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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166901
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ワーク把持装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/26 20060101AFI20241122BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083319
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松谷 章吾
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AC03
4F208AJ08
4F208MA05
4F208MB01
4F208MC03
4F208MH06
4F208MJ14
4F208MJ15
4F208MJ22
(57)【要約】
【課題】ワークにおける第1把持部材と第2把持部材との間に位置する部分を効率良く加熱できるワーク把持装置を提供する。
【解決手段】ワーク把持装置10は、熱可塑性樹脂からなる平板状のワークWを上下方向Zに挟むことによりワークWを把持する第1把持部材としての上側把持部材30及び第2把持部材としての下側把持部材40を備えている。上側把持部材30は、ワークWの第1面Waと間隙Gを介して対向する上側平板部31と、ワークWの第1面Waに当接する上側湾曲部32とを有している。上側平板部31には、複数の上側貫通孔30hが設けられている。下側把持部材40は、上側平板部31と上下方向Zに重なる下側基部41と、上側湾曲部32と上下方向Zに重なるとともにワークWの第2面Wbに当接する下側把持部42とを有している。下側基部41には、複数の下側貫通孔40hが設けられている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる平板状のワークを周囲から加熱する際に前記ワークを挟むことにより前記ワークを把持するワーク把持装置であって、
前記ワークの把持方向において前記ワークの一方側に位置する第1把持部材と、前記把持方向において前記ワークの他方側に位置する第2把持部材とを備え、
前記第1把持部材は、前記ワークにおいて前記把持方向の前記一方側に位置する面である第1面と間隙を介して対向する第1基部と、前記ワークの前記第1面に当接する第1把持部とを有し、
前記第2把持部材は、前記第1基部と前記把持方向に重なる第2基部と、前記第1把持部と前記把持方向に重なるとともに前記ワークにおいて前記把持方向の前記他方側に位置する面である第2面に当接する第2把持部とを有し、
前記第1基部及び前記第2基部にはそれぞれ、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とするワーク把持装置。
【請求項2】
前記第1把持部材及び前記第2把持部材は、前記ワークの縁部を把持し、
前記第1把持部及び前記第2把持部はそれぞれ、前記縁部の延在方向において連続的に設けられている請求項1に記載のワーク把持装置。
【請求項3】
前記第1基部に設けられた前記貫通孔を第1貫通孔とし、前記第2基部に設けられた前記貫通孔を第2貫通孔としたとき、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記縁部の延在方向において交互に配置され、
前記縁部の延在方向において隣り合う前記第1貫通孔と前記第2貫通孔において、前記第1貫通孔の一部と前記第2貫通孔の一部とは前記把持方向に重なり合っている請求項2に記載のワーク把持装置。
【請求項4】
前記第2基部は、前記ワークの前記第2面と間隙を介して対向する請求項1に記載のワーク把持装置。
【請求項5】
前記第1把持部は、前記ワークの前記第1面と面接触する請求項1に記載のワーク把持装置。
【請求項6】
前記第1把持部は、軟質材からなる請求項1に記載のワーク把持装置。
【請求項7】
前記第1把持部において前記ワーク側に位置する面とは反対側の面及び前記第2把持部において前記ワーク側に位置する面とは反対側の面にはそれぞれ、黒体部が設けられている請求項1に記載のワーク把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱可塑性樹脂からなる平板状のワークを周囲から加熱する際にワークを挟むことによりワークを把持するワーク把持装置が開示されている。特許文献1に記載のワーク把持装置は、ワークの幅方向の端部を上下方向に挟むことによりワークを把持するクランプを複数備えている。複数のクランプは、ワークの幅方向と直交する奥行方向において所定の間隔を空けて配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6986802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークにおけるクランプの間に位置する部分は、クランプの存在により、クランプの間に位置しない部分と比較して加熱されにくい。