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特開2024-166900給湯器と通信する携帯通信端末で実行されるプログラム、および給湯器
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  • 特開-給湯器と通信する携帯通信端末で実行されるプログラム、および給湯器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166900
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】給湯器と通信する携帯通信端末で実行されるプログラム、および給湯器
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241122BHJP
   H04W 12/50 20210101ALI20241122BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20241122BHJP
   H04W 4/80 20180101ALI20241122BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20241122BHJP
   F24H 15/464 20220101ALI20241122BHJP
   F24H 15/443 20220101ALI20241122BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W12/50
H04W84/10 110
H04W4/80
H04M1/00 V
F24H15/464
F24H15/443
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083317
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂上 大希
(72)【発明者】
【氏名】神吉 英二
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真一
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE35
5K067FF23
5K067HH22
5K127AA13
5K127BA03
5K127BB25
5K127GA14
5K127GD21
5K127GE06
5K127HA08
5K127JA42
(57)【要約】
【課題】近距離無線通信を用いて任意の給湯器とのペアリングを行なう技術を提供する。
【解決手段】近距離無線通信可能な携帯通信端末150と給湯器202,204とが実行する処理は、携帯通信端末150がBLE機器をスキャンするステップ(S215)と、給湯器の一覧を表示するステップ(S225)と、携帯通信端末150が接続用データを生成するステップ(S240)と、携帯通信端末150が接続用データを給湯器に送信するステップ(S245)と、給湯器が接続用データを受信するステップ(S250)と、給湯器に送信した接続用データと入力された接続用データとが一致する場合に(ステップS270にてYES)、携帯通信端末150が、接続が完了した給湯器の操作画面を表示するステップ(S285)と、携帯通信端末150が給湯器と通信するステップ(S290)とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示可能な一以上の給湯器と通信する携帯通信端末で実行されるプログラムであって、前記プログラムは、
前記一以上の給湯器からそれぞれブロードキャスト送信される信号を受信するステップと、
前記信号に基づいて前記一以上の給湯器を接続先候補として前記携帯通信端末のモニタに表示するステップと、
前記一以上の給湯器のいずれかの選択を受け付けるステップと、
通信を確立するための認証情報を、前記選択された給湯器に送信して、前記給湯器に前記認証情報を表示させるステップと、
前記認証情報の入力を受け付けるステップと、
前記入力された認証情報と前記給湯器に送信された認証情報とが一致することに基づいて、前記選択された給湯器と前記携帯通信端末との通信を確立するステップと、を前記携帯通信端末に実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記信号を受信するステップは、前記携帯通信端末による接続先を限定するフィルタを介して前記信号を受信するステップを含む、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは前記携帯通信端末に、通信が確立されていた給湯器との通信が遮断された後に、前記一以上の給湯器との接続を促すステップをさらに実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
