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特開2024-166954レーザー走査ユニット、レーザー走査ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166954
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】レーザー走査ユニット、レーザー走査ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20241122BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20241122BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G02B26/10 F
B41J2/47 101D
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083399
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】穂園 智英
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA10
2C362BA04
2C362BA17
2C362BA86
2C362BA87
2C362BB03
2C362CA18
2C362CA39
2H045AA01
2H045AB01
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA63
2H045DA02
2H045DA04
5C072AA03
5C072BA13
5C072DA21
5C072HA02
5C072HA09
5C072HA13
(57)【要約】
【課題】必要十分な量の接着剤をミラーの端部と筐体のミラー支持部との間に確実に充填できること。
【解決手段】ミラー留具56は、ミラー54の第1端部54xを筐体50の第1ミラー支持部501に留める。第2ミラー支持部502は、一対の仕切面502bと凹面502cとを有する。前記一対の仕切面502bは、前記ミラー54の前記第2端部54yの端面54zに対して間隔を隔てて対向する。前記凹面502cは、前記一対の仕切面502bの間に形成され、前記一対の仕切面502bよりも前記第2端部54yの前記端面54zに対して大きな間隔を隔てて対向する。接着剤500は、前記第2端部54yの前記端面54zと前記一対の仕切面502bとを接着している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、レーザー光を第1方向に沿って走査する光走査器と、
前記第1方向に沿って前記筐体内に配置され、前記レーザー光を反射するミラーと、
前記ミラーにおける前記第1方向の第1の側の第1端部を前記筐体の第1ミラー支持部に留めるミラー留具と、
前記ミラーにおける前記第1方向の第2の側の第2端部を前記筐体の第2ミラー支持部に接着する接着剤と、を備え、
前記第1ミラー支持部は、前記ミラーの前記第1端部における反射面または前記反射面の反対側の面であるミラー特定面の2箇所を支持する一対の突起部を有し、
前記第2ミラー支持部は、
前記ミラーの前記第2端部の端面に対して間隔を隔てて対向する一対の仕切面と、
前記一対の仕切面の間に形成され、前記一対の仕切面よりも前記ミラーの前記第2端部の前記端面に対して大きな間隔を隔てて対向する凹面と、を有し、
前記接着剤は、前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記一対の仕切面とを接着している、レーザー走査ユニット。
【請求項2】
前記第2ミラー支持部は、前記一対の仕切面の配列方向における前記一対の仕切面の外側に形成され、前記一対の仕切面よりも前記ミラーの前記第2端部の前記端面に対して近い距離で対向し、前記ミラーの前記第1方向の前記第2の側への移動を制限する一対の規制面をさらに有する、請求項1に記載のレーザー走査ユニット。
【請求項3】
前記凹面は、湾曲した面である、請求項1または請求項2に記載のレーザー走査ユニット。
【請求項4】
前記接着剤は、紫外線硬化接着剤である、請求項1または請求項2に記載のレーザー走査ユニット。
【請求項5】
レーザー走査ユニットの製造方法であって、
前記レーザー走査ユニットが、
筐体と、
前記筐体内に配置され、レーザー光を第1方向に沿って走査する光走査器と、
