(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166955
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】熱電発電システム、熱電発電装置、及び、作動状態提供装置
(51)【国際特許分類】
H10N 10/13 20230101AFI20241122BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H10N10/13
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083400
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100221512
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 誠司
(72)【発明者】
【氏名】内田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博志
(57)【要約】
【課題】 排出されるドレンを利用して発電することができる熱電発電装置を提供する。
【解決手段】本実施形態における熱電発電システム1は、スチームトラップTSから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電装置3を含む。熱電発電装置3は、スチームトラップTSから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニット30と、スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容タンク34とを有する。収容部34は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、
熱電発電ユニット30は、一部が収容タンク34に位置した状態で設けられ、収容タンク34により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電素子を含み、スチームトラップから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニットと、
スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容部と
を有し、
前記収容部は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、
前記熱電発電ユニットは、一部が前記収容部の内部に位置した状態で設けられ、当該収容部により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する
熱電発電システム。
【請求項2】
前記熱電発電ユニットにより発電された電力で、スチームトラップの上流側の配管の表面温度と、下流側の配管の表面温度とを検知する検知部と、
前記熱電発電ユニットにより発電された電力で、前記検知部により検知された検知結果を送信する通信部と
をさらに有する
請求項1に記載の熱電発電システム。
【請求項3】
前記熱電発電ユニットは、
水平方向の長さより鉛直方向の長さが短いユニット本体と、
前記ユニット本体の長手方向に長尺な板状であり、当該ユニット本体の外壁面より外側に突出して設けた誘導部と
を有する
請求項2に記載の熱電発電システム。
【請求項4】
前記誘導部が突出する位置の前記ユニット本体の外壁面は、平らな面であり、
前記ユニット本体の外壁面と前記誘導部の板面との間の角度は、鈍角となっている
請求項3に記載の熱電発電システム。
【請求項5】
前記ユニット本体の長手方向の一方側から他方側に向かって、冷却用の媒体を通す冷却用流路と、
熱電素子を含み、前記ユニット本体の長手方向に複数配置され、当該ユニット本体及び前記冷却用流路に熱的に接触した状態で配置した熱電モジュールと
をさらに有し、
前記熱電モジュールは、前記収容部の内部に位置している
請求項4に記載の熱電発電システム。
【請求項6】
熱電素子を含み、スチームトラップから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニットと、
スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容部
を有し、
前記収容部は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、
前記熱電発電ユニットは、一部が前記収容部の内部に位置した状態で設けられ、当該収容部により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する
熱電発電装置。
【請求項7】
熱電素子を含み、スチームトラップから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニットと、
スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容部
を有し、
前記収容部は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、
前記熱電発電ユニットは、一部が前記収容部の内部に位置した状態で設けられ、当該収容部により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する
作動状態提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電システム、熱電発電装置、及び、作動状態提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、熱利用設備に蒸気を供給するために設置された第1 蒸気発生手段が発生させた蒸気の供給路から分岐する分岐路と、前記分岐路より供給された蒸気の熱を電力に変換する第1 熱電変換素子と、前記熱利用設備より排出されたドレンから蒸気を発生させる第2 蒸気発生手段と、前記第2 蒸気発生手段が発生させた蒸気の熱を電力に変換する第2 熱電変換素子と、前記第1 熱電変換素子へ供給される蒸気の圧力または温度を調整する第1 蒸気調整手段と、前記第2 熱電変換素子へ供給される蒸気の圧力または温度を調整する第2 蒸気調整手段と、前記第1 熱電変換素子および前記第2 熱電変換素子によってそれぞれ変換された電力の値を計測する電力計測手段と、前記電力計測手段が計測した電力の値を基に前記第1 蒸気調整手段および前記第2 蒸気調整手段による蒸気の圧力または温度の調整を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする熱電変換装置が開示されている。
