(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166865
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】往復式電気かみそり
(51)【国際特許分類】
B26B 19/38 20060101AFI20241122BHJP
B26B 19/04 20060101ALI20241122BHJP
B26B 19/10 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B26B19/38 C
B26B19/04 U
B26B19/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083253
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 寿英
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056BC01
3C056DA05
3C056DA14
3C056JA07
3C056JA18
(57)【要約】
【課題】ひとつのスイッチの操作によって、ヘッドの傾動をロックした状態と、ヘッドの傾動をロックしつつカット刃ユニットを突き出した状態とを切り替え可能な構成の往復式電気かみそりを提供することを目的とする。
【解決手段】往復式電気かみそり1は、ヘッド3に複数のカット刃ユニット4が配されており、操作部9に第1スイッチ9aが配されるとともに、第1スイッチ9aに連結する第1リンク部材7が本体2に配されており、使用者が第1スイッチ9aを第1位置N1から第2位置N2にスライドする第1操作によって第1リンク部材7が受部3cに摺接してヘッド3の傾動をロックする構成であるとともに、前記使用者が第1スイッチ9aを第2位置N2から第3位置N3にスライドする第2操作によって受部3cに摺接した第1リンク部材7がさらに移動してカット刃ユニット4のうちの最後列に配された第1カット刃ユニット4aが突出する構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の背面側に配される操作部と、前記本体に連結され前後左右に傾動可能なヘッドを備え、
前記本体は、電動モータとフレームと第1リンク部材を有し、前記操作部は、前記第1リンク部材に連結する第1スイッチを有し、前記ヘッドは、複数のカット刃ユニットと、前記カット刃ユニットの昇降動作に追従可能に前記カット刃ユニットを保持する保持枠と、前記保持枠が取付けられた刃枠と、前記電動モータによって往復動する複数のオシレータと、前記第1リンク部材を受ける受部を有し、前記カット刃ユニットは、外刃と前記外刃の内面に摺接しつつ左右に往復動可能な内刃を有し、前記オシレータが前記内刃を往復動させる構成であり、
前記第1スイッチを第1位置から第2位置にスライドする第1操作によって前記第1リンク部材が前記受部に摺接して前記ヘッドの傾動をロックする構成であり、前記第1スイッチを前記第2位置から第3位置にスライドする第2操作によって前記受部に摺接した前記第1リンク部材がさらに移動して前記カット刃ユニットのうちの最後列に配された第1カット刃ユニットが突出する構成であること
を特徴とする往復式電気かみそり。
【請求項2】
前記ヘッドは、左右に一対の挿入口が形成されているとともに、前記第1リンク部材は左右に一対のツノ部が形成されており、前記第1操作によって前記ツノ部が前記挿入口に進入し前記ヘッドの内側に摺接する構成であること
を特徴とする請求項1に記載の往復式電気かみそり。
【請求項3】
前記ヘッドは、前記第1カット刃ユニットを左右同時に押し上げる一対の第2リンク部材を有しており、
前記第2操作によって前記ツノ部が前記第2リンク部材を押し上げるとともに前記第2リンク部材が前記第1カット刃ユニットを押し上げて前記第1カット刃ユニットが突出する構成であること
を特徴とする請求項2に記載の往復式電気かみそり。
【請求項4】
前記受部は左右に一対のコイルバネを有しており、前記第1スイッチを前記第3位置から前記第2位置にスライドする逆第2操作によって前記コイルバネが前記第2リンク部材を押し下げるとともに、前記第1スイッチを前記第2位置から前記第1位置にスライドする逆第1操作によって前記第1リンク部材がさらに移動して前記受部から離脱する構成であること
を特徴とする請求項3に記載の往復式電気かみそり。
【請求項5】
前記本体の背面側に第1突起部、第2突起部、第3突起部が所定間隔で順に配されているとともに、前記第1リンク部材は左右に一対のツメ部が形成されており、前記第1操作によって前記ツメ部が前記第1突起部と前記第2突起部との間に挟まるとともに、前記第2操作によって前記ツメ部が前記第2突起部と前記第3突起部との間に挟まる構成であること
