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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166839
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】搬送ロボット用移動ライン検査方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241122BHJP
【FI】
G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083219
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(72)【発明者】
【氏名】沖田 欣文
(72)【発明者】
【氏名】盛合 湧志
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD15
5H301EE07
5H301EE12
5H301GG01
5H301GG09
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】搬送ロボットの走行不良による作業トラブルを事前に防ぐこと。
【解決手段】搬送ロボット用移動ライン検査方法は、コンピュータが作業現場に形成され搬送ロボットが移動する経路をガイドする少なくとも一つの移動ラインを含む画像を、前記搬送用ロボットに設けられた撮像部に撮像させ、撮像された前記画像が所定の条件を満たすときに警告情報を生成することを含む。上記搬送ロボット用移動ライン検査方法において、前記所定の条件は、前記画像に含まれる移動ラインに対応する面積の割合が閾値を下回ることであってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
作業現場に形成され搬送ロボットの移動をガイドする少なくとも一つの移動ラインを含む画像を、前記搬送ロボットに設けられた撮像部に撮像させ、
撮像された前記画像が所定の条件を満たすときに警告情報を生成することを含む、
搬送ロボット用移動ライン検査方法。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記画像に含まれる移動ラインに対応する面積の割合が閾値を下回ることである、
請求項1に記載の搬送ロボット用移動ライン検査方法。
【請求項3】
前記面積を算出するときに、前記画像のうちHSV値、RGB値、HSB値、YCBCR値、YUV値のいずれか一つによりあらかじめ設定された第1色に対応する部分を計測する、
請求項2に記載の搬送ロボット用移動ライン検査方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの移動ラインは、搬送用ロボットが移動する第1方向に伸びる第1移動ラインと、前記第1方向と交差する第2方向に伸びる第2移動ラインを含み、
前記第1移動ラインを優先的に検出する、
請求項1に記載の搬送ロボット用移動ライン検査方法。
【請求項5】
前記第1移動ラインと前記第2移動ラインが交差する部分において前記第2移動ラインが形成されているとき、
前記第1移動ライン、および前記第2移動ラインのうち前記交差する部分の合計面積を算出する、
請求項4に記載の搬送ロボット用移動ライン検査方法。
【請求項6】
前記第1移動ラインは、第1色を有し、
前記第2移動ラインは、前記第1色と異なる第2色を有する、
請求項5に記載の搬送ロボット用移動ライン検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ロボット用移動ライン検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)の技術開発が進み、さまざまな場面でAGVが利用され始めている。例えば、商品が保管された倉庫でAGVを利用すれば、多種多様な商品を自動で搬送することが可能となる。そのため、作業効率が向上し、コストを削減することができる。このようなAGVとして、特許文献1にはAGVが台車の下に潜り込み、AGVが台車を持ち上げて牽引する技術が開示されている。
【0003】
一方、自動搬送車が台車を持ち上げるためにはパワーを必要とするため、自動搬送車が大型化する。特に、建設現場の資材は重量が大きなものが多く、このような資材を積載した台車を持ち上げるためには、さらなるパワーを必要とし、自動搬送車はさらに大型化することになる。そのため、台車のキャスターを利用し、台車の下方で台車と連結し、台車を牽引することができるライントレース機能および自動追従機能を有する小型の自動搬送ロボットの開発が進められている。ライントレースの場合、作業現場に搬送ロボット専用の移動ライン(導線)を形成し、自動搬送ロボットが移動ラインを認識して目的地まで到達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-59460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、長期にわたり移動ラインを使用すると、移動ラインの色が劣化する、または移動ラインが擦り切れることにより、移動ラインが消失する場合がある。