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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166878
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】軌条車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20241122BHJP
   B61D 17/18 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B61D27/00 V
B61D17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083274
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南海 昂輝
(72)【発明者】
【氏名】松居 亮稔
(72)【発明者】
【氏名】阿部 行伸
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】丸山 光
(57)【要約】
【課題】軌条車両には室内の空気を取り入れるための吸気口およびダクトが必要であり、これらの製造および位置合わせ作業に工数を要し、また、各車室に吸気口及びダクトが配置されるように車室を構成する仕切り壁の配置が制限される。そこで、かかる不具合を解消できる軌条車両を提供する。
【解決手段】空調装置および前記空調装置に接続された空気ダクトを有する軌条車両は、車室の内側面を構成し、前記空気ダクトに隣接し、前記空気ダクトと連通する開口をもつ第1内装パネルと、前記第1内装パネルに取り付けられる第2内装パネルと、を有し、前記第2内装パネルは、前記内装開口に連通する第1開口部と、前記車室に向かって開口した第2開口部とを有し、前記第2内装パネル内部に、前記第1開口部と前記第2開口部とを連通する連通した空間が設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置および前記空調装置に接続された空気ダクトを有する軌条車両において、
車室の内側面を構成し、前記空気ダクトに隣接し、前記空気ダクトと連通する内装開口をもつ第1内装パネルと、
前記第1内装パネルに取り付けられる第2内装パネルと、を有し、
前記第2内装パネルは、前記内装開口に連通する第1開口部と、前記車室に向かって開口した第2開口部とを有し、
前記第2内装パネル内部に、前記第1開口部と前記第2開口部とを連通する空間が設けられること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項2】
請求項1に記載の軌条車両において、
前記第2内装パネルに隣接し、前記第2開口部と連通する連通開口部を備える補強板を有すること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項3】
請求項1に記載の軌条車両において、
前記第2内装パネルから離間して、補強板を備え、
前記第2内装パネルと前記補強板の間の間隙と、前記第2内装パネルの第2開口部が連通すること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項4】
請求項1に記載の軌条車両において、
前記第2内装パネルの内部に、前記第1開口部および前記第2開口部との間で空気が流通可能な空間を有する芯材を備えること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項5】
請求項4に記載の軌条車両において、
前記第2内装パネルは、前記芯材の両面に配置された一対の表面パネルを有し、
前記芯材は、前記表面パネルの内側面同士を接続する複数の架橋部からなり、前記架橋部の間に前記第1開口部および前記第2開口部との間で空気が流通可能な空間が形成されること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項6】
請求項1に記載の軌条車両において、
前記第2内装パネルは、一対の表面パネルと、前記第1内装パネルの前記内装開口に隣接して備えられるパネル受けを含み、
前記第1内装パネルと前記第2内装パネルの表面パネルが、前記パネル受けを介して接続されること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項7】
請求項6に記載の軌条車両において、
前記第2内装パネルの表面パネルと前記パネル受けとの間に、隙間調整材を介在させたこと、
を特徴とする軌条車両。
【請求項8】
請求項7に記載の軌条車両において、
前記隙間調整材は間欠的に備えられ、
隣接する前記隙間調整材の間の間隙が、前記第2開口部を構成すること、
