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特開2024-166921プラットホームクリーナ、プラットホーム清掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166921
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】プラットホームクリーナ、プラットホーム清掃方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 33/14 20060101AFI20241122BHJP
   C10B 43/04 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C10B33/14
C10B43/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083353
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】502369746
【氏名又は名称】住友重機械プロセス機器株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】川上 了
(72)【発明者】
【氏名】二井 大祐
(72)【発明者】
【氏名】浅野 紘大
(72)【発明者】
【氏名】立石 匡
(72)【発明者】
【氏名】▲曹▼ 昊映
(72)【発明者】
【氏名】江川 秀
(72)【発明者】
【氏名】藤川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012FA00
(57)【要約】
【課題】本開示は、プラットホームの落骸を効率的に集めることが可能なプラットホームクリーナの技術を提供することを目的の一つとしている。
【解決手段】本開示のプラットホームクリーナ10は、コークス炉100の炉体92に沿って延びるプラットホーム81を第1方向に移動しながら清掃する清掃装置であって、第1方向に交差する第2方向に配列された複数のスクレーパ22を含むスクレーパユニット2を備える。複数のスクレーパ22はそれぞれ独立して上下動可能に支持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の炉体に沿って延びるプラットホームを第1方向に移動しながら清掃する清掃装置であって、
前記第1方向に交差する第2方向に配列された複数のスクレーパを含むスクレーパユニットを備え、
前記複数のスクレーパはそれぞれ独立して上下動可能に支持されるプラットホームクリーナ。
【請求項2】
前記プラットホームの凹凸に合わせて、前記各スクレーパが独立して上下動するように支持する支持機構を有する、請求項1に記載のプラットホームクリーナ。
【請求項3】
前記支持機構は、前記プラットホームを転動する車輪を含む、請求項2に記載のプラットホームクリーナ。
【請求項4】
吹出口から空気を吹き出して前記プラットホームの落骸を移動させる吹出ノズルをさらに備える、請求項1に記載のプラットホームクリーナ。
【請求項5】
前記吹出ノズルは、直前に押出作業を行った炉と対面するときに空気の吹き出しを実行する、請求項4に記載のプラットホームクリーナ。
【請求項6】
前記吹出ノズルは、前記第1方向に沿って所定の間隔で複数配置される、請求項5に記載のプラットホームクリーナ。
【請求項7】
コークス炉の炉体に沿って延びるプラットホームを清掃する清掃方法であって、
空気の吹き出しによって前記プラットホームの落骸を移動させる気吹ステップと、
スクレーパで前記プラットホームを擦って、前記気吹ステップで移動した落骸を集めるステップと、
を含むプラットホーム清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉のプラットホームクリーナおよびプラットホーム清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉のプラットホームを清掃する清掃装置が知られている。例えば、特許文献1には、コークガイド車走行用のプラットホームを清掃するプラットホーム清掃装置が記載されている。この装置は、コークガイド車の移動に応じて、直前に窯出しを行った窯のプラットホームに移動し、当該窯のプラットホームを清掃する。この装置は、炉団方向に移動可能な吸引ノズルと、炉団方向および炉長方向に進退できる第2の吸引ノズルと、コークス塊を踏み潰すローラと、コークス塊を集めるスクレーパーガイドとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-031391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コークス炉には、炉前で行う保守作業などのために炉体に沿ってプラットホームが設けられる。プラットホームには、炉蓋の脱着時やコークスを押し出す際に落骸(コークスの塊やコークス粉等)がこぼれる。この落骸を除去してプラットホームを清掃するために、プラットホームクリーナが用いられる。