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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166952
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】農業用周回運搬装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A01G9/14 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083397
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】500132203
【氏名又は名称】前川鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 真一
(72)【発明者】
【氏名】前川 斉之
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029GA08
(57)【要約】
【課題】台車を用いずに、容易にかつ能率的に農作物を収穫することができる農業用周回運搬装置を提供する。
【解決手段】所定間隔Pをもって多数の収納袋、収納籠、収納箱等の収納体31を吊下げるための無端環状ロープ2と、ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備える。ロープ駆動装置Zが、上下縦長状の基台枠を、備える。基台枠に、ロープ2が引寄せられて巻設される駆動ドラムと、ロープ2が巻設されて繰出される従動ドラムと、駆動ドラムへ回転トルクを伝達する駆動モータとを、取着する。さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体に圧接する上下方向の凹溝面を、基台枠が具備する。ロープ2を地面と略平行面状に張設する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔(P)をもって多数の収納袋、収納籠、収納箱等の収納体(31)を吊下げるための無端環状ロープ(2)と、該ロープ(2)を周回駆動させるロープ駆動装置(Z)とを、備え、
上記ロープ駆動装置(Z)が、
上下縦長状の基台枠(3)を、備え、
上記基台枠(3)に、上記ロープ(2)が引寄せられて巻設される駆動ドラム(4)と、上記ロープ(2)が巻設されて繰出される従動ドラム(5)と、上記駆動ドラム(4)へ回転トルクを伝達する駆動モータ(7)とを、取着し、
さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体(T)に圧接する上下方向の凹溝面(9)を、上記基台枠(3)が具備し、
上記ロープ(2)を地面(G)と略平行面状に張設したことを特徴とする農業用周回運搬装置。
【請求項2】
上記収納体(31)に農作物(N)を入れて収穫する請求項1記載の農業用周回運搬装置。
【請求項3】
上記収納体(31)に肥料(J)を入れて配送する請求項1記載の農業用周回運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用周回運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、果物や野菜等の農作物を収穫・運搬するには、農作物を収納袋、収納籠、ケース等の収納体へ収納して、人力や台車にて運搬する。例えば、イチゴのハウス栽培の場合、台車にケースを載置して、ケース内へイチゴを収穫し、台車にて運搬している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、果樹園等に於て、果樹用の肥料を運搬するには、肥料を、近くの車道まで車で運搬した後、果樹の近くへ人力や台車等で運搬する。例えば、ミカン山のミカンの木に肥料を撒く場合、ミカンの木の根元まで、重い肥料を人力にて運搬したり、あらかじめミカン山にレールを敷設してレールの上に走行自在な車両に肥料を乗せて人が運転してミカンの木の近くまで運搬している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-30028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の農業用周回運搬装置は、例えば、イチゴのハウス栽培の場合、台車を押して歩かなければならない。また、ミカン山のミカンの木に肥料を撒く場合、重量が大きい肥料を人力にて運搬するのは重労働であり、レールを敷設するのは、設備が大掛かりである。
