(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166915
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】災害位置特定システム、災害位置特定方法、および災害位置特定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20241122BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241122BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G06T7/70 A
G08B25/00 510M
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083347
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】野村 立
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
5L096
【Fターム(参考)】
5C087AA03
5C087AA09
5C087DD02
5C087DD04
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG06
5C087GG66
5G405AA06
5G405CA22
5G405CA31
5G405EA41
5L096AA06
5L096CA04
5L096CA05
5L096CA21
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA09
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】災害が発生している位置を高い精度で特定することができる災害位置特定システムを得ること。
【解決手段】災害位置特定システム10は、第1画像の特徴点である第1特徴点と地域の地理情報との照合によって、第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、第1特徴点を登録する特徴点登録部22と、地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合し、第2特徴点に相当する第1特徴点を特定する特徴点照合部34と、2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報と第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を算出する撮影情報算出部35と、第2画像のうち災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と撮影情報とに基づいて、災害位置情報を算出する災害位置情報算出部36と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と前記地域の地理情報との照合によって、前記第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、前記特徴点位置情報の保存により前記第1特徴点を登録する特徴点登録部と、
前記地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合し、前記第2特徴点に相当する前記第1特徴点を特定する特徴点照合部と、
前記特徴点照合部によって特定された2以上の前記第1特徴点の各々の前記特徴点位置情報と前記第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、前記第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を算出する撮影情報算出部と、
前記第2画像のうち前記災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と前記撮影情報とに基づいて、前記災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出する災害位置情報算出部と、を備える
ことを特徴とする災害位置特定システム。
【請求項2】
前記第2画像は、前記地域を俯瞰する位置から撮影された画像であって、
前記撮影情報には、撮影時における焦点距離の情報と、撮影方向の方位角および俯角の各情報とが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の災害位置特定システム。
【請求項3】
前記特徴点登録部は、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の前記第1画像の各々から抽出された前記第1特徴点を登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の災害位置特定システム。
【請求項4】
前記地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した画像を解析することによって前記災害の発生を検出し、前記災害の発生が検出された画像である前記第2画像から前記第2特徴点を抽出する災害画像解析部を備え、
前記特徴点照合部は、前記災害画像解析部によって抽出された前記第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の災害位置特定システム。
【請求項5】
地域において災害が発生している地点の地理的位置をコンピュータにより特定する災害位置特定方法であって、
前記地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と前記地域の地理情報との照合によって、前記第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、前記特徴点位置情報の保存により前記第1特徴点を登録するステップと、
前記地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合し、前記第2特徴点に相当する前記第1特徴点を特定するステップと、
前記第1特徴点を特定する前記ステップによって特定された2以上の前記第1特徴点の各々の前記特徴点位置情報と前記第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、前記第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を推定するステップと、
前記第2画像のうち前記災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と前記撮影情報とに基づいて、前記災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出するステップと、を含む
ことを特徴とする災害位置特定方法。
【請求項6】
前記第2画像は、前記地域を俯瞰する位置から撮影された画像であって、
前記撮影情報には、撮影時における焦点距離の情報と、撮影方向の方位角および俯角の各情報とが含まれる
ことを特徴とする請求項5に記載の災害位置特定方法。
【請求項7】
前記第1特徴点を登録する前記ステップでは、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の前記第1画像の各々から抽出された前記第1特徴点を登録する
ことを特徴とする請求項5に記載の災害位置特定方法。
【請求項8】
前記地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した画像を解析することによって前記災害の発生を検出し、前記災害の発生が検出された画像である前記第2画像から前記第2特徴点を抽出するステップをさらに含み、
前記第2特徴点に相当する前記第1特徴点を特定する前記ステップでは、前記第2画像から抽出された前記第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合する
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1つに記載の災害位置特定方法。
【請求項9】
地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と前記地域の地理情報との照合によって、前記第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、前記特徴点位置情報の保存により前記第1特徴点を登録するステップと、
前記地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合し、前記第2特徴点と地理的位置が一致する前記第1特徴点を特定するステップと、
前記第1特徴点を特定する前記ステップによって特定された2以上の前記第1特徴点の各々の前記特徴点位置情報と前記第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、前記第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を推定するステップと、
前記第2画像のうち前記災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と前記撮影情報とに基づいて、前記災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出するステップと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする災害位置特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、災害が発生している位置を特定する災害位置特定システム、災害位置特定方法、および災害位置特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高所に設置されたカメラにより地域を撮影し、撮影された画像を基に、地域で災害が発生した際における災害の状況把握を行うシステムが知られている。このようなシステムでは、災害の状況を正確に把握するために、災害が発生している位置を高い精度で特定可能であることが望まれる。
【0003】