前記第1方向に沿って前記筐体内に配置され、前記レーザー光を反射するミラーと、を備え、
前記筐体が、
前記ミラーにおける前記第1方向の第1の側の第1端部における反射面または前記反射面の反対側の面であるミラー特定面の2箇所を支持する一対の突起部を有する第1ミラー支持部と、
前記ミラーにおける前記第1方向の第2の側の第2端部の端面を支持する第2ミラー支持部と、を有し、
前記第2ミラー支持部が、
前記ミラーの前記第2端部の前記端面に対して間隔を隔てて対向する一対の仕切面と、
前記一対の仕切面の間に形成され、前記一対の仕切面よりも前記ミラーの前記第2端部の前記端面に対して大きな間隔を隔てて対向する凹面と、を有する場合に、
前記ミラーの前記第1端部における反射面または前記反射面の反対側の面であるミラー特定面が前記一対の突起部に当接する状態で前記ミラーの前記第1端部がミラー留具によって前記第1ミラー支持部に留められることと、
前記ミラーの前記第1端部が前記第1ミラー支持部に留められた後に、前記ミラーの前記第2端部が目標位置に調整されることと、
前記ミラーの前記第2端部が前記目標位置に保持された状態で、ニードルが前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記第2ミラー支持部の前記凹面との間に挿入され、前記ニードルから吐出される接着剤が前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記第2ミラー支持部の前記一対の仕切面との間に充填されることと、
前記接着剤が硬化した後に、前記ミラーの前記第2端部の前記目標位置での保持が解除されることと、を含む、レーザー走査ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記接着剤が紫外線硬化接着剤である場合に、紫外光が前記ミラーの前記反射面に照射され、前記反射面で反射した前記紫外光が前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記第2ミラー支持部の前記一対の仕切面との間に照射されることを含む、請求項5に記載のレーザー走査ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーの一端が接着剤により筐体に接着されるレーザー走査ユニットおよびレーザー走査ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体およびレーザー走査ユニットを備える。前記レーザー走査ユニットは、感光体の表面にレーザー光各々を走査する。これにより、前記レーザー走査ユニットは、前記感光体の表面に静電潜像を書き込む。
【0003】
前記レーザー走査ユニットは、筐体と走査器とミラーとレンズとを備える。前記ミラーは、前記レーザー光の走査方向を長手方向として前記筐体内に配置される。
【0004】
前記ミラーの配置の精度は、前記静電潜像の書き込みの精度に大きく影響する。例えば、前記ミラーが、3箇所で前記筐体に支持されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記の場合、前記ミラーの長手方向の第1端部が2箇所で支持され、前記ミラーの長手方向の第2端部が1箇所で支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-101160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記ミラーの一方の端部が、接着剤によって前記筐体に接着されることが考えられる。これにより、前記ミラーが強固に前記筐体に固定される。この場合、必要十分な量の前記接着剤が前記ミラーの端部と前記筐体のミラー支持部との間に確実に充填されることが必要である。
【0008】
本発明の目的は、必要十分な量の接着剤をミラーの端部と筐体のミラー支持部との間に確実に充填することができるレーザー走査ユニットおよびレーザー走査ユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係るレーザー走査ユニットは、筐体と、光走査器と、ミラーと、ミラー留具と、接着剤と、を備える。前記光走査器は、前記筐体内に配置され、レーザー光を第1方向に沿って走査する。前記ミラーは、前記第1方向に沿って前記筐体内に配置され、前記レーザー光を反射する。前記ミラー留具は、前記ミラーにおける前記第1方向の第1の側の第1端部を前記筐体の第1ミラー支持部に留める。前記接着剤は、前記ミラーにおける前記第1方向の第2の側の第2端部を前記筐体の第2ミラー支持部に接着する。前記第1ミラー支持部は、前記ミラーの前記第1端部における反射面または前記反射面の反対側の面であるミラー特定面の2箇所を支持する一対の突起部を有する。前記第2ミラー支持部は、一対の仕切面と、凹面と、を有する。前記一対の仕切面は、前記ミラーの前記第2端部の端面に対して間隔を隔てて対向する。前記凹面は、前記一対の仕切面の間に形成され、前記一対の仕切面よりも前記ミラーの前記第2端部の前記端面に対して大きな間隔を隔てて対向する。前記接着剤は、前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記一対