このため、ワークにおけるクランプの間に位置する部分を効率良く加熱することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するためのワーク把持装置は、熱可塑性樹脂からなる平板状のワークを周囲から加熱する際に前記ワークを挟むことにより前記ワークを把持するワーク把持装置であって、前記ワークの把持方向において前記ワークの一方側に位置する第1把持部材と、前記把持方向において前記ワークの他方側に位置する第2把持部材とを備え、前記第1把持部材は、前記ワークにおいて前記把持方向の前記一方側に位置する面である第1面と間隙を介して対向する第1基部と、前記ワークの前記第1面に当接する第1把持部とを有し、前記第2把持部材は、前記第1基部と前記把持方向に重なる第2基部と、前記第1把持部と前記把持方向に重なるとともに前記ワークにおいて前記把持方向の前記他方側に位置する面である第2面に当接する第2把持部とを有し、前記第1基部及び前記第2基部にはそれぞれ、複数の貫通孔が設けられていることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、第1基部及び第2基部にはそれぞれ、複数の貫通孔が設けられている。このため、ワークにおける第1基部と第2基部との間に位置する部分は、貫通孔を介して加熱される。したがって、第1基部及び第2基部に貫通孔が設けられていない場合と比較して、ワークにおける第1把持部材と第2把持部材との間に位置する部分を効率良く加熱できる。また、第1基部は、ワークの第1面と間隙を介して対向している。このため、第1基部がワークの第1面に当接している場合と比較して、ワークの熱が第1基部に逃げにくい。これによっても、ワークにおける第1把持部材と第2把持部材との間に位置する部分を効率良く加熱できる。
【0007】
上記ワーク把持装置において、前記第1把持部材及び前記第2把持部材は、前記ワークの縁部を把持し、前記第1把持部及び前記第2把持部はそれぞれ、前記縁部の延在方向において連続的に設けられていてもよい。
【0008】
例えば、第1把持部及び第2把持部がそれぞれ、ワークの縁部の延在方向において不連続に設けられている場合、ワークの縁部には、縁部の延在方向において、第1把持部及び第2把持部によって把持される部分と把持されない部分とが生じる。この場合、ワークにおける把持される部分にワークの自重による荷重が集中するため、ワークに歪みが生じやすい。
【0009】
これに対し、上記構成によれば、第1把持部及び第2把持部はそれぞれ、縁部の延在方向において連続的に設けられている。このため、第1把持部及び第2把持部は、ワークの縁部を縁部の延在方向において連続的に把持することができる。したがって、ワークにおける把持される部分にワークの自重による荷重が集中することにより生じるワークの歪みを抑制できる。
【0010】
上記ワーク把持装置において、前記第1基部に設けられた前記貫通孔を第1貫通孔とし、前記第2基部に設けられた前記貫通孔を第2貫通孔としたとき、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記縁部の延在方向において交互に配置され、前記縁部の延在方向において隣り合う前記第1貫通孔と前記第2貫通孔において、前記第1貫通孔の一部と前記第2貫通孔の一部とは前記把持方向に重なり合っていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、ワークにおける第1基部と第2基部との間に位置する部分は、第1貫通孔、第2貫通孔、もしくは第1貫通孔及び第2貫通孔の両方を介して加熱される。つまり、ワークにおける第1基部と第2基部との間に位置する部分において、第1基部及び第2基部の両方により加熱が妨げられる領域が生じることを回避できる。したがって、ワークにおける第1把持部材と第2把持部材との間に位置する部分をより効率良く加熱することができる。
【0012】
上記ワーク把持装置において、前記第2基部は、前記ワークの前記第2面と間隙を介して対向してもよい。
上記構成によれば、第2基部がワークの第2面に当接している場合と比較して、ワークの熱が第2基部に逃げにくい。したがって、ワークにおける第1把持部材と第2把持部材との間に位置する部分をより効率良く加熱できる。
【0013】
上記ワーク把持装置において、前記第1把持部は、前記ワークの前記第1面と面接触してもよい。
上記構成によれば、第1把持部がワークの第1面に当接する際にワークに傷がつきにくい。
【0014】
上記ワーク把持装置において、前記第1把持部は、軟質材からなっていてもよい。
上記構成によれば、第1把持部がワークの第1面に当接する際にワークに傷がつきにくい。
【0015】
上記ワーク把持装置において、前記第1把持部において前記ワーク側に位置する面とは反対側の面及び前記第2把持部において前記ワーク側に位置する面とは反対側の面にはそれぞれ、黒体部が設けられていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、第1把持部におけるワーク側に位置する面とは反対側の面には黒体部が設けられている。このため、第1把持部は、ワークに印加される熱の一部を吸収することができる。第1把持部が吸収した熱はワークに伝わる。また、第2把持部におけるワーク側に位置する面とは反対側の面にも黒体部が設けられている。このため、第2把持部は、ワークに印加される熱の一部を吸収することができる。第2把持部が吸収した熱はワークに伝わる。したがって、ワークをより効率良く加熱することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ワークにおける第1把持部材と第2把持部材との間に位置する部分を効率良く加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、加熱プレス装置の加熱装置及び一対のワーク把持装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、加熱プレス装置のプレス装置及び一対のワーク把持装置を模式的に示す側面図である。
図3図3は、プレス前のプレス装置及び一対のワーク把持装置を模式的に示す側面図である。
図4図4は、プレス時のプレス装置及び一対のワーク把持装置を模式的に示す側面図である。
図5図5は、ワーク把持装置を示す斜視図である。
図6図6は、回動機構を示す斜視図である。