を特徴とする請求項1または2に記載の往復式電気かみそり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復式電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のカット刃ユニットが配されているヘッドが傾動可能な構成、並びに、前記カット刃ユニットのうちのひとつを押し上げ可能な構成の往復式電気かみそりが知られている(特許文献1:特開2003-340178号公報、特許文献2:特開2021-053361号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-340178号公報
【特許文献2】特開2021-053361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
往復式電気かみそりは、顎下や喉部などの起伏が大きい部位においてもヘッドが安定して接触する肌面への追従性が求められており、ヘッドが前後左右に傾動可能な構成であることが好ましい。また、鼻下部の髭の剃り残しをなくすために、最後列に配されたカット刃ユニットが突き出ることが可能な構成であることが好ましい。そして、ヘッドが傾動しない状態で鼻下部の髭を剃ることができれば尚使い勝手が良い。しかしながら、従来の構成は、クランクによってカット刃ユニットのうちのひとつを押し上げる構造であるので、ヘッドは前後にのみ傾動可能であった。また、既知の構成を組み合わせた場合、ヘッドの傾動をロックするときはスイッチのスライド操作になり、カット刃ユニットを突き出すときは別のスイッチの回動操作になるため、操作が煩雑になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ひとつのスイッチの操作によって、ヘッドの傾動をロックした状態と、ヘッドの傾動をロックしつつカット刃ユニットを突き出した状態とを切り替え可能な構成の往復式電気かみそりを提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決手段により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る往復式電気かみそりは、本体と、前記本体の背面側に配される操作部と、前記本体に連結され前後左右に傾動可能なヘッドを備え、前記本体は、電動モータとフレームと第1リンク部材を有し、前記操作部は、前記第1リンク部材に連結する第1スイッチを有し、前記ヘッドは、複数のカット刃ユニットと、前記カット刃ユニットの昇降動作に追従可能に前記カット刃ユニットを保持する保持枠と、前記保持枠が取付けられた刃枠と、前記電動モータによって往復動する複数のオシレータと、前記第1リンク部材を受ける受部を有し、前記カット刃ユニットは、外刃と前記外刃の内面に摺接しつつ左右に往復動可能な内刃を有し、前記オシレータが前記内刃を往復動させる構成であり、前記第1スイッチを第1位置から第2位置にスライドする第1操作によって前記第1リンク部材が前記受部に摺接して前記ヘッドの傾動をロックする構成であり、前記第1スイッチを前記第2位置から第3位置にスライドする第2操作によって前記受部に摺接した前記第1リンク部材がさらに移動して前記カット刃ユニットのうちの最後列に配された第1カット刃ユニットが突出する構成であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ヘッドが前後左右に傾動可能であるので、顎下や喉部などの起伏が大きい部位においてもヘッドが安定して接触する肌面への追従性が確保できる。また、必要に応じて、最後列に配されたカット刃ユニットが突出するので、鼻下部の髭の剃り残しをなくすことができる。そして、ひとつのスイッチのスライド操作によって、ヘッドの傾動をロックした状態と、ヘッドの傾動をロックしつつカット刃ユニットを突き出した状態とを切り替えできるので、操作性が向上し、使い勝手が良い。
【0009】
一例として、前記ヘッドは、左右に一対の挿入口が形成されているとともに、前記第1リンク部材は左右に一対のツノ部が形成されており、前記第1操作によって前記ツノ部が前記挿入口に進入し前記ヘッドの内側に摺接する構成である。この構成によれば、左右均等な力で第1カット刃ユニットを押し上げることが容易にできる。
【0010】
一例として、前記ヘッドは、前記第1カット刃ユニットを左右同時に押し上げる一対の第2リンク部材を有しており、前記第2操作によって前記ツノ部が前記第2リンク部材を押し上げるとともに前記第2リンク部材が前記第1カット刃ユニットを押し上げて前記第1カット刃ユニットが突出する構成である。この構成によれば、本体よりも幅広の第1カット刃ユニットを押し上げることが容易にできる。