プラットホームを清掃するために、移動機と連動してスクレーパを移動させ、プラットホームの落骸を掻き集める構成が考えられる。しかし、プラットホームの凹凸が大きいところでは、その凹凸にスクレーパが十分に追従できず、落骸を効率的に集めることが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、プラットホームの落骸を効率的に集めることが可能なプラットホームクリーナの技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のプラットホームクリーナは、コークス炉の炉体に沿って延びるプラットホームを第1方向に移動しながら清掃する清掃装置であって、第1方向に交差する第2方向に配列された複数のスクレーパを含むスクレーパユニットを備える。複数のスクレーパはそれぞれ独立して上下動可能に支持される。
【0007】
本発明の別の態様は、プラットホーム清掃方法である。この方法は、コークス炉の炉体に沿って延びるプラットホームを清掃する清掃方法であって、空気の吹き出しによってプラットホームの落骸を移動させる気吹ステップと、スクレーパでプラットホームを擦って、気吹ステップで移動した落骸を集めるステップと、を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラットホームの落骸を効率的に集めることが可能なプラットホームクリーナの技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のプラットホームクリーナを備えたコークス炉の一例を模式的に示す図である。
図2】実施形態のプラットホームクリーナを模式的に示す平面図である。
図3】実施形態のスクレーパユニットを矢印Aから視た図である。
図4】実施形態のスクレーパユニットを矢印Bから視た図である。
図5】実施形態のノズルユニットを上面から視た図である。
図6】実施形態のノズルユニットを第1方向から視た図である。
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るプラットホームクリーナ10(以下、「クリーナ10」ということがある)の構成を説明する。図1は、実施形態に係るクリーナ10を備えたコークス炉100の一例を模式的に示す図である。
【0014】
以下、主にXYZ直交座標系をもとに説明する。便宜的に、X方向を左右方向といい、Y方向を前後方向といい、Z方向を上下方向という。X方向およびY方向は水平面に沿った方向であってもよい。Y方向およびZ方向はそれぞれX方向に直交する。X方向で矢印の先端側を「右」、「右方」と、反先端側を「左」、「左方」ということがある。Y方向で矢印の先端側を「前」、「前方」と、反先端側を「後」、「後方」ということがある。このような方向の表記はクリーナ10の姿勢を制限するものではなく、クリーナ10は、用途に応じて任意の姿勢で使用されうる。
【0015】
図1に示すように、コークス炉100は、X方向に連設された複数の炭化室90を有する。炭化室90は、装炭車(不図示)から投入された石炭を原料にコークスを生成する。図1の例では、炭化室90の前側に、X方向に延びる押出機96用のプラットホーム81が設けられ、炭化室90の後側に、X方向に延びるガイド車97用のプラットホーム91が設けられる。ガイド車97用のプラットホーム91にはガイド車97が走行するための軌条(不図示)が設けられてもよい。プラットホーム81、91は構成が略同じであるため、以下、押出機96用のプラットホーム81を説明する。以下の説明は、ガイド車97用のプラットホーム91にも適用される。
【0016】
プラットホーム81には、炭化室90の炉蓋94の脱着時やコークスを押し出す際に落骸98がこぼれる。クリーナ10は、こぼれて飛散した落骸98を掻き集めてプラットホーム81を清掃するための装置である。押出機96は、X方向への走行と停止を繰り返す。押出機96は、停止時に炭化室に対して所定の動作を行う。クリーナ10は、押出機96と連動してX方向への移動と停止を繰り返す。クリーナ10は、-X方向へ移動するときに、その移動によってプラットホーム81を清掃する。
【0017】
図2は、クリーナ10を模式的に示す平面図である。図2には、スクレーパユニット2に掻き集められた落骸98を描いている。実施形態のコークス炉100では、炉体92のプラットホーム81側に、第1方向(X方向)に所定の間隔で配列された複数の垂直柱86が設けられる。垂直柱86は、バックステイとも呼ばれ、鉛直に延在し、平面視でH型断面を有する鋼鉄製の柱である。垂直柱86の側面は、炉体92からプラットホーム81側に突き出ている。このため、プラットホーム81は、プラットホーム本体82と、プラットホーム本体82から互いに隣り合う垂直柱86の間に張り出す張出部84とを有する。複数の炭化室90の炉蓋94は、互いに隣り合う垂直柱86の間に位置する(図1も参照)。
【0018】
実施形態のクリーナ10は、スクレーパユニット2と、支持機構3と、ノズルユニット4と、制御部48とを含む。制御部48は、ノズルユニット4の空気の吹き出しを制御する。制御部48は、CPU等を含んで構成できる。