を特徴とする軌条車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌条車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両は、車室内の温熱快適性を高めるために、換気装置及び空気調和装置(以下、空調装置と記す)を備える。空調装置は、鉄道車両の車内各部から取り込んだ再循環空気に、換気装置が取り込んだ新鮮空気を混合して、室内熱交換器を通過させる過程で、再循環空気と新鮮空気の温度および湿度を調和した調和空気を生成して、鉄道車両の車内各部へ供給する。
【0003】
鉄道車両の車室内の空気は、再循環空気または排気として、空調装置に還流されるか車外に排出される。再循環空気は、鉄道車両の長手方向に沿って備えられる再循環空気ダクトを通って空調装置に取り込まれる。同様に、排気は、鉄道車両の長手方向に沿って備えられる排気ダクトを通って車外に排出される。
【0004】
鉄道車両の各車室には、車室内の空気を再循環空気または排気として取り込むための吸気口と、吸気口から取り込んだ再循環空気または排気を、上述の鉄道車両の長手方向に沿って備えられる再循環空気ダクトまたは排気ダクトに運ぶためのダクトが必要となる。
【0005】
鉄道車両におけるダクト構造に関して、例えば特許文献1に、足元に冷気塊ができないようにして乗客の居住部を快適な空間にする鉄道車両の空調吸込みダクトを提供することを目的とした再循環空気ダクトに係わる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-351951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示すように、一般に、鉄道車両の各車室には、例えば上床に開口を設けて吸気口が備えられ、板金等で構成されるダクトによって、吸気口と鉄道車両の長手方向に沿って備えられる再循環空気ダクトや排気ダクトが接続される。鉄道車両の設計に際し、客室や個室などのすべての車室にこれらの吸気口およびダクトが配置されることを前提とすると、各車室を構成する内装パネルの配置が制限されるという問題がある。また、鉄道車両の製造に際し、客室や個室などのすべての車室において上述の吸気口とダクトの製作および位置合わせを実施することを前提とすると、これらの作業に工数を要するという問題もある。
【0008】
本発明は、車室の設計の自由度を向上し、および製造の工数を低減することができる空気ダクトを備える軌条車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の軌条車両の一つは、空調装置および前記空調装置に接続された空気ダクトを有する軌条車両において、
車室の内側面を構成し、前記空気ダクトに隣接し、前記空気ダクトと連通する内装開口をもつ第1内装パネルと、
前記第1内装パネルに取り付けられる第2内装パネルと、を有し、
前記第2内装パネルは、前記内装開口に連通する第1開口部と、前記車室に向かって開口した第2開口部とを有し、
前記第2内装パネル内部に、前記第1開口部と前記第2開口部とを連通する空間が設けられることにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車室の設計の自由度を向上し、および製造の工数を低減することができる空気ダクトを備える軌条車両を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、鉄道車両の側面図である。
図2図2は、鉄道車両の高さ方向に交差する断面図(図1のA-A断面)である。
図3図3は、鉄道車両の長手方向に交差する断面図(図1のB-B断面)である。
図4図4は、第1実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図3のC-C断面)である。
図5図5は、第2実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図3のC-C断面)である。
図6図6は、第3実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図3のC-C断面)である。
図7図7は、第4実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図3のC-C断面)である。
図8図8は、第4実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の高さ方向に交差する断面図(図7のD-D断面)である。
図9図9は、第5実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の高さ方向に交差する断面図(図7のD-D断面)である。