【0011】
一例として、前記受部は左右に一対のコイルバネを有しており、前記第1スイッチを前記第3位置から前記第2位置にスライドする逆第2操作によって前記コイルバネが前記第2リンク部材を押し下げるとともに、前記第1スイッチを前記第2位置から前記第1位置にスライドする逆第1操作によって前記第1リンク部材がさらに移動して前記受部から離脱する構成である。この構成によれば、突き出た状態のカット刃ユニットを元の位置に戻すことが容易にできるとともに、ロックした状態のヘッドを傾動が可能な状態に戻すことが容易にできる。
【0012】
一例として、前記本体の背面側に第1突起部、第2突起部、第3突起部が所定間隔で配されているとともに、前記第1リンク部材は左右に一対のツメ部が形成されており、前記第1操作によって前記ツメ部が前記第1突起部と前記第2突起部との間に挟まるとともに、前記第2操作によって前記ツメ部が前記第2突起部と前記第3突起部との間に挟まる構成である。この構成によれば、スイッチの第2位置へのスライド操作によって、ヘッドの傾動をロックした状態が安定して保持できるとともに、スイッチの第3位置へのスライド操作によって、ヘッドの傾動をロックしつつカット刃ユニットを突き出した状態が安定して保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ひとつのスイッチの操作によって、ヘッドの傾動をロックした状態と、ヘッドの傾動をロックしつつカット刃ユニットを突き出した状態とを切り替え可能で使い勝手の良い構成の往復式電気かみそりが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る往復式電気かみそりの例を左前方から視た概略の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す往復式電気かみそりを左後方から視た概略の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す往復式電気かみそりを左下方から視た概略の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す往復式電気かみそりの概略の正面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す往復式電気かみそりの概略の側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るヘッドを拡大した概略の縦断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るヘッドの概略の構造展開図である。
【
図8】
図8Aは、本実施形態に係る第1スイッチが第1位置のときの受部の状態を示す構造図である。
図8Bは、前記第1スイッチが第2位置のときの受部の状態を示す構造図である。
図8Cは、前記第1スイッチが第3位置のときの受部の状態を示す構造図である。
【
図9】
図9Aは、本実施形態に係る第1スイッチが第1位置のときの第2リンク部材の状態を示す構造図である。
図9Bは、前記第1スイッチが第2位置のときの第2リンク部材の状態を示す構造図である。
図9Cは、前記第1スイッチが第3位置のときの第2リンク部材の状態を示す構造図である。
【
図10】
図10Aは、本実施形態に係る第1スイッチが第1位置のときの第1リンク部材の状態を示す構造図である。
図10Bは、前記第1スイッチが第1位置のときの第1リンク部材の状態を示す側面図である。
【
図11】
図11Aは、本実施形態に係る第1スイッチが第2位置のときの第1リンク部材の状態を示す構造図である。
図11Bは、前記第1スイッチが第2位置のときの第1リンク部材の状態を示す側面図である。
【
図12】
図12Aは、本実施形態に係る第1スイッチが第3位置のときの第1リンク部材の状態を示す構造図である。
図12Bは、前記第1スイッチが第3位置のときの第1リンク部材の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態の往復式電気かみそり1は、複数のカット刃ユニット4が配設されたヘッド3を有する。
図1~
図5に示すように、往復式電気かみそり1は、一例として、使用者が把持するグリップ部が形成された本体2と、本体2に連結され前後左右に傾動可能なヘッド3を備える。本体2の正面は表示パネルとなっており、電源スイッチ2dが配されている。ここで、往復式電気かみそり1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中にX,Y,Zの矢印で向きを示している。往復式電気かみそり1を実際に使用する際には、これらの向きに限定されず、どのような向きで使用しても支障ない。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
