(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166943
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】アンテナ装置、及びアンテナ基板
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20241122BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20241122BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q13/08
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083381
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004244
【氏名又は名称】弁理士法人仲野・川井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】蘇武 昌弘
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J045AB02
5J045DA10
5J045LA03
5J045MA04
5J046AA10
5J046AB13
5J047AA10
5J047AB06
5J047AB07
5J047AB13
5J047BG10
(57)【要約】
【課題】アンテナの放射部をメイン基板から離れた面に容易、強固に配設する。
【解決手段】アンテナ装置1は、メイン基板10、アンテナ基板2を構成する給電基板20、放射基板30を備える。放射基板30には、板状の放射部32が形成され、給電基板20を組込むためのアンテナ用切込部31が形成されている。給電基板20には、アンテナ用切込部26、主切込部25が形成されている。給電基板20と放射基板30は、直交状態でアンテナ用切込部26とアンテナ用切込部31とを差込むことで、基板面が直交する断面L字状のアンテナ基板2、板状逆Fアンテナ200が形成される。その後、メイン基板10とアンテナ基板2の給電基板20とを直交状態にして、メイン基板10を給電基板20の主切込部25に挿入することで、メイン基板10の表面と平行な放射面の板状逆Fアンテナを有するアンテナ装置1が形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板と、
アンテナの放射部が配設された放射基板と、前記放射部と接続された給電部が配設された前記放射基板に対して直交する給電基板を有するアンテナ基板と、
を有し、
前記メイン基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される主切込部が形成され、
前記主切込部が形成された基板の前記主切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記給電部と前記給電ラインが接続し、前記メイン基板に対して前記給電基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ基板は、
前記放射基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入されるアンテナ用切込部が形成され、
前記アンテナ用切込部が形成された基板の前記アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部と前記給電部が接続し、前記給電基板に対して前記放射基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記メイン基板と前記アンテナ基板とは、少なくとも前記給電部と前記給電ラインがハンダ付けにより、又は導電性接着剤により固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記放射基板と前記給電基板とは、少なくとも前記放射部と前記給電部がハンダ付けにより、又は導電性接着剤により固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ基板は、前記放射基板と前記給電基板とが一体形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ基板の放射基板の開放端側を支持する支持基板を備え、
前記放射基板と前記支持基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される第2アンテナ用切込部が形成され、前記第2アンテナ用切込部が形成された基板の前記第2アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部に対して前記支持基板が垂直に固定され、
前記メイン基板と支持基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される第2主切込部が形成され、前記第2主切込部が形成された基板の前記第2主切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記メイン基板に対して前記支持基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ基板には、少なくとも前記給電部が形成されている面にグランドが形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記切込部は、切込みによる開放端側よりも、内側の方が狭くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記基板のうち、前記切込部に挿入される側の基板には、当該切込部が挿入される溝が形成され、
前記切込部の幅は、前記溝における底部の厚さに形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記アンテナ基板には、アンテナとして、パッチアンテナ、線状又は板状の、逆Fアンテナ、逆Lアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、並列共振逆Fアンテナ、又は、並列共振逆Lアンテナ、が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちの何れか1の請求項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
アンテナの放射部が配設された放射基板と、
前記放射部と接続された給電部が配設された前記放射基板に対して直交する給電基板と、
を有し、
前記放射基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入されるアンテナ用切込部が形成され、
前記アンテナ用切込部が形成された基板の前記アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部と前記給電部が接続し、前記給電基板に対して前記放射基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とするアンテナ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、及びアンテナ基板に係り、メイン基板に対して離れた位置にアンテナエレメントが配設されるアンテナ装置、及びアンテナ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンをはじめとして家電の制御や監視などの各分野において、無線通信用のアンテナを備えた無線機器が幅広く使用されている。
このアンテナは、メイン基板にアンテナパターンを描くことで形成することができるが、この場合メイン基板上の領域がアンテナに専有されてしまい、他の回路や配線領域が狭くなるという問題がある。
これに対して板金アンテナをメイン基板に垂直に配設することで、メイン基板上の使用領域を少なくすることが可能になるが、板金アンテナによるコストが高くなるという問題がある。
【0003】
一方、特許文献1では、メイン基板に対して、アンテナパターンを形成したアンテナ基板を回路基板に垂直に配設する技術が提案されている。
しかし、特許文献1記載技術のアンテナでは、回路基板に対して垂直に立ち上げたアンテナ基板を、L型金具で固定しているため、強度が弱いという問題がある。
