(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166829
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 13/14 20060101AFI20241122BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20241122BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20241122BHJP
【FI】
F24F13/14 B
F24F13/14 H
F24F1/0007 401C
F24F11/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083204
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】太田 将弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆則
【テーマコード(参考)】
3L051
3L081
3L260
【Fターム(参考)】
3L051BG06
3L081AA02
3L081AB04
3L081HA01
3L260AB02
3L260BA08
3L260CA12
3L260CA23
3L260CB63
3L260EA07
3L260FC14
(57)【要約】
【課題】エアウィングを制御し人体付近の空間の設定温度への到達を早める制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラムを提供する。
【解決手段】パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、吹出し口に回動自在に設けられ、空調風の吹出し方向を調整するルーバと、パネル本体の吹出し口に設けられ、パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部を有するエアウィングと、エアウィングを収納位置とルーバ方向位置との間において回動する回動機構と、空調される室内の設定温度を設定する設定部と、を備える空気調和機の制御装置50であって、室内の床面温度を検知する床面温度検知部52と、床面温度と設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定部54と、を備え、判定部54による室温状態の判定結果に基づきエアウィングの動作を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、
前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、
前記パネル本体の前記吹出し口に設けられ、前記パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部を有するエアウィングと、
前記エアウィングを前記収納位置と前記ルーバ方向位置との間において回動する回動機構と、
空調される室内の設定温度を設定する設定部と、
を備える空気調和機の制御装置であって、
前記室内の床面温度を検知する床面温度検知部と、
前記床面温度と前記設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定部と、を備え、
前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記エアウィングの動作を制御する制御装置。
【請求項2】
前記エアウィングは、前記床面温度と前記設定温度との差が第1閾値よりも小さい場合に、前記ルーバ方向位置に回動される請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記空気調和機の吸込み温度を検知する吸込み温度検知部を備え、
前記判定部は、前記床面温度と前記設定温度との差、及び、前記吸込み温度と前記設定温度との差に基づき、前記室温状態の判定を行う請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記ルーバのスイング方向を制御する請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記床面温度検知部が検知した前記床面温度に基づき人体の有無および位置を推定し、前記人体の有無および位置に基づき前記ルーバのスイング方向を制御する請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記空調風の風量を制御する請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御装置と、
パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、
前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、
前記パネル本体の前記吹出し口の外側に配設され、前記パネル本体に対して面一となる収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるとともに、ルーバ方向への吹出しを遮るウィング部を有するエアウィングと、
設定温度を設定する設定部と、
を備える空気調和機。
【請求項8】
前記パネル本体には、複数の前記吹出し口が設けられ、それぞれの吹出し口に対応して前記エアウィングが配設された構成とされている請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、
前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、
前記パネル本体の前記吹出し口に設けられ、前記パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部を有するエアウィングと、
空調される室内の設定温度を設定する設定部と、
を備える空気調和機の制御方法であって、
前記室内の床面温度を検知する床面温度検知工程と、
