(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166807
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20241122BHJP
【FI】
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083159
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】523207386
【氏名又は名称】NSKステアリング&コントロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】森本 匡一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良一
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB06
5H611BB08
5H611TT01
5H611TT06
(57)【要約】
【課題】回転検出の信頼性を確保しつつ、ヒートシンクを軽量化することができる電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動駆動装置は、モータと、モータの回転を制御する電子制御装置とを備える。電子制御装置は、第1回路基板と、第1回路基板に取り付けられたヒートシンクと含む。ヒートシンクは、第1天板を有し、軸方向に貫通する貫通孔があけられており、磁石は、貫通孔に挿入され、磁石の周りには、電解コンデンサが配置される。ヒートシンクの反負荷側には、電解コンデンサの頭部に対向し、放熱材が充填される凹部があり、凹部と、貫通孔との間には、溝があり、電解コンデンサの一部が貫通孔から露出している。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの回転を制御する電子制御装置と、を備えた電動駆動装置であって、
前記モータは、
負荷側から反負荷側へ軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトと連動するモータロータと、
モータコイルと、前記モータコイルに給電するためのモータコイル配線を有し、前記モータロータを回転させるモータステータと、
前記モータロータ、及び前記モータステータを内側に収容する第1ハウジングと、
前記シャフトの前記反負荷側に設けられた磁石と、
を含み、
前記電子制御装置は、
第2ハウジングと、
前記モータコイルを励磁する電流を出力する複数のトランジスタを有するインバータ回路と、前記インバータ回路に接続された複数の電解コンデンサと、前記シャフトの前記軸方向の延長線上に配置された回転角度センサとが実装され、前記第2ハウジングの前記負荷側に配置された第1回路基板と、
前記第1回路基板の負荷側に取り付けられたヒートシンクと、
を含み、
前記ヒートシンクは、第1天板を有し、前記軸方向に貫通する貫通孔があけられており、前記磁石は、前記貫通孔に挿入され、
前記磁石の周りには、前記電解コンデンサが配置され、
前記ヒートシンクの反負荷側には、前記電解コンデンサの頭部に対向し、放熱材が充填される凹部があり、
前記凹部と、前記貫通孔との間には、溝があり、
前記電解コンデンサの一部が前記貫通孔から露出している、
電動駆動装置。
【請求項2】
前記凹部の縁の一部及び前記溝は、前記貫通孔の縁に沿った形状である、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項3】
前記凹部の縁の一部分は、前記貫通孔の縁の曲線と沿った曲線であり、前記凹部の縁の一部分の曲率中心は、前記シャフトと一致し、前記凹部の縁の他の部分の曲率中心は、前記凹部の中にある、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項4】
前記第1回路基板の第1面には、前記電解コンデンサが搭載され、前記第1回路基板の第2面には、前記トランジスタが実装される、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクと、前記第2ハウジングとは、複数の金属の固定部材で固定されており、
前記シャフトの中心軸を通り、互いに直交する第1仮想線及び第2仮想線で区切られる領域を第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限とすると、前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれに、少なくとも1つの前記電解コンデンサ及び少なくとも1つの前記固定部材が配置されている、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項6】
前記第2ハウジングの前記反負荷側に配置され、前記トランジスタを有するパワー回路を制御する制御回路を有する第2回路基板をさらに有し、
前記第2ハウジングは、前記第2回路基板を収容し、
前記第1ハウジングは、前記第1回路基板を収容する、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電動駆動装置を備え、
前記電動駆動装置が補助操舵トルクを生じさせる電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータの回転を制御する電子制御装置を備えた電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータによって補助操舵トルクを発生させる電動パワーステアリング装置は、モータを制御する装置である電子制御装置を備えている。例えば特許文献1には、モータと当該モータを制御するコントロールユニットとを一体にした駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動駆動装置は、支持体(ヒートシンク)の天板と電解コンデンサとの間に放熱材を介在させており、電解コンデンサの発熱は抑制されている。
【0005】
特許文献1の電動駆動装置では、電解コンデンサの近傍には、回転角度センサや磁石があり、回転角度センサや磁石に放熱材が付着してしまうと回転検出の精度に影響が及ぶ可能性がある。回転検出の信頼性を確保するため、放熱材の飛散を抑制するには、ヒートシンクの天板で電解コンデンサの頭部を全て覆う必要がある。特許文献1の電動駆動装置では、ヒートシンクを軽量化するには限界がある。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、回転検出の信頼性を確保しつつ、ヒートシンクを軽量化することができる電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、一態様に係る電動駆動装置は、モータと、前記モータの回転を制御する電子制御装置と、を備えた電動駆動装置であって、前記モータは、負荷側から反負荷側へ軸方向に延びるシャフトと、前記シャフトと連動するモータロータと、モータコイルと、前記モータコイルに給電するためのモータコイル配線を有し、前記モータロータを回転させるモータステータと、前記モータロータ、及び前記モータステータを内側に収容する第1ハウジングと、前記シャフトの前記反負荷側に設けられた磁石と、を含み、前記電子制御装置は、第2ハウジングと、前記モータコイルを励磁する電流を出力する複数のトランジスタを有するインバータ回路と、前記インバータ回路に接続された複数の電解コンデンサと、前記シャフトの前記軸方向の延長線上に配置された回転角度センサとが実装され、前記第2ハウジングの前記負荷側に配置された第1回路基板と、前記第1回路基板の負荷側に取り付けられたヒートシンクと、を含み、前記ヒートシンクは、第1天板を有し、前記軸方向に貫通する貫通孔があけられており、前記磁石は、前記貫通孔に挿入され、前記磁石の周りには、前記電解コンデンサが配置され、前記ヒートシンクの反負荷側には、前記電解コンデンサの頭部に対向し、放熱材が充填される凹部があり、前記凹部と、前記貫通孔との間には、溝があり、前記電解コンデンサの一部が前記貫通孔から露出している。
【0008】
これにより、電解コンデンサの一部が貫通孔から露出するほど、貫通孔を大きくし、ヒートシンクを軽量化できる。また、溝により、放熱材の飛散が抑制されるので、回転角度センサや磁石に放熱材が付着しにくい。その結果、電動駆動装置の信頼性が高まり、電動駆動装置が軽量化する。
【0009】
望ましい態様として、前記凹部の縁の一部及び前記溝は、前記貫通孔の縁に沿った形状である。これにより、凹部を越えて放熱材が溝に侵入すると、溝に沿って放熱材が広がり、貫通孔の内側まで放熱材が広がることが抑制される。
【0010】
望ましい態様として、前記凹部の縁の一部分は、前記貫通孔の縁の曲線と沿った曲線であり、前記凹部の縁の一部分の曲率中心は、前記シャフトと一致し、前記凹部の縁の他の部分の曲率中心は、前記凹部の中にある。これにより、電解コンデンサの頭部の一部が貫通孔にはみ出るが、放熱材の主な部分が凹部の中に留まる。
【0011】
望ましい態様として、前記第1回路基板の第1面には、前記電解コンデンサが搭載され、前記第1回路基板の第2面には、前記トランジスタが実装される。これにより、トランジスタ及び電解コンデンサは、いわゆる両面実装基板に実装されるので、第1回路基板の面積が小さくなる。そして、トランジスタ及び電解コンデンサが軸方向に重なっても、トランジスタの熱が第2ハウジングに放熱され、電解コンデンサの熱がヒートシンクに放熱され、第1回路基板の温度上昇が抑制される。その結果、電動駆動装置の信頼性が向上することができる。
【0012】
望ましい態様として、前記ヒートシンクと、前記第2ハウジングとは、複数の金属の固定部材で固定されており、前記シャフトの中心軸を通り、互いに直交する第1仮想線及び第2仮想線で区切られる領域を第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限とすると、前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれに、少なくとも1つの前記電解コンデンサ及び少なくとも1つの前記固定部材が配置されている。これにより、第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限のそれぞれに、少なくとも1つの電解コンデンサ及び少なくとも1つの固定部材が配置されている。固定部材を介して、電解コンデンサの熱が第2ハウジングへ伝達される。第2ハウジングでも熱の放熱がされるので、ヒートシンクの熱の飽和が抑制される。
【0013】
望ましい態様として、前記第2ハウジングの前記反負荷側に配置され、前記トランジスタを有するパワー回路を制御する制御回路を有する第2回路基板をさらに有し、前記第2ハウジングは、前記第2回路基板を収容し、前記第1ハウジングは、前記第1回路基板を収容する。これにより、電動駆動装置の径方向の大きさが抑制される。
【0014】
望ましい態様として、電動パワーステアリング装置は、上述した電動駆動装置を備え、前記電動駆動装置が補助操舵トルクを生じさせる。上述のように、電動駆動装置は、信頼性を向上できる。その結果、耐振動性を高めた、電動パワーステアリング装置の信頼性も向上する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、耐振動性を高め、信頼性の高い電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る電動駆動装置を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るモータの断面を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るモータの配線を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係るモータとECUとの関係を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る電動駆動装置を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係るパワー基板を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係るターミナルブロックをパワー基板に取り付ける構成例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係るターミナルブロックを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態1に係る電解コンデンサを放熱するヒートシンクを負荷側からみた平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る電解コンデンサを放熱するヒートシンクを反負荷側からみた平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る電動駆動装置の断面を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1に係る電源配線モジュールの負荷側の斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態1に係る電源配線モジュールの負荷側の平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態1に係る電源配線モジュールの反負荷側の斜視図である。