の仕切面とを接着している。
【0010】
本発明の他の局面に係るレーザー走査ユニットの製造方法は、前記レーザー走査ユニットを製造する方法である。前記製造方法は、前記ミラーの前記第1端部の前記ミラー特定面が前記一対の突起部に当接する状態で前記ミラーの前記第1端部がミラー留具によって前記第1ミラー支持部に留められることを含む。さらに前記製造方法は、前記ミラーの前記第1端部が前記第1ミラー支持部に留められた後に、前記ミラーの前記第2端部が目標位置に調整されることを含む。さらに前記製造方法は、前記ミラーの前記第2端部が前記目標位置に保持された状態で、ニードルが前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記第2ミラー支持部の前記凹面との間に挿入され、前記ニードルから吐出される接着剤が前記ミラーの前記第2端部の前記端面と前記第2ミラー支持部の前記一対の仕切面との間に充填されることを含む。さらに前記製造方法は、前記接着剤が硬化した後に、前記ミラーの前記第2端部の前記目標位置での保持が解除されることを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、必要十分な量の接着剤をミラーの端部と筐体のミラー支持部との間に確実に充填することができるレーザー走査ユニットおよびレーザー走査ユニットの製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るレーザー走査ユニットを備える画像形成装置の構成図である。
図2図2は、実施形態に係るレーザー走査ユニットの構成図である。
図3図3は、実施形態に係るレーザー走査ユニットの一部の斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおけるミラーの第1端部の支持構造の側面図である。
図5図5は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおけるミラーの第2端部の支持構造の平面図である。
図6図6は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおける第2ミラー支持部の斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るレーザー走査ユニットを製造する工程の一部であるミラー取付工程の手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおける接着剤が供給される前のミラーの第1端部の周辺の平面図である。
図9図9は、実施形態に係るレーザー走査ユニットにおける接着剤が供給されているときのミラーの第1端部の周辺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
実施形態に係るレーザー走査ユニット5は、電子写真方式の画像形成装置10の一部を構成している(図1参照)。
【0015】
[画像形成装置10の構成]
図1に示されるように、画像形成装置10は、シート搬送装置3およびプリント装置4を備える。画像形成装置10は、タンデム式のカラー画像形成装置である。
【0016】
シート搬送装置3は、シート給送機構30および複数組の搬送ローラー対31を備える。シート給送機構30は、シート収容部2に収容されたシート9を搬送路300へ送り出
す。搬送路300は、シート9が搬送される通路である。
【0017】
複数組の搬送ローラー対31は、不図示のモーターによって回転駆動される。複数組の搬送ローラー対31は、回転することによってシート9を搬送路300に沿って搬送し、さらにシート9を排出トレイ1xへ排出する。
【0018】
プリント装置4は、電子写真方式でプリント処理を実行する。前記プリント処理は、シート9に画像を形成する処理である。シート9は、用紙またはシート状の樹脂部材などの画像形成媒体である。