また、アンテナ基板の固定をL型金具で固定しているため、L型金具の大きさによってはアンテナ特性に影響を与えてしまい、影響を小さくするために小さいL型金具を使用すると強度が低下してしまうという問題がある。
また、アンテナ基板を回路基板に固定するための工数が多くなるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アンテナの放射部をメイン基板から離れた面に容易、強固に配設することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1記載の発明では、アンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板と、アンテナの放射部が配設された放射基板と、前記放射部と接続された給電部が配設された前記放射基板に対して直交する給電基板を有するアンテナ基板と、を有し、前記メイン基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される主切込部が形成され、前記主切込部が形成された基板の前記主切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記給電部と前記給電ラインが接続し、前記メイン基板に対して前記給電基板が垂直に固定されている、ことを特徴とするアンテナ装置を提供する。
(2)請求項11に記載の発明では、アンテナの放射部が配設された放射基板と、前記放射部と接続された給電部が配設された前記放射基板に対して直交する給電基板と、を有し、前記放射基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入されるアンテナ用切込部が形成され、前記アンテナ用切込部が形成された基板の前記アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部と前記給電部が接続し、前記給電基板に対して前記放射基板が垂直に固定されている、ことを特徴とするアンテナ基板を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メイン基板と、互いに直交する放射基板と給電基板を有するアンテナ基板とを有し、メイン基板と給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される主切込部が形成され、主切込部が形成された基板の主切込部に他方の基板が挿入されるので、アンテナの放射部をメイン基板から離れた面に容易、強固に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】アンテナ装置を構成するメイン基板、給電基板、放射基板の斜視図である。
【
図2】アンテナ基板とアンテナ装置の形成手順を表した説明図である。
【
図4】第2実施形態における、メイン基板、給電基板、放射基板の斜視図である。
【
図5】第3実施形態における、メイン基板、給電基板、放射基板の斜視図である。
【
図6】第4実施形態における、メイン基板とアンテナ装置の斜視図である。
【
図7】第5実施形態における、メイン基板、給電基板、放射基板の斜視図である。
【
図8】第5実施形態における、アンテナ装置と、放射基板と給電基板の組立状態の斜視図である。
【
図9】第6実施形態における、アンテナ装置と、放射基板と給電基板の組立状態の斜視図である。
【
図10】第7実施形態における、アンテナ装置の斜視図である。
【
図11】第8実施形態における、支持基板とアンテナ装置の斜視図である。
【
図12】第9実施形態における、アンテナ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のアンテナ装置における好適な実施の形態について、
図1から
図13を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のアンテナ装置1は、
図1に示すように、メイン基板10と、アンテナ基板2を構成する給電基板20、放射基板30を備えている。
放射基板30には、基板表面の一方側に板状の放射部32が形成されていると共に、給電基板20を組込むためのアンテナ用切込部31が形成されている。給電基板20には、放射基板30を組込むためのアンテナ用切込部26が形成されていると共に、メイン基板10を差込むための主切込部25が形成されている。
【0010】
給電基板20と放射基板30は、互いに直交状態にした状態において、アンテナ用切込部26と、アンテナ用切込部31とを相互に差込むことで、基板面が直交する断面L字状のアンテナ基板2(
図3参照)が形成され、給電基板20の給電部21c、短絡部21bと、放射基板30の放射部32がハンダ付けされることで、板状逆Fアンテナ200が形成される。
その後、メイン基板10とアンテナ基板2の給電基板20とを直交状態にして、メイン基板10を給電基板20の主切込部25に挿入することで、メイン基板10の表面と平行な放射面の板状逆Fアンテナ200を有するアンテナ装置1(
図3参照)が形成される。
給電基板20と放射基板30とが切込部によって垂直に組合わされるとともに、給電基板20とメイン基板10とが垂直に組合わされることで、組立てが簡単でかつ外れにくいアンテナ基板2、アンテナ装置1を容易に形成することができる。
【0011】
なお、メイン基板10にはその表面(メイン基板面)上に給電線12が形成されていて、主切込部25に差込んだ状態で板状逆Fアンテナ200の給電部21cと給電線12とが電気的に接続されるようになっている。
本実施形態のアンテナ装置1では、給電基板20と放射基板30とをアンテナ用切込部26、31で相互に挿入した状態、また、給電基板20の主切込部25にメイン基板10を挿入した状態で、直交する基板同士をハンダ50、51で固定することで、電気的な接続を確実にすると共に、基板相互の堅牢性を高めることができる。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図1は、第1実施形態におけるアンテナ装置1を構成する各基板を表した斜視図である。
図1に示すように、アンテナ装置1は、メイン基板10、給電基板20、放射基板30を備えており、給電基板20と放射基板30は互いに直交する状態に組立てられることで本実施形態の板状逆Fアンテナやパッチアンテナ(マイクロスプリットアンテナ)などの板状アンテナ、線状アンテナなどが表面に形成されたアンテナ基板として機能している。
なお、本図では、メイン基板10、給電基板20、放射基板30の表面に形成された金属箔部分を塗りつぶすことで、他の部分と区別している(他の図面も同じ)。
【0013】
図1(c)に示すように放射基板30は、方形に形成された基板の一方の面に板状逆Fアンテナ200を構成する方形の放射部32が金属箔により形成されている。
この放射部32のサイズとしては、例えば、2.4GHz帯の板状逆Fアンテナであれば、放射部32各辺のα×βとした場合、α+β=λ/4=3cm(α=1cmであればβ=2cm)に形成される。
放射基板30には、放射部32の側面よりも僅かに内側となる位置に、基板側面から内側にアンテナ用切込部31が形成されている。アンテナ用切込部31は、放射基板30の長さ全体の約2分の1の位置まで形成されている。
このアンテナ用切込部31は、給電基板20に形成されたアンテナ用切込部26と相互に差込まれることで、給電基板20と放射基板30が直交した状態(断面L字状態)のアンテナ基板2が形成される。
このため、アンテナ用切込部31とアンテナ用切込部26の幅は、挿入される相手側基板の厚さと同じ幅に形成されている。
【0014】
図1(b)に示すように、給電基板20は方形に形成され、同一の側面側(図面左側)から切込まれた主切込部25とアンテナ用切込部26が形成されている。
また、給電基板20の一方の面には、短絡部21b、給電部21c、グランド(GND)23、24が金属箔で形成されるとともに、金属部27が形成されている。
給電基板20の主切込部25とアンテナ用切込部26は、給電基板20に対して直交状態にしたメイン基板10と放射基板30を挿入するための切込みである。
アンテナ用切込部26は、給電基板20と放射基板30を組立てた状態で(
図2(b)、
図3参照)、給電部21cが放射基板30の放射部32よりも上方に出るようにするために、給電部21cの手前まで形成されている。
【0015】
ここで、放射基板30の長さ(アンテナ用切込部31の長手方向の長さ)をK0、アンテナ用切込部26側の側面から給電部21cまでの長さをK1、アンテナ用切込部26の長さをK2、アンテナ用切込部31の長さをK3とする。
