(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166840
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/5258 20140101AFI20241122BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20241122BHJP
【FI】
A63F13/5258
A63F13/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083220
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】509197380
【氏名又は名称】株式会社gumi
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】松原 康敬
(57)【要約】
【課題】キャラクターのサイズの違いを反映して仮想空間を撮像した画面を生成する。
【解決手段】ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するスケール情報取得部131と、キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部12と、記憶部12が記憶する基準パラメータ情報と、スケール情報取得部131が取得するスケール情報と、に基づいて仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するパラメータ決定部132と、パラメータ決定部132が決定したカメラパラメータに基づいて、仮想カメラから観察されるゲーム空間を表示する画面を生成する画面生成部133と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するスケール情報取得部と、
キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報取得部が取得する前記スケール情報と、に基づいて前記仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するパラメータ決定部と、
前記パラメータ決定部が決定したカメラパラメータに基づいて、前記仮想カメラから観察される前記ゲーム空間を表示する画面を生成する画面生成部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記ゲーム空間において観察の対象とする点である観察対象点の基準を示す基準観察点を含む前記基準パラメータ情報を記憶し、
前記パラメータ決定部は、該基準観察点と、前記スケール情報と、に基づいて観察対象点を含む前記カメラパラメータを決定し、
前記画面生成部は、前記パラメータ決定部が決定した前記カメラパラメータにしたがって動く前記仮想カメラから観察される前記画面において、決定した観察対象点が前記画面の中心となるように前記画面を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、複数のキャラクターそれぞれが共通して行う動作である共通動作と、該共通動作をする際の基準観察点と、を関連付けた前記基準パラメータ情報を記憶し、
前記情報処理装置は、キャラクターの共通動作の指示を受付ける受付部をさらに有し、
前記パラメータ決定部は、前記受付部が受付けた共通動作に前記基準パラメータ情報において対応する基準観察点と、前記受付部が受付けた共通動作をするキャラクターの前記スケール情報と、に基づいて、前記ゲーム空間における観察対象点を含む前記カメラパラメータを決定する、
を有する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ゲーム空間において仮想カメラの視点をさらに含む前記基準パラメータ情報を記憶し、
前記パラメータ決定部は、前記基準パラメータ情報が示す視点と、前記基準パラメータ情報に含まれる基準観察点と、前記スケール情報と、に基づいて、決定した観察対象点が前記画面の中心となるように仮想カメラの向きをさらに含むカメラパラメータを決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記パラメータ決定部は、前記ゲームにおける操作対象のキャラクターである第1のキャラクターのスケール情報と、第1のキャラクターとは異なるキャラクターである第2のキャラクターのスケール情報と、前記受付部が受付けた共通動作に前記基準パラメータ情報において対応する基準観察点と、に基づいて前記ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ゲーム空間に存在するオブジェクトの大きさを示すオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得部をさらに有し、
前記パラメータ決定部は、前記オブジェクト情報にさらに基づいて、前記ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記ゲームにおける所定の場面において基準となる観察対象点の位置である基準観察点を含む前記基準パラメータ情報を記憶し、