【0019】
プリント装置4は、1つまたは複数の画像形成部4xを備える。本実施形態において、画像形成装置10はタンデム式のプリント装置4を備える。そのため、プリント装置4は、複数のトナー色に対応する複数の画像形成部4xを備える。
【0020】
さらにプリント装置4は、レーザー走査ユニット5、転写装置44および定着装置46を備える。
【0021】
画像形成部4x各々は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45などを含む。即ち、プリント装置4は、複数のトナー色に対応する複数の感光体41、複数の現像装置43および複数のドラムクリーニング装置45を備える。
【0022】
画像形成部4x各々において、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。レーザー走査ユニット5は、それぞれ帯電した複数の感光体41各々の表面に複数のレーザー光各々を走査する。これにより、レーザー走査ユニット5は、複数の感光体41各々の表面に静電潜像を書き込む。
【0023】
複数の現像装置43は、複数の感光体41の表面にそれぞれトナーを供給することにより前記静電潜像をトナー像へ現像する。前記トナーは、粒状の現像剤である。感光体41は、前記トナー像を担持して回転する像担持体の一例である。
【0024】
本実施形態において、プリント装置4は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの4つの現像色の前記トナーに対応する4つの画像形成部4xを備える。従って、プリント装置4は、4個の感光体41、4個の現像装置43および4個のドラムクリーニング装置45を備える。
【0025】
4個の感光体41の表面に4つの前記トナー像が形成される。転写装置44は、4つの前記トナー像を4個の感光体41からシート9へ転写する。
【0026】
転写装置44は、中間転写ベルト441と、4個の画像形成部4xに対応する4個の一次転写装置442と、二次転写装置443と、ベルトクリーニング装置444とを含む。
【0027】
4個の一次転写装置442は、4個の感光体41の表面の前記トナー像を中間転写ベルト441の表面へ転写する。これにより、4個の感光体41の前記トナー像が合成されたカラートナー像が中間転写ベルト441の表面に形成される。
【0028】
二次転写装置443は、中間転写ベルト441に形成された前記カラートナー像を、搬送路300の転写位置においてシート9に転写する。
【0029】
定着装置46は、シート9に転写された前記カラートナー像を加熱しつつ加圧する。こ
れにより、定着装置46は、シート9に前記カラートナー像を定着させる。
【0030】
ドラムクリーニング装置45各々は、感光体41各々の表面に残存する廃トナーを除去する。ベルトクリーニング装置444は、中間転写ベルト441に残存する前記廃トナーを除去する。
【0031】
なお、画像形成装置10がモノクロ画像形成装置である場合、プリント装置4は、1つの画像形成部4xを有する。この場合、一次転写装置442が、前記静電潜像を感光体41からシート9へ転写する。
【0032】
図2に示されるように、レーザー走査ユニット5は、筐体50と不図示の複数の光源と光走査器52と1つ以上の主レンズ53と複数のミラー54と複数の副レンズ55とを備える。
【0033】
筐体50は、合成樹脂の成形部材である。前記複数の光源および光走査器52は、筐体50内に配置されている。
【0034】
前記複数の光源は、それぞれレーザー光を出射するレーザー光源である。光走査器52は、前記複数の光源から出射される複数のレーザー光を第1方向D1に沿って走査する。
【0035】
本実施形態において、光走査器52はポリゴンミラーである。前記ポリゴンミラーは、周方向に正多角形状に並ぶ複数のミラーを有する。前記ポリゴンミラーは、ポリゴンモーター520によって駆動されることにより回転する(図2参照)。
【0036】
なお、ガルバノミラーまたはMEMSミラー(Micro Electro Mechanical Systems mirror)が、光走査器52として採用されてもよい。
【0037】
1つ以上の主レンズ53、複数のミラー54および複数の副レンズ55は、それぞれ第1方向D1を長手方向として筐体50内に取り付けられている。即ち、主レンズ53、複数のミラー54および複数の副レンズ55は、第1方向D1に沿って筐体50内にそれぞれ配置されている。
【0038】