給湯器であって、
前記給湯器を特定する識別情報を含むブロードキャスト信号を送信するための送信手段と、
前記ブロードキャスト信号を受信した携帯通信端末から、前記識別情報により特定される前記給湯器と前記携帯通信端末との通信接続を確立する認証情報を受信するための受信手段と、
前記認証情報を表示するための表示手段と、
前記携帯通信端末との通信接続が確立されたことに基づいて前記給湯器の動作を制御するための制御手段とを備える、給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給湯器に関し、より特定的には、給湯器を制御するための通信端末と当該給湯器との接続に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Bluetooth(ブルートゥース:登録商標)等の近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)によってスマートフォン等の通信端末とペアリングできる給湯器が知られている。
【0003】
たとえば、特開2020-95650号公報(特許文献1)は、「遠隔制御の対象とされる給湯装置が自宅から遠く離れた場所にある場合であっても、セキュリティを確保しながら円滑かつ簡便に、給湯装置と携帯端末装置とをペアリングすることが可能な給湯システムおよびプログラム」を開示している([要約]参照)。
【0004】
また、特開2018-156182号公報(特許文献2)は、「通信端末による被操作機器の操作を可能にするための認証手続きを被操作機器から遠く離れた任意の場所から行うことができる認証システム」を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-95650号公報
【特許文献2】特開2018-156182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、狭いエリア内に複数の給湯器が近接して設置される場合がある。このような場合において、通信端末が任意の給湯器とのペアリングを行いたいとき、それぞれの給湯器がNFCの信号を出力しているため、当該通信端末が、他の給湯器から出力される信号を先に受信すると、当該任意の給湯器とのペアリングを行うことができない場合がある。したがって、任意の給湯器とのペアリングを行なう技術が必要とされている。
【0007】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面に従う目的は、任意の給湯器とのペアリングを可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施の形態に従うと、情報を表示可能な一以上の給湯器と通信する携帯通信端末で実行されるプログラムが提供される。このプログラムは、一以上の給湯器からそれぞれブロードキャスト送信される信号を受信するステップと、信号に基づいて一以上の給湯器を接続先候補として携帯通信端末のモニタに表示するステップと、一以上の給湯器のいずれかの選択を受け付けるステップと、通信を確立するための認証情報を、選択された給湯器に送信して、給湯器に当該認証情報を表示させるステップと、認証情報の入力を受け付けるステップと、入力された認証情報と給湯器に送信された認証情報とが一致することに基づいて、選択された給湯器と携帯通信端末との通信を確立するステップと、を携帯通信端末に実行させる。
【0009】
ある局面において、信号を受信するステップは、携帯通信端末による接続先を限定するフィルタを介して信号を受信するステップを含む。
【0010】
ある局面において、プログラムは携帯通信端末に、通信が確立されていた給湯器との通信が遮断された後に、一以上の給湯器との接続を促すステップをさらに実行させる。
【0011】
他の実施の形態に従うと、給湯器が提供される。この給湯器は、給湯器を特定する識別情報を含むブロードキャスト信号を送信するための送信手段と、ブロードキャスト信号を受信した携帯通信端末から、識別情報により特定される給湯器と携帯通信端末との通信接続を確立する認証情報を受信するための受信手段と、認証情報を表示するための表示手段と、携帯通信端末との通信接続が確立されたことに基づいて給湯器の動作を制御するための制御手段とを備える。
