送信する送信工程とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
混雑状況を利用者に提示する場合、結果として、比較的混雑していなかったところに使用者を集中させてしまう可能性がある。また、混雑状況の提示を受けた利用者の行動を予測することは難しく、混雑状況を補正しても狙い通りに人の動きをコントロールできない可能性がある。そこで、本技術は、監視対象の混雑状況の報知を、監視対象に応じて柔軟に行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る制御方法は、監視対象の検出された混雑状況を記憶装置から読み出し、当該混雑状況と目標とする状態との差に基づいて、読み出した混雑状況に対する補正を行い、補正後の混雑状況の報知指示信号を、監視対象の利用者が確認可能な報知装置に出力することを繰り返し行うフィードバック制御をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0006】
本技術によれば、監視対象の混雑状況の報知を、監視対象に応じて柔軟に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、システムの構成の一例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、システムの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、学習処理の一例を示す処理フロー図である。
【
図4】
図4は、滞留数の変化の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、補正ルールを説明するための図である。
【
図6】
図6は、運用処理の一例を示す処理フロー図である。
【
図7】
図7は、システムの構成の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、管理者への通知の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、滞留数の変化の他の例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、滞留数の変化の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。
図1は、システムの構成の一例を説明するための図である。システム1は、何らかの監視対象における混雑状況を検知し、利用者に対する所定の通知処理を行う。監視対象は、待ち行列や交通渋滞が発生する場所であり、例えば、店舗や窓口、遊園地等のアトラクション、公衆トイレ、駐車場、道路の区間等である。混雑状況は、例えば順番待ちの行列を形成している人の数又は車両の数等(「滞留数」と呼ぶ)によって表される。また、システム1は、直近の混雑状況と目標とする状況との差に基づいて補正した混雑状況を利用者に通知することで、目標とする状態に収束させる。本実施形態に係る補正とは、混雑状況のフィードバックを受けた利用者の行動が変化する大きさを学習しておき、実際の混雑状況を利用者への通知用に変更する処理である。補正量は、例えば機械学習により、早期に目標とする状態に収束させられるように決定される。すなわち、混雑状況のフィードバックを受けた利用者の行動がどの程度変化するかを織り込んだ補正量によって、目標に近づくような補正を行った上で予測情報のフィードバックを行う。また、学習とは、滞留数を目標とする状態に近づけるために、実際の滞留数をどの程度変更して(すなわち増加又は減少させて)通知すべきかを表す学習済モデルを、フィードバックの繰り返しにより機械学習することにより作成する処理である。すなわち、通知した人数と通知後の滞留数の変化との関係を、例えば回帰分析等の手法により学習する。学習は、時季や曜日、時間帯等を区別して行うようにしてもよい。また、例えば回帰式で表される学習済モデルは、実際の滞留数及び目標とする状態に基づいて通知すべき人数を決定するための補正ルールとして使用できるものであり、換言すれば人数の通知後の滞留数を予測する予測モデルといえる。
【0009】
システム1は、例えば店舗である監視対象20に設置されたセンサシステム2と、利用者30が所持するユーザ端末3A、又は監視対象20に設置されたデジタルサイネージ3Bを含む表示装置(「報知装置」とも呼ぶ)3と、サーバ4とを含む。
図1の例では、監視対象20及びセンサシステム2の組合せが複数含まれている。また、利用者30及びユーザ端末3Aの組合せも複数含まれている。また、センサシステム2と、表示装置3と、サーバ4とは、ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。なお、ネットワーク5は、IP(Internet Protocol)ネットワークを含み、ネットワーク5に接続された装