前記床面温度と前記設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定工程と、
前記判定工程による前記室温状態の判定結果に基づき、前記エアウィングの動作を制御する制御工程と、
をコンピュータに実行させる、制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機、特に天井埋め込み型空気調和機には、ユーザにドラフト感を感じさせないようにするための構成があることが知られている。
例えば特許文献1には、床温度と吸込温度との差に基づき調和空気の吹き出し方向を高頻度に変化させ空気攪拌を行うことが開示されている。
【0003】
特許文献2には、人の体表温度または床温度に基づき、風向板を制御することが開示されている。特許文献3には、ドラフト感を回避するために回動可能とされているエアウィングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5487855号公報
【特許文献2】特許第7123266号公報
【特許文献3】特開2016-109310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1乃至3の発明では、床面温度と吸込温度との差に基づき風向を制御することが開示されているものの、設定温度との差について検討されていない。特許文献1乃至3の発明では、ユーザが望む温度である設定温度と、ユーザが存在する床面温度とに乖離がある場合への対応が困難であるという課題があった。また、エアウィングについては、ユーザが動作切替の設定を行わなければならないという課題があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エアウィングを制御し、人体付近の空間の設定温度への到達を早める制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラムは以下の手段を採用する。
本開示の制御装置は、パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、前記パネル本体の前記吹出し口に設けられ、前記パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部を有するエアウィングと、前記エアウィングを前記収納位置と前記ルーバ方向位置との間において回動する回動機構と、空調される室内の設定温度を設定する設定部と、を備える空気調和機の制御装置であって、前記室内の床面温度を検知する床面温度検知部と、前記床面温度と前記設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定部と、を備え、前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記エアウィングの動作を制御する。
【0008】
本開示の空気調和機は、上述の制御装置と、パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、前記パネル本体の前記吹出し口の外側に配設され、前記パネル本体に対して面一となる収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるとともに、ルーバ方向への吹出しを遮るウィング部を有するエアウィングと、設定温度を設定する設定部と、を備える。
【0009】
本開示の制御方法は、パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、前記パネル本体の前記吹出し口に設けられ、前記パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部を有するエアウィングと、空調される室内の設定温度を設定する設定部と、を備える空気調和機の制御方法であって、前記室内の床面温度を検知する床面温度検知工程と、前記床面温度と前記設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定工程と、前記判定工程による前記室温状態の判定結果に基づき、前記エアウィングの動作を制御する制御工程と、をコンピュータに実行させる。
【0010】
本開示の制御プログラムは、上述の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ユーザがエアウィングの動作設定を逐一行う必要が無く、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態に係る空気調和機を斜め下方から見た一部を破断した状態の斜視図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態におけるパネル本体に設けられたエアウィングを収納位置とした状態の斜視図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態におけるエアウィングをルーバ方向位置とした状態の斜視図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の機能の一例を示した図である。
【
図6】本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知範囲を示す図である。
【
図7】本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知範囲を示す図である。
【
図8】本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知状態を示す図である。
【
図9】本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知状態を示す図である。
【
図10】本開示の幾つかの実施形態におけるエアウィングの制御を示す図である。
【
図11】本開示の幾つかの実施形態における風あて制御を示す図である。
【
図12】本開示の幾つかの実施形態における風よけ制御を示す図である。
【
図13】本開示の幾つかの実施形態におけるおまかせ気流制御を示す図である。
【