この場合、アンテナ用切込部26の長さK2は、上述したようにK2<K1である。
そして、アンテナ用切込部26とアンテナ用切込部31は、両者の切込み長さの合計(K2+K3)が放射基板30の長さK0よりも短くなるように、すなわち、(K2+K3)<K0となるように形成されている。
但し、アンテナ用切込部26とアンテナ用切込部31は、両者の切込み長さの合計(K2+K3)を、放射基板30の長さK0以上((K2+K3)≧K0)となるように形成してもよい。
【0016】
一方、上述したように放射基板30には給電基板20と相互に挿入するアンテナ用切込部31が形成されているのに対して、後述するメイン基板10には切込部が形成されていない。このため、給電基板20における主切込部25の切込みの長さは、アンテナ用切込部26の長さよりも長く形成されている。
なお、後述する第5実施形態(
図7、8)、第6実施形態(
図9)のように、放射基板30のアンテナ用切込部31を形成せずに、給電基板20のアンテナ用切込部26の切込み長さを主切込部25と同程度の長さに形成することも可能である。但し、同実施形態で給電基板20と放射基板30間の電気的な接続をハンダ付けするための対応が必要になるが、この点については他の実施形態において後述する。
【0017】
主切込部25とアンテナ用切込部26の間隔、すなわちメイン基板10と放射基板30との間隔は、任意であり、アンテナ装置1が配設される装置のサイズ等により決められるが、例えばハンダコテが入る1cm程度よりも広くに形成されることが好ましい。
但し、ハンダ付けをメイン基板10、給電基板20、放射基板30に囲まれた状態の内側面(コ字形状の内側)にハンダ付けを必要としない場合、例えば、コ字形状の外側からハンダ付けをする場合であれば間隔を1cmよりも狭くすることが可能である。
また、アンテナ装置1が完成した状態のコ字形状の内側であっても、コ字形状に組合わせる前のL字状態(放射基板30と給電基板20を組合わせた状態、又は、給電基板20とメイン基板10を先に組合わせた場合の状態)においてL字状の内側からハンダ付けをし、その後残りの基板を組込むことでコ字形状のアンテナ装置1が形成される場合も、同様に間隔を1cmよりも狭くすることができる。
逆に、アンテナ装置1を配設する機器側に余裕がある場合であれば、主切込部25とアンテナ用切込部26の間隔(対向するメイン基板10と放射基板30との間隔)をより広くすることも可能である。この場合には、広く確保したメイン基板10と放射基板30との間に、アンテナ装置1に必要な回路(例えば、無線IC11等)や、アンテナ装置1を配設する機器に必要な部材や装置などを配設することができる。
【0018】
給電基板20の主切込部25は、長手方向に、長さ全体の途中まで形成されている。この主切込部25は、後述するように、メイン基板10が挿入されるための切込みであるため、メイン基板10の厚さと同じ幅に形成されている。
但し、主切込部25の幅には、メイン基板10を挿入する際の遊びを設けるようにしてもよく、逆に圧入するように形成してもよい。また、切込みによる開放端側より奥側が僅かに狭くなる、断面「く」字形状に形成することで、しっかりと固定することができる。
この切込部の形状については、給電基板20と放射基板30における、アンテナ用切込部26、31も同様に形成することが可能である。
【0019】
短絡部21bと給電部21cは、放射基板30の放射部32と接続されることで、板状逆Fアンテナ200(
図3参照)を形成する。
短絡部21bは、一方側が開放端に形成され、他方側がグランド24と接続されるまで延設して形成されている。
給電部21cは、主切込部25の側面まで延設して形成されることで、両端が開放端に形成されている。給電部21cは、メイン基板10の給電線12と接続可能な位置に形成されている。
給電基板20と放射基板30は、板状逆Fアンテナやパッチアンテナ(マイクロスプリットアンテナ)等の板状アンテナが表面に形成されたアンテナ基板を構成している。
【0020】
グランド23は、主切込部25のアンテナ用切込部26側の側面に沿って、主切込部25の開放端側から、給電部21cの手前側まで形成されている。
グランド24は、主切込部25のグランド23の反対側の側面から、主切込部25の切込先端部(奥側)を回り込み給電部21cの手前まで形成されている。
給電部21cは、グランド23とグランド24の間を通って主切込部25まで形成され、短絡部21bは、グランド24と接続する位置まで(一体に)形成されている。
金属部27は、銅板の表面にレジストが形成される給電基板20において、レジストの一部を剥がした部分が金属部である。なお、給電基板20の給電部21c、短絡部21b等と併せて金属パターンで金属部27を形成することもできる。
【0021】
なお、本実施形態のグランド23、グランド24は、給電基板20における短絡部21bと給電部21cが形成されている側の面に形成されているが、給電基板20の両面に形成することも可能である。
以上の変形については、本実施形態だけでなく他の実施形態や変形例に対しても適応することが可能である(他の変形についても同じ)。
【0022】
メイン基板10には、
図1(a)に示すように、無線IC11、給電線12、挿入目印13、金属部14、15、その他の配線や回路等が配設されている。
無線IC11は、無線通信用のRF(Radio Frequency)回路を有する集積回路である。
メイン基板10には、無線IC11のRF回路と接続する給電線12が形成され、その先端が給電部21cと接続されることで、放射基板30の放射部32への給電点となっている。すなわち、給電線12の先端は、メイン基板10を給電基板20の主切込部25に挿入することで、給電部21cと接続する位置に形成されている。
【0023】
挿入目印13は、メイン基板10を給電基板20に挿入する際の目印である。本実施形態の挿入目印13は、メイン基板10の側面に形成されているが、給電線12が形成されている面上に形成するようにしてもよい。
【0024】
金属部14、15は、挿入目印13の位置(端部)から、給電基板20への挿入方向に延びて形成された金属部分である。
メイン基板10は、銅板の表面にレジストが形成されていて、レジストの一部を剥がした部分が金属部14、15として形成されている。なお、給電線12と併せて金属パターンで金属部14、15を形成することもできる。
金属部14は、グランド23と同じ長さに形成されている。この金属部14に対して、グランド23とグランド24との間隔と同じ間隔をおいて金属部15が形成されている。
【0025】
金属部14、15は、その幅が給電基板20の厚さ以上の幅であり、長手方向で給電線12と反対側の側面が、挿入目印13の位置となるように形成されている。
これにより、メイン基板10を給電基板20の主切込部25に挿入した際に、金属部14、15の一部の上に給電基板20の主切込部25が乗り、残りの部分がグランド23、グランド24の端部と接触した状態で給電基板20の横方向(直交する方向)に配設されることになる。これにより、後述するようにハンダ51による固定が可能になる。
【0026】
なお、メイン基板10上に形成された金属部14、15を目印として、金属部14、15に沿って主切込部25に挿入することができるので、挿入目印13の形成を省略することも可能である。
但し後述するように、金属部14、15を形成せず、ハンダ51による補強をしない場合には挿入目印13を形成することが好ましいが、給電線12の先端部の給電点を目印に挿入することが可能であるため、この場合にも挿入目印13の形成を省略してもよい。
【0027】
このように形成されたメイン基板10、給電基板20、放射基板30、を用いてアンテナ基板2とアンテナ装置1を形成する手順について説明する。
図2は、アンテナ基板2、アンテナ装置1の形成手順を表した説明図である。
アンテナ装置1は、給電基板20と放射基板30を組立てることでアンテナ基板2を形成し(
図2(a)、(b))、その後形成したアンテナ基板2とメイン基板10を組立てることでアンテナ装置1を形成する(
図2(c)、(d))。以下詳細説明する。
【0028】
(1)アンテナ基板2の形成
図2(a)に示すように、放射部32が形成されている面側が上側(給電基板20のアンテナ用切込部26に対して金属部27側)にした放射基板30と、給電基板20とを、互いに直交する向きにする。
そして、給電基板20と放射基板30を、矢印Aで示すように、給電基板20のアンテナ用切込部26と放射基板30のアンテナ用切込部31とを、底部31aと底部26aとが当接するまで互いに挿入することで、互いに直交する状態に組立てる。