置は所定のプロトコルに基づいて通信を行うことができる。ネットワーク5の一部は、電話網(固定電話網又は移動体通信網)、アドホック・ネットワーク(ad hoc network)、イントラネット、VPN(Virtual Private Network)、LAN(Local Area Network)
、無線LAN(Wireless LAN)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等であ
ってもよい。
【0010】
センサシステム2は、例えば、監視対象20に入店待ちの行列を形成している利用者30を検知し、滞留数をサーバ4へ通知する。サーバ4は、滞留数と目標の状況との差を解消するように滞留数を補正し、混雑状況の予測結果として利用者30に対して通知するための制御装置である。目標の状況は、例えば複数の監視対象20に対する滞留数が均等であることのように、相対的に決定されるものであってもよい。補正には、直近の滞留数と目標の状況との差に基づいて、所定の補正量が適用される。例えば、通知は、ユーザ端末3A及びデジタルサイネージ3Bの少なくとも何れか(すなわち、表示装置3)を介して行われる。なお、センサシステム2による混雑状況の把握は一例であり、例えばサーバ4は、利用者30が所持するユーザ端末3Aとの通信により、混雑状況を把握するようにしてもよい。
【0011】
図2は、システム1の一例を示すブロック図である。センサシステム2は、所定のセンシングデータに基づいて滞留数を算出し、サーバ4へ送信する装置である。センサシステム2は、プロセッサ21と、記憶装置22と、通信インターフェース(I/F)23と、センサ24とを備えている。また、これらの構成要素は、バスを介して接続されている。プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置である。プロ
セッサ21は、例えば所定のプログラムに従い、センサ24が出力するデータに基づいて滞留数を算出し、通信I/F23を介してサーバ4へ送信する。記憶装置22は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、及びHDD(Hard-Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置である。主記憶装置は、プロセッサ21が読み出すプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報を一時的に記憶したり、プロセッサ21の作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ21が実行するプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報等を記憶する。なお、記憶装置22は、プロセッサ21内に設けられるキャッシュメモリであってもよい。通信I/F23は、例えばネットワークカードや通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク5を介して他のコンピュータと通信を行う。センサ24は、例えばカメラであるが、所定の方式で人物を検出する人感センサや、整理券等の発券機、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコン等を利用してユーザ端末3Aを検知する通信装置等であってもよい。センサ24がカメラである場合、プロセッサ21は、例えば機械学習を利用した人物認識手法により人数をカウントしてもよい。
【0012】
表示装置3は、サーバ4から監視対象20の滞留数に関する情報を受信し、ディスプレイに表示する装置である。表示装置3は、プロセッサ31と、記憶装置32と、通信I/F33と、ユーザーインターフェース(UI)34とを備えている。また、これらの構成要素は、バスを介して接続されている。プロセッサ31は、CPU等の演算処理装置である。プロセッサ31は、例えば所定のプログラムに従い、通信I/F33を介して受信した滞留数に関する情報を記憶装置32に記憶させたり、UI34に出力したりする。記憶装置32は、RAMやROM等の主記憶装置、及びHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置である。主記憶装置は、プロセッサ31が読み出すプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報を一時的に記憶したり、プロセッサ31の作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ31が実行するプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報等を記憶する。なお、記憶装置32は、プロセッサ31内に設けられるキャッシュメモリであってもよい。通信I/F33は、例えばネットワークカードや通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク5を介して他のコンピュータと通信を行う。UI34はディスプレイを含み、プロセッサ31による制御に従い所定の情報を表示する。