移動ラインが消失してしまうと、ラインを正常に認識(トレース)が出来なくなり走行不能となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、搬送ロボットの走行不良による作業トラブルを事前に防ぐことを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータが、作業現場に形成(一例として塗布形成)され搬送ロボットの移動をガイドする少なくとも一つの移動ラインを含む画像を、前記搬送ロボットに設けられた撮像部に撮像させ、撮像された前記画像が所定の条件を満たすときに警告情報を生成することを含む、搬送ロボット用移動ライン検査方法が提供される。
【0008】
上記搬送ロボット用移動ライン検査方法において、前記所定の条件は、前記画像に含まれる移動ラインに対応する面積の割合が閾値を下回ることであってもよい。
【0009】
上記搬送ロボット用移動ライン検査方法において、前記面積を算出するときに、前記画像のうちHSV値、RGB値、HSB値、YCBCR値、YUV値のいずれか一つによりあらかじめ設定された第1色に対応する部分を計測してもよい。
【0010】
上記搬送ロボット用移動ライン検査方法において、前記少なくとも一つの移動ラインは、搬送用ロボットが移動する第1方向に伸びる第1移動ラインと、前記第1方向と交差する第2方向に伸びる第2移動ラインを含み、前記第1移動ラインを優先的に検出してもよい。
【0011】
上記搬送ロボット用移動ライン検査方法において、前記第1移動ラインと前記第2移動ラインが交差する部分において前記第2移動ラインが形成されているとき、前記第1移動ライン、および前記第2移動ラインのうち前記交差する部分の合計面積を算出してもよい。
【0012】
上記搬送ロボット用移動ライン検査方法において、前記第1移動ラインは、第1色を有し、前記第2移動ラインは、前記第1色と異なる第2色を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態を用いることにより、搬送ロボットの走行不良による作業トラブルを事前に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る移動ライン評価システムの模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る搬送ロボットの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る評価装置の制御部の機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る移動ライン評価方法のフローチャートである。
図5】移動ライン評価を行う建設現場の模式図である。
図6】撮像された画像データの模式図である。
図7】撮像された画像データの模式図である。
図8】撮像された画像データの一例である。
図9】本発明の一実施形態に係る移動ライン評価方法のフローチャートである。
図10A】搬送ロボットによる移動ライン撮像時の写真である。
図10B】撮像された画像データの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易
に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0017】
本明細書および図面において、同一又は類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字又は小文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、一つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0018】
<第1実施形態>
(1-1.移動ライン評価システムの構成)
図1に、移動ライン評価システム10の構成を示す。図1に示すように、移動ライン評価システム10は、撮像装置(搬送ロボット100)および評価装置200を含む。
【0019】
撮像装置は、移動ラインを随時撮像する。本実施形態では、撮像装置として搬送ロボット100が用いられる。搬送ロボット100は、作業場面において台車と連結し、指示された所定の場所まで台車を牽引しながら自動走行することができるロボットをいう。この場合のロボットとして、例えば車両が挙げられる。そのため、搬送ロボット100は、自動搬送車ともいうことができる。
【0020】
評価装置200は、撮像された画像データをもとに移動ラインの状態を評価し、ユーザに評価結果を伝える。評価装置200は、作業者用の通信端末を含んでもよい。各構成について、以下に詳細に説明する。
【0021】
(1-2.搬送ロボット100の構成)
図1および図2を用いて、搬送ロボット100について説明する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る搬送ロボット100の模式図である。具体的には、図2は、搬送ロボット100の上面側から眺めた搬送ロボット100の斜視図である。
