(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166827
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20241122BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20241122BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G02F1/1335 520
G02F1/1343
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083201
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小出 貴子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
2H291
【Fターム(参考)】
2H092GA13
2H092HA03
2H092HA05
2H092JA24
2H092JB05
2H092JB08
2H092JB54
2H092NA01
2H092PA08
2H092PA09
2H092QA06
2H092QA07
2H192AA24
2H192BC13
2H192BC64
2H192BC74
2H192BC82
2H192EA04
2H192EA43
2H192JA05
2H192JA13
2H291FA02Y
2H291FA13Y
2H291GA19
2H291HA06
2H291HA11
2H291LA21
2H291NA13
2H291NA29
2H291NA35
2H291NA37
(57)【要約】
【課題】広い色再現範囲を実現することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1基板と、上記第1基板に対向する第2基板と、上記第1基板及び上記第2基板の間に設けられた液晶層と、を備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、上記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域と、透過モードで表示を行う透過領域と、を含み、上記複数の画素の少なくとも1つは、更に、上記透過領域の内側に配置された遮光領域を含み、上記第2基板は、上記液晶層側に向かって順に、第2基板側絶縁層と、カラーフィルタ層と、を備え、上記第2基板側絶縁層は、上記反射領域及び上記遮光領域に配置され、上記透過領域における上記カラーフィルタ層の膜厚は、上記反射領域における上記カラーフィルタ層の膜厚よりも大きい、液晶表示装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に設けられた液晶層と、
を備え、
マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域と、透過モードで表示を行う透過領域と、を含み、
前記複数の画素の少なくとも1つは、更に、前記透過領域の内側に配置された遮光領域を含み、
前記第2基板は、前記液晶層側に向かって順に、第2基板側絶縁層と、カラーフィルタ層と、を備え、
前記第2基板側絶縁層は、前記反射領域及び前記遮光領域に配置され、
前記透過領域における前記カラーフィルタ層の膜厚は、前記反射領域における前記カラーフィルタ層の膜厚よりも大きい、ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記遮光領域を有する画素の、前記透過領域における前記カラーフィルタ層の膜厚は、前記遮光領域を有さない画素の、前記透過領域における前記カラーフィルタ層の膜厚よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記反射領域における前記第2基板側絶縁層の膜厚は、前記反射領域における前記カラーフィルタ層の膜厚の0.5倍以上、2倍以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記遮光領域における前記第2基板側絶縁層の膜厚は、前記遮光領域における前記カラーフィルタ層の膜厚の0.5倍以上、2倍以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素は、第1画素電極を有する1画素、第2画素電極を有する第2画素、及び、第3画素電極を有する第3画素を含み、
前記第1画素電極は、前記第3画素電極に電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1画素、前記第2画素及び前記第3画素は、サブピクセルを構成する、ことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第2画素電極は、前記第1画素電極に隣接して配置され、
前記第3画素電極は、前記第2画素電極の前記第1画素電極とは反対側に配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1基板は、前記遮光領域に対応して設けられた遮光部と、前記反射領域に対応して設けられた反射層と、前記反射層の前記液晶層側に配置された絶縁層と、前記絶縁層の前記液晶層側に配置された画素電極とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記絶縁層は、前記透過領域に透過開口溝を有する、ことを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1基板は、前記遮光領域に対応して設けられた遮光部と、前記反射領域に対応して設けられた反射層と、前記反射層の前記液晶層とは反対側に配置された画素電極と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記透過領域における前記液晶層の厚さは、前記反射領域における前記液晶層の厚さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶層への光の透過方法により、反射型と透過型とに大別される。反射型の液晶表示装置は、装置内部に反射板を有し、外部からの入射光を反射板で反射し、反射光が液晶層を透過することで表示を行う。透過型の液晶表示装置は、バックライトユニットを備え、バックライトユニットから出射された光が液晶層を透過することで表示を行う。
