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特開2024-166920炉頂クリーナ、炉頂クリーナのメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166920
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】炉頂クリーナ、炉頂クリーナのメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 43/04 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
C10B43/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083352
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】502369746
【氏名又は名称】住友重機械プロセス機器株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】立石 匡
(72)【発明者】
【氏名】二井 大祐
(72)【発明者】
【氏名】浅野 紘大
(72)【発明者】
【氏名】川上 了
(72)【発明者】
【氏名】▲曹▼ 昊映
(72)【発明者】
【氏名】江川 秀
(72)【発明者】
【氏名】藤川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012FA01
(57)【要約】
【課題】本開示は、従来の炉頂クリーナの問題点に鑑みなされたもので、吸気ノズルを容易に掃除可能な炉頂クリーナの技術を提供することを目的の一つとしている。
【解決手段】本開示の炉頂クリーナ10は、コークス炉の炉頂面で石炭を吸引するための吸気ノズル2を備える。吸気ノズル2は、ノズル本体3と、ノズル本体3の主面32に設けられた保守用の開口部33を覆う蓋部材4と、蓋部材4をノズル本体3に保持する保持機構5とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の炉頂面で石炭を吸引するための吸気ノズルを備え、前記吸気ノズルは、ノズル本体と、前記ノズル本体の主面に設けられた保守用の開口部を覆う蓋部材と、前記蓋部材を前記ノズル本体に保持する保持機構とを有する、炉頂クリーナ。
【請求項2】
前記吸気ノズルは、前記ノズル本体に吸気ダクトを接続するためのダクト接続部を有し、前記主面に直交する方向から見た寸法において、前記開口部の最大横幅は、前記ダクト接続部の最大横幅以上である、請求項1に記載の炉頂クリーナ。
【請求項3】
前記開口部の横幅は、前記吸気ノズルの先端に向かって徐々に大きくなる、請求項2に記載の炉頂クリーナ。
【請求項4】
前記保持機構は、工具を使用することなく前記蓋部材を着脱できるように構成される、請求項1に記載の炉頂クリーナ。
【請求項5】
前記ノズル本体に着脱可能なカートリッジを有し、前記カートリッジは、吸引された石炭の通路を構成する、請求項1に記載の炉頂クリーナ。
【請求項6】
前記カートリッジは、前記ノズル本体の前記主面以外の面から出し入れ可能に構成される、請求項5に記載の炉頂クリーナ。
【請求項7】
前記吸気ダクトの空気圧を検知するための圧力センサと、前記圧力センサの検知結果に応じて所定のアラート情報を出力する出力部と、をさらに備える、請求項2に記載の炉頂クリーナ。
【請求項8】
ノズル本体と、前記ノズル本体の主面に設けられた保守用の開口部を覆う蓋部材とを有する炉頂クリーナに関して、
前記ノズル本体から蓋部材を外して前記開口部を開くステップと、
前記開口部から前記ノズル本体の内部を清掃するステップと、
前記ノズル本体に前記蓋部材を装着して前記開口部を閉じるステップと、