図1~
図5に示すように、一例として、本体2の背面側に操作部9が配されており、操作部9の側面に第1スイッチ9aが配されている。本体2は、電動モータ2aと、電動モータ2aに直流給電可能なバッテリ2eが内蔵されている。また、本体2の背面側に第1リンク部材7が配されているとともに、本体2の外周にフレーム2gが配されており、フレーム2gの内側に第1リンク部材7が配されている。第1スイッチ9aは第1リンク部材7に連結している。そして、本体2の底面側に、インレット2fが配されており、インレット2fを介して、外部電源からバッテリ2eに給電可能な構成である。
【0017】
ヘッド3は、複数のカット刃ユニット4と、複数のカット刃ユニット4の昇降動作に追従可能に複数のカット刃ユニット4を保持する保持枠3aと、保持枠3aが取付けられた刃枠3bと、電動モータ2aの駆動力によって往復動する複数のオシレータ6と、第1リンク部材7を受ける受部3cを有する。複数のカット刃ユニット4は、それぞれ、外刃4fと外刃4fの内面に摺接しつつ左右(外刃4fの長手方向)に往復動可能な内刃4gを有し、オシレータ6が内刃4gをそれぞれ往復動させる構成である。なお、往復式電気かみそり1の各部の位置関係を説明し易くするため、図中に矢印で向きを示しており、本明細書では、本体2の正面を「前」と表記し、本体2の背面を「後」と表記する場合がある。
【0018】
図6は、往復式電気かみそり1を側面から視たときのヘッド3を拡大した概略の縦断面図である。
図7は、ヘッド3の概略の構造展開図である。一例として、ヘッド3は、所定間隔で4つのカット刃ユニット4が配されているとともに、所定間隔で2つのトリマ刃ユニット5が配されている。そして、ヘッド3は、所定間隔で2つのオシレータ6が配されている。第1オシレータ6aはヘッド3の背面寄りに配設されており、第2オシレータ6bはヘッド3の正面寄りに配設されている。第1オシレータ6aは、第1腕6eと、第2腕6fと、第3腕6gが配されている。第2オシレータ6bについても同様である。そして、第1カット刃ユニット4aは、第1コイルバネ4eが内蔵されている。ヘッド3は、本体2に連結され前後左右に傾動可能な構成である。つまり、本体2を基準として、ヘッド3が前後左右に首振りする構成である。
【0019】
ヘッド3は、カット刃ユニット4のうちの最後列に第1カット刃ユニット4aが配されており、第1カット刃ユニット4aの前列に第1トリマ刃ユニット5aが配されており、第1トリマ刃ユニット5aの前列に第2カット刃ユニット4bが配されている。そして、第1カット刃ユニット4aと第1トリマ刃ユニット5aと第2カット刃ユニット4bが第1オシレータ6aに接続されている。また、第2カット刃ユニット4bの前列に第3カット刃ユニット4cが配されており、第3カット刃ユニット4cの前列に第2トリマ刃ユニット5bが配されており、第2トリマ刃ユニット5bの前列に第4カット刃ユニット4dが配されている。そして、第3カット刃ユニット4cと第2トリマ刃ユニット5bと第4カット刃ユニット4dが第2オシレータ6bに接続されている。第1カット刃ユニット4aは、第1枠4hが取付けられており、第1枠4hが昇降動可能に保持枠3aに取付けられている。第1枠4hは、第2リンク部材8に押し上げられることで、第1カット刃ユニット4aとともに上方に突き出る構成である。
【0020】
軸線P1上で電動モータ2aの駆動軸2bは従動軸2cに連結している。従動軸2cはクランクを介して第1オシレータ6aおよび第2オシレータ6bに接続されている。そして、補強板3fがガイド部3gに取付け固定され、ガイド部3gが基部3hに取付け固定されている。前記クランクは回転運動を直線運動に変換する部材である。前記クランクによって、従動軸2cと、第1オシレータ6aにおける第1可動台に形成された第1長穴が接続されているとともに、従動軸2cと、第2オシレータ6bにおける第2可動台に形成された第2長穴が接続されている(不図示)。従動軸2cとクランクと第1オシレータ6aと第2オシレータ6bの基本構成とこれらの配置構成には公知技術が適用できる。
【0021】