【0012】
ある局面に従うと、任意の給湯器とペアリングすることができる。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】給湯システム10を構成する給湯器100および携帯通信端末150の構成の概略を例示するブロック図である。
図2】携帯通信端末150のユーザが複数の給湯器のうち一つの給湯器と携帯通信端末150との接続を確立する時に行なわれる処理の手順の一部を表わすフローチャートである。
図3】給湯器との接続が確立していた携帯通信端末150が当該給湯器から離れたことにより接続が遮断された後に行なわれ得る処理の手順の一部を表わすフローチャートである。
図4】携帯通信端末150が給湯器との通信接続を確立する際にモニタ166に表示される画面の推移を表わす図である。
図5】給湯器と既に接続している携帯通信端末150が通信圏外に移動した後に、改めて給湯器との通信可能な範囲に移動した場合にモニタ166に表示される画面を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
図1を参照して、本実施の形態に従う給湯システム10について説明する。図1は、給湯システム10を構成する給湯器100および携帯通信端末150の構成の概略を例示するブロック図である。
【0016】
[給湯器]
給湯器100は、給湯器100の動作を制御する制御装置110を備える。制御装置110は、制御回路120と、通信回路122と、メモリ124と、表示装置126とを含む。制御回路120は、給湯器100と携帯通信端末150との通信を制御する。
【0017】
通信回路122は、ある局面において、送信手段として、給湯器100を特定する識別情報(たとえば、製造番号、型番等)を含む信号を送信する。送信の形態は、所謂ブロードキャスト送信である。通信回路122の通信形式がBluetoothである場合は、通信回路122は、当該識別情報を含むアドバタイズ信号を送信する。他の局面において、通信回路122は、受信手段として、携帯通信端末150その他の通信装置から発信された信号を受信する。なお、通信形式はBluetoothに限られず、その他の近距離無線通信形式が用いられてもよい。
【0018】
メモリ124は、給湯器100を特定する識別情報を保持している。
表示装置126は、数字あるいは文字その他の情報を表示する領域127を含む。たとえば、表示装置126は、7セグメントディスプレイによって実現される。ある局面において、表示装置126は、通信回路122によって受信された信号に含まれる接続用データ(認証情報)を領域127に表示する。表示される情報は、携帯通信端末150によって生成された数字を含むが、その他の情報が表示されてもよい。当該数字は、たとえば、3桁の数字であるが、2桁以下あるいは4桁以上の数字が領域127に表示されてもよい。
【0019】
[携帯通信端末]
携帯通信端末150は、専用の携帯通信端末または汎用の携帯通信端末のいずれであってもよい。以下では、本実施の形態に従う携帯通信端末150が、所謂スマートフォンあるいはタブレット端末のような汎用の携帯通信端末であるとして説明する。
【0020】
携帯通信端末150は、プログラムを実行するプロセッサ160と、通信回路162と、プログラムを格納したメモリ164と、モニタ166とを備える。
【0021】
プロセッサ160は、メモリ164から読み出したプログラムを実行することにより、携帯通信端末150の動作を制御する。
【0022】
メモリ164は、フラッシュメモリその他の不揮発性のメモリと、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性のメモリとを含み得る。メモリ164は、携帯通信端末150が給湯器を制御するためのプログラム165を保持している。また、メモリ164は、携帯通信端末150と給湯器との接続を確立するための接続用データ(認証情報)を保持し得る。
【0023】
通信回路162は、プロセッサ160の制御に基づいて、給湯器100と通信する。通信回路162による通信形式は、例えば、Bluetooth(登録商標)その他の近距離無線通信方式であるが、その他の通信方式も採用され得る。
【0024】
モニタ166は、たとえば、タッチパネル式のモニタである。当該モニタは、液晶または有機EL(Electro Luminescence)モニタによって実現される。ある局面において、モニタ166は、携帯通信端末150のユーザによるタッチ操作を受け付ける。他の局面において、モニタ166は、一以上の給湯器からそれぞれブロードキャスト送信される信号に基づいて当該一以上の給湯器を接続先候補として表示する。別の局面において、モニタ166は、給湯器100との接続を制御する認証情報の入力を受け付ける領域167を表示する。領域167は、たとえば、数字、記号その他のデータの入力を受け付ける。