を含む炉頂クリーナのメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉用の炉頂クリーナおよび炉頂クリーナのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉の炉上を掃除するクリーナ(掃除機)が知られている。例えば、特許文献1には、装炭車走行軌条の両側面近傍に堆積する粉塵を回収するためのコークス炉の炉上クリーナが記載されている。このクリーナは、台車上に除塵機と、排風機を搭載し、除塵機、排風機と吸引管、可撓管を介して連結した吸引ノズルを有し、装炭車上に設けられ、装炭車走行軌条と直交する方向に延びる軌条を走行しながら粉塵を吸引して除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭56-146745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炉頂クリーナは、コークス炉の装炭車に搭載され、石炭装入時に装入口周辺にこぼれた石炭を、吸気ノズルを移動させながら吸引回収する装置である。しかし、吸気ノズルの吸入口は、装炭車の移動方向に長く、移動方向と直交する方向には狭いため、吸入した石炭や粉塵が内側に付着して詰まることがある。吸気ノズルの付着物を取り除く場合に、吸入口から作業することが考えられるが、吸入口は狭いため、この作業は困難である。特許文献1には、炉頂クリーナの吸気ノズルを容易に掃除可能にするという観点からは十分な開示がなされていない。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたもので、吸気ノズルを容易に掃除可能な炉頂クリーナの技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の炉頂クリーナは、コークス炉の炉頂面で石炭を吸引するための吸気ノズルを備え、吸気ノズルは、ノズル本体と、ノズル本体の主面に設けられた保守用の開口部を覆う蓋部材と、蓋部材をノズル本体に保持する保持機構とを有する。
【0007】
本開示の別の態様は、炉頂クリーナのメンテナンス方法である。この方法は、ノズル本体と、ノズル本体の主面に設けられた保守用の開口部を覆う蓋部材とを有する炉頂クリーナに関して、ノズル本体から蓋部材を外して開口部を開くステップと、開口部からノズル本体の内部を清掃するステップと、ノズル本体に蓋部材を装着して開口部を閉じるステップと、を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸気ノズルを容易に掃除可能な炉頂クリーナの技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る炉頂クリーナの一例を模式的に示す側面図である。
図2図1の炉頂クリーナの吸気ノズルの配置を模式的に示す平面図である。
図3図1の炉頂クリーナの吸気ノズルの一例を示す正面図である。
図4図3の吸気ノズルを示す平面図である。
図5図3の吸気ノズルのカートリッジの一例を示す図である。
図6図1の炉頂クリーナのメンテナンス方法の一例を示すフローチャートである。
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
以下、図1図2を参照して、本発明の実施形態に係る炉頂クリーナ10の全体構成を説明する。図1は、実施形態に係る炉頂クリーナ10の一例を模式的に示す側面図である。図2は、炉頂クリーナ10の吸気ノズル2の配置例を模式的に示す平面図である。
【0014】
以下、主にXYZ直交座標系をもとに説明する。便宜的に、X方向を左右方向といい、Y方向を前後方向といい、Z方向を上下方向という。Y方向およびZ方向はそれぞれX方向に直交する。X方向で矢印の先端側を「右」、「右方」と、反先端側を「左」、「左方」ということがある。Y方向で矢印の先端側を「前」、「前方」と、反先端側を「後」、「後方」ということがある。このような方向の表記は炉頂クリーナ10の姿勢を制限するものではなく、炉頂クリーナ10は、用途に応じて任意の姿勢で使用されうる。
【0015】
実施形態の炉頂クリーナ10は、吸気ノズル2と、支持機構93と、吸気ダクト94と、回収ユニット95とを主に含む。図2の例では、炉頂クリーナ10は、Y方向に離間する2つの吸気ノズル2を有する。
【0016】
炉頂クリーナ10は、X方向(第1方向)に延在するコークス炉100の炉頂面90において、当該炉頂面90を清掃する装置である。炉頂クリーナ10は、装炭車(不図示)がX方向に移動する間は、装炭車の移動に連れてX方向に移動を行い、装炭車が石炭装入のために停止している間は、X方向の移動を停止する。炉頂クリーナ10は、X方向の移動を停止している期間に、吸気ノズル2を炉頂面90に沿ってY方向(第2方向)に移動させながら、吸気ノズル2によって装入口92周辺にこぼれた石炭および粉塵(以下、単に「石炭91」という)を吸引する。
【0017】