【0003】
反射型の液晶表示装置は、バックライトユニットを必要としないため、低消費電力化、薄型化、軽量化が達成できる。一方で、透過型の液晶表示装置は、装置内に光源を有するため、暗い環境下でも視認性がよい。近年、室内での視認性だけでなく、外光視認性も考慮し、反射型と透過型の両方の利点を併せもつ液晶表示装置として、半透過型の液晶表示装置が提案されている。
【0004】
半透過型の液晶表示装置は、例えば、1つの画素内に、反射モードでの表示(反射表示)を行う反射領域と、透過モードでの表示(透過表示)を行う透過領域とを有している。そのため、外光を用いた反射表示によって太陽光下の屋外環境での高い視認性が得られるとともに、バックライトを用いた透過表示によって夜間の情報確認が可能である。
【0005】
半透過型の液晶表示装置に関する技術として、例えば、特許文献1には、基板上に、感光性樹脂を塗布し、着色層を形成する工程(a)と、前記着色層を、露光機の解像限界以下のパターンを遮光膜に有するマスクで露光し、現像することで、パターニングを行い、着色層に第1領域と、第1領域より膜厚が薄い第2領域とを形成する工程(b)と、前記着色層上に、感光性樹脂を塗布する工程(c)と、前記感光性樹脂のパターニングを行い、マルチギャップ層を形成する工程(d)と、を有するカラーフィルタの製造方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、相互に向い合っていて、反射部と透過部を有する第1基板及び第2基板と;前記第1基板の内面に形成されていて、前記透過部に対応する第1透過ホールを有するバッファ層と;前記第1基板とバッファ層の下部に形成されるカラーフィルタ層と;前記カラーフィルタ層の下部に形成される共通電極と;前記反射部と透過部に形成される画素電極と;前記反射部に形成され、前記透過部に対応する第2透過ホールを有する反射層と;前記共通電極と画素電極間に形成される液晶層とを含む反射透過型液晶表示装置において、前記反射部のカラーフィルタ層の厚みとバッファ層の厚みの和は、前記透過部のカラーフィルタ層の厚みより大きい反射透過型液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-109804号公報
【特許文献2】特開2004-102243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図12~
図14は、それぞれ、従来の半透過型の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。近年、スマートウォッチや携帯端末向けに、
図12~
図14に示すような半透過型の液晶表示装置が応用されている。
図12~
図14に示す半透過型の液晶表示装置100Rは、1画素P内に、透過表示が行われる透過領域Trと、反射表示が行われる反射領域Rfと、を有する。
【0009】
図12~
図14に示す半透過型の液晶表示装置100Rは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を有する第1基板10と、第1基板10に対向して配置された第2基板20Rと、第1基板10及び第2基板20に挟持された液晶層30と、を備える。液晶層30は、ツイスト配向した液晶分子を含有する。第2基板20Rは、支持基板21と、赤色カラーフィルタ22R、緑色カラーフィルタ22G及び青色カラーフィルタ22Bを含むカラーフィルタ層22と、対向電極20Comと、を液晶層30側に向かって順に有する。
【0010】
図12に示される第1基板10は、ガラス基板等の支持基板11と、絶縁層12aと、画素電極10Pxと、反射層10Rfと、を液晶層30側に向かって順に有する。
【0011】
図13及び
図14に示される第1基板10は、いずれも、ガラス基板等の支持基板11と、第1絶縁層12と、透明電極10Trと、反射層10Rfと、第2絶縁層13と、画素電極10Pxと、を液晶層30側に向かって順に有する。
図13の画素電極10Pxは平坦であるが、
図14の第2絶縁層13には、透過領域Trと対応する位置に透過開口溝13Aが設けられている。
【0012】
半透過型の液晶表示装置100Rは、1画素P内に反射表示を行う反射領域Rfと、透過表示を行う透過領域Trと、を備える。そのため、反射表示によって太陽光下の屋外環境における高い視認性が得られると共に、バックライトを使った透過表示によって夜間の情報確認が可能である。しかしながら、従来の半透過型の液晶表示装置100Rでは、透過表示の色再現範囲が狭い(NTSC比が低い)という課題があった。
【0013】
上記特許文献1及び2には、広い色再現範囲を実現する技術は開示されていない。
【0014】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、広い色再現範囲を実現することができる液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の一実施形態は、第1基板と、上記第1基板に対向する第2基板と、上記第1基板及び上記第2基板の間に設けられた液晶層と、を備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、上記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域と、透過モードで表示を行う透過領域と、を含み、上記複数の画素の少なくとも1つは、更に、上記透過領域の内側に配置された遮光領域を含み、上記第2基板は、上記液晶層側に向かって順に、第2基板側絶縁層と、カラーフィルタ層と、を備え、上記第2基板側絶縁層は、上記反射領域及び上記遮光領域に配置され、上記透過領域における上記カラーフィルタ層の膜厚は、上記反射領域における上記カラーフィルタ層の膜厚よりも大きい、液晶表示装置。
【0016】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記遮光領域を有する画素の、上記透過領域における上記カラーフィルタ層の膜厚は、上記遮光領域を有さない画素の、上記透過領域における上記カラーフィルタ層の膜厚よりも大きい、液晶表示装置。
【0017】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記反射領域における上記第2基板側絶縁層の膜厚は、上記反射領域における上記カラーフィルタ層の膜厚の0.5倍以上、2倍以下である、液晶表示装置。