【
図17】
図17は、実施形態1に係る電源配線モジュールの反負荷側の平面図である。
【
図18】
図18は、実施形態1に係る蓋体及びコネクタの上面を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、実施形態1に係る蓋体の裏面を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態1に係る電動駆動装置の他の断面を示す断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態1に係るコネクタの裏面を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、実施形態1に係る蓋体とコネクタとの分解断面図である。
【
図23】
図23は、実施形態1に係る組立済みの蓋体とコネクタとの断面図である。
【
図24】
図24は、実施形態1の電源配線モジュールの等価回路を示す回路図である。
【
図25】
図25は、実施形態2に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図26】
図26は、実施形態3に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図27】
図27は、実施形態4に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0018】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。
図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置100を搭載している。
図2を参照して電動パワーステアリング装置100の概要を説明する。
【0019】
電動パワーステアリング装置100は、運転者(操作者)から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール191と、ステアリングシャフト192と、ユニバーサルジョイント196と、インターミディエイトシャフト197と、ユニバーサルジョイント198と、第1ラックアンドピニオン機構199と、タイロッド172と、を備える。また、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングシャフト192の操舵トルクを検出するトルクセンサ194と、モータ30と、モータ30を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)10と、減速装置175と、動力伝達機構173と、を備える。車速センサ182、電源装置183(例えば車載のバッテリ)、及びイグニッションスイッチ184は、車体に備えられる。車速センサ182は、車両101の走行速度を検出する。車速センサ182は、検出した車速信号SVをCAN(Controller Area Network)通信によりECU10に出力する。ECU10には、イグニッションスイッチ184がオンの状態で電源装置183から電力が供給される。
【0020】
電動駆動装置1は、モータ30と、モータ30のシャフト31の反負荷側に固定したECU10とを備える。また、電動駆動装置1は、ECU10とモータ30とを接続するアダプタを備えてもよい。
【0021】
図2に示すように、ステアリングシャフト192は、入力軸192Aと、出力軸192Bと、トーションバー192Cと、を備える。入力軸192Aは、一方の端部がステアリングホイール191に接続され、他方の端部がトーションバー192Cに接続される。出力軸192Bは、一方の端部がトーションバー192Cに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント196に接続される。なお、トルクセンサ194は、トーションバー192Cのねじれを検出することで、ステアリングシャフト192に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ194は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをECU10に出力する。ステアリングシャフト192は、ステアリングホイール191に付与された操舵力により回転する。
【0022】
インターミディエイトシャフト197は、アッパーシャフト197Aと、ロアシャフト197Bとを有し、出力軸192Bのトルクを伝達する。アッパーシャフト197Aは、ユニバーサルジョイント196を介して出力軸192Bに接続される。一方、ロアシャフト197Bは、ユニバーサルジョイント198を介して第1ラックアンドピニオン機構199の第1ピニオンシャフト199Aに接続される。アッパーシャフト197Aとロアシャフト197Bとは、例えば、スプライン結合されている。
【0023】
第1ラックアンドピニオン機構199は、第1ピニオンシャフト199Aと、第1ピニオンギヤ199Bと、ラックシャフト199Cと、第1ラック199Dと、を有する。第1ピニオンシャフト199Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント198を介してロアシャフト197Bに接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ199Bに接続される。ラックシャフト199Cに形成された第1ラック199Dは、第1ピニオンギヤ199Bと噛み合う。ステアリングシャフト192の回転運動は、インターミディエイトシャフト197を介して第1ラックアンドピニオン機構199に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構199によりラックシャフト199Cの直線運動に変換される。タイロッド172は、ラックシャフト199Cの両端にそれぞれ接続される。
【0024】
モータ30は、運転者の操舵をアシストするための補助操舵トルクを発生させるモータである。モータ30は、ブラシレスモータでもよいし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでもよい。
【0025】
ECU10は、回転角度センサ23aを備える。回転角度センサ23aは、モータ30の回転位相を検出する。ECU10は、回転角度センサ23aからモータ30の回転位相信号を取得し、トルクセンサ194から操舵トルク信号Tを取得し、車速センサ182から車両101の車速信号SVを取得する。ECU10は、回転位相信号と操舵トルク信号Tと車速信号SVとに基づいて、アシスト指令の補助操舵指令値を算出する。ECU10は、算出された補助操舵指令値に基づいて、電流をモータ30に供給する。
【0026】
電動パワーステアリング装置100は、ラックパラレル方式である。モータ30のシャフト31は、動力伝達機構173に接続される。動力伝達機構173は、プーリー176及びベルト177を有している。ベルト177の回転は、ボールねじ装置178のナットを回転させる。これにより、モータ30のシャフト31の回転に基づいて、ラックシャフト199Cにアシスト力が付与される。
【0027】
ステアリングホイール191に入力された運転者の操舵力は、ステアリングシャフト192、及びインターミディエイトシャフト197を介して、第1ラックアンドピニオン機構199に伝達される。第1ラックアンドピニオン機構199は、伝達された操舵力をラックシャフト199Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト199Cに伝達する。この際、ECU10は、ステアリングシャフト192に入力された操舵トルク信号Tをトルクセンサ194から取得する。ECU10は、車速信号SVを車速センサ182から取得する。ECU10は、モータ30の回転位相信号を回転角度センサ23aから取得する。そして、ECU10は、制御信号を出力してモータ30の動作を制御する。モータ30が作り出した補助操舵トルクに応じてベルト177が回転し、ボールねじ装置178のナットが回転する。これにより、モータ30のシャフト31の回転に基づいて、ラックシャフト199Cにアシスト力が付与される。このようにして、運転者のステアリングホイール191の操舵が電動パワーステアリング装置100によりアシストされる。
【0028】
図2に示すように、電動パワーステアリング装置100は、ラックパラレル方式であるがこれに限定されない。電動パワーステアリング装置100は、第1ピニオンギヤ199Bのみにアシスト力が付与されるシングルピニオンアシスト方式でもよい。電動パワーステアリング装置100は、第2ラックアンドピニオン機構170にアシスト力が付与されるディアルピニオン方式であってもよい。これに限定されず、電動パワーステアリング装置100は、例えば、ステアリングシャフト192にアシスト力が付与されるコラムアシスト方式でもよい。
【0029】
図3は、実施形態1に係る電動駆動装置を示す分解斜視図である。
図3に示すように、電動駆動装置1は、モータ30と、モータ30の反負荷側に配置されるECU10とを備える。モータ30のシャフト31の負荷側端部には、歯車30Gがあり、歯車30Gが上述した減速装置175に挿入されている。本実施形態において、軸方向Axとは、モータ30のシャフト31(
図4参照)の延びる方向と平行な方向をいう。
【0030】
モータ30は、第1ハウジング930を備える。第1ハウジング930は筒状である。第1ハウジング930は、モータハウジングとも呼ばれる。第1ハウジング930には、工具挿入孔36Hがあり、工具挿入孔36Hを塞ぎ、第1ハウジング930に着脱可能な側面カバー36を備える。側面カバー36が第1ハウジング930から取り外されると、工具挿入孔36Hから、後述するターミナルブロック80が露出する。
【0031】
また、ECU10の筐体である第2ハウジング11には、防水通気フィルタ10Bが設けられている。防水通気フィルタ10Bは、通気可能であるが、防水性があり、水分の侵入を防ぐことができる。例えば、温度変化により、ECU10の内部と外部との圧力差が大きくなると、防水通気フィルタ10Bを介して空気が移動して圧力差を小さくする。
【0032】
図4は、実施形態1に係るモータの断面を模式的に示す断面図である。
図5は、実施形態1に係るモータの配線を示す模式図である。本実施形態において、周方向とは、シャフト31を中心とした同心円において、同心円に沿う方向である。径方向とは、軸方向Axに直交する平面において、シャフト31から離れる方向である。モータ30は、
図4に示すように、第1ハウジング930と、モータステータ931と、モータロータ932と、を備える。円筒状であるモータステータ931は、複数の第1モータコイル37と、複数の第2モータコイル38を含む。モータステータ931は、環状のバックヨーク931aと、バックヨーク931aの内周面から突出する複数のティース931bと、を備える。ティース931bは、周方向に12個配置されている。モータロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。マグネット932bの数は、例えば8つである。モータロータ932の回転は、シャフト31の回転と連動する。
【0033】
図4に示すように、第1モータコイル37は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第1モータコイル37は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。全ての第1モータコイル37は、第1コイル系統に含まれる。実施形態1に係る第1コイル系統は、第1パワー回路25Aに含まれるインバータ回路251(
図6参照)によって、電流が供給され、励磁される。第1コイル系統は、例えば第1モータコイル37を6つ含む。6つの第1モータコイル37は、2つの第1モータコイル37が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第1モータコイル37を1つのグループとした第1コイルグループGr1が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第1コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第1コイルグループGr1を備えている。なお、第1コイルグループGr1は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。以上説明したように、本実施形態では、コイルグループは、複数あり、3相毎に少なくとも第1コイルグループgr1と、第2コイルグループGr2の2系統に分けられ、かつステータコアが3相交流で励磁される。