支持機構93は、吸気ノズル2を支持するアーム機構である。支持機構93は、X方向移動時には吸気ノズル2を上昇させて炉頂面90から上方に離す。支持機構93は、X方向の移動停止時には吸気ノズル2を炉頂面90に降ろす。支持機構93は、吸気ノズル2がY方向に移動するときは、炉頂面90の凹凸に応じて吸気ノズル2を上下に移動させ、吸気ノズル2と炉頂面90との間の隙間を所定範囲内に維持する。支持機構93は公知であるため、詳細な説明を省く。
【0018】
炉頂クリーナ10は、吸気ノズル2で吸引された石炭91を、吸気ダクト94を通じて回収ユニット95に搬送して回収する。回収ユニット95は排風機(不図示)や集塵機(不図示)等を含んで構成される。回収ユニット95は公知であるため、詳細な説明を省く。回収ユニット95で生成された負圧流体(空気)は、吸気ダクト94を通じて吸気ノズル2の先端に供給される。石炭91は、負圧流体により吸気ノズル2に吸い込まれ、吸気ダクト94を通って集塵機に集められる。
【0019】
図3図4も参照して、吸気ノズル2を説明する。図3は、吸気ノズル2を示す正面図である。図4は、吸気ノズル2を示す平面図である。
【0020】
吸気ノズル2は、ノズル本体3と、開口部33と、蓋部材4と、保持機構5と、カートリッジ7と、ダクト接続部36とを有する。ノズル本体3は、下面に吸気開口部38を有する中空のフード構造を有する。ノズル本体3の上部に、吸気ダクト94に接続されるために、2つのダクト接続部36がX方向に離間して配置される。ダクト接続部36は中空の筒状を有する。ダクト接続部36の上端には連結用の連結フランジ37が設けられている。吸気開口部38と2つのダクト接続部36は、ノズル本体3の内部を介して連通しており、吸気開口部38から吸い込まれた石炭は、ダクト接続部36から送出される。ノズル本体3の横幅は、吸気ノズル2の先端に向かって徐々に大きくなる。特に、ノズル本体3は、正面視で下方に広がる略台形形状を有する。ノズル本体3は、平面視でX方向に沿った長手方向を有する扁平な略矩形形状を有する。
【0021】
ノズル本体3の主面32には、保守用の開口部として開口部33が形成されている。主面32は、ノズル本体3の各面のうち最も面積の大きい面であってもよい。ノズル本体3のメンテナンスの時には、開口部33からノズル本体3内に清掃具を挿入して内部を清掃できる。
【0022】
実施形態では、2つの開口部33が、X方向に離間して配置される。作業性の観点から開口部33の幅は大きいことが望ましい。そこで、実施形態では、主面32に直交する方向から見た寸法において、開口部33の最大横幅W2は、ダクト接続部36の最大横幅W1以上である。特に、最大横幅W2は、最大横幅W1の2倍以上であってもよい。開口部33の横幅は、吸気ノズル2の先端に向かって徐々に大きくなる。特に、開口部33は、正面視で下方に広がる略台形形状を有する。
【0023】
蓋部材4は、開口部33を覆う板状の部材であり、各開口部33に対応して一つずつ設けられている。蓋部材4の横幅は、吸気ノズル2の先端に向かって徐々に大きくなる。特に、蓋部材4は、正面視で下方に広がる略台形形状を有する。蓋部材4は、開口部33の周縁に対して十分なマージンを確保できる形状とされる。
【0024】
蓋部材4は、保持機構5によってノズル本体3に保持される。保持機構5は、ボルトとナットを用いて蓋部材4をノズル本体3に保持するように構成されてもよい。実施形態では、保持機構5は、工具を使用することなく蓋部材4を着脱できるように構成されている。このような保持機構5は、公知の原理に基づく様々なファスナ51で構成できる。一例として、ファスナ51は、タキゲン製造株式会社製のキャッチクリップ(型番C505)であってもよい。ファスナ51の数は、所望の保持強度と、着脱の作業性とに応じて設定できる。実施形態では、各蓋部材4に対して3つのファスナ51が設けられている。なお、保持機構5として、蝶番を用いてもよい。一方側(例えば上方)の保持機構5を蝶番、他方側(例えば下方)の保持機構をファスナ51とすると、ファスナ51を外した場合にも蓋部材がノズル本体から脱落しないため、作業性をさらに向上することができる。
【0025】
図3図5を参照して、カートリッジ7を説明する。図5(A)は、カートリッジ7の平面図であり、図5(B)はカートリッジ7の正面図である。清掃の作業性を向上する観点から、吸引された石炭91の通路を取り外しできる事が望ましい。そこで、実施形態の吸気ノズル2は、ノズル本体3に着脱可能なカートリッジ7を有する。実施形態では、2つのカートリッジ7が、X方向に離間して略対称に配置される。
【0026】