前記情報処理装置は、前記所定の場面において表示するキャラクターを決定する決定部をさらに有し、
前記パラメータ決定部は、前記基準観察点と、前記決定部が決定したキャラクターの前記スケール情報と、に基づいて前記ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、複数のキャラクターが存在するゲーム空間において基準となる画角を示す前記基準パラメータ情報を記憶し、
前記パラメータ決定部は、前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報と、に基づいて、画面において表示されるキャラクターが所定の範囲に含まれるよう前記ゲーム空間における画角を決定し、
前記画面生成部は、前記パラメータ決定部が決定した画角になるように、前記ゲーム空間を表示する画面を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
カメラパラメータを調整するための操作を受付ける受付部をさらに有し、
前記パラメータ決定部は、
(1)前記受付部がパラメータを調整する操作を受付けた場合、前記受付部が受付けた操作にさらに基づいて、前記ゲーム空間におけるパラメータの補正値を決定し、決定した前記補正値を操作対象のキャラクターと関連付けて前記記憶部に記憶し、
(2)前記記憶部が操作対象のキャラクターに関連付けられた前記補正値を記憶している場合、前記記憶部が記憶する前記基準パラメータ情報と、前記記憶部が記憶する操作対象のキャラクターに関連付けられた前記補正値に基づいて、カメラワークのパラメータを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するステップと、
キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部を参照し、前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報と、に基づいて前記仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するステップと、
決定されたカメラパラメータに基づいて、前記仮想カメラから観察される前記ゲーム空間を表示する画面を生成するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するステップと、
キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部を参照し、前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報と、に基づいて前記仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するステップと、
決定されたカメラパラメータに基づいて、前記仮想カメラから観察される前記ゲーム空間を表示する画面を生成するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間に配置された仮想カメラを対象オブジェクトに追従させ、仮想カメラが撮影した画像データを生成するプログラムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術において撮影の候補のキャラクターが複数存在する場合であって、複数のキャラクターそれぞれのサイズが異なる場合に、キャラクターごとにカメラの動きを規定するパラメータを適切に設定しなければ、キャラクターを画面内に収めることができなかったり、不自然な印象をユーザに与えたりすることが問題となる。他方、キャラクターごとに異なるパラメータを設定する場合、設定対象のパラメータが膨大となり開発工数が増大するという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、キャラクターのサイズの違いを反映してゲーム空間を撮像した画面を生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するスケール情報取得部と、キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報取得部が取得する前記スケール情報と、に基づいて前記仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するパラメータ決定部と、前記パラメータ決定部が決定したカメラパラメータに基づいて、前記仮想カメラから観察される前記ゲーム空間を表示する画面を生成する画面生成部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、前記ゲーム空間において観察の対象とする点である観察対象点の基準を示す基準観察点を含む前記基準パラメータ情報を記憶し、前記パラメータ決定部は、該基準観察点と、前記スケール情報と、に基づいて観察対象点を含む前記カメラパラメータを決定し、前記画面生成部は、前記パラメータ決定部が決定した前記カメラパラメータにしたがって動く前記仮想カメラから観察される前記画面において、決定した観察対象点が前記画面の中心となるように前記画面を生成してもよい。