【0034】
図4に示すように、第2モータコイル38は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第2モータコイル38は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。第2モータコイル38が集中巻きされるティース931bは、第1モータコイル37が集中巻きされるティース931bとは異なるティース931bである。全ての第2モータコイル38は、第2コイル系統に含まれる。第2コイル系統は、第2パワー回路25Bに含まれるインバータ回路251(
図6参照)によって電流が供給され、励磁される。第2コイル系統は、例えば第2モータコイル38を6つ含む。6つの第2モータコイル38は、2つの第2モータコイル38が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第2モータコイル38を1つのグループとした第2コイルグループGr2が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第2コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第2コイルグループGr2を備えている。なお、第2コイルグループGr2は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
【0035】
図5に示すように、6つの第1モータコイル37は、第1U相電流I1uにより励磁される2つの第1U相モータコイル37Ua及び第1U相モータコイル37Ubと、第1V相電流I1vにより励磁される2つの第1V相モータコイル37Va及び第1V相モータコイル37Vbと、第1W相電流I1wにより励磁される2つの第1W相モータコイル37Wa及び第1W相モータコイル37Wbと、を含む。第1U相モータコイル37Ubは、第1U相モータコイル37Uaに対して直列に接続されている。第1V相モータコイル37Vbは、第1V相モータコイル37Vaに対して直列に接続されている。第1W相モータコイル37Wbは、第1W相モータコイル37Waに対して直列に接続されている。第1モータコイル37のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向である。また、第1U相モータコイル37Ub、第1V相モータコイル37Vb及び第1W相モータコイル37Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
【0036】
図5に示すように、6つの第2モータコイル38は、第2U相電流I2uにより励磁される2つの第2U相モータコイル38Ua及び第2U相モータコイル38Ubと、第2V相電流I2vにより励磁される2つの第2V相モータコイル38Va及び第2V相モータコイル38Vbと、第2W相電流I2wにより励磁される2つの第2W相モータコイル38Wa及び第2W相モータコイル38Wbと、を含む。第2U相モータコイル38Ubは、第2U相モータコイル38Uaに対して直列に接続されている。第2V相モータコイル38Vbは、第2V相モータコイル38Vaに対して直列に接続されている。第2W相モータコイル38Wbは、第2W相モータコイル38Waに対して直列に接続されている。第2モータコイル38のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向であり、第1モータコイル37の巻き方向と同じである。また、第2U相モータコイル38Ub、第2V相モータコイル38Vb及び第2W相モータコイル38Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
【0037】
図4に示すように、3つの第1コイルグループGr1は、第1UVコイルグループGr1UVと、第1VWコイルグループGr1VWと、第1UWコイルグループGr1UWと、からなる。第1UVコイルグループGr1UVは、周方向で互いに隣接する第1U相モータコイル37Ub及び第1V相モータコイル37Vaを含む。第1VWコイルグループGr1VWは、周方向で互いに隣接する第1V相モータコイル37Vb及び第1W相モータコイル37Waを含む。第1UWコイルグループGr1UWは、周方向で互いに隣接する第1U相モータコイル37Ua及び第1W相モータコイル37Wbを含む。
【0038】
図4に示すように、3つの第2コイルグループGr2は、第2UVコイルグループGr2UVと、第2VWコイルグループGr2VWと、第2UWコイルグループGr2UWと、からなる。第2UVコイルグループGr2UVは、周方向で互いに隣接する第2U相モータコイル38Ub及び第2V相モータコイル38Vaを含む。第2VWコイルグループGr2VWは、周方向で互いに隣接する第2V相モータコイル38Vb及び第2W相モータコイル38Waを含む。第2UWコイルグループGr2UWは、周方向で互いに隣接する第2U相モータコイル38Ua及び第2W相モータコイル38Wbを含む。
【0039】
第1U相電流I1uにより励磁される第1モータコイル37は、第2U相電流I2uにより励磁される第2モータコイル38に、モータステータ931の径方向で対向している。以下の説明において、モータステータ931の径方向は、単に径方向と記載される。例えば、
図4に示すように、径方向で第1U相モータコイル37Uaが第2U相モータコイル38Uaに対向し、第1U相モータコイル37Ubが第2U相モータコイル38Ubに対向している。
【0040】
第1V相電流I1vにより励磁される第1モータコイル37は、第2V相電流I2vにより励磁される第2モータコイル38に、径方向で対向している。例えば、
図4に示すように、径方向で第1V相モータコイル37Vaが第2V相モータコイル38Vaに対向し、第1V相モータコイル37Vbが第2V相モータコイル38Vbに対向している。
【0041】
第1W相電流I1wにより励磁される第1モータコイル37は、第2W相電流I2wにより励磁される第2モータコイル38に、径方向で対向している。例えば、
図4に示すように、径方向で第1W相モータコイル37Waが第2W相モータコイル38Waに対向し、第1W相モータコイル37Wbが第2W相モータコイル38Wbに対向している。
【0042】
図6は、実施形態1に係るモータとECUとの関係を示す模式図である。
図6に示すように、ECU10は、検出回路23と、制御回路24と、第1パワー回路25Aと、第2パワー回路25Bと、を備える。検出回路23は、回転角度センサ23aと、モータ回転数演算部23bと、を有する。制御回路24は、制御演算部241と、ゲート駆動回路242と、遮断駆動回路243と、を有する。第1パワー回路25Aは、インバータ回路251と、電流遮断回路255と、を有する。第2パワー回路25Bは、インバータ回路251と、電流遮断回路255と、を有する。また、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252と、電流値を検出するためのシャント抵抗SRと、を有する。シャント抵抗SRは、電流検出回路254のオペアンプOPに接続されている。なお、
図6において、説明が不要な回路については、適宜省略している。3つのシャント抵抗SRは、3つのスイッチング素子252にそれぞれ接続されている。1つのシャント抵抗SRのみとし、1つのシャント抵抗SRに3つのスイッチング素子252が接続されていてもよい。
【0043】
制御演算部241は、モータ電流指令値を演算する。モータ回転数演算部23bは、モータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。ゲート駆動回路242は、制御演算部241から出力されるモータ電流指令値が入力される。ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bを制御する。ゲート駆動回路242は、電源ラインに、後述する電解コンデンサ256を含む。
【0044】
ECU10は、
図6に示すように、回転角度センサ23aを備えている。回転角度センサ23aは、例えば、磁気センサである。回転角度センサ23aの検出値がモータ回転数演算部23bに供給される。モータ回転数演算部23bは、回転角度センサ23aの検出値に基づいてモータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。
【0045】
制御演算部241には、トルクセンサ194で検出された操舵トルク信号Tと、車速センサ182で検出された車速信号SVと、モータ回転数演算部23bから出力されるモータ電気角θmと、が入力される。制御演算部241は、操舵トルク信号T、車速信号SV及びモータ電気角θmに基づいてモータ電流指令値を算出し、ゲート駆動回路242に出力する。
【0046】
ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて第1パルス幅変調信号を演算し、第1パワー回路25Aのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第1パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第1U相電流I1u、第1V相電流I1v及び第1W相電流I1wを含む3相交流を生成する。第1U相電流I1uが第1U相モータコイル37Ua及び第1U相モータコイル37Ubを励磁し、第1V相電流I1vが第1V相モータコイル37Va及び第1V相モータコイル37Vbを励磁し、第1W相電流I1wが第1W相モータコイル37Wa及び第1W相モータコイル37Wbを励磁する。
【0047】
ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて第2パルス幅変調信号を演算し、第2パワー回路25Bのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第2パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第2U相電流I2u、第2V相電流I2v及び第2W相電流I2wを含む3相交流を生成する。第2U相電流I2uが第2U相モータコイル38Ua及び第2U相モータコイル38Ubを励磁し、第2V相電流I2vが第2V相モータコイル38Va及び第2V相モータコイル38Vbを励磁し、第2W相電流I2wが第2W相モータコイル38Wa及び第2W相モータコイル38Wbを励磁する。
【0048】
インバータ回路251は、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。上記のように、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252を有する。スイッチング素子252は、例えば、電界効果トランジスタである。インバータ回路251には、電解コンデンサ253が並列に接続される。第1回路基板60は、並列に接続された複数の電解コンデンサ253を備える。
【0049】
また、上記のように、インバータ回路251に電流検出回路254が接続される。電流検出回路254は、例えば、シャント抵抗SRと接続されている。電流検出回路254で検知した電流値は、制御演算部241に送出される。なお、電流検出回路254は、モータ30の各相の電流値を検出するように接続してもよい。
【0050】
電流遮断回路255は、インバータ回路251と、第1モータコイル37又は第2モータコイル38との間に配置されている。電流検出回路254で検知した電流値が異常と判断される場合は、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第1モータコイル37へ流れる電流を遮断できる。また、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第2モータコイル38へ流れる電流を遮断できる。このように、第1モータコイル37へ流れる電流と、第2モータコイル38へ流れる電流は、制御演算部241にそれぞれ独立して制御される。また、制御演算部241には、操舵トルク信号T、車速信号SV等の入出力信号が、コネクタCNTを介して伝送される。
【0051】
図7は、実施形態1に係る電動駆動装置を示す分解斜視図である。
図7に示すように、ボルトなどの固定部材B6で、電源配線モジュール90は、蓋体40に締結され、固定されている。
図7に示すように、ボルトなどの固定部材B7で、第2回路基板20は、蓋体40に締結され、固定されている。