次に、組立てた給電基板20と放射基板30に対して、放射基板30の放射部32と給電基板20の金属部27とが接続され、また、放射部32と給電部21c、短絡部21bの放射部32よりも上側に突出している部分とが接続される。
その後、放射部32と、金属部27、給電部21c、短絡部21bとの接続部分をハンダ50で接続する。
以上により、給電基板20と放射基板30からなる、断面L字状に折れ曲った形状のアンテナ基板2が形成されるとともに、アンテナ基板2には放射部32、給電部21c、短絡部21bからなる板状逆Fアンテナ200(
図3参照)が形成される。
【0029】
(2)アンテナ装置1の形成
アンテナ基板2を形成した後、
図2(c)に示すように、メイン基板10の回路が形成されている面と、給電基板20に給電部21cが形成されている面とが直交する向き、すなわち、メイン基板10と放射基板30とが平行になる向きにする。
この状態で、メイン基板10を矢印Bで示すように、給電基板20の主切込部25に挿入する。メイン基板10の挿入は、挿入目印13の位置において、挿入目印13が形成されたメイン基板10の側面が、主切込部25の底部25aに当接するまで挿入する。
メイン基板10を主切込部25に挿入することで、
図2(d)に示すように、メイン基板10に形成された給電線12の先端部(給電点)と、給電基板20に形成された給電部21cとが接続される。また、メイン基板10の金属部14が給電基板20のグランド23と接続され、金属部15がグランド24と接続される。
その後、給電線12の先端部(給電点)と給電部21cとの接続部分、金属部14とグランド23の接続部分、及び、金属部15とグランド24との接続部分を、ハンダ51で接続する。
【0030】
なお、他の実施形態においても、各切込部の底部が、他の基板の切込部の底部、又は切込部が形成されていない他の基板の外側面に当接するまで挿入する。
他の実施形態に対応する図面では、切込部を表す符号(数字)の後に符号aを付して表示する。
【0031】
以上により、断面L字状に折れ曲った形状のアンテナ基板2とメイン基板10を有するアンテナ装置1が形成される。
図3は、アンテナ基板2を使用したアンテナ装置1の斜視図である。
給電基板20と放射基板30とが垂直に組合わされることでアンテナ基板2が形成され、形成したアンテナ基板2の給電基板20とメイン基板10とが垂直に組合わされることでアンテナ装置1が形成される。
このように、本実施形態によれば、組立てが簡単でかつ外れにくいアンテナ基板2、アンテナ装置1を容易に形成することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、放射基板30と給電基板20を使用して形成されるアンテナ基板2、及び、アンテナ基板2とメイン基板10を使用して形成されるアンテナ装置1は、一方又は双方の基板に形成した切込部(25、26、31)に他の基板を挿入することにより、簡単、容易に形成する(組立てる)ことができ、かつ基板の幅で形成した切込みで基板同士を支えあっているので、確実に基板同士を直交させた状態に固定することができる。
そして、互いに直交する給電基板20と放射基板30をハンダ50で、直交する給電基板20とメイン基板10をハンダ51で接続することで、電気的な接続を確実にすると共に、直交する基板同士を確実に固定して機械的な接続強度を高めることができる。
【0033】
また、給電基板20と放射基板30をそれぞれのアンテナ用切込部26、31同士を挿入し、ハンダ50で接続することで、板状逆Fアンテナ200が配設されたアンテナ基板2を容易に形成することができる。
そして、メイン基板10を挿入目印13の位置でアンテナ基板2の主切込部25に挿入し、ハンダ51で給電部21cと給電点(給電線12の先端)をハンダ51で接続することで、板状逆Fアンテナ200を有するアンテナ装置1を容易に提供することができる。
また、本実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1では、板状逆Fアンテナ200としてパターンアンテナを使用するので、板金アンテナに対して安価なアンテナ装置1を提供することができる。
【0034】
次に第2実施形態のアンテナ装置1、アンテナ基板2について説明する。
説明した第1実施形態では、給電基板20と放射基板30の両基板にアンテナ用切込部26、31を形成し、メイン基板10と給電基板20のうちの給電基板20にだけ主切込部25を形成する場合について説明した。
これに対して第2実施形態では、アンテナ用切込部を放射基板30にだけ形成し、メイン基板10と給電基板20の双方に主切込部を形成するようにしたものである。
【0035】
図4は、第2実施形態における、メイン基板10(同図(a))、給電基板20(同図(b))、放射基板30(同図(c))の斜視図である。
なお、第2実施形態についての以下の説明では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明することとし、同様に形成される部分については適宜その説明を省略する(他の実施形態も同じ)。
【0036】
図4(b)に示すように、第2実施形態の給電基板20には、第1実施形態と同様に、一方の面に給電部21c、短絡部21b、金属部27、グランド23、24が形成されると共に、主切込部252が形成されている。また、本実施形態の給電基板20では、第1実施形態のアンテナ用切込部26に対応する切込部は形成されていない。
主切込部252は、開放端の位置が第1実施形態と同じ位置、同じ幅で形成されているが、切込みの長さが第1実施形態よりも短く形成されている。すなわち主切込部252の底部252aの位置が、給電部21cよりも手前まで形成されている。本実施形態の主切込部252では、さらに、グランド23の長さ方向の端部(内側)よりも手前に形成されている。
本実施形態の給電部21cは、主切込部252が給電部21cよりも手前まで形成されているので、メイン基板10の給電点と確実に接触させるため、仮に主切込部252の両側面を延長した場合の仮想線の間まで、形成されている。
【0037】
放射基板30は、第1実施形態と同様に、一方の面に放射部32が形成されると共に、アンテナ用切込部312が形成されている。
本実施形態のアンテナ用切込部312が第1実施形態と同じ位置、幅で形成されている。
一方、アンテナ用切込部312の底部312aまでの切込み長さは、給電基板20に切込部が形成されていないことに対応して、第1実施形態よりも長く切込まれている。すなわち、アンテナ用切込部312は、第1実施形態における、アンテナ用切込部31の切込み長さと、アンテナ用切込部26の切込み長さを合計した長さに切込まれている。
【0038】
メイン基板10は、
図4(a)に示すように、第1実施形態で説明した挿入目印13の位置に、主切込部16が形成されている。本実施形態では、主切込部16が挿入位置となるため、挿入目印13は存在しない。
第2実施形態の金属部14と金属部15は、第1実施形態における金属部14、15のうち、主切込部16が重複しない部分に形成されている。
【0039】
ここで給電基板20の主切込部252とメイン基板10の主切込部16の切込みの長さ(開放端から底部までの長さ)について説明する。
第1実施形態における、給電基板20の長さ(主切込部25の長手方向の長さ)をL0、主切込部25の長さをL1、第2実施形態における主切込部16の長さをL2、主切込部252の長さをL3として説明する。
第2実施形態における主切込部16の長さL2と主切込部252の長さL3は、両者を加算した長さ(=L2+L3)が、第1実施形態の主切込部25(L1)と同じ長さに形成される。
すなわち、主切込部16の長さL2は、0<L2<L1の範囲で形成され、主切込部252の長さL3は、L3=L1-L2に形成される。
【0040】
次に、放射基板30、給電基板20、メイン基板10を使用してアンテナ基板2、アンテナ装置1を形成する手順について説明する。
最初に、給電基板20と放射基板30とを、
図2(a)での説明と同様に、互いに直交する向きにする。そして、給電基板20の金属部27の下端位置を目印にして、放射基板30を、アンテナ用切込部312の底部312aが給電基板20に当接するまで挿入する。
そして、
図2(b)での説明と同様に、金属部27、給電部21c、短絡部21bのそれぞれと放射部32とをハンダ50で固定する。
これにより、板状逆Fアンテナ200を有する、断面L字状に折れ曲った形状のアンテナ基板2が形成される。
【0041】
次に、メイン基板10とアンテナ基板2の給電基板20とを、