【0023】
図1および図2に示すように、搬送ロボット100は、ロボット本体部110、走行部120、および撮像部130を含む。ロボット本体部110は、2つの走行部120の間に位置している。
【0024】
ロボット本体部110は、制御部111、記憶部113、通信部115、および電源部117を有する。ロボット本体部110は、評価装置200からの指示を通信部115で受信する。通信部115には、無線モジュールなどの通信機器が用いられる。受信した指示情報は、記憶部113に記憶することができる。
【0025】
記憶部113には、SSD(SolidStateDrive)の半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、記憶媒体である記憶可能な素子が用いられる。記憶部113は、撮像したデータを記憶する。
【0026】
制御部111は、コンピュータの一つであって、CPU(CentralProce
ssingUnit)が用いられる。制御部111は、評価装置200からの指示情報に基づいて、走行部120および撮像部130を制御することができる。
【0027】
搬送ロボット100は、電源部117としてバッテリーを含む。具体的には、電源部117には、リチウムイオンバッテリが用いられる。また、ロボット本体部110には、走行部120を駆動するためのモータ、ブレーキなどが適宜設けられてもよい。
【0028】
走行部120は、ロボット本体部110の側方に設けられる。走行部120は、ロボット本体部110を走行させることができる。この例では、走行部120にクローラーが用いられる。本実施形態では、2つの走行部120を同じ方向に回転させることで、搬送ロボット100は、前進または後退することができる。また、2つの走行部120を異なる方向に回転させることで、搬送ロボット100は、その位置で回転(旋回)することができる。
【0029】
撮像部130は、搬送ロボット100の先頭部に下前方に向かって設けられる。撮像部130には、CCD(Charge Coupled Device)方式のカメラまたはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)方式のカメラが用いられる。
【0030】
なお、本実施形態において、搬送ロボット100は、作業者の操作により移動されてもよい。この場合、搬送ロボット100にユーザが搬送ロボット100の移動をガイドするための持ち手が設けられてもよい。また、評価装置は、持ち手の一部に固定されてもよい。
【0031】
(1-3.評価装置200の構成)
図1に戻って説明する。評価装置200は、制御部210、記憶部220、通信部230、操作部240、表示部250、および出力部260を備える。
【0032】
制御部210は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を用いて、移動ライン評価のソフトウェア(プログラム)に規定された命令に基づく処理を制御する。また、制御部210からの命令によって、評価プログラムを実行するためのユーザインターフェースが表示部250に提供される場合がある。
【0033】
記憶部220には、SSDの半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、記憶媒体である記憶可能な素子が用いられる。記憶部220は、評価用プログラムで用いられる位置情報、地図情報、搬送ロボット100が自動で走行する道順等を記憶するデータベースとしての機能を有する。
【0034】
通信部230は、送受信機を有し、通信網を介して搬送ロボット100と自動搬送に関する情報の通信を行う。通信部230と、搬送ロボット100との通信は、無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、インターネット等の無線通信を用いてなされる。
【0035】
操作部240は、コントローラー、ボタン、またはスイッチを含む。操作部240は、上下左右への移動、押圧、または回転などの動作がなされることにより、その動作に基づく情報が制御部210に送信される。なお、タッチセンサを有する表示装置(タッチパネル)である場合、表示部250と操作部240とが、同じ場所に配置されてもよい。
【0036】
表示部250は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどの表示デバイスであって、制御部210から入力される信号により表示内容が制御される。
【0037】
出力部260は、スピーカーまたは照明装置などを含む。出力部260は、制御部210から入力される信号に基づき情報を外部に出力する。
【0038】
(1-4.制御部210の機能ブロック図)
次に、制御部210の機能構成について説明する。図3は、制御部210の機能ブロック図である。制御部210は、撮像制御部2101、取得部2103、面積算出部2105、判定部2107、および異常処理部2109を含む。
