IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱交換器 図1
  • 特開-熱交換器 図2
  • 特開-熱交換器 図3
  • 特開-熱交換器 図4
  • 特開-熱交換器 図5
  • 特開-熱交換器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166898
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
F28F9/02 301D
F28F9/02 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083313
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 章博
(72)【発明者】
【氏名】金子 智
(57)【要約】
【課題】熱媒体の流入出接続口の大径を維持しつつ、加締めによってキャップ部材と筒状部材の嵌合部に隙間が生じてしまうことによるロウ付け不良抑制する。また、誤った向きでヘッダタンクを組み立ててしまう組み間違えを抑制することを可能とする。
【解決手段】積層配置されるチューブの両端にヘッダタンクが設けられる熱交換器であって、ヘッダタンクは、チューブを接続するヘッダプレートと、ヘッダプレートと結合して筒状部材を形成するするタンクプレートと、筒状部材の一端の外側を覆うようにして閉塞し、熱媒体の流入出を可能とするための接続口が設けられる第一キャップ部材と、筒状部材の他端を閉塞する第二キャップ部材と、を備え、筒状部材は、前記一端側においてヘッダプレートとタンクプレートの結合部に、タンクプレートがヘッダプレート側に押し込まれることを規制する規制部が設けられている熱交換器を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層配置されるチューブの両端にヘッダタンクが設けられる熱交換器であって、
前記ヘッダタンクは、
チューブを接続し、前記チューブの積層方向に延在するヘッダプレートと、
前記ヘッダプレートと結合して筒状部材を形成するタンクプレートと、
前記筒状部材の一端の外側を覆うようにして閉塞し、熱媒体の流入出を可能とするための接続口が設けられる第1キャップ部材と、
前記筒状部材の他端を閉塞する第2キャップ部材と、を備え、
前記筒状部材は、
少なくとも前記一端側において前記ヘッダプレートと前記タンクプレートの結合部に、前記タンクプレートが前記ヘッダプレート側に押し込まれることを規制する規制部が設けられている熱交換器。
【請求項2】
前記規制部は、
前記ヘッダプレートの短手方向端部内側に設けられる溝部と前記タンクプレートの短手方向端部外側に設けられる突部、または、前記ヘッダプレートの短手方向端部内側に設けられる突部と前記タンクプレートの短手方向端部外側に設けられる溝部とから成り、
前記溝部の溝底と前記突部の先端の当接によって前記タンクプレートが前記ヘッダプレート側に押し込まれることを規制する請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記溝部は、
前記ヘッダプレートまたは前記タンクプレートの短手方向端部側に向かって開口している請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第2キャップ部材は、
前記ヘッダタンクの内部に向かって膨出する膨出面を有しており、
前記膨出面は、
前記タンクプレートが前記ヘッダプレート側に押し込まれることを規制することが可能である請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記規制部は、
前記筒状部材の長手方向の中心に対して対称とならない位置に設けられている請求項1に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッダタンクを備えた熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器を構成するヘッダタンクにおいて、ヘッダプレートとタンクプレートによって筒状部材を形成し、流入出ダクトを接続するキャップ部材を筒状部材の開口の外側を覆うように嵌め込み、キャップ部材に設けられた加締め部によって加締めることで固定するものが知られている。
【0003】