図2(c)(d)での説明と同様に、互いに直交する向きにし、主切込部16と主切込部252とを嵌め合わせた後、板状逆Fアンテナ200の給電部21cと給電線12の先端、グランド23と金属部14、グランド24と金属部15のそれぞれをハンダ51で固定する。
これにより、
図3で説明した第1実施形態と同様に、アンテナ装置1を形成することができる。
【0042】
第1実施形態及び第2実施形態では、主切込部25の長さL1、主切込部16と主切込部252の長さの合計(L2+L3)が、給電基板20の全長L0よりも短く形成している。
このため、メイン基板10と放射基板30を給電基板20に組込んだ状態でのアンテナ装置1は、
図2(d)に示すように、給電基板20の一部(図面右側の端部)が、メイン基板10、放射基板30からはみ出した形状となる。
そこで、第2実施形態の変形例として、主切込部16の長さL2(>0)と主切込部252の長さL3(>0)を併せた長さ(L2+L3)を、給電基板20の全長L0と同じ長さ(L2+L3=L0)に形成することで、給電基板20がメイン基板10からはみ出ない形状のアンテナ装置1とすることができる。
以上の主切込部252、16に対する変形例と組込み後の状態については、上述した第1実施形態におけるアンテナ用切込部31、26との切込み長さに対する変形例と同様である。
【0043】
なお、メイン基板10の主切込部16の長さL2を、第2実施形態のアンテナ用切込部312と同様に、第1実施形態における主切込部25の長さL1と同じ長さにすることで、給電基板20には切込みを設けないようにすることも可能である。
さらに、長さL2(>0)と長さL3(>0)の合計(L2+L3)を、給電基板20の全長L0よりも長く(L2+L3>L0)形成することも可能である。
これにより、メイン基板10上に立設する給電基板20を、よりメイン基板10の中央よりに配置することができる。
【0044】
次に第3実施形態のアンテナ装置1、アンテナ基板2について説明する。
説明した第1実施形態では、給電基板20の主切込部25とアンテナ用切込部26は、それぞれ組合わされるメイン基板10の厚さ、放射基板30の厚さとほぼ等しい幅に形成され、放射基板30のアンテナ用切込部31も給電基板20の厚さとほぼ等しい幅に形成されている。そして、第1実施形態では、メイン基板10、給電基板20、放射基板30における、他の基板の切込部(25、31、26)に挿入される部分の厚さは、給電線12や金属部14、15、27、放射部32の形成による僅かな厚さの差が存在するだけで、何も形成や配設がされていない箇所とほぼ同じ厚さになっている。
これに対して、第3実施形態では、給電基板20の主切込部28、アンテナ用切込部253に挿入される、メイン基板10、放射基板30の対応箇所に溝17、313bを設けたものである。
【0045】
図5は、第3実施形態における、メイン基板10(同図(a))、給電基板20(同図(b))、放射基板30(同図(c))の斜視図である。
本実施形態のメイン基板10は、
図5(a)に示されるように、給電基板20に挿入される部分に、給電基板20の厚さと同じ幅の溝17が形成され、この溝17に沿って金属部14、15が形成されている。
また、給電線12の先端部は、溝17まで形成されている。なお、給電線12の先端部は、溝17の内側側面まで延設するようにしてもよい。
溝17の深さMは、メイン基板10の厚さをM10とした場合、0<M<M10の範囲であるが、深さMが大きすぎると(溝17の底部分の厚さが薄すぎると)、給電基板20に挿入して組合わせた後の強度が低下することになる。このため、溝17の深さMは、給電基板20の厚さをM20とした場合、M<(2/3)M20であることが好ましく、M<(1/2)M20であればより好ましい。
本実施形態では、溝17の深さM=(1/2)M20に形成されている。
【0046】
放射基板30は、
図5(c)に示されるように、第1実施形態のアンテナ用切込部31と同様に、給電基板20の厚さと同じ幅のアンテナ用切込部313が形成されている。
アンテナ用切込部313は、放射基板30の全長の約2分の1の位置の終端部313dまで切込まれ、終端部313dから先の同一線上に溝313bが形成されている。溝313bの長さは、給電基板20のアンテナ用切込部253の切込み長さと同じ長さに形成されている。
これにより、アンテナ基板2を組立てた状態で、給電基板20の底部253aと放射基板30の終端部313dとが当接し、給電基板20におけるアンテナ用切込部253の開放端位置の外周側面部と、放射基板30のアンテナ用切込部313の底部313aとが当接する。
【0047】
なお、溝313bの深さNは、メイン基板10の溝Mと同様である。
すなわち、放射基板30の厚さをN30とした場合、0<N<N30の範囲であるが、深さNが大きすぎると、給電基板20に挿入した後の強度が低下することになるので、溝313bの深さNは、給電基板20の厚さM20に対して、N<(2/3)M20であることが好ましく、N<(1/2)M20であればより好ましい。本実施形態では、溝313bの深さN=(1/2)M20に形成されている。
【0048】
給電基板20は、
図5(b)に示すように、主切込部28とアンテナ用切込部253が形成されている。主切込部28が挿入する際の目印になるので、メイン基板10に挿入目印13は形成されていない。それ以外の部分については第1実施形態と同様な構成になっている。
本実施形態の主切込部28、アンテナ用切込部253は、第1実施形態における主切込部25、アンテナ用切込部26と比べて、切込みの幅が狭く形成されている。
主切込部28の切込み幅は、メイン基板10に形成した溝17の底部分の厚さ(=M10-M)である。
アンテナ用切込部253の切込み幅は、放射基板30に形成した溝313bの底部分313cの厚さ(=N30-N)である。
【0049】
図5に示した放射基板30と給電基板20とを、
図2(a)での説明と同様に、互いに直交する向きにして、アンテナ用切込部253とアンテナ用切込部313とを相互に挿入した後、放射部32と金属部27とをハンダ50(図示しない)で固定することでアンテナ基板2を組立てる。
その後、
図5に示したメイン基板10と給電基板20を、
図2(c)での説明と同様に、メイン基板10に対して、放射基板30が面対向し、給電基板20が直交する向きにし、溝17に沿ってメイン基板10を給電基板20の主切込部28に挿入した後、給電部21cと給電線12の先端、グランド23と金属部14、グランド24と金属部15のそれぞれをハンダ51(図示しない)で固定する。
以上により、
図2で説明した第1実施形態と同様に、アンテナ装置1を形成することができる。
本実施形態によれば、給電基板20のアンテナ用切込部253を放射基板30のアンテナ用切込部313と溝313bに沿って、また主切込部28をメイン基板10の溝17に沿って挿入するので、給電基板20の位置決めや挿入が容易になると共に、組立てた後のアンテナ基板2、アンテナ装置1をより強固に固定することができる。
【0050】
次に第4実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態~第3実施形態では、給電基板20にだけグランド23、24を形成する場合について説明した。
これに対して第4実施形態では、メイン基板10側にもグランド23、グランド24と接続されるグランド18、19を設けている。
【0051】
図6は、第4実施形態における、メイン基板10(同図(a))とアンテナ装置1(同図(b))の斜視図である。
第4実施形態における給電基板20と放射基板30は、
図1(b)(c)に示した第1実施形態と同じである。
一方、メイン基板10は、
図6(a)に示すように、給電線12の形成面と同一面に、グランド18と、グランド19が形成されている。グランド18とグランド19とは連接して形成されている。
本実施形態では、メイン基板10のグランド18、19、給電部21cと、給電基板20のグランド23、24、給電線12の先端とが、ハンダ51により固定される。このため、第1実施形態における金属部14、15は存在しない。
他の部分については第1実施形態で説明したメイン基板10と同じである。
【0052】
本実施形態では、
図6(b)に示すように、給電基板20と放射基板30によるアンテナ基板2に形成された板状逆Fアンテナ200の放射部32の下側のメイン基板10にグランド18、19を形成することで、メイン基板10の下側(板状逆Fアンテナ200が存在する側の反対側)に配設される物体の影響を受けにくくなり、アンテナ特性を確保することができる。
なお、第2、第3実施形態におけるメイン基板10にも、本実施形態と同様にグランド18、19を形成することが可能である。
【0053】