図10図10は、第6実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図3のC-C断面)である。
図11図11は、第7実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁と上床の接続部の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図4のE部)である。
図12図12は、第7実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁と上床の接続部の構成を示す、鉄道車両の幅方向(図11のF視点)からみた側面図である。
図13図13は、第8実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁と上床の接続部の構成を示す、鉄道車両の幅方向に交差する断面図(図4のE部)である。
図14図14は、第8実施形態の、鉄道車両に備えられる仕切り壁と上床の接続部の構成を示す、鉄道車両の幅方向(図13のG視点)からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお軌条車両とは、敷設された軌道に沿って運行される車両の総称であり、鉄道車両、路面電車、新交通システム車両、モノレール車両等を意味する。軌条車両の代表例として、鉄道車両を例示して、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
まず、発明の実施を説明するために供される各方向を定義する。鉄道車両の長手方向またはレール方向をx方向、鉄道車両の幅方向または枕木方向をy方向、鉄道車両の上下方向または高さ方向をz方向とする。以下、単に、x方向、y方向、z方向と記す場合がある。
【0014】
図1は鉄道車両の側面図であり、図2は鉄道車両の高さ方向に交差する断面図(図1のA-A断面)であり、図3は鉄道車両の長手方向に交差する断面図(図1のB-B断面)である。鉄道車両1は、床面をなす台枠10と、台枠10のy方向の両端部に立設される側構体20と、台枠10のx方向の端部に立設される妻構体30と、側構体20と妻構体30の上端部に載置される屋根構体40と、からなる概直方体である。台枠10のx方向の両端部は軌道5を転動する台車7に支持される。
【0015】
側構体20は、複数の窓部22や乗客や乗務員等が乗降する乗降口24を備える。屋根構体40の上方には、空調装置80が備えられ、台枠10の下方には、排気装置(空調装置の一部)70が備えられる。
【0016】
鉄道車両1内の車室の内側面は、内装パネル13(上床13a、天井13b、側壁13c、仕切り壁17)によって構成される。図2では、車室が仕切り壁17によって複数のコンパートメント50と通路60に分割され、各コンパートメント50には、上床13aの上面に座席14やテーブル16が固定される。上床13aと台枠10との間には、客室内の空気を、排気として排気装置70に運ぶために鉄道車両1のx方向に沿って備えられる排気ダクト(空気ダクト)11(図3)が備えられる。ここでは、上床13aが第1内装パネルを構成し、仕切り壁17が第2内装パネルを構成する。
【0017】
<第1実施形態>
図4は、第1実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図3のC-C断面)である。ここでは、仕切り壁17が上床13aに取り付けられ、車室をレール方向に分割する場合を例として発明の構成を説明する。仕切り壁17は、上床13aに設けられた上床開口部(内装開口)19に隣接して備えられる。仕切り壁17は、一対の表面パネル17cと、表面パネル17cにより挟持される芯材17aとで構成され、コンパートメント50に向けた開口部(第2開口部)18を備える。開口部18は、上床13aに液体が飛散した場合等にこれが仕切り壁17の内部に流入することを防ぐため、上床13aから離れた上方の位置に備えられる。開口部18には、乗客からのアクセス防止等のためのルーバー(図示なし)やメッシュパネル(図示なし)を備える場合がある。
【0018】
仕切り壁17は、上床13aと接する部分に開口部(第1開口部)36を備える。芯材17aは、仕切り壁17が凹んだり曲がったりしないように、表面パネル17c同士の間をつないで強度を確保する。仕切り壁17は、開口部18より、排気ダクト11側の範囲は芯材を備えず、表面パネル17cの間に、空気が通流することができる空間17dを備える。排気ダクト11は、仕切り壁17側に開口部12を備える。以上により、コンパートメント50と排気ダクト11が、仕切り壁の開口部18と、仕切り壁内部の空間17dと、仕切り壁17の開口部36と、上床開口部19と、排気ダクトの開口部12を介して連通し、コンパートメント50内の空気が排気される。また、図4に示すように、上床開口部19と、排気ダクトの開口部12と、の間に隙間埋め材15が備えられ、空気漏れを抑制する。なお、開口部18は、隣接するコンパートメント50の一方に対してのみ開口しているが、双方のコンパートメント50に対して開口していてもよい。