特許文献1には、遠隔地に設置されたカメラにより撮影される映像と映像に対応する地図とを画面に表示するとともに、撮影された映像を地図において特定可能としたシステムが開示されている。特許文献1に開示されるシステムは、カメラの撮影方向、撮影の視野範囲、および撮影の倍率などの情報である撮影情報を取得して、映像に対応して取得された地図データにこれらの情報を反映させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されるシステムは、カメラに備えられている計測部によって、カメラの焦点距離、カメラの方向、および、水平面に対するカメラの方向の角度の各計測値が取得され、取得された各計測値を基に撮影情報を求める。上記特許文献1の技術を災害発生位置の特定に適用することとした場合、計測部が備えられていないカメラが使用されると、撮影情報を取得できないため災害発生位置を特定することができないこととなる。このため、上記特許文献1の技術では、撮影情報を取得するための構成要素である計測部が備えられていないカメラが使用される場合、地図上にて災害発生位置を特定することができず、災害発生位置の高精度な特定が困難となる。計測部が備えられているカメラが使用される場合でも、計測部による計測の誤差によって災害発生位置の高精度な特定が困難となる場合がある。また、災害発生位置がカメラから遠方であるほど、計測の誤差による位置特定精度の低下が顕著となる。すなわち、カメラから遠方の災害発生位置を特定する場合には、計測にわずかな誤差がある場合でも、災害発生位置の高精度な特定が困難となる。このように、上記特許文献1に開示される従来技術によると、災害が発生している位置を高い精度で特定することが困難であるという問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、災害が発生している位置を高い精度で特定することができる災害位置特定システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる災害位置特定システムは、地域を俯瞰する位置から地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と地域の地理情報との照合によって、第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、特徴点位置情報の保存により第1特徴点を登録する特徴点登録部と、地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合し、第2特徴点に相当する第1特徴点を特定する特徴点照合部と、特徴点照合部によって特定された2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報と第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を算出する撮影情報算出部と、第2画像のうち災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と撮影情報とに基づいて、災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出する災害位置情報算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる災害位置特定システムは、災害が発生している位置を高い精度で特定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる災害位置特定システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1にかかる災害位置特定システムによる静止画像の取得について説明するための図
【
図3】実施の形態1にかかる災害位置特定システムの特徴点登録部によって表示される第1画像の例を示す図
【
図4】実施の形態1にかかる災害位置特定システムの特徴点登録部によって表示される2次元の地図の例を示す図
【
図5】実施の形態1にかかる災害位置特定システムの特徴点データベースに格納される特徴点情報の例を示す図
【
図6】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する災害画像解析部の構成例を示す図
【
図7】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する災害検出部による災害の検出について説明するための図
【
図8】実施の形態1にかかる災害位置特定システムにおいて災害画像解析部によって生成される特徴点情報の例を示す図
【
図9】実施の形態1にかかる災害位置特定システムにおいて災害画像解析部によって生成される災害情報の例を示す図
【
図10】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する災害位置特定部の構成例を示す図
【
図11】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する特徴点照合部によって第1特徴点を特定した結果の例を示す図
【
図12】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部において保存されるカメラ情報の例を示す図
【
図13】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部の構成例を示す図
【
図14】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第1の図
【
図15】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第2の図
【
図16】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第3の図
【
図17】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第4の図
【
図18】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第5の図
【
図19】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する撮影情報算出部により方位角を算出する方法の例を説明するための図
【
図20】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する災害位置情報算出部により災害位置情報を算出する方法の例を説明するための図
【
図21】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する事前解析装置の動作手順の例を示すフローチャート
【
図22】実施の形態1にかかる災害位置特定システムが有する災害時解析装置の動作手順の例を示すフローチャート
【
図23】実施の形態1において撮影方向が水平に近い場合における静止画像について説明するための第1の図
【
図24】実施の形態1において撮影方向が水平に近い場合における静止画像について説明するための第2の図
【
図25】実施の形態1にかかる処理回路の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる災害位置特定システム、災害位置特定方法、および災害位置特定プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10の構成例を示す図である。災害位置特定システム10は、地域において災害が発生している位置を特定するシステムである。災害位置特定システム10による位置特定の対象とする災害は、例えば、火災、建物の倒壊、または冠水などであって、自然災害と人為的な災害とが含まれる。災害位置特定システム10は、カメラ11と、操作機器12と、符号化装置13と、事前解析装置14と、災害時解析装置15と、表示機器16とを備える。
【0012】
カメラ11は、操作機器12および符号化装置13の各々と通信可能に接続されている。カメラ11は、災害の発生を監視する対象である地域を俯瞰する位置に設置される。例えば、カメラ11は、高い建造物の頂部といった高所に設置される。カメラ11は、地域を俯瞰する位置から地域を撮影する。カメラ11は、パン動作およびチルト動作といった首振り動作を実行する首振り機能を備える。首振り機能により、カメラ11は、カメラ11の周囲を広範囲にわたって撮影することができる。カメラ11は、撮影によって生成された映像データを符号化装置13へ送信する。なお、災害位置特定システム10は、カメラ11により撮影された映像を災害位置特定システム10の外部の装置にて表示するために、災害位置特定システム10の外部へ映像データを出力することとしても良い。
【0013】
操作機器12は、カメラ11を遠隔操作する機器である。操作機器12は、例えば、ジョイスティック、操作パネル、マウス、またはキーボードなどといった、手動による情報入力が可能な入力機器である。この場合、操作機器12は、オペレータ等による操作機器12の操作に従って、カメラ11を遠隔操作する。また、操作機器12は、自動でカメラ11の遠隔操作を行う機器であっても良い。自動でカメラ11の遠隔操作を行う操作機器12は、例えば、あらかじめ設定された手順でカメラ11を遠隔操作する。
【0014】
符号化装置13は、映像データの符号化処理を実行する。符号化装置13は、符号化処理後の映像データのスナップショットである静止画像を周期的に生成する。符号化装置13によって生成される静止画像は、地域を俯瞰する位置から地域を撮影した画像といえる。符号化装置13と事前解析装置14と災害時解析装置15とは、互いに通信可能に接続されている。符号化装置13は、生成された静止画像を事前解析装置14と災害時解析装置15とへ出力する。
【0015】
事前解析装置14は、災害の発生時よりも前の準備段階における処理を実行する。事前解析装置14は、災害が発生していない平常時の様子を撮影した静止画像を符号化装置13から取得し、静止画像の解析処理を実行する。以下、災害が発生していない平常時の様子を撮影した静止画像を、第1画像とも称する。
【0016】
事前解析装置14は、特徴点抽出部21と、特徴点登録部22と、地理情報記憶部23と、特徴点情報記憶部24とを備える。特徴点抽出部21は、第1画像の特徴点である第1特徴点を第1画像から抽出する。特徴点の詳細については後述する。
【0017】
地理情報記憶部23には、災害の発生を監視する対象である地域の地理情報が格納される。地理情報は、2次元の地図情報、または3次元の地形情報である。地理情報には、地表に実在する地物を示す情報と、2次元の地図上または3次元の地形モデル上に示される位置の地理的位置を示す位置情報とが含まれる。災害位置特定システム10には、例えば、地理情報を提供する提供者から取得された地理情報が入力される。災害位置特定システム10へ入力された地理情報は、地理情報記憶部23に格納される。
【0018】
特徴点情報記憶部24には、特徴点情報が格納される特徴点データベースが記憶される。特徴点情報記憶部24に記憶される特徴点情報には、第1特徴点の地理的位置を示す情報である特徴点位置情報が含まれる。特徴点位置情報の1つの例は、第1特徴点の地理的位置を示す座標であって、緯度、経度、および高度の各情報の組合せである。特徴点位置情報に含められる高度の情報は、標高の情報であっても良い。特徴点データベースには、特徴点抽出部21によって抽出された第1特徴点についての特徴点情報が蓄積される。