図7に示すように、ヒートシンク29は、ボルトなどの固定部材B9で、蓋体40に締結され、固定されている。これにより、電源配線モジュール90、ヒートシンク29、第2回路基板20は、蓋体40を介して組み合わされ、上部組み立て体となる。
【0052】
図7に示すように、電源配線モジュール90と、第2回路基板20との間には、ヒートシンク29が挟まれる。ヒートシンク29は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属で構成されており、第2回路基板20の熱を放熱することができる。
【0053】
図3に示すように、シャフト31の反負荷側の端部には、磁石フォルダ32Aを介して磁石32が取り付けられている。磁石32は、半分がS極、半分がN極に着磁されている。あるいは、磁石32は、周方向にみて交互に配置されたS極及びN極を外周面に有するようにしてもよい。
【0054】
ECU10は、第1回路基板60(
図7参照)と、第2回路基板20(
図14参照)と、第2ハウジング11(
図3参照)と、蓋体40(
図3参照)と、電源配線モジュール90(
図14参照)と、コネクタCNT(
図3参照)とを有する。第2ハウジング11は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属で構成されている。第2ハウジング11は、第1回路基板60及び第2回路基板20が発する熱を放熱するヒートシンクとして作用する。蓋体40は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属で構成されており、第2ハウジング11と接合されている。これにより、第1回路基板60及び第2回路基板20が発する熱が第2ハウジング11から伝わっても、蓋体40から外部に効率よく放熱する。
【0055】
図3に示すように、モータ30の第1ハウジング930の反負荷側の端部には、フランジ39が設けられている。フランジ39には、軸方向Axに雌ねじ部39Hが設けられている。第2ハウジング11の負荷側の端部には、フランジ111が設けられている。フランジ111には、軸方向Axに貫通孔111Hが設けられている。ネジなどの固定部材B1(
図7)は、貫通孔111Hを通り、雌ねじ部39Hに締結することにより、第1ハウジング930と、第2ハウジング11とを固定する。
【0056】
図3に示すように、第2ハウジング11の反負荷側の端部には、複数のフランジ131が設けられている。フランジ131には、軸方向Axに雌ねじ部が設けられている。蓋体40の外縁には、複数のフランジ441が設けられている。フランジ4411には、後述する軸方向Axに貫通孔441H(
図18参照)が設けられている。ネジなどの固定部材B6は、貫通孔441Hを通り、雌ねじ部に締結することにより、蓋体40と、第2ハウジング11とを固定する。
【0057】
第2回路基板20は、基板本体の両面に実装された複数の電子部品と、を有する。第2回路基板20の基板本体は、例えば、樹脂等で形成されたプリント基板である。1枚の基板本体に実装された複数の電子部品には、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、電力制御用集積回路(PMIC:Power Management Integrated Circuit)、コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、サーミスタ、レセプタクル61等が含まれる。これら複数の電子部品により、
図6に示した制御回路24が構成されている。
【0058】
第2回路基板20は、第2ハウジング11に設けられた収容空間11R(
図7参照)に収容される。これにより、電動駆動装置1の軸方向Axの大きさが小さくなる。
【0059】
モータステータ931は、第1コイルグループGr1に接続される第1モータコイル配線321と、第2コイルグループGr2に接続される第2モータコイル配線322とを備える。ターミナルブロック80は、2つあり、一方のターミナルブロック80と、他方のターミナルブロック80とは、ヒートシンク70を挟む位置に配置される。ここで、一方のターミナルブロック80は、第1モータコイル配線321と第1回路基板60とを電気的に接続し、他方のターミナルブロック80は、第2モータコイル配線322と第1回路基板60とを電気的に接続する。これにより、モータコイル配線が冗長化されても、ヒートシンク70の複数の側面を利用することにより、モータ30の径方向の大きさは抑制される。
【0060】
第2ハウジング11とヒートシンク70とは、ネジなどの固定部材B2で連結されている。これにより、ターミナルブロック80がネジなどの固定部材BMで押圧されても、押圧に伴う応力が、ヒートシンク70、固定部材B2、第2ハウジング11へ伝達される。その結果、第1回路基板60へかかる応力がさらに低減する。
【0061】
第2ハウジング11は、底部115と、底部115の周りを囲む側壁部116とを有する。側壁部116の内側には、収容空間11Rがある。
【0062】
図7に示すように、第2ハウジング11は、ヒートシンク70との間で、第1回路基板60を挟む。ヒートシンク70は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属で構成されており、放熱性に優れるヒートシンクである。ヒートシンク70の側面には、2つのターミナルブロック80が取り付けられている。
【0063】
図7に示すように、第2ハウジング11の底部115には、第1貫通孔119と第2貫通孔118とが軸方向Axに貫通している。第2貫通孔118には、電源配線モジュール90の一部が挿入され、第1電源端子93が第1回路基板60へ到達する。第1貫通孔119には、基板間コネクタのプラグが挿入され、第2回路基板20のレセプタクル61へ到達する。この基板間コネクタは、第1回路基板60と第2回路基板20との間で信号を伝達する。基板間コネクタは、レセプタクル61に対するプラグの位置の変位を許容する。また、基板間コネクタは、フローティングコネクタと呼ばれ、可動部を備えており、嵌合時の位置ずれを吸収できる。
【0064】
第2回路基板20は、第2ハウジング11の反負荷側に配置される。第2ハウジング11に開けられた軸方向Axの第1貫通孔119に挿入された基板間コネクタにより、第1回路基板60と第2回路基板20とは電気的に接続されている。これにより、第2ハウジング11の軸方向の両面が放熱面として利用され、第2ハウジングは、ヒートシンクとして作用する。
【0065】
図7に示すように、第1回路基板60の第2面60Bには、発熱する電子部品である電界効果トランジスタTR、シャント抵抗SRが配置されている。電界効果トランジスタTRは、
図6に示すスイッチング素子252のみならず、電流遮断回路255、遮断駆動回路243や、電源電圧Vdcを供給する配線上にも設けられる。
図6に示すように、シャント抵抗SRは、電流検出回路254に接続されている。
【0066】
電界効果トランジスタTR及びシャント抵抗SRは、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる放熱材を介して、第2ハウジング11の放熱面に接している。放熱材は、例えば、シリコーンポリマーに熱伝導性フィラーを混合した材料であり、第1回路基板60の基板本体よりも熱伝導率が大きい材料であれば、上記材料以外の他の材料でもよい。
【0067】
図8は、実施形態1に係るパワー基板を示す斜視図である。
図9は、実施形態1に係るターミナルブロックをパワー基板に取り付ける構成例を示す斜視図である。
図10は、実施形態1に係るターミナルブロックを示す斜視図である。
【0068】
図8に示すように、ターミナルブロック80は、基台81と、取付金具82と、導電端子83とを有している。基台81は、絶縁性の材料で形成され、端子間の絶縁性を確保する。導電端子83の一端部は、第1回路基板60に挿入され、第1回路基板60と電気的に接続される。
【0069】
導電端子83の他端部は、取付金具82と電気的に接続されている。取付金具82には、
図7に示すネジなどの固定部材BMが貫通する貫通孔82Hを備える。モータ30の第1モータコイル配線321又は第2モータコイル配線322は、貫通孔を有している。第1モータコイル配線321又は第2モータコイル配線322は、基台81の挿入穴81Hに挿入され、固定部材BMが貫通し、第1モータコイル配線321又は第2モータコイル配線322の裏面にあるナット(不図示)と締結する。これにより、一方のターミナルブロック80は、第1回路基板60とモータ30の第1モータコイル配線321とを電気的に接続し、他方のターミナルブロック80は、第1回路基板60とモータ30の第2モータコイル配線322とを電気的に接続する。なお、取付金具82は、導電端子83と密着固定されていてもよく、取付金具82が導電端子83と一体となり、1つの部品となっていてもよい。
【0070】
図11は、実施形態1に係る電解コンデンサを放熱するヒートシンクを負荷側からみた平面図である。
図12は、実施形態1に係る電解コンデンサを放熱するヒートシンクを反負荷側からみた平面図である。
図13は、実施形態1に係る電動駆動装置の断面を示す断面図である。
図8及び
図11に示すように、高さの異なる第1天板71と第2天板79とを有している。第1天板71及び第2天板79は、第1回路基板60との間にある電解コンデンサ253、256(
図9参照)の高さに応じて大きさが異なっている。
【0071】
電解コンデンサ253、256と、第1天板71及び第2天板79との間には、凹部71H及び凹部79Hに留まる放熱材TMを介在させており、電解コンデンサ253、256の熱が第1天板71及び第2天板79へ伝達されるので、電解コンデンサ253、256の劣化が抑制される。
【0072】
図11に示すように、電解コンデンサ253は、貫通孔76の周りに配置される。
図12に示すように、第1天板71では、電解コンデンサ253の頭部に対向する位置に凹部71Hが設けられる。第2天板79では、電解コンデンサ256の頭部に対向する位置に凹部79Hが設けられる。
【0073】
図12に示すように、凹部71Hの縁の一部分71Eは、貫通孔76の縁76Eに沿った形状である。貫通孔76が円であり、凹部71Hの縁の一部分71Eが、貫通孔76の曲線と沿った曲線であり、凹部71Hの縁の一部分71Eの曲率中心がシャフト31と一致する。凹部71Hの縁の一部分71E(第1部分)の曲率中心が
図12に示す軸方向Axに一致する。凹部の縁の他の部分71R(第2部分)の曲率中心71Oは、凹部71Hの内部にあり、凹部71Hの縁の一部分71Eの曲率中心と異なる位置にある。これにより、電解コンデンサ253の頭部の一部が貫通孔76にはみ出るが、放熱材TMの主な部分が凹部の中に留まる。
【0074】
凹部71Hの縁の一部分71Eと、貫通孔76の縁76Eとの間には、
図12及び
図13に示すように、溝71Mがある。
図13に示すように、電解コンデンサ253の一部は、貫通孔76の縁76Eよりも、最大幅253Wだけはみ出ており、貫通孔76から露出している。
【0075】
図8に示すように、ヒートシンク70は、ターミナルブロック80を支持する支持体でもある。
図10に示すように、ターミナルブロック80の基台81の両側には、脚部84がヒートシンク70側に延びており、脚部84の端部85には、貫通孔85Hが開けられている。ネジなどの固定部材B4が貫通孔85Hを通して、第1側面74の当接面73にある雌ねじ部73Hに締結される。
【0076】
図10に示す第1側面74の当接面73と、
図8に示す取付金具82の固定部材BMの当接面とは、平行である。このため、ターミナルブロック80がネジなどの固定部材BMで押圧されても、押圧に伴う応力が、脚部84の端部85を介して、第1側面74の当接面73で受け止められる。その結果、導電端子83の変形や、第1回路基板60に加わる応力が抑制される。
【0077】
図10、
図11及び
図12に示すヒートシンク70には、反負荷側に開口する孔部77が4つ設けられている。複数の孔部77のうち、一部の孔部77は、第1回路基板60の切欠き60Nの中で、ヒートシンク70に対向する。他の一部の孔部77は、
図9に示す第1回路基板60の切欠き60NNに対向する。
図7に示す、ネジなどの固定部材B2は、第1回路基板60の切欠き60N又は第1回路基板60の切欠き60NNを通り、第2ハウジング11に締結される。
【0078】
図9に示すように、ヒートシンク70は、基部72と、基部72から負荷側に突出した第1天板71を有する。また、ヒートシンク70は、2つの第1側面74と、2つの第2側面75と、を有している。第1側面74及び第2側面75は、基部72と第1天板71との間をそれぞれ接続している。ヒートシンク70は、2つの第2側面75からそれぞれ遠ざかるように、第2方向に延びている2つの第2天板79を有している。
【0079】
ヒートシンク70の第1天板71には、軸方向Axに貫通する貫通孔76が開けられている。貫通孔76には、シャフト31の反負荷側の端部にある、磁石32(
図3参照)が挿入される。その結果、磁石32が、第1回路基板60に実装された回転角度センサ23aの近傍に配置される。