【0008】
前記記憶部は、複数のキャラクターそれぞれが共通して行う動作である共通動作と、該共通動作をする際の基準観察点と、を関連付けた前記基準パラメータ情報を記憶し、前記情報処理装置は、キャラクターの共通動作の指示を受付ける受付部をさらに有し、前記パラメータ決定部は、前記受付部が受付けた共通動作に前記基準パラメータ情報において対応する基準観察点と、前記受付部が受付けた共通動作をするキャラクターの前記スケール情報と、に基づいて、前記ゲーム空間における観察対象点を含む前記カメラパラメータを決定してもよい。
【0009】
前記記憶部は、前記ゲーム空間において仮想カメラの視点をさらに含む前記基準パラメータ情報を記憶し、前記パラメータ決定部は、前記基準パラメータ情報が示す視点と、前記基準パラメータ情報に含まれる基準観察点と、前記スケール情報と、に基づいて、決定した観察対象点が前記画面の中心となるように仮想カメラの向きをさらに含むカメラパラメータを決定してもよい。
【0010】
前記パラメータ決定部は、前記ゲームにおける操作対象のキャラクターである第1のキャラクターのスケール情報と、第1のキャラクターとは異なるキャラクターである第2のキャラクターのスケール情報と、前記受付部が受付けた共通動作に前記基準パラメータ情報において対応する基準観察点と、に基づいて前記ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定してもよい。
【0011】
前記ゲーム空間に存在するオブジェクトの大きさを示すオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得部をさらに有し、前記パラメータ決定部は、前記オブジェクト情報にさらに基づいて、前記ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定してもよい。
【0012】
前記記憶部は、前記ゲームにおける所定の場面において基準となる観察対象点の位置である基準観察点を含む前記基準パラメータ情報を記憶し、前記情報処理装置は、前記所定の場面において表示するキャラクターを決定する決定部をさらに有し、前記パラメータ決定部は、前記基準観察点と、前記決定部が決定したキャラクターの前記スケール情報と、に基づいて前記ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定してもよい。
【0013】
前記記憶部は、複数のキャラクターが存在するゲーム空間において基準となる画角を示す前記基準パラメータ情報を記憶し、前記パラメータ決定部は、前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報と、に基づいて、画面において表示されるキャラクターが所定の範囲に含まれるよう前記ゲーム空間における画角を決定し、前記画面生成部は、前記パラメータ決定部が決定した画角になるように、前記ゲーム空間を表示する画面を生成してもよい。
【0014】
カメラパラメータを調整するための操作を受付ける受付部をさらに有し、前記パラメータ決定部は、(1)前記受付部がパラメータを調整する操作を受付けた場合、前記受付部が受付けた操作にさらに基づいて、前記ゲーム空間におけるパラメータの補正値を決定し、決定した前記補正値を操作対象のキャラクターと関連付けて前記記憶部に記憶し、(2)前記記憶部が操作対象のキャラクターに関連付けられた前記補正値を記憶している場合、前記記憶部が記憶する前記基準パラメータ情報と、前記記憶部が記憶する操作対象のキャラクターに関連付けられた前記補正値に基づいて、カメラワークのパラメータを決定してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するステップと、キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部を参照し、前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報と、に基づいて前記仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するステップと、決定されたカメラパラメータに基づいて、前記仮想カメラから観察される前記ゲーム空間を表示する画面を生成するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得するステップと、キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する記憶部を参照し、前記基準パラメータ情報と、前記スケール情報と、に基づいて前記仮想カメラの動きを規定するパラメータであるカメラパラメータを決定するステップと、決定されたカメラパラメータに基づいて、前記仮想カメラから観察される前記ゲーム空間を表示する画面を生成するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キャラクターのサイズの違いを反映してゲーム空間を撮像した画面を生成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】情報処理装置1の概要を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部12が記憶する基準パラメータ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】スケール情報取得部131が取得するスケール情報を説明するための図である。