次に第5実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態では、放射基板30に給電基板20と組合わせるためのアンテナ用切込部31が形成され、板状逆Fアンテナ200の放射部32もアンテナ用切込部31の切込みにより一部が切込まれた方形に形成されている。
これに対して、第5実施形態は、放射基板30にアンテナ用切込部を形成せずに、切込みのない完全な方形の放射部32を形成したものである。
【0054】
図7は、第5実施形態における、メイン基板10、給電基板20、放射基板30の斜視図である。
図8は、第5実施形態における、アンテナ装置1の斜視図と、放射基板30と給電基板20の組立状態の説明図である。
本実施形態のメイン基板10は、
図7(a)に示すように、第1実施形態におけるメイン基板10と同じである。
【0055】
放射基板30は、
図7(c)に示すように、切込みのない方形であり、放射部32も切込みがない方形に形成されている。
なお、
図7(c)に示した放射基板30は、放射部32を図示するために手前側にしてあるが、第1実施形態の放射基板30とは反対側の面に形成されている。
従って、放射基板30を給電基板20に挿入する際の目印である挿入目印33は、
図7(c)に示すように、放射基板30の側面上部に表示されている。
【0056】
給電基板20は、
図7(b)に示すように、メイン基板10が組込まれる主切込部25とその周辺(グランド23、24等)は第1実施形態と同様である。
一方、放射基板30が挿入される給電基板20のアンテナ用切込部26は、第1実施形態よりも長く、第1実施形態におけるアンテナ用切込部26とアンテナ用切込部31の切込み長さの合計と同じ長さに形成されている。
アンテナ用切込部26を長く形成したことに伴い、第5実施形態の短絡部21bと給電部21cは、第1実施形態よりも短く、アンテナ用切込部26の側端部分まで形成されている。
【0057】
このように、本実施形態の給電基板20では、放射基板30を組み込んだ状態で、短絡部21bと給電部21cが放射基板30の上側まで突き出ない。このため、後述するように、放射部32が下側(主切込部25側)となる向きで放射基板30をアンテナ用切込部26に挿入することで、放射部32と短絡部21b、給電部21cとを接続させるようにしている。
この放射部32を下側にして放射基板30をアンテナ用切込部26に挿入することに対応して、給電基板20の金属部27は、アンテナ用切込部26の下側に配置されている。
【0058】
この放射基板30と給電基板20によりアンテナ基板2を組立てる場合、
図8に示すように、放射部32が下側(主切込部25側)で、放射基板30と給電基板20を直交する向きにする。そして、挿入目印33の位置を目印にして給電基板20のアンテナ用切込部26に放射基板30を挿入する。
その後、
図8(b)に示すように、放射基板30の放射部32と、給電基板20の金属部27、給電部21c、短絡部21bとの接続部分をハンダ50で接続する。
この後、アンテナ基板2とメイン基板10を第1実施形態と同様に組立てることでアンテナ装置1が形成される。
形成後のアンテナ装置1は、
図8(a)に示すように、放射部32(点線で示す)がメイン基板10と対向する側に配置される。
【0059】
この第5実施形態によれば、放射部32に切込みが存在しないので、所望するアンテナ特性の板状逆Fアンテナ200を容易に設計しやすくすることができる。
【0060】
次に第6実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明する。
説明した第5実施形態では、切込みのない放射部32の板状逆Fアンテナ200とするために、給電基板20と放射基板30のうちの給電基板20側だけに、第1実施形態よりも長く切込んだアンテナ用切込部26を設けたものである。そして、放射部32と短絡部21b、給電部21c、金属部27との接続箇所をハンダ50で接続するために、放射基板30の放射部32が形成されている側の面を下側(主切込部25側)となるように形成している。
これに対して第6実施形態では、放射基板30の放射部32が形成されている側の面を、第1実施形態と同様に上側の向きに形成するものである。
【0061】
図9は、第6実施形態における、組立状態、放射基板30と給電基板20のアンテナ装置1の斜視図である。
本実施形態の放射基板30と放射部32は、第5実施形態と同様に切込みがないが、第5実施形態に比べて配置向きが上下反対になっている。このため、放射部32を上向きにした放射基板30を給電基板20のアンテナ用切込部26に挿入した状態では、アンテナ用切込部26の下側までしか形成されていない短絡部21b、給電部21cと放射部32とは直接接続されない。
そこで、給電基板20の短絡部21b、給電部21cと、放射基板30の放射部32との接続を可能にするため、本実施形態の給電基板20に、貫通孔(
図9(b)に点線で表示)を形成し、当該貫通孔内に放射部32と接続しているビア接続線35を配設している。
貫通孔とビア接続線35はその中心が、
図9(b)に示すように、放射基板30を給電基板20のアンテナ用切込部26に挿入した状態で、短絡部21b、給電部21c上になる位置に配設される。
【0062】
なお、給電基板20の金属部27は、第1実施形態と同様に、アンテナ用切込部26の上側に形成されることで、放射部32と金属部27とを直接ハンダ50で固定している。
これにより、放射部32を接続(固定)するハンダ50は、放射基板30の裏側(放射部32と反対側)で短絡部21b、給電部21cを接続し、表側(放射部32側)で金属部27と接続している。
但し、金属部27を第5実施形態と同様に、アンテナ用切込部26の下側に形成するとともに、ビア接続用の貫通孔とビア接続線35を配設することで、給電部21c等と同じ裏側からハンダ50を接続することができる。
【0063】
次に第7実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態から第6実施形態では、板状逆Fアンテナ200が配設されたアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明した。
これに対してアンテナ基板2は板状アンテナ等の他の各種アンテナを形成することが可能である。第7実施形態では、板状アンテナであるパッチアンテナ(マイクロスプリットアンテナ)201を形成したものである。
【0064】
図10は、第7実施形態におけるアンテナ装置1の斜視図である。
第7実施形態におけるアンテナ装置1は、板状逆Fアンテナ200の部分に変えて、パッチアンテナ201が形成され、他の構成については第1実施形態から第7実施形態の何れか1の実施形態で説明したアンテナ基板2、アンテナ装置1と同様であるので、異なる点を中心に説明する。
放射基板30に形成されたパッチアンテナ201の放射部321は正方形に形成される。例えば、2.4GHz帯のパッチアンテナ201の場合、基材の誘電率を考慮しない場合、(λ/2)×(λ/2)=6cm×6cmのサイズに形成される。
【0065】
短絡部21bが必要な板状逆Fアンテナ200と異なり、パッチアンテナ201の場合には
図10に示すように短絡部がなく、放射部321と接続される給電部21cが形成されている。
放射部321と給電部21cとは、第1実施形態と同様に、給電基板20のアンテナ用切込部26に放射基板30を挿入した後に、ハンダ50により接続され固定される。
なお、パッチアンテナ201の場合にも、板状逆Fアンテナ200の場合と同様に、給電基板20と放射基板30をより強固に固定するために、給電基板20に設けた金属部27と放射部321とをハンダ50で固定している。ただし、板状逆Fアンテナ200よりもサイズが小さいパッチアンテナ201では、金属部27の長さが短く、またハンダ50による固定箇所が少なくなっている。
なお、本実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1についても、第2実施形態から第6実施形態と同様に、切込部、溝、切込みのない放射部(放射部の裏側配置、貫通孔と接続線の配設)等を適用することも可能である。
【0066】
次に第8実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態から第7実施形態では、給電基板20と放射基板30とを組合わせることで形成したアンテナ基板2を、給電基板20の主切込部25部分にメイン基板10を挿入することで、メイン基板10に固定する場合について説明した。すなわちアンテナ基板2は、給電基板20の1箇所によりメイン基板10に固定する場合の実施形態である。
