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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166869
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ヒッチ角算出システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/26 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G01B11/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083260
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信範
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA32
2F065AA37
2F065BB28
2F065CC11
2F065FF04
2F065QQ17
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】簡易で汎用性ある構成によってトレーラのヒッチ角を検出する「ヒッチ角算出システム」を提供する。
【解決手段】後方カメラ214が撮影した画像中の、牽引車2のリアバンパーの像410とトレーラ1のフロントバンパーの像420を含む部分に対してエッジ検出を行い、牽引車2のリアバンパーの像のエッジ411と、トレーラ1のフロントバンパーの像のエッジ421を抽出し、リアバンパーの像のエッジ411に最も近似する直線412を牽引車2の左右方向と平行な直線として算定し、トレーラ1のフロントバンパーの像のエッジ421に最も近似する直線422をトレーラ1の左右方向と平行な直線として算定し、直線412に対する直線422の相対的な角度をトレーラ1のヒッチ角θとして算出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車に牽引されるトレーラのヒッチ角を検出するヒッチ角検出システムであって、
前記トレーラのヒッチ角に関わらずに前記トレーラの前部を撮影範囲に含むように、牽引車に備えられたカメラと、
前記カメラが撮影した画像に表れる前記トレーラの左右に延びる前記トレーラの部材の像から前記トレーラの左右方向を算出する左右方向算出手段と、
算出したトレーラの左右方向の前記牽引車の左右方向に対する相対的な角度を、トレーラのヒッチ角として算出するヒッチ角算出手段とを有することを特徴とするヒッチ角検出システム。
【請求項2】
請求項1記載のヒッチ角検出システムであって、
前記トレーラの左右に延びる前記トレーラの部材は、前記トレーラの前縁を形成する部材であり、
前記左右方向算出手段は、前記カメラが撮影した画像に表れる前記トレーラの前縁のラインを近似する直線が延びる方向を前記トレーラの左右方向として算出することを特徴とするヒッチ角検出システム。
【請求項3】
請求項1または2記載のヒッチ角検出システムであって、
前記カメラは、前記トレーラのヒッチ角に関わらずに前記牽引車の後部と前記トレーラの前部を撮影範囲に含むように牽引車に備えられており、
前記左右方向算定手段は、前記カメラが撮影した画像に表れる前記牽引車の左右に延びる前記牽引車の部材の像から前記牽引車の左右方向を算出し、
前記ヒッチ角算出手段は、前記前記左右方向算定手段が算出したトレーラの左右方向の、前記左右方向算定手段が算出した牽引車の左右方向に対する相対的な角度を、トレーラのヒッチ角として算出することを特徴とするヒッチ角検出システム。
【請求項4】
請求項3記載のヒッチ角検出システムであって、
前記牽引車の左右に延びる前記牽引車の部材は、前記牽引車のリアバンパーであり、
前記左右方向算出手段は、前記カメラが撮影した画像に表れる前記牽引車の部材の後縁のラインを近似する直線が延びる方向を前記牽引車の左右方向として算出することを特徴とするヒッチ角検出システム。
【請求項5】
牽引車に牽引されるトレーラのヒッチ角を検出するヒッチ角検出システムであって、

前記トレーラのヒッチ角に関わらずに前記トレーラの前部を撮影範囲に含むように、牽引車に備えられたカメラと、
前記トレーラの前部の前記カメラの撮影範囲内の位置に前記トレーラの左右方向を表すように貼付されたマーカーと、
前記カメラが撮影した画像に表れる前記マーカーの像が表す前記トレーラの左右方向を算出する左右方向算出手段と、