【
図5】オブジェクト情報取得部134が取得するオブジェクト情報の一例を示す図である。
【
図6】受付部135が表示させる画面の一例を示す図である。
【
図7】パラメータ決定部132が記憶部12に記憶させる補正値のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[情報処理装置1の概要]
図1は、情報処理装置1の概要を説明するための図である。情報処理装置1は、ユーザがプレーするゲームを提供する。情報処理装置1は、ゲーム空間の状況を演算し、演算結果に基づいてゲーム空間の状況を表示する画面を生成する。情報処理装置1は、ユーザが使用する情報端末に対してゲームを提供するサーバであってもよいし、ユーザが使用する情報端末であってもよい。情報端末は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ又はゲーム機器である。
【0020】
情報処理装置1において提供されるゲームにおいては、それぞれ身長や体格等の身体的特徴の異なる複数のキャラクター同士がゲーム空間において戦う。ゲームにおいては、各キャラクターはそれぞれ共通動作を行うことができる。共通動作は、ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれが共通して実行することのできる動作である。共通動作は、一例として、技、スキル、魔法等である。共通動作には、攻撃のための共通動作や防御のための共通動作があってもよい。ゲームのプレーヤーをゲームが表現する世界に感情移入させるために、それぞれの共通動作ごとに演出が設定されており、情報処理装置1は、当該演出を撮影した画面を表示させる。
【0021】
ここで、それぞれのキャラクターの動作について単一のカメラワークにより画像を生成すると、キャラクターの体格によっては、キャラクターを画面内に収めきれず、ユーザに不自然な印象を与えてしまうという問題が生じる。他方、それぞれの動作についてキャラクターごとにカメラワークを設定すると、設定するパラメータの量が爆発的に増大してしまう。
【0022】
そこで、情報処理装置1は、スケール情報と基準パラメータ情報とに基づいて複数のキャラクターそれぞれが共通動作をする際の演出を撮影するためのカメラワークを決定する。以下では、仮想カメラの動きを規定するパラメータをカメラパラメータと言い、基準パラメータはその基準となるパラメータを言う。基準パラメータ情報には、例えば仮想カメラの視点P1、仮想カメラの画角P2、観察対象点P3を示すパラメータを含む。なお、観察対象点P3は、仮想カメラが画面の中心となるように撮影するゲーム空間SP上の点を示す。スケール情報は、ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示す。
【0023】
情報処理装置1は、スケール情報に基づいて基準パラメータ情報が示すパラメータを補正することによりカメラパラメータを決定する。一例として、情報処理装置1は、スケール情報が示すキャラクターの大きさに基づいて、基準パラメータ情報が示す観察対象点の高さを補正し、補正後の観察対象点P4の位置を算出する。情報処理装置1は、決定したカメラパラメータに基づいて仮想カメラから観察されるゲーム空間を表示する画面SCを生成する。
【0024】
このように、情報処理装置1は、キャラクターごとにカメラワークを規定するパラメータを設定する場合と比較して開発工数を増大させることなく、キャラクターのサイズの違いを反映してゲーム空間を撮像した画像を生成することができる。
【0025】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、スケール情報取得部131、パラメータ決定部132、画面生成部133、オブジェクト情報取得部134、受付部135及び決定部136を有する。
【0026】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0027】
記憶部12は、キャラクターが存在するゲーム空間を観察するために設定された仮想カメラの動きを規定するパラメータであって、基準となるパラメータを示す基準パラメータ情報を記憶する。
図3は、記憶部12が記憶する基準パラメータ情報のデータ構造の一例を示す図である。基準パラメータ情報においては、「場面ID」、「視点」、「画角」、「基準観察点」を有する。場面IDは、そのレコードが対象とする場面やキャラクターの共通動作を識別するためのID(Identification)である。「視点」は、ゲーム空間における仮想カメラの視点の位置を示す。「画角」は、仮想カメラの基準となる画角を示す。「基準観察点」は、ゲーム空間において観察の対象とする点である観察対象点の基準を示す。なお、基準パラメータ情報においてはパラメータが時系列に記憶されていてもよい。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、スケール情報取得部131、パラメータ決定部132、画面生成部133、オブジェクト情報取得部134、受付部135及び決定部136として機能する。