図14】本開示の幾つかの実施形態における制御装置のおまかせ気流制御の制御フローを示す図である。
【
図15】本開示の幾つかの実施形態における制御装置のおまかせ気流制御の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本開示の幾つかの実施形態に係る空気調和機を斜め下方から見た一部を破断した状態の斜視図が示され、
図2には、そのパネル本体に設けられたエアウィングを収納位置とした状態の斜視図、
図3には、そのエアウィングをルーバ方向位置とした状態の斜視図が示されている。ここでの空気調和機1は、
図1に示されるように、室内の天井面に設置されるタイプの空気調和機であって、ユニット本体2の下部に設けられるパネル本体3の4方向に吹出し口14が設けられた構成の空気調和機1が例示されている。
【0014】
ユニット本体2は、天井内に設置される四方体形の下方が開口された箱体であり、内部の中心部位に設置されたターボファン4と、その周りを囲むように配置された四角形状に曲げ成形されている熱交換器5と、熱交換器5の下部に配置されたドレンパン6と、ドレンパン6の周囲壁とユニット本体2の内周面との間に形成された吹出し風路7と、ターボファン4の吸込み側に配置されたベルマウス8等を備えた構成とされている。なお、この空気調和機1は、室外機に対して液管およびガス管からなる2本の冷媒配管9および電気配線10を介して接続されることになる。
【0015】
ユニット本体2の下面を覆うように設置される天井パネル、化粧パネルとも称されるパネル本体3は、略正方形状をなすパネルであって、中央部位に室内の空気を吸込むための開口(吸込み口)11が設けられており、その吸込み口11には、吸込みグリル12が設置されている。吸込みグリル12は、グリル内面側にエアフィルタ(図示省略)が設置されており、そのエアフィルタを交換あるいは清掃するため、パネル本体3に対して、ワイヤ13、図示省略の昇降モータ等を介して室内の床面近くまで降下されるように昇降自在に設置されている。なお、エアフィルタを自動清掃するため、エアフィルタ自動清掃機構を組み込んだ構成としてもよい。
【0016】
また、パネル本体3には、室内空気の吸込み口11の周りを取り囲むように、パネル本体3の4辺に対応して4方向にそれぞれ吹出し口14が設けられており、各吹出し口14から熱交換器5で冷却または加熱された空気が空調風として室内に吹出されるようになっている。4方向の吹出し口14には、それぞれ空調風の吹出し方向(風向)を調整するためのルーバ15が回動自在に設置されており、アクチュエータ(モータ)(図示せず)を介して個別に独立して回動されるようになっている。
【0017】
さらに、パネル本体3には、
図2、3に示されるように、各吹出し口14の外側に配設され、パネル本体3に対して面一となる収納位置(
図2位置)と、吹出し口14から吹出される空調風と対向するルーバ方向位置(
図3位置)との間で回動自在とされているエアウィング17が設けられている。このエアウィング17は、吹出し口14と対向するルーバ方向位置にせり出すことにより空調風を遮って風向を変える平板状の部材であり、各吹出し口14から吹出される空調風が下方に居る人に直接当たることによるドラフト感を低減あるいは解消するためのものである。
【0018】
エアウィング17は、各吹出し口14からルーバ方向に吹出される空調風と対向する位置にせり出して空調風を遮るウィング部18と、そのウィング部18の両端部に一体に設けられているアーム部19とを備えた門型形状をなすものであり、アーム部19の基端部がパネル本体3に対して、支軸(図示せず)を介して回動自在に支持され、上記した収納位置とルーバ方向位置との2位置間で回動可能とされている。
【0019】
エアウィング17のウィング部18およびアーム部19は、パネル本体3の一部を形成するものであり、
図2に示される収納位置に回動されたとき、各々の表面(下面)がパネル本体3の表面(下面)と面一とされるようになっている。ウィング部18は、吹出し口14と同等の長さを有し、その外側に沿って配置され、パネル本体3の各辺の一部を形成する一定の幅寸法を有する樹脂製の平板状部材であり、その両端部にウィング部18よりも幅の狭いアーム部19が一体に成形された門型形状とされている。このウィング部18および両アーム部19の裏面側には、リブが一体に成形され、各々の強度および剛性が確保されるように構成されている。
【0020】
エアウィング17は、回動機構(図示せず)を介してパネル本体3と面一となる収納位置(
図2位置)と、吹出し口14から吹出される空調風と対向するルーバ方向位置(
図3位置)との2位置間において回動自在とされている。
【0021】
回動機構(図示せず)は、4方向の吹出し口14に対応して設けられている4組のエアウィング17を各々独立して個別に回動できるように、各々のエアウィング17に対応して4組設けられている。
【0022】
また、各回動機構(図示せず)は、使用者が選択したエアウィング17を動作させてドラフト感を低減または解消するため、リモコンをON操作したとき、そのエアウィング17に対応した回動機構(図示せず)のアクチュエータを正回転することにより、対応するエアウィング17を下降させ、ルーバ15により調整されている空調風の吹出し方向と対向したルーバ方向位置に回動させる構成とされている。つまり、各回動機構(図示せず)は、リモコンのON操作時、ルーバ15を回動する位置を検知し、その位置と対応したルーバ方向位置にエアウィング17を回動する構成とされている。
【0023】
これによって、例えばルーバ15が水平方向吹出し位置とされているとき、エアウィング17はその位置に対応したルーバ方向位置に回動され、ルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減する。また、ルーバ15が下方吹出し位置とされているとき、エアウィング17はその位置に対応したルーバ方向位置に回動され、ルーバ方向への空調風の流れを遮って変更することにより、ドラフト感を低減または解消し得るようになっている。
【0024】
一方、特に空調風によるドラフト感を感じない場合や積極的にドラフト感を得たい場合には、リモコンをOFF操作することにより回動機構(図示せず)のアクチュエータを逆回転させ、エアウィング17をパネル本体3の表面と面一となる収納位置に回動し得るようになっている。