また、特許文献2には、プロセスシステム構成機器の振動を検出するプロセスシステム構成機器作動状態提供装置であって、前記プロセスシステム構成機器作動状態提供装置は、前記作動状態情報を取得する作動状態情報取得手段、前記作動状態情報を外部に提供する作動状態情報提供手段、前記作動状態情報取得手段と前記作動状態提供手段との間に形成される熱電発電手段、を有するプロセスシステム構成機器作動状態提供装置であって、前記熱電発電手段は、外部に熱を放熱する放熱手段、温度差によって発電する熱電変換素子、を有するプロセスシステム構成機器作動状態提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-211764号公報
【特許文献2】特開2016-5376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、排出されるドレンを利用して発電することができる熱電発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る熱電発電システムは、熱電素子を含み、スチームトラップから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニットと、スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容部とを有し、前記収容部は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、前記熱電発電ユニットは、一部が前記収容部の内部に位置した状態で設けられ、当該収容部により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する。
【0006】
好適には、前記熱電発電ユニットにより発電された電力で、スチームトラップの上流側の配管の表面温度と、下流側の配管の表面温度とを検知する検知部と、前記熱電発電ユニットにより発電された電力で、前記検知部により検知された検知結果を送信する通信部とをさらに有する。
【0007】
好適には、前記熱電発電ユニットは、水平方向の長さより鉛直方向の長さが短いユニット本体と、前記ユニット本体の長手方向に長尺な板状であり、当該ユニット本体の外壁面より外側に突出して設けた誘導部とを有する。
【0008】
好適には、前記誘導部が突出する位置の前記ユニット本体の外壁面は、平らな面であり、前記ユニット本体の外壁面と前記誘導部の板面との間の角度は、鈍角となっている。
【0009】
好適には、前記ユニット本体の長手方向の一方側から他方側に向かって、冷却用の媒体を通す冷却用流路と、熱電素子を含み、前記ユニット本体の長手方向に複数配置され、当該ユニット本体及び前記冷却用流路に熱的に接触した状態で配置した熱電モジュールとをさらに有し、前記熱電モジュールは、前記収容部の内部に位置している。
【0010】
また、本発明に係る熱電発電装置は、熱電素子を含み、スチームトラップから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニットと、スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容部を有し、前記収容部は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、前記熱電発電ユニットは、一部が前記収容部の内部に位置した状態で設けられ、当該収容部により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する。
【0011】
また、本発明に係る作動状態提供装置は、熱電素子を含み、スチームトラップから排出されたドレンを利用して発電する熱電発電ユニットと、スチームトラップから排出されたドレンを収容する収容部を有し、前記収容部は、液体と気体とを含むドレンを収容し、収容したドレンを液体と気体とに分離し、前記熱電発電ユニットは、一部が前記収容部の内部に位置した状態で設けられ、当該収容部により分離したドレンのうち気体の熱を利用して発電する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排出されるドレンを利用して発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態における熱電発電システム1を例示する図である。
【
図2】本実施形態における熱電発電装置3の詳細な構成を説明する図である。
【
図3】
図2における熱電発電ユニット30の構成を例示する図である。
【
図4】熱電発電ユニット30を例示する断面図である。
【
図5】管理サーバ2のハードウェア構成を例示する図である。
【
図6】発電時における熱電発電装置3の内部状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
例えば、蒸気を使用する病院、宿泊施設、工場等において、所定の場所に高温の蒸気を供給するための配管(蒸気供給配管)が設置される。そして、蒸気供給配管の途中には、所定の間隔でスチームトラップが設けられる。スチームトラップは、蒸気供給途中において、蒸気供給配管からの放熱による蒸気の温度低下で、飽和蒸気の一部が復水した凝縮水であるドレンを蒸気供給配管外に排出する。とりわけ、冬場等外気温が低い環境下である場合には蒸気供給配管内にドレンが大量に残留してしまう。ドレンが大量に残留しまうと蒸気を送る効率が悪くなるため、残留したドレンを定期的に、蒸気供給配管外に排出する必要がある。もちろん、蒸気を使用して加熱等を行う生産設備にもスチームトラップが設けられる。生産設備で蒸気を利用するとドレンが発生するため、発生したドレンを生産機器の外部に効率的に排出し、蒸気を効率的に利用するためにもスチームトラップが正常に稼働する必要がある。そのため、スチームトラップが故障しないよう、定期的に作動状態を確認し、必要に応じてメンテナンスする必要がある。また、スチームトラップにより蒸気供給配管外に排出されるドレンは、廃棄されるだけであり、再利用が求められている。