【0019】
特徴点登録部22は、特徴点抽出部21によって抽出された第1特徴点と地理情報記憶部23から読み出された地理情報との照合によって、特徴点位置情報を求める。特徴点登録部22は、求めた特徴点位置情報を特徴点情報記憶部24に保存する。特徴点登録部22は、特徴点情報記憶部24への特徴点位置情報の保存によって、第1特徴点を登録する。特徴点登録部22は、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の第1画像の各々から抽出された第1特徴点を登録する。
【0020】
災害時解析装置15は、静止画像の解析処理によって災害の発生を検出する。また、災害時解析装置15は、災害の発生が検出された場合に、災害発生位置を特定するための処理を実行する。以下、災害の発生が検出された静止画像を第2画像とも称する。第2画像は、地域において災害が発生している様子を、地域を俯瞰する位置から撮影した画像といえる。
【0021】
災害時解析装置15は、災害画像解析部31と、災害位置特定部32と、災害情報記憶部33とを備える。災害画像解析部31は、符号化装置13から静止画像を取得し、静止画像の解析処理を実行する。災害画像解析部31は、取得された静止画像を解析することによって、災害の発生を検出する。また、災害画像解析部31は、取得された静止画像を解析することによって、特徴点を抽出する。
【0022】
取得された静止画像から災害の発生が検出された場合、災害画像解析部31は、災害の発生が検出された静止画像のうち災害の発生が検出された位置を特定する。災害画像解析部31は、第2画像のうち災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報を生成する。また、災害画像解析部31は、取得された静止画像から災害の発生が検出された場合において、災害の発生が検出された静止画像である第2画像を解析することによって、第2画像の特徴点である第2特徴点を第2画像から抽出する。
【0023】
災害位置特定部32は、災害が発生している位置を特定する処理を実行する。災害位置特定部32は、特徴点照合部34と、撮影情報算出部35と、災害位置情報算出部36とを備える。
【0024】
特徴点照合部34は、災害画像解析部31により抽出された第2特徴点と登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合し、第2特徴点に相当する第1特徴点を特定する。第2特徴点に相当する第1特徴点とは、第2特徴点と地理的位置が同じである第1特徴点とする。なお、第1特徴点と第2特徴点とで地理的位置が同じとは、第1特徴点の地理的位置と第2特徴点の地理的位置とが完全に一致する場合に限られず、第1特徴点と第2特徴点とが互いに同じ地理的位置に存在するものとみなせる場合も含まれるものとする。特徴点照合部34は、第2画像から抽出された2以上の第2特徴点の各々について、第1特徴点を特定する。これにより、特徴点照合部34は、1つの第2画像につき2以上の第1特徴点を特定する。
【0025】
撮影情報算出部35は、特徴点照合部34によって特定された2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報を特徴点情報記憶部24から読み出す。撮影情報算出部35は、特徴点照合部34によって特定された2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報と、第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を算出する。撮影情報算出部35が算出する撮影情報には、撮影時における焦点距離の情報と、撮影方向の方位角および俯角の各情報とが含まれる。
【0026】
災害情報記憶部33には、災害情報が格納される災害データベースが記憶される。災害情報記憶部33に記憶される災害情報には、災害位置情報算出部36により算出された災害位置情報が含まれる。災害位置情報の1つの例は、災害が発生している位置の座標であって、緯度、経度、および高度の各情報の組合せである。災害位置情報に含められる高度の情報は、標高の情報であっても良い。災害データベースには、災害位置情報を含む災害情報が蓄積される。なお、災害位置情報は、災害が発生している位置の座標に限られず、災害が発生している位置の住所であっても良い。
【0027】
災害位置情報算出部36は、災害画像解析部31により生成された検出位置情報と撮影情報算出部35により算出された撮影情報とに基づいて、災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出する。災害位置情報算出部36は、算出された災害位置情報を含む災害情報を災害情報記憶部33に保存する。災害位置情報算出部36は、災害情報記憶部33への災害情報の保存によって、災害位置情報を登録する。
【0028】
表示機器16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。表示機器16は、災害時解析装置15と通信可能に接続されている。表示機器16は、災害情報記憶部33から災害情報を読み出す。表示機器16は、読み出された災害情報を表示する。例えば、表示機器16は、地理情報に基づいて2次元の地図または3次元の地形モデルを表示し、読み出された災害情報に示される災害位置を、2次元の地図上または3次元の地形モデル上において表示する。
【0029】
次に、災害位置特定システム10が災害の発生前に実行する動作および処理の詳細について説明する。
図2は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10による静止画像の取得について説明するための図である。
【0030】
カメラ11は、操作機器12による遠隔操作に従って、水平方向における首振り動作であるパン動作と鉛直方向における首振り動作であるチルト動作とを実行する。
図2に示す2つの両矢印は、カメラ11がパン動作とチルド動作とを実行することを表している。カメラ11は、パン動作とチルド動作との少なくとも一方によって撮影方向を変化させる。撮影方向とは、カメラ11を向ける方向であって、カメラ11の光軸の方向である。また、カメラ11は、操作機器12による遠隔操作に従って、焦点距離を変更する。カメラ11は、焦点距離を変更することによって、視野角と倍率とを変化させる。カメラ11は、撮影方向と視野角と倍率とを適宜変化させながら地域を撮影する。
【0031】
災害位置特定システム10は、操作機器12により自動でカメラ11を遠隔操作して地域を撮影することによって、地域における災害の発生を常時監視することとしても良い。または、災害位置特定システム10は、オペレータ等が操作機器12を介してカメラ11を遠隔操作することによって地域を撮影しても良い。災害位置特定システム10は、カメラ11の遠隔操作を自動と手動とに切り替え可能であっても良い。
【0032】
符号化装置13は、カメラ11から入力される映像データの符号化処理を実行し、符号化処理後の映像データから静止画像を生成する。
図2において一点鎖線で示す矩形41は、カメラ11で撮影される範囲を表している。
図2には、撮影方向の方位角が互いに異なる複数の静止画像が取得される様子を模式的に表している。
【0033】
符号化装置13から出力された静止画像は、事前解析装置14の特徴点抽出部21へ入力される。特徴点抽出部21は、入力された静止画像である第1画像から第1特徴点を抽出する。
【0034】
特徴点は、特徴点を抽出する対象である画像から、その画像の特徴である局所域として検出される点である。特徴点としては、例えば、被写体に存在する角部、または、周囲とは輝度が異なる部分などが検出され得る。特徴点抽出部21により第1特徴点を抽出する方法としては、例えば、特徴点を抽出するための汎用的な方法を利用できる。特徴点抽出部21により第1特徴点を抽出する方法は、任意であるものとする。特徴点は、画像のスケール、または画像の回転などに対して堅牢である。このため、災害位置特定システム10は、互いに同じ地理的位置の特徴点が第1画像と第2画像とに存在する場合に、第1画像の特徴点と第2画像の特徴点とをマッチングさせることができる。
【0035】
特徴点抽出部21は、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の第1画像の各々について、第1特徴点を抽出する処理を実行する。特徴点抽出部21は、第1特徴点が抽出された第1画像を示す情報と第1画像における第1特徴点の位置を示す画像内特徴点位置情報とを含む特徴点情報を、特徴点登録部22へ出力する。第1画像における第1特徴点の位置を示す画像内特徴点位置情報は、例えば、第1画像の座標系における第1特徴点の座標である。
【0036】
特徴点登録部22は、特徴点抽出部21によって抽出された第1特徴点の特徴点位置情報を求める。一例として、特徴点登録部22は、第1特徴点が示されている第1画像と2次元の地図とを並べて表示させ、第1画像上における第1特徴点に相当する地点を2次元の地図上にて指定する操作を受け付ける。その際に、特徴点登録部22は、地理情報である2次元の地図情報を地理情報記憶部23から読み出し、2次元の地図情報に基づいて2次元の地図を表示させる。
【0037】
例えば、事前解析装置14は、第1画像と2次元の地図とを表示する表示機器と、第1特徴点に相当する地点を指定する操作を受け付ける入力機器とを備える。事前解析装置14に備えられる表示機器および入力機器の図示は省略する。特徴点登録部22は、災害位置特定システム10において事前解析装置14の外部に備えられている表示機器16に第1画像と2次元の地図とを表示させても良い。
【0038】
図3は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10の特徴点登録部22によって表示される第1画像の例を示す図である。
図3には、第1画像の例と、第1特徴点を表すオブジェクト42の例とを示す。
図3に示すオブジェクト42は、第1特徴点を囲う円である。特徴点登録部22は、特徴点抽出部21から入力される画像内特徴点位置情報に基づいて、第1画像上にオブジェクト42を描画する。
図3では、複数のオブジェクト42が示されている。
図3に示す例では、1つの第1画像から複数の第1特徴点が抽出されている。なお、オブジェクト42の表示態様は、
図3に示すものに限られず任意であるものとする。
【0039】
図4は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10の特徴点登録部22によって表示される2次元の地図の例を示す図である。
図4には、災害の発生を監視する対象である地域のうち
図3に示す第1画像に示される範囲を含む地図の例を示している。
【0040】