【0025】
空気調和機1は、設定部(例えばリモコン)により、空調される室内の設定温度が設定される。設定温度は、制御装置50に入力される。
【0026】
また空気調和機1は、センサ30を備える。センサ30は、サーモパイルセンサ30である。サーモパイルセンサ30は、空調される室内の床面温度を測定する。測定された床面温度は、制御装置50に入力される。サーモパイルセンサ30は、例えば空気調和機1のパネル本体3の一の角に設けられる。
【0027】
本実施形態では、空気調和機1が冷房、除湿、送風、特に冷房を行う場合における制御について説明するが、暖房の場合についても同様の制御を行えばよい。
【0028】
図4は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図4に示すように、制御装置(Controller)50は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1100、二次記憶装置(ROM、Secondary storage:メモリ)1200、主記憶装置(RAM、Main Memory)1300、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
【0029】
CPU1100は、例えば、バス1800を介して接続された二次記憶装置1200に格納されたOS(Operating System)により制御装置50全体の制御を行うとともに、二次記憶装置1200に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU1100は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0030】
主記憶装置1300は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU1100の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0031】
二次記憶装置1200は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置1200は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置1200の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置1200は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置1200には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置1200は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置1200に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0032】
また、制御装置50は、入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。また、表示部を含み、ランプ、音、特にアラーム音を出力するスピーカーなどの通知部を備えていてもよい。
【0033】
図5は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の機能の一例を示した図である。
図5に示すように、制御装置50は、温度設定部51と、床面温度検知部52と、吸込み温度検知部53と、判定部54と、を備えている。
【0034】
制御装置50が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置1200(
図4参照)などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)1100(
図4参照)が主記憶装置1300(
図4参照)に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置1200に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0035】
図5に示される温度設定部51は、空気調和機1のリモコンなどの設定部を介して、ユーザによって設定された空調される室内の設定温度を取得する。
【0036】
床面温度検知部52は、空気調和機1のサーモパイルセンサ30を介して、空調される室内の床面温度を取得する。
【0037】
吸込み温度検知部53は、空気調和機1の室内空気の吸込み口11近傍に設けられた温度センサ(図示せず)を介して、空気調和機1に吸い込まれる空気の温度(吸込温度)、すなわち空調される室内の温度を取得する。
【0038】
判定部54は、温度設定部51、床面温度検知部52、吸込み温度検知部53の各取得結果に基づき、室温状態の判定を行う。
【0039】
図6は、本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知範囲を示す図である。
図6は、図面上に室内天井、図面下に床面があり、空気調和機1が室内天井に設置されている場合の横方向から見た図である。
図6に示されるように、空気調和機1のサーモパイルセンサ30は、室内の床面方向に向けて配置され、室内の床面温度を測定する。
【0040】
サーモパイルセンサ30は、空気調和機1の各吹出し口14の吹出方向ごと、すなわち各4方向に対してそれぞれ床面温度の測定を行う。サーモパイルセンサ30は、着座姿勢でのユーザの顔位置(例えば床面高さ1.1mとする)を想定し、着座姿勢でのユーザの顔位置高さにおけるサーモパイルセンサ30の直下から所定の範囲(例えばサーモパイルセンサ30の直下から3メートルの範囲)の測定を行う。この場合、サーモパイルセンサ30の床面における測定範囲は、顔位置高さにおける所定の範囲よりも広くなる。サーモパイルセンサ30は、1方向ごとに測定範囲を一度に測定してもよいし、サーモパイルセンサ30の向きを移動させ測定範囲を分割して測定してもよい。本願発明の場合、サーモパイルセンサ30は、1方向につき奥行き方向に4分割、横方向に4分割の16分割を行い、分割した16マスを1マスずつ16回に分けて、測定範囲の床面温度の測定を行うとする。
