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特開2024-166923炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット
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  • 特開-炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット 図1
  • 特開-炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット 図2
  • 特開-炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット 図3
  • 特開-炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット 図4
  • 特開-炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166923
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、炉蓋脱着装置の車輪支持ユニット
(51)【国際特許分類】
   C10B 25/14 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
C10B25/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083357
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】502369746
【氏名又は名称】住友重機械プロセス機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】若松 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】二井 大祐
(72)【発明者】
【氏名】浅野 紘大
(57)【要約】
【課題】車輪の取り外しが容易な炉蓋脱着装置を提供することを目的としている。
【解決手段】炉蓋脱着装置100は、コークス炉の炉蓋92に係合するためのフック3を有する被支持部1と、被支持部1を上下動可能に支持する支持部2と、を備える炉蓋脱着装置である。被支持部1は、上下に延びるレール4を有し、支持部2は、レール4を転動可能な車輪5を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の炉蓋に係合するためのフックを有する被支持部と、前記被支持部を上下動可能に支持する支持部と、を備える炉蓋脱着装置であって、前記被支持部は、上下に延びるレールを有し、前記支持部は、前記レールを転動可能な車輪を有する炉蓋脱着装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記支持部に設けられた開口を覆う蓋部材と、前記蓋部材に装着された前記車輪と、を含む車輪支持ユニットを有する、請求項1に記載の炉蓋脱着装置。
【請求項3】
前記開口は、前記蓋部材に装着された状態の前記車輪を出し入れ可能な形状を有する、請求項2に記載の炉蓋脱着装置。
【請求項4】
前記開口の横幅は、前記車輪の横幅よりも大きく構成される、請求項3に記載の炉蓋脱着装置。
【請求項5】
前記開口は、前記車輪を取り出した状態で、前記開口から前記レールを目視可能な大きさを有する、請求項2に記載の炉蓋脱着装置。
【請求項6】
前記レールは、複数のファスナによって固定され、
前記被支持部と前記支持部とを所定の位置関係にした状態で、前記開口は、前記開口を通じて脱着用の工具を前記ファスナに連結可能に構成される、請求項2に記載の炉蓋脱着装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記蓋部材が装着された状態で、前記レールと前記車輪の少なくても一方を目視可能な確認窓を有し、前記確認窓は、前記蓋部材よりも厚み寸法が小さいカバー部材に覆われる、請求項2に記載の炉蓋脱着装置。
【請求項8】
レールを有して所定方向に移動可能な被支持部と、前記被支持部を支持する支持部と、を備える炉蓋脱着装置に設けられる車輪支持ユニットであって、
前記支持部に設けられた開口を覆う蓋部材と、
前記レールを転動するように前記蓋部材に装着された車輪と、
を備え、
前記蓋部材に装着された状態の前記車輪を前記開口から出し入れ可能に構成される車輪支持ユニット。
【請求項9】
コークス炉の炉蓋に係合するためのフックを有する被支持部と、前記被支持部を上下動可能に支持する支持部と、を備える炉蓋脱着装置のメンテナンス方法であって、