【0019】
図2図3図4を参照してスクレーパユニット2を説明する。図3は、矢印Aから視たスクレーパユニット2を示す図である。矢印Aから視た側を表側といい、その反対側を裏側ということがある。矢印Aで示す方向は第2方向に直交する方向である。図4は、スクレーパユニット2を矢印Bから視た図である。矢印Bに示す方向は第2方向である。図4には、スクレーパユニット2に掻き集められた落骸98を描いている。
【0020】
スクレーパユニット2は、第1方向に交差する第2方向に配列された複数(例えば、3つ)のスクレーパ22を有する。複数のスクレーパ22は、炉体92に近いサイドから遠いサイドに向けて等間隔に配列される。なお、複数のスクレーパ22は、不等間隔でもよい。実施形態のスクレーパ22は、耐熱ゴムや鋼製の刃状またはへら状の部材である。スクレーパ22は、クリーナ10が移動するときにプラットホーム81に降ろされ、その移動に伴ってプラットホーム81を擦って落骸98を集める。ここで、プラットホーム81を擦るとは、プラットホーム81に接触しながら移動することと、プラットホーム81とわずかな隙間をあけて移動することとが含まれる。
【0021】
複数のスクレーパ22の配列方向である第2方向は、第1方向に直交するY方向でもよいが、実施形態では、Y方向に対して傾斜角θ1だけ傾斜した方向である。傾斜角θ1は、5°以上で45°以下の範囲が好ましく、10°以上で20°以下の範囲がより好ましく、実施例では15°に設定されている。実施例では、複数のスクレーパ22は、炉体92に近いサイドが、炉体92から遠いサイドよりも移動方向で先行するようにY方向に対して傾斜して配列される。この場合、複数のスクレーパ22がX方向に移動するとき、プラットホーム81で掻き集められた落骸98は、炉体92から離れる方向に掻き集められる。スクレーパ22単体の長手方向も、Y方向から傾斜角θ1だけ傾斜した第2方向に延びる。なお、実施の形態では、複数のスクレーパ22は、第2方向に一列に並んでいるが、移動方向に互いにずれて配列されてもよい。その場合には、複数のスクレーパ22は、矢印Aから見て互いに重なるように配置されてもよい。
【0022】
複数のスクレーパ22が一体で上下動する場合、いずれかのスクレーパがプラットホーム81の凸部に当接すると、複数のスクレーパ22が全体としてプラットホーム81から離れるため、その間は落骸98を掻き集めることができない。そこで、実施形態のクリーナ10は、複数のスクレーパ22をそれぞれ独立して上下させることができる支持機構3を備える。独立して上下動できるから、1つのスクレーパがプラットホーム81の凸部に当接して上方に移動しても、残りのスクレーパは下降したままプラットホーム81で落骸98を掻き集めることができる。
【0023】
実施形態の支持機構3は、ベース台車31と、複数のスクレーパ支持部32とを含む。ベース台車31は、図4に示すように、複数のフレーム312で構成された台車本体314と、台車本体314の下部に設けられプラットホーム81を転動する複数の車輪316と、オーバーハング部318とを含む。実施形態の車輪316は、略鉛直な軸線を中心に旋回可能な自在キャスタである。オーバーハング部318は、台車本体314から水平方向に張り出す部分である。
【0024】
各スクレーパ支持部32は、各スクレーパ22を支持する。スクレーパ支持部32は、リンク部33と、接続部35と、バックプレート36と、車輪支持用の支柱37と、車輪38とを含む。リンク部33の上部は、ベース台車31のオーバーハング部318の下側に固定される。リンク部33の下部は、接続部35に固定される。各リンク部33は、上下2組の平行リンク機構34で構成され、各スクレーパ22を上下に移動可能に支持する。
この構成により、各スクレーパ22は、オーバーハング部318に対して互いに独立して上下動できる。上下2組の平行リンク機構34は、互いに上下対称に配置される。このため、リンク部33の下部が上下動しても、当該下端の水平移動は殆ど生じない。
【0025】
接続部35は、第2方向に横長の支柱であり、リンク部33の下部と、バックプレート36の上部と、支柱37の上部とが接続される。接続部35の上部にリンク部33が固定され、接続部35の下部にバックプレート36と、支柱37とが固定される。バックプレート36は、接続部35から下方に延びる略矩形の板部材で、スクレーパ22の裏側に固定される。バックプレート36は、スクレーパ22を支持するとともに、スクレーパ22で掻き集められた落骸98を保持する機能を有する(特に、図4を参照)。バックプレート36を有することにより、保持可能な落骸98の量が増え、オーバーフロー限界を大きくできる。支柱37は、バックプレート36の裏側において接続部35から下方に延びる筒状部材で、下部に車輪38が固定される。
【0026】