【0013】
サーバ4は、サーバコンピュータである。サーバ4は、1以上のクラウドサーバが提供する仮想的なサーバであってもよい。サーバ4は、プロセッサ41と、記憶装置42と、通信I/F43とを備えている。また、これらの構成要素は、バスを介して接続されている。プロセッサ41は、CPU等の演算処理装置であり、プログラムを実行することにより本実施形態に係る各処理を行う。
図2において、プロセッサ41内には機能ブロックを示している。すなわち、プロセッサ41は、所定のプログラムを実行することにより、受信部411、補正部412、通知部413及び学習部414として機能する。受信部411は、通信I/F43を介してセンサシステム2から情報を取得し、記憶装置42に記憶させる。受信部411は、例えば監視対象20に対する滞留数を示す情報を受信する。補正部412は、例えば所定の学習済モデルを用いて滞留数を補正する。学習済モデルは、例えば、実際の滞留数を補正して通知する滞留数と通知後の滞留数の変化との関係を学習した補正ルールである。補正部412は、学習済モデルを用いて、実際の滞留数を予め定められた目標に近づけるために通知すべき補正後の人数を求める。通知部413は、補正後の人数を、通信I/F43を介して表示装置3へ送信する。学習部414は、実際の滞留数を補正して通知する滞留数と通知後の滞留数の変化との関係を学習し学習済モデルを作成したり、予測精度を向上させるために学習済モデルを修正したりする。また、記憶装置42は、RAMやROM等の主記憶装置、及びHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置である。主記憶装置は、プロセッサ41が読み出すプログラムや他のコンピ
ュータとの間で送受信する情報を一時的に記憶したり、プロセッサ41の作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ41が実行するプログラムや他のコンピュータとの間で送受信する情報等を記憶する。なお、記憶装置42は、プロセッサ41内に設けられるキャッシュメモリであってもよい。通信I/F43は、例えばネットワークカードや通信モジュールであり、所定のプロトコルに基づき、ネットワーク5を介して他のコンピュータと通信を行う。
【0014】
<学習処理>
図3は、学習処理の一例を示す処理フロー図である。学習処理においては、実際の混雑状況及び補正した混雑状況を利用者にフィードバックすると共に、混雑状況を利用者に通知する際の補正量と、通知後の混雑状況の変化との関係を学習する。なお、サーバ4の受信部411は、センサシステム2から滞留数を取得し、記憶装置42に格納する処理を継続的に行うものとする。また、補正の目標となる状態が、予め定義されているものとする。目標となる状態は、例えば複数の監視対象20について、滞留数が均等である状態や、滞留数が所定の比になった状態のように、複数の監視対象20の相対的な混雑状況に基づいて決定されるものであってもよい。また、個々の監視対象20について、滞留数の目標となる具体的な数値が設定されていてもよい。具体的な数値は、例えば時季や時間帯のような所定の期間ごとに設定されていてもよい。
【0015】
まず、サーバ4の通知部413は、監視対象20に対する直近の滞留数を、記憶装置42から読み出し、利用者30に対して通知する(
図3:S1)。例えば、通知部413は、複数の監視対象20について、それぞれ滞留数を読み出し、読み出された滞留数を補正せずに通知する。
図4は、滞留数の変化の一例を説明するための図である。例えば
図4の(1)に示す時点においては、監視対象20A(「店舗A」と呼ぶ)には4人の利用者30が、監視対象20B(「店舗B」と呼ぶ)には1人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出される。また、ユーザ端末3Aには、店舗Aの待ち人数が4人、店舗Bの待ち人数が1人と通知される。
【0016】
次に、補正部412は、S1から所定時間経過後に、監視対象20に対する直近の滞留数を、記憶装置42から読み出し、初期的な補正ルールを決定する(
図3:S2)。なお、所定時間は、例えば30分のように予め定めておくものとする。本ステップでは、実際の滞留数を、利用者に通知するための混雑状況の予測値に補正するための補正ルールを決定する。本実施形態では、滞留数を目標の状態に近づけるために、実際よりも増減させた混雑状況の予測値を利用者に通知する。例えば、目標の状態よりも直近の滞留数が多い場合、滞留数の減少を促すために、利用者には実際の滞留数よりも増加するように補正した予測値を通知する。一方、目標の状態よりも直近の滞留数が少ない場合、滞留数の増加を促すために、利用者には実際の滞留数よりも減少するように補正した予測値を通知する。初期的には、例えば実際の滞留数と目標値との差が大きいほど大きな補正量で補正し、実際の滞留数と目標値との差が小さい場合(換言すれば、実際の滞留数が目標の状態に収束した場合)は比較的小さな補正量又はゼロで補正するような補正ルールが作成される。