【0080】
図10に示すヒートシンク70には、反負荷側に開口する雌ねじ部78が4つ設けられている。ネジなどの固定部材B3が第1回路基板60の貫通孔を貫通して、雌ねじ部78に締結されると、
図9に示すように、ヒートシンク70と第1回路基板60とが密着した状態で固定される。対角に位置する反負荷側に開口する雌ねじ部78が、それぞれ点対称であることが望ましい。これにより、ヒートシンク70と第1回路基板60とが第2ハウジング11に組み付け易くなる。
【0081】
シャフト31の中心軸を通り、互いに直交する第1仮想線VL1第2仮想線VL2とで区切られる第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限を設定すると、第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限のそれぞれに、凹部71Hがある。第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限のそれぞれに、凹部71Hがある。第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限のそれぞれに、孔部77がある。これにより、第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限のそれぞれに、少なくとも1つの電解コンデンサ253及び少なくとも1つの固定部材B3が配置されている。固定部材B3は、金属製であり、熱伝導性が良好である。その結果、電解コンデンサ253の熱は、第1天板71、固定部材B3を介して、第2ハウジング11へ伝達される。第2ハウジング11の容積は、ヒートシンク70の容積よりも大きいので、ヒートシンク70の熱の飽和が抑制される。
【0082】
図9及び
図10に示すように、第1回路基板60は、基板本体の両面に実装された複数の電子部品と、を有する。第1回路基板60の基板本体は、例えば、樹脂等で形成されたプリント基板である。1枚の基板本体に実装された複数の電子部品には、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、磁気センサ、電解コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、サーミスタ、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等が含まれる。これら複数の電子部品により、
図6に示した検出回路23、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bが構成されている。
【0083】
図9に示すように、第1回路基板60の第1面60Aには、電解コンデンサ253、256が実装されている。
図8に示すように、第1回路基板60にヒートシンク70が取り付けられると、電解コンデンサ253、256は、ヒートシンク70に覆われる。第1回路基板60には、第1面60Aから第2面60Bに貫通する貫通孔PWPHが開けられている。第1回路基板60の貫通孔PWPHには、第1電源端子93(
図14参照)が挿入される。
【0084】
図9に示すように、第1回路基板60の第1面60Aには、回転角度センサ23aが実装されている。回転角度センサ23aは、例えば、スピンバルブセンサである。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。なお、回転角度センサ23aは、磁石32の回転を検出可能なセンサであればよい。回転角度センサ23aは、例えば、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)センサ、又はホールセンサでもよい。回転角度センサ23aは、第2面60Bに実装されてもよよい。また、回転角度センサ23aは、第1面60Aおよび第2面60Bにそれぞれ設けられても良い。回転角度センサ23aは、シャフト31の軸方向の延長線上に配置されていればよい。
【0085】
図13に示すように、第1回路基板60の第1面60Aには、電解コンデンサ253が搭載され、第1回路基板60の第2面60Bには、トランジスタが実装される。これにより、トランジスタ及び電解コンデンサ253は、いわゆる両面実装基板に実装されるので、第1回路基板60の面積が小さくなる。そして、トランジスタ及び電解コンデンサ253が軸方向に重なっても、トランジスタの熱が第2ハウジング11に放熱され、電解コンデンサ253の熱がヒートシンク70の第1天板71に放熱され、第1回路基板60の温度上昇が抑制される。その結果、電動駆動装置1の信頼性が向上することができる。
【0086】
以上説明したように、ECU10は、第1回路基板60と、第2ハウジング11と、ヒートシンクとなるヒートシンク70と、ターミナルブロック80とを含む。第1回路基板60には、第1モータコイル37又は第2モータコイル38を励磁する電流を出力する電界効果トランジスタTRと、シャフト31の軸方向Axの延長線上に配置された回転角度センサ31aとが実装されている。第2ハウジング11は、第1回路基板60の反負荷側に設けられている。ヒートシンク70は、第1回路基板60の負荷側に設けられ、第2ハウジング11との間で第1回路基板60を挟む。ターミナルブロック80は、ヒートシンクであるヒートシンク70の第1側面74の当接面73に固定され、第1モータコイル配線321又は第2モータコイル配線322と、第1回路基板60とを電気的に接続する。
【0087】
これにより、第1回路基板60は、第2ハウジング11とヒートシンク70とで軸方向Axに挟まれる。このため、モータ30のシャフト31に平行な軸方向Axの大きさが抑制され、電動駆動装置1が小さくなる。ターミナルブロック80は、ヒートシンク70の第1側面74の当接面73に固定され、支持されている。このため、ターミナルブロック80がネジなどの固定部材BMで押圧されても、押圧に伴う応力が、ヒートシンク70にかかり、第1回路基板60へかかる応力が低減する。その結果、第1回路基板60の寿命が延び、電動駆動装置1の信頼性が向上する。
【0088】
第1ハウジング930には工具挿入孔36Hがある。そして、モータ30は、工具挿入孔36Hを塞ぎ、第1ハウジング930に着脱可能な側面カバー36を備える。これにより、モータ30とECU10との電気的な接続又は切断は、側面カバー36の着脱により、容易に可能となる。
【0089】
第1回路基板60は、第2ハウジング11側の第2面60Bに電界効果トランジスタTRが実装され、ヒートシンク70側の第1面60Aに電解コンデンサである電解コンデンサ253、256が実装されている。これにより、第1回路基板60の両面が有効活用され、第1回路基板60の径方向も小型にできる。
【0090】
ヒートシンク70は、電解コンデンサ253を覆う第1天板71を有し、電解コンデンサ253とは重なり合わない位置の天板に開けられた軸方向の貫通孔76には、磁石32が挿入される。これにより、電解コンデンサ253の冷却が第1天板71への熱伝導で促進される。そして、電解コンデンサ253の軸方向Axの大きさで生じるヒートシンク70の第1側面74をターミナルブロック80との当接面73として利用することができる。また、電解コンデンサ253とは重なり合わない位置も、磁石32が挿入されることで、磁石32の径方向外側の空間も電解コンデンサ253の配置領域として利用することができる。その結果、電動駆動装置1の軸方向Axの大きさが小さくなる。
【0091】
磁石32の周りには、電解コンデンサ253が配置され、ヒートシンク70の反負荷側には、電解コンデンサ253の頭部に対向し、放熱材TMが充填される凹部71Hがある。凹部71Hと、貫通孔76との間には、溝76Mがあり、電解コンデンサ253の一部が貫通孔76から露出している。これにより、電解コンデンサ253の一部が貫通孔76から露出するほど、貫通孔76を大きくし、ヒートシンク70が軽量化する。また、溝76Mにより、放熱材TMが飛散することを抑制するので、回転角度センサ23aや磁石32に放熱材TMが付着しにくい。その結果、電動駆動装置1の信頼性が高まり、電動駆動装置1が軽量化する。
【0092】
凹部71Hの縁の一部及び溝76Mは、貫通孔76の縁に沿った形状である。これにより、凹部71Hを越えて放熱材が溝76Mに侵入すると、溝76Mに沿って放熱材TMが広がり、貫通孔76の内側まで放熱材TMが広がることが抑制される。
【0093】
第1天板71及び第2天板79との間には段差がある。これにより、ヒートシンク70は、各電解コンデンサ253、256の大きさに応じた最小限の容積のヒートシンクとなり、電動駆動装置1の軽量化に寄与する。
【0094】
図14は、実施形態1に係る電源配線モジュールの負荷側の斜視図である。
図15は、実施形態1に係る電源配線モジュールの負荷側の平面図である。
図16は、実施形態1に係る電源配線モジュールの反負荷側の斜視図である。
図17は、実施形態1に係る電源配線モジュールの反負荷側の平面図である。
図14から
図17に示すように、電源配線モジュール90は、コネクタCNT2(
図21参照)に接続された電源装置183から電力を伝送する電力配線PW(
図2参照)をモジュール内のリードフレーム配線に接続し、第1回路基板60及び第2回路基板20へ伝送する。
【0095】
電源配線モジュール90の第1樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)である。第1樹脂に埋め込まれるリードフレーム配線は、例えば、銅合金で形成されている。
【0096】
モータを駆動する電力が大きくなればなるほど、基板内の電源配線は、大きくする必要があり、基板の面積が大きくなってしまう。そこで、基板内の電源配線を少なくすることが望まれている。電源配線モジュール90内のリードフレーム配線があるので、第1回路基板60にある電源配線の面積が抑制される。その結果、第1回路基板60の面積が抑制され、ECU10は、径方向の大きさが小さくなる。
【0097】
電源配線モジュール90には、
図16に示すチョークコイル91、
図14に示すコンデンサ92が取り付けられている。チョークコイル91と、コンデンサ92は、ノイズフィルタを構成し、ノイズフィルタは、電力配線PWに重畳する高周波成分のノイズを除去する。コンデンサ92は、リード92L付きの電子部品である。
【0098】
図16に示すように、電源配線モジュール90の第1樹脂には、貫通孔92Hが第2面90Bから第1面90A(
図14参照)まで開けられている。
図14に示すように、電源配線モジュール90は、第1面90Aから負荷側に突出する壁部92Wがある。
図15に示す壁部92Wに囲まれた空間は、
図16に示す貫通孔92Hと繋がっている。
【0099】
コンデンサ92の側面は、壁部92Wに囲まれている。壁部92Wの第1面からの長さは、コンデンサ92の軸方向Axの長さよりも大きい。このため、コンデンサ92は、壁部92Wから突出していないので、コンデンサ92の軸方向Axの位置がばらついても、コンデンサ92が保護される。
【0100】
貫通孔92Hには、第2樹脂99が充填されている。第2樹脂99は、例えば、紫外線硬化型のシリコーン樹脂(シリコーンゴム)である。第2樹脂99は、電源配線モジュール90の第1樹脂よりも弾力を有している。これにより、コンデンサ92へ伝達される振動が抑制される。第2樹脂99は、シリコーンゴムの代わりに、他の紫外線硬化型のアクリル樹脂や紫外線硬化型のエポキシ樹脂を使用してもよい。第2樹脂99は、コンデンサ92の側面と、壁部92Wとの少なくとも一部に、入り込む。第2樹脂99の充填量は、コンデンサ92本体の軸方向Axの長さの半分程度が埋まる程度である。
【0101】
これにより、電源配線モジュール90をモールド成形した後に、コンデンサ92を貫通孔92Hに挿入することで、容易にコンデンサ92をリードフレーム配線に電気的に接続できる。コンデンサ92のリード92Lは、略90度折り曲げられている。また、第2樹脂99がコンデンサ92と、貫通孔92Hの内壁との間を固定するので、電動駆動装置1に伝達される振動により、コンデンサ92が揺れにくくなり、コンデンサ92と領域C配線との電気的接続部分へ応力が伝わりにくい。その結果、電動駆動装置1の耐振動性が高まり、信頼性が向上することができる。
【0102】
図16に示すように、貫通孔92Hの縁には、縁に沿って、第2面90Bから反負荷方向に突出する第1突出部92Pがある。第1突出部92Pの一部には、スリット92Sが切欠かれている。コンデンサ92のリード92Lは、第1突出部92Pのスリット92Sを通過して、コンデンサ92のリード92Lが第1突出部92Pの外側でリードフレーム配線と、はんだ等の低融点金属で電気的に接続されている。これにより、貫通孔92Hを越えて、第2樹脂99が広がることが抑制される。
【0103】
図16に示すように、電源配線モジュール90の第1樹脂には、凹部91Hが第2面90Bから第1面90A(