これによると、嵌合部が筒状部材の外側に嵌るので、筒状部材の内側に嵌るものに比べて、熱媒体の流入出接続口を大径にすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5816038号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、キャップ部材の嵌合部が筒状部材の外側に嵌るような状態で加締めると、加締めの力によってタンクプレートがヘッダプレート側に過度に押し込まれることがあり、それによりキャップ部材と筒状部材の嵌合部に隙間が生じてしまい、ロウ付け不良の要因となり得る問題があった。
【0006】
また、ヘッダプレートとタンクプレートによって筒状部材を形成する際、片方のプレートを180°反転させても組み立てることが可能なことから、誤った向きで組み立ててしまった場合、加締めの際に本来の加締め位置とずれることがあり、これもロウ付け不良の要因となり得る。
【0007】
本発明は、このような事情に対処するために提案されたものである。すなわち、熱媒体の流入出接続口の大径を維持しつつ、加締めによってキャップ部材と筒状部材の嵌合部に隙間が生じてしまうことによるロウ付け不良を抑制する。また、誤った向きでヘッダタンクを組み立ててしまう組み間違えを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明に係る熱交換器は、積層配置されるチューブの両端にヘッダタンクが設けられる熱交換器であって、前記ヘッダタンクは、チューブを接続し、前記チューブの積層方向に延在するヘッダプレートと、前記ヘッダプレートと結合して筒状部材を形成するタンクプレートと、前記筒状部材の一端の外側を覆うようにして閉塞し、熱媒体の流入出を可能とするための接続口が設けられる第1キャップ部材と、前記筒状部材の他端を閉塞する第2キャップ部材と、を備え、前記筒状部材は、少なくとも前記一端側において前記ヘッダプレートと前記タンクプレートの結合部に、前記タンクプレートが前記ヘッダプレート側に押し込まれることを規制する規制部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴によると、本発明は、熱媒体の流入出接続口の大径を維持しつつ、加締めによってキャップ部材と筒状部材の嵌合部に隙間が生じてしまうことによるロウ付け不良抑制する。また、誤った向きでヘッダタンクを組み立ててしまう組み間違えを抑制することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器の全体斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るヘッダタンクの分解斜視図。
図3】本発明の実施形態に係るヘッダタンクの短手方向断面図。
図4】本発明の実施形態に係るヘッダタンクの長手方向断面図。
図5】従来のヘッダタンクの長手方向断面図。
図6】本発明の実施形態に係る溝部及び突部の別形状例。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1に示すように、熱交換器1は、第1ヘッダタンク11と、第2ヘッダタンク12と、第1ヘッダタンク11と第2ヘッダタンク12との間に形成された熱交換コア部10で構成される。
【0013】
熱交換コア部10は、複数のチューブ100からなる、空気の流通方向(図示Y軸方向)に平行に配列される第1チューブ群100a及び第2チューブ群100bと、複数のチューブ100の間に設けられるフィン(不図示)と、複数のチューブ100の積層方向(図示X軸方向)の両端に設けられた一対のサイドプレート101とを有している。第1チューブ群100a及び第2チューブ群100bは、複数のチューブ100が図示X軸方向に積層に配置されて構成されている。熱交換器1では、第1ヘッダタンク11又は第2ヘッダタンク12を介して熱交換コア部10のチューブ100を図中Z軸方向に流れる熱媒体(冷却水等)と、熱交換コア部10を図中Y軸方向に沿って通過する流体(例えば、空気)との間で熱交換が行われる。
【0014】
図1に示す熱交換器1は、熱媒体が入口パイプ2から第1ヘッダタンク11に流入し、熱交換コア部10の第1チューブ群100aを通過して第2ヘッダタンク12に流入した後、熱交換コア部10の第2チューブ群100bを通過して第1ヘッダタンクに戻り出口パイプ3へ流出していく。
【0015】
第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12は、チューブ100の積層方向(図示X軸方向)の両端において開口する筒状部材13と、筒状部材13の開口を閉塞するキャップ部材として、タンクキャップ50及びパイプキャップ60を有する。また、筒状部材13は、熱交換コア部10の空気の流通方向(図示Y軸方向)に間延びしたU字形状のタンクプレート20とヘッダプレート30とから形成されている(図2参照)。以下の説明において、第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12、筒状部材13、タンクプレート20及びヘッダプレート30の短手方向は、熱交換コア部10の空気の流通方向(図示Y軸方向)とし、長手方向は、チューブ100の積層方向(図示X軸方向)とする。