算出したトレーラの左右方向の前記牽引車の左右方向に対する相対的な角度を、トレーラのヒッチ角として算出するヒッチ角算出手段とを有することを特徴とするヒッチ角検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラのヒッチ角を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牽引車のヒッチボールに揺動可能に連結されるトレーラ(被牽引車)の、ヒッチボールの軸回りの回転角であるトレーラのヒッチ角を検出する技術としては、カメラで撮影した牽引車とトレーラの連結箇所の画像から、トレーラのドローバーの中心軸に対応する直線を認識し、認識した直線の牽引車の左右方向についての車両中心軸に対する角度をトレーラのヒッチ角として検出する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、トレーラのヒッチ角を検出する技術としては、レーザ距離計で、トレーラの左右両端部までの牽引車からの牽引車の前後方向の距離を計測し、左右両端部間の距離と、計測した牽引車の前後方向の距離とからレーラのヒッチ角を算出する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【0004】
また、トレーラのヒッチ角を検出する技術としては、カメラで撮影した、トレーラのドローバーの上面に貼付したマーカーの画像の傾きからトレーラのヒッチ角を検出する技術も知られている(たとえば、特許文献3)。
また、検出したトレーラのヒッチ角を利用する技術としては、牽引車の後進時に、検出したヒッチ角から牽引車とトレーラとの相対的な位置関係を算出し、算出した位置関係に基づいて、そのまま牽引車を後進させた場合に予想されるトレーラの移動軌跡を求め、求めた移動軌跡をトレーラ後部に設けたカメラで撮影したトレーラ後方の画像に重畳して表示する技術が知られている(たとえば、特許文献4)。
【0005】
また、検出したトレーラのヒッチ角を利用する技術としては、トレーラの左右側部と後部に設けた3台のカメラで撮影した画像を合成して、牽引車の周辺のようすを広く表すパノラマビュー画像を生成し、生成したパノラマビュー画像中の一部の範囲をドライバに対して表示するシステムにおいて、検出したヒッチ角に応じて、表示するパノラマビュー画像中の範囲を切り替える技術が知られている(たとえば、特許文献5)。
【0006】
また、検出したトレーラのヒッチ角を利用する技術としては、牽引車の後進時に、検出したヒッチ角と牽引車の舵角から、牽引車とトレーラの衝突を予測し、衝突を回避するための処理を行う技術が知られている(たとえば、特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-1631号公報
【特許文献2】特開2021-177145号公報
【特許文献3】特開2019-199150号公報
【特許文献4】特開2016-137802号公報
【特許文献5】特表2022-547068号公報
【特許文献6】特開2016-81198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トレーラのドローバーの形状は直線状のものやY字状のものなど様々であり、ドローバーの形状によっては、上述した連結箇所の画像から認識した直線からヒッチ角を検出する技術では、ヒッチ角を正しく検出できない場合がある。
また、レーザ距離計を用いてヒッチ角を検出する技術を適用する場合には、マーカーやレーザ距離計などの特段の装備を牽引車やトレーラに備え、個々にキャリブレーションを行う必要が生じるため簡易性に欠ける。
また、ドローバーの上面に貼付したマーカーを用いてヒッチ角を検出する技術は、ドローバーやドローバーの上面の形状がマーカーの貼付に適していないものである場合には適用することができない。
そこで、本発明は、トレーラのヒッチ角の検出を、より簡易で汎用性ある構成によって実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、牽引車に牽引されるトレーラのヒッチ角を検出するヒッチ角検出システムに、前記トレーラのヒッチ角に関わらずに前記トレーラの前部を撮影範囲に含むように、牽引車に備えられたカメラと、前記カメラが撮影した画像に表れる前記トレーラの左右に延びる前記トレーラの部材の像から前記トレーラの左右方向を算出する左右方向算出手段と、算出したトレーラの左右方向の前記牽引車の左右方向に対する相対的な角度を、トレーラのヒッチ角として算出するヒッチ角算出手段とを備えたものである。
【0010】
ここで、このヒッチ角検出システムにおいて、前記トレーラの左右に延びる前記トレーラの部材を、前記トレーラの前縁を形成する部材とし、前記左右方向算出手段は、前記カメラが撮影した画像に表れる前記トレーラの前縁のラインを近似する直線が延びる方向を前記トレーラの左右方向として算出してよい。
【0011】
また、以上のヒッチ角検出システムにおいて、前記カメラを、前記トレーラのヒッチ角に関わらずに前記牽引車の後部と前記トレーラの前部を撮影範囲に含むように牽引車に備え、前記左右方向算定手段において、前記カメラが撮影した画像に表れる前記牽引車の左右に延びる前記牽引車の部材の像から前記牽引車の左右方向を算出し、前記ヒッチ角算出手段において、前記前記左右方向算定手段が算出したトレーラの左右方向の、前記左右方向算定手段が算出した牽引車の左右方向に対する相対的な角度を、トレーラのヒッチ角として算出してもよい。