図7図7は、ワーク把持装置を示す断面図である。
図8図8は、上側把持部材及び下側把持部材を示す平面図である。
図9図9は、図8におけるA-A線に沿う断面図である。
図10図10は、図8におけるB-B線に沿う断面図である。
図11図11は、図8におけるC-C線に沿う断面図である。
図12図12は、ワークを示す平面図である。
図13図13は、変更例におけるワーク把持装置を示す断面図である。
図14図14は、変更例におけるワーク把持装置を示す断面図である。
図15図15は、変更例におけるワーク把持装置を示す断面図である。
図16図16は、変更例におけるワーク把持装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、ワーク把持装置を具体化した一実施形態を図1図12にしたがって説明する。
<加熱プレス装置>
図1及び図2に示すように、加熱プレス装置100は、ワークWを加熱する加熱装置110と、加熱されたワークWをプレスするプレス装置120と、ワークWを把持する一対のワーク把持装置10とを備えている。
【0020】
ワークWは、熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PC(ポリカーボネート)、PA6(ポリアミド6)、PA66(ポリアミド66)、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)が挙げられる。本実施形態のワークWは、PC(ポリカーボネート)からなる。ワークWは、平板状である。本実施形態のワークWは、矩形状である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の加熱装置110は、ワークWの上側及び下側からワークWを加熱する。加熱装置110は、上下方向Zに配置された上側ヒータ111及び下側ヒータ112を備えている。上側ヒータ111及び下側ヒータ112は、例えば、IRヒータ(遠赤外線ヒータ)である。
【0022】
図2に示すように、本実施形態のプレス装置120は、ワークWを上下方向Zにプレスする。プレス装置120は、上下方向Zに配置された上側プレス型121及び下側プレス型122を備えている。上側プレス型121及び下側プレス型122は、上下方向Zにおいて互いに近付いたり離れたりするように移動可能である。
【0023】
各ワーク把持装置10は、ワークWを挟むことによりワークWを把持する。本実施形態の各ワーク把持装置10は、ワークWを上下方向Zに挟むことによりワークWを把持する。したがって、本実施形態のワークWの把持方向は上下方向Zである。各ワーク把持装置10は、ワークWの厚さ方向が上下方向Zと一致し、ワークWの幅方向Y及びワークWの奥行方向Xが水平方向と一致するようにワークWを把持する。一対のワーク把持装置10のうち、一方のワーク把持装置10は、ワークWの幅方向Yの第1端側に位置するとともに奥行方向Xに延在する縁部Weを把持する。他方のワーク把持装置10は、ワークWの幅方向Yの第2端側に位置するとともに奥行方向Xに延在する縁部Weを把持する。
【0024】
図1に示すように、各ワーク把持装置10は、ワークWを周囲から加熱する際にワークWを把持する。詳しくは、各ワーク把持装置10は、ワークWをワークWの上側及び下側から加熱する際にワークWを把持する。各ワーク把持装置10は、ワークWが上側ヒータ111と下側ヒータ112との間に位置するようにワークWを把持する。このとき、ワークWにおける各ワーク把持装置10によって把持されている部分、すなわち各縁部Weも、上側ヒータ111と下側ヒータ112との間に位置している。
【0025】
ワークWは、上側ヒータ111によって加熱される。詳しくは、ワークWは、上側ヒータ111から放射される赤外線によって加熱される。また、ワークWは、下側ヒータ112によって加熱される。詳しくは、ワークWは、下側ヒータ112から放射される赤外線によって加熱される。ワークWは、加熱装置110によって加熱されることにより軟化する。一対のワーク把持装置10は、加熱装置110によるワークWの加熱後、ワークWを把持しながら上側プレス型121と下側プレス型122との間に移動する。
【0026】
これにより、図2に示すように、ワークWは、上側プレス型121と下側プレス型122との間に搬送される。このとき、ワークWの各縁部Weも、上側プレス型121と下側プレス型122との間に位置している。
【0027】
図3に示すように、各ワーク把持装置10は、上側プレス型121と下側プレス型122との間にワークWを搬送すると、ワークWの把持を解除する。また、一対のワーク把持装置10は、幅方向Yにおいて互いに離れるように移動することにより、プレス装置120によってプレスされない位置に退避する。これにより、ワークWは、下側プレス型122の上に載置される。
【0028】
図4に示すように、上側プレス型121と下側プレス型122とが互いに近づくように移動することにより、ワークWは、上側プレス型121と下側プレス型122とによってプレスされる。これにより、ワークWは、上側プレス型121及び下側プレス型122に対応する形状に成形される。
【0029】
<ワーク把持装置>
図5に示すように、ワーク把持装置10は、ベース部材11と、回動軸12と、複数の回動アーム13を備えている。
【0030】
ベース部材11は、長方形平板状である。ベース部材11の長手方向は、ワークWの奥行方向Xと一致している。ベース部材11の短手方向は、ワークWの幅方向Yと一致している。ベース部材11の板厚方向は、上下方向Zと一致している。ベース部材11は、ベース部材11の上面から突出する複数の支持部14を有している。複数の支持部14は、ベース部材11の長手方向において間隔を空けて設けられている。各支持部14には、挿通孔14aが形成されている。各挿通孔14aは、支持部14をベース部材11の長手方向に貫通している。