【0018】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記遮光領域における上記第2基板側絶縁層の膜厚は、上記遮光領域における上記カラーフィルタ層の膜厚の0.5倍以上、2倍以下である、液晶表示装置。
【0019】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記複数の画素は、第1画素電極を有する1画素、第2画素電極を有する第2画素、及び、第3画素電極を有する第3画素を含み、上記第1画素電極は、上記第3画素電極に電気的に接続されている、液晶表示装置。
【0020】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(5)の構成に加え、上記第1画素、上記第2画素及び上記第3画素は、サブピクセルを構成する、液晶表示装置。
【0021】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、上記第2画素電極は、上記第1画素電極に隣接して配置され、上記第3画素電極は、上記第2画素電極の上記第1画素電極とは反対側に配置される、液晶表示装置。
【0022】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、上記第1基板は、上記遮光領域に対応して設けられた遮光部と、上記反射領域に対応して設けられた反射層と、上記反射層の上記液晶層側に配置された絶縁層と、上記絶縁層の上記液晶層側に配置された画素電極とを有する、液晶表示装置。
【0023】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(8)の構成に加え、上記絶縁層は、上記透過領域に透過開口溝を有する、液晶表示装置。
【0024】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、上記第1基板は、上記遮光領域に対応して設けられた遮光部と、上記反射領域に対応して設けられた反射層と、上記反射層の上記液晶層とは反対側に配置された画素電極と、を備える、液晶表示装置。
【0025】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、上記透過領域における上記液晶層の厚さは、上記反射領域における上記液晶層の厚さよりも大きい、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、広い色再現範囲を実現することができる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態1の液晶表示装置の平面模式図である。
【
図2】
図1中のA1-A2線に沿った断面模式図である。
【
図3】
図2の破線で囲まれた領域の拡大断面模式図である。
【
図4】特許文献1の液晶表示装置の平面模式図の一例である。
【
図5】実施形態1のTFT基板が有する画素電極の平面模式図である。
【
図6】実施形態1のTFT基板が有する反射層及び遮光部の平面模式図である。
【
図7】
図1中のB1-B2線に沿った断面模式図である。
【
図8】実施形態2の液晶表示装置の平面模式図である。
【
図9】
図8中のC1-C2線に沿った断面模式図である。
【
図10】実施形態3の液晶表示装置の平面模式図である。
【
図12】従来の半透過型の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
【
図13】従来の半透過型の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
【
図14】従来の半透過型の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の液晶表示装置の平面模式図である。
図2は、
図1中のA1-A2線に沿った断面模式図である。
図3は、
図2の破線で囲まれた領域の拡大断面模式図である。
図1~
図3を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置100を説明する。
【0030】
図1~
図3に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板20と、第1基板10及び第2基板20の間に設けられた液晶層30と、を備え、マトリクス状に配列された複数の画素Pを有する液晶表示装置であって、複数の画素Pのそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域Rfと、透過モードで表示を行う透過領域Trと、を含み、複数の画素Pの少なくとも1つは、更に、透過領域Trの内側に配置された遮光領域Shを含み、第2基板20は、液晶層30側に向かって順に、第2基板側絶縁層20Tと、カラーフィルタ層22と、を備え、第2基板側絶縁層20Tは、反射領域Rf及び遮光領域Shに配置される。また、透過領域Trにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22dtは、反射領域Rfにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22drよりも大きい。このような態様とすることにより、広い色再現範囲を実現することができる。特に、透過表示の色再現範囲を拡大することができる。本実施形態の液晶表示装置100は、反射領域Rf及び透過領域Trの液晶分子が同じ画素電極で駆動される半透過型液晶表示装置であって、第2基板20上の反射領域Rf(後述する反射層10fに対応する領域)及び遮光領域Sh(後述する遮光部10Sに対応する領域)に第2基板側絶縁層20T(例えば、透明樹脂)が配置され、その上にカラーフィルタ層22(色層)が設けられたマルチセルギャップの半透過型液晶表示装置である。
【0031】
色再現範囲(NTSC比)は、測定対象の液晶表示パネルをバックライト上に配置し、輝度計(例えば、トプコンテクノハウス社製 SR-UL2 分光放射計)を用いてRGBの輝度を測定することにより求めることができる。本実施形態の液晶表示装置100のNTSC比は、従来の液晶表示装置よりも向上する。
【0032】
本実施形態の液晶表示装置100は、半透過型(透過反射両用型)の液晶表示装置である。液晶表示装置100は、
図1に示すように、複数の画素Pを有する。複数の画素Pは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。