【0012】
また、この場合には、前記牽引車の左右に延びる前記牽引車の部材を、前記牽引車のリアバンパーつぃ、前記左右方向算出手段において、前記カメラが撮影した画像に表れる前記牽引車の部材の後縁のラインを近似する直線が延びる方向を前記牽引車の左右方向として算出してもよい。
【0013】
以上のようなヒッチ角検出システムによれば、トレーラのドローバーの形状によらずに、トレーラのヒッチ角を正しく検出することができる。また、特段の設備を牽引車やトレーラに備えることなく、後進時の後方確認用に広く普及しているバックカメラを、ヒッチ角検出システムのカメラとして用いてトレーラのヒッチ角を検出することができる。
【0014】
また、前記課題達成のために、本発明は、牽引車に牽引されるトレーラのヒッチ角を検出するヒッチ角検出システムに、前記トレーラのヒッチ角に関わらずに前記トレーラの前部を撮影範囲に含むように、牽引車に備えられたカメラと、前記トレーラの前部の前記カメラの撮影範囲内の位置に前記トレーラの左右方向を表すように貼付されたマーカーと、前記カメラが撮影した画像に表れる前記マーカーの像が表す前記トレーラの左右方向を算出する左右方向算出手段と、算出したトレーラの左右方向の前記牽引車の左右方向に対する相対的な角度を、トレーラのヒッチ角として算出するヒッチ角算出手段とを備えたものである。
【0015】
このようにすることにより、ドローバーの上面等に比べ比較的に良好な貼付スペースを確保し易いトレーラ自体にマーカーを貼付するだけで、トレーラの形状、構造に関わらずに、トレーラのヒッチ角θを検出することができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、トレーラのヒッチ角の検出を、より簡易で汎用性ある構成によって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る運転支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る牽引車とトレーラを示す図である。
図3】本発明の実施形態において検出するヒッチ角を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るヒッチ角の検出例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るヒッチ角の他の検出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る運転支援システムの構成を示す
ここで、図1に示す運転支援システムは、図2a、bに示すような、キャンピングトレーラなどのトレーラ1を牽引する牽引車2の運転の支援を行うものである。
図1に戻り、運転支援システムは、トレーラ1に搭載されたトレーラ側システム11と、牽引車2に搭載された牽引車側システム21とよりなる。
トレーラ側システム11は、トレーラ右カメラ111、トレーラ後方カメラ112、トレーラ左カメラ113の3台のカメラと、以上の各カメラで撮影した画像を牽引車側システム21に無線伝送する送信装置114を備えている。
また、牽引車側システム21は、入力装置211、牽引車2の前進/後進の走行状態や牽引車2の舵角等の牽引車2の各種状態を検出する状態センサ212、表示装置213、後方カメラ214、トレーラ側システム11の送信装置114が無線伝送する画像を受信する受信装置215、後方カメラ214で撮影した画像を用いてトレーラ1のヒッチ角を検出するヒッチ角検出部216、受信装置215が受信したトレーラ右カメラ111、トレーラ後方カメラ112、トレーラ左カメラ113の画像や、後方カメラ214で撮影した画像や、ヒッチ角検出部216が検出したヒッチ角などを用いて牽引車2の運転を支援するための各種支援情報を生成し表示装置213に表示する支援情報生成部217、以上の各部を制御する制御部218を備えている。
【0019】
ただし、トレーラ右カメラ111、トレーラ後方カメラ112、トレーラ左カメラ113の画像はトレーラ側システム11から有線伝送によって、牽引車側システム21に伝送してもよく、この場合には、送信装置114と受信装置215は設けずに、トレーラ右カメラ111、トレーラ後方カメラ112、トレーラ左カメラ113の画像は、直接、支援情報生成部217に伝送する
次に、図2a、bに示すように、トレーラ側システム11のトレーラ右カメラ111はトレーラ1の右側面の前端部から後方を撮影し、トレーラ後方カメラ112はトレーラ1の後部の左右方向について中央の位置から後方を撮影し、トレーラ左カメラ113はトレーラ1の左側面の前端部から後方を撮影する。
【0020】
また、牽引車側システム21の後方カメラ214は牽引車2の後部の左右方向について中央の位置から後方を広角に撮影する。ここで、牽引車2のリアバンパーなどの牽引車2の後端部分と、トレーラ1のフロントバンパーやシャシーやボディの前端等のトレーラ1の前端部分が撮影した画像に含まれるように後方カメラ214の撮影範囲は設定されている。