オペレータ等は、入力機器を操作することによって、2次元の地図上にて第1特徴点に相当する地点を指定する。オペレータ等は、例えば、2次元の地図上における第1特徴点に相当する地点を入力機器によりクリックすることで、第1特徴点に相当する地点を指定する。特徴点登録部22は、指定された地点の地理的位置を示す情報を地理情報から取得する。これにより、特徴点登録部22は、第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求める。特徴点登録部22は、特徴点抽出部21から取得された特徴点情報に求めた特徴点位置情報を追加し、特徴点位置情報を含む特徴点情報を特徴点情報記憶部24に保存する。
【0041】
このようにして、特徴点登録部22は、手動による第1特徴点と地理情報との照合によって特徴点位置情報を求め、第1特徴点を登録する。特徴点登録部22は、第1画像に示されている複数の第1特徴点の各々について2次元の地図上にて第1特徴点に相当する地点が指定されることによって、複数の第1特徴点の各々を登録する。なお、特徴点登録部22により特徴点位置情報を求める方法は、上記の方法に限られず、任意であるものとする。
【0042】
上記説明では、特徴点登録部22により表示される地理情報は2次元の地図としたが、特徴点登録部22により表示される地理情報は3次元の地形モデルであっても良い。この場合、オペレータ等は、入力機器を操作することによって、3次元の地形モデル上にて第1特徴点に相当する地点を指定する。
【0043】
特徴点登録部22は、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の第1画像の各々から抽出された第1特徴点を登録する。これにより、災害位置特定システム10は、方位角および俯角の各々が固定である場合に比べて、カメラ11の周囲における広い範囲についての第1特徴点を登録することができる。
【0044】
図5は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10の特徴点データベースに格納される特徴点情報の例を示す図である。
図5には、特徴点データベースにおいて特徴点情報が格納されるテーブルの例を示す。かかるテーブルには、抽出された第1特徴点ごとのレコードが蓄積される。
【0045】
図5に示す例において、特徴点情報には、特徴点ID(IDentifier)、カメラID、静止画像ファイル、特徴点照合情報、画像内特徴点位置情報、特徴点位置情報、および平面直角座標の各項目の情報が含まれる。
図5に示す特徴点情報における画像内特徴点位置情報は、第1画像における第1特徴点の位置を示す情報である。
【0046】
図5において、特徴点IDの項目は、抽出された第1特徴点の識別子である特徴点IDを表す。カメラIDの項目は、第1画像を撮影したカメラ11の識別子であるカメラIDを表す。カメラID「Camera01」は、
図1に示すカメラ11を表す。静止画像ファイルの項目は、第1特徴点が抽出された第1画像を示す情報を表す。ここでは、第1特徴点が抽出された第1画像を示す情報は、第1特徴点が抽出された第1画像のファイル名とする。特徴点照合情報の項目は、第1特徴点の照合において使用される情報である特徴点照合情報を表す。画像内特徴点位置情報の項目は、第1特徴点の画像内特徴点位置情報であるx座標およびy座標を表す。特徴点位置情報の項目は、第1特徴点の地理的位置を示す情報であって、経度、緯度、および高度を表す。平面直角座標の項目は、第1特徴点の地理的位置を示す情報であって、平面直角座標系のX座標およびY座標を表す。
【0047】
平面直角座標系は、地球上のある決められた位置を中心に、南北方向の軸をX軸、および、東西方向の軸をY軸とした座標系である。特徴点登録部22は、経度および緯度の情報を平面直角座標系のX座標およびY座標に変換することによって、平面直角座標を登録する。災害位置特定システム10は、第1特徴点を登録する処理以降の処理において、特徴点位置情報の経度および緯度の情報の代わりに、平面直角座標を使用しても良い。なお、災害位置特定システム10は、第1特徴点を登録する処理以降の処理において平面直角座標を算出しても良い。特徴点データベースには、平面直角座標が含まれていなくても良い。
図5に示す例において、特徴点位置情報の欄と平面直角座標の欄とに「-」と記載されているレコードは、第1特徴点の地理的位置が特定されなかったことを表す。
【0048】
次に、災害位置特定システム10が災害の発生時に実行する動作および処理の詳細について説明する。
図6は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する災害画像解析部31の構成例を示す図である。災害画像解析部31は、災害検出部37と、特徴点抽出部38と、災害発生判定部39とを備える。符号化装置13から出力された静止画像は、災害検出部37と特徴点抽出部38との各々へ入力される。
【0049】
災害検出部37は、静止画像の解析処理により、災害の種別ごとに災害の発生を検出する。災害検出部37は、例えば、火災を検出する機能と、建物の倒壊を検出する機能とを備える。火災を検出する機能を例に挙げると、災害検出部37は、静止画像から炎または煙を検出することにより火災の発生を検出する。災害検出部37により災害の発生を検出する方法については、詳細な説明を省略する。
【0050】
災害検出部37は、火災を検出する機能により火災を検出したか否かを示す情報と、建物の倒壊を検出する機能により建物の倒壊を検出したか否かを示す情報とを、災害発生判定部39へ出力する。このように、災害検出部37は、災害の種別ごとに災害の発生を検出した結果を災害発生判定部39へ出力する。なお、災害検出部37により発生が検出される災害は、火災および建物の倒壊に限られない。災害検出部37は、災害として知られる現象の少なくとも1つについて発生を検出するものであれば良い。
【0051】
災害検出部37は、災害の発生を検出した場合に、検出された災害に関する情報である災害情報を生成する。災害情報には、災害が検出された第2画像を示す情報と、検出された災害の種別を示す情報と、検出位置情報とが含まれる。検出位置情報は、災害の発生が検出された静止画像である第2画像のうち災害の発生が検出された位置を示す情報である。検出位置情報は、例えば、第2画像の座標系における、災害の発生が検出された位置を示す座標である。災害検出部37は、生成された災害情報を災害発生判定部39へ出力する。
【0052】
図7は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する災害検出部37による災害の検出について説明するための図である。ここでは、火災を検出する機能により静止画像から炎が検出された場合を例とする。
図7には、炎が検出された静止画像の例を示す。災害検出部37は、静止画像における炎の位置の座標を求めることによって、火災の発生位置についての検出位置情報を生成する。
【0053】
災害位置特定システム10は、例えば表示機器16により災害が検出された静止画像を表示する際に、災害の発生位置を示すオブジェクト43を表示しても良い。
図7に示す例では、火災の発生位置を示すオブジェクト43が示されている。オブジェクト43の位置は、検出位置情報に基づいて決定される。なお、オブジェクト43の表示態様は、
図7に示すものに限られず任意であるものとする。
【0054】
特徴点抽出部38は、入力された静止画像から特徴点を抽出する。災害検出部37により災害の発生が検出された場合において、特徴点抽出部38は、災害の発生が検出された静止画像である第2画像を解析することによって、第2画像の特徴点である第2特徴点を第2画像から抽出する。特徴点抽出部38は、第2特徴点が抽出された第2画像を示す情報と、第2画像における第2特徴点の位置を示す情報を含む特徴点情報とを、災害発生判定部39へ出力する。第2画像における第2特徴点の位置を示す情報は、例えば、第2画像の座標系における第2特徴点の座標である。
【0055】
災害発生判定部39は、災害の発生を検出した結果を災害検出部37から取得して災害の発生の有無を判定する。災害発生判定部39は、災害発生有りと判定した場合に、第2画像である静止画像と、特徴点情報と、災害情報とを、災害位置特定部32へ出力する。
【0056】
図8は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10において災害画像解析部31によって生成される特徴点情報の例を示す図である。
図8には、災害画像解析部31によって生成される特徴点情報の例を表す表を示す。
【0057】
図8に示す例において、特徴点情報には、特徴点ID、カメラID、静止画像ファイル、特徴点照合情報、および画像内特徴点位置情報の各項目の情報が含まれる。
図8に示す特徴点情報における画像内特徴点位置情報は、第2画像における第2特徴点の位置を示す情報である。
【0058】
図8において、特徴点IDの項目は、抽出された第2特徴点の識別子である特徴点IDを表す。カメラIDの項目は、第2画像を撮影したカメラ11の識別子であるカメラIDを表す。静止画像ファイルの項目は、第2特徴点が抽出された第2画像を示す情報を表す。ここでは、第2特徴点が抽出された第2画像を示す情報は、第2特徴点が抽出された第2画像のファイル名とする。特徴点照合情報の項目は、第2特徴点の照合において使用される情報である特徴点照合情報を表す。画像内特徴点位置情報の項目は、第2特徴点の画像内特徴点位置情報であるx座標およびy座標を表す。
【0059】
図9は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10において災害画像解析部31によって生成される災害情報の例を示す図である。
図9には、災害画像解析部31によって生成される災害情報の例を表す表を示す。
【0060】
図9に示す例において、災害情報には、災害ID、カメラID、静止画像ファイル、災害種別、検出位置情報、および災害位置情報の各項目の情報が含まれる。災害IDの項目は、災害検出部37によって検出された災害の識別子である災害IDを表す。カメラIDの項目は、災害が検出された第2画像を撮影したカメラ11の識別子であるカメラIDを表す。静止画像ファイルの項目は、災害が検出された第2画像を示す情報を表す。第2画像を示す情報は、
図8と同様に、第2画像のファイル名とする。災害種別の項目は、災害検出部37によって検出された災害の種別を表す。検出位置情報の項目は、災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報であるx座標およびy座標を表す。災害位置情報の項目は、災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報であって、経度、緯度、および高度を表す。
【0061】
なお、災害位置情報は、災害位置特定部32により算出される。災害画像解析部31によって災害情報が生成された際には、災害情報には、災害位置情報は含まれていない。