図1には、液晶表示装置100の9つの画素Pに対応した領域を示している。複数の画素Pは、典型的には、赤を表示する赤画素、緑を表示する緑画素および青を表示する青画素を含む。
【0033】
また、液晶表示装置100は、
図2に示すように、液晶表示パネルLPと、液晶表示パネルLPの背面側(観察者側とは反対側)に配置されたバックライト(照明装置)50とを備える。液晶表示パネルLPは、第1基板(TFT基板)10と、第1基板10に対向する第2基板(対向基板)20と、第1基板10と第2基板20との間に設けられた垂直配向型の液晶層30とを有する。
各画素Pは、反射モードで表示を行う反射領域Rfと、透過モードで表示を行う透過領域Trと、を含む。また、複数の画素Pの少なくとも1つは、更に、透過領域Trの内側に配置された遮光領域Shを含む。遮光領域Shを含む画素Pの画素数は、遮光領域Shを含まない画素Pの画素数の0.5倍以上、5倍以下であることが好ましく、1.0倍以上、4.5倍以下であることがより好ましく、1.5倍以上、4倍以下であることが更に好ましい。
【0034】
第1基板10は、各画素Pに開口部10RfAが設けられた反射層10Rfと、平面視はおいて、開口部10RfAの少なくとも1つと重畳する位置に配置された遮光部10Sと、を備える。平面視において、反射層10Rfと重畳する領域が反射領域Rfに対応し、当該領域において反射表示を実現することができる。また、平面視において、開口部10RfAと重畳し、かつ、遮光部10Sと重畳しない領域が透過領域Trに対応し、当該領域において透過表示を実現することができる。また、平面視において、遮光部10Sと重畳する領域が遮光領域Shに対応する。当該遮光領域は、透過表示にも反射表示にも寄与しない。なお、開口部10RfAは、反射層10Rfに含まれない。
【0035】
本明細書において、反射領域Rfは、表示領域AA内であって、かつ、平面視において反射層10Rfと重畳する領域である。遮光領域Shは、表示領域AA内であって、かつ、平面視において遮光部10Sと重畳する領域である。透過領域Trは、表示領域AA内であって、かつ、平面視において反射層10Rf及び遮光部10Sと重畳しない領域である。
【0036】
図2に示された3つの画素(第1画素P1、第2画素P2及び第3画素P3)はそれぞれ開口部10RfAが設けられている。当該3つの画素が有する3つの開口部10RfAのうち2か所(第1画素P1に配置された開口部10RfA及び第2画素P2に配置された開口部10RfA)には、
図2に示すように、TFT配線等の遮光部10Sが存在するため遮光領域Shが配置される。
【0037】
平面視において、第2基板側絶縁層20Tは、反射領域Rf(平面視において反射層10Rfと重畳する領域)に配置される。このような態様とすることにより、透過領域Tr(平面視において反射層10Rf及び遮光部10Sと重畳しない領域)におけるカラーフィルタ層22の膜厚22dtを反射領域Rfにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22drよりも厚くすることが可能となる。すなわち、第2基板20において、反射層10Rfと対応する位置に第2基板側絶縁層20Tが配置されることによりマルチギャップ化を実現し、カラーフィルタ層22(色層)の厚みを透過領域Trで厚くすることできる。その結果、色再現範囲を拡大することができる(例えば、第3画素P3)。
【0038】
ここで、
図12~
図14に示される従来の半透過型の液晶表示装置100Rにおいて透過表示の色再現範囲が狭い(NTSC比が低い)のは、透過表示光が、反射表示用に低い顔料濃度に調整したカラーフィルタ層22を1回しか透過しないためであると考えられる。そこで、本実施形態では、反射領域Rfにおいて、第2基板20に第2基板側絶縁層20Tを配置することにより、カラーフィルタ層22(色層)に段差を設ける。これにより、平面視において第2基板側絶縁層20Tの配置されていない領域におけるカラーフィルタ層22の膜厚22dtと、平面視において第2基板側絶縁層20Tの配置されている領域におけるカラーフィルタ層22の膜厚22drとは、22dt>22drの関係を満たすことになる。すなわち、透過領域Trにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22dtは、反射領域Rfにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22drよりも大きい。
【0039】
また、平面視において、第2基板側絶縁層20Tは、遮光領域Sh(平面視において遮光部10Sと重畳する領域)にも配置される。すなわち、平面視において開口部10RfAと重畳する領域にTFT配線等の遮光部10Sが配置された第1画素P1及び第2画素P2においては、反射層10Rfと重畳する領域だけでなく、遮光部10Sと重畳する領域にも第2基板側絶縁層20Tが配置される。このような態様とすることにより、透過領域Trのカラーフィルタ層22の厚みを効果的に厚くすることが可能となり、色再現範囲を効果的に拡大することができる。
【0040】
また、遮光領域Shを有する画素(第1画素P1及び第2画素P2)の、透過領域Trにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22dt1は、遮光領域Shを有さない画素(第3画素P3)の、透過領域Trにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22dt2よりも大きいことが好ましい。すなわち、カラーフィルタ層の膜厚は、22dt1>22dt2>22drであることが好ましい。このような態様とすることにより、色再現範囲をより効果的に拡大することができる。なお、本明細書において「重畳する」とは、特に断りのない限り、平面視において重畳することをいい、「重畳しない」とは、特に断りのない限り、平面視において重畳しないことをいう。
【0041】
上記特許文献1には、基板上の反射領域に絶縁層(マルチギャップ層)が設けられ、更にその上にカラーフィルタ層(着色層)が設けられたマルチギャップセルが開示されている。特許文献1では、マルチギャップにすることで、光が2回通過する反射領域における液晶層のリタデーションよりも透過領域における液晶層のリタデーションを大きくし、かつ、反射領域における色層よりも透過領域における色層を厚くすることにより、表示性能を向上させている。