これに対して第8実施形態では、アンテナ基板2の開放端側(給電基板20の反対側)に、給電基板20と平行に放射基板30を支える支持基板40を設けたものである。
【0067】
図11は、第8実施形態における、支持基板40とアンテナ装置1の斜視図である。
第8実施形態のアンテナ装置1は、放射基板30を給電基板20とともに支持するための支持基板40が使用される。
支持基板40の外径サイズは、給電基板20と同一に形成され、
図11(a)に示すように、メイン基板10が挿入される切込部45と、放射基板30が挿入される切込部46が形成されている。
切込部45、46の形成位置(上下方向の切込み位置)は、第1実施形態と同様である。
【0068】
支持基板40の切込部45、46の切込み長さについては、第5実施形態で説明した給電基板20の主切込部25、アンテナ用切込部26と同じ長さに形成されている。すなわち、支持基板40用の切込部が形成されていないメイン基板10と放射基板30に、支持基板40の切込部45、46を挿入することで、アンテナ基板2(放射基板30)の開放端側を固定している。
なお、本実施形態の給電基板20は、第1実施形態で説明した給電基板20と同じである。
【0069】
本実施形態によれば、断面L字形状のアンテナ基板2の開放端側を支持基板40で支持している。すなわち、放射基板30の両端側を給電基板20と支持基板40の2箇所で支持しているので、アンテナ基板2をより確実に固定することができると共に、振動や衝撃に対する機械的強度が高いアンテナ装置1を提供することができる。
【0070】
なお、説明した第8実施形態のアンテナ装置1は、アンテナ基板2の給電基板20と平行に、かつ、開放端側(給電基板20の反対側)に、給電基板20と平行に支持基板40を配設する場合について説明したが、給電基板20と直交する向きに配設することも可能である。支持基板40を給電基板20に直交する向きに配設することで、給電基板20に対向する面と支持基板40に対向する面の2面が開放された構造になり、放射基板30の下部を利用しやすくすることができる。
【0071】
また、放射基板30には、支持基板40の切込部46に挿入するためのスペース(放射部32が形成されていないスペース)を確保したが、他の実施形態と同サイズの放射基板30を使用し、放射部32が形成されている箇所を支持基板40の切込部46に挿入するようにしてもよい。
【0072】
次に第9実施形態のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明する。
説明した第1実施形態から第8実施形態では、給電基板20と放射基板30とを組合わせることでL字状のアンテナ基板2を形成する場合について説明した。
これに対して第9実施形態のアンテナ基板2は、L字状に屈曲した1枚のアンテナ基板2を使用するものである。
【0073】
図12は、第9実施形態における、アンテナ装置1の斜視図である。
図12に示すように、本実施形態では、放射基板30に相当する放射基板部320と、給電基板20に相当する給電基板部220が一体に形成され、L字状に屈曲したアンテナ基板2が使用される。
アンテナ基板2は、放射基板部320に放射部32が形成され、給電基板部220に短絡部21b、給電部21c等が形成されるのは第1実施形態と同様である。
給電基板部220には、各実施形態と同様に、メイン基板10を挿入する主切込部25が形成されている。
【0074】
本実施形態によれば、アンテナ基板2が一体形成されているので、給電基板20と放射基板30の組立て工程、すなわち放射基板30の挿入やハンダ50による固定等が不要になる。
また、給電基板20と放射基板30を組立てた場合のアンテナ基板2よりも、L字状の交差部分よりも先の部分がないことから、給電基板部220と放射基板部320によるアンテナ基板2を小型化することができる。
【0075】
次に、給電基板20の変形例について説明する。
図13は、給電基板20の変形例を表した斜視図である。
この変形例の給電基板20は、メイン基板10を挿入する主切込部250と、放射基板30を挿入するアンテナ用切込部260についての、形成位置と切込み長さについての変形例である。
図13(a)、(b)は、メイン基板10と放射基板30に切込部を形成しない(
図7と同様)場合の給電基板20である。
第1実施形態から第8実施形態で説明した給電基板20は、主切込部25とアンテナ用切込部26の開放端が何れも同じ側に形成されているのに対し、
図13(a)に示した給電基板20は、主切込部250とアンテナ用切込部260の開放端が互いに反対側になるように形成されている。これにより、応力が一方端側に集中することを回避でき、安定的にメイン基板10、放射基板30を固定することができる。
【0076】
図13(b)に示した給電基板20は、アンテナ用切込部260の切込みの長さを、主切込部250と同じ長さにしたものである。
図11(b)に示した第8実施形態の場合、給電基板20の端面(図面右側)が、メイン基板10の端面(図面右側)よりも外側に出ている。
これに対して
図13(b)の給電基板20を使用した場合には、アンテナ用切込部260と主切込部250の切込み長さが同じなので、給電基板20とメイン基板10の両端面(図面右側)の位置を同じにすることができ、平面視した場合のアンテナ装置1の配置面積を小さくすることができる。
【0077】
一方、
図13(c)、(d)は、メイン基板10と放射基板30に切込部を形成する場合に使用する給電基板20の例である。
図13(c)、(d)は、主切込部250とアンテナ用切込部260の切込み長さを同じにした給電基板20である。給電基板20に対して、主切込部250、アンテナ用切込部260を同一側に形成したのが
図13(d)で、反対側に形成したのが同(c)である。
この変形では、メイン基板10と放射基板30の切込みの長さも同じ長さにすることが可能であるが、異なる長さにすることも可能である。
【0078】
以上説明した第1実施形態から第8実施形態と変形例も同様に、給電基板20と放射基板30の少なくとも一方に切込部を形成し、他の基板を挿入することで、基板面が直交する断面L字状のアンテナ基板2を容易に形成することができる。
また、説明した各実施形態、変形例によれば、基板面が直交する断面L字状のアンテナ基板2とメイン基板10の少なくとも一方に切込部を形成し、他の基板を挿入して放射基板30とメイン基板10を組立てることで、アンテナ基板2を容易にメイン基板10に固定することができる。
更に、ハンダ50で給電基板20と放射基板30を、ハンダ51で給電基板20とメイン基板10を固定しているので、電気的な接続を確実にすると共に、基板相互の堅牢性を高めることができる。
【0079】
また、本実施形態等で説明したアンテナ装置1では、パターンアンテナを形成したアンテナ基板2をメイン基板10に組込むので、板金アンテナを使用する場合に比べて、安価で強固に固定することが可能であり、かつ容易に形成することができる。
【0080】
また、説明した実施形態等によれば、アンテナ装置1では、アンテナの放射部が形成される放射基板30を、給電基板20を介してメイン基板10から隔離して対向配置しているので、メイン基板10と放射基板30との間の空間や、メイン基板10上の領域を、他の回路や配線の配設に使用することが可能になる。
【0081】
以上、本実施形態、変形例のアンテナ基板2、アンテナ装置1について説明したが、他の構成を採用することができる。
例えば、給電基板20と放射基板30を組立てるための切込みの形成と、メイン基板10とアンテナ基板2(給電基板20)とを組立てるための切込みの形成について、各実施形態の通り説明した。
これに対して、給電基板20と放射基板30に対し、一方の基板だけに切込みを設ける構成、又は/及び、溝を設ける構成としてもよい。
また、給電基板20と放射基板30の切込みの構成にかかわらず、メイン基板10とアンテナ基板2(給電基板20)に対して、一方の基板だけに切込みを設ける構成、又は/及び、溝を設ける構成としてもよい。
【0082】
また、説明した各実施形態及び変形例では、ハンダ50、51により電気的に接続し、機械的に固定する場合について説明したが、放射部32(321)と給電部21c、短絡部21bを接続するハンダ50、給電線12と給電部21cを接続するハンダ51以外のハンダ50、51による固定を省略することでより簡単に、アンテナ基板2やアンテナ装置1を形成することができる。
この場合、給電基板20と放射基板30の組込み、メイン基板10と給電基板20の組込みによる堅牢性を確保するために、各基板に形成する切込部の幅を、挿入される基板の厚さよりも僅かに狭い圧入可能な厚さにすることも可能である。