【0041】
図7は、本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知範囲を示す図である。
図7は、室内を上方向(天井方向)から見た図である。
図7に示されるように、空気調和機1のサーモパイルセンサ30は、所定の時間毎に空気調和機1の各吹出し口14の吹出方向ごと、すなわち各4方向に対してそれぞれ床面温度の測定を行う。サーモパイルセンサ30は、4方向の測定を行った後に待機期間をおくとしてもよい。サーモパイルセンサ30による1の床面における測定範囲は、
図7に示されるように台形形状となる。
【0042】
図8は、本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知状態を示す図である。
図8において、例えば1行目が空気調和機1から最も遠い位置、7行目が空気調和機1に最も近い位置であるとする。本実施形態では、サーモパイルセンサ30は1方向の床面に対し16分割(4行4列)での床面温度の測定を行っているが、サーモパイルセンサ30の測定結果を画像処理することにより、疑似的に7行7列の結果を得るとしてもよい。
図8に示されるように、結果はセルごとに温度分布で表示される。温度分布では、所定の温度範囲ごとに色分けしてもよい。
図8の場合は、網掛けが濃いほど、温度が高いことを示している。さらに、人体の有無を判定するための所定の閾値を設け、所定の閾値を超えるセルを人体ありと判定し、所定の閾値以下のセルを人体無しと判定する。また、所定の閾値を超えるセルと所定の閾値以下のセルとで色分けしてもよい。
【0043】
このように、サーモパイルセンサ30の測定結果を用いて、床面温度が有意に高いセルであるか否かにより人体の有無を判定することで、人体の検知を行うことができる。
【0044】
図9は、本開示の幾つかの実施形態における床面温度検知部の検知状態を示す図である。
図9の7行7列の各セルは、
図8の各セルに対応している。
図9に示されるように、
図8において26度を超えるセルを白とし、それ以外を黒としている。本実施形態では人体の有無を判定する所定の閾値として例えば26度が設定されているが、これに限らず任意に設定可能であり、他の値を用いるとしてもよい。
【0045】
さらに、
図9の7行7列を、上3行(空気調和機1から遠いエリア、3行7列)と、下4行(空気調和機1に近いエリア、4行7列)の2つに分けるとしてもよい。
図6に示されるように、空気調和機1から遠いエリアをUpper位置、空気調和機1に近いエリアをLower位置とする。エリアを分ける位置については、任意に設定可能である。
【0046】
図9に示されるように、Upper位置は破線で囲まれた上3行(空気調和機1から遠いエリア、3行7列)であり、Lower位置は破線で囲まれた下4行(空気調和機1に近いエリア、4行7列)である。
【0047】
本実施形態では、空気調和機1の各吹出し口14の吹出方向ごとに、サーモパイルセンサ30が測定した測定結果に基づく各セルの判定結果により人体の有無を判定するのに加えて、人体ありと判定される位置がUpper位置、Lower位置のいずれかまたは両方のいずれであるかにより、人体の位置の判定を行ってもよいものとする。
【0048】
図10は、本開示の幾つかの実施形態におけるエアウィングの制御を示す図である。
図10に示されるように、エアウィング17を稼働させるか否かは、室内温度条件により決定される。
【0049】
制御装置50の温度設定部51は、室内の設定温度SPを取得する。床面温度検知部52は、床面温度Tb_aveを取得し、吸込み温度検知部53は、吸込温度THIを取得する。また、室内温度条件の判定を行うための閾値として、A(℃)及びB(℃)(A<B)を設定する。例えば、A=2(℃)、B=4(℃)であるとする。
【0050】
室内温度条件が「SP+B<THIかつSP+B<Tb_ave」の場合、すなわち空間も床面も温度が設定温度を大きく超え暑い場合は、エアウィング17はOFF、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動せず稼働しない。
【0051】
室内温度条件が「SP+A<THI≦SP+BかつSP+A<Tb_ave≦SP+B」の場合、すなわち空間も床面も温度が設定温度を超え暑い場合は、エアウィング17はOFF、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動せず稼働しない。
【0052】
室内温度条件が「SP+A<THIかつTb_ave≦SP+A」の場合、すなわち空間は設定温度を超えており暑いが床面は設定温度に近い温度であり冷えている場合は、エアウィング17はON、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動され稼働する。これにより、風向きは固定される。
【0053】
室内温度条件が「THI≦SP+AかつSP+A<Tb_ave」の場合、すなわち空間は設定温度に近い温度であり冷えているが床面は設定温度を超えており暑い場合は、エアウィング17はOFF、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動せず稼働しない。
【0054】
室内温度条件が「THI≦SP+AかつTb_ave≦SP+A」の場合、すなわち空間も床面も設定温度に近い温度であり冷えている場合は、エアウィング17はON、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動され稼働する。これにより、風向きは固定される。
【0055】
運転開始時、リモコンによる設定温度と床面温度との差が大きい、すなわち床面が設定温度を超え暑い場合は、エアウィング17は稼働せず冷風が室内に送られる。しばらく運転した後、設定温度と床面温度との差が小さい、すなわち床面が設定温度に近い温度となり冷えている場合は、エアウィング17は回動され稼働し、冷風が直接人体に当たらなくなる。
【0056】