【0039】
撮像制御部2101は、撮像装置(搬送ロボット100)による撮像の開始、終了などの撮像を制御する機能を有する。
【0040】
取得部2103は、撮像部130で撮像された画像データ、記憶部220に記憶された色情報(例えばHSV値)、閾値情報など、各種情報を取得する。
【0041】
面積算出部2105は、画像データのうちあらかじめ設定された色に対応する部分を計測して、面積を算出する。
【0042】
判定部2107は、算出された面積と、あらかじめ設定された閾値とを比較し、所定の条件(この場合、閾値未満である)を満たすかどうかを判定する。
【0043】
異常処理部2109は、算出された面積が所定の条件(あらかじめ設定された閾値未満である)を満たすと異常と判断し、ロボットの走行停止、警告情報の生成、警告情報の出力部260による出力指示など異常処理を行う機能を有する。
【0044】
(1-5.移動ラインの評価方法)
図4は、本実施形態における搬送ロボット用移動ラインの評価方法を示すフローチャートである。図5は、本実施形態における移動ライン評価を行う建設現場の模式図である。図5に示すように、建設現場の建造物50には、作業員または機械が作業を行う作業フロア51が設けられている。作業フロア51の床面51aには、資材53(この例では、棒状資材53-1、ブロック状資材53-2)が配置されるとともに、移動ライン55が設けられている。移動ライン55は、塗料などを用いて床面51aに塗布形成されている。図5に示すように、作業フロア51の床面51aには、複数の移動ライン55が交差して設けられている。移動ライン55-1は、搬送ロボット100の進行方向D1(第1方向ともいう)に対応する。移動ライン55-2は、進行方向D1と交差する方向(第2方向ともいう)。この例では、移動ライン55-1と、移動ライン55-2は直交するが、必ずしも直交に限定されない。移動ライン55の評価は、現場作業における搬送ロボット100の自動搬送が行われる前に実施される。以下に、本実施形態における移動ラインの評価方法について詳細に説明する。
【0045】
まず、図4および図5に示すように、搬送ロボット100を移動ライン55に沿って移動させる。この例では、作業者が搬送ロボット100とともに移動するが、搬送ロボット100単独で行ってもよい。評価装置200は、搬送ロボット100の一部(持ち手)に取り付けられてもよい。評価装置200は、搬送ロボット100に移動ラインの撮像を指示する(ステップS100)。搬送ロボット100は、評価装置200からの指示に基づき、搬送ロボット100の撮像部130は、移動ライン55を含む床面51aの撮像処理を行う。撮像された画像データは、評価装置200に送信される。評価装置200は、画像データを取得する(ステップS101)。
【0046】
次に、評価装置200は、画像データの分析を行う(ステップS103)。このとき、画像データに含まれるドットうちHSV値によりあらかじめ設定された色(例えば赤色)に対応する部分(画素)を検出し、対象色の画素(またはドット)数を計測して、対象色の面積を算出する。HSV値は、人間が色を知覚する方法に近い方法で表現された色情報である。さらに、画像データ全体の面積(ドット数)に対する対象色の面積(ドット数)から面積割合を算出する。
【0047】
次に、対象色の面積の割合があらかじめ設定された閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS105)。図6は、移動ライン55が正常に存在している場合の模式図である。図6の場合、対象色の面積割合は、閾値以上である。対象色の面積の割合が閾値以上である場合(ステップS105;Yes)、対象色の移動ラインがある(認識可能)と判定する(ステップS107)。このとき、評価処理の停止入力に基づく指示がなければ(ステップS109;No)、そのまま評価処理を継続するためステップS101に戻る。
【0048】
図7は、移動ライン55が消失している場合の模式図である。図7の場合、対象色の面積割合は、閾値未満であることを意味する。対象色の面積の割合が閾値未満である場合(ステップS105;No)、対象色の移動ラインが消失したと判定する(ステップS111)。このとき、評価装置200は、異常処理を行う。具体的には、評価装置200は、搬送ロボットに対して撮像停止を指示する(停止指示情報を送信する)。また、評価装置200は、警告情報を生成する。生成された警告情報は、評価装置200の表示部250に表示される、または出力部260から出力されてもよい。図8は、実際に撮像された移動ラインを含む画像データの一例である。出力された警告情報から、作業者は、移動ライン55が消失した部分に対して補修作業を行うことができる。
【0049】