図9において、災害位置情報の欄を空欄としているのは、災害位置情報が算出されていないことを表す。災害位置特定部32により災害位置情報が算出された際に、災害位置情報は災害情報に追加される。
【0062】
図10は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する災害位置特定部32の構成例を示す図である。災害画像解析部31から出力された特徴点情報である第2特徴点についての特徴点情報は、特徴点照合部34へ入力される。特徴点照合部34は、登録済の第1特徴点についての特徴点情報を特徴点情報記憶部24から読み出す。
【0063】
特徴点照合部34は、第2特徴点についての特徴点情報を、複数の第1特徴点の各々についての特徴点情報と照合する。特徴点照合部34は、登録済の第1特徴点の中から、第2特徴点と地理的位置が一致する第1特徴点として最適と判断される1つの第1特徴点を割り出す。これにより、特徴点照合部34は、第2特徴点と登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合して、第2特徴点と地理的位置が一致する第1特徴点を特定する。
【0064】
特徴点照合部34は、特徴点データベースのうち、特定された第1特徴点についてのレコードから、特定された第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を読み出す。これにより、特徴点照合部34は、特定された第1特徴点についての特徴点位置情報を取得する。特徴点照合部34は、取得された特徴点位置情報を撮影情報算出部35へ出力する。
【0065】
図11は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する特徴点照合部34によって第1特徴点を特定した結果の例を示す図である。
図11には、特徴点データベースに登録されている第1特徴点の中から特徴点照合部34によって特定された第1特徴点の情報をまとめた表の例を示す。
図11に示す情報は、特徴点照合部34による照合により特徴点データベースから第1特徴点を抽出した結果を示す情報といえる。以下、
図11に示す情報を、抽出結果情報と称する。特徴点照合部34は、抽出結果情報を撮影情報算出部35へ出力する。
【0066】
図11に示す例にて、抽出結果情報には、抽出結果ID、カメラID、特徴点ID、登録済特徴点ID、画像内特徴点位置情報、および特徴点位置情報の各項目の情報が含まれる。
図11において、抽出結果IDの項目は、抽出結果情報のレコードの識別子である抽出結果IDを表す。カメラIDは、第2画像を撮影したカメラ11の識別子であるカメラIDを表す。特徴点IDの項目は、第2特徴点の識別子である特徴点IDを表す。登録済特徴点IDの項目は、抽出された第1特徴点の識別子である特徴点IDを表す。画像内特徴点位置情報の項目は、第2特徴点の画像内特徴点位置情報であるx座標およびy座標を表す。特徴点位置情報の項目は、抽出された第1特徴点の地理的位置を示す情報であって、経度、緯度、および高度を表す。
【0067】
図11には、
図5に示される第1特徴点についての特徴点情報と
図8に示される第2特徴点についての特徴点情報との照合による抽出結果情報の例を示す。例えば、
図8における特徴点ID「1」の第2特徴点と地理的位置が一致する第1特徴点として、
図5における特徴点ID「101」の第1特徴点が特定されたとする。
図11における抽出結果ID「A」のレコードは、当該第1特徴点についての抽出結果情報のレコードである。抽出結果ID「A」のレコードにおける、カメラID、特徴点ID、および、画像内特徴点位置情報の各情報は、
図8に示される第2特徴点についての特徴点情報から取得される。抽出結果ID「A」のレコードにおける、登録済IDおよび特徴点位置情報の各情報は、
図5に示される第1特徴点についての特徴点情報から取得される。
【0068】
なお、
図11における抽出結果ID「B」のレコードは、
図8における特徴点ID「2」の第2特徴点に対して、
図5における特徴点ID「103」の第1特徴点が特定された場合における抽出結果情報のレコードである。また、
図11における抽出結果ID「C」のレコードは、
図8における特徴点ID「4」の第2特徴点に対して、
図5における特徴点ID「104」の第1特徴点が特定された場合における抽出結果情報のレコードである。
【0069】
撮影情報算出部35は、特徴点照合部34から出力される抽出結果情報を取得することにより、特徴点照合部34により特定された第1特徴点についての特徴点位置情報を取得する。特徴点照合部34は、特徴点照合部34によって特定された2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報を取得する。また、撮影情報算出部35には、第2画像を撮影したカメラ11についての情報であるカメラ情報が保存される。カメラ情報には、カメラ11の位置を示す撮影位置情報が含まれる。撮影情報算出部35は、2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報と撮影位置情報とに基づいて、撮影情報を算出する。
【0070】
図12は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35において保存されるカメラ情報の例を示す図である。
図12には、カメラ情報の例を表す表を示す。
図12に示す例において、カメラ情報には、カメラID、撮影位置情報、および平面直角座標の各項目の情報が含まれる。撮影位置情報の項目は、カメラ11の地理的位置を示す情報であって、経度、緯度、および高度を表す。平面直角座標の項目は、カメラ11の地理的位置を示す情報であって、平面直角座標系のX座標およびY座標を表す。
【0071】
図12には、カメラID「Camera01」についての、撮影位置情報および平面直角座標が示されている。なお、静止画像の撮影に複数のカメラ11が使用される場合は、各カメラ11についてのカメラ情報が撮影情報算出部35に保存される。
【0072】
図13は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35の構成例を示す図である。撮影情報算出部35は、焦点距離算出機能と、方位角算出機能と、俯角算出機能とを備える。撮影情報算出部35は、焦点距離算出機能により、撮影時におけるカメラ11の焦点距離を算出する。撮影情報算出部35は、方位角算出機能により、カメラ11の撮影方向の方位角を算出する。撮影情報算出部35は、俯角算出機能により、カメラ11の撮影方向の俯角を算出する。以下に、焦点距離算出機能、方位角算出機能、および俯角算出機能の各々による処理の具体例について説明する。
【0073】
図14は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第1の図である。
図14には、点Oを原点とする平面直角座標系を示す。点Oは、カメラ11の地理的位置であって、撮影位置情報により示される位置を表す。
図14において、平面直角座標系のX軸を表す矢印の方向は北方向を表し、平面直角座標系のY軸を表す矢印の方向は東方向を表すものとする。
【0074】
点A、点B、および点Cの各々は、特徴点データベースに登録されている第1特徴点の地理的位置であって、特徴点位置情報により示される位置を表す。点oは、静止画像の像面44の中心位置を表す。点a、点b、および点cの各々は、像面44における第1特徴点の位置であって、画像内特徴点位置情報により示される位置を表す。LOSは、点Oから点oへ向かう直線方向であって、カメラ11の撮影方向を表す。距離lは、点Oと像面44との間の距離であって、カメラ11の焦点距離である。
【0075】
撮影情報算出部35は、X軸と直線OAとがなす∠XOAと、X軸と直線OBとがなす∠XOBと、X軸と直線OCとがなす∠XOCとの各角度を求める。∠XOA、∠XOB、および∠XOCの各々は、点A、点B、および点Cの方位角である。∠XOA、∠XOB、および∠XOCの各角度は、北方向を0度とする時計回りの角度とする。撮影情報算出部35は、これらの角度を基に、∠AOBの角度であるθABと、∠BOCの角度であるθBCと、∠COAの角度であるθCAとを求める。
【0076】
図15は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第2の図である。
図16は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第3の図である。
【0077】
図15には、
図14に示す各点と
図14に示す像面44とをx軸およびy軸に対して斜めの方向から見た様子を示す。
図15において、x軸およびy軸は、像面44上の互いに垂直な2軸である。x軸の方向のうち矢印により示す方向を正方向とする。y軸の方向のうち矢印により示す方向を正方向とする。像面44における、点o、点a、点b、および点cの各座標を、(0,0)、(a
x,a
y)、(b
x,b
y)、および(c
x,c
y)とする。また、x軸およびy軸の各々に垂直な軸をz軸とする。z軸の方向のうち矢印により示す正方向は、LOSとは逆方向とする。
【0078】
図16には、
図15に示す各点と
図15に示す像面44とを、y軸の負方向側から見た様子を示す。
図16における左右方向がx軸の方向であって、
図16における上下方向がz軸の方向である。
図16における紙面に垂直な方向がy軸の方向である。ここで、
図16に示すように、像面44の座標系におけるカメラ11の位置を点Lとすると、点Lの座標は(0,0,l)である。撮影情報算出部35は、点Lの位置を特定することによって、焦点距離である距離lを算出する。
【0079】
ここで、
図16では、
図15に示す点a、点b、および点cの各々を、像面44のうちy=0かつz=0の直線、すなわちx軸上の点に置き換えるとする。すなわち、
図16では、点a、点b、および点cの各座標を、(a
x,0,0)、(b
x,0,0)、および(c
x,0,0)とする。なお、c
x<a
x<0<b
xが成り立つ。
【0080】
図17は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第4の図である。
図17には、
図16に示す点L、点a、点b、および点cを基に想定された、点L、点a、および点bの3点を通る円abLと、点L、点b、および点cの3点を通る円bcLと、点L、点c、および点aの3点を通る円caLと、の3つの円を示す。点Lは、3つの円の交点である。これらの3つの円の各々を表す方程式から解を求めることによって、点Lの位置を特定することができる。
【0081】
図18は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35により焦点距離を算出する方法の例を説明するための第5の図である。
図18には、
図17に示す3つの円の1つである円abLを示す。ここでは、円abLを例として、円abLの方程式を求める例について説明する。
【0082】