このようにエアウィング17を制御装置50が制御することにより、エアウィング17を手動で設定し例えば常時ONとなっている場合と比較すると、室内が設定温度に到達するまで人体付近の温度を集中して下げることが可能である。
【0057】
上記の室内温度条件は、空気調和機1が冷房、除湿または送風を行う場合の条件である。暖房を行う場合は、判定条件の温度SP+A、SP+BをそれぞれSP-A、SP-Bとし、不等号の向きを逆にした条件を用いることで適用可能である。
【0058】
エアウィング17の制御は、空気調和機1の風量の制御や、ルーバ15の制御と組み合わせてもよい。空気調和機1の風量の制御、ルーバ15の制御、エアウィング17の制御は、ユーザにより選択された「風あて制御」、「風よけ制御」、「おまかせ気流制御」のいずれかにより異なる。各制御は、吹出し口14毎に選択可能である。
【0059】
図11は本開示の幾つかの実施形態における風あて制御を示す図である。
図11に示されるように、風あて制御では、サーモパイルセンサ30により行われる人体検知の結果(人体検知結果)を用いた制御を行う。
【0060】
風あて制御は、ユーザが空調風にあたるように設定するものであり、ユーザがドラフト感を感じるように風向および風量を調整する制御を行う。よって、エアウィング17はOFFとしルーバ方向位置に回動せず稼働させない。また風量はリモコンによる設定風量よりも上げる。
【0061】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合は、室内に人体が検知されず風あての対象が不在であることから室内全体に空調風を行き渡らせるため、全方向へのスイングとする。
【0062】
人体検知結果がLower位置にある場合は、Lower位置にいる人体を風あての対象とし、人体検知方向すなわちLower位置およびその付近へのスイングとする。
【0063】
人体検知結果がUpper位置にある場合は、Upper位置にいる人体を風あての対象とし、人体検知方向すなわちUpper位置およびその付近へのスイングとする。
【0064】
人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、全ての人体を風あての対象とし、室内全体に空調風を行き渡らせるため、全方向へのスイングとする。
【0065】
図12は本開示の幾つかの実施形態における風よけ制御を示す図である。
図12に示されるように、風よけ制御では、サーモパイルセンサ30により行われる人体検知の結果(人体検知結果)を用いた制御を行う。
【0066】
風よけ制御は、ユーザが空調風にあたらないように設定するものであり、ユーザがドラフト感を感じないように風向および風量を調整する制御を行う。よって、エアウィング17はONとしルーバ方向位置に回動されて稼働させる。風量はリモコンによる設定風量とする。
【0067】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合、人体検知結果がLower位置にある場合、人体検知結果がUpper位置にある場合、及び、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合のいずれの場合においても、人体に風があたることの無いように、水平方向に固定される。
【0068】
図13は本開示の幾つかの実施形態におけるおまかせ気流制御を示す図である。
図13に示されるように、おまかせ気流制御では、サーモパイルセンサ30により行われる人体検知の結果(人体検知結果)と、室内温度条件とを用いた制御を行う。
【0069】
おまかせ気流制御は、空気調和機1の制御装置50が自動で気流制御をおこなう制御である。よって、室内温度条件を用いてエアウィング17及び風量の制御を行い、室内温度条件および人体検知結果を用いてルーバ15の制御を行う。本実施形態では、室内温度条件に応じて、次の(1)から(5)の5の制御に分けて説明する。
【0070】
(1)室内温度条件が「SP+B<THIかつSP+B<Tb_ave」の場合
(2)室内温度条件が「SP+A<THI≦SP+BかつSP+A<Tb_ave≦SP+B」の場合
(3)室内温度条件が「SP+A<THIかつTb_ave≦SP+A」の場合
(4)室内温度条件が「THI≦SP+AかつSP+A<Tb_ave」の場合
(5)室内温度条件が「THI≦SP+AかつTb_ave≦SP+A」の場合
【0071】
(1)室内温度条件が「SP+B<THIかつSP+B<Tb_ave」の場合
この場合、エアウィング17はOFF、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動せず稼働しない。風量は、風あて制御と同様にリモコンによる設定風量よりも上げる。
【0072】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合は、室内に人体が検知されず風あての対象が不在であることから室内全体に空調風を行き渡らせるため、全方向へのスイングとする。
【0073】
ルーバ15は、人体検知結果がLower位置にある場合、人体検知結果がUpper位置にある場合、及び、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、それぞれにおいて人体が検知されなかった方向、人体非検知方向へのスイングとする。ここで、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、主にUpper位置へのスイングを行うものとする。
【0074】
このように空間も床面も温度が設定温度を大きく超え暑い場合は、風量を上げて人体がない方向へルーバ15をスイングさせる。
【0075】
(2)室内温度条件が「SP+A<THI≦SP+BかつSP+A<Tb_ave≦SP+B」の場合
この場合、エアウィング17はOFF、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動せず稼働しない。風量は、風あて制御と同様にリモコンによる設定風量よりも上げる。
【0076】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合は、室内に人体が検知されず風あての対象が不在であることから室内全体に空調風を行き渡らせるため、全方向へのスイングとする。