複数のミラー54は、前記複数のレーザー光の一部をそれぞれ反射する。前記複数のレーザー光は、主レンズ53および複数の副レンズ55を透過するとともに複数のミラー54によって反射される。
【0039】
本実施形態において、レーザー走査ユニット5は、2個の主レンズ53と、2個の副レンズ55と6個のミラー54とを備える。
【0040】
主レンズ53各々は、それぞれ前記4つの現像色のうちの2色に対応するfθレンズである。同様に、副レンズ55各々も、それぞれ前記4つの現像色のうちの2色に対応するfθレンズである。
【0041】
6個のミラー54は、ブラックに対応する1個の第1ミラーと、シアンに対応する2個の第2ミラーと、マゼンタに対応する2個の第3ミラーと、イエローに対応する1個の第3ミラーとを含む。
【0042】
主レンズ53各々は、前記複数のレーザー光のうち2個の感光体41に照射される一部を透過させる。同様に、副レンズ55各々も、前記複数のレーザー光のうち2個の感光体41に照射される一部を透過させる。
【0043】
2個の主レンズ53は、ブラックおよびシアンに対応する第1主レンズと、イエローおよびマゼンタに対応する第主副レンズと、を含む。同様に、2個の副レンズ55は、ブラックおよびシアンに対応する第1副レンズと、イエローおよびマゼンタに対応する第2副レンズと、を含む。
【0044】
複数のミラー54の配置の精度は、前記4つの現像色に対応する4つの前記静電潜像の書き込みの精度に大きく影響する。
【0045】
ところで、ミラー54各々の一方の端部が、接着剤500によって筐体50に接着されることが考えられる(図5参照)。これにより、ミラー54各々が強固に筐体50に固定される。この場合、必要十分な量の接着剤500がミラー54各々の端部と筐体50のミラー支持部との間に確実に充填されることが必要である。
【0046】
レーザー走査ユニット5は、必要十分な量の接着剤500をミラー54各々の端部と筐体50のミラー支持部との間に確実に充填するためのミラー支持構造を備える。以下、その構造について説明する。
【0047】
[ミラー支持構造]
以下の説明において、ミラー54各々における第1方向D1の第1の側D11の端部のことをミラー第1端部54xと称し、第1方向D1の第2の側D12の端部のことをミラー第2端部54yと称する(図3~5参照)。
【0048】
筐体50は、複数の第1ミラー支持部501と、複数の第2ミラー支持部502と、を有する(図3~5参照)。第1ミラー支持部501各々は、ミラー54各々のミラー第1端部54xを支持する。ミラー第2端部54y各々は、ミラー54各々のミラー第2端部54yを支持する。
【0049】
さらにレーザー走査ユニット5は、それぞれ複数のミラー54に対応する複数のミラー留具56および複数箇所に塗布された接着剤500と、備える。
【0050】
ミラー留具56各々は、ミラー54各々のミラー第1端部54xを第1ミラー支持部501に留める用具である(図3,4参照)。本実施形態において、ミラー留具56各々は金属の部材である。
【0051】
各箇所の接着剤500は、ミラー54各々のミラー第2端部54yを第2ミラー支持部502各々に接着している。本実施形態において、接着剤500は、紫外線硬化接着剤である。
【0052】
ミラー留具56各々は、係合部56x、第1弾性部56yおよび第2弾性部56zを有する(図3参照)。係合部56xは、筐体50に係合することにより、ミラー留具56を筐体50における特定の部位に固定する部分である(図3参照)。
【0053】
第1弾性部56yおよび第2弾性部56zは、それぞれミラー54を筐体50へ弾性付勢する。本実施形態において、第1弾性部56yおよび第2弾性部56zは、それぞれ板バネである。
【0054】
第1ミラー支持部501各々は、ミラー54各々のミラー第1端部54xにおけるミラー特定面の2箇所をそれぞれ支持する(図4参照)。前記ミラー特定面は、ミラー54各々における反射面または前記反射面の反対側の面である。
【0055】
図4に示されるように、第1ミラー支持部501各々は、ミラー第1端部54xの前記ミラー特定面に当接する一対の突起部501aを有する。第1ミラー支持部501各々は、ミラー54各々におけるミラー第1端部54xの第1側面を支持するミラー側面支持部501bをさらに有する(図4参照)。
【0056】
第1ミラー支持部501各々において、係合部56xが筐体50の一部に係合され、第1弾性部56yがミラー第1端部54xを一対の突起部501aへ弾性付勢し、第2弾性部56zがミラー第1端部54xをミラー側面支持部501bへ弾性付勢する(図4参照)。
【0057】