【0042】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、反射表示重視であり、かつ、階調分割表示のため、反射電極の開口部にTFTなどの配線が存在する。そのため、着色層を備える基板の反射領域に絶縁層を配置するだけでは透過領域の表示性能が充分に上がらない。
【0043】
図4は、特許文献1の液晶表示装置の平面模式図の一例である。
図4に示すように、特許文献1の液晶表示装置では、浮島状に形成された反射電極に対応する領域に反射領域Rfが、その周囲に透過領域Tfが設けられている。特許文献1の液晶表示装置が備える反射電極には開口部が設けられていない。すなわち、特許文献1の液晶表示装置が備える画素は、透過領域の内側に反射領域を有する。
【0044】
一方、本実施形態の液晶表示装置100では、
図1に示すように、反射層10Rfに開口部10RfAが設けられており、当該開口部10RfAに対応する領域に透過領域Trが、反射層10Rfに対応する領域に反射領域Rfが設けられている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置100が備える画素Pは、反射領域Rfの内側に透過領域Trを有する。このような点においても、本実施形態の液晶表示装置100と特許文献1の液晶表示装置とは構成が異なる。
【0045】
以下、本実施形態の液晶表示装置100について詳細に説明する。
【0046】
図5は、実施形態1のTFT基板が有する画素電極の平面模式図である。
図6は、実施形態1のTFT基板が有する反射層及び遮光部の平面模式図である。
図7は、
図1中のB1-B2線に沿った断面模式図である。
【0047】
本実施形態の液晶表示装置100は、各画素Pに対応して設けられた画素電極10Pxを有する。画素電極10Pxは、絶縁膜(第2絶縁層13)を介して反射層10Rfの液晶層30側に配置されている。
【0048】
図5に示すように、複数の画素Pは、第1画素電極10Px1を有する第1画素P1、第2画素電極10Px2を有する第2画素P2、及び、第3画素電極10Px3を有する第3画素P3を含み、第1画素電極10Px1は、第3画素電極10Px3に電気的に接続されている。このような態様とすることにより、第1画素電極10Px1及び第3画素電極10Px3に印加される電圧と、第2画素電極10Px2に印加される電圧とを独立して制御することが可能となる。その結果、第1画素P1、第2画素P2及び第3画素P3から構成されるサブピクセルPsub内の階調を、例えば下記表1のように変化させることができる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置100は、サブピクセルPsub内の画素電極を分割することで階調表示を行う階調分割方式の半透過型液晶表示装置である。
【0049】
【0050】
図5に示すように、例えば、第2画素電極10Px2は、第1画素電極10Px1に隣接して配置され、第3画素電極10Px3は、第2画素電極10Px2の第1画素電極10Px1とは反対側に配置される。
【0051】
このように、階調分割方式を採用している本実施形態の液晶表示装置100には、階調分割のため別信号を入力する必要があるTFTとコンタクトホールが開口部10RfAに存在する。当該TFT等の遮光部10Sに対しての対策を行わない特許文献1の構成では透過領域Trの色再現範囲の拡大が不充分となる。
【0052】
画素P内に占める透過領域Trの面積の割合は、用途等に応じて適宜設定され得るが、例えば10%以上、90%以下である。また、画素P内における透過領域Trの位置や形状も用途等に応じて適宜設定され得る。なお、本願明細書では、画素P内で反射表示にも透過表示にも寄与しない領域を「遮光領域Sh」と呼ぶ。
【0053】
第1基板10は、液晶層30側に向かって順に、支持基板11と、第1絶縁層12と、透明電極10Trと、反射層10Rfと、第2絶縁層13と、画素電極10Pxと、を備える。
【0054】
第1基板10の構成要素(上述した画素電極10Px等)は、支持基板11によって支持されている。支持基板11は、例えば透明基板である。透明基板の材料としては、例えば無アルカリガラスやプラスチックを用いることができる。なお、本明細書において「透明」とは、光に対して透明性を有することを意味する。具体的には、光(例えば可視光)の透過率(例えば、平行光線透過率)が80%以上、100%以下であることをいう。
【0055】
支持基板11上には、画素Pを駆動するための回路(バックプレーン回路)が形成されている。バックプレーン回路は、特に限定されない。例えば、バックプレーン回路は、複数の画素Pのそれぞれに接続されたメモリ回路(例えばSRAM)を含んでもよい。画素Pごとにメモリ回路が設けられた液晶表示装置は、「メモリ液晶」と呼ばれることもある。
【0056】
メモリ液晶の具体的な構成は、例えば、特許第5036864号公報(米国特許第8692758号明細書に対応)に開示されている。特許第5036864号公報および米国特許第8692758号明細書のすべての開示内容を参考のために本明細書に援用する。あるいは、バックプレーン回路は、一般的なアクティブマトリクス基板のように、画素電極10Pxに接続された薄膜トランジスタ(TFT)を含んでいてもよい。バックプレーン回路が有するTFTは、遮光部10Sの一例として挙げられる。
【0057】
TFTは、例えば、活性層として、アモルファスシリコン層、ポリシリコン層、またはIn-Ga-Zn-O系半導体を含む酸化物半導体層を有するTFT(特開2014-007399号公報参照)である。特開2014-007399号公報を参考のために本明細書に援用する。バックプレーン回路は、メモリ回路やTFTの他に、ゲート配線、ソース配線などの各種配線も含み得る。
【0058】
第1絶縁層12は、バックプレーン回路を覆うように設けられている。第1絶縁層12は、透明絶縁層であり、例えば透明な有機絶縁材料から形成されている。第1絶縁層12の表面は、凹凸形状を有する。つまり、第1絶縁層12は、凹凸表面構造を有する。凹凸表面構造を有する第1絶縁層12は、例えば、特許第3394926号公報に記載されているように感光性樹脂を用いて形成され得る。
【0059】
反射層10Rfは、第1絶縁層12上に設けられている。反射層10Rfは、反射率の高い金属材料から形成されている。反射層10Rfを形成するための金属材料としては、例えば、アルミニウムや銀、銀合金などを用いることができる。