【0077】
ルーバ15は、人体検知結果がLower位置にある場合、人体検知結果がUpper位置にある場合、及び、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、それぞれにおいて人体が検知されなかった方向、人体非検知方向へのスイングとする。ここで、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、主にUpper位置へのスイングを行うものとする。また(2)の制御によるスイング範囲は、(1)の制御によるスイング範囲よりも狭い範囲のスイングを行う。
【0078】
このように空間も床面も温度が設定温度を超え暑い場合は、風量をあげて人体がない方向へスイングを行うが、(1)の場合よりもスイング範囲を狭める。
【0079】
(3)室内温度条件が「SP+A<THIかつTb_ave≦SP+A」の場合
この場合、エアウィング17はON、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動し稼働する。風量は、風よけ制御と同様にリモコンによる設定風量とする。
【0080】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合、人体検知結果がLower位置にある場合、人体検知結果がUpper位置にある場合、及び、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合のいずれの場合においても、人体に風があたることの無いように、水平方向に固定される。
【0081】
このように空間は設定温度を超えており暑いが床面は設定温度に近い温度であり冷えている場合は、水平方向に風向きを固定する。
【0082】
(4)室内温度条件が「THI≦SP+AかつSP+A<Tb_ave」の場合
この場合、エアウィング17はOFF、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動せず稼働しない。風量は、風よけ制御と同様にリモコンによる設定風量とする。
【0083】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合は、室内に人体が検知されず風あての対象が不在であることから室内全体に空調風を行き渡らせるため、全方向へのスイングとする。
【0084】
ルーバ15は、人体検知結果がLower位置にある場合、人体検知結果がUpper位置にある場合、及び、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、それぞれにおいて人体が検知されなかった方向、人体非検知方向へのスイングとする。ここで、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合は、主にUpper位置へのスイングを行うものとする。また(2)の制御によるスイング範囲は、(1)の制御によるスイング範囲よりも狭い範囲のスイングを行う。
【0085】
このように空間は設定温度に近い温度であり冷えているが床面は設定温度を超えており暑い場合は、風量はそのままで人体がない方向へルーバ15をスイングさせる。
【0086】
(5)室内温度条件が「THI≦SP+AかつTb_ave≦SP+A」の場合
この場合、エアウィング17はON、すなわちエアウィング17はルーバ方向位置に回動し稼働する。風量は、風よけ制御と同様にリモコンによる設定風量とする。
【0087】
ルーバ15は、人体検知結果が無しの場合、人体検知結果がLower位置にある場合、人体検知結果がUpper位置にある場合、及び、人体検知結果がLower位置およびUpper位置の両方にある場合のいずれの場合においても、人体に風があたることの無いように、水平方向に固定される。
【0088】
このように空間も床面も設定温度に近い温度であり冷えている場合は、水平方向に風向きを固定する。
【0089】
上記の室内温度条件は、空気調和機1が冷房、除湿または送風を行う場合の条件である。暖房を行う場合は、判定条件の温度SP+A、SP+BをそれぞれSP-A、SP-Bとし、不等号の向きを逆にした条件を用いることで適用可能である。
【0090】
図14及び
図15は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置のおまかせ気流制御の制御フローを示す図である。
図14のステップS101において、制御装置50の温度設定部51が設定温度SPを、床面温度検知部52が床面温度Tb_aveを、吸込み温度検知部53が吸込温度THIをそれぞれ取得する。
【0091】
判定部54は、吸込温度THIの判定を行う(S102)。THI>SP+Bが成り立つ場合は、ステップS103に遷移する。SP+A<THI≦SP+Bが成り立つ場合は、ステップS105に遷移する。THI≦SP+Aが成り立つ場合は、
図15のA、すなわち
図15のステップS108に遷移する。ここで、A<Bであるとする。
【0092】
吸込温度THIの判定においてTHI>SP+Bが成り立つ場合は、床面温度Tb_aveがSP+Bを上回るか否かを判定する(S103)。床面温度Tb_aveがSP+Bを上回ると判定されると、ステップS104に遷移し、
図13の(1)の制御が行われる。
【0093】
吸込温度THIの判定においてSP+A<THI≦SP+Bが成り立つ場合は、床面温度Tb_aveの判定を行う(S105)。SP+A<Tb_ave≦SP+Bが成り立つ場合は、ステップS106に遷移する。Tb_ave≦SP+Aが成り立つ場合は、ステップS107に遷移する。
【0094】
ステップS106に遷移すると、
図13の(2)の制御が行われる。一方、ステップS107に遷移すると、
図13の(3)の制御が行われる。
【0095】
吸込温度THIの判定においてTHI≦SP+Aが成り立つ場合は、
図15のAに遷移し、床面温度Tb_aveの判定を行う(
図15のS108)。SP+A<Tb_ave≦SP+Bが成り立つ場合は、ステップS109に遷移する。Tb_ave≦SP+Aが成り立つ場合は、ステップS110に遷移する。
【0096】
ステップS109に遷移すると、