図14参照)へ向けて凹んでいる。チョークコイル91は、凹部91Hに挿入されている。凹部91Hの内壁と、チョークコイル91との間には、第2樹脂99が充填されている。これにより、第2樹脂99がチョークコイル91と、凹部91Hとの間を固定するので、電動駆動装置1に伝達される振動により、チョークコイル91が揺れにくくなり、チョークコイル91とリードフレーム配線との電気的接続部分へ応力が伝わりにくい。その結果、電動駆動装置1の耐振動性が高まり、信頼性が向上することができる。
【0104】
凹部91Hの縁には、凹部91Hの縁に沿って、第2面90Bから反負荷方向に突出する第2突出部91Pがあり、第2突出部91Pと、チョークコイル91との間の一部に、第2樹脂99がある。これにより、凹部91Hを越えて、第2樹脂が広がることが抑制される。例えば、第2突出部91Pと、チョークコイル91との間の一方にのみ第2樹脂99があり、他方に第2樹脂99がなくてもよい。
【0105】
図14に示すように、電源配線モジュール90は、第1面90Aから突出する第1電源端子93及び第2電源端子96を備える。電源配線モジュール90において、第1電源端子93及び第2電源端子96の基部97の樹脂が、基部97の周囲よりも肉厚である。これにより、第1電源端子93及び第2電源端子96が軸方向に対して、傾きにくくなる。
【0106】
蓋体40の負荷側では、コネクタCNT1の入出力端子、コネクタCNT2の電源入力端子PWCH1及び電源入力端子PWCH2、コネクタCNT3の入出力端子が、蓋体40を軸方向に貫通し、蓋体40の本体より突出している(
図18、
図20、
図23参照)。
【0107】
図17に示すように、リードフレーム配線の電力入力部PWin1、電力入力部PWin2に隣接する空間には、樹脂に電力入力用の貫通孔INHが開けられている。蓋体40に電源配線モジュール90が取り付けられると、貫通孔INHに、電源入力端子PWCH1、電源入力端子PWCH2が差し込まれる。電力入力部PWin1と電源入力端子PWCH1とをハンダなどの低融点金属や溶接で電気的に接続し、電力入力部PWin2と電源入力端子PWCH1とをハンダなどの低融点金属や溶接で電気的に接続する。これにより、絶縁性を確保し、かつ軸方向Axの厚みを抑制しつつ、コネクタCNT2と電源配線モジュール90とが電気的に接続できる。
【0108】
第2回路基板20は電源配線モジュール90に取り付けられている。第2電源端子96が貫通孔PWCHに挿入され、電気的に接続される。また、コネクタCNT1の入出力端子は、第2回路基板20の貫通孔に挿入され、電気的に接続される。同様に、コネクタCNT3の入出力端子は、第2回路基板20の貫通孔に挿入され、電気的に接続される。
【0109】
図14に示す第1電源端子93は、第2電源端子96よりも長い。これにより、電源配線モジュール90から軸方向Axに位置が異なる第1回路基板60及び第2回路基板20の両方に電力が供給される。
【0110】
図18は、実施形態1に係る蓋体及びコネクタの上面を示す斜視図である。
図19は、実施形態1に係る蓋体の裏面を示す斜視図である。
図20は、実施形態1に係る電動駆動装置の他の断面を示す断面図である。
図21は、実施形態1に係るコネクタの裏面を示す斜視図である。
【0111】
図18に示すように、コネクタCNTは、機能別に、コネクタCNT1と、コネクタCNT2と、コネクタCNT3とに分割されている。コネクタCNT1、コネクタCNT2、コネクタCNT3は、それぞれ、Oリングなどの封止部材CNO1、CNO2、CNO3を介して、蓋体40に取り付けられる。封止部材CNO1、CNO2、CNO3は、ゴムやエラストマーで形成された、いわゆるOリングである。封止部材CNO1、CNO2、CNO3は、総称して、封止部材CNOということがある。コネクタCNT1、コネクタCNT2、コネクタCNT3には、それぞれ、軸方向Axに貫通するコネクタ孔CNTHが開けられている。コネクタCNT1、コネクタCNT2、コネクタCNT3には、それぞれ、ハーネスのプラグを受け入れるソケット部49を有している。
【0112】
コネクタCNT1の入出力端子は、電源配線モジュール90の外側、ヒートシンク29の外側を通り、第2回路基板20の貫通孔に挿入され、電気的に接続される。同様に、コネクタCNT3の入出力端子は、電源配線モジュール90の外側、ヒートシンク29の外側を通り、第2回路基板20の貫通孔に挿入され、電気的に接続される。
【0113】
図19に示すように、蓋体40の負荷側の基準面490に対し、凹ませた位置決め穴421Hと、負荷側に突出する支持凸部422、423、424が配置されている。位置決め穴421Hには、電源配線モジュール90の位置決め凸部95PD(
図16参照)が挿入され、蓋体40に対する電源配線モジュール90の位置が定まる。
図14に示すように、電源配線モジュール90には、支持凸部422を覆う円柱体94が一体成形されている。円柱体94の中心には、貫通孔が空いており、円柱体の内部には中空空間がある。3つの円柱体94の内部の中空空間に支持凸部422が挿入される。ボルトなどの固定部材B9(
図7参照)が、円柱体94を貫通し、支持凸部422の頂部に設けられた雌ねじ部に締結される。
【0114】
図7に示す第2回路基板20は、
図19に示す支持凸部423に当接し、支持される。
図7に示すように、ボルトなどの固定部材B7が第2回路基板20を貫通し、
図19に示す支持凸部423の頂部に設けられた雌ねじ部に締結される。
【0115】
蓋体40の裏面には、蓋体40の負荷側の基準面490を有している。基準面490より凹む凹部491には、チョークコイル91が挿入される。凹部491の底面は、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる放熱材を介して、チョークコイル91及び1つのコンデンサ92の放熱面となる。
【0116】
蓋体40の反負荷側には、第1面44と、第1面44から反負荷側に突出するコネクタ台座部を有する。コネクタ台座部は、第1面44から蓋体40の一部が隆起してできた第2面45と、第1面44と第2面45との間の側面451とを有している。実施形態1では、コネクタCNT1、コネクタCNT2及びコネクタCNT3のそれぞれの形状に合わせて、3つのコネクタ台座がある。
【0117】
第2面45には、複数の雌ねじ部45Hが開けられている。ボルトなどの固定部材B5は、コネクタ孔CNTHを通り、雌ねじ部45Hとそれぞれ締結される。その結果、コネクタCNT1、コネクタCNT2、コネクタCNT3は、それぞれ、蓋体40に固定される。そして、コネクタCNT1、コネクタCNT2、コネクタCNT3のコネクタ端子484(
図21参照)は、それぞれ、蓋体40に軸方向Axに開けられた貫通孔41H、42H、43Hを通り、蓋体40の反対側に到達する。貫通孔41H、42H、43Hは、コネクタ台座の第2面45に設けられ、第2面45から蓋体40の裏面に貫通する。
【0118】
軸方向にみて、第2回路基板20と、ヒートシンク29と、電源配線モジュール90とは、蓋体40の外形の内側に配置可能な大きさである。蓋体40が、第2ハウジング11の収容空間11R(
図7参照)を塞ぐように組み付けると、第2回路基板20と、ヒートシンク29と、電源配線モジュール90とは、収容空間11Rに収容される。
【0119】
図20に示すように、蓋体40が、上述した封止部材CNO(
図18参照)を介して、第2ハウジング11の収容空間11R(
図7参照)を覆うことにより、第2ハウジング11の収容空間11Rが密閉される。封止支持部400は、第2ハウジング11の内壁13と対向する基部402と、基部402よりも負荷側にある先端部403と、基部402と、先端部403との間であって外周の一部が凹む、環状の溝部401と、を有している
図20の拡大部分Q3のように、先端部403には、外周が負荷側から反負荷側へ向かうにつれて外側に大きくなる傾斜面403Tがある。
【0120】
図20に示すように、第2ハウジング11と、蓋体40とは、封止部材OR2(第2封止部材)を介して封止されている。封止部材OR2は、ゴムやエラストマーで形成された、いわゆるOリングである。
【0121】
図19及び
図20に示すように、蓋体40は、裏面411から反負荷側に環状に突出し、第2ハウジング11の内部に挿入される封止支持部400を有している。
【0122】
封止部材OR2は、溝部401に嵌まり、第2ハウジング11の内壁13と、封止支持部400の溝部401との間に挟まれる。封止部材OR2の直径は、内壁13と、封止支持部400との間の距離よりも大きい。このため、封止部材OR2は、軸方向Axに変形する。
【0123】
封止部材OR2は、基部402、内壁13、先端部403、及び溝部401で囲まれる空間に収容され、封止部材OR2の軸方向Axに、基部402との隙間及び先端部403との隙間の少なくとも1つが生じる。これにより、封止部材OR2の変形は、蓋体40の裏面411と、第2ハウジング11の反負荷側の端面12との間を広げることがないので、第2ハウジング11と、蓋体40との密着性が維持できる。
【0124】
溝部401には、封止部材OR2とともに、封止部材OR2の劣化を抑制するグリースが封入されている。溝部401は、先端部403の存在により、第2ハウジング11の内部へグリースが漏洩しにくい。さらに、軸方向Axにおいて、先端部403よりも負荷側の位置の第2ハウジング11の内壁13に段差14がある。仮に、グリースが溝部401から漏れても、段差14がグリースを貯留するので、グリースが第2ハウジング内に侵入し、第2回路基板20などに悪影響を与えにくい。
【0125】
第2ハウジング11の内壁13と基部402との間の距離は、第2ハウジング11の内壁13と先端部403との間の距離よりも小さい。これにより、第2ハウジング11の内壁13と基部402との間には、隙間が小さくなり、高圧の水が浸入しにくくなる。
【0126】
第2ハウジング11の内壁13と基部402との間の隙間を小さくすると、防水性が向上するが、第2ハウジング11の内部に封止支持部400を挿入しにくくなる。実施形態1では、第2ハウジング11の反負荷側の端面12と、第2ハウジング11の内壁13とが交差する角部に、面取りされた傾斜面12Tを有している。第2ハウジング11の内部に封止支持部400を挿入する場合、傾斜面12Tの一部に傾斜面403Tの一部が当接することで、封止支持部400の先端部403が第2ハウジング11の内部に侵入しやすくなる。軸方向Axに対する傾斜面12Tがなす角度は、軸方向Axに対する傾斜面403Tがなす角度よりも小さい。これにより、傾斜面12Tに先端部403が接触する面積を小さくし、第2ハウジング11の内部に封止支持部400を挿入しやすくする。なお、傾斜面12T及び傾斜面403Tは、テーパであるが、曲面であってもよい。傾斜面12Tが曲面であると、傾斜面12Tに先端部403が接触する面積を小さくし、第2ハウジング11の内部に封止支持部400を挿入しやすくする。
【0127】
高圧の水が外部から侵入しようとしても、裏面411と端面12との対向部分が水の侵入を抑制する。裏面411と端面12との対向部分を越えて水が侵入しても、基部402と内壁13との対向部分が水の侵入を抑制する。さらに、内壁13と、封止支持部400との間に挟まれる封止部材OR2が、水の侵入を抑制する。その結果、電動駆動装置1の防水水準が向上し、高水圧下においても十分な防水性を保つことができる。そして、電動駆動装置1は、規格JIS D 5020のIPx9Kを満たすことができる。
【0128】
図19及び
図20に示すように、蓋体40は、裏面411から反負荷側に環状に突出し、第2ハウジング11の内部に挿入される封止支持部400を有している。
【0129】
また、第1ハウジング930の内周面と、第2ハウジング11の外周面とは、封止部材OR1(第1封止部材)を介して封止されている。封止部材OR1は、ゴムやエラストマーで形成された、いわゆるOリングである。
【0130】
封止部材OR1、封止部材OR2及び封止部材ONOにより、電動駆動装置の密閉性が高まる。密閉性が高まると、第1回路基板60の電子部品及び第2回路基板20の電子部品の熱が外部へ放出されにくくなり、電動駆動装置内の温度上昇を抑制する必要がある。
【0131】
蓋体40の負荷側の一方の面には、第2回路基板20と、電源配線モジュール90とが取り付けられ、蓋体40の反負荷側の他方の面には、コネクタCNTが取り付けられている。蓋体40が第2ハウジング11に取り付けられると、第2回路基板20及び電源配線モジュール90が、第2ハウジング11の収容空間11Rに収容される。これにより、ECU10の軸方向Axの大きさが小さくなる。
【0132】
図20に示すように、コネクタCNT1に接続されたトルクセンサ194(
図2参照)のデータを入出力する入出力端子は、電源配線モジュール90を介さず、直接第2回路基板20へ接続される。同様に、コネクタCNT3に接続されたCAN通信を行う通信用端子も、電源配線モジュール90を介さず、直接第2回路基板20へ接続される。
【0133】