【0016】
タンクプレート20とヘッダプレート30とを結合し、その長手方向の両端をタンクキャップ50及びパイプキャップ60で閉塞することで、内部に熱媒体の溜まり空間が形成される。図示の例では、第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12は筒状部材の一端の開口をパイプキャップ60、他端の開口をタンクキャップ50で閉塞している。
【0017】
次に、図2を用いて、本発明における第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12の構成について説明する。
図2には第1ヘッダタンク11の分解斜視図を示している。第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12は、タンクプレート20とヘッダプレート30から形成される筒状部材13とタンクキャップ50及びパイプキャップ60から形成されており、第1ヘッダタンク11は、仕切板40が設けられている。
【0018】
仕切板40は、第1ヘッダタンク11の長手方向に沿うように設けられている。仕切板40は、第1ヘッダタンク11の内部を第1ヘッダタンク11の短手方向(図示Y軸方向)の一端側の領域αと、第1ヘッダタンク11の短手方向(図示Y軸方向)の他端側の領域βに仕切るように設けられており(図3参照)、領域αに溜まる熱媒体と領域βに溜まる熱媒体は互いに他領域に侵入できないようになっている。具体的には、領域αには、入口パイプ2から流入してきた熱媒体が溜まり、領域βには、第2ヘッダタンク12から熱交換コア部10の第2チューブ群100bを通過してきた熱媒体が溜まるようになっている。
【0019】
タンクプレート20及びヘッダプレート30には、ヘッダタンクの強度を向上させるために、それぞれ内面側に突出するリブ21(図3参照),31が設けられている。ヘッダプレート30のリブ31には、チューブ100を差し込むためのチューブ挿入部31Dが設けられている。タンクプレート20及びヘッダプレート30において、リブ21,31が形成された部分の外面側はリブ溝21A,21B,31A,31Bが形成されている。タンクプレート20及びヘッダプレート30の長手方向両端に形成されるリブ溝21B,31Bは、後述する加締めをする専用のリブ溝として、その他のリブ溝21A,31Aとは異なる形状を有している。また、ヘッダプレート30の長手方向両端に形成されるリブ溝31Bはサイドプレート101を挿入するためのサイドプレート挿入部31Cが設けられている。
【0020】
ヘッダプレート30は、ヘッダプレート30の短手方向端部32から延在する加締爪32Aを有している。加締爪32Aは、タンクプレート20のリブ溝21Aに加締めることで、タンクプレート20とヘッダプレート30とを固定するために設けられる。
【0021】
タンクプレート20の長手方向一端付近、且つ短手方向端部22の両側には、図示するように外面に突出する突部23が設けられており、ヘッダプレート30の長手方向一端付近、且つ短手方向端部32の両側の内面には、突部23に対応する位置に溝部33が設けられている。溝部33の形状は突部23に対応した形状であり、後述する加締めの際に突部23は溝部33に略すきまなく合うようになっている。突部23及び溝部33はタンクプレート20及びヘッダプレート30の長手方向他端付近には設けられていない。
【0022】
タンクキャップ50及びパイプキャップ60には、加締めによってキャップ部材と筒状部材13を固定するための加締爪51,61が設けられている。それぞれ加締爪51,61は、タンクプレート20及びヘッダプレート30の長手方向両端に設けられるリブ溝21B,31Bに加締めることでキャップ部材と筒状部材13固定する。図示では、タンクプレート20及びヘッダプレート30に加締め専用のリブ溝21B,31Bが設けたが、専用の形状でないリブ溝21A,31Aであっても加締めは可能である。
【0023】
パイプキャップ60には、入口パイプ2及び出口パイプ3を接続するための接続口62が設けられており、入口パイプ2が接続される接続口62が熱媒体の流入口となり、出口パイプ3が接続される接続口62が熱媒体の流出口となる。本実施例では第2ヘッダタンク12に備えられるパイプキャップ60には入口パイプ2及び出口パイプ3は接続されていないため、第2ヘッダタンク12に備えられるパイプキャップ60の接続口62は塞がれている。