【0006】
そこで、本発明は、台車を用いずに、容易にかつ能率的に農作物を収穫することができる農業用周回運搬装置を提供することを目的とする。また、簡易な構成の装置によって、果樹園等に肥料を運搬することができる農業用周回運搬装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る農業用周回運搬装置は、所定間隔をもって多数の収納袋、収納籠、収納箱等の収納体を吊下げるための無端環状ロープと、該ロープを周回駆動させるロープ駆動装置とを、備え、上記ロープ駆動装置が、上下縦長状の基台枠を、備え、上記基台枠に、上記ロープが引寄せられて巻設される駆動ドラムと、上記ロープが巻設されて繰出される従動ドラムと、上記駆動ドラムへ回転トルクを伝達する駆動モータとを、取着し、さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体に圧接する上下方向の凹溝面を、上記基台枠が具備し、上記ロープを地面と略平行面状に張設したものである。
また、上記収納体に農作物を入れて収穫するものである。
また、上記収納体に肥料を入れて配送するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の農業用周回運搬装置によれば、台車を用いずに、容易にかつ能率的に農作物を収穫することができる。また、簡易な構成の装置によって、果樹園等に肥料を運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態の使用状態を示す簡略平面図である。
図2】使用例1を示す正面図である。
図3】ロープ駆動装置を示す正面図である。
図4】側面図である。
図5】平面図である。
図6】ガイドローラの取着位置を変更した状態を示す正面図である。
図7】要部拡大平面図である。
図8】要部拡大平面図である。
図9】他の実施の形態の要部拡大平面図である。
図10】使用例2を示す斜視図である。
図11】使用例3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1図2は、本発明の実施の一形態の使用状態の一例(使用例1)を示す。
本発明の農業用周回運搬装置は、所定間隔Pをもって多数の収納袋、収納籠、収納箱等の収納体31を吊下げるための無端環状ロープ2と、ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備える。収納体31に果物や野菜等の農作物N(図1図2の例では、イチゴ)を入れて収穫する。
【0011】
ロープ2が地面Gと略平行面状かつ蛇行状に張設される。本発明に於て、「略平行面」とは、傾斜角度が、0°以上30°以下をいうものとする。図1に於て、17はロープの方向転換用のガイドローラ(案内ローラ)である。ロープ2に、所定間隔Pをもって多数の物品吊下部1が配設される。ロープ2の物品吊下部1に(順次、又は、1個飛び乃至数個飛びに)収納体31を吊下げて、順次、ロープ2をロープ駆動装置Zによって繰出す。なお、所定間隔Pは、不均等であっても良い。
【0012】
図3図5に示すように、ロープ駆動装置Zは、上下縦長状の基台枠3を、備える。ロープ2が引寄せられて巻設される駆動ドラム4を、基台枠3の上半部に、配設する。ロープ2が巻設されて繰出される従動ドラム5を、基台枠3の下半部に、配設する。駆動ドラム4及び従動ドラム5は、各々、複数の外周凹溝14を有し、無端環状ロープ2をたすき掛け状(8の字状)として巻設する(図4参照)ように構成する。例えば、3回~7回巻設する。
【0013】
さらに、基台枠3の一側板6の下方部位に駆動モータ7を配設すると共に、一側板6の上方部位に減速機8を配設して、駆動モータ7の回転トルクを減速機8を介して、駆動ドラム4へ伝達するよう構成する。駆動モータ7が、携帯自在な小型発電機(図示省略)に対応可能なモータである。つまり、農家や一般家庭で広く使用されている 100V発生用の小型発電機で十分である。駆動モータ7の下部が、基台枠3の下端15よりも下方へ突出状態として、駆動モータ7が基台枠3の一側板6に、配設されている。
【0014】