【0031】
回動軸12は、複数の支持部14の挿通孔14aに挿通されている。回動軸12は、複数の支持部14により、ベース部材11に対して回動可能に支持されている。
複数の回動アーム13は、回動軸12に取り付けられている。複数の回動アーム13は、回動軸12の軸方向において間隔を空けて設けられている。各回動アーム13は、回動軸12から回動軸12の軸方向と直交する方向に延出している。回動軸12からの回動アーム13の延出方向がベース部材11の短手方向と一致しているとき、回動アーム13の先端部は、ベース部材11の短手方向の一端面11aから突出している。
【0032】
図6に示すように、回動軸12の軸方向の第1端部には、回動軸12を回動させるための回動機構20が設けられている。また、図示しないが、回動軸12の軸方向の第2端部にも回動機構20が設けられている。なお、図5では、回動機構20の図示は省略されている。
【0033】
回動機構20は、アクチュエータ21を有している。アクチュエータ21は、例えば、エアシリンダである。アクチュエータ21は、シリンダチューブ21aと、シリンダチューブ21aから延びるロッド21bとを有している。ロッド21bは、ベース部材11の短手方向に沿って延びている。ロッド21bの先端部は、中継アーム22を介して回動軸12の端部に連結されている。
【0034】
回動機構20は、弾性体23を有している。弾性体23は、例えば、コイルばねである。弾性体23は、ベース部材11の短手方向に弾性変形可能である。弾性体23の第1端部は、ロッドアーム24を介してロッド21bに連結されている。弾性体23の第2端部は、ベース部材11に設けられた弾性体支持部25に連結されている。ロッド21bは、弾性体23によってシリンダチューブ21aからの延出量が減少する方向に付勢されている。
【0035】
配管26からアクチュエータ21のシリンダチューブ21a内に圧縮エアが供給されたときには、ロッド21bは、弾性体23の付勢力に抗ってシリンダチューブ21aからの延出量が増大するように移動する。これにより、中継アーム22を介してロッド21bと連結された回動軸12は、第1方向R1に回動する。回動軸12が第1方向R1に回動すると、回動軸12に取り付けられた回動アーム13は、ベース部材11から離れる方向に回動する。
【0036】
配管26からのシリンダチューブ21a内への圧縮エアの供給が停止されると、ロッド21bは、弾性体23の付勢力によって、シリンダチューブ21aからの延出量が減少するように移動する。これにより、回動軸12は、第1方向R1とは反対方向である第2方向R2に回動する。回動軸12が第2方向R2に回動すると、回動アーム13は、ベース部材11に近付く方向に回動する。
【0037】
<上側把持部材及び下側把持部材>
図5及び図7に示すように、ワーク把持装置10は、第1把持部材としての上側把持部材30と、第2把持部材としての下側把持部材40とを備えている。上側把持部材30は、ワークWの把持方向においてワークWの一方側に配置されるとともに、下側把持部材40は、ワークWの把持方向においてワークWの他方側に配置されている。本実施形態では、上側把持部材30は、上下方向ZにおいてワークWの上側に配置されるとともに、下側把持部材40は、上下方向ZにおいてワークWの下側に配置されている。本実施形態の上側把持部材30及び下側把持部材40はそれぞれ、1枚の金属板からなる。例えば、上側把持部材30及び下側把持部材40はそれぞれ、鉄からなる。
【0038】
上側把持部材30は、長方形状である。上側把持部材30は、複数の回動アーム13の先端部に取り付けられている。上側把持部材30の長手方向は、回動軸12の軸方向と一致している。上側把持部材30の短手方向は、回動軸12からの回動アーム13の延出方向と一致している。本実施形態では、上側把持部材30の長手方向の寸法は、ワークWの奥行方向Xの寸法よりも長い。
【0039】
下側把持部材40は、長方形状である。下側把持部材40は、ベース部材11の下面に取り付けられている。下側把持部材40の長手方向は、ワークWの奥行方向Xと一致している。下側把持部材40の短手方向は、ワークWの幅方向Yと一致している。下側把持部材40の厚さ方向は、上下方向Zと一致している。本実施形態では、下側把持部材40の長手方向の寸法は、ワークWの奥行方向Xの寸法よりも長い。
【0040】
下側把持部材40の一部は、ベース部材11の一端面11aから突出している。ワークWの縁部Weは、下側把持部材40におけるベース部材11の一端面11aから突出した部分に載置されている。下側把持部材40は、ワークWの縁部Weを支持している。
【0041】
回動軸12が第2方向R2に回動することにより、回動アーム13がベース部材11に近付く方向に回動すると、回動アーム13に取り付けられた上側把持部材30は、下側把持部材40に近付く方向に移動する。上側把持部材30は、下側把持部材40と上下方向Zに重なる。ワークWの縁部Weは、上側把持部材30と下側把持部材40とによって上下方向Zに挟まれることにより把持される。つまり、ワーク把持装置10は、ワークWを把持する把持状態になる。ワーク把持装置10が把持状態のとき、上側把持部材30の長手方向は、ワークWの奥行方向Xと一致している。上側把持部材30の短手方向は、ワークWの幅方向Yと一致している。上側把持部材30の厚さ方向は、上下方向Zと一致している。
【0042】
図7において二点鎖線で示すように、回動軸12が第1方向R1に回動することにより、回動アーム13がベース部材11から離れる方向に回動すると、回動アーム13に取り付けられた上側把持部材30は、下側把持部材40から離れる方向に移動する。このとき、ワークWは、下側把持部材40におけるベース部材11よりも突出した部分に載置されているだけで、上側把持部材30と下側把持部材40とによって把持されない。つまり、ワーク把持装置10は、ワークWを把持しない非把持状態になる。