【0029】
スケール情報取得部131は、ゲームに登場する複数のキャラクターそれぞれの大きさを示すスケール情報を取得する。一例として、受付部135は、キャラクターの選択を受け付け、スケール情報取得部131は、選択されたキャラクターに対応するスケール情報を取得する。
図4は、スケール情報取得部131が取得するスケール情報の一例を示す図である。スケール情報は、「キャラクターID」及び「スケール」を含む。「キャラクターID」は、当該レコードが対象とするキャラクターを示すIDである。「スケール」は、キャラクターの大きさを示す情報であり、一例として、「高さ」と「幅」を含む。「高さ」は、高さ方向における当該キャラクターの大きさを示す情報であり、一例としてキャラクターの身長を示す。「幅」は横方向における当該キャラクターの大きさを示す情報である。
【0030】
記憶部12が
図4に示すスケール情報を記憶していてもよく、スケール情報取得部131は、記憶部12を参照し、表示対象のキャラクターのスケール情報を取得してもよい。また、スケール情報取得部131は、不図示の外部装置から対応するキャラクターのスケール情報を取得してもよい。一例として、受付部135がキャラクターの選択を受け付け、スケール情報取得部131は、受付部135が選択を受付けたキャラクターに対応するスケール情報を取得してもよい。
【0031】
パラメータ決定部132は、記憶部12が記憶する基準パラメータ情報と、スケール情報取得部131が取得するスケール情報と、に基づいてカメラパラメータを決定する。パラメータ決定部132は、記憶部12を参照し、基準パラメータ情報を取得する。一例として、受付部135は、キャラクターの共通動作の指示を受付ける。パラメータ決定部132は、記憶部12を参照し、受付部135が受付けた共通動作に対応する基準パラメータ情報を取得する。
【0032】
パラメータ決定部132は、スケール情報取得部131が取得したスケール情報に基づいて基準パラメータ情報が示すパラメータ(「基準パラメータ」)を補正するための補正値を決定する。パラメータ決定部132は、一例として、スケール情報が示す大きさを所定の計算式に代入することで補正値を算出してもよいし、スケール情報が示す大きさごとに対応する補正値が設定されたテーブルを参照することで、補正値を決定してもよい。パラメータ決定部132は、取得した基準パラメータに算出した補正値を加算し、算出したパラメータをカメラパラメータとして決定する。
【0033】
一例として、パラメータ決定部132は観察対象点の補正値を決定する。すなわち、パラメータ決定部132は、基準観察点と、スケール情報と、に基づいて観察対象点を含むカメラパラメータを決定する。パラメータ決定部132は、スケール情報取得部131が取得したスケール情報に基づいて観察対象点の補正値を決定し、取得した基準パラメータに含まれる基準観察点と算出した補正値とを加算し、補正後の観察対象点を決定する。一例として、パラメータ決定部132は、仮想カメラの角度が、基準パラメータが示す角度と一致するよう、決定した観察対象点の位置に基づいて仮想カメラの視点の位置を補正してカメラパラメータを決定する。
【0034】
なお、パラメータ決定部132は、仮想カメラの角度を変更してもよい。この場合は、パラメータ決定部132は、基準パラメータ情報が示す視点と、基準パラメータ情報に含まれる基準観察点と、スケール情報と、に基づいて、決定した観察対象点が画面の中心となるように仮想カメラの向きをさらに含むカメラパラメータを決定する。すなわち、パラメータ決定部132は、基準パラメータ情報が示す仮想カメラの位置と、スケール情報に基づいて決定した補正後の観察対象点の位置と、に基づいて、仮想カメラの角度を決定する。
【0035】
画面生成部133は、パラメータ決定部132が決定したカメラパラメータに基づいて、仮想カメラから観察されるゲーム空間を表示する画面を生成する。画面生成部133は、生成した画面を表示部(不図示)に表示させてもよいし、外部装置に表示させてもよい。
【0036】
このように、情報処理装置1は、開発工数を増大させることなく、キャラクターのサイズの違いを反映してゲーム空間を撮像した画面を生成できる。
【0037】
スケール情報に基づいて画角を調整するよう情報処理装置1が構成されてもよい。パラメータ決定部132は、基準パラメータ情報と、スケール情報と、に基づいて、画面において表示されるキャラクターが所定の範囲に含まれるようゲーム空間における画角を決定する。パラメータ決定部132は、取得したスケール情報が示す横方向の大きさ(幅)に基づいて、画角を補正するための補正値を決定する。一例として、記憶部12は、キャラクターの横方向の大きさごとにキャラクターが画面内の所定の範囲に収まるよう設定された画角の補正値を記憶していてもよい。画面生成部133は、パラメータ決定部132が決定した画角になるように、ゲーム空間を表示する画面を生成する。
【0038】
このように、情報処理装置1は、キャラクターごとに演出のパラメータを設定することなくキャラクターを画面内に収める画像を生成することができる。
【0039】