図21に示すように、封止支持部483の外周には、それぞれ封止部材CNO1、CNO2、CNO3が配置される。封止支持部483は、基部の裏面482よりも負荷側に突出し、円筒形状を有している。封止支持部483の外直径は、封止部材CNO2の内直径よりも大きい。封止支持部483は、コネクタ端子484の周りに配置される。これにより、樹脂成形精度が高まり、封止支持部483の形状が安定する。その結果、シール収容空間の密閉性が高まる。
【0134】
図21に示すように、2つの位置決め凸部46は、基部の裏面482よりも負荷側に突出している。
図18に示すように、第2面45には、2つの凹部46Hが開けられている。位置決め凸部46が凹部46Hに挿入されると、コネクタ台座部に対するコネクタCNT2の仮の位置が定まる。そして、固定部材B5がコネクタ孔CNTHを通り、雌ねじ部45Hにそれぞれ締結される。
【0135】
図22は、実施形態1に係る蓋体とコネクタとの分解断面図である。
図23は、実施形態1に係る、組立済みの蓋体とコネクタとの断面図である。コネクタCNT2は、基部48と、基部48から反負荷側に突出するソケット部49と、貫通孔42Hに挿入するコネクタ端子484と、封止部材CNO2と、を有している。基部48は、外縁が基部48の裏面482よりも負荷側に突出し、コネクタ台座部の外縁を囲み、コネクタ台座部の側面451の一部に被さる、庇部481と、封止支持部483と、を有している。封止支持部483は、コネクタ端子484の周りに配置される。
図22では、コネクタ端子484の先端から電源入力端子PWCH1及び電源入力端子PWCH2が露出している。
【0136】
貫通孔42Hは、第1直径L31を有する第1内壁452と、第1直径L31よりも小さい第2直径L32を有する第2内壁454と、第1内壁452と第2内壁454との間の第1底部453と、を有している。貫通孔42Hは、さらに、第2直径L32よりも小さい第3直径L33を有する第3内壁456と、第2内壁454と第3内壁456との間の第2底部455を有している。
【0137】
封止支持部483の直径は、第2直径L32と等しい。コネクタ端子484の最大幅L34は、第2直径L32よりも小さく、封止支持部483とコネクタ端子484との間に隙間489がある。封止部材CNO2は、直径φを有している。
【0138】
図23に示すように、封止部材CNO2は、コネクタ端子484とともに、貫通孔42Hに挿入されている。封止部材CNO2は、貫通孔42Hの第1内壁452と、封止支持部483の側面483Sとの間に挟まれる。
【0139】
封止部材CNO2の直径φは、貫通孔42Hの第1内壁452と、封止支持部483との間の距離L22よりも大きい。このため、封止部材CNO2は、軸方向Axに変形するが、基部48の裏面と、第1底部453との間の距離L21より大きくなることがない。このため、封止部材CNO2は、基部48の裏面482、第1内壁452、第1底部453、及び封止支持部483の側面483Sで囲まれるシール収容空間に収容され、封止部材CNO2の軸方向Axに、隙間G1及び隙間G2の少なくとも1つが生じる。これにより、封止部材CNO2の変形は、基部48の裏面482と蓋体40の第2面45との間を広げることがないので、基部48の裏面482と、蓋体40の第2面45との密着面が維持できる。
【0140】
封止支持部483の側面483Sは、第2内壁454に当接している。これにより、シール収容空間の内部に、封止部材CNO2の劣化を抑制するグリースを封入しても、グリースが漏れにくい。封止支持部483の負荷側の端部483Pは、第2底部455に未当接である。このため、封止支持部483の端部483Pと第2底部455との間の距離L23が生じている。距離L23は、例えば2mm程度である。
【0141】
高圧の水が外部から侵入しようとしても、庇部481が水の侵入を抑制する。庇部481を越えて水が侵入しても、貫通孔42Hの第1内壁452と、封止支持部483との間に挟まれる封止部材CNO2が、水の侵入を抑制する。その結果、電動駆動装置1の防水水準が向上し、高水圧下においても十分な防水性を保つことができる。
【0142】
基部48の裏面482と蓋体40の第2面45とが密着している。蓋体40の第2面45は、フライス加工面であり、表面粗さが小さくなっている。基部48の裏面482と蓋体40の第2面45との隙間は、上述した距離L11よりも小さい。これにより、庇部481を越えて水が侵入しても、基部48の裏面482と、蓋体40の第2面45との密着面が水の侵入を抑制する。
【0143】
図23に示すように、庇部481の負荷側の端部481Pは、基部48の裏面482と蓋体40の第2面45との合わせ面SSよりも、第1面44側に突出している。
【0144】
庇部481の負荷側の端部481Pと蓋体40の第1面44との間の距離L11は、庇部481の内壁481Sとコネクタ台座部の側面451との距離よりも狭い。距離L11は、例えば1mm以上1.5mm以下である。庇部481とコネクタ台座部の側面451との間の距離L12が、庇部481と蓋体40の第1面44との間の距離L11よりも大きい。例えば、距離L12は、2mm以上3mm以下である。そして、庇部481とコネクタ台座部の側面451との間の空間が、庇部481と蓋体40の第1面44との間の空間よりも大きい。これにより、庇部481を越えて水が侵入しても、庇部481とコネクタ台座部の側面451との間の空間が、庇部481と蓋体40の第1面44との間の空間よりも大きいので、水が蓋体40の裏面482と蓋体40の第2面45との間に到達しにくい。その結果、電動駆動装置1の防水水準が向上し、高水圧下においても十分な防水性を保つことができる。
【0145】
以上、コネクタCNT2の構造を説明してきたが、コネクタCNT1及びコネクタCNT3も同様の構造を有しているため、コネクタCNT1及びコネクタCNT3の構造については記載を省略する。後述する実施形態2及び実施形態3についても同様である。
【0146】
図24は、実施形態の電源配線モジュールの等価回路を示す回路図である。
図24A及び
図24に示すように、異なる電力入力部PWin1、電力入力部PWin2から、それぞれ独立した第1電源回路90Rと第2電源回路90Lとで電力を受け入れる。チョークコイル91及びコンデンサ92の回路は、ノイズフィルタを構成する。チョークコイル91及びコンデンサ92の回路も、第1電源回路90Rと第2電源回路90Lのそれぞれで別にある。そして、ノイズ除去された電極は、電源配線モジュール90内で、第1回路基板60へ電力を供給する第1電源端子93と、第2回路基板20へ電力を供給する第2電源端子96とに分岐する。
【0147】
第1電源回路90Rの第1電源端子93が、第1パワー回路25A(
図6参照)に接続される。第2電源回路90Lの第1電源端子93が、第2パワー回路25B(
図6参照)に接続される。
【0148】
第1電源回路90Rの第2電源端子96が、一方の制御演算部241(
図6参照)に接続される。第2電源回路90Lの第1電源端子93が、他方の制御演算部241(
図6参照)に接続される。
【0149】
このように、実施形態の電動駆動装置1は、2系統の電力を独立して受け入れ、第1コイルグループgr1と、第2コイルグループGr2の2系統に分けて駆動するので、機能継続性が高くなる。
【0150】
ヒートシンクであるヒートシンク70は、軸方向にみて封止部材OR1の内側に入る外形を有している。これにより、ヒートシンク70は、第1ハウジング930の内側に収容可能になる。ヒートシンク29は、軸方向にみて封止部材OR2の内側に入る外形を有している。これにより、ヒートシンク29は、第2ハウジング11の内側に収容可能になる。その結果、電動駆動装置内の温度上昇を抑制しつつ、電動駆動装置が小型化される。
【0151】
ここで、ヒートシンク70及びヒートシンク29には、第1ハウジング930の内側又は第2ハウジング11の内側に収容されるため、体積の上限がある。そこで、第2ハウジング11(ヒートシンク)の体積は、ヒートシンク70の体積よりも大きくし、第2ハウジング11(ヒートシンク)の熱容量を大きくしている。ヒートシンク70は、第2ハウジング11(ヒートシンク)と金属製の固定部材B2(第1固定部材)で固定されている。第1回路基板60及び第2回路基板20においては、電子部品が両面実装可能である。
図24に示すように、第1回路基板60の一方の面に実装された電子部品の熱は、ヒートシンク70及び固定部材を介する熱経路で第2ハウジング11(ヒートシンク)に伝熱される。その結果、ヒートシンク70は、熱飽和しにくくなる。また、第1回路基板60の他方の面に実装された電子部品の熱は、第2ハウジング11(ヒートシンク)に伝熱される。
【0152】
また、蓋体40の体積は、ヒートシンク29の体積よりも大きくし、蓋体40の熱容量を大きくしている。
図25に示すように、ヒートシンク29の熱は、金属製の固定部材B8(第2固定部材)を介する熱経路で蓋体40に伝熱される。その結果、ヒートシンク29は、熱飽和しにくくなる。
【0153】
以上説明したように、実施形態1に係る電動駆動装置1は、モータ30と、モータ30を駆動制御するために、シャフト31の反負荷側に設けられたECU10と、を備える。モータ30は、シャフト31と、モータロータ932と、モータステータ931と、第1ハウジング930とを有する。シャフト31は、負荷側から反負荷側へ軸方向Axに延びている。モータロータ932の回転は、シャフト31の回転と連動する。モータステータ931は、第1モータコイル37及び第2モータコイル38と、第1モータコイル37及び第2モータコイル38のそれぞれに給電するための第1モータコイル配線321及び第2モータコイル配線322を有し、モータロータ932を回転させる。第1ハウジング930は、モータロータ932、及びモータステータ931を内側に収容する。シャフト31の反負荷側には、モータ30を駆動制御するために、設けられた磁石32がある。
【0154】
ECU10は、第1回路基板60と、第2ハウジング11と、第2ヒートシンクとなるヒートシンク70と、ターミナルブロック80とを含む。第1回路基板60には、第1モータコイル37又は第2モータコイル38を励磁する電流を出力する電界効果トランジスタTRと、シャフト31の軸方向Axの延長線上に配置された回転角度センサ31aとが実装されている。第2ハウジング11は、第1回路基板60の反負荷側に設けられている。ヒートシンク70は、第1回路基板60の負荷側に設けられ、第2ハウジング11との間で第1回路基板60を挟む。ターミナルブロック80は、第2ヒートシンクであるヒートシンク70の第1側面74の当接面73に固定され、第1モータコイル配線321又は第2モータコイル配線322と、第1回路基板60とを電気的に接続する。
【0155】
これにより、第1回路基板60は、第2ハウジング11と第2ヒートシンクであるヒートシンク70とで軸方向Axに挟まれる。このため、モータ30のシャフト31に平行な軸方向Axの大きさが抑制され、電動駆動装置1が小さくなる。ターミナルブロック80は、ヒートシンク70の第1側面74の当接面73に固定され、支持されている。このため、ターミナルブロック80がネジなどの固定部材BMで押圧されても、押圧に伴う応力が、ヒートシンク70にかかり、第1回路基板60へかかる応力が低減する。その結果、第1回路基板60の寿命が延び、電動駆動装置1の信頼性が向上する。
【0156】
第1ハウジング930には工具挿入孔36Hがある。そして、モータ30は、工具挿入孔36Hを塞ぎ、第1ハウジング930に着脱可能な側面カバー36を備える。これにより、モータ30とECU10との電気的な接続又は切断は、側面カバー36の着脱により、容易に可能となる。
【0157】
第1回路基板60は、第2ハウジング11側の第2面60Bに電界効果トランジスタTRが実装され、ヒートシンク70側の第1面60Aに電解コンデンサである電解コンデンサ253、256が実装されている。これにより、第1回路基板60の両面が有効活用され、第1回路基板60の径方向も小型にできる。
【0158】
ヒートシンク70は、電解コンデンサ253を覆う第1天板71を有し、電解コンデンサ253とは重なり合わない位置の天板に開けられた軸方向の貫通孔76には、磁石32が挿入される。これにより、電解コンデンサ253の冷却が第1天板71への熱伝導で促進される。そして、電解コンデンサ253の軸方向Axの大きさで生じるヒートシンク70の第1側面74をターミナルブロック80との当接面73として利用することができる。また、電解コンデンサ253とは重なり合わない位置も、磁石32が挿入されることで、磁石32の径方向外側の空間も電解コンデンサ253の配置領域として利用することができる。その結果、電動駆動装置1の軸方向Axの大きさが小さくなる。
【0159】
第1天板71及び第2天板79との間には段差がある。これにより、ヒートシンク70は、各電解コンデンサ253、256の大きさに応じた最小限の容積のヒートシンクとなり、電動駆動装置1の軽量化に寄与する。
【0160】
それぞれ電界効果トランジスタTRを有する第1パワー回路25A、第2パワー回路25Bを制御する制御回路24を有する第2回路基板20を有し、第2回路基板20は、第2ハウジング11の反負荷側に配置され、第2ハウジング11に開けられた軸方向Axの第1貫通孔119に挿入された基板間コネクタにより、第1回路基板60と第2回路基板20とは電気的に接続されている。これにより、第2ハウジング11の軸方向の両面を放熱面として利用することができる。