【0043】
上側把持部材30は、第1基部としての上側平板部31と、第1把持部としての上側湾曲部32とを有している。上側湾曲部32は、上側把持部材30の短手方向の端部のうち、回動軸12からの回動アーム13の延出方向において先端側に位置する方の端部が回動アーム13から離れる方向に屈曲されることによって形成されている。上側湾曲部32は、上側把持部材30の長手方向において連続的に設けられている。
【0044】
ワーク把持装置10が把持状態のとき、上側湾曲部32の先端部は、上側平板部31の下面31aよりも下側に位置している。上側湾曲部32の先端部は、ワークWの第1面Waに当接している。ワークWの第1面Waは、ワークWにおいて把持方向の一方側に位置する面である。本実施形態のワークWの第1面Waは、ワークWにおいて上下方向Zの上側に位置する面、すなわちワークWの上面である。本実施形態の上側湾曲部32は、ワークWの第1面Waと奥行方向Xに沿って線接触している。一方、上側平板部31の下面31aとワークWの第1面Waとの間には間隙Gが設けられている。上側平板部31は、ワークWの第1面Waと間隙Gを介して対向している。上側平板部31は、ワークWの縁部Weのうち、上側湾曲部32と当接する部分よりも端側に位置する部分と対向している。言い換えると、上側湾曲部32は、ワークWの縁部Weのうち、上側平板部31の下面31aと対向する部分よりも内側の部分と当接している。
【0045】
下側把持部材40におけるベース部材11の一端面11aから突出した部分は、下側平板部40aと下側湾曲部40bとを有している。下側湾曲部40bは、下側把持部材40におけるベース部材11の一端面11aから突出した部分の先端部が下方に屈曲されることによって形成されている。
【0046】
ワーク把持装置10が把持状態のとき、上側把持部材30は、下側平板部40aの上側に位置している。上側把持部材30は、下側把持部材40の下側平板部40aと上下方向Zに重なっている。下側平板部40aは、上側平板部31と上下方向Zに重なる下側基部41と、上側湾曲部32と上下方向Zに重なる下側把持部42とを有している。本実施形態では、下側平板部40aは、ワークWの第2面Wbに当接している。ワークWの第2面Wbは、ワークWにおいて把持方向の他方側に位置する面である。本実施形態のワークWの第2面Wbは、ワークWにおいて上下方向Zの下側に位置する面、すなわちワークWの下面である。したがって、下側基部41の上面41aは、ワークWの第2面Wbに当接している。詳しくは、下側基部41は、ワークWの縁部Weのうち、上側平板部31の下面31aと対向する面の反対側に位置する面と当接している。また、下側把持部42は、ワークWの第2面Wbに当接している。詳しくは、下側把持部42は、ワークWの縁部Weのうち、上側湾曲部32と当接する面の反対側に位置する面と当接している。
【0047】
上側湾曲部32及び下側把持部42は、ワークWの縁部Weの延在方向である奥行方向Xにおいて連続的に設けられている。したがって、上側湾曲部32及び下側把持部42は、ワークWの縁部Weを奥行方向Xの全体に亘って把持している。
【0048】
図8に示すように、上側把持部材30の上側平板部31には、第1貫通孔としての上側貫通孔30hが複数設けられている。各上側貫通孔30hは、上側把持部材30を厚さ方向に貫通している。本実施形態の各上側貫通孔30hは、上側把持部材30の長手方向に延びる長孔である。複数の上側貫通孔30hは、上側把持部材30の長手方向において間隔を空けて一列に設けられている。
【0049】
下側把持部材40の下側基部41には、第2貫通孔としての下側貫通孔40hが複数設けられている。各下側貫通孔40hは、下側把持部材40を厚さ方向に貫通している。本実施形態の各下側貫通孔40hは、下側把持部材40の長手方向に延びる長孔である。複数の下側貫通孔40hは、下側把持部材40の長手方向に間隔を空けて一列に設けられている。
【0050】
上述したように、ワーク把持装置10が把持状態であるとき、上側把持部材30の上側平板部31と下側把持部材40の下側基部41とは、上下方向Zに重なっている。上側貫通孔30hと下側貫通孔40hとは、奥行方向X、すなわちワークWの縁部Weの延在方向において交互に配置されている。また、奥行方向Xに隣り合う上側貫通孔30h及び下側貫通孔40hにおいて、上側貫通孔30hの一部と下側貫通孔40hの一部とは上下方向Z、すなわちワークWの把持方向に重なり合っている。
【0051】
これにより、ワーク把持装置10は、上側貫通孔30hと下側基部41とが重なる上側熱透過部T1と、上側平板部31と下側貫通孔40hとが重なる下側熱透過部T2と、上側貫通孔30hと下側貫通孔40hとが重なる両側熱透過部T3とを有している。上側熱透過部T1と下側熱透過部T2とは、両側熱透過部T3を介して奥行方向Xに交互に並んでいる。
【0052】
図9に示すように、上側熱透過部T1では、上側ヒータ111からの熱は、上側貫通孔30hを介してワークWに到達する。その一方で、下側ヒータ112からの熱は、下側基部41の存在により、ワークWへの到達が妨げられる。
【0053】
図10に示すように、下側熱透過部T2では、下側ヒータ112からの熱は、下側貫通孔40hを介してワークWに到達する。その一方で、上側ヒータ111からの熱は、上側平板部31の存在により、ワークWへの到達が妨げられる。
【0054】
図11に示すように、両側熱透過部T3では、上側ヒータ111からの熱は、上側貫通孔30hを介してワークWに到達する。また、下側ヒータ112からの熱は、下側貫通孔40hを介してワークWに到達する。
【0055】