【0017】
また、補正ルールにおける補正の程度は、S1からS2までの期間における滞留数の変化の程度に応じて決定されるようにしてもよい。S1からS2までの期間における滞留数の変化の程度は、利用者が、混雑状況を踏まえて行動を変化させた結果を表している。よって、S1からS2までの期間に、所定の基準よりも目標に近づくように滞留数が変化した場合は、補正量を比較的小さく調整するように補正ルールを作成してもよい。また、S1からS2までの期間に、所定の基準ほど滞留数が目標に近づかなかった場合は、補正量を比較的大きく調整するように補正ルールを作成してもよい。すなわち、補正ルールとは、実際の混雑状況を通知用に補正する際の補正量と、混雑状況を通知した後の混雑状況の変化との関係を学習した予測モデルともいえる。
【0018】
補正ルールは、実際の滞留数(センサシステム2から取得する直近の滞留数)を補正して混雑状況の予測値(通知する人数)を決定するための係数であってもよい。
図5は、補正ルールを説明するための図である。
図5の(A)は、横軸が実際の滞留数を表し、縦軸が通知する人数を表す。目標となる状態が具体的な数値(固定値)によって定義される場合は、
図5の(A)に示すような平面(象限)に、実際の滞留数(換言すれば、実際の滞留数と目標値との差)と通知する人数との関係を表す曲線で補正ルールを定義することができる。このような補正ルールは、例えば店舗等の監視対象20ごとに作成されるようにしてもよい。また、補正ルールは、監視対象20の状況が繁忙時間帯であるか否かといった状況の種別ごとに作成されるようにしてもよい。
【0019】
また、補正ルールは、実際の滞留数及び目標値との差と、通知すべき人数との関係を、機械学習したモデルであってもよい。すなわち、機械学習は、実際の滞留数及び目標値との差に基づいて、目標の状態に近づけるために通知すべき人数の予測値を算出する予測モデルであってもよい。回帰分析や、ニューラルネットワークを用いた学習手法など、既存の手法を用いることができる。
図5の(B)は、実際の滞留数を表す軸と、目標との差の値を表す軸と、通知する人数(補正後の人数)を表す軸とを含む三次元を表す。このような空間(象限)に、例えば回帰分析により作成した重回帰平面で補正ルールを定義してもよい。また、回帰分析に限らず、
図5の(B)に示すような空間において曲面で表されるような補正ルールを定義してもよい。また、混雑する時間帯か否かのような状態を表すパラメータ、近隣の他の店舗の混雑状況を表すパラメータ等をさらに用いて例えば回帰分析を行い、超平面で補正ルールを定義してもよい。
図3のS2においては、初期的な補正ルールが作成される。
【0020】
そして、補正部412は、S2で読み出した滞留数を補正し、混雑状況の予測結果として利用者30に対して通知する(
図3:S3)。本ステップでは、補正部412は、S2で作成した補正ルールに基づく補正を行い、通知部413は、補正後の人数を表示装置3へ送信する。例えば、
図4の(2)に示す時点においては、店舗Aには4人の利用者30が、店舗Bには2人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出される。また、目標の状態として、例えば、各店舗の滞留数が同一(換言すれば、滞留数の比が1対1)であることが設定されている場合、具体的な目標値として、全ての店舗の滞留数を各店舗の比率に応じて按分した人数が算出される。例えば、具体的な目標値として、店舗A及び店舗Bの滞留数は、それぞれ3.0人であると算出される。また、所定の補正ルールに従い、例えば、目標値よりも滞留数の多い店舗Aについては、滞留数の減少を促すために、補正後の人数として例えば実際よりも多い「6人」が算出される。同様に、目標値よりも滞留数の少ない店舗Bについては、滞留数の増加を促すために、補正後の人数として例えば実際よりも少ない「1人」が算出される。そして、ユーザ端末3Aには、算出された補正後の人数が通知される。
【0021】
その後、補正部412は、滞留数が目標の状態に収束したか判断する(
図3:S4)。本ステップでは、補正部412は、S2から所定時間後の滞留数を取得する。そして、補正部412は、当該時点における目標値を算出する。すなわち、具体的な目標値として、全ての店舗の当該時点の滞留数を各店舗の比率に応じて按分した人数が算出される。また、補正部412は、目標値と実際の滞留数との差が、例えば所定の閾値以内であれば収束したと判断する。
【0022】
収束していないと判断された場合(S4:NO)、S3の処理に戻り、S4で取得した滞留数をさらに補正して通知する処理を繰り返す。一方、収束したと判断された場合(S4:YES)、サーバ4の学習部414は、補正ルールの学習処理を行う(