【0161】
第2回路基板20は、第2ハウジング11に設けられた凹部である収容空間11Rに収容される。これにより、電動駆動装置1の軸方向Axの大きさが小さくなる。
【0162】
モータステータ931は、第1コイルグループGr1に接続される第1モータコイル配線321と、第2コイルグループGr2に接続される第2モータコイル配線322とを備える。ターミナルブロック80は、2つあり、一方のターミナルブロック80と、他方のターミナルブロック80とは、ヒートシンク70を挟む位置に配置される。ここで、一方のターミナルブロック80は、第1モータコイル配線321と第1回路基板60とを電気的に接続し、他方のターミナルブロック80は、第2モータコイル配線322と第1回路基板60とを電気的に接続する。これにより、コイル配線が冗長化されても、ヒートシンク70の複数の側面を利用することにより、モータ30の径方向の大きさは抑制される。
【0163】
第2ハウジング11とヒートシンク70とは、ネジなどの固定部材B2で連結されている。これにより、ターミナルブロック80がネジなどの固定部材BMで押圧されても、押圧に伴う応力が、ヒートシンク70、固定部材B2、第2ハウジング11へ伝達される。その結果、第1回路基板60へかかる応力がさらに低減する。
【0164】
ECU10は、第1回路基板60と、第2回路基板20と、第2回路基板20を収容し、軸方向Axに貫通する第1貫通孔119を有する第2ハウジング11と、第2ハウジング11を覆う蓋体40と、基板間コネクタを含む。第1回路基板60は、モータコイルを励磁する電流を出力する電界効果トランジスタである複数のスイッチング素子252と、シャフト31の軸方向Axの延長線上に配置された回転角度センサ23aとが実装されている。第1回路基板は、シャフト31の反負荷側に配置されている。第2回路基板20は、複数のスイッチング素子252に供給する電流を制御する制御回路24を有する。基板間コネクタは、第2ハウジング11の反負荷側に配置されている第2回路基板20と、第2ハウジング11の負荷側に配置されている第1回路基板60とを接続し、第1貫通孔119に配置される。
【0165】
これにより、基板間コネクタが制御信号の伝送を確保しつつ、第2のヒートシンクが第1回路基板及び第2回路基板の放熱性を高める。
【0166】
第2ハウジング11は、第2回路基板20を収容し、かつ第1回路基板60と第2回路基板20とに挟まれ、第1回路基板60の電子部品及び第2回路基板20の電子部品の熱を受熱するヒートシンクとなる。ヒートシンク70は、第1回路基板60の反負荷側に設けられ、第1回路基板60の電子部品の熱を受熱するヒートシンクとなっている。ヒートシンク29は、第2回路基板20の負荷側に設けられ、第2回路基板20の電子部品の熱を受熱する。蓋体40は、第2ハウジング11の反負荷側を覆い、蓋体40と第2ハウジング11とは、第2回路基板20、ヒートシンク29及び電源配線モジュール90を取り囲む。
【0167】
これにより、軸方向に、ヒートシンクであるヒートシンク70、第1回路基板60、ヒートシンクである第2ハウジング11、第2回路基板20、ヒートシンク29、電源配線モジュール90、蓋体40が順に配置されている。その結果、ハウジング内の容積を抑制しつつ、ハウジング内の密閉性を高め、ハウジング内の温度上昇を抑制することができる。
【0168】
ECU10は、第1回路基板60と、第2回路基板20と、第2回路基板20を収容する第2ハウジング11と、第2ハウジング11を覆う金属製の蓋体40と、蓋体40を貫通する電源入力端子PWCH1及び電源入力端子PWCH2を有するコネクタCNT2と、電源配線モジュール90と、ヒートシンク29と、を含む。第1回路基板60は、モータコイルを励磁する電流を出力する電界効果トランジスタである複数のスイッチング素子252と、シャフト31の軸方向Axの延長線上に配置された回転角度センサ23aとが実装されている。第1回路基板は、シャフト31の反負荷側に配置されている。第2回路基板20は、複数のスイッチング素子252に供給する電流を制御する制御回路24を有する。電源配線モジュール90は、ノイズ除去用のチョークコイル91及びコンデンサ92と、一端が前記電源入力端子PWinに接続され、第1回路基板60及び第2回路基板に電力を供給するリードフレーム配線と、前記第1回路基板へ接続する第1電源端子と、前記第2回路基板へ接続する第2電源端子とが樹脂でモールドされている。ヒートシンク29は、電源配線モジュール90と第2回路基板20とに挟まれ、蓋体40との間に、電源配線モジュール90を挟む。
【0169】
これにより、電源配線モジュール90内の電源配線があるので、第1回路基板60にある電源配線の面積が抑制される。その結果、第1回路基板60の面積が抑制され、ECU10は、径方向の大きさが小さくなる。また、電源配線モジュール90が第2ハウジング11及びヒートシンク29に挟まれるので、チョークコイル91の放熱性を高めることができる。その結果、第2ハウジング11内の温度上昇が抑制される。
【0170】
コネクタCNTのうち、コネクタCNT2を例示して説明する。コネクタCNT2は、基部48と、基部48から反負荷側に突出するソケット部49と、蓋体40の貫通孔42Hに挿入するコネクタ端子484と、2つの封止部材CNO2と、を有している。基部48は、外縁が基部48の裏面482よりも負荷側に突出し、蓋体40のコネクタ台座部の外縁を囲み、コネクタ台座部の側面451の一部に被さる庇部481と、コネクタ端子484とともに、基部48の裏面482よりも負荷側に突出して蓋体40の貫通孔42Hに挿入される封止支持部483と、を有している。封止部材CNO2は、貫通孔42Hの第1内壁452と、封止支持部483との間に挟まれる。
【0171】
これにより、高圧の水が外部から侵入しようとしても、庇部481が水の侵入を抑制する。庇部481を越えて水が侵入しても、貫通孔42Hの第1内壁452と、封止支持部483との間に挟まれる封止部材CNO2が、水の侵入を抑制する。その結果、電動駆動装置1の防水水準が向上し、高水圧下においても十分な防水性を保つことができる。そして、電動駆動装置1は、規格JIS D 5020のIPx9Kを満たすことができる。
【0172】
蓋体40が金属製であるので蓋体40の放熱性が高く、封止部材CNO2の劣化が抑制され、高温化での防水性も向上する。
【0173】
また、電動パワーステアリング装置100は、上述の電動駆動装置1を備え、電動駆動装置1が補助操舵トルクを生じさせる。上述のように、電動駆動装置1は、高水圧下においても防水性を向上できる。その結果、電動駆動装置1の信頼性が向上するので、電動パワーステアリング装置100の信頼性も向上する。
【0174】
(実施形態2)
図25は、実施形態2に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。なお、上述した実施形態1から実施形態3で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0175】
図25に示すように、実施形態2の電動パワーステアリング装置100Aは、ステアリングシャフト192に補助操舵トルクを与えるピニオンアシスト方式である。
図25に示すように、ステアリングシャフト192は、入力軸192Aと、出力軸192Bと、を備える。入力軸192Aは、一方の端部がステアリングホイール191に接続され、他方の端部がトーションバーに接続される。出力軸192Bは、一方の端部がトーションバーに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント196に接続される。なお、トルクセンサ194は、トーションバーのねじれを検出することで、ステアリングシャフト192に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ194は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをCAN通信によりECU10に出力する。ステアリングシャフト192は、ステアリングホイール191に付与された操舵力により回転する。
【0176】
インターミディエイトシャフト197は、出力軸192Bのトルクを伝達する。第1ラックアンドピニオン機構199は、第1ピニオンシャフト199Aと、第1ピニオンギヤ199Bと、ラックシャフト199Cと、第1ラック199Dと、を有する。第1ピニオンシャフト199Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント198を介してインターミディエイトシャフト197に接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ199Bに接続される。ラックシャフト199Cに形成された第1ラック199Dは、第1ピニオンギヤ199Bと噛み合う。
【0177】
ステアリングシャフト192の回転運動は、インターミディエイトシャフト197を介して第1ラックアンドピニオン機構199に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構199によりラックシャフト199Cの直線運動に変換される。タイロッド172は、ラックシャフト199Cの両端にそれぞれ接続される。
【0178】
(実施形態3)
図26は、実施形態3に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。なお、上述した実施形態1から実施形態2で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図26に示す電動パワーステアリング装置100Bは、第1ピニオンシャフト199Aに補助操舵トルクを与えるピニオンアシスト方式である。電動パワーステアリング装置100Bにおいて、トルクセンサ194は、第1ピニオンシャフト199Aに連結される。
【0179】
モータ30は、ウォームシャフトの減速装置175を回転させる。減速装置175のウォームホイールは、第1ピニオンシャフト199Aと一体で回転する。このため、モータ30が第1ピニオンギヤ199Bを回転できる。第1ピニオンギヤ199Bは、第1ラック199Dと噛み合う。その結果、電動駆動装置1が減速装置175を介して、第1ラック199Dにアシスト力を付与する。なお、第1ピニオンギヤ199Bは、第1ラック199Dに対し、直交配置であってもよく、直交からずれた斜交配置であってもよい。以上説明したように、実施形態3の電動パワーステアリング装置100Bは、シングルピニオンアシスト方式である。
【0180】
(実施形態4)
図27は、実施形態4に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。なお、上述した実施形態1から実施形態3で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。電動パワーステアリング装置100Cは、第1ピニオンシャフト199A及び第1ピニオンギヤ199Bに加え、出力軸192B及び第2ピニオンギヤ171Bを備える。電動パワーステアリング装置100Cは、デュアルピニオンアシスト方式である。トルクセンサ194は、ピニオンシャフト195と第1ピニオンギヤ199Bとの間のトルクを検出する。
【0181】
モータ30は、ウォームシャフトの減速装置175を回転させる。減速装置175のウォームホイールは、出力軸192Bと一体で回転する。このため、モータ30が第2ピニオンギヤ171Bを回転できる。第2ピニオンギヤ171Bは、第2ラック171Cと噛み合う。その結果、電動駆動装置1が減速装置175を介して、第2ラック171Cにアシスト力を付与する。なお、第2ピニオンギヤ171Bは、第2ラック171Cに対し、直交配置であってもよく、直交からずれた斜交配置であってもよい。実施形態2の電動パワーステアリング装置100Cは、デュアルピニオンアシスト方式である。
【符号の説明】
【0182】
1 電動駆動装置
10 ECU
11 第2ハウジング
20 第2回路基板
23 検出回路
23a 回転角度センサ
23b モータ回転数演算部
24 制御回路
25A 第1パワー回路
25B 第2パワー回路
29 ヒートシンク
30 モータ
30G 歯車
31 シャフト
31a 回転角度センサ
32 磁石
40 蓋体
44 第1面
45 第2面
60 第1回路基板
70 ヒートシンク
71H、79H 凹部
71E 凹部の縁
76M 溝
76 貫通孔
80 ターミナルブロック
90 電源配線モジュール
91 チョークコイル
91H 凹部
92 コンデンサ
92H 貫通孔
99 第2樹脂
100、100A、100B、100C 電動パワーステアリング装置
253、256 電解コンデンサ
930 第1ハウジング
931 モータステータ
932 モータロータ
Ax 軸方向