【0060】
反射層10Rfの表面は、第1絶縁層12の凹凸表面構造が反映された凹凸形状を有する。つまり、反射層10Rfも凹凸表面構造を有する。反射層10Rfの凹凸表面構造は、MRS(Micro Reflective Structure)と呼ばれることもあり、周囲光を拡散反射してペーパーホワイトに近い表示を実現するために設けられている。凹凸表面構造は、例えば、隣り合う凸部tの中心間隔が5μm以上、50μm以下、好ましくは10μm以上、20μm以下となるようにランダムに配置された複数の凸部tで構成され得る。表示面法線方向からみたとき、凸部tの形状は略円形または略多角形である。画素Pに占める凸部tの面積は、例えば約20%から40%である。凸部tの高さは、例えば1μm以上、5μm以下である。
【0061】
反射層10Rfは、各画素Pの反射領域Rfに位置する第1部分10Rf1と、互いに隣接する任意の2つの画素P間に位置する第2部分10Rf2とを含んでいる。反射層10Rfの凹凸表面構造は、第1部分10Rf1及び第2部分10Rf2のそれぞれに形成されている。つまり、第1部分10Rf1だけでなく第2部分10Rf2も凹凸表面構造を有している。
【0062】
なお、反射層10Rfは、凹凸表面構造を有していなくても(つまり平坦な鏡面状であっても)よい。反射層10Rfが凹凸表面構造を有していない場合には、反射層10Rfと光散乱層とを組み合わせて用いることによって、ペーパーホワイトに近い表示を実現することができる。
【0063】
第1基板10は、遮光領域Shに対応して設けられた遮光部10Sと、反射領域Rfに対応して設けられた反射層10Rfと、反射層10Rfの液晶層30側に配置された上記絶縁層としての第2絶縁層13と、第2絶縁層13の液晶層30側に配置された画素電極10Pxとを有する。第2絶縁層13は、透過領域Tr(平面視において反射層10Rf及び遮光部10Sと重畳しない領域)に透過開口溝13Aを有する。このような態様とすることにより、透過セルギャップdtを反射セルギャップdrよりも大きくすることができる。その結果、透過モードの表示に用いられる光に対する液晶層30のリタデーションを大きくすることができ、透過領域Trにとって好ましい(より明るい表示を実現できる)電圧-輝度特性が得られる。
【0064】
このように、第2絶縁層13は、反射層10Rfを覆うように設けられている。第2絶縁層13は、透明絶縁層であり、例えば透明な有機絶縁材料から形成されている。第2絶縁層13には、フォトリソグラフィプロセスによって、透過セルギャップdtを反射セルギャップdrよりも大きくするための凹部(透過開口溝13A)が形成されている。
【0065】
透過開口溝13Aは、第2絶縁層13の液晶層30側の表面の凹部である。平面視において透過開口溝13Aと重畳する領域における第2絶縁層13の膜厚は、その他の領域における第2絶縁層13の膜厚の0.1倍以上、1.0倍未満であり、0.2倍以上、0.9倍以下であることが好ましく、0.3倍以上、0.8倍以下であることがより好ましい。このような態様とすることにより、透過領域Trにとってより好ましい(より明るい表示を実現できる)電圧-輝度特性が得られる。
【0066】
画素電極10Pxは、第2絶縁層13上に設けられている。つまり、画素電極10Pxは、第2絶縁層13を介して反射層10Rf上に設けられている。画素電極10Pxは、透明導電材料から形成されている。透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO(登録商標))、またはこれらの混合物を用いることができる。画素電極10Pxは、バックプレーン回路に電気的に接続されている。
【0067】
透明電極(透明導電層)10Trが、反射層10Rfと第1絶縁層12との間に介在している。透明電極10Trは、省略されてもよい。透明電極10Trは、透明導電材料から形成されている。透明導電材料としては、画素電極10Pxと同様の材料を用いることができる。
【0068】
第2基板20は、液晶層30側に向かって順に、支持基板21と、第2基板側絶縁層20Tと、カラーフィルタ層22と、対向電極20Comと、を備える。また、第2基板20は、複数の柱状スペーサをさらに有する。
【0069】
第2基板20の構成要素(上述した対向電極20Com等)は、支持基板21によって支持されている。支持基板21は、例えば透明基板である。透明基板の材料としては、例えば無アルカリガラスやプラスチックを用いることができる。なお、第2基板20は、互いに隣接する任意の2つの画素P間にはブラックマトリクス(遮光層)を有しないことが好ましい。
【0070】
第2基板側絶縁層20Tは、反射領域Rf及び遮光領域Shに配置される。第2基板側絶縁層20Tは、透明絶縁層であることが好ましい。第2基板側絶縁層20Tは、例えば透明な有機絶縁材料から形成されている。第2基板側絶縁層20Tは、例えば、透光性を有する樹脂材料を支持基板21上に塗布し、塗布された樹脂材料を既知のフォトリソグラフィー法によってパターン化することで所望の形状に形成される。
【0071】
反射領域Rfにおける第2基板側絶縁層20Tの膜厚20Tdrは、反射領域Rfにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22drの0.5倍以上、2倍以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、透過表示の色再現範囲をより効果的に拡大することができる。膜厚20Tdrは、膜厚22drの0.6倍以上、1.8倍以下であることがより好ましく、0.7倍以上、1.6倍以下であることが更に好ましい。
【0072】
遮光領域Shにおける第2基板側絶縁層20Tの膜厚20Tdsは、遮光領域Shにおけるカラーフィルタ層22の膜厚22dsの0.5倍以上、2倍以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、透過表示の色再現範囲をより効果的に拡大することができる。膜厚20Tdsは、膜厚22dsの0.6倍以上、1.8倍以下であることがより好ましく、0.7倍以上、1.6倍以下であることが更に好ましい。
【0073】
対向電極20Comは、画素電極10Pxに対向するように設けられている。対向電極20Comは、透明導電材料から形成されている。対向電極20Comを形成するための透明導電材料としては、画素電極10Pxと同様の材料を用いることができる。反射層10Rfには、例えば、対向電極20Comに与えられる電位(共通電位)と同じ電位が与えられる。