前記被支持部は、レールを有し、
前記支持部は、前記支持部に設けられた開口を覆う蓋部材と、前記蓋部材に装着され、前記レールを転動可能な車輪と、を有し、
本方法は、
前記蓋部材に装着された状態の前記車輪を前記開口から取り出すステップと、
前記車輪にメンテナンスを施すステップと、
前記蓋部材に装着された状態の車輪を前記開口から挿入するステップと、
を含む炉蓋脱着装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉蓋脱着装置、炉蓋脱着装置のメンテナンス方法、および炉蓋脱着装置の車輪支持ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コークス炉両端を密閉している炉蓋を脱着するための炉蓋脱着装置が知られている。例えば、特許文献1には、コークス炉の炉蓋と対向する位置に配置されるコークス炉の炉蓋脱着装置が記載されている。この装置は、上下に配置された一対フックを用いて、コークス炉の炉口に炉蓋を脱着するリフタと、リフタの上下方向両端部を支持する支持枠とを有し、支持枠に、リフタを炉蓋に対して傾動可能とする炉長方向傾動機構が設けられている。また、リフタには、一対のフックを、リフタの軸心を中心として回動可能とする回動機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-017112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コークス炉の両端を密閉しているコークス炉蓋を開ける装置として炉蓋脱着装置がある。この装置は、フックを有する移動側部分と、移動側部分を上下動可能に支持する支持枠を有する固定側部分とを備える。ガイド車輪は、移動側部分に装着されており、フックがコークス炉蓋を脱着するために、固定側部分に設けられたレール上を転動して上下移動する部品である。
【0005】
特許文献1に記載の炉蓋脱着装置では、ガイド車輪は、移動側部分の支持枠に覆われた領域に装着されている。この装置では、ガイド車輪の周囲のスペースが狭いため、ガイド車輪の取り外しに多大な手間が掛かり、メンテナンス性が悪いという問題がある。これらから、この装置には、車輪の取り外しを容易にする観点から改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、車輪の取り外しが容易な炉蓋脱着装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の炉蓋脱着装置は、コークス炉の炉蓋に係合するためのフックを有する被支持部と、被支持部を上下動可能に支持する支持部と、を備える炉蓋脱着装置であって、被支持部は、上下に延びるレールを有し、支持部は、レールを転動可能な車輪を有する。
【0008】
この構成によれば、車輪が支持部に設けられているため、車輪の取り外しが容易になる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車輪の取り外しが容易な炉蓋脱着装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る炉蓋脱着装置の一例を概略的に示す平面図である。
図2図1の車輪支持ユニットとレールの拡大図である。
図3図1の炉蓋脱着装置の側面図である。
図4図1の炉蓋脱着装置の開口とレールの関係を示す側面図である。
図5図1の炉蓋脱着装置のメンテナンス方法を示すフローチャートである。
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
[実施形態]
以下、図1図4を参照して、本発明の実施形態に係る炉蓋脱着装置100の構成を説明する。図1は、炉蓋脱着装置100の一例を概略的に示す平面図である。図2は、炉蓋脱着装置100の車輪支持ユニット6とレール4の拡大図である。図3は、炉蓋脱着装置100の側面図である。図4は、開口24とレール4の関係を示す側面図である。
【0015】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向と、X軸に直交する水平な方向をY軸方向と、両者に直交する鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座表系を定める。便宜的にX軸方向を「左右方向」と、Y軸方向を「前後方向」と、Z軸方向を「上下方向」ということがある。また、立面上において、水平方向を「横方向」と、鉛直方向を「縦方向」と、横方向の寸法を「横幅」と、縦方向の寸法を「縦幅」ということがある。このような方向の表記は炉蓋脱着装置100の姿勢を制限するものではなく、炉蓋脱着装置100は、任意の姿勢で使用されうる。