一方、第2ミラー支持部502各々は、一対の仕切面502bと、凹面502cと、を有する(図5,6参照)。さらに第2ミラー支持部502各々は、一対の規制面502aを有する(図5,6参照)。
【0058】
一対の仕切面502bは、ミラー第2端部54yの端面54zに対して間隔を隔てて対向して形成されている。
【0059】
凹面502cは、一対の仕切面502bの間に形成されている。凹面502cは、一対の仕切面502bよりもミラー第2端部54yの端面54zに対して大きな間隔を隔てて対向している。
【0060】
一対の規制面502aは、一対の仕切面502bの配列方向における一対の仕切面502bの外側に形成されている(図5,6参照)。即ち、一対の仕切面502bは、一対の規制面502aの間に形成されている。
【0061】
一対の規制面502aは、一対の仕切面502bよりもミラー第2端部54yの端面54zに対して近い距離で対向している。これにより、一対の規制面502aは、ミラー54の第1方向D1の第2の側D12への移動を制限する。
【0062】
図3に示されるように、第1ミラー支持部501は、ミラー54の第1方向D1の第1の側D11への移動を制限する規制面501cを有する。
【0063】
第1ミラー支持部501の規制面501cと第2ミラー支持部502の一対の規制面502aとの間隔は、筐体50の成形精度およびミラー54各々の寸法精度に応じて設定される。
【0064】
例えば、ミラー第2端部54yの端面54zと一対の規制面502aとの間隔は、1ミリメートル未満である。
【0065】
第2ミラー支持部502各々は、一対のミラー案内面502dをさらに有する(図5,6参照)。一対のミラー案内面502dは、一対の規制面502aから第1方向D1の第2の側D12へ傾斜したテーパ状の面である。
【0066】
ミラー54が規制面501cと一対の規制面502aとの間に挿入されるときに、一対のミラー案内面502dは、ミラー第2端部54yを一対の規制面502aに沿う位置へ案内する。
【0067】
第2ミラー支持部502各々において、接着剤500は、ミラー第2端部54yの端面54zと一対の仕切面502bとの間に充填されている(図5参照)。これにより、接着
剤500は、ミラー第2端部54yの端面54zと一対の仕切面502bとを接着している(図5参照)。
【0068】
第2ミラー支持部502各々において、ミラー第2端部54yの端面54zと凹面502cとの間の領域は、接着剤500を吐出するニードル6aを挿入可能な領域である(図8参照)。
【0069】
ニードル6aの外周面は、円筒状または円錐状である。そのため、凹面502cは、ニードル6aの外周面に沿って湾曲した面である。
【0070】
第2ミラー支持部502各々は、ニードル案内面502eをさらに有する(図5,6参照)。ニードル案内面502eは、凹面502cから内側の開口を拡大する方向へ傾斜したテーパ状の面である。
【0071】
ニードル6aが凹面502cの内側へ挿入されるときに、ニードル6aの移動経路が想定経路から少しずれた場合でも、ニードル案内面502eが、ニードル6aを凹面502cの内側へ案内する。
【0072】
[ミラー取付工程]
次に、図7に示されるフローチャートを参照しつつ、ミラー取付工程の手順の一例について説明する。
【0073】
前記ミラー取付工程は、レーザー走査ユニット5を製造する工程の一部である。前記ミラー取付工程は、レーザー走査ユニット5の製造方法を実現する工程の一例である。
【0074】
図7は、複数のミラー54のうちの1つが筐体50に取り付けられるときの工程を示す。前記ミラー取付工程は、ミラー54各々について実行される。
【0075】
以下の説明において、S1,S2,…は、前記ミラー取付工程における複数の工程の識別符号を表す。
【0076】
<工程S1>
まず、ミラー54が、筐体50における目的位置に配置される。前記目的位置は、第1ミラー支持部501の規制面501cと第2ミラー支持部502の一対の規制面502aとの間の位置である。
【0077】
図8は、工程S1においてミラー54が前記目的位置に配置されたときの第2ミラー支持部502の周辺を示す。
【0078】
例えば、ロボットアームが、ミラー54を把持し、ミラー54を前記目的位置へ配置する。工程S1が実行されることにより、ミラー第1端部54xが第1ミラー支持部501に配置され、ミラー第2端部54yが第2ミラー支持部502に配置される。
【0079】
<工程S2>
次に、前記目的位置に配置されたミラー54におけるミラー第1端部54xが、ミラー留具56によって第1ミラー支持部501に留められる。
【0080】