【0074】
カラーフィルタ層22は、典型的には、赤画素に配置された赤カラーフィルタ、緑画素に配置された緑カラーフィルタ、及び、青画素に配置された青カラーフィルタを含む。カラーフィルタ層22の、異なる色の画素P間に対応する領域は、例えば、異なる色のカラーフィルタで略等分されている。カラーフィルタ層22を覆うように、オーバーコート層が形成されていてもよい。
【0075】
柱状スペーサは、液晶層30の厚さ(セルギャップ)を規定する。柱状スペーサは、感光性樹脂から形成することができる。
【0076】
液晶層30は、誘電異方性が負の(つまりネガ型の)ネマチック液晶材料を含み、カイラル剤を含んでいない。液晶層30は、例えば滴下法により形成することができる。
【0077】
第1基板10と液晶層30との間、及び、第2基板20と液晶層30との間には、それぞれ、第1配向膜及び第2配向膜が配置されていてもよい。第1配向膜及び第2配向膜は、それぞれ液晶層30に接するように設けられる。第1配向膜及び第2配向膜のそれぞれは、例えば、垂直配向膜である。本明細書において、「垂直配向膜」は、配向膜近傍の液晶分子を、配向膜表面に対して実質的に垂直に配向させるものであればよく、例えば、液晶分子に86.0°以上のプレチルト角を付与する配向膜であり得る。垂直配向膜の主成分は、例えば、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリマレイミドまたはポリシロキサンであることが好ましい。これらは、配向膜として効果的に利用することができるポリマー群である。
【0078】
第1配向膜及び第2配向膜の少なくとも一方は、配向処理を施されており、プレチルト方位を規定する。配向処理としては、ラビング処理や光配向処理を用いることができる。光配向処理(光照射/露光)によって液晶分子に対する配向規制力の強さや方向が変化する配向膜は、「光配向膜」と呼ばれる。光配向膜は、光反応性官能基として、シンナメート基、アゾベンゼン基、カルコン基、スチルベン基およびクマリン基のうちの少なくとも1種類を含むことが好ましい。これにより、液晶層30中に光分解物を溶出させる可能性が低くなるので信頼性を向上させることができ、また、比較的低い照射エネルギーで光配向処理を行うことが可能となる。
【0079】
液晶層30の液晶分子は、液晶層30に電圧が印加されていない状態では垂直配向し、液晶層30に所定の電圧が印加された状態では水平配向する。本実施形態では、液晶層30のツイスト角は実質的に0°であり、VA-ECB(Vertical Aligned ElectricallyControlled Birefringence)モードで表示が行われる。なお、「ツイスト角が実質的に0°である」とは、ツイスト角が製造誤差の範囲内で0°に近い場合も含意している。
【0080】
液晶層30として、誘電異方性が正の(つまりポジ型の)ネマチック液晶材料を含むものを用いてもよい。その場合、第1配向膜及び第2配向膜として水平配向膜が用いられ、表示モードとしてECBモードが採用される。
【0081】
液晶表示装置100は、更に、一対の円偏光板(第1円偏光板40A及び第2円偏光板40B)を備える。一対の円偏光板の一方(第1円偏光板40A)は、液晶表示パネルLPの背面側に配置されており、他方(第2円偏光板40B)は、液晶表示パネルLPの観察者側に配置されている。第1円偏光板(裏円偏光板)40Aは、第1直線偏光板41Aと、第1直線偏光板41A及び液晶表示パネルLPの間に位置する第1位相差板42Aとを含む。第2円偏光板(表円偏光板)40Bは、第2直線偏光板41Bと、第2直線偏光板41B及び液晶表示パネルLPの間に位置する第2位相差板42Bとを含む。
【0082】
第2直線偏光板(表直線偏光板)41Bは、吸収型の直線偏光板である。吸収型直線偏光板として、ポリビニルアルコール(PVA)を染色して延伸させたフィルム偏光子とトリアセチルセルロース(TAC)保護層とから構成された直線偏光板や、染料系偏光板、塗布型偏光板などを用いることができる。吸収型直線偏光板は、透過軸と、透過軸に直交する吸収軸とを有している。
【0083】
第1直線偏光板(裏直線偏光板)41Aとしては、表直線偏光板41Bと同様に吸収型直線偏光板を用いることができる。また、反射型の直線偏光板や、吸収型直線偏光板と反射型直線偏光板との積層体を用いてもよい。反射型直線偏光板として、スリーエム ジャパン社製の多層反射型偏光板(商品名:DBEF)や、コレステリック液晶フィルムとλ/4板とを組み合わせたものが挙げられる。反射型直線偏光板は、吸収型直線偏光板と異なり、透過軸と直交する方向に反射軸を有している。そのため、バックライト50からの光の一部は、反射型直線偏光板で反射され、バックライト50に含まれる反射板53で更に反射されることでリサイクルされる。なお、反射型直線偏光板が、裏直線偏光板41Aではなく、バックライト50に含まれてもよい。
【0084】
第1位相差板42A及び第2位相差板42Bのそれぞれは、1枚のλ/4板であってもよいし、1枚のλ/4板と1枚又は2枚のλ/2板との組み合わせや、1枚のλ/4板と1枚のネガティブCプレートとの組み合わせであってもよい。
【0085】
裏直線偏光板41Aおよび表直線偏光板41Bの吸収軸の方位や、第1位相差板42A及び第2位相差板42Bの遅相軸の方位は、ノーマリブラックモードで表示が行われるように設定されている。液晶層30の液晶分子は、黒表示状態において垂直配向し、白表示状態(および中間調表示状態)においてツイスト角0°で倒れる。
【0086】
バックライト50は、裏円偏光板40Aの背面側に配置されている。バックライト50は、光を発する光源(例えばLED)51、光源51からの光を液晶パネル側に導く導光板52および導光板52の背面側に配置された反射板53を有する。また、バックライト50は、導光板52の前面側(または背面側)に配置されたプリズムシートおよび拡散シートをさらに有してもよい。
【0087】
本実施形態では、第1基板10の液晶層30側の表面は、上段部S1、下段部S2及び段差部S3を含む段差を有している。上段部S1は、少なくとも反射領域Rf内に位置しており、実質的に平坦である。下段部S2は、少なくとも透過領域Tr内に位置しており、実質的に平坦である。段差部S3は、上段部S1と下段部S2とを結ぶ部分であり、支持基板11の基板面に対して傾斜又は直交している。
【0088】