図12に示すように、ワークWは、上側把持部材30と下側把持部材40との間に位置する把持領域A1と、上側把持部材30と下側把持部材40との間に位置しない非把持領域A2とを有している。本実施形態では、把持領域A1は、ワークWの縁部Weに対応する領域である。非把持領域A2は、把持領域A1よりもワークWの内側に位置している。把持領域A1は、上側平板部31と下側基部41との間に位置する第1把持領域A11と、上側湾曲部32と下側把持部42とによって把持される第2把持領域A12とを有している。
【0056】
第1把持領域A11のうち、上側熱透過部T1に対応する領域は、上側ヒータ111から加熱される上側加熱領域H1である。第1把持領域A11のうち、下側熱透過部T2に対応する領域は、下側ヒータ112から加熱される下側加熱領域H2である。第1把持領域A11のうち、両側熱透過部T3に対応する領域は、上側ヒータ111及び下側ヒータ112の両方から加熱される両側加熱領域H3である。上側加熱領域H1と下側加熱領域H2とは、両側加熱領域H3を介して奥行方向Xに交互に並んでいる。第2把持領域A12は、上側ヒータ111からも下側ヒータ112からも加熱されない非加熱領域H4である。非把持領域A2は、上側ヒータ111及び下側ヒータ112の両方から加熱される両側加熱領域H3である。
【0057】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
上側ヒータ111とワークWの把持領域A1との間には上側把持部材30が介在するため、上側ヒータ111からの熱は、把持領域A1に到達しにくい。また、下側ヒータ112とワークWの把持領域A1との間には下側把持部材40が介在するため、下側ヒータ112からの熱は、把持領域A1に到達しにくい。つまり、把持領域A1は、非把持領域A2と比較すると加熱されにくい。このため、把持領域A1の温度は、プレス成形可能な温度まで上昇しないことがある。この場合、把持領域A1は、プレス装置120によってプレスされても所望の形状に成形されない。したがって、把持領域A1は、プレス成形後に切り落とされる。
【0058】
また、非把持領域A2のうち、把持領域A1に近い領域は、加熱装置110から印加された熱の一部が把持領域A1に奪われることにより、プレス成形可能な温度まで上昇しないことがある。この場合、非把持領域A2のうち、把持領域A1に近い領域も、プレス成形後に把持領域A1とともに切り落とされる。
【0059】
本実施形態では、上側平板部31には、複数の上側貫通孔30hが設けられている。また、下側基部41には、複数の下側貫通孔40hが設けられている。このため、ワークWの第1把持領域A11は、貫通孔30h,40hを介して加熱される。したがって、上側平板部31及び下側基部41に貫通孔30h,40hが設けられていない場合と比較して、ワークWの把持領域A1を効率良く加熱できる。また、上側平板部31は、ワークWの第1面Waと間隙Gを介して対向している。このため、上側平板部31がワークWの第1面Waに当接している場合と比較して、ワークWの熱が上側平板部31に逃げにくい。これによっても、ワークWの把持領域A1を効率良く加熱できる。
【0060】
ワークWの把持領域A1が効率良く加熱されることにより、非把持領域A2のうち、把持領域A1に近い領域から把持領域A1に奪われる熱が減少する。このため、非把持領域A2のうち、把持領域A1に近い領域の温度は上昇しやすくなる。したがって、プレス成形後に把持領域A1とともに切り落とされる非把持領域A2の幅を減少させることができる。その結果、ワークWの歩留まりが向上する。
【0061】
なお、本実施形態の構成によりワークWの把持領域A1が効率良く加熱されることで、把持領域A1の温度がプレス成形可能な温度まで上昇する場合には、ワークW全体を製品とすることができる。つまり、プレス成形後のワークWの切り落としが不要である。
【0062】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)ワーク把持装置10は、ワークWを上下方向Zに挟むことによりワークWを把持する上側把持部材30及び下側把持部材40を備えている。上側把持部材30は、ワークWの第1面Waと間隙Gを介して対向する上側平板部31と、ワークWの第1面Waに当接する上側湾曲部32とを有している。上側平板部31には、複数の上側貫通孔30hが設けられている。下側把持部材40は、上側平板部31と上下方向Zに重なる下側基部41と、上側湾曲部32と上下方向Zに重なるとともにワークWの第2面Wbに当接する下側把持部42とを有している。下側基部41には、複数の下側貫通孔40hが設けられている。
【0063】
この構成によれば、ワークWにおける上側平板部31と下側基部41との間に位置する部分は、貫通孔30h,40hを介して加熱される。したがって、上側平板部31及び下側基部41に貫通孔30h,40hが設けられていない場合と比較して、ワークWにおける上側把持部材30と下側把持部材40との間に位置する部分を効率良く加熱できる。また、上側平板部31は、ワークWの第1面Waと間隙Gを介して対向している。このため、上側平板部31がワークWの第1面Waに当接している場合と比較して、ワークWの熱が上側平板部31に逃げにくい。これによっても、ワークWにおける上側把持部材30と下側把持部材40との間に位置する部分を効率良く加熱できる。
【0064】
(2)例えば、上側湾曲部32及び下側把持部42がそれぞれ、ワークWの縁部Weの延在方向、すなわち奥行方向Xにおいて不連続に設けられている場合、ワークWの縁部Weには、奥行方向Xにおいて、把持される部分と把持されない部分とが生じる。この場合、ワークWにおける把持される部分にワークWの自重による荷重が集中するため、ワークWに歪みが生じやすい。
【0065】
これに対し、本実施形態では、上側湾曲部32及び下側把持部42はそれぞれ、奥行方向Xにおいて連続的に設けられている。このため、上側湾曲部32及び下側把持部42は、ワークWの縁部Weを奥行方向Xにおいて連続的に把持することができる。したがって、ワークWにおける把持される部分にワークWの自重が集中することにより生じるワークWの歪みを抑制できる。