一例として、外刃4fは微細孔が形成された金属板を断面逆U字形状にして樹脂フレームに取付けた構成である。一例として、トリマ固定刃5fは片側が櫛状に加工された金属板を前後一対で樹脂フレームに取付けた構成である。内刃4gは、外刃4fと一対一で対応して配されており、外刃4fと対応する断面逆U字形状である。トリマ可動刃5gは、トリマ固定刃5fと対応する断面逆L字で前後に対称配置された形状である。外刃4fおよび内刃4gは、広角カット刃であり、断面視でいわゆるアーチ形状になっている。トリマ固定刃5fおよびトリマ可動刃5gは、トリマ刃であり、断面視でいわゆるT字形状になっている。これら広角カット刃とトリマ刃との構成比は任意に設定することが可能である。外刃4fおよび内刃4gには公知技術が適用できる。トリマ固定刃5fおよびトリマ可動刃5gには公知技術が適用できる。
【0022】
本実施形態の外刃4fは、3つまたは4つ若しくは5つ以上配置されている構成である。この構成により、肌への接触面積を従来品よりも広くしつつ顎など起伏が大きい個所の髭をより確実に剃ることができる。一例として、複数の外刃4fは、軸線P1を基準とした前後方向に対称配置されている。この構成により、本体2の持ち方を問わず、前後どちらからでも同様の剃り味が得られる。
【0023】
操作部9は、第3トリマ刃ユニット9cと、第3トリマ刃ユニット9cを起立させて第1オシレータ6aに接続させる第2スイッチ9bを有している。第3トリマ刃ユニット9cは、いわゆるキワゾリ刃として、操作部9の背面に付設されており、片側が櫛状に加工された金属板からなる第3外刃が樹脂フレームに取付けられているとともに、第3外刃に対応する第3内刃が第3外刃の内面に摺接しつつ第3外刃の長手方向に往復動する構成である。そして、第2スイッチ9bを作動させ第3トリマ刃ユニット9cを起立させることで、第1オシレータ6aにおけるアーム部の第4腕に第3トリマ刃ユニット9cを接続させて作動させる構成である。第3トリマ刃ユニット9cには公知技術が適用できる。
【0024】
本実施形態は、使用者が第1スイッチ9aを第1位置N1から第2位置N2に上方向にスライドする第1操作によって第1リンク部材7が受部3cに摺接してヘッド3の傾動をロックする構成である。そして、前記使用者が第1スイッチ9aを第2位置N2から第3位置N3に上方向にスライドする第2操作によって受部3cに摺接した第1リンク部材7がさらに移動してカット刃ユニット4のうちの最後列に配された第1カット刃ユニット4aが突出する構成である。
【0025】
図8Aは、第1スイッチ9aが第1位置N1のときの受部3cの状態を示す構造図である。
図8Bは、第1スイッチ9aが第2位置N2のときの受部3cの状態を示す構造図である。
図8Cは、第1スイッチ9aが第3位置N3のときの受部3cの状態を示す構造図である。
図9Aは、第1スイッチ9aが第1位置N1のときの第2リンク部材8の状態を示す構造図である。
図9Bは、第1スイッチ9aが第2位置N2のときの第2リンク部材8の状態を示す構造図である。
図9Cは、第1スイッチ9aが第3位置N3のときの第2リンク部材8の状態を示す構造図である。
【0026】
図10Aは、第1スイッチ9aが第1位置N1のときの第1リンク部材7の状態を示す構造図である。
図10Bは、第1スイッチ9aが第1位置N1のときの第1リンク部材7の状態を示す側面図である。
図11Aは、第1スイッチ9aが第2位置N2のときの第1リンク部材7の状態を示す構造図である。
図11Bは、第1スイッチ9aが第2位置N2のときの第1リンク部材7の状態を示す側面図である。
図12Aは、第1スイッチ9aが第3位置N3のときの第1リンク部材7の状態を示す構造図である。
図12Bは、第1スイッチ9aが第3位置N3のときの第1リンク部材7の状態を示す側面図である。
【0027】
続いて、第1スイッチ9aの第1操作および第2操作と、第1リンク部材7と受部3cと第2リンク部材8の動作との関係について、以下に説明する。
【0028】
図10Aに示すように、一例として、第1リンク部材7は、上部の左右に一対の上向きのツノ部7aが形成され、下部の左右に一対の内向きのツメ部7bが形成され、第1リンク部材7の中央部に下向きのスリット7cが形成されている。
【0029】
図7に示すように、一例として、ヘッド3は、第1枠4hとともに第1カット刃ユニット4aを左右同時に押し上げる一対の第2リンク部材8を有している。受部3cは、左右対称形状の基台3c1と、基台3c1の両側面から延設した一対の第2リンク部材8を有する。一例として、受部3cは、基台3c1の上面に一対のバネ受3eが形成されており、各バネ受3eに、第2コイルバネ3dが配されている。受部3cは、基台3c1の下面に一対の凸部3jが形成されている。一例として、第2リンク部材8は、上方に延設され横方向に延設されて上方向に延設された金属製ジョイントであり、上向きの筒部8aが設けられている。受部3cは、ガイド部3gの下側に昇降動可能に取付けられている。一例として、ガイド部3gに形成された第1貫通穴3g1と、補強板3fに形成された第2貫通穴3f1とは同径である。または、第1貫通穴3g1は、第2貫通穴3f1よりも小径である。筒部8aは第1貫通穴3g1に挿入されており、受部3cは、軸線P1と平行な位置で昇降動可能にヘッド3に取付けられている。