カートリッジ7は、交換可能なカセットケースとして機能する。カートリッジ7は、ノズル本体3内部において、吸引された石炭91の通路72を構成する。吸引された石炭91は、通路72中を矢印Sのように移動する。カートリッジ7は、ノズル本体3の主面32以外の面から出し入れ可能に構成される。実施形態のカートリッジ7は、ノズル本体3からX方向に引き出して取り外すことができ、外した状態で通路72を清掃できる。清掃後のカートリッジ7は、ノズル本体3に対してX方向から挿入することにより装着できる。
【0027】
実施形態では、通路72は、下端側の入口部78から上端側の出口部73まで上下に延びる通路である。通路72は、上面視で略長方形の断面を有する。通路72の上面視の断面は、上から下に向かって徐々に大きくなる。カートリッジ7は、2枚の側板71と、フランジ74と、ハンドル75と、第1傾斜板76と、第2傾斜板77とを含む。
【0028】
2枚の側板71、第1傾斜板76、および第2傾斜板77は、板状の部材で通路72の周囲を画定する。2枚の側板71は、Y方向に直交する平面に沿ってX方向に延び、通路72を挟んでY方向に離間して配置される。
【0029】
第1傾斜板76と第2傾斜板77とは、通路72を挟んで互いに向かい合うように、鉛直方向に対して傾斜して配置される。Y方向から見て、第1傾斜板76と第2傾斜板77との間隔は、上から下に向かって徐々に広くなる。第1傾斜板76は、2枚の側板71の先端間に架け渡される。第2傾斜板77は、第1傾斜板76から基端側に離間した位置で、2枚の側板71の間に架け渡される。
【0030】
フランジ74は、Y方向およびZ方向に延在する板状の部材で、2枚の側板71の基端に固定される。ハンドル75は、カートリッジ7を取り扱う際に作業者が握るためのハンドルであり、フランジ74の側板71とは反対側に取り付けられる。フランジ74の形状に限定はないが、実施形態のハンドル75は、Y方向から見て角張ったC字状に屈曲された棒状の部材である。
【0031】
図1を参照して、出力部8を説明する。吸気ノズル2が詰まった状態で使用すると、十分な清掃効果が得られない。このため、吸気ノズル2の詰まり具合を容易に把握できることが望ましい。そこで、実施形態では、炉頂クリーナ10は、吸気ダクト94の空気圧を検知するための圧力センサ82と、圧力センサ82の検知結果に応じて所定のアラート情報を出力する出力部8とを有する。
【0032】
吸気ダクト94の空気圧は、吸気ノズル2が詰まっている場合と、詰まっていない場合とで異なる。出力部8は、吸気ダクト94の空気圧が第1の閾値未満になったらアラート情報を出力する。予め、吸気ノズル2が詰まっている場合の運転中の空気圧と詰まっていない正常な状態の場合の運転中の空気圧とを計測し、第1の閾値はこの2つの空気圧の中間に設定されてもよい。また、出力部8は、炉頂クリーナ10を運転中に吸気ダクト94の空気圧が第2の閾値を超えたらアラート情報を出力してもよい。第2の閾値は、正常な状態の運転中の空気圧と大気圧の中間に設定されてもよい。炉頂クリーナ10は、アラート情報に基づいて、警報音を出力してもよいし、警報用の光を出力してもよいし、所定の情報端末に警報用の情報を表示してもよい。
【0033】
炉頂クリーナ10をメンテナンスする方法の一例を説明する。図6は、炉頂クリーナ10のメンテナンス方法のプロセスS110の一例を示すフローチャートである。
【0034】
プロセスS110が開始されたら、ノズル本体3から蓋部材4を外して開口部33を開く(ステップS111)。このステップでは、各蓋部材4について、全てのファスナ51を開いて、蓋部材4を取り外し、開口部33を露出させる。
【0035】
ノズル本体3からカートリッジ7を外す(ステップS112)。カートリッジ7は、蓋部材4を取り外す前に外されてもよい。
【0036】
取り外されたカートリッジ7の通路72を清掃する(ステップS113)。このステップでは、入口部78から清掃具を差し入れ、清掃具により内部に付着した付着物を除去する。
【0037】
開口部33が開いたら、開口部33からノズル本体3の内部を清掃する(ステップS114)。このステップでは、開口部33から清掃具を差し入れ、清掃具により内部に付着した付着物を除去する。
【0038】
カートリッジ7をノズル本体3に装着する(ステップS115)。カートリッジ7は、蓋部材4を装着した後に装着されてもよい。
【0039】
ノズル本体3に蓋部材4を装着して開口部33を閉じる(ステップS116)。このステップでは、各蓋部材4について、全てのファスナ51を閉じて、ノズル本体3に蓋部材4を固定する。蓋部材4を固定したらプロセスS110は終了する。上記の各ステップは例示であり、各種の変形が可能である。