【0066】
(3)上側貫通孔30hと下側貫通孔40hとは、奥行方向Xにおいて交互に配置されている。奥行方向Xにおいて隣り合う上側貫通孔30hと下側貫通孔40hにおいて、上側貫通孔30hの一部と下側貫通孔40hの一部とは、上下方向Zに重なり合っている。
【0067】
この構成によれば、ワークWにおける上側平板部31と下側基部41との間に位置する部分は、上側貫通孔30h、下側貫通孔40h、もしくは上側貫通孔30h及び下側貫通孔40hの両方を介して加熱される。つまり、ワークWにおける上側平板部31と下側基部41との間に位置する部分において、上側平板部31及び下側基部41の両方により加熱が妨げられる領域が生じることを回避できる。したがって、ワークWにおける上側把持部材30と下側把持部材40との間に位置する部分をより効率良く加熱することができる。
【0068】
(4)下側把持部材40は、下方に湾曲する下側湾曲部40bを有している。したがって、下側把持部材40の上にワークWを載置する際、ワークWに傷がつきにくい。
(5)上側湾曲部32及び下側把持部42は、ワークWの縁部Weのうち、ワークWの端よりも内側の部分を把持している。このため、ワークWが膨張したり、ワークWの寸法がばらついていたりしても、ワークWを把持することができる。また、ワークWが自重によって下方に撓んだとしても、ワーク把持装置10からワークWが落ちにくい。
【0069】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0070】
○ 上側貫通孔30hの形状、孔径、配置などは、適宜変更されてもよい。
例えば、上側貫通孔30hは、円孔であってもよい。
例えば、上側貫通孔30hの孔径は、上記実施形態の上側貫通孔30hの孔径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。また、上側貫通孔30hの孔径は、全ての上側貫通孔30hで同じでなくてもよい。
【0071】
例えば、奥行方向Xに配列された上側貫通孔30hの列は、幅方向Yにおいて複数列設けられていてもよい。
例えば、上側把持部材30は、パンチングメタルやエキスパンドメタル、金網であってもよい。
【0072】
同様に、下側貫通孔40hの形状、孔径、配置などは、適宜変更されてもよい。
○ 上側貫通孔30hと下側貫通孔40hとの位置関係は、適宜変更されてもよい。
例えば、上側貫通孔30h全体と下側貫通孔40h全体とが上下方向Zに重なっていてもよい。
【0073】
例えば、上側貫通孔30hと下側貫通孔40hとは、上下方向Zに重なっていなくてもよい。
図13に示すように、下側基部41は、ワークWの第2面Wbと間隙Gを介して対向していてもよい。つまり、下側基部41は、ワークWの第2面Wbと当接していなくてもよい。
【0074】
この場合、上記実施形態のように下側基部41がワークWの第2面Wbに当接している場合と比較して、ワークWの熱が下側基部41に逃げにくい。したがって、ワークWにおける上側把持部材30と下側把持部材40との間に位置する部分をより効率良く加熱できる。
【0075】
○ 上記実施形態では、上側把持部は、上側把持部材30を屈曲することによって形成されていたが、これに限定されない。
図14に示すように、上側把持部33は、上側平板部31の下面31aから突出する突出部であってもよい。なお、突出部は、上側平板部31とは別部材であってもよい。
【0076】
図14に示すように、上側把持部33は、ワークWの第1面Waと面接触してもよい。この場合、上側把持部33がワークWの第1面Waに当接する際にワークWに傷がつきにくい。
【0077】
図15に示すように、上側湾曲部32の先端部には、ゴム材などの軟質材50が取り付けられていてもよい。軟質材50は、ワークWの第1面Waに当接する上側把持部である。この場合、上側把持部がワークWの第1面Waに当接する際にワークWに傷がつきにくい。
【0078】
図16に示すように、上側湾曲部32の下面32aは、上側湾曲部32においてワークW側に位置する面である。上側湾曲部32の上面32bは、下面32aの反対側の面である。つまり、上側湾曲部32の上面32bは、上側湾曲部32においてワークW側に位置する面とは反対側の面である。上側湾曲部32の上面32bには、黒体部60が設けられていてもよい。
【0079】
また、下側把持部42の上面42aは、下側把持部42においてワークW側に位置する面である。下側把持部42の下面42bは、上面42aの反対側の面である。つまり、下側把持部42の下面42bは、下側把持部42においてワークW側に位置する面とは反対側の面である。下側把持部42の下面42bには、黒体部60が設けられていてもよい。
【0080】
黒体部60は、例えば、黒体スプレーの吹き付けや黒体塗料の塗布、黒体シートの貼り付けなどによって形成される。
この場合、上側湾曲部32は、ワークWに印加される熱の一部、詳しくは上側ヒータ111からワークWに向かって放射される赤外線の一部を吸収することができる。上側湾曲部32が吸収した熱は、ワークWに伝わる。また、下側把持部42は、ワークWに印加される熱の一部、詳しくは下側ヒータ112からワークWに向かって放射される赤外線の一部を吸収することができる。下側把持部42が吸収した熱は、ワークWに熱を伝わる。したがって、ワークWをより効率良く加熱することができる。
【0081】
黒体部60は、上側平板部31においてワークW側に位置する面とは反対側の面である上側平板部31の上面31bや、下側基部41においてワークW側に位置する面とは反対側の面である下側基部41の下面41bにも設けられていてもよい。また、下側把持部材40が下側湾曲部40bを有する場合、黒体部60は、下側湾曲部40bにおいてワークW側に位置する面とは反対側の面である下側湾曲部40bの下面400にも設けられていてもよい。