ここで、線分abを底辺とする二等辺三角形の頂点であって円abL上の位置を、点L’とする。円abL上の3つの点の座標を得ることによって、円abLの方程式を得ることができる。点aおよび点bの各座標は(ax,0,0)および(bx,0,0)と得られているため、点L’の座標を得ることによって、円abLの方程式を得ることができる。
【0083】
∠aL’bの角度が、∠AOBの角度であるθABと同一である場合、円周角は同一であることから、点L’は円abLの円周上に存在するといえる。点L’を通る線分abの垂線と線分abとの交点を点o’とすると、点o’の座標は、((ax+bx)/2,0,0)である。このことから、点L’の座標は、((ax+bx)/2,0,l’)と表すことができる。さらに、△ao’L’が直角三角形であることから、∠aL’o’=θAB/2が成り立つ。以上により、点L’のz座標であるl’は、次の式(1)により表される。式(1)において、「ao’」の上にバーを付した記号は、線分ao’の長さを表す。
【0084】
【0085】
点a、点b、および点L’の各座標は、次の式(2)のように表される。
【0086】
【0087】
点a、点b、および点L’の各座標を基に、次の式(3)に示す3つの方程式を作ることができる。
【0088】
【0089】
式(3)に示す3つの方程式をα、β、およびγにつき解くことによって、円abLの方程式の定数であるαAB、βAB、およびγABが得られる。これにより、円abLの方程式を得ることができる。
【0090】
円bcLについても、円abLの場合と同様に、円bcLの方程式の定数であるαBC、βBC、およびγBCを得ることによって、円bcLの方程式を得ることができる。円caLについても、円abLの場合と同様に、円caLの方程式の定数であるαCA、βCA、およびγCAを得ることによって、円caLの方程式を得ることができる。
【0091】
以上により、次の式(4)に示すように、円abL、円bcL、および円caLの各々の方程式を得ることができる。
【0092】
【0093】
式(4)に示すこれらの方程式を解くことによって、円abLおよび円bcLの2つの交点と、円bcLおよび円caLの2つの交点と、円caLおよび円abLの2つの交点とが求まる。求めた交点間の距離が、例えばあらかじめ設定されたεよりも小さい位置を、点Lとする。以上により、点Lの位置を特定することによって、焦点距離である距離lが求まる。なお、撮影情報算出部35により焦点距離を算出する方法は、上記の方法に限られないものとする。撮影情報算出部35は、任意の方法により、焦点距離を算出することができる。
【0094】
図19は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する撮影情報算出部35により方位角を算出する方法の例を説明するための図である。
図19において、点A、点B、点C、点O、点a、点b、および点cの各点と、角度θ
AB、角度θ
BC、および角度θ
CAの各角度と、LOSとは、
図14に示す場合と同様であるものとする。1つの例として、撮影情報算出部35は、点Aの方位角θ
Aに、LOSと線分OAとがなす角度θ
LAを足し合わせることによって、撮影方向の方位角θ
Lを算出する。
【0095】
点aの座標である(ax,ay)と距離lとを用いて、角度θLAは、次の式(5)により表される。
【0096】
【0097】
方位角θLは、θL=θA-θLAと式(5)とにより求めることができる。点A、点B、および点Cの各々に基づいて方位角θLを求め、求めた結果の平均等をとることによって、撮影方向の方位角θLを特定することができる。なお、撮影情報算出部35により撮影方向の方位角を算出する方法は、上記の方法に限られないものとする。撮影情報算出部35は、任意の方法により、撮影方向の方位角を算出することができる。
【0098】
俯角φAは、水平面と線分OAとがなす角度である。点aの座標である(ax,ay)と距離lとを用いて、像面44に映されている水平面と線分OAとがなす角度である角度φLAは、次の式(6)により表される。
【0099】
【0100】
撮影方向の仰角φLは、φL=φA-φLAと式(6)とにより求めることができる。点A、点B、および点Cの各々に基づいて仰角φLを求め、求めた結果の平均等をとることによって、撮影方向の仰角φLを特定することができる。なお、撮影情報算出部35により撮影方向の仰角を算出する方法は、上記の方法に限られないものとする。撮影情報算出部35は、任意の方法により、撮影方向の仰角を算出することができる。
【0101】
図20は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する災害位置情報算出部36により災害位置情報を算出する方法の例を説明するための図である。災害画像解析部31から出力された災害情報は、災害位置情報算出部36へ入力される。撮影情報算出部35によって算出された撮影情報は、災害位置情報算出部36へ入力される。
【0102】
撮影情報算出部35は、撮影情報である、焦点距離、方位角、および俯角の各情報に基づいて、LOSの方向ベクトルを求める。LOSの方向ベクトルは、像面44の中心である点oを通る。また、カメラ11の位置から災害位置へ向かう方向ベクトル45は、像面44上にて災害位置が映された位置46を通る。位置46は、災害画像解析部31により生成された検出位置情報により示される位置である。撮影情報算出部35は、位置46を通るように、LOSの方向ベクトルを回転させる変換により、災害位置へ向かう方向ベクトル45を求める。
【0103】
災害位置情報算出部36は、地理情報記憶部23から地理情報を読み出す。例えば、災害位置情報算出部36は、地理情報である3次元の地形モデル47と災害位置へ向かう方向ベクトル45との交点48を求めることによって、災害位置の緯度、経度、および高度を算出する。以上により、災害位置情報算出部36は、災害画像解析部31により生成された検出位置情報と撮影情報算出部35により算出された撮影情報とに基づいて、災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出する。なお、災害位置情報算出部36により災害位置情報を算出する方法は、上記の方法に限られないものとする。災害位置情報算出部36は、任意の方法により、災害位置情報を算出することができる。
【0104】
災害位置情報算出部36は、災害位置情報算出部36へ入力された災害情報に求めた災害位置情報を追加し、災害位置情報を含む災害情報を災害情報記憶部33に保存する。
【0105】
なお、上記説明では、特徴点照合部34は、1つの第2画像につき2以上の第1特徴点を特定することとした。災害発生位置を特定し易くする観点から、特徴点照合部34は、1つの第2画像につき3以上の第1特徴点を特定することとしても良い。災害位置特定システム10は、事前解析装置14の特徴点登録部22では、1つの撮影方向につきさまざまな倍率で抽出された第1特徴点を登録しておく。これにより、災害位置特定システム10は、災害が発生した際の第2画像の倍率に関わらず、災害発生位置の特定に十分な数の第1特徴点を第2画像から特定することが可能となる。
【0106】
1つの第2画像につき2以上の特徴点または3以上の特徴点が抽出されなかった場合において、災害位置特定システム10は、焦点距離および撮影方向の少なくとも一方を変更して第2画像を再度撮影することをアナウンス等によりオペレータ等に促すこととしても良い。オペレータ等は、操作機器12の操作により、焦点距離および撮影方向の少なくとも一方を変更する。これにより、災害位置特定システム10は、焦点距離および撮影方向の少なくとも一方が変更された後に取得される第2画像から、2以上の特徴点または3以上の特徴点を抽出することができる。
【0107】
または、災害位置特定システム10は、1つの第2画像につき2以上の特徴点または3以上の特徴点が特定されなかった場合において、操作機器12により焦点距離および撮影方向の少なくとも一方を自動で調整しても良い。この場合も、災害位置特定システム10は、焦点距離および撮影方向の少なくとも一方が変更された後に取得される第2画像から、2以上の特徴点または3以上の特徴点を抽出することができる。
【0108】
カメラ11により撮影された映像を災害位置特定システム10の外部の装置にて表示する場合に、災害位置特定システム10は、外部の装置へ出力される映像に、特徴点を表すオブジェクトを追加しても良い。これにより、オペレータ等は、災害発生位置を特定し得る数の特徴点が第2画像に入るか否かを映像にて確認しながら、操作機器12を操作することができる。また、災害位置特定システム10は、映像に含まれる特徴点の数を映像とともに表示することとしても良い。これにより、オペレータ等は、映像に含まれる特徴点の数を確認しながら、操作機器12を操作することができる。なお、災害位置特定システム10は、カメラ11により撮影された映像を表示機器16により表示することとしても良い。
【0109】
災害位置特定システム10は、複数のカメラ11の1つを選択して静止画像を取得するものであっても良い。この場合において、災害発生位置を特定し得る数の特徴点が第2画像に入っていない場合に、災害位置特定システム10は、静止画像を取得するカメラ11を切り替えることをアナウンス等によりオペレータ等に促すこととしても良い。操作機器12の操作によりカメラ11の選択が可能である場合、オペレータ等は、操作機器12の操作により静止画像を取得するカメラ11を切り替える。または、災害位置特定システム10は、災害発生位置を特定し得る数の特徴点が第2画像に入っていない場合に、静止画像を取得するカメラ11を操作機器12により自動で切り替えることとしても良い。これにより、災害位置特定システム10は、災害発生位置を特定し得る数の特徴点を含む第2画像を得ることができる。
【0110】
災害位置特定システム10は、1つの第2画像につき2以上の特徴点または3以上の特徴点が抽出された場合に、抽出された全ての特徴点が撮影範囲から外れない程度においてカメラ11をズームさせることとしても良い。災害位置特定システム10は、カメラ11をズームさせることによって、災害位置を特定する精度をさらに向上させることができる。
【0111】
次に、事前解析装置14の動作について説明する。
図21は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する事前解析装置14の動作手順の例を示すフローチャートである。
【0112】
ステップS1において、事前解析装置14の特徴点抽出部21は、第1画像から第1特徴点を抽出する。特徴点抽出部21は、第1特徴点の画像内特徴点位置情報を含む特徴点情報を、特徴点登録部22へ出力する。
【0113】
ステップS2において、事前解析装置14の特徴点登録部22は、第1特徴点と地理情報との照合によって、特徴点位置情報を求める。ステップS3において、特徴点登録部22は、特徴点位置情報を含む特徴点情報を特徴点情報記憶部24に保存することにより第1特徴点を登録する。
【0114】