【0025】
図1の例示では、給湯器100の表示装置126は、認証情報として3桁の数字「123」を領域127に表示している。また、携帯通信端末150は、当該接続用データを視認したユーザによって、3桁の数字123が領域167に入力されたことを示している。なお、領域127に表示される認証情報および領域167に入力される認証情報は、図1に例示されるものに限られない。
【0026】
[制御構造]
図2および図3を参照して、本実施の形態に従う給湯器100と携帯通信端末150との接続について説明する。図2は、携帯通信端末150のユーザが複数の給湯器のうち一つの給湯器と携帯通信端末150との接続を確立する時に行なわれる処理の手順の一部を表わすフローチャートである。
【0027】
ステップS210にて、ユーザ200は、携帯通信端末150を操作して、近距離無線通信方式によるスキャンを指示する。
【0028】
ステップS215にて、携帯通信端末150のプロセッサ160は、当該スキャンの指示に応答して、通信回路162を駆動し、BLE(Bluetooth Low Energy)機器をスキャンする。たとえば、携帯通信端末150が複数の給湯器202,204と通信可能な範囲にある場合には、いずれの給湯器202,204もスキャンされ得る。また、BLE機能を有する他の電子機器もスキャンされ得る。
【0029】
ステップS220にて、プロセッサ160は、BLE機能を有する給湯器202,204および他の電子機器から受信した信号に含まれる情報のうち、給湯器を区別する情報を用いて、スキャン結果をフィルタリングし、給湯器202,204のみを抽出する。
【0030】
ステップS225にて、プロセッサ160は、モニタ166に、フィルタリングした結果として接続可能な給湯器の一覧として、給湯器202,204の一覧を表示する。ユーザ200は、その一覧を見ながら、携帯通信端末150との接続を確立する給湯器を選択できる。
【0031】
ステップS230にて、プロセッサ160は、一覧から給湯器を選択するユーザ200のタッチ操作を受け付ける。
【0032】
ステップS235にて、プロセッサ160は、当該タッチ操作に基づいて給湯器202が選択されたことを検知する。
【0033】
ステップS240にて、プロセッサ160は、給湯器202との通信接続を確立するための接続用データとして3桁の数字を生成する。当該接続用データは認証情報として、携帯通信端末150および各給湯器によって使用される。プロセッサ160は、生成した接続用データをメモリ164に格納する。ある局面において、プロセッサ160は、乱数生成器を用いて当該3桁の数字を生成する。他の局面において、プロセッサ160は、給湯器と通信するプログラムに予め準備された複数の3桁の数字のうちいずれかを読み出してもよい。なお、接続用データは3桁の数字に限られず、2桁以下でもよく、あるいは4桁以上でもよい。また、接続用データは、数字に限られず、記号あるいは文字(例えば、アルファベット、平仮名等)が使用されてもよい。
【0034】
ステップS245にて、プロセッサ160は、当該接続用データを送信する。ある局面において、接続用データは、給湯器202の識別情報と共に送信される。複数の給湯器202,204が当該接続用データを受信した場合、当該識別情報で特定される給湯器202が受信したデータを採用し、他の給湯器204は当該データを処理することなく破棄する。
【0035】
ステップS250にて、給湯器202は、携帯通信端末150から受信した接続用データ(3桁の数字)を表示する。
【0036】
ステップS255にて、携帯通信端末150は、モニタ166に、接続用データの入力を受け付ける画面を表示する。
【0037】
ステップS260にて、ユーザ200は、給湯器202に表示された3桁の数字を視認すると、その3桁の数字を、モニタ166に表示された画面における所定の領域に入力する。
【0038】
ステップS265にて、プロセッサ160は、接続用データの入力を検知する。
ステップS270にて、プロセッサ160は、生成した接続用データ(ステップS240)と、入力された接続用データ(ステップS265)とが一致するか否かを判断する。プロセッサ160は、これらの接続用データが一致すると判断した場合には(ステップS270にてYES)、制御をステップS280に切り換える。そうでない場合には(ステップS270にてNO)、プロセッサ160は、制御をステップS275に切り換える。