【0082】
○ 下側把持部材40は、下側湾曲部40bを有していなくてもよい。
○ 上記実施形態の加熱プレス装置100の構成は一例である。加熱プレス装置100は、例えば、次のような構成であってもよい。
【0083】
例えば、一対のワーク把持装置10は、上側プレス型121と下側プレス型122との間でワークWを把持してもよい。ワークWを加熱する際には、ワークWと上側プレス型121との間に上側ヒータ111が移動するとともに、ワークWと下側プレス型122との間に下側ヒータ112が移動する。上側ヒータ111及び下側ヒータ112は、一対のワーク把持装置10によって把持されたワークWを加熱する。ワークWの加熱後、上側ヒータ111は、ワークWと上側プレス型121との間から退避するとともに、下側ヒータ112は、ワークWと下側プレス型122との間から退避する。
【0084】
例えば、加熱プレス装置100は、ワークWの幅方向Yの両端に位置する縁部Weを把持する一対のワーク把持装置10に加えて、ワークWの奥行方向Xの両端に位置する縁部Weを把持する一対のワーク把持装置10を備えていてもよい。つまり、加熱プレス装置100は、4つのワーク把持装置10を備えていてもよい。
【0085】
○ ワーク把持装置10は、上側把持部材30と下側把持部材40とが互いに近づくように上下方向Zに移動することにより、ワークWを把持するものであってもよい。
○ 上側把持部材30及び下側把持部材40の長手方向の寸法がそれぞれ、ワークWの奥行方向Xの寸法よりも短い場合、ワーク把持装置10は奥行方向Xに複数併設されていてもよい。この場合、上側湾曲部32及び下側把持部42が奥行方向Xにおいて連続的に設けられるように、隣り合うワーク把持装置10同士は隙間を空けることなく併設される。
【0086】
○ ワークWの把持方向が上下方向Zである場合、第1把持部材は、上下方向ZにおいてワークWの下側に位置するとともに、第2把持部材は、上下方向ZにおいてワークWの上側に位置してもよい。
【0087】
○ ワークWの把持方向は、上下方向Zに限定されない。ワークWの把持方向は、例えば、水平方向であってもよい。
○ ワーク把持装置10が把持するワークWは矩形状でなくてもよい。上側把持部材30及び下側把持部材40の形状は、ワークWの形状に応じて適宜変更されてもよい。
【0088】
○ ワーク把持装置10は、ワークWの縁部Weを把持するものに限定されない。ワーク把持装置10は、例えば、ワークWの中央部を把持するものであってもよい。
[付記]
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0089】
[1]熱可塑性樹脂からなる平板状のワークを周囲から加熱する際に前記ワークを挟むことにより前記ワークを把持するワーク把持装置であって、前記ワークの把持方向において前記ワークの一方側に位置する第1把持部材と、前記把持方向において前記ワークの他方側に位置する第2把持部材とを備え、前記第1把持部材は、前記ワークにおいて前記把持方向の前記一方側に位置する面である第1面と間隙を介して対向する第1基部と、前記ワークの前記第1面に当接する第1把持部とを有し、前記第2把持部材は、前記第1基部と前記把持方向に重なる第2基部と、前記第1把持部と前記把持方向に重なるとともに前記ワークにおいて前記把持方向の前記他方側に位置する面である第2面に当接する第2把持部とを有し、前記第1基部及び前記第2基部にはそれぞれ、複数の貫通孔が設けられていることを特徴とするワーク把持装置。
【0090】
[2]前記第1把持部材及び前記第2把持部材は、前記ワークの縁部を把持し、前記第1把持部及び前記第2把持部はそれぞれ、前記縁部の延在方向において連続的に設けられている[1]に記載のワーク把持装置。
【0091】
[3]前記第1基部に設けられた前記貫通孔を第1貫通孔とし、前記第2基部に設けられた前記貫通孔を第2貫通孔としたとき、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記縁部の延在方向において交互に配置され、前記縁部の延在方向において隣り合う前記第1貫通孔と前記第2貫通孔において、前記第1貫通孔の一部と前記第2貫通孔の一部とは前記把持方向に重なり合っている[2]に記載のワーク把持装置。
【0092】
[4]前記第2基部は、前記ワークの前記第2面と間隙を介して対向する[1]~[3]の何れか1つに記載のワーク把持装置。
[5]前記第1把持部は、前記ワークの前記第1面と面接触する[1]~[4]の何れか1つに記載のワーク把持装置。
【0093】
[6]前記第1把持部は、軟質材からなる[1]~[5]の何れか1つに記載のワーク把持装置。
[7]前記第1把持部において前記ワーク側に位置する面とは反対側の面及び前記第2把持部において前記ワーク側に位置する面とは反対側の面にはそれぞれ、黒体部が設けられている[1]~[6]の何れか1つに記載のワーク把持装置。
【符号の説明】
【0094】
10…ワーク把持装置、30…第1把持部材としての上側把持部材、30h…貫通孔(第1貫通孔)としての上側貫通孔、31…第1基部としての上側平板部、32…第1把持部としての上側湾曲部、32a…ワーク側の面としての下面、32b…反対側の面としての上面、40…第1把持部材としての下側把持部材、40h…貫通孔(第2貫通孔)としての下側貫通孔、41…第2基部としての下側基部、42…第2把持部としての下側把持部、42a…ワーク側の面としての上面、42b…反対側の面としての下面、50…軟質材、60…黒体部、G…間隙、W…ワーク、Wa…第1面、Wb…第2面、We…縁部、Z…把持方向としての上下方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16