図3:S5)。本ステップでは、例えば収束するまでに要する時間が短くなるように、補正ルールを更
新する。例えば、利用者の行動変容を強く促すために補正量を大きくしてもよいし、利用者の行動変容を抑制するために補正量を小さくしてもよい。
【0023】
また、所定の補正ルールに従い、例えば滞留数が目標の状態に収束した場合は、補正量を小さくして又は補正量をゼロにして、補正部412が混雑状況の予測値を算出し、通知部413が表示装置3へ送信する。
図4の(3)に示す時点においては、店舗Aには3人の利用者30が、店舗Bには2人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出される。また、具体的な目標値として、店舗A及び店舗Bの滞留数は、それぞれ2.5人であると算出されたものとする。そして、例えば実際の滞留数と目標値との差が1人(閾値)以内である場合に収束したと判断され、ユーザ端末3Aには、実際の滞留数が通知される。
【0024】
<運用処理>
図6は、運用処理の一例を示す処理フロー図である。運用処理においては、学習処理において作成された補正ルールを用いて補正した混雑状況を利用者にフィードバックする。また、期待される期間内に混雑状況が目標の状態に収束しない場合は、必要に応じて、混雑状況を利用者に通知する際の補正量と、通知後の混雑状況の変化との関係を改めて学習する。なお、監視対象に営業時間が定められている場合は営業開始と共に運用処理が開始されてもよいし、監視対象の繁忙期間のみに運用処理を実行するようにしてもよい。なお、サーバ4の受信部411は、センサシステム2から滞留数を取得し、記憶装置42に格納する処理を継続的に行うものとする。また、補正の目標となる状態が、予め定義されているものとする。
【0025】
補正部412は、監視対象20に対する直近の滞留数を、記憶装置42から読み出す(
図6:S11)。そして、補正部412は、S11で読み出した滞留数を補正し、混雑状況の予測結果として利用者30に対して通知する(
図6:S12)。本ステップでは、補正部412は、予め作成された補正ルールに基づく補正を行い、通知部413は、補正後の人数を表示装置3へ送信する。すなわち、所定の補正ルールに基づいて、例えば実際の滞留数と目標値との差が大きいほど、大きな補正量で補正され、実際の滞留数と目標値との差が小さい場合は、比較的小さな補正量又はゼロで補正される。
【0026】
また、学習部414は、補正ルールの精度は十分であるか判断する(
図6:S13)。学習部414は、例えば、滞留数と目標値とに所定の閾値を超える差が生じた場合であっても、想定される時間内に滞留数が目標の状態に収束するときは、補正ルールの精度が十分であると判断する。例えば、収束の判断は、通知後の任意の起算時点から所定時間後に行う。また、該所定時間内に、さらに混雑状況の通知を繰り返してもよい。なお、学習部414は、ユーザから、精度が十分であるか否かの判断結果の入力を受け、入力された情報に応じた判断を行うようにしてもよい。想定される時間内に滞留数が目標の状態に収束しない場合(S13:NO)は、補正ルールの学習処理を行う(
図6:S14)。本ステップは、
図3のS5と同様である。また、S13において精度が十分であると判断された場合(S13:YES)、又はS14の後、補正部412は、運用処理を終了するか判断する(
図6:S15)。例えば監視対象20が店舗である場合は、営業時間中に、又は所定の繁忙時間帯に、運用処理を継続して実行し、営業時間が終了した場合に、又は所定の繁忙時間帯が終了した場合に、運用処理を終了するようにしてもよい。運用処理を終了すると判断された場合(S15:YES)、
図6の処理を終了する。一方、雲霄処理を終了しないと判断された場合(S15:NO)、S11に戻って処理を繰り返す。
【0027】
本実施形態では、利用者への混雑状況の通知とS14の学習処理とを繰り返すような、いわゆるフィードバック制御を行うことで、補正ルールの精度を向上させ、適切な人流制御ができるようになる。なお、初期的な補正ルールとして、目標の状態よりも実際の滞留
数が多い場合、滞留数の減少を促すために、利用者には実際の滞留数よりも増加するように補正した予測値を通知し、目標の状態よりも実際の滞留数が少ない場合、滞留数の増加を促すために、利用者には実際の滞留数よりも減少するように補正した予測値を通知する例を示したが、最終的な補正ルールは、このような例には限定されない。
【0028】
すなわち、実際の滞留数を通知しただけで、複数の監視対象20の間で容易に滞留数の多寡が逆転するような傾向がある場合は、学習処理の結果として、実際の滞留数よりも差が小さくなるように補正して通知する可能性もあり得る。
図9は、滞留数の変化の他の例を説明するための図である。例えば
図3のS1において、