【0016】
炉蓋脱着装置100は、図示しないコークス炉の炉蓋92(図1で細い実線で示す)に対向するように配置され、炉蓋92を脱着し、所定の位置に移動させる装置である。炉蓋脱着装置100は、炉蓋92を脱着するために炉蓋92を昇降させる。炉蓋脱着装置100は、支持部2と、支持部2に対して所定方向に移動可能に支持される被支持部1とを備える。以下、上下方向が所定方向であるものとして説明する。被支持部1は、コークス炉の炉蓋92の係合部93に係合するためのフック3を有し、支持部2により昇降可能に支持される。支持部2は、押出機(不図示)やガイド車(不図示)等に固定される。
【0017】
炉蓋脱着装置100は、上下に離間して配置される2つのフックを備える。以下、2つのフックのうち上側に配置されるフック3およびその周囲構成を説明するが、この説明は、下側に配置されるフック(不図示)およびその周囲構成にも同様に適用される。
【0018】
フック3は、炉蓋脱着装置100から前方に突出している。支持部2は、被支持部1を支持する支持枠として機能する。被支持部1は、上下に延びるレール4を有し、支持部2は、レール4を転動可能な車輪5を有する。支持部2の車輪5がレール4を転動することにより、被支持部1は、支持部2に対して円滑に移動できる。以下、車輪5の回転軸線Laに沿った方向を軸方向という。
【0019】
被支持部1は、上下に延びる柱部12と、柱部12に固定される板状部13と、板状部13に固定されるレール支持部14とを有する。板状部13にはフック3が設けられる。板状部13は、柱部12を左右の両側面から挟むように2つ配置され。レール支持部14は、各板状部13の柱部12とは左右方向で反対側に配置される。レール支持部14は、1組の支持部本体15と、支持部本体15を保持する1組の保持部16を有する。
【0020】
1組の支持部本体15は、車輪5を収容する収容空間53を挟んで前後方向に対向し、各支持部本体15は、水平断面がL字状の上下に延びる棒状の部材である。保持部16は、支持部本体15の収容空間53とは反対側に設けられ、上下に延びる棒状の部材である。保持部16は、支持部本体15および板状部13に固定されることにより、支持部本体15を所定の位置に保持する。各支持部本体15の収容空間53側にレール4が固定される。
【0021】
1組の支持部本体15には、収容空間53を挟んで前後方向に対向する1組のレール4が配置される。レール4は、水平断面がL字状の上下に延びる棒状の部材である。レール4の取り外しを容易にする観点から、実施形態のレール4は、複数(例えば、4つ)のファスナ17によって支持部本体15に固定される。複数のファスナは、上下に所定の間隔で配置される。一例として、実施形態のファスナ17は皿ボルトB1である。皿ボルトB1は、頭部に脱着用の工具18を連結するための工具連結部172を有する
【0022】
支持部2は、隙間を介して被支持部1を挟むように左右方向に離間して2つ配置される。支持部2は、前後方向および上下方向に延在する板状の支持部本体21と、支持部本体21の前後両端から被支持部1を囲むように左右方向に延びる延出部22とを有する。支持部本体21および延出部22は、一体的に形成され、水平断面が角張ったC字状を呈する。2つの支持部2は、左右方向および上下方向に延びる板状の連結部25の左右両端に固定される。
【0023】
開口24を説明する。支持部2の支持部本体21には、車輪5を出し入れするための開口24が設けられる。支持部本体21には、開口24の少なくとも一部を覆う四角形の蓋部材23が装着される。蓋部材23は、複数(例えば、6つ)のボルトB2によって支持部本体21に固定される。この例の開口24は、四角形である。一例として、開口24の横幅W24は180mmから220mmの範囲に設定でき、縦幅H24は390mmから430mmの範囲に設定できる。
【0024】
メンテナンス性を確保する観点から、開口24から車輪5を取り出せることが望ましい。そこで、実施形態の開口24は、蓋部材23に装着された状態の車輪5を出し入れ可能な形状を有する。具体的には、開口24の横幅W24は、車輪5の横幅W5よりも大きく構成される。この場合に、横幅W24と横幅W5の差は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましい。
【0025】
レール4の磨耗等の状態を容易に確認できることが望ましい。そこで、実施形態の開口24は、車輪5を取り出した状態で、開口24からレール4を目視可能な大きさを有する。具体的には、開口24の横幅W24は、1組のレール4の間隔D4よりも大きく構成される。この場合に、横幅W24と間隔D4の差は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましい。レール4の間隔D4は、車輪5の横幅W5より僅かに大きい。