【0030】
使用者が第1スイッチ9aを第1位置N1から第2位置N2に上方向にスライドする第1操作をすることで、一対のツノ部7aは挿入口3kに進入し凸部3jに当接してヘッド3の内側に摺接する。または、一対のツノ部7aは挿入口3kに進入しヘッド3の内側に摺接しつつ凸部3jに当接する。つまり、一対のツノ部7aがヘッド3の内側に摺接することでヘッド3の傾動をロックする。
【0031】
続いて、使用者が第1スイッチ9aを第2位置N2から第3位置N3に上方向にスライドする第2操作をすることで、一対のツノ部7aはさらに上方向に移動し第2リンク部材8を押し上げて前記第2リンク部材8が第1枠4hを押し上げて第1カット刃ユニット4aが突出する。第2リンク部材が前記第1カット刃ユニットを押し上げて前記第1カット刃ユニットが突出する。つまり、第1リンク部材7がさらに上方向に移動してカット刃ユニット4のうちの最後列に配された第1カット刃ユニット4aが突出する。
【0032】
前記第2操作によって押し上げられて突出した状態の第1カット刃ユニット4aは、第1カット刃ユニット4aが突出した状態で第1コイルバネ4eの弾性力によって鼻下における肌面の起伏に追従して昇降動可能となる。
【0033】
続いて、第1スイッチ9aの逆第2操作および逆第1操作と、第1リンク部材7と受部3cと第2リンク部材8との関係について、以下に説明する。
【0034】
本実施形態は、使用者が第1スイッチ9aを第3位置N3から第2位置N2に下方向にスライドする逆第2操作によって第1リンク部材7が下方向に移動するとともに第2コイルバネ3dが第2リンク部材8を押し下げる構成である。そして、前記使用者が第1スイッチ9aを第2位置N2から第1位置N1に下方向にスライドする逆第1操作によって第1リンク部材7がさらに下方向に移動して受部3cから離脱する構成である。
【0035】
図10Aに示すように、一例として、本体2の背面側に第1突起部11a、第2突起部11b、第3突起部11cが所定間隔で順に配されている。第1リンク部材7は左右に一対の互いに向かい合うツメ部7bが形成されており、前記第1操作によってツメ部7bが第1突起部11aと第2突起部11bとの間に挟まる構成である。そして、前記第2操作によってツメ部7bが第2突起部11bと第3突起部11cとの間に挟まる構成である。そして、一例として、本体2の背面側に支持部11dが配されている。第1リンク部材7はスリット7cが形成されており、スリット7cが昇降動可能に支持部11dに係合している。前記第1操作および前記第2操作によって第1リンク部材7は、支持部11dに支持されつつ軸線P1に沿って上方向や下方向に移動する。
【0036】
本実施形態は、第3トリマ刃ユニット9cが収容された状態の操作部9を、操作部9の背面が下向きでヘッド3を接地面から離した状態で本体2を横向きで載置可能な構成である。この構成により、本体2を前記接地面に載置した状態が安定し、外部機器から給電することが容易にできる。
【0037】
上述の実施例では、本体2のヘッド3に4つのカット刃ユニット4が配設されている例を説明したが、この例に限定されない。カット刃ユニット4の数を3つまたは5つにする場合があり、カット刃ユニット4の数を6つ以上にすることも可能である。上述の往復式電気かみそり1は、仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 往復式電気かみそり
2 本体、2a 電動モータ、2b 駆動軸、2c 従動軸、2d 電源スイッチ、2e バッテリ、2f インレット、2g フレーム
3 ヘッド、3a 保持枠、3b 刃枠、3c 受部、3d 第2コイルバネ、3e バネ受、3f 補強板、3g ガイド部、3j 凸部、3k 挿入口
4 カット刃ユニット、4a 第1カット刃ユニット、4b 第2カット刃ユニット、4c 第3カット刃ユニット、4d 第4カット刃ユニット、4e 第1コイルバネ、4f 外刃、4g 内刃、4h 第1枠
5 トリマ刃ユニット、5a 第1トリマ刃ユニット、5b 第2トリマ刃ユニット
6 オシレータ、6a 第1オシレータ、6b 第2オシレータ、6e 第1腕、6f 第2腕、6g 第3腕
7 第1リンク部材、7a ツノ部、7b ツメ部、7c スリット
8 第2リンク部材、8a 筒部
9 操作部、9a 第1スイッチ、9b 第2スイッチ、9c 第3トリマ刃ユニット
11a 第1突起部、11b 第2突起部、11c 第3突起部、11d 支持部
N1 第1位置
N2 第2位置
N3 第3位置
P1 軸線