複数のキャラクターを画面に表示させる場合に、表示させるキャラクターそれぞれのスケール情報に基づいてカメラパラメータを決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。スケール情報取得部131は、複数のキャラクターそれぞれのスケール情報を取得する。より具体的には、スケール情報取得部131は、ゲームにおける操作対象のキャラクター(以下、「第1のキャラクター」と言う)及び第1のキャラクターと異なるキャラクター(以下、「第2のキャラクター」と言う)のスケール情報を取得する。第2のキャラクターは、一例として、第1のキャラクターが戦闘する対象として受付部135が選択を受付けたキャラクターであってもよいし、決定部136が決定したキャラクターであってもよい。
【0040】
パラメータ決定部132は、第1のキャラクターのスケール情報と、第1のキャラクターとは異なるキャラクターである第2のキャラクターのスケール情報と、受付部135が受付けた共通動作に基準パラメータ情報において対応する基準観察点と、に基づいてゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定する。一例として、パラメータ決定部132は、第1のキャラクターのスケール情報と、第2のキャラクターのスケール情報と、の平均値に基づいて、基準パラメータを補正するための補正値を決定し、基準パラメータと決定した補正値に基づいて、カメラパラメータを決定する。
【0041】
このように、情報処理装置1は、複数のキャラクターを画面に表示させる場合においてもキャラクターの組み合わせごとにカメラワークを規定するパラメータを設定することなく、キャラクターのサイズの違いを反映してゲーム空間を撮像した画面を生成することができる。
【0042】
背景としてゲーム空間に配置されたオブジェクトが画面内に写りこむように画面を生成したい場合がある。オブジェクトは、一例として仮想空間に背景として配置された構造物、立木、動物等である。そこで、ゲーム空間に配置されたオブジェクトが画面内に写りこむようにカメラパラメータを決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0043】
オブジェクト情報取得部134は、ゲーム空間に存在するオブジェクトの大きさを示すオブジェクト情報を取得する。
図5は、オブジェクト情報取得部134が取得するオブジェクト情報の一例を示す図である。
図5に示すオブジェクト情報においては、「オブジェクトID」、「位置」及び「スケール」が関連付けられている。「オブジェクトID」は、オブジェクトを識別するためのIDである。「位置」は、当該オブジェクトがゲーム空間に配置されている位置を示す。「スケール」は、当該オブジェクトの大きさを示す。一例として、スケールは、高さ方向の大きさを示す。
【0044】
オブジェクト情報取得部134は、不図示の外部装置からオブジェクト情報を取得してもよい。また、記憶部12が
図6に示すオブジェクト情報を記憶しており、オブジェクト情報取得部134は、記憶部12を参照することでオブジェクト情報を取得してもよい。
【0045】
パラメータ決定部132は、オブジェクト情報にさらに基づいて、ゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定する。一例として、パラメータ決定部132は、スケール情報が示すキャラクターの大きさと、オブジェクト情報が示すオブジェクトの大きさに基づいて観察対象点の補正値を決定する。一例として、パラメータ決定部132は、オブジェクト情報が示すオブジェクトの大きさの平均値に基づいて、観察対象点の補正値を決定する。
【0046】
パラメータ決定部132は、当該オブジェクトの位置にさらに基づいてカメラパラメータを決定してもよい。一例として、パラメータ決定部132は、オブジェクト情報が示すオブジェクトの位置及び大きさと、キャラクターの位置及び大きさに基づいてカメラパラメータを決定してもよい。
【0047】
このように、情報処理装置1は、ゲーム空間に配置されたオブジェクトが画面内に写りこむようにカメラパラメータを決定することができ、ユーザがより感情移入しやすい画面を生成することができる。
【0048】
例えば場面に登場するキャラクターが予め設定されていない場面において、場面に登場するキャラクターのスケール情報と、場面に関連付けられた基準パラメータと、に基づいてカメラパラメータを決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0049】
決定部136は、所定の場面において表示するキャラクターを決定する。所定の場面は例えばゲームのオープニング画面や、ゲームにおけるアイキャッチ画像等である。決定部136は、例えばゲームに登場する複数のキャラクターのうち、所定の場面に表示するキャラクターを決定する。一例として、場面ごとにキャラクターの位置及び基準パラメータ情報が設定されている。
【0050】
スケール情報取得部131は、決定部136が決定したキャラクターに対応するスケール情報を取得する。パラメータ決定部132は、基準観察点と、決定部136が決定したキャラクターのスケール情報と、に基づいてゲーム空間における観察対象点を含むカメラパラメータを決定する。