図13の(4)の制御が行われる。一方、ステップS110に遷移すると、
図13の(5)の制御が行われる。
【0097】
〈付記〉
以上説明した実施形態に記載の制御装置、空気調和機、制御方法および制御プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0098】
本開示の第1態様の制御装置(50)は、パネル本体(3)に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口(14)と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバ(15)と、前記パネル本体の前記吹出し口に設けられ、前記パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部(18)を有するエアウィング(17)と、前記エアウィングを前記収納位置と前記ルーバ方向位置との間において回動する回動機構と、空調される室内の設定温度を設定する設定部と、を備える空気調和機(1)の制御装置であって、前記室内の床面温度を検知する床面温度検知部(52)と、前記床面温度と前記設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定部(54)と、を備え、前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記エアウィングの動作を制御する。
【0099】
吹出し口から吹出される空調風のルーバ方向への吹出しを遮るエアウィングの動作については、ユーザが設定する必要があるところ、室温状態の判定結果に基づきエアウィングの動作を制御することから、エアウィングの有効/無効をユーザがリモコンなどから設定操作を行う必要が無く、ユーザの利便性が向上する。
【0100】
本開示の第2態様の制御装置は、前記第1態様において、前記エアウィングは、前記床面温度と前記設定温度との差が第1閾値よりも小さい場合に、前記ルーバ方向位置に回動されるとしてもよい。
【0101】
空気調和機が設置された空間の床面温度と設定温度との差が小さい場合、すなわち床面温度が設定温度に近い温度である場合は、エアウィングをルーバ方向位置に回動して空調風のルーバ方向への吹出しを遮ることから、ドラフト感を低減または解消することができる。
【0102】
本開示の第3態様の制御装置は、前記第1態様または前記第2態様において、前記空気調和機の吸込温度を検知する吸込み温度検知部(53)を備え、前記判定部は、前記床面温度と前記設定温度との差、及び、前記吸込み温度と前記設定温度との差に基づき、前記室温状態の判定を行うとしてもよい。
【0103】
床面温度と設定温度との差に加えて、吸込み温度と設定温度との差に基づき判定を行うため、様々な室温状態に基づき判定を行うことができる。
【0104】
本開示の第4態様の制御装置は、前記第1態様から前記第3態様のいずれかにおいて、前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記ルーバのスイング方向を制御するとしてもよい。
【0105】
エアウィングに加えて、ルーバ動作による空調風の吹出し方向を制御することができる。ルーバ動作とエアウィングの動作との組合せにより、様々な室温状態への対応が可能である。
【0106】
本開示の第5態様の制御装置は、前記第4態様において、前記床面温度検知部が検知した前記床面温度に基づき人体の有無および位置を推定し、前記人体の有無および位置に基づき前記ルーバのスイング方向を制御するとしてもよい。
【0107】
人体の有無および位置に基づきルーバのスイング方向を制御することから、人体へのドラフト感の有無を考慮に入れた空調風の制御を行うことができる。
【0108】
本開示の第6態様の制御装置は、前記第4態様または前記第5態様において、前記判定部による前記室温状態の判定結果に基づき、前記空調風の風量を制御するとしてもよい。
【0109】
エアウィング、ルーバに加えて、空調風の風量を制御することができる。ルーバ動作、エアウィング動作、風量の組合せにより、様々な室温状態への対応が可能である。
【0110】
本開示の第7態様の空気調和機は、前記第1態様から前記第6態様のいずれかの制御装置と、パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、前記パネル本体の前記吹出し口の外側に配設され、前記パネル本体に対して面一となる収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるとともに、ルーバ方向への吹出しを遮るウィング部を有するエアウィングと、設定温度を設定する設定部と、を備える。
【0111】
本開示の第8態様の空気調和機は、前記第7態様において、前記パネル本体には、複数の前記吹出し口が設けられ、それぞれの吹出し口に対応して前記エアウィングが配設された構成とされているとしてもよい。
【0112】
本開示の第9態様の制御方法は、パネル本体に設けられた下向きに開口する空調風の吹出し口と、前記吹出し口に回動自在に設けられ、前記空調風の吹出し方向を調整するルーバと、前記パネル本体の前記吹出し口に設けられ、前記パネル本体に収納される収納位置と、ルーバ方向に吹出される前記空調風と対向するルーバ方向位置との間で回動自在とされるウィング部を有するエアウィングと、空調される室内の設定温度を設定する設定部と、を備える空気調和機の制御方法であって、前記室内の床面温度を検知する床面温度検知工程と、前記床面温度と前記設定温度との差に基づき、室温状態の判定を行う判定工程と、前記判定工程による前記室温状態の判定結果に基づき、前記エアウィングの動作を制御する制御工程と、をコンピュータに実行させる。
【0113】
本開示の第10態様の制御プログラムは、前記第9態様に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0114】
1 空気調和機
3 パネル本体
14 吹出し口
15 ルーバ
17 エアウィング
18 ウィング部
19 アーム部
30 サーモパイルセンサ(センサ)
50 制御装置
51 温度設定部
52 床面温度検知部
53 吸込み温度検知部
54 判定部