【0039】
ステップS275にて、プロセッサ160は、入力された接続用データが誤りであり、接続用のデータの再入力を促す画面をモニタ166に表示する。
【0040】
ステップS280にて、プロセッサ160は、接続が完了した給湯器202の識別情報をメモリ164に保存する。
【0041】
ステップS285にて、プロセッサ160は、画面表示用のデータをメモリ164から読み出して、給湯器202の操作画面をモニタ166に表示する。
【0042】
ステップS290にて、携帯通信端末150は、ユーザ200による操作の内容に応じて、給湯器202と通信し、給湯器202の動作を制御する。制御される動作は、例えば、設定温度の表示または変更その他給湯器202の専用リモコンによって制御される動作を含み得る。
【0043】
図3は、給湯器との接続が確立していた携帯通信端末150が当該給湯器から離れたことにより接続が遮断された後に行なわれ得る処理の手順の一部を表わすフローチャートである。以下では、携帯通信端末150と給湯器302とが通信接続しており、携帯通信端末150と給湯器304とは過去に通信接続していた場合を前提に説明する。
【0044】
ステップS310にて、携帯通信端末150を把持しているユーザ200は、給湯器302との近距離無線通信可能な範囲から通信圏外まで離れる。
【0045】
ステップS315にて、携帯通信端末150のプロセッサ160は、給湯器302との通信が遮断したことを検知する。
【0046】
ステップS320にて、プロセッサ160は、利用中の給湯器302が圏外になったことを通知するメッセージをモニタ166に表示する。このとき、携帯通信端末150は、過去に接続したことのある他の給湯器304が近距離無線通信圏内に存在していたとしても、自動的には接続しない。
【0047】
ステップS330にて、ユーザ200が、利用中の給湯器302との近距離無線通信圏内に再び移動すると、携帯通信端末150は、利用中の給湯器302との近距離無線通信圏内にいることを検知する。
【0048】
ステップS335にて、携帯通信端末150は、給湯器302と自動的に再接続する。例えば、携帯通信端末150は、メモリ164に格納されている通信履歴に基づいて、最後に接続していた給湯器が給湯器302であることを確認した上で、給湯器302と接続する。なお、この再接続が可能な時間は、携帯通信端末150と利用中の給湯器との接続が遮断してから予め定められた時間に限定してもよい。この時間は、例えば、30分、一時間というように予め設定されてもよく、携帯通信端末150のユーザが任意に入力可能な時間であってもよい。
【0049】
なお、他の局面において、携帯通信端末150を把持しているユーザ200が、利用中の給湯器302との通信圏内から外れた場合において、別の給湯器との通信可能な範囲内に移動した場合、携帯通信端末150は、前述のステップS225~290の処理を実行して、当該他の給湯器との通信接続を確立し得る。
【0050】
[表示画面]
図4および図5を参照して、携帯通信端末150による画面の表示態様について説明する。図4は、携帯通信端末150が給湯器との通信接続を確立する際にモニタ166に表示される画面の推移を表わす図である。
【0051】
画面(A)は、ユーザ200が携帯通信端末150を操作して、給湯器を制御するためのアプリケーションプログラム(所謂アプリ)を起動した時にモニタ166に表示される。携帯通信端末150が給湯器と近距離無線通信可能な範囲にない場合には、モニタ166は、近距離無線通信可能な範囲に移動することを促すメッセージ、たとえば、「給湯器から1m以内の場所に移動して下さい」を表示する。さらに、Bluetooth通信機能がオンになっていない場合には、モニタ166は、Bluetooth通信機能をオンにすることを促すメッセージを表示する。
【0052】
その後、携帯通信端末150が一台以上の給湯器と通信すると、画面(B)に示されるように、モニタ166は、通信接続可能な給湯器を表示する(ステップS222)。このとき、給湯器以外の電子機器がBluetooth通信機能を有する場合には、携帯通信端末150は、給湯器の識別情報を用いて通信可能な機器から給湯器のみを抽出してモニタ166に表示する(ステップS220)。ユーザ200が給湯器を選択すると、携帯通信端末150は、接続用データを当該給湯器に送信する。当該給湯器は、携帯通信端末150から受信した接続用データ(たとえば、3桁の数字999)を表示装置126に表示する(ステップS250)。
【0053】