基台枠3において、駆動ドラム4よりも上方部位に、無端環状ロープ2が懸架されるガイドローラ13が、設けられている。ガイドローラ13は、ボルト部材22まわりに回転自在に取着され、ボルト部材22及びカラー(円筒体)23の向きを変更して、軸心方向一端側(図3参照)と他端側(図6参照)に交換自在に取着することができる。
【0015】
図7図8に示すように、地面から突出している木の幹、竹、柱(例えば、電柱、農小屋の柱、フェンスの柱、杭)等の鉛直棒状体Tに圧接する上下方向の凹溝面9を、基台枠3が具備する。凹溝面9の横断面形状は、略V字型、略円弧型等である。基台枠3は、凹溝面9の両側端の各角部10に貫孔部11を有する。ベルト等の締付部材12を、貫孔部11に挿通させて、鉛直棒状体Tに巻設して、基台枠3の凹溝面9を、鉛直棒状体Tに圧接状態として、基台枠3を鉛直棒状体Tに固縛するように構成する。しかも、この貫孔部11近傍に、ベルト傷付き防止用の鉛直状丸棒16が固設される。なお、固縛の際、図示省略の荷締機を用いるのが好ましい。
【0016】
基台枠3の高さ寸法H(図3参照)を、前後幅寸法W(図5参照)の 1.6倍~3倍に設定する。高さ寸法Hが、前後幅寸法Wの 1.6倍未満の場合、駆動ドラム4と従動ドラム5が近接し過ぎて、適切にロープ2を懸架することができない。高さ寸法Hが、前後幅寸法Wの3倍を超える場合、駆動ドラム4と従動ドラム5との間隔が大きくなり過ぎ、上下の長さ寸法(高さ)が不必要に過大となり、設置・使用が困難である。
【0017】
図9は、本発明の他例を示し、鉛直状丸棒16を省略している。
【0018】
図10は、本発明の使用状態の他例(使用例2)を示す。ミカン山やぶどう山や柿を植えた山等の地面Gが傾斜面の場所に於て、ロープ駆動装置Zを山のふもと側に設置する。そして、農作物N(図10の例では、ミカン)を収穫して、収納体31に収納し、ロープ駆動装置Zにてロープ2を周回させて、農作物Nを山のふもと側へ運搬する。その他の構成は、(図1図2に示した)使用例1と同様である。
【0019】
図11は、本発明の使用状態のさらに他例(使用例3)を示す。ミカン山やぶどう山や柿を植えた山等の地面Gが傾斜面の場所に於て、収納体31に肥料Jを入れて、ミカン等の樹木Kの近傍へ配送する。その他の構成は、(図10に示した)使用例2と同様である。
【0020】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、物品吊下部1を省略するも良い。即ち、収納体31の吊紐30(図2図10図11参照)を、ロープ2に、縛付けたり、又は、金具にて取付けるも、自由である。また、イチゴやミカン以外の農作物Nを収納体31に入れて収穫するも良い。例えば、ナシ、リンゴ、栗、柿、シイタケ、タケノコ等を収穫するも良い。また、シイタケの原木を運搬したり、間伐した竹を運搬するも良い。また、芝、泥、石を運搬するも良い。
【0021】
以上のように、本発明は、所定間隔Pをもって多数の収納袋、収納籠、収納箱等の収納体31を吊下げるための無端環状ロープ2と、該ロープ2を周回駆動させるロープ駆動装置Zとを、備え、上記ロープ駆動装置Zが、上下縦長状の基台枠3を、備え、上記基台枠3に、上記ロープ2が引寄せられて巻設される駆動ドラム4と、上記ロープ2が巻設されて繰出される従動ドラム5と、上記駆動ドラム4へ回転トルクを伝達する駆動モータ7とを、取着し、さらに、地面から突出している木の幹、竹、電柱等の鉛直棒状体Tに圧接する上下方向の凹溝面9を、上記基台枠3が具備し、上記ロープ2を地面Gと略平行面状に張設したので、簡易な構成の装置によって、農作物Nや肥料J等を、容易にかつ能率的に運搬することができる。ロープ駆動装置Zの設置面積が極めて小さくて済み、移動・設置・使用が容易である。また、鉛直棒状体Tさえあれば、設置・使用が可能である。また、鉛直棒状体Tに対して凹溝面9が強力に圧接することによって、ロープ駆動装置Z全体が振れないように、強固に固定できる。
【0022】
また、上記収納体31に農作物Nを入れて収穫するので、台車を用いずに、容易にかつ能率的に農作物Nを収穫することができる。
また、上記収納体31に肥料Jを入れて配送するので、簡易な構成の装置によって、果樹園等に肥料Jを運搬することができる。
【符号の説明】
【0023】
2 (無端環状)ロープ
3 基台枠
4 駆動ドラム
5 従動ドラム
7 駆動モータ
9 凹溝面
31 収納体
G 地面
J 肥料
N 農作物
P 所定間隔
T 鉛直棒状体
Z ロープ駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11