【0019】
上述した構成によれば、コンパートメント50内の空気は、矢印で示す空気の流れ90のように、仕切り壁の開口部18から仕切り壁内部の空間17dを経て排気ダクト11に流入し、排気装置70から車外へ排出される。仕切り壁17が、コンパートメント50内の空気を取り入れるための吸気口およびダクトとしての役割を果たすため、吸気口およびダクトの配置に関わらず仕切り壁17の配置を決定できる。また、吸気口及びダクトを仕切り壁として一体製造することが可能であるため、吸気口とダクトの製造およびそれらの位置合わせ作業が不要となる。
【0020】
このように、本実施形態によれば、車室の内装パネルが、車室内の空気を取り入れる吸気口およびダクトとして機能するので、吸気口およびダクトの配置を考慮することなく内装パネルの配置を任意に決定することができるため、車室の設計時の自由度を向上することができる。また、吸気口およびダクトを内装パネルとして一体製造することが可能となり、吸気口とダクトの製造およびそれらの位置合わせ作業が不要となり、製造時の工数を低減することができる。これにより、車室の設計時の自由度を向上し、および製造時の工数を低減する空気ダクトを備える鉄道車両を提供することができる。
【0021】
以上、本発明は第1実施形態に限定されず、様々な形態で実施しうる。以下、図を参照しながら、他の実施形態を説明する。
【0022】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図3のC-C断面)である。上述した第1実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第2実施形態の特有の構成について説明する。
【0023】
仕切り壁17の内部に芯材を備えない範囲において、仕切り壁17の両側に密着するようにして補強板31を備える。補強板31は、外部からの衝撃に対する強度を有し、衝撃から仕切り壁17を保護する機能を有する。一方の補強板31には、仕切り壁の開口部18と連通する連通開口部32が備えられ、コンパートメント50内の空気を仕切り壁17の内部に取り入れることができる。
【0024】
第2実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果を奏することができる。
【0025】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図3のC-C断面)である。上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第3実施形態の特有の構成について説明する。
【0026】
第2実施形態で説明した構成に対し、双方の補強板31は開口を備えない。その代わりに、仕切り壁17の開口部18が存在する側の補強板31を、仕切り壁17から離間させて仕切り壁17に略平行となるよう上床13aに立設させており、その補強板31と仕切り壁17の間の間隙33を通して、コンパートメント50内の空気を仕切り壁17の内部に取り入れることができる。これにより、補強板31に開口を施工する必要がないため、製造工数を低減できる。また、仕切り壁17の開口部18を補強板31によってコンパートメント50内の乗客から隠すことで審美性の向上や乗客からのアクセス防止が可能である。
【0027】
第3実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果を奏することができる。
【0028】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図3のC-C断面)であり、図8は、第4実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図7のD-D断面)である。上述した第1実施形態~第3実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第4実施形態の特有の構成について説明する。
【0029】
第1実施形態~第3実施形態で説明したいずれかの構成に対し、仕切り壁17内部の空気が流れる範囲に、仕切り壁の表面パネル17c同士をつなぐ芯材17bが備えられる。通気構造を有する芯材17bは、図8に示すように例えば正弦波状に曲線を描いて延在する板材であって、表面パネル17cの間をすべて塞ぐことなく、仕切り壁17の内部に空気が通ることができる略三角筒状の空間17dを備える。換言すれば、芯材17bは、表面パネル17cの内側面同士をトラス状に接続する複数の等厚板状の架橋部を有し、架橋部の間が空間17dとなる。これにより、仕切り壁17の強度を高く保つことができる。