【0026】
メンテナンス性を確保する観点から、蓋部材23を外すことで一緒に車輪5を取り出せることが望ましい。そこで、実施形態では、蓋部材23と車輪5はユニット化され、開口24から一体的に着脱できる。換言すると、実施形態の支持部2は、開口24を覆う蓋部材23と、蓋部材23に装着された車輪5と、を含む車輪支持ユニット6を有する。
【0027】
車輪支持ユニット6は、蓋部材23と、蓋部材23から被支持部1に向かって軸方向に突出する軸部材28と、軸部材28に回転可能に嵌合する車輪5と、車輪5の軸方向への移動を規制する止め板29とを有する。軸部材28は、大径部282と、大径部282よりも小径の小径部283とを有する。大径部282の基端側は蓋部材23に固定される。小径部283の基端側は、大径部282の先端側に連続して設けられる。
【0028】
車輪5は、中空部52を有する円環状の部材である。中空部52の内径は、小径部283の外径よりも大きく、大径部282の外径よりも小さい。大径部282は、車輪5の軸方向への移動を規制する。中空部52と小径部283の間には、円環状の軸受手段55が設けられる。軸部材28に設けられた給脂通路288を通じて軸受手段55に給脂できる。止め板29は、中空部52の内径よりも大きな外径を有する円形の板部材で、小径部283の先端側の端面にボルトB4によって固定される。車輪5は、車輪5の端面から軸方向に凹み、止め板29の少なくとも一部を収容する凹部54を有する。このように構成された車輪5は、蓋部材23に回転可能に支持される。
【0029】
実施形態では、レール4の取り外しの作業時間を短縮する観点から、被支持部1と支持部2とを所定の位置関係にした状態で、開口24は、開口24を通じてファスナ17に脱着用の工具を装着可能に構成される。所定の位置関係は、対象のファスナ17が開口24の上下中央近傍に位置する状態であってもよい。ファスナ17の工具連結部172は嵌合孔(例えば、6角孔)であり、脱着用の工具18は当該嵌合孔に嵌合するレンチ(例えば、六角レンチ)であってもよい。
【0030】
レール4または車輪5の状態を容易に確認できることが望ましい。そこで、実施形態の支持部2は、蓋部材23が装着された状態で、レール4と車輪5の少なくても一方を目視可能な確認窓26を有する。確認窓26は、蓋部材23よりも厚み寸法が小さいカバー部材27に覆われる。確認窓26を取り外すことで、レール4と車輪5の少なくても一方について、蓋部材23が装着された状態でメンテナンスを行うことができる。確認窓26は、開口24とは別に設けられてもよいが、実施形態では、開口24の下側の一部を確認窓26としている。カバー部材27は、確認窓26よりも大きな四角形の部材であり、複数(例えば、5つ)のボルトB3によって支持部本体21に固定される。なお、確認窓26を設けることは必須ではなく、確認窓は設けられなくてもよい。
【0031】
図5も参照して炉蓋脱着装置100のメンテナンス方法を説明する。図5は、メンテナンス方法のプロセスS110を示すフローチャートである。プロセスS110は、メンテナンスをすべき時期が到来したら開始される。
【0032】
プロセスS110が開始されたら、蓋部材23を固定しているボルトB2を外す(ステップS111)。次に、蓋部材23に装着された状態の車輪5を開口24から取り出す(ステップS112)。このステップでは、車輪支持ユニット6を一体的に開口24から抜き出す。
【0033】
次に、車輪5に所定のメンテナンスを施す(ステップS113)。このステップでは、車輪5の磨耗、割れ、欠け等の有無の検査、表面の清掃、給脂等を行うことができる。車輪5のメンテナンスは、蓋部材23に装着された状態の車輪5について施されてもよいし、蓋部材23から取り外した状態の車輪5について施されてもよい。このステップでは、使用中の車輪5を新たな車輪に交換してもよい。
【0034】
次に、皿ボルトB1を外して支持部本体15から分離したレール4を開口24から取り出す(ステップS114)。このステップでは、開口24から挿入した工具18の先端を工具連結部172に嵌合し、工具18を操作して皿ボルトB1を緩める。なお、レール4を開口24から取り出す前に、確認窓26を取り外してもよい。
【0035】
次に、レール4に所定のメンテナンスを施す。(ステップS115)。このステップでは、レール4の磨耗、割れ、欠け等の有無の検査、表面の清掃等を行うことができる。次に、メンテナンス後のレール4を開口24から挿入して支持部本体15に固定する(ステップS116)。このステップでは、開口24から挿入した工具18を工具連結部172に嵌合して皿ボルトB1を締める。