図9の(1)に示すように監視対象20A(「店舗A」と呼ぶ)には4人の利用者30が、監視対象20B(「店舗B」と呼ぶ)には1人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出されたものとする。このとき、
図4の例と同様に、ユーザ端末3Aには、店舗Aの待ち人数が4人、店舗Bの待ち人数が1人と通知される。
【0029】
図9の(2)に示す時点においては、店舗Aには2人の利用者30が、店舗Bには4人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出されたものとする。すなわち、2つの店舗の実際の滞留数に差がある場合、
図9の(1)において実際の滞留数を通知した後に滞留数の多寡が逆転している。なお、目標の状態は、各店舗の滞留数が同一であることが設定されており、具体的な目標値として、店舗A及び店舗Bの滞留数は、それぞれ3.0人であると算出されたものとする。このケースにおいては、
図9の(2)において実際の滞留数を通知した場合、再び滞留数の逆転が生じるおそれがある。また、利用者30に対しては、本通知の信頼度を低下させることになりかねない。よって、目標値よりも滞留数の少ない店舗Aについては、滞留数の増加を抑制ために、補正後の人数として例えば実際よりも少ない「3人」が算出される。目標値よりも滞留数の多い店舗Bについては、滞留数の減少を抑制ために、補正後の人数として例えば実際よりも多い「3人」が算出される。
【0030】
図9の(3)に示す時点においては、店舗Aには3人の利用者30が、店舗Bには2人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出される。また、具体的な目標値として、店舗A及び店舗Bの滞留数は、それぞれ2.5人であると算出されたものとする。そして、例えば実際の滞留数と目標値との差が1人(閾値)以内である場合に収束したと判断され、ユーザ端末3Aには、実際の滞留数が通知される。
【0031】
また、監視対象20によっては、空いている場所へ利用者が流れるのでなく、例えば行列のできる飲食店に対して逆に人気が集中するような場合もある。このような場合にも、画一的な制御を行うのでなく、本実施形態に係るフィードバック制御によれば、できるだけ目標の状態に近づけるように補正ルールを修正できる。
図10は、滞留数の変化の他の例を説明するための図である。例えば、
図10の(1)に示すように監視対象20A(「店舗A」と呼ぶ)には4人の利用者30が、監視対象20B(「店舗B」と呼ぶ)には2人の利用者30が、監視対象20C(「店舗C」と呼ぶ)には8人の利用者30がそれぞれ滞留していることを示す情報が読み出されたものとする。また、目標の状態は、各店舗の滞留数が同一であることが設定されており、具体的な目標値として、店舗Aから店舗Cまでの滞留数は、それぞれ4.66・・・・人であると算出されたものとする。そして、
図10の(1)では、目標値よりも滞留数の多い店舗については、滞留数の増加を抑制ために補正後の人数として実際よりも多い人数を通知し、目標値よりも滞留数の少ない店舗については、滞留数の減少を抑制ために補正後の人数として実際よりも多い人数を通知している。
【0032】
また、
図10の(2)では、店舗Aには3人の利用者30が、店舗Bは2人の利用者30が、店舗Cには8人の利用者30がそれぞれ滞留していることを示す情報が読み出され
たものとする。この場合、具体的な目標値として、店舗Aから店舗Cまでの滞留数は、それぞれ4.33・・・・人であると算出される。
図10の(2)では、目標値よりも滞留数の多い店舗については、補正後の人数として実際よりも少ない人数を通知し、目標値よりも滞留数の少ない店舗については、補正後の人数として実際よりも多い人数を通知している。しかしながら、
図10の(1)及び(2)に示すように、本開示に係るフィードバックに関わらず店舗Cの固定客が存在するような場合は、店舗Cの滞留数が増減しない可能性がある。このようなケースにおいては、店舗Cの目標とする状態を、店舗Aや店舗Bとの相対的な人数で表すのでなく、店舗A及び店舗Bからは独立した絶対的な人数で設定するようにしてもよい。例えば
図10の(3)においては、店舗Cは、店舗A及び店舗Bと比較して滞留数が多いが、全体としては目標とする状態に収束したものとして補正なしの人数が表示されている。
【0033】
以上のように、監視対象20を運営する管理者にとっては、サービスレベルの維持や、各監視対象20の機会損失を低減させることができる。また、上述した学習処理により補正ルールの精度を向上させることで、監視対象20の利用者に対しては、例えば空いている状況を期待して利用者が集中した結果、期待に反して混雑していたというようなストレスを低減させることができる。
【0034】