具体的には、ミラー第1端部54xの前記ミラー特定面が一対の突起部501aに当接する状態でミラー第1端部54xがミラー留具56によって第1ミラー支持部501に留められる(図4参照)。
【0081】
例えば、前記ロボットアームは、ミラー留具56の第1弾性部56yおよび第2弾性部56zをミラー第1端部54xに接触させつつミラー留具56の係合部56xを第1ミラー支持部501の一部に係合させる。これにより、前記ロボットアームは、ミラー第1端部54xをミラー留具56によって第1ミラー支持部501に留める。
【0082】
<工程S3>
ミラー第1端部54xが第1ミラー支持部501に留められた後に、ミラー第2端部54yが目標位置に調整される。
【0083】
前記目標位置は、当該ミラー54で反射した前記レーザー光が、対応する感光体41の表面における目標ラインに入射するときのミラー第2端部54yの位置である。
【0084】
例えば、ミラー54で反射した前記レーザーが前記目標ラインに入射するように、調整治具6bが、ミラー第2端部54yを把持し、ミラー第2端部54yを予め定められた調整方向に沿って移動させる(図9参照)。
【0085】
前記調整方向は、一対の突起部501aの頭頂部を通る直線を中心とする円弧に沿う方向である。前記調整方向は、ミラー54の反射面に概ね直交する方向である。
【0086】
<工程S4>
次に、ミラー第2端部54yが前記目標位置に保持された状態で、ニードル6aがミラー第2端部54yの端面54zと第2ミラー支持部502の凹面502cとの間に挿入される(図9参照)。
【0087】
さらに、ニードル6aから吐出されるゲル状の接着剤500が、ミラー第2端部54yの端面54zと第2ミラー支持部502の一対の仕切面502bとの間に充填される(図9参照)。
【0088】
例えば、前記ロボットアームが、ニードル6aをミラー第2端部54yの端面54zと第2ミラー支持部502の凹面502cとの間に挿入する。
【0089】
接着剤500が充填された後、ニードル6aは、ミラー第2端部54yの端面54zと第2ミラー支持部502の凹面502cとの間から外側へ移動される。
【0090】
ミラー第2端部54yの端面54zと一対の仕切面502bとの間隔は、接着に必要かつ十分な量の接着剤500が充填されるのに適した間隔である。
【0091】
一方、ミラー第2端部54yの端面54zと一対の仕切面502bとの間隔は、ニードル6aの挿入には不十分である。
【0092】
本実施形態において、凹面502cが、ニードル6aの挿入に十分な空間を形成している。
【0093】
なお、ミラー第2端部54yの端面54zと一対の仕切面502bとの間隔が、ニードル6aの挿入に適した間隔に設定された場合、不都合な事態が生じ得る。前記不都合な事態は、接着剤500が流出すること、または、過大な量の接着剤500が必要になることである。
【0094】
<工程S4>
次に、ミラー第2端部54yが前記目標位置に保持された状態で、紫外光がミラー第2端部54yの端面54zと第2ミラー支持部502の一対の仕切面502bとの間に照射される。
【0095】
例えば、前記紫外光が、ミラー54の前記反射面に照射され、前記反射面で反射した前記紫外光が、ミラー第2端部54yの端面54zと第2ミラー支持部502の一対の仕切面502bとの間に照射される。
【0096】
工程S5は、前記接着剤を硬化させる工程の一例である。
【0097】
<工程S6>
前記接着剤が硬化した後に、ミラー第2端部54yの前記目標位置での保持が解除される。
【0098】
例えば、調整治具6bが、ミラー第2端部54yの把持を解除する。
【0099】
工程S1から工程S6が実行されることにより、1つのミラー54が筐体50に高精度かつ強固に取り付けられる。
【符号の説明】
【0100】
4 :プリント装置
5 :レーザー走査ユニット
6a :ニードル
6b :調整治具
10 :画像形成装置
50 :筐体
52 :光走査器
53 :主レンズ
54 :ミラー
54x :ミラー第1端部
54y :ミラー第2端部
54z :端面
55 :副レンズ
56 :ミラー留具
56x :係合部
56y :第1弾性部
56z :第2弾性部
500 :接着剤
501 :第1ミラー支持部
501a :突起部
501b :ミラー側面支持部
501c :規制面
502 :第2ミラー支持部
502a :規制面
502b :仕切面
502c :凹面
502d :ミラー案内面
502e :ニードル案内面
520 :ポリゴンモーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9