【0024】
次に、本発明における第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12の組み立てついて説明する。
図3に示すように、第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12の筒状部材13は、タンクプレート20の短手方向端部22がヘッダプレート30の短手方向端部32の内側に入り込むようにして組み立てられる。第1ヘッダタンク11は、タンクプレート20とヘッダプレート30を組み立てる際に前述したように仕切板40を組み込む。また、図示はしていないが、第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12の組み立ては、ヘッダプレート30のチューブ挿入部31Dにチューブ100が差し込まれた状態で行う。
【0025】
筒状部材13は長手方向において、タンクプレート20とヘッダプレート30の突部23と溝部33が同一側になるようにして組み立てて形成される。筒状部材13を形成した後、筒状部材13の長手方向一端の開口をパイプキャップ60で閉塞し、他端の開口をタンクキャップ50で閉塞する。この際、筒状部材13の長手方向において突部23及び溝部33が設けられている側の開口をパイプキャップ60で閉塞する。
【0026】
その後、ヘッダプレート30の短手方向端部32に設けられる加締爪32Aと、タンクキャップ50及びパイプキャップ60に設けられる加締爪51,61で加締めをして、最後にロウ付けを行うことで第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12は形成される。
【0027】
加締めは、ヘッダプレート30の加締爪32Aをタンクプレート20のリブ溝21Aに加締め、タンクキャップ50及びパイプキャップ60の加締爪51,61を、タンクプレート20及びヘッダプレート30のリブ溝21B及び31Bに加締めることで行われる。タンクキャップ50及びパイプキャップ60の加締爪51,61をヘッダプレート30のリブ溝31Bに加締める際は、サイドプレート挿入部31Cにサイドプレート101が挿入された状態のリブ溝31Bに加締める。
【0028】
加締めの際、例えば第1ヘッダタンク11では、図3に示すように仕切板40を支点としてタンクプレート20の短手方向端部22がヘッダプレート30側に押し込まれていき、それに伴い突部23が溝部33に入り込んでいく。
【0029】
突部23の先端23Aが溝部33の溝底33Aに当接すると、タンクプレート20の短手方向端部22は溝底33Aから生じる抵抗によってヘッダプレート30側へ押し込まれなくなる。すなわち、突部23の先端23Aと溝部33の溝底33Aの当接部がタンクプレート20の押し込まれを規制する規制部となることで、加締めによって、タンクプレート20が過度にヘッダプレート30側へ押し込まれることを抑制できる。
【0030】
図4に示すように、タンクキャップ50とパイプキャップ60の形状は異なっている。タンクキャップ50は、内側に膨出し筒状部材13の開口を塞いだ際に、タンクプレート20とヘッダプレート30の長手方向端部に挟み込まれる膨出面52を有している。加締めの際には、膨出面52の側面52Aがタンクプレート20及びヘッダプレート30を押し返す力が加締めへの抵抗となることで、タンクキャップ50で塞がれた筒状部材13の長手方向他端側は加締めによってタンクプレート20の短手方向端部22がヘッダプレート30側に押し込まれ難くなっている。
【0031】
一方で、パイプキャップ60は、入口パイプ2から熱媒体が流れ込むためや出口パイプ3から熱媒体が流れ出ていくための開口面をできるだけ広く確保する必要があることから、タンクキャップ50のように内側に膨出する膨出面は有しておらず、筒状部材13の開口を外側から覆う形状となっているためパイプキャップ60は加締めへの抵抗を生じさせる構造を有していない。
【0032】
すなわち、筒状部材13の長手方向一端側のパイプキャップ60で閉塞される側において、突部23の先端23Aが溝部33の溝底33Aに当接することで生じる抵抗によってタンクプレート20の短手方向端部22がヘッダプレート30側に過度に押し込まれることを抑制し、押し込まれによってパイプキャップ60と筒状部材の嵌合部に隙間が生じてしまうことを防止することでロウ付け不良を抑制する。
【0033】
図4図5を用いて本発明におけるヘッダタンクと従来のヘッダタンクについての比較説明を行う。