【0051】
このように、情報処理装置1は、予め登場するキャラクターが決定されていない画面においても少ないパラメータの設定でユーザに自然な印象を与える画面を表示させることができる。
【0052】
ユーザの操作に応じてカメラワークを切り替えることができるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0053】
受付部135は、操作対象のキャラクターの選択を受付ける。受付部135は、カメラパラメータを調整するための操作を受付ける。
図6は、受付部135が表示させる画面の一例を示す図である。
図6に示す画面においては、カメラパラメータを調整するためのボタンが配置されており、
図6に示すボタンB1は観察対象点を操作するためのボタンであり、ボタンB2は、画角を調整するためのボタンである。
図6に示す画面においてはさらに視点の位置を変更するためのボタンが配置されていてもよい。
【0054】
パラメータ決定部132は、受付部135がパラメータを調整する操作を受付けた場合、受付部135が受付けた操作にさらに基づいて、ゲーム空間におけるパラメータの補正値を決定し、決定した補正値を操作対象のキャラクターと関連付けて記憶部12に記憶する。パラメータ決定部132は、受付部135が受付けボタンの操作量に基づいてカメラパラメータの補正値を決定する。すなわち、ボタンB1が操作された場合は操作量に応じて観察対象点の補正値を決定し、ボタンB2が操作された場合は操作量に応じて画角の補正値を決定する。パラメータ決定部132は、決定した補正値を反映してカメラパラメータを決定し、画面生成部133、パラメータ決定部132が決定したカメラパラメータに基づいて画面を生成する。パラメータ決定部132は、ユーザの操作に基づいて決定した補正値を操作対象のキャラクターと関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0055】
図7は、パラメータ決定部132が記憶部12に記憶させる補正値のデータ構造の一例を示す図である。
図7に示すテーブルにおいては、「キャラクターID」と「補正値」とが関連付けられている。「補正値」は、「視点」、「画角」、「観察対象点」を含む。
図7における「視点」、「画角」、「観察対象点」はそれぞれ、ユーザの操作に応じて決定された視点、画角、観察対象点についての補正値を示す。
【0056】
パラメータ決定部132は、記憶部12が操作対象のキャラクターに関連付けられた補正値を記憶している場合、記憶部12が記憶する基準パラメータ情報と、記憶部12が記憶する操作対象のキャラクターに関連付けられた補正値に基づいて、カメラワークのパラメータを決定する。
図6に示すB3のボタンは、記憶部12が記憶する操作対象のキャラクターに関連付けられた補正値を読み出すための操作をするためのボタンである。ボタンB3は、記憶部12が操作対象のキャラクターに関連付けられた補正値を記憶している場合に表示されてもよい。ボタンB3が操作された場合、パラメータ決定部132は、記憶部12を参照し、取得した補正値に基づいてカメラパラメータを決定する。
【0057】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザの好みを反映したカメラワークにより画面を表示させることができる。
【0058】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図8は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、操作対象のキャラクターの選択を受付ける時点から開始している。
【0059】
受付部135は、操作対象のキャラクターの選択を受付ける(S01)。スケール情報取得部131は、選択されたキャラクターに対応するスケール情報を取得する(S02)。受付部135は、共通動作の指示を受付ける(S03)。パラメータ決定部132は、受付部135が受付けた共通動作に対応する基準パラメータ情報を取得する(S04)。パラメータ決定部132は、取得した基準パラメータ情報とスケール情報とに基づいてカメラパラメータを決定する(S05)。画面生成部133は、ゲーム空間を表示する画面を生成する(S06)。
【0060】
制御部13は、終了条件を満たすか否かを判定する(S07)。終了条件は、例えばゲームにおけるキャラクター同士の戦闘が終了することである。終了条件を満たさない場合(S07におけるNO)、制御部13は、処理をS03に進める。終了条件を満たす場合(S07におけるYES)、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0061】
[情報処理装置1による効果]
このように、情報処理装置1は、キャラクターのサイズの違いを反映してゲーム空間を撮像した画像を生成することができる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0063】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 スケール情報取得部
132 パラメータ決定部
133 画面生成部
134 オブジェクト情報取得部
135 受付部
136 決定部