支柱37および車輪38は、各スクレーパ22に対応して、第2方向に離れて複数(例えば2つ)配置される。つまり、実施形態の支持機構3は、プラットホーム81を転動する複数の車輪38を有する。複数の車輪38は、プラットホーム81を移動する際の抵抗を減らし、プラットホーム81に対するスクレーパ22の高さを略一定に保つ機能を有する。車輪38は、略鉛直な軸線を中心に旋回可能な自在キャスタである。車輪38は、クリーナ10の移動方向で、スクレーパ22に対して後行位置に配置される。
【0027】
図5図6を参照してノズルユニット4を説明する。図5は、ノズルユニット4を上面から視た図である。この図は、ノズルユニット4を強調するために図2の比率よりも大きく描いている。図6は、ノズルユニット4を第1方向(X方向)から視た図である。プラットホーム81の張出部84上の落骸98は、互いに隣り合う垂直柱86の間に在るため、スクレーパユニット2で掻き集めることは難しい。そこで、実施形態のクリーナ10は、張出部84上の落骸98を空気圧で移動させるために、ノズルユニット4を備える。ノズルユニット4は、スクレーパユニット2よりも移動方向について前方に配置される。ノズルユニット4は、吹出ノズル40の吹出口43から空気を吹き出してプラットホーム81の落骸98を移動させる。張出部84の落骸98は、吹出口43からの空気によって吹き飛ばされてプラットホーム本体82に移動し、スクレーパユニット2によって掻き集められる。
【0028】
ノズルユニット4は、できるだけ多くの落骸98を移動できることが望ましい。そこで実施形態では、ノズルユニット4は、第1方向(X方向)に所定の間隔D1(例えば250mm)で配列される複数(例えば3つ)の吹出ノズル40を有する。間隔D1は、所定の範囲(例えば、205mm~255mm)で調整可能である。
【0029】
3つの吹出ノズル40は、吹出ノズル40の姿勢を維持するために支持フレーム45に支持される。支持フレーム45は、複数の支柱を組み合わせて構成できる。実施形態の吹出ノズル40は、張出部84と炉体92との少なくとも一方に向けて圧縮空気を吹き出す。3つの吹出ノズル40の吹き出し方向は、それぞれ異なっていてもよいが、この例では互いに同じY方向である。実施形態では、平面視で、吹出ノズル40はY方向に延伸する。
【0030】
炉体92のシート面93から吹出ノズル40の先端までの距離D2は500mmに設定されており、距離D2は、所定の範囲(例えば、450mm~550mm)で調整可能である。垂直柱86の炉体92のシート面93からの張出量D3は、距離D2以下の330mmに設定されている。吹出ノズル40の先端のプラットホーム81からの高さH1は450mmで、高さH1は、所定の範囲(例えば、450mm~550mm)で調整可能である。高さH1は、炭化室90の炉底95のプラットホーム81からの高さH2(例えば350mm)よりも高く設定される。
【0031】
X方向から視た吹出ノズル40の角度θ2は、水平から先端下がりで30°で、角度θ2は、所定の範囲(例えば、30°~45°)で調整可能である。
【0032】
吹出ノズル40は、支持フレーム45に固定される中空筒状のノズル本体41と、ノズル本体41の先端に設けられた吹出口43とを有する。ノズル本体41の基端には、圧縮空気を溜めたタンク(不図示)からの圧縮空気(例えば0.6MPa)を搬送する可撓性パイプ46が接続される。当該圧縮空気の圧力は、所定の範囲(例えば、0.5MPa~0.7MPa)で調整可能である。
【0033】
吹出ノズル40は、制御部48の制御により空気の吹き出しを行い、制御部48の制御により空気の吹き出しを停止する。吹出口43が垂直柱86と対面する位置では、空気を吹き出しても、落骸98の移動は期待できず、圧縮空気が無駄になる。そこで実施形態の制御部48は、吹出ノズル40は、吹出口43が垂直柱86と対面するときは空気の吹き出しを停止し、吹出口43が垂直柱86と対面しないときは空気の吹き出しを行うように制御する。なお、圧縮空気の消費量をより低減するために、制御部48は、押出作業を行った直後の炉を清掃対象とし、清掃対象である炉の前方を-X方向に移動する際中に空気の吹き出しを行うように制御してもよい。制御部48は、清掃対象である炉の前方を通り過ぎると、空気の吹き出しを停止してもよい。
【0034】
図1図2を参照して、クリーナ10を使用するプラットホーム81の清掃方法の一例を説明する。
【0035】
押出機96が-X方向に移動を開始したら、クリーナ10は、押出機96と連動して-X方向に移動する。クリーナ10は、-X方向に移動を開始する際に、プラットホーム81に接するまでスクレーパユニット2を降下させる。クリーナ10は、-X方向に移動する際中は常にスクレーパユニット2を降下した状態で移動しながら、スクレーパユニット2でプラットホーム81を擦って、プラットホーム本体82の落骸98を掻き集める。このとき、吹出ノズル40は、吹出口43が垂直柱86と対面しない位置で、気吹きして張出部84の落骸98を吹き飛ばして移動させる。吹出ノズル40は、吹出口43が垂直柱86と対面するときは気吹きを止める。
【0036】