なお、滞留数の補正を行う監視対象20のグループは、何らかの関連がある監視対象20である。例えば、利用者30が分散し得るように近隣の複数の監視対象20を対象とすることが好ましい。また、店舗、窓口、遊園地等のアトラクション、公衆トイレ、駐車場、道路の区間等の種類が同じである監視対象20のグループの中で上述の補正を行うことが好ましい。特に、同じ種類の監視対象20の中でも、例えば商品やサービスの種類や業態等のより詳細なカテゴリが同一又は類似であることが好ましい。なお、複数の監視対象20の間の距離は、例えば、徒歩や車で移動できる程度の、時間の第1閾値以下又は距離の第1閾値以下で到達できる距離に存在する複数の監視対象20を対象としてもよい。また、複数の監視対象20は、一方の監視対象20に並ぶ利用者30から、他方の監視対象20に並ぶ利用者30が視認できない程度に、時間の第2閾値以上又は距離の第2閾値以上に離隔していることが望ましい。また、複数の監視対象20に並ぶ利用者30の間に、壁などの障害物が存在する場合は、時間の第2閾値及び距離の第2閾値は、障害物が存在しない場合よりも小さく補正して判定するようにしてもよい。以上のようにすれば、本開示に係る通知を行うことが効果的になる。
【0035】
<実施形態2>
利用者への通知のほかに、監視対象20の管理者にも通知を行うようにしてもよい。管理者は、例えば店舗や駐車場等を経営する事業者や運営者等である。
図7は、システムの構成の一例を説明するための図である。なお、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図7のシステムは、管理者が使用する管理者端末6をさらに含み、管理者端末6もネットワーク5に接続されている。管理者端末6は、PC(Personal Computer)等のコンピュータであり、装置構成は
図2に示す表示装置3と同様であ
る。
【0036】
図8は、管理者への通知の一例を説明するための図である。
図8の(4)に示す時点においては、店舗Aには4人の利用者30が、店舗Bには2人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出される。また、目標の状態として、例えば、各店舗の滞留数が同一であることが設定されている場合、具体的な目標値として、全ての店舗の滞留数を各店舗の比率に応じて按分した人数が算出される。例えば、具体的な目標値として、店舗A及び店舗Bの滞留数は、それぞれ3.0人であると算出される。また、所定の補正ルールに従い、例えば、目標値よりも滞留数の多い店舗Aについては、滞留数の減少を促すために、補正後の人数として例えば実際よりも多い「6人」が算出される。同様に、
目標値よりも滞留数の少ない店舗Bについては、滞留数の増加を促すために、補正後の人数として例えば実際よりも少ない「1人」が算出される。そして、ユーザ端末3Aには、算出された補正後の人数が通知される。一方、サーバ4の通知部413は、管理者端末6のUI(ユーザインターフェース)に、例えば実際の滞留数と、目標の状態とを表示させる。目標の状態とは、換言すれば、所定時間後に収束した状態の予測値といえる。また、サーバ4の通知部413は、管理者端末6に、補正後の人数をさらに表示させてもよい。また、
図8の(5)に示す時点においては、店舗Aには3人の利用者30が、店舗Bには2人の利用者30が、それぞれ滞留していることを示す情報が読み出される。また、具体的な目標値として、店舗A及び店舗Bの滞留数は、それぞれ2.5人であると算出されたものとする。そして、例えば実際の滞留数と目標値との差が1人(閾値)以内である場合に収束したと判断され、ユーザ端末3Aには、実際の滞留数が通知される。このとき、サーバ4の通知部413は、管理者端末6のUIに、例えば実際の滞留数と、目標の状態とを表示させる。なお、管理者端末6には、目標の状態に収束していることを示す情報をさらに通知してもよい。以上のような表示によれば、管理者が監視対象20の状況を把握するために有用である。
【0037】
<変形例>
作成された補正ルールは、他の監視対象20に適用してもよい。例えば、あるフードコートや駐車場等で作成された学習済の補正ルールを、いわゆる転移学習のように他の監視対象20に適用し、他の監視対象20における運用処理の中でさらに学習処理を行う。転移学習は、ある監視対象20(又は監視対象20のグループ)を学習対象として事前に作成され学習済みのモデルを、異なる監視対象20(又は監視対象20のグループ)の学習処理に流用する学習方式である。転移学習によれば、異なる監視対象20に最適化するための少ない学習コストで、モデルを転用できるようになる。転移学習においては、特に、同じような構成の監視対象20に対して学習済の補正ルールを適用するようにしてもよい。すなわち、店舗、窓口、遊園地等のアトラクション、公衆トイレ、駐車場、道路の区間等の種類が同じである監視対象20について、モデルを流用してもよい。また、同じ種類の監視対象20の中でも、例えば商品やサービスの種類や業態等のより詳細なカテゴリが同一又は類似である監視対象20にモデルを流用してもよい。特に、フードコートや駐車場、公衆トイレ等において、構成が類似している場合は、モデルの転用に好適である。このようにすれば、補正ルールの作成に要する時間を短縮できる。