携帯通信端末150は、給湯器の選択を検知すると、画面(C)に示されるように、当該給湯器に表示される数字を確認して当該番号の入力を促すメッセージをモニタ166に表示する(ステップS255)。入力された接続用データが給湯器に表示された接続用データに一致する場合には、携帯通信端末150と給湯器との通信接続が確立する。
【0054】
図5は、給湯器と既に接続している携帯通信端末150が通信圏外に移動した後に、改めて給湯器との通信可能な範囲に移動した場合にモニタ166に表示される画面を表わす図である。
【0055】
画面(A)は、一台の接続可能な給湯器を例示している。その後、ユーザ200が携帯通信端末150と当該給湯器との近距離無線通信圏外に移動すると、当該給湯器との通信接続は遮断されるが、携帯通信端末150は、当該給湯器の情報をメモリ164に保持している。
【0056】
その後、ユーザが二台の給湯器と通信可能な範囲に移動すると、画面(B)に示されるように、モニタ166は、接続可能な給湯器として、過去に接続していた給湯器に加えて、現時点で接続可能な他の給湯器も一覧に表示する。ユーザが、新たな給湯器として、現時点で接続可能な他の給湯器との接続を選択すると、携帯通信端末150は、当該他の給湯器との通信接続を開始する(ステップS225~S290)。
【0057】
なお、前述の実施の形態は、携帯通信端末150が、アドバタイズする複数の給湯器の各々と通信する態様を例示している。通信接続の確立は、この態様に限定されない。例えば、複数の給湯器のうちのいずれかが携帯通信端末150のように機能して、携帯通信端末150と給湯器との通信接続を確立してもよい。この場合、複数の給湯器のいずれかがマスタとして作動し、残りの給湯器がスレーブとして作動する。マスタまたはスレーブの設定は、予めユーザがいずれかに設定しても良く、あるいは、最初に携帯通信端末150との接続が確立された給湯器がマスタとして作動するように、当該給湯器がマスタであることを示すデータが当該給湯器のメモリ164に格納されてもよい。
【0058】
複数の給湯器が相互の通信により連携して大能力の給湯運転を行い得るように構成されたマルチ給湯システムにおいては、その複数の給湯器のうち1台の給湯器の制御部が、給湯システム全体の制御を担当するように構成されたものがある。その給湯システム全体を制御するように設定された制御部を有する給湯器は、マスタ給湯器と定義され、その他の給湯器はスレーブ給湯器と定義される。このマルチ給湯システムは、そのマスタ給湯器を、携帯通信端末150と給湯器との通信接続確立のためのマスタとして使用し、スレーブ給湯器を、携帯通信端末150と給湯器との通信接続確立のためのスレーブとして使用し得る。
【0059】
一例として、二つの給湯器のうち第1給湯器と携帯通信端末150との接続が確立している場合において、ユーザ200は、当該二つの給湯器のうちの第2給湯器との通信接続を希望する場合があり得る。この場合、携帯通信端末150は、モニタ166に通信可能な給湯器の一覧として、第1給湯器および第2給湯器を表示する。
【0060】
ユーザ200が第2給湯器との接続を選択すると、携帯通信端末150は、まず、第1給湯器に当該選択の内容を通知する。マスタとしての第1給湯器は、当該通知に応答して、Bluetooth通信機能に基づくアドバタイズの実行命令を第2給湯器に送信する。第2給湯器は、当該実行命令に応答して、アドバタイズを行ない、また、Bluetooth通信機能をオンにしてアドバタイズを行なっている旨を第1給湯器に通知する。
【0061】
第1給湯器は、携帯通信端末150に対して、第2給湯器との接続が可能になった旨を通知する。携帯通信端末150は、その旨を表わすメッセージをモニタ166に表示する。
【0062】
ユーザ200が第2給湯器との接続開始を指示すると、携帯通信端末150は、第2給湯器との間で前述の接続処理(ステップS225~S290)を実行する。
【0063】
以上のようにして、本実施の形態に従うと、複数の給湯器が相互に近接して設置されている場合であっても、携帯通信端末は、NFCによって任意の給湯器とペアリングできる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
開示された技術思想は、互いに近接して設置される複数の給湯器に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 給湯システム、100,202,204,302,304 給湯器、110 制御装置、120 制御回路、122 通信回路、124,164 メモリ、126 表示装置、127,167 領域、150 携帯通信端末、160 プロセッサ、166 モニタ、200 ユーザ。
図1
図2
図3
図4
図5