【0036】
次に、蓋部材23に装着された状態のメンテナンス後の車輪5を開口24から挿入する(ステップS117)。次に、ボルトB2により蓋部材23を支持部本体21に固定する(ステップS118)。
【0037】
ステップS118を実行したら、プロセスS110は終了する。これらの各ステップは例示であり、各種の変形が可能である。プロセスS110は、炉蓋脱着装置100の複数の車輪5およびレール4について実行される。
【0038】
実施形態の炉蓋脱着装置100の特徴を説明する。実施形態の炉蓋脱着装置100は、コークス炉の炉蓋92に係合するためのフック3を有する被支持部1と、被支持部1を上下動可能に支持する支持部2と、を備える炉蓋脱着装置である。被支持部1は、上下に延びるレール4を有し、支持部2は、レール4を転動可能な車輪5を有する。
【0039】
この構成によれば、車輪5が支持部2に設けられているので、車輪5を容易に取り外しでき、作業時間が短縮される。また、車輪5を外した後、レール4を容易に取り外しできる。また、車輪5が上下動する被支持部1に設けた構造は、車輪5に給脂するために複雑な構成の給脂ホースを必要とするが、車輪5が支持部2に設けられているので、車輪5に容易に給脂できる。
【0040】
一例として、支持部2は、支持部2に設けられた開口24を覆う蓋部材23と、蓋部材23に装着された車輪5と、を含む車輪支持ユニット6を有する。この場合、蓋部材23ごと車輪5を取り出せるので、車輪5を別個に取り出す場合に比べて作業時間を短縮でき、メンテナンス性が向上する。
【0041】
一例として、開口24は、蓋部材23に装着された状態の車輪5を出し入れ可能な形状を有する。この場合、車輪5を開口24から取り出せない構造に比べて、車輪5を容易に取り出せ、メンテナンス性が向上する。
【0042】
一例として、開口24の横幅W24は、車輪5の横幅W5よりも大きく構成される。この場合、車輪5を、容易に開口24を通過させることができる。
【0043】
一例として、開口24は、車輪5を取り出した状態で、開口24からレール4を目視可能な大きさを有する。この場合、開口24からレール4の状態を確認できるので、容易にメンテナンスの必要性を判断できる。
【0044】
一例として、レール4は、複数のファスナ17によって固定され、被支持部1と支持部2とを所定の位置関係にした状態で、開口24は、開口24を通じて脱着用の工具18をファスナ17に連結可能に構成される。この場合、開口24を通じて工具18を連結できない構造と比べて、レール4の取り外しの作業時間を短縮できる。
【0045】
一例として、支持部2は、蓋部材23が装着された状態で、レール4と車輪5の少なくても一方を目視可能な確認窓26を有し、確認窓26は、蓋部材23よりも厚み寸法が小さいカバー部材27に覆われる。この場合、確認窓26を有せず、蓋部材23を取り外して、レール4と車輪5を確認する構成に比べて、容易にレール4または車輪5を確認できる。
【0046】
以上、本発明のいくつかの実施形態の例について詳細に説明した。前述した各実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。各実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の各実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0047】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0048】
(変形例)
上述の説明では、ファスナ17が皿ボルトである例を示したが、ファスナ17は皿ボルト以外のボルトであってもよい。
【0049】
上述の説明では、工具18が六角レンチである例を示したが、工具18は六角レンチ以外の工具であってもよい。
【0050】
上述の説明では、カバー部材27がボルトB3により固定される例を示したが、これに限定されない。例えば、カバー部材27は、カバー部材27の一端がヒンジによって支持部本体21に固定され、他端がラッチによって支持部本体21に係止されるように構成されてもよい。
【0051】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0052】
上述した実施形態の構成要素と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0053】
1 被支持部、 2 支持部、 3 フック、 4 レール、 5 車輪、 6 車輪支持ユニット、 17 ファスナ、 23 蓋部材、 24 開口、 26 確認窓、 27 カバー部材、 92 炉蓋、 100 炉蓋脱着装置、 18 工具。
図1
図2
図3
図4
図5