本実施形態の場合、搬送ロボット100が自動搬送する前に移動ラインの状態を判別することにより、走行不良による作業中断等のトラブルを事前に防ぐことができる。また、本実施形態では、搬送ロボット100に設けられた撮像部130を用いて撮像された情報を用いて評価を行うことにより、搬送ロボット100が自動搬送するときに認識する色情報と同じ情報で判断することになる。これにより、移動ラインに対する認識のずれが生汁ことを防止することができる。また、本実施形態では、搬送ロボット100の撮像部により撮像された画像データを用いて、移動ライン55の状態を判断する。これにより、光の加減により目視では判断しづらい色の変化(劣化)も正確に判断することができる。したがって、本実施形態を用いることにより、搬送ロボットの走行不良による作業トラブルを事前に防ぐことができる。
【0050】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる搬送ロボット用移動ライン評価方法について説明する。具体的には、2つの移動ラインが交差する部分について説明する。
【0051】
図9は、本実施形態における搬送ロボット用移動ラインの評価方法を示すフローチャートである。図10Aは、2つの移動ラインが交差する部分の搬送ロボットによる移動ライン撮像時の写真である。図10Bは、交差する部分を撮像した画像データである。
【0052】
図10Bに示すように、交差する部分を撮像した場合、移動ライン55-1と、移動ライン55-2とが交差する場合、移動ライン55-2が移動ラインの上に形成されている場合ある。本実施形態では、図9に示すように、画像データを取得(ステップS101)した後、2つの移動ラインが交差しているかを判定する(ステップS102)。2つのラインが交差していると判定した場合(ステップS102;Yes)、評価装置200は、移動ライン55-1に対応する色の面積とともに、移動ライン55-2のうち移動ライン55-1(対応色)と連続して存在する部分(非対応色)の面積を合算した面積(合算面積)を算出する(ステップS104)。以降の処理は、第1実施形態の図4の処理と同様である。
【0053】
本実施形態を用いることにより、交差する部分においても、評価する対象色の移動ラインの変化(劣化)を正確に評価することができる。したがって、本実施形態を用いることにより、搬送ロボットの走行不良による作業トラブルを事前に防ぐことができる。
【0054】
なお、本実施形態では、合算面積を算出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、交差する部分より前の部分の移動ライン55-1の面積の割合で判定してもよい。または、移動ライン55-1のうち交差する部分の奥側の面積の割合で判定してもよい。
【0055】
(変形例)
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0056】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0057】
本発明の第1実施形態において、評価装置200には、通信端末が用いられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。評価装置には、サーバが用いられてもよい。この場合、作業者の通信端末に警告情報を送信してもよい。
【0058】
本発明の第1実施形態において、HSV値を用いて対象色の面積を算出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、RGB値、HSB値、YCBCR値、YUV値のいずれか一つを用いて対象色の面積を算出してもよい。
【0059】
警告情報は、評価装置200以外の外部装置に送信され、外部装置から出力されてもよい。
【0060】
本発明の第1実施形態において、評価装置から撮像指示を搬送ロボット100に送る例を示したが、本発明はこれに限定されない。搬送ロボット100の制御部111の指示に基づき、撮像処理を行ってもよい。
【0061】
また、本発明の第1実施形態において、移動ライン55は、塗料などを用いて床面51aに塗布形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、移動ライン55は、テープを用いて形成されてもよい。
【0062】
また、上記では、搬送ロボット100を含む移動ライン評価システムを説明したが、移動ライン評価システムは、搬送ロボット100に限られず、あらゆる自動搬送車に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・移動ライン評価システム,50・・・建造物,51・・・作業フロア,51a・・・床面,53・・・資材,53-1・・・棒状資材,53-2・・・ブロック状資材,55・・・移動ライン,55-1・・・移動ライン,55-2・・・移動ライン,100・・・搬送ロボット,110・・・ロボット本体部,111・・・制御部,113・・・記憶部,115・・・通信部,117・・・電源部,120・・・走行部,130・・・撮像部,200・・・評価装置,210・・・制御部,220・・・記憶部,230・・・通信部,240・・・操作部,250・・・表示部,260・・・出力部,2101・・・撮像制御部,2103・・・取得部,2105・・・面積算出部,2107・・・判定部,2109・・・異常処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B