ステップS4において、特徴点登録部22は、ステップS1において第1画像から抽出された第1特徴点のうち、地理的位置を特定可能な全ての第1特徴点についての登録が完了したか否かを判断する。地理的位置を特定可能かつ登録が完了していない第1特徴点がある場合(ステップS4,No)、事前解析装置14は、登録が完了していない第1特徴点について、ステップS2からの手順を繰り返す。一方、地理的位置を特定可能な全ての第1特徴点についての登録が完了した場合(ステップS4,Yes)、事前解析装置14は、
図21に示す手順による動作を終了する。事前解析装置14は、事前解析装置14へ入力される複数の第1画像の各々について、
図21に示す手順による動作を繰り返す。
【0115】
次に、災害時解析装置15の動作について説明する。
図22は、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10が有する災害時解析装置15の動作手順の例を示すフローチャートである。
【0116】
ステップS11において、災害時解析装置15の災害検出部37は、静止画像を解析することにより、災害の発生を検出する。災害検出部37は、災害の発生を検出した場合に、検出された災害に関する情報である災害情報を生成する。災害検出部37は、災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報を含む災害情報を災害発生判定部39へ出力する。
【0117】
ステップS12において、災害時解析装置15の特徴点抽出部38は、災害の発生が検出された静止画像である第2画像から第2特徴点を抽出する。特徴点抽出部38は、第2特徴点の特徴点情報を災害発生判定部39へ出力する。災害発生判定部39は、災害発生有りと判定した場合に、第2画像である静止画像と、特徴点情報と、災害情報とを、災害時解析装置15の災害位置特定部32へ出力する。
【0118】
ステップS13において、災害位置特定部32の特徴点照合部34は、ステップS12にて抽出された第2特徴点とステップS3により登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合し、第2特徴点に相当する第1特徴点を特定する。特徴点照合部34は、特定された第1特徴点の特徴点位置情報を、災害位置特定部32の撮影情報算出部35へ出力する。
【0119】
ステップS14において、撮影情報算出部35は、2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報と、第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、撮影情報を算出する。撮影情報算出部35は、算出された撮影情報を、災害位置特定部32の災害位置情報算出部36へ出力する。
【0120】
ステップS15において、災害位置情報算出部36は、第2画像のうち災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と撮影情報とに基づいて、災害位置情報を算出する。ステップS16において、災害位置情報算出部36は、災害位置情報を含む災害情報を災害情報記憶部33に保存する。以上により、災害時解析装置15は、
図22に示す手順による動作を終了する。
【0121】
次に、災害位置特定システム10により災害を検出する際の利点について説明する。ここでは、計測値に基づいて撮影情報を求め、災害位置の特定を行う場合を比較例とする。比較例では、映像を撮影するカメラに計測部が備えられているものとする。カメラに備えられている計測部による計測値には、大なり小なりの誤差が含まれる。例えば、方位角の誤差と俯角の誤差との各々は、計算によって得られる撮影方向のベクトルと実際の映像の視線方向との間にずれを生じさせる。撮影方向のベクトルと視線方向との間にずれが生じると、画像上の災害発生位置と計算上の災害発生位置とにずれが生じることとなる。また、焦点距離に誤差があると、焦点距離を基に計算された撮影範囲と実際の撮影範囲との間にずれが生じるため、画像上の災害発生位置と計算上の災害発生位置とにずれが生じることとなる。このような誤差の影響は、画像の中心から離れるに従って顕著に表れる。
【0122】
また、地域の災害発生を監視する場合、カメラから遠方の位置までを撮影範囲に含めるために、撮影方向が水平に近くなるケースが想定される。撮影方向が水平に近い場合、遠方の物ほど小さく撮影されることとなり、地表面の奥行き方向における位置の差が遠方ほど判別しにくくなる。
【0123】
図23は、実施の形態1において撮影方向が水平に近い場合における静止画像について説明するための第1の図である。
図24は、実施の形態1において撮影方向が水平に近い場合における静止画像について説明するための第2の図である。
図23には、撮影方向が水平に近い場合における静止画像の例を模式的に示している。
【0124】
図23に示す静止画像には、複数の地区が映されているものとする。
図23では、複数の地区のうち、撮影方向に並ぶ5つの地区の境界を表す線を示している。
図24に示すように、かかる5つの地区は、撮影位置52から順に、A区、B区、C区、D区、およびE区であるものとする。
図24には、A区、B区、C区、D区、およびE区を上空から見た場合における各地区の境界を示している。
【0125】
図23において、静止画像のうち地表面が映されている部分に、奥行き方向に配列された複数のピン51が描画されている。
図23では、複数のピン51は、静止画像上において等間隔となるように配置されている。
図24には、
図23に示す態様でピン51が地表面に配列された場合における複数のピン51を上から見た様子示している。
図24に示すように、ピン51の間隔は、撮影位置52から遠ざかるに従って大きくなる。このことは、静止画像の1ピクセル当たりにおける地表の奥行き方向長さが、撮影位置52から遠ざかるに従って長くなることを意味する。撮影位置52から遠ざかるに従って、奥行き方向における位置の識別が困難となる。
【0126】
比較例の場合、災害発生位置が撮影位置52から遠方であるほど、計測値の誤差による位置特定精度の低下が顕著となる。すなわち、計測値にわずかな誤差がある場合でも、遠方の災害発生位置を特定する場合における位置特定精度は低くなる。
【0127】
これに対し、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10は、第1特徴点の特徴点位置情報と撮影位置情報とに基づいて撮影情報を算出する。すなわち、災害位置特定システム10は、計測部による計測値から撮影情報を得るのではなく、静止画像である第1画像および第2画像から得られる情報を基に撮影情報を算出する。災害位置特定システム10は、誤差を含み得るパラメータである計測値が、災害発生位置を特定する処理の過程から除かれることによって、災害発生位置を高い精度で特定することが可能となる。災害位置特定システム10は、遠方の災害発生位置を特定する場合に位置特定精度が顕著に低下するという事態を防ぐことができる。
【0128】
また、災害位置特定システム10は、静止画像である第1画像および第2画像から得られる情報を基に撮影情報を取得できるため、焦点距離、方位角、および俯角を計測する計測部がカメラ11に備えられていなくても良い。災害位置特定システム10は、撮影情報を得るための計測部が備えられていないカメラ11を使用する場合であっても、災害発生位置を高い精度で特定することが可能となる。
【0129】
なお、上記説明では、事前解析装置14と災害時解析装置15とには、同じカメラ11によって撮影された静止画像が入力されることとしたが、これに限られない。事前解析装置14へ入力される静止画像を撮影するカメラ11と、災害時解析装置15へ入力される静止画像を撮影するカメラ11とは、互いに異なるものであっても良い。事前解析装置14へ入力される静止画像を撮影するカメラ11と、災害時解析装置15へ入力される静止画像を撮影するカメラ11とは、互いに同じ位置に設置されても良く、互いに異なる位置に設置されても良い。
【0130】
次に、事前解析装置14および災害時解析装置15の各々のハードウェア構成について説明する。事前解析装置14および災害時解析装置15の各々は、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサがソフトウェアを実行する回路である。事前解析装置14および災害時解析装置15の各々は、処理回路を備えるコンピュータシステムにより実現される。
【0131】
図25は、実施の形態1にかかる処理回路60の構成例を示す図である。処理回路60は、入力部61、プロセッサ62、メモリ63、および出力部64を備える。入力部61は、処理回路60の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ62に与えるインターフェース回路である。出力部64は、プロセッサ62またはメモリ63からのデータを処理回路60の外部に送るインターフェース回路である。
【0132】
事前解析装置14が有する処理部である、特徴点抽出部21および特徴点登録部22は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。災害時解析装置15が有する処理部である、災害画像解析部31および災害位置特定部32は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ63に格納される。
【0133】
事前解析装置14を実現する処理回路60では、メモリ63に記憶されたプログラムをプロセッサ62が読み出して実行することにより、事前解析装置14の機能を実現する。すなわち、事前解析装置14を実現する処理回路60は、事前解析装置14の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ63を備える。災害時解析装置15を実現する処理回路60では、メモリ63に記憶されたプログラムをプロセッサ62が読み出して実行することにより、災害時解析装置15の機能を実現する。すなわち、災害時解析装置15を実現する処理回路60は、災害時解析装置15の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ63を備える。事前解析装置14を実現する処理回路60のメモリ63に記憶されたプログラムと、災害時解析装置15を実現する処理回路60のメモリ63に記憶されたプログラムとは、災害位置特定システム10の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0134】
プロセッサ62は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)である。メモリ63は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。事前解析装置14の地理情報記憶部23および特徴点情報記憶部24と、災害時解析装置15の災害情報記憶部33とは、メモリ63により実現される。