【0021】
トレーラ1の前端下部からはシャシーに連結するドローバー12がトレーラ1の前方に延びており、ドローバー12の前端部に設けたカプラを、牽引車2の後端下部から牽引車2の後方に延びるヒッチメンバ22の後端部に設けられているヒッチボールに、カプラとヒッチボールの中心軸回りに揺動可能に係合することにより、トレーラ1は牽引車2に連結される。
【0022】
したがって、図3a、bに示すように、トレーラ1はカプラとヒッチボールの中心軸回りに牽引車2に対して揺動することができ、図中にθで示した、この揺動の角度がトレーラ1のヒッチ角となる。
以下、ヒッチ角検出部216が、後方カメラ214で撮影した画像を用いて行うトレーラ1のヒッチ角の検出について説明する。
ヒッチ角検出部216は、後方カメラ214が撮影した画像中の、牽引車2の後端部分の像とトレーラ1の前端部分の像を含む部分を抽出し、画像認識によって、抽出した画像中に表れる牽引車2の後縁のライン等の牽引車2の左右方向に延びるラインと、トレーラ1の前縁のライン等のトレーラ1の左右方向に延びるラインとを識別する。
そして、識別した牽引車2の左右方向に延びるラインに最も近似する第1の直線を牽引車2の左右方向と平行な直線として算定し、識別したトレーラ1の左右方向に延びるラインに最も近似する第2の直線をトレーラ1の左右方向と平行な直線として算定する。
そして、第2の直線の第1の直線に対する相対的な角度をトレーラ1のヒッチ角θとして求める。
すなわち、ヒッチ角の検出を、たとえば、以下のように行う。
いま、リアバンパーを備えた牽引車2とフロントバンパーを備えたトレーラ1の向きの関係が、図4a1に示すものある場合、ヒッチ角検出部216は、図4a2に示すように、後方カメラ214が撮影した画像中の、牽引車2のリアバンパーの像410とトレーラ1のフロントバンパーの像420を含む部分を抽出する。
【0023】
そして、抽出した図4a2の画像中に対してエッジ検出を行い、検出したエッジの内から、エッジの位置や向き等に基づいて、図4a3に示すように、牽引車2のリアバンパーの後縁に対応するエッジ411と、トレーラ1のフロントバンパーの前縁に対応するエッジ421を抽出する。
そして、回帰分析等によって、図4a4に示すように、リアバンパーの後縁に対応するエッジ411に最も近似する直線412を牽引車2の左右方向と平行な直線として算定し、トレーラ1のフロントバンパーの前縁に対応するエッジ421に最も近似する直線422をトレーラ1の左右方向と平行な直線として算定する。
【0024】
そして、図示するように直線412の角度をθ1、直線422の角度をθ2とした場合にθ2-θ1によって表される直線412に対する直線422の相対的な角度をトレーラ1のヒッチ角θとして算出する。
また、同様に、リアバンパーを備えた牽引車2とフロントバンパーを備えたトレーラ1の向きの関係が、図4b1に示すものある場合、ヒッチ角検出部216は、図4b2に示すように、後方カメラ214が撮影した画像中の、牽引車2のリアバンパーの像410とトレーラ1のフロントバンパーの像420を含む部分を抽出する。
【0025】
そして、抽出した図4b2の画像中に対してエッジ検出を行い、検出したエッジの内から、エッジの位置や向き等に基づいて、図4b3に示すように、牽引車2のリアバンパーの後縁に対応するエッジ411と、トレーラ1のフロントバンパーの前縁に対応するエッジ421を抽出する。
そして、回帰分析等によって、図4b4に示すように、リアバンパーの後縁に対応するエッジ411に最も近似する直線412を牽引車2の左右方向と平行な直線として算定し、トレーラ1のフロントバンパーの前縁に対応するエッジ421に最も近似する直線422をトレーラ1の左右方向と平行な直線として算定する。
【0026】
そして、図示するように直線412の角度をθ1、直線422の角度をθ2とした場合にθ2-θ1によって表される直線412に対する直線422の相対的な角度をトレーラ1のヒッチ角θとして算出する。
なお、後方カメラ214の状態(位置や向きや画角)が固定されている期間中は、後方カメラ214の撮影した画像中に現れるリアバンパーの像の位置は変化しないので、この期間においては、リアバンパーの後縁に対応するエッジ411に最も近似する直線412を初回のみ後方カメラ214が撮影した画像より算出すると共に、ヒッチ角θを算出する各回において、初回に算出した直線412を用いてヒッチ角θを算出してよい。
【0027】
または、後方カメラ214が撮影する画像中における牽引車2の左右方向の角度を予め求めて固定的に設定しておき、ヒッチ角θを算出する各回において、設定されている角度を、直線412の角度θ1に代えて用いてヒッチ角θを算出してよい。