上述したように、本実施形態の液晶表示装置100は、反射層(反射電極)10rfと画素電極10Pxとが第2絶縁層13を介して隔てられた2段電極構造を有する。そのため、反射層10Rfは、画素P内に位置する第1部分10Rf1だけでなく、隣接する2つの画素P間に位置する第2部分10Rf2を含み得る。従って、画素P間の領域も反射表示に寄与させることができるので、反射開口率(表示領域AA内で反射モードの表示に寄与する領域が占める割合)が向上し、反射率のいっそうの向上を図ることができる。そのため、反射モードでいっそう明るい表示を行うことができる。また、反射層10Rfの凹凸表面構造は、画素電極10Pxの下に形成される第2絶縁層13によって平坦化されるので、反射層10Rfの凹凸表面構造に起因する配向乱れは発生せず、面内均一性の高い配向が得られる。
【0089】
なお、本実施形態の液晶表示装置100では、画素P間の領域を反射モードの表示に寄与させるので、第2基板20は、複数の画素Pのうちの互いに隣接する任意の2つの画素P間にブラックマトリクスを有しないことが好ましい。
【0090】
透過領域Trにおける液晶層30の厚さ(透過セルギャップ)dtと、反射領域Rfにおける液晶層30の厚さ(反射セルギャップ)drとは異なっている。具体的には、透過セルギャップdtは、反射セルギャップdrよりも大きい(つまりdt>dr)。このように、液晶表示装置100は、マルチギャップ構造を有する。
【0091】
透過モードの表示に用いられる光が液晶層30を1回だけ通過するのに対し、反射モードの表示に用いられる光は液晶層30を2回通過する。そのため、本実施形態のように、透過領域Trの透過セルギャップdtを反射領域Rfの反射セルギャップdrよりも大きくすることで、透過モードの表示に用いられる光に対する液晶層30のリタデーションを大きくすることができ、透過領域Trにとって好ましい(より明るい表示を実現できる)電圧-輝度特性が得られる。すなわち、透過領域Trにおける液晶層の厚さ(透過セルギャップdt)は、反射領域Rfにおける液晶層30の厚さ(反射セルギャップdr)よりも大きいことが好ましい。
【0092】
本実施形態の液晶表示装置100の具体的な構成は、例えば、以下の通りである。
反射層10Rf:銀合金層
透明電極(透明導電層)10Tr、画素電極10Px:ITO層
第1絶縁層12、第2絶縁層13、第2基板側絶縁層20T:有機絶縁層
遮光領域Sh:9μm角の正方形状
透過領域Tr:18μm角の正方形状の領域から遮光領域Shを除いた領域
反射領域Rf:41μm角の正方形状の領域から透過領域Tr及び遮光領域Shを除いた領域
液晶層30:ネガ型液晶材料、カイラル剤非含有
表示モード:VA-ECBモード、ツイスト角0°
反射セルギャップdr:2.0μm
透過セルギャップdt:2.0~3.5μmの間で変化
対向電極20Com:ITO層
支持基板11、21:無アルカリガラス基板
裏表偏光板:直線偏光板と位相差板とを組み合わせた円偏光板
バックライト50:LEDバックライト
【0093】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第2絶縁層13が透過開口溝13Aを有さないことを除いて、実施形態1と実質的に同じである。
【0094】
図8は、実施形態2の液晶表示装置の平面模式図である。
図9は、
図8中のC1-C2線に沿った断面模式図である。上記実施形態1と同様に、本実施形態の液晶表示装置1が備える第1基板10は、遮光領域Shに対応して設けられた遮光部10Sと、反射領域Rfに対応して設けられた反射層10Rfと、反射層10Rfの液晶層30側に配置された上記絶縁層としての第2絶縁層13と、第2絶縁層13の液晶層30側に配置された画素電極10Pxとを有する。
【0095】
図8及び
図9に示すように、第2絶縁層13は、透過開口溝13Aを有さない。このような態様によっても、実施形態1と同様に、透過表示の色再現範囲を拡大することができる。
【0096】
本実施形態においても、カラーフィルタ層22の膜厚は、22dt1>22dt2>22drを満たす。
【0097】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、画素電極10Pxが反射層10Rfの下層に配置されることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。
【0098】
図10は、実施形態3の液晶表示装置の平面模式図である。
図11は、
図10中のD1-D2線に沿った断面模式図である。
図10及び
図11に示すように、本実施形態の液晶表示装置100が備える反射層10Rfは、画素電極10Pxの液晶層30側に配置される。すなわち、本実施形態の第1基板10は、遮光領域Shに対応して設けられた遮光部10Sと、反射領域Rfに対応して設けられた反射層10Rfと、反射層10Rfの液晶層30とは反対側に配置された画素電極10Pxと、を備える。このような態様によっても、実施形態1と同様に、透過表示の色再現範囲を拡大することができる。
【0099】
平面視において、画素電極10Pxは、反射層10Rfに重畳する。また、実施形態においても、カラーフィルタ層22の膜厚は、22dt1>22dt2>22drを満たす。
【符号の説明】
【0100】
10:第1基板(TFT基板)
10Px:画素電極
10Px1:第1画素電極
10Px2:第2画素電極
10Px3:第3画素電極
10Rf:反射層
10Rf1:第1部分
10Rf2:第2部分
10RfA:開口部
10S:遮光部
10Tr:透明電極
11、21:支持基板
12:第1絶縁層
12a:絶縁層
13:第2絶縁層
13A:透過開口溝
20:第2基板(対向基板)
20Com:対向電極
20T:第2基板側絶縁層
20Tdr、20Tds、22dr、22ds、22dt、22dt1、22dt2:膜厚
22:カラーフィルタ層
22B:青色カラーフィルタ
22G:緑色カラーフィルタ
22R:赤色カラーフィルタ
30:液晶層
40A:第1円偏光板(裏円偏光板)
40B:第2円偏光板(表円偏光板)
41A:第1直線偏光板(裏直線偏光板)
41B:第2直線偏光板(表直線偏光板)
42A:第1位相差板
42B:第2位相差板
50:バックライト
51:光源
52:導光板
53:反射板
100、100R:液晶表示装置
AA:表示領域
dt:透過セルギャップ
dr:反射セルギャップ
LP:液晶表示パネル
P:画素
P1:第1画素
P2:第2画素
P3:第3画素
Rf:反射領域
S1:上段部
S2:下段部
S3:段差部
Sh:遮光領域
Tr:透過領域
t:凸部