【0135】
なお、事前解析装置14および災害時解析装置15の少なくとも一方は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいても良い。プログラムは、CD(Compact Disc)-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体に格納され、災害位置特定システム10の手順および方法を実現させるために記録媒体が提供されても良い。
【0136】
災害位置特定システム10の各構成要素は、物理的に図示のとおりに構成されていることを要しない。各構成要素の分散および統合の具体的形態は図示のものに限られない。各構成要素は、任意の単位で機能的または物理的に分散して構成されても良く、統合して構成されても良い。
【0137】
上記説明では、災害位置特定システム10は、互いに別の装置である事前解析装置14と災害時解析装置15とを備えることとしたが、これに限られない。災害位置特定システム10は、事前解析装置14の機能と災害時解析装置15の機能とを1つの装置により実現することとしても良い。また、表示機器16は、災害時解析装置15に備えられても良い。符号化装置13は、事前解析装置14と災害時解析装置15との各々に備えられても良い。
【0138】
実施の形態1によると、特徴点登録部22は、第1特徴点と地理情報とを照合し、第1特徴点の特徴点位置情報の保存により第1特徴点を登録する。特徴点照合部34は、第2特徴点と登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合し、第2特徴点に相当する第1特徴点を特定する。撮影情報算出部35は、2以上の第1特徴点の各々の特徴点位置情報と撮影位置情報とに基づいて、撮影情報を算出する。災害位置情報算出部36は、災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と撮影情報とに基づいて、災害位置情報を算出する。災害位置特定システム10は、静止画像である第1画像および第2画像から得られる情報を基に撮影情報を算出することによって、災害が発生している位置を高い精度で特定することが可能となる。
【0139】
撮影情報算出部35によって算出される撮影情報には、撮影時における焦点距離の情報と、撮影方向の方位角および俯角の各情報とが含まれる。これにより、災害位置特定システム10は、検出位置情報と撮影情報とに基づいて災害位置情報を算出することが可能となる。
【0140】
特徴点登録部22は、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の第1画像の各々から抽出された第1特徴点を登録する。これにより、災害位置特定システム10は、カメラ11の周囲における広い範囲についての第1特徴点を登録することができる。
【0141】
災害画像解析部31は、災害の発生を検出し、災害の発生が検出された画像である第2画像から第2特徴点を抽出する。災害位置特定部32の特徴点照合部34は、災害画像解析部31によって抽出された第2特徴点と登録済の複数の第1特徴点の各々とを照合し、第2特徴点に相当する第1特徴点を特定する。これにより、災害位置特定システム10は、特徴点照合部34によって特定された第1特徴点の特徴点位置情報に基づいて撮影情報を算出することが可能となる。また、災害位置特定システム10は、災害画像解析部31において災害の発生を検出することによって、災害位置情報を算出するための検出位置情報を得ることができる。
【0142】
以上により、実施の形態1にかかる災害位置特定システム10は、災害が発生している位置を高い精度で特定することができる、という効果を奏する。
【0143】
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【0144】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0145】
(付記1)
地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と前記地域の地理情報との照合によって、前記第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、前記特徴点位置情報の保存により前記第1特徴点を登録する特徴点登録部と、
前記地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合し、前記第2特徴点に相当する前記第1特徴点を特定する特徴点照合部と、
前記特徴点照合部によって特定された2以上の前記第1特徴点の各々の前記特徴点位置情報と前記第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、前記第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を算出する撮影情報算出部と、
前記第2画像のうち前記災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と前記撮影情報とに基づいて、前記災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出する災害位置情報算出部と、を備える
ことを特徴とする災害位置特定システム。
(付記2)
前記第2画像は、前記地域を俯瞰する位置から撮影された画像であって、
前記撮影情報には、撮影時における焦点距離の情報と、撮影方向の方位角および俯角の各情報とが含まれる
ことを特徴とする付記1に記載の災害位置特定システム。
(付記3)
前記特徴点登録部は、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の前記第1画像の各々から抽出された前記第1特徴点を登録する
ことを特徴とする付記1または2に記載の災害位置特定システム。
(付記4)
前記地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した画像を解析することによって前記災害の発生を検出し、前記災害の発生が検出された画像である前記第2画像から前記第2特徴点を抽出する災害画像解析部を備え、
前記特徴点照合部は、前記災害画像解析部によって抽出された前記第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の災害位置特定システム。
(付記5)
地域において災害が発生している地点の地理的位置をコンピュータにより特定する災害位置特定方法であって、
前記地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と前記地域の地理情報との照合によって、前記第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、前記特徴点位置情報の保存により前記第1特徴点を登録するステップと、
前記地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合し、前記第2特徴点に相当する前記第1特徴点を特定するステップと、
前記第1特徴点を特定する前記ステップによって特定された2以上の前記第1特徴点の各々の前記特徴点位置情報と前記第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、前記第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を推定するステップと、
前記第2画像のうち前記災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と前記撮影情報とに基づいて、前記災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出するステップと、を含む
ことを特徴とする災害位置特定方法。
(付記6)
前記第2画像は、前記地域を俯瞰する位置から撮影された画像であって、
前記撮影情報には、撮影時における焦点距離の情報と、撮影方向の方位角および俯角の各情報とが含まれる
ことを特徴とする付記5に記載の災害位置特定方法。
(付記7)
前記第1特徴点を登録する前記ステップでは、撮影方向の方位角および俯角の少なくとも一方を変化させて撮影された複数の前記第1画像の各々から抽出された前記第1特徴点を登録する
ことを特徴とする付記5または6に記載の災害位置特定方法。
(付記8)
前記地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した画像を解析することによって前記災害の発生を検出し、前記災害の発生が検出された画像である前記第2画像から前記第2特徴点を抽出するステップをさらに含み、
前記第2特徴点に相当する前記第1特徴点を特定する前記ステップでは、前記第2画像から抽出された前記第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合する
ことを特徴とする付記5から7のいずれか1つに記載の災害位置特定方法。
(付記9)
地域を俯瞰する位置から前記地域を撮影した第1画像の特徴点である第1特徴点と前記地域の地理情報との照合によって、前記第1特徴点の地理的位置を示す特徴点位置情報を求め、前記特徴点位置情報の保存により前記第1特徴点を登録するステップと、
前記地域において災害が発生している様子を撮影した第2画像の特徴点である第2特徴点と登録済の複数の前記第1特徴点の各々とを照合し、前記第2特徴点と地理的位置が一致する前記第1特徴点を特定するステップと、
前記第1特徴点を特定する前記ステップによって特定された2以上の前記第1特徴点の各々の前記特徴点位置情報と前記第2画像が撮影された位置を示す撮影位置情報とに基づいて、前記第2画像の撮影時の条件を示す撮影情報を推定するステップと、
前記第2画像のうち前記災害の発生が検出された位置を示す検出位置情報と前記撮影情報とに基づいて、前記災害が発生している地点の地理的位置を示す災害位置情報を算出するステップと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする災害位置特定プログラム。
【符号の説明】
【0146】
10 災害位置特定システム、11 カメラ、12 操作機器、13 符号化装置、14 事前解析装置、15 災害時解析装置、16 表示機器、21,38 特徴点抽出部、22 特徴点登録部、23 地理情報記憶部、24 特徴点情報記憶部、31 災害画像解析部、32 災害位置特定部、33 災害情報記憶部、34 特徴点照合部、35 撮影情報算出部、36 災害位置情報算出部、37 災害検出部、39 災害発生判定部、41 矩形、42,43 オブジェクト、44 像面、45 方向ベクトル、46 位置、47 地形モデル、48 交点、51 ピン、52 撮影位置、60 処理回路、61 入力部、62 プロセッサ、63 メモリ、64 出力部。