図5に示すように、従来のタンクプレート20E及びヘッダプレート30Eから形成される筒状部材13Eには、本発明におけるような突部や溝部から成る規制部は設けられておらず、加締めをした際はタンクプレート20Eの短手方向端部22Eがヘッダプレート30Eに設けられるリブ31Eに接するまで押し込まれる。
【0034】
タンクプレート20Eの短手方向端部22Eがヘッダプレート30Eのリブ31Eに接するまで押し込まれると、膨出面52を有しないパイプキャップ60側の開口端部において、パイプキャップ60とタンクプレート20Eとの間に図示するような隙間Cが発生する。このような隙間Cはロウ付け不良の要因となり、ロウ付け不良は、例えばヘッダタンクに流入した熱媒体が漏れ出してしまうことやヘッダタンクの破損の原因となり得る。
【0035】
本発明におけるヘッダタンクでは、前述したように突部23と溝部33から成る規制部によってタンクプレート20の短手方向端部22がヘッダプレート30に設けられるリブ31に接するまで押し込まれることはない。また、溝部33の深さを調節することで、加締めをした際のタンクプレート20の短手方向端部22の押し込まれ具合を調節でき、パイプキャップ60と筒状部材13の嵌合部に隙間を生じさせず、且つ加締めによる固定の効果を得られる適切な形成が可能となる。
【0036】
ここまでの説明では、タンクプレート20に突部23が設けられ、ヘッダプレート30に溝部33が設けられるとしたが、これが逆であってもよい。つまり、タンクプレート20に溝部33を設けてヘッダプレート30に突部23を設けた場合であっても同様に先端23Aと溝底33Aの当接によって加締めへの抵抗を生じさせることが可能であり、嵌合部に隙間を生じさせずロウ付け不良の抑制が可能となる。
【0037】
また、突部23と溝部33の形状は、突部23と溝部33が略隙間なく嵌合できるものであればよい。例えば、図6に図示するように、溝部33がヘッダプレート30の短手方向端部側に開口しているようなものであってもよい。図示するような嵌合のガイド23B,33Bを有するような形状とすれば加締めの際に突部23が溝部33に入り込みやすくなり、組み立て性が向上する。
【0038】
また、ここまでの説明では、第1ヘッダタンク11及び第2ヘッダタンク12は筒状部材13の両端の開口の一端をタンクキャップ50で塞ぎ、他端をパイプキャップ60で塞ぐとしたが、第2ヘッダタンク12は入口パイプ2及び出口パイプ3を接続しない観点から両端をタンクキャップ50で塞いでもよい。この場合であっても突部23が設けられているタンクプレート20と、溝部33が設けられているヘッダプレート30を用いて筒状部材13を形成することで、突部23及び溝部33が目印となることで誤った向きでの組み立てを抑制することができる。
【0039】
また、突部23及び溝部33の位置はタンクプレート20及びヘッダプレート30の長手方向の中心において対称となるように設けられているものでなければよい。実施例では、タンクプレート20及びヘッダプレートの長手方向の一端のみに突部23及び溝部33が設けられているが、例えば長手方向の一端に加えて長手方向の中心に設けるようにしてもよい。筒状部材13の長手方向の中心に規制部を設けることで、長手方向中心付近においてタンクプレート20の短手方向端部22がヘッダプレート30側に過度に押し込まれることをより抑制でき、突部23及び溝部33の位置はタンクプレート20及びヘッダプレート30の位置が筒状部材13の長手方向の中心に対して対象とならないことで組み立て時にタンクプレート20とヘッダプレート30の正しい向きが一目でわかることから、180°反対向きでの誤った組み立てを抑制できる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は説明した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1:熱交換器、2:入口パイプ、3:出口パイプ、10:熱交換コア部、
11:第1ヘッダタンク、12:第2ヘッダタンク、13,13E:筒状部材、
20,20E:タンクプレート、23:突部、23A:先端、
30,30E:ヘッダプレート、33:溝部、33A:溝底、
21,31,31E:リブ、21A,21B,31A,31B:リブ溝、
31C:サイドプレート挿入部、31D:チューブ挿入部、
22,22E,32:短手方向端部、23B,33B:ガイド、40:仕切板、
50:タンクキャップ、52:膨出面、52A:側面、
60:パイプキャップ、62:接続口、
32A,51,61:加締爪、
100:チューブ、100a:第1チューブ群、100b:第2チューブ群、
101:サイドプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6