スクレーパユニット2は移動しながら、張出部84からプラットホーム本体82に移動した落骸98を他の落骸98と一緒に掻き集める。一方、クリーナ10は、+X方向に移動する際に、スクレーパユニット2がプラットホーム81から離間するように上昇させる。これらの動作が繰り返し実行されることで、落骸98は、プラットホーム81の端部などの所定位置に掻き集められる。スクレーパユニット2に掻き集められた落骸98は、所定の搬送手段(不図示)により回収され、所定の処理が施される。なお、押出機96の移動が停止したら、クリーナ10は、押出機96と連動して停止し、プラットホーム81からスクレーパユニット2を上昇させてもよい。例えば、クリーナ10は、直前に押出作業を行った炉の前方を清掃対象とし、清掃対象の炉に到着するとスクレーパユニット2を降下し、清掃対象である炉を通過するとスクレーパユニット2を上昇させてもよい。
【0037】
実施形態のプラットホームクリーナ10の特徴を説明する。実施形態のプラットホームクリーナ10は、コークス炉100の炉体92に沿って延びるプラットホーム81を第1方向に移動しながら清掃する清掃装置であって、第1方向に交差する第2方向に配列された複数のスクレーパ22を含むスクレーパユニット2を備える。複数のスクレーパ22はそれぞれ独立して上下動可能に支持される。
【0038】
この構成によれば、複数のスクレーパ22を含むスクレーパユニット2によって落骸98を掻き集めてプラットホーム81を清掃できる。これにより、特許文献1に記載のクリーナが備える吸引ノズル、バグフィルタおよび集塵ブロワが略不要になり、プラットホームクリーナ10の小型化、低コスト化に有利である。複数のスクレーパ22がそれぞれ独立して上下動するので、一部のスクレーパ22がプラットホーム81の凸部に当接して上方に移動しても、他のスクレーパ22はプラットホーム81に接して落骸98を集めることができる。全体が一体的に上下動する場合よりも、落骸98を効率的に集めることができる。また、吸引ノズルを用いる構成では、落骸が雨などで濡れた場合に吸引ノズルに詰まる問題があるところ、実施形態のクリーナ10は吸引ノズルを用いないため、雨濡れに対して有利である。
【0039】
一例として、プラットホームクリーナ10は、プラットホーム81の凹凸に合わせて、各スクレーパ22が独立して上下動するように支持する支持機構3を有する。この場合、支持機構が複数のスクレーパを一体的に支持する構成と比べて、各スクレーパ22が独立してスムーズに運動できる。
【0040】
一例として、支持機構3は、プラットホーム81を転動する車輪38を含む。この場合、スクレーパユニット2の移動抵抗を減らせ、プラットホーム81と各スクレーパ22の高さ関係を略一定に保持できる。
【0041】
一例として、プラットホームクリーナ10は、吹出口43から空気を吹き出してプラットホーム81の落骸98を移動させる吹出ノズル40をさらに備える。この場合、張出部84の落骸98を空気で吹き飛ばし、プラットホーム本体82に移動させてスクレーパユニット2で掻き取ることができる。
【0042】
一例として、吹出ノズル40は、吹出口43が直前に押出作業を行われた炉と対面するときに空気の吹き出しを実行する。この場合、プラットホーム81上に多数の落骸98が存在しうる位置で圧縮空気を発生させるができる。
【0043】
一例として、吹出ノズル40は、第1方向に沿って所定の間隔で複数配置される。この場合、空気を広範囲に吹き出すことができ、落骸98を効率よく吹き飛ばしてプラットホーム本体82に移動させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の各実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容される。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0045】
(変形例)
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0046】
上述の説明では、吹出ノズル40がY方向に空気を吹き出す例を示したが、空気の吹き出し方向はY方向に対して傾斜していてもよい。
【0047】
上述の説明では、吸引ノズル、バグフィルタおよび集塵ブロワを備えない例を示したが、これらの一部または全部を補助的に備えてもよい。
【0048】
上述の説明では、クリーナ10が、3つのスクレーパ22を有する例を示したが、スクレーパの数は2または4以上であってもよい。
【0049】
上述の説明では、クリーナ10が、3つの吹出ノズル40を有する例を示したが、吹出ノズルの数は2または4以上であってもよい。
【0050】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0051】
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0052】
2 スクレーパユニット、 3 支持機構、 4 ノズルユニット、 10 プラットホームクリーナ、 22 スクレーパ、 32 スクレーパ支持部、 38 車輪、 40 吹出ノズル、 43 吹出口、 81 プラットホーム、 82 プラットホーム本体、 84 張出部、 86 垂直柱、 92 炉体、 94 炉蓋、 100 コークス炉。
図1
図2
図3
図4
図5
図6