【0030】
第4実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果を奏することができる。
【0031】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図7のD-D断面)である。上述した第1実施形態~第4実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第5実施形態の特有の構成について説明する。
【0032】
表面パネル17cをリブ状の芯材17bにより連結して一体化することにより仕切り壁17を構成する。本実施形態においても、芯材17bは、表面パネル17cの内側面同士をトラス状に接続する複数の等厚板状の架橋部を有し、架橋部の間が空間17dとなる。開口部18を形成する場合、一方の表面パネル17cと、それに対応する芯材17bの一部(点線で図示)を切削加工等により切除するのみで足り、それにより空間17dを介して開口部18と上床開口部19とが連通する(第4実施形態および第6実施形態においても同様)。芯材17bのある仕切り壁17の部分をアルミの押出成形材から形成すれば、芯材17bと表面パネル17cを別々に製造する必要がなく、仕切り壁17の製造コストを低減できる。
【0033】
第5実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果を奏することができる。
【0034】
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態の、仕切り壁17の構成を示す断面図(図3のC-C断面)である。上述した第1実施形態~第5実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第6実施形態の特有の構成について説明する。
【0035】
仕切り壁17の内部について、トラス状の架橋部を備えた芯材17b(図8,9参照)が、上床13aから天井13bまで全域にわたって備えられる。本実施形態によれば、仕切り壁17の内部の構成を統一でき、仕切り壁17の製造コストを低減できる。このような仕切り壁17は、例えばアルミの押出成形材から形成できる。
【0036】
第6実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果を奏することができる。
【0037】
<第7実施形態>
図11は、第7実施形態の、仕切り壁と上床の接続部の構成を示す断面図(図4のE部)であり、図12は、第7実施形態の、仕切り壁と上床の接続部を+x方向(図11のF視点)からみた側面図である。上述した第1実施形態~第6実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第7実施形態の特有の構成について説明する。
【0038】
上床13aにおいて、上床開口部19に隣接して断面L字状の仕切り壁受(パネル受け)34が一対備えられている。隙間調整材35を挟んで仕切り壁17の表面パネル17cの下端近傍が仕切り壁受34の垂直部上端近傍に締結され、かかる状態で仕切り壁17の開口部36と上床開口部19とを連通させつつ、仕切り壁受34を介して仕切り壁17が上床13aに接続される。表面パネル17cの下端を仕切り壁受34の水平部に当接させてもよい。ここでは、仕切り壁受34と仕切り壁17とを組み合わせて、第2内装パネルとする。仕切り壁受34を予め上床開口部19に隣接して設置しておくことで、仕切り壁17を上床13aの上に設置する際に、一対の仕切り壁受34の垂直部外側面に沿って表面パネル17cをスライドしつつはめ込むことで、上床開口部19への位置合わせが容易となる。なお、図11および図12では仕切り壁17の表面パネル17cが仕切り壁受34の垂直部外側にある構成を説明したが、仕切り壁17の表面パネル17cが仕切り壁受34の垂直部内側に締結される構成でもよい。
【0039】
第7実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果と、を奏することができる。
【0040】
<第8実施形態>
図13は、第8実施形態の、仕切り壁と上床の接続部の構成を示す断面図(図4のE部)であり、図14は、第8実施形態の、仕切り壁と上床の接続部を+x方向(図13のG視点)からみた側面図である。上述した第1実施形態~第7実施形態と同様の構成、機能の説明を省略し、第8実施形態の特有の構成について説明する。
【0041】