【0038】
センサシステム2に代えて、利用者30が所持するユーザ端末3Aからサーバ4が情報を取得し、サーバ4が滞留数を算出してもよい。例えば、センサシステム2からサーバ4へ画像データを送信し、サーバ4が人物認識処理を行って滞留数を検知してもよい。
【0039】
また、センサシステム2に代えて、例えば衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用してユーザ端末3Aが位置情報を算出し、サーバ4が各ユーザ端末3Aから位置情報を収集するようにしてもよい。すなわち、ユーザ端末3Aにインストールされたプログラムが当該ユーザ端末3Aの位置を示す位置情報を取得し、例えば上述した実施形態に係る混雑状況の表示中に、又は常時バックグラウンドで、位置情報をサーバ4へ送信するようにしてもよい。
【0040】
また、監視対象は、1か所であってもよい。例えば、1つの窓口について時間帯ごとに目標の混雑状況を設定しておき、実際の混雑状況を補正した予測情報を利用者に通知してもよい。このようにすれば、利用者の利用時間を分散させ、窓口の混雑を緩和させることができる。一方、上述のように複数の監視対象のセットに適用すれば、複数の監視対象の間で混雑を分散させることができる点で効果的である。
【0041】
また、混雑状況は、人数でなく待ち時間等に換算して通知するようにしてもよい。
【0042】
<その他>
図示したシステム及び装置の構成は一例であり、上述の例には限定されない。例えば、サーバ4が備える機能の一部を、他のコンピュータが備えていてもよい。例えば、学習処理と、予測処理及び通知処理とは、異なる装置が実行するようにしてもよい。また、図示した機能の少なくとも一部を複数の装置で分担して実行してもよく、複数の装置で並列に実行してもよい。同様に、処理フローに示した処理は、結果が変わらない範囲で、順序を入れ替えて実行してもよく、並列に実行してもよい。
【0043】
また、本技術は、上述した処理方法を実行するコンピュータプログラム、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。当該記録媒体をコンピュータに読み込ませ、記録されているプログラム実行させることにより、上述の処理が可能となる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、ハードディスクドライブやROM等がある。
【0044】
本開示の要旨は以下の通りである。
(態様1)
監視対象の検出された混雑状況を記憶装置から読み出し、当該混雑状況と目標とする状態との差に基づいて、読み出した前記混雑状況に対する補正を行い、補正後の混雑状況の報知指示信号を前記監視対象の利用者が確認可能な報知装置に出力することと、
を繰り返し行うフィードバック制御をコンピュータが実行する制御方法。
(態様2)
前記補正は、実際の混雑状況を通知用に補正する際の補正量と補正後の混雑状況を通知した後の混雑状況の変化との関係を予め学習した予測モデルを用いて行われる
態様1に記載の制御方法。
(態様3)
前記監視対象は複数の領域を含み、前記目標とする状態は、前記複数の領域の相対的な前記混雑状況に基づいて決定される
態様2に記載の制御方法。
(態様4)
前記予測モデルは、前記複数の領域の各々に対して作成される
態様3に記載の制御方法。
(態様5)
前記予測モデルは、前記監視対象の状況の種別ごとに作成される
請求項2から4の何れか一つに記載の制御方法。
(態様6)
前記予測モデルは、転移学習により作成される
態様2から5の何れか一つに記載の制御方法。
(態様7)
前記報知装置への出力後、所定時間以内に、前記混雑状況が前記目標とする状態に収束しないと判断された場合、前記補正量と前記混雑状況の変化との関係を改めて学習し、前記予測モデルを更新する
請求項2から6の何れか一つに記載の制御方法。
(態様8)
読み出した前記混雑状況、及び前記目標とする状態を、前記監視対象の管理者に対してさらに通知する
態様1から7の何れか一つに記載の通知方法。
(態様9)
監視対象の検出された混雑状況を記憶装置から読み出し、当該混雑状況と目標とする状態との差に基づいて、読み出した前記混雑状況に対する補正を行い、補正後の混雑状況の報知指示信号を、前記監視対象の利用者が確認可能な報知装置に出力すること、
を繰り返し行うフィードバック制御を実行する制御部を備える制御装置。
【符号の説明】
【0045】
1:システム
2:センサシステム、21:プロセッサ、22:記憶装置、23:通信I/F、24:センサ
3:表示装置(3A:ユーザ端末、3B:デジタルサイネージ)、31:プロセッサ、32:記憶装置、33:通信I/F
4:サーバ41:プロセッサ、411:受信部、412:補正部、413:通知部、414:学習部、42:記憶装置、43:通信I/F
5:ネットワーク
6:管理者端末
20(20A、20B):監視対象
30:利用者