また、切込部の幅を同じにするのではなく、開放端側よりも切込みの終端部(基板内部側)の幅が僅かに狭い、「く」字形状にすることで、給電基板20と放射基板30を組込み、メイン基板10と給電基板20を組込む際の挿入が容易で、かつ確実に固定することができる。
【0083】
また、給電基板20と放射基板30をハンダ50により、メイン基板10と給電基板20をハンダ51により接続、固定する場合について説明したが、ハンダ50、51に代えて導電性接着剤により接続、固定するようにしてもよい。
【0084】
また説明した実施形態では、アンテナ基板2の一方の面に板状逆Fアンテナ200等のアンテナを配設する場合について説明したが、複数のアンテナを同一の面、又は両面に形成するようにしてもよい。
この場合同一形式の板状アンテナを形成しても、異なる形式のアンテナを形成するようにしてもよい。例えば、一方の面に板状アンテナ、他方の面に線状アンテナというように両面で異なるアンテナを形成するようにしてもよい。
板状アンテナではなく線状アンテナ(例えば線状の逆Fアンテナ)を形成する場合、放射線部を給電部や短絡部と同一の面に放射部を形成するようにしてもよい。この場合、給電基板20に形成した線状アンテナは、メイン基板10に対し垂直な偏波のアンテナを提供することができる。
【0085】
更に、複数のアンテナを配設する場合、アンテナ基板2の同一面、又は両面にアンテナを配設するだけでなく、給電基板20に対して複数枚の放射基板30を組込むことで、複数段の放射基板30を有するアンテナ基板2を使用するようにしてもよい。
各段の放射基板30には、上述の通り、一方の面、又は両面にアンテナを形成することも可能である。
【0086】
放射基板30を多段にする場合を含め、アンテナ基板2に複数のアンテナを形成する場合、アンテナ毎に接続する無線IC、給電線を配設するが、同一アンテナの場合には、無線ICだけ、又は、無線ICと給電線の両者を共通に接続するようにしてもよい。
アンテナ毎に異なる給電線を配設する場合、他のアンテナの給電線だけでなく、他のアンテナを構成する放射部と電気的に分離している必要がある。
例えば、放射基板30を1段とし、その両面にアンテナを配置する場合、各アンテナに接続する短絡部や給電部についても給電基板20の両面に形成することで対応が可能である。
また、放射基板30を多段にする場合の給電部については、所定の放射基板よりも上段の(メイン基板10から離れた位置にある)放射基板用の給電部については、それよりも下段側の放射基板に形成した放射部32と離れた位置に貫通孔とビア接続線(第6実施形態のビア接続線35、
図9参照)を設けるか、又は、下段側の放射基板に切込部を設け、当該切込部の位置に上段用の給電部等を形成する。
【0087】
以上、第1から第9実施形態及び各種変形例について説明したが、各実施形態や変形例に対応して、アンテナ装置1やアンテナ基板2、メイン基板10、給電基板20、放射基板30を次のように構成することも可能である。
(1)構成1
アンテナ用の給電ラインが形成されたメイン基板と、
アンテナの放射部が配設された放射基板と、前記放射部と接続された給電部が配設された前記放射基板に対して直交する給電基板を有するアンテナ基板と、
を有し、
前記メイン基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される主切込部が形成され、
前記主切込部が形成された基板の前記主切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記給電部と前記給電ラインが接続し、前記メイン基板に対して前記給電基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とするアンテナ装置。
(2)構成2
前記アンテナ基板は、
前記放射基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入されるアンテナ用切込部が形成され、
前記アンテナ用切込部が形成された基板の前記アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部と前記給電部が接続し、前記給電基板に対して前記放射基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(3)構成3
前記メイン基板と前記アンテナ基板とは、少なくとも前記給電部と前記給電ラインがハンダ付けにより、又は導電性接着剤により固定されている、
ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(4)構成4
前記放射基板と前記給電基板とは、少なくとも前記放射部と前記給電部がハンダ付けにより、又は導電性接着剤により固定されている、
ことを特徴とする構成2に記載のアンテナ装置。
(5)構成5
前記アンテナ基板は、前記放射基板と前記給電基板とが一体形成されている、
ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(6)構成6
前記アンテナ基板の放射基板の開放端側を支持する支持基板を備え、
前記放射基板と前記支持基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される第2アンテナ用切込部が形成され、前記第2アンテナ用切込部が形成された基板の前記第2アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部に対して前記支持基板が垂直に固定され、
前記メイン基板と支持基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入される第2主切込部が形成され、前記第2主切込部が形成された基板の前記第2主切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記メイン基板に対して前記支持基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(7)構成7
前記アンテナ基板には、少なくとも前記給電部が形成されている面にグランドが形成されている、
ことを特徴とする構成1に記載のアンテナ装置。
(8)構成8
前記切込部は、切込みによる開放端側よりも、内側の方が狭くなるように形成されている、
ことを特徴とする構成1又は構成2に記載のアンテナ装置。
(9)構成9
前記基板のうち、前記切込部に挿入される側の基板には、当該切込部が挿入される溝が形成され、
前記切込部の幅は、前記溝における底部の厚さに形成されている、
ことを特徴とする構成1又は構成2に記載のアンテナ装置。
(10)構成10
前記アンテナ基板には、アンテナとして、パッチアンテナ、線状又は板状の、逆Fアンテナ、逆Lアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、並列共振逆Fアンテナ、又は、並列共振逆Lアンテナ、が形成されている、
ことを特徴とする構成1から構成7のうちの何れか1の構成に記載のアンテナ装置。
(11)構成11
アンテナの放射部が配設された放射基板と、
前記放射部と接続された給電部が配設された前記放射基板に対して直交する給電基板と、
を有し、
前記放射基板と前記給電基板の少なくとも一方の基板に、他方の基板が挿入されるアンテナ用切込部が形成され、
前記アンテナ用切込部が形成された基板の前記アンテナ用切込部に前記他方の基板が挿入されることで、前記放射部と前記給電部が接続し、前記給電基板に対して前記放射基板が垂直に固定されている、
ことを特徴とするアンテナ基板。
【符号の説明】
【0088】
1 アンテナ装置
2 アンテナ基板
10 メイン基板
11 無線IC
12 給電線
13 挿入目印
14、15、27 金属部
16 主切込部
17 溝
18、19 グランド
20 アンテナ基板
20 給電基板
21b 短絡部
21c 給電部
23、24 グランド
25、28 主切込部
25a、26a、31a、252a、253a、312a、313a 底部
26 アンテナ用切込部
30 放射基板
31 アンテナ用切込部
32 放射部
33 挿入目印
35 ビア接続線
40 支持基板
45、46 切込部
50、51 ハンダ
200 板状逆Fアンテナ
201 パッチアンテナ
220 給電基板部
250、252 主切込部
253、260 アンテナ用切込部
312、313 アンテナ用切込部
313b 溝
313c 底部分
313d 終端部
320 放射基板部
321 放射部