【0040】
実施形態の炉頂クリーナ10の特徴を説明する。実施形態の炉頂クリーナ10は、コークス炉100の炉頂面90で石炭91を吸引するための吸気ノズル2を備える。吸気ノズル2は、ノズル本体3と、ノズル本体3の主面32に設けられた保守用の開口部33を覆う蓋部材4と、蓋部材4をノズル本体3に保持する保持機構5とを有する。
【0041】
この構成によれば、蓋部材4を取り外すことにより、保守用の開口部33が開くから、開口部33から清掃具を差し入れて内部を容易に清掃できる。開口部33は、面積の大きい主面32に設けられているので、開口部33を大きくできる。
【0042】
一例として、吸気ノズル2は、ノズル本体3に吸気ダクト94を接続するためのダクト接続部36を有し、主面32に直交する方向から見た寸法において、開口部33の最大横幅は、ダクト接続部36の最大横幅以上である。この場合、開口部33がダクト接続部36よりも大きいので、ダクト接続部36に詰まった大きな石炭であっても開口部33から取り出せる。
【0043】
一例として、開口部33の横幅は、吸気ノズル2の先端に向かって徐々に大きくなる。この場合、横幅が一定の場合よりも開口部33を大きくできるので、開口部33から大きな石炭を取り出せる。開口部33には大型の清掃具を差し入れできる。
【0044】
一例として、保持機構5は、工具を使用することなく蓋部材4を着脱できるように構成される。この場合、工具を使用する場合よりも短時間で蓋部材4を着脱できる。
【0045】
一例として、炉頂クリーナ10は、ノズル本体3に着脱可能なカートリッジ7を有し、カートリッジ7は、吸引された石炭91の通路を構成する。この場合、清掃対象のカートリッジ7を取り外し、清掃済みのカートリッジ7と交換することにより、炉頂クリーナ10のメンテナンスを短時間ですることができる。カートリッジ7を取り外すことにより、カートリッジ7を容易に清掃できる。
【0046】
一例として、カートリッジ7は、ノズル本体3の主面32以外の面から出し入れ可能に構成される。この場合、カートリッジ7と開口部33とが干渉しにくいため、両者の形状の制約を減らせる。
【0047】
一例として、炉頂クリーナ10は、吸気ダクト94の空気圧を検知するための圧力センサ82と、圧力センサ82の検知結果に応じて所定のアラート情報を出力する出力部8と、をさらに備える。この場合、吸気ノズル2の詰まり具合を容易に把握できる。
【0048】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の各実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容される。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0049】
(変形例)
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0050】
上述の説明では、炉頂クリーナ10が、2つの吸気ノズル2を有する例を示したが、吸気ノズルの数は1または3以上であってもよい。
【0051】
上述の説明では、吸気ノズル2が、2つのダクト接続部36を有する例を示したが、ダクト接続部の数は1または3以上であってもよい。
【0052】
上述の説明では、吸気ノズル2が、2つの開口部33および2つの蓋部材4を有する例を示したが、開口部および蓋部材の数は1または3以上であってもよい。
【0053】
上述の説明では、吸気ノズル2が、2つのカートリッジ7を有する例を示したが、カートリッジの数は1または3以上であってもよい。また、カートリッジを有することは必須ではない。
【0054】
上述の説明では、カートリッジ7がノズル本体3の側面から出し入れする例を示したが、カートリッジは、例えば、主面から出し入れできるように構成されてもよい。
【0055】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0056】
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0057】
10 炉頂クリーナ、 2 吸気ノズル、 3 ノズル本体、 4 蓋部材、 5 保持機構、 7 カートリッジ、 8 出力部、 32 主面、 33 開口部、 36 ダクト接続部、 51 ファスナ、 72 通路、 82 圧力センサ、 90 炉頂面、 91 石炭、 94 吸気ダクト、 100 コークス炉。
図1
図2
図3
図4
図5
図6