図1に戻り、支援情報生成部217は、制御部218の制御に従って、牽引車2の後進時に、ヒッチ角検出部216が検出したヒッチ角θから牽引車2とトレーラ1との相対的な位置関係を算出し、算出した位置関係に基づいて、そのまま牽引車2を後進させた場合に予想されるトレーラ1の移動軌跡を求め、求めた移動軌跡をトレーラ右カメラ111やトレーラ後方カメラ112やトレーラ左カメラ113で撮影した画像に重畳して表示装置213に表示する処理や、牽引車2の後進時に、ヒッチ角検出部216が検出したヒッチ角θと状態センサ212で検出した牽引車2の舵角から、牽引車2とトレーラ1の衝突を予測し、衝突を回避するための案内を表示装置213に表示する処理や、ヒッチ角検出部216が検出したヒッチ角θを用いて、後方カメラ214とトレーラ右カメラ111とトレーラ後方カメラ112とトレーラ左カメラ113で撮影した画像を、牽引車2の周辺のようすを牽引車2の後部の視点から広く観察した一つの画像に合成して表示装置213に表示する処理等を行う。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明した。
本実施形態によれば、トレーラ1のドローバー12の形状によらずに、トレーラ1のヒッチ角を正しく検出することができる。また、特段の設備を牽引車2やトレーラ1に備えることなく、後進時の後方確認用に広く普及している後方カメラ214を用いてトレーラ1のヒッチ角を検出することができる。
【0029】
ここで、以上の実施形態では、ヒッチ角検出部216において、後方カメラ214が撮影した画像から識別した、トレーラ1の前縁のラインから、トレーラ1の左右方向を求めてヒッチ角を算出したが、これは、トレーラ1の後方カメラ214によって撮影される位置にトレーラ1の左右方向を表すようにマーカーを貼付しておき、ヒッチ角検出部216において、後方カメラ214が撮影した画像からマーカーを識別すると共に、識別したマーカーからトレーラ1の左右方向を求めてヒッチ角を算出してもよい。
【0030】
また、同様に、以上の実施形態では、ヒッチ角検出部216において、後方カメラ214が撮影した画像から識別した、牽引車2の後縁のラインから、牽引車2の左右方向を求めてヒッチ角を算出したが、これは、牽引車2の後方カメラ214によって撮影される位置に牽引車2の左右方向を表すようにマーカーを貼付しておき、ヒッチ角検出部216において、後方カメラ214が撮影した画像からマーカーを識別すると共に、識別したマーカーから牽引車2の左右方向を求めてヒッチ角を算出してもよい。
【0031】
たとえば、牽引車2の左右方向は以上の実施形態と同様に求め、トレーラ1の左右方向をトレーラ1に貼付したマーカーを用いて求めてヒッチ角θを算定する場合には、図5aに示すトレーラ1の前面に、図5b1に示すように、直線状のマーカー43をトレーラ1の左右方向と平行となるように貼付する。
【0032】
そして、図5b2に示すように後方カメラ214によって撮影された画像中から、図5b3に示すように牽引車2のリアバンパーの像のエッジ411と、マーカー43の像の領域431とを識別する。
そして、図5b4に示すように、リアバンパーの像のエッジ411に最も近似する直線412と、マーカー43の像の領域431が長手方向と平行な直線432を算定する。
そして、直線432の直線412に対する相対的な角度をトレーラ1のヒッチ角θとして算出する。
または、この場合には、たとえば、図5aに示すトレーラ1の前面に、図5c1に示すように、複数のマーカー43をトレーラ1の左右方向に並ぶように貼付する。
そして、図5c2に示すように後方カメラ214によって撮影された画像から、図5c3に示すように、牽引車2のリアバンパーの像のエッジ411と、マーカー43の像の領域431とを識別する。
そして、図5c4に示すように、リアバンパーの像のエッジ411に最も近似する直線412と、複数のマーカー43の像の領域431が並んでいる方向と平行な直線432を算定する。
そして、直線432の直線412に対する相対的な角度をトレーラ1のヒッチ角θとして算出する。
なお、牽引車2の左右方向を牽引車2に貼付したマーカー43を用いて求める場合には、牽引車2のリアバンパー等にマーカー43を貼付して、以上のトレーラ1の場合と同様にして牽引車2の左右方向を求める。
これらのようにすることにより、ドローバー12の上面等に比べ比較的に良好な貼付スペースを確保し易い、牽引車2やトレーラ1自体にマーカー43を貼付するだけで、牽引車2の後端部の形状、構造や、トレーラ1の前端部の形状、構造に関わらずに、トレーラ1のヒッチ角θを検出することができるようになる。
【符号の説明】
【0033】
1…トレーラ、2…牽引車、11…トレーラ側システム、12…ドローバー、21…牽引車側システム、22…ヒッチメンバ、43…マーカー、111…トレーラ右カメラ、112…トレーラ後方カメラ、113…トレーラ左カメラ、114…送信装置、211…入力装置、212…状態センサ、213…表示装置、214…後方カメラ、215…受信装置、216…ヒッチ角検出部、217…支援情報生成部、218…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5