第7実施形態で説明した構成に対し、仕切り壁17に開口部18を備えず、仕切り壁17と仕切り壁受34の間の隙間調整材35が、枕木方向に間欠的に備えられ、仕切り壁17と仕切り壁受34の間の間隙33から、コンパートメント50内の空気を仕切り壁17の内部に取り入れる。間隙33が第2開口部を構成する。仕切り壁受34の垂直部により、上床13aに液体が飛散した場合等にこれが間隙33から仕切り壁17の内部に流入することを防ぐことができる。本構成によれば、仕切り壁17に開口を施工する必要がないためさらに工数を低減できる。また、仕切り壁の内部に空気を取り入れるための吸気口をコンパートメント50内の乗客から隠すことで審美性の向上や乗客からのアクセス防止が可能である。
【0042】
第8実施形態で説明した構成を備える鉄道車両1は、上述した実施形態で説明した作用および効果を奏することができる。
【0043】
以上、第1実施形態~第8実施形態では、台枠下方の排気装置に排気を導く構成を説明したが、導く空気を排気に限定するものではなく、再循環空気を空調装置に導くものや、調和空気を空調装置から客室内へと導くことでもよい。すなわち排気ダクトの代わりに、吸気ダクトを空気ダクトとして本発明を適用してもよい。また、排気装置や空調装置についても、台枠下方に備えられたものに限定するものではなく、屋根構体の上方に備えられたものでもよい。この場合、上記実施形態に対して上床の代わりに天井に開口部を設ける。また、いずれの実施形態も、鉄道車両に限らず空調換気系統を有する輸送機器全般に適用可能なものである。
【0044】
本明細書は、以下の発明の開示を含む。
(第1の態様)
空調装置および前記空調装置に接続された空気ダクトを有する軌条車両において、
車室の内側面を構成し、前記空気ダクトに隣接し、前記空気ダクトと連通する内装開口をもつ第1内装パネルと、
前記第1内装パネルに取り付けられる第2内装パネルと、を有し、
前記第2内装パネルは、前記内装開口に連通する第1開口部と、前記車室に向かって開口した第2開口部とを有し、
前記第2内装パネル内部に、前記第1開口部と前記第2開口部とを連通する空間が設けられること、
を特徴とする軌条車両。
【0045】
(第2の態様)
第1の態様の軌条車両において、
前記第2内装パネルに隣接し、前記第2開口部と連通する連通開口部を備える補強板を有すること、
を特徴とする軌条車両。
【0046】
(第3の態様)
第1の態様の軌条車両において、
前記第2内装パネルから離間して、補強板を備え、
前記第2内装パネルと前記補強板の間の間隙と、前記第2内装パネルの第2開口部が連通すること、
を特徴とする軌条車両。
【0047】
(第4の態様)
第1の態様~第3の態様のいずれかの軌条車両において、
前記第2内装パネルの内部に、前記第1開口部および前記第2開口部との間で空気が流通可能な空間を有する芯材を備えること、
を特徴とする軌条車両。
【0048】
(第5の態様)
第4の態様の軌条車両において、
前記第2内装パネルは、前記芯材の両面に配置された一対の表面パネルを有し、
前記芯材は、前記表面パネルの内側面同士を接続する複数の架橋部からなり、前記架橋部の間に前記第1開口部および前記第2開口部との間で空気が流通可能な空間が形成されること、
を特徴とする軌条車両。
【0049】
(第6の態様)
第1の態様~第5の態様のいずれかの軌条車両において、
前記第2内装パネルは、一対の表面パネルと、前記第1内装パネルの前記内装開口に隣接して備えられるパネル受けを含み、
前記第1内装パネルと前記第2内装パネルの表面パネルが、前記パネル受けを介して接続されること、
を特徴とする軌条車両。
【0050】
(第7の態様)
第6の態様の軌条車両において、
前記第2内装パネルの表面パネルと前記パネル受けとの間に、隙間調整材を介在させたこと、
を特徴とする軌条車両。
【0051】
(第8の態様)
第7の態様の軌条車両において、
前記隙間調整材は間欠的に備えられ、
隣接する前記隙間調整材の間の間隙が、前記第2開口部を構成すること、
を特徴とする軌条車両。
【符号の説明】
【0052】
1…鉄道車両、 5…軌道、
7…台車、 10…台枠、
11…排気ダクト、 12…開口部、
13…内装パネル、 13a…上床(第1内装パネル)、
13b…天井、 13c…側壁、
14…座席、 15…隙間埋め材、
16…テーブル、 17…仕切り壁(第2内装パネル)、
17a…芯材、 17b…通気構造を有する芯材、
17c…表面パネル、 17d…空間、
18…開口部(第2開口部)、 19…上床開口部(内装開口)、
20…側構体、 22…窓部、
24…乗降口、 30…妻構体、
31…補強板、 32…連通開口部、
33…間隙(第2開口部)、 34…仕切り壁受、
35…隙間調整材、 36…開口部(第1開口部)、
40…屋根構体、 50…コンパートメント、
60…通路、 70…排気装置、
80…空調装置、 90…空気の流れ、
x…鉄道車両の長手方向(レール方向)、 y…鉄道車両の幅方向(枕木方向)、
z…鉄道車両の高さ方向
図1
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