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、排出されるドレンを利用して発電すると共に、その発電した電力でスチームトラップの作動状態に関連する情報を取得することが可能である。以下、このような本発明の実施形態による熱電発電システム1を図面を参照して説明する。
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
図1は、本実施形態における熱電発電システム1を例示する図である。
図1に例示するように、本実施形態における熱電発電システム1は、配管を介して、蒸気を使用する生産設備(以下、生産設備)と接続している。熱電発電システム1は、生産設備で発生したドレンを受け入れ利用する。
生産設備は、例えば、蒸気供給配管、ドレンポケットDP、及びスチームトラップSTを含む。蒸気供給配管、ドレンポケットDP、及びスチームトラップSTは、配管を介して互いに接続される。
蒸気供給配管は、例えば、上流側の第1工場から下流側の第2工場に対して、蒸気を供給するため配管である。
ドレンポケットDPは、蒸気供給配管に所定の間隔で設けられ、蒸気と共に流れるドレンを集める部分である。
スチームトラップSTは、蒸気供給配管内を流れる蒸気から復水したドレンや空気を蒸気供給配管の管外に排出する機器である。本例のスチームトラップSTは、上流側においてドレン誘導管を介してドレンポケットDPと接続し、下流側において、ドレン排出管を介して熱電発電システム1と接続している。スチームトラップSTは、バケット式やフリーフロート式、フリーボールバケット式、又はポンプ機能内蔵式である。スチームトラップSTは、ドレンを熱電発電システム1の熱電発電装置3内に排出する。
【0016】
熱電発電システム1は、管理サーバ2と、熱電発電装置3と、温度センサ5と、ネットワーク7とを有する。
管理サーバ2は、スチームトラップSTの作動状態を管理する管理装置である。本例の管理サーバ2は、コンピュータ端末であり、熱電発電装置3から送信された、スチームトラップSTが接続する上流側の配管(ドレン誘導管)の表面温度と、下流側の配管(ドレン排出管)の表面温度との温度差に基づいて、スチームトラップSTの作動状態を管理する。
【0017】
熱電発電装置3は、ドレンの熱を利用して発電する発電装置である。また、熱電発電装置3は、ドレンの熱を利用して発電した電力で、後述する温度センサ5によりスチームトラップSTが接続する上流側の配管の表面温度と、下流側の配管の表面温度の検知結果を管理サーバ2に送信する。熱電発電装置3は、発電装置として機能すると共に、スチームトラップSTの作動状態に関連する情報(配管の表面温度)を管理サーバ2に提供する作動状態提供装置として機能する。また熱電発電装置3は、屋外に設置する観点から、防塵性、及び、防水性のある密閉構造をした筐体となっている。
【0018】
温度センサ5は、ドレンの熱を利用して発電した電力で、温度を測定する温度センサであり、スチームトラップSTを設置する前後の配管の表面温度を測定する。温度センサ5は、スチームトラップSTが接続する上流側の配管に設置された第1温度センサ50と、スチームトラップSTが接続すする下流側の配管に設置された第2温度センサ52とを含む。
【0019】
ネットワーク7は、有線又は無線で、管理サーバ2と熱電発電装置3とで情報通信可能に接続する通信網である。例えば、ネットワーク7は、省電力広域無線通信(LPWA:Low Power Wide Area)という無線通信規格を利用する長距離広域ネットワーク(LoRaWAN:Long Range Wide Area Network)であってもよい。
【0020】
図2は、本実施形態における熱電発電装置3の詳細な構成を説明する図である。
図2に例示するように、熱電発電装置3は、熱電発電ユニット30と、温度測定ユニット32と、収容タンク34とを含む。
熱電発電ユニット30は、本発明に係る熱電発電ユニットの一例であり、スチームトラップSTから排出されたドレンの熱を利用して発電する発電装置であり、一部が収容タンク34の内部に位置するよう設置される。本例の熱電発電ユニット30は、水平方向の長さより鉛直方向の長さが短い、略直方体の形状であり、収容タンク34を貫通して、中央が収容タンク34内に位置した状態で設けられる。なお、熱電発電ユニット30の詳細な構成は後述する。
【0021】
温度測定ユニット32は、検知部320と、送信部324とを含む。温度測定ユニット32は、スチームトラップSTの作動状態に関連する情報を検知し、検知した情報を管理サーバ2に送信する。
検知部320は、本発明に検知部の一例であり、熱電発電ユニット30によりドレンの熱を利用して発電された電力で、スチームトラップSTが接続する上流側の配管の表面温度と、下流側の配管の表面温度とを検知する。具体的には、検知部320は、上流側に位置するドレン誘導管の表面温度を第1温度センサ50で検知し、下流側に位置するドレン排出管の表面温度を第2温度センサ52で検知する。
送信部324は、本発明に通信部の一例であり、熱電発電ユニット30によりドレンの熱を利用して発電された電力で、検知部320により検知された検知結果を管理サーバ2に送信する。具体的には、送信部324は、ドレン誘導管の表面温度とドレン排出管の表面温度とを管理サーバ2に送信する。例えば、検知部320は、省電力長距離通信(LPWA)という無線通信規格のうち、LoRa(Long Range)という、周波数920MHz帯の周波数変調方式を利用して検知結果を管理サーバ2に送信してもよい。
【0022】
収容タンク34は、本発明に係る収容部の一例であり、スチームトラップSTから排出されたドレンを、蒸気供給配管の圧力より低い圧力で収容する容器である。収容タンク34は、傾斜底部340、及び廃棄用配管342を含む。
傾斜底部340は、収容タンク34内にあるドレンを外に廃棄する廃棄口に対して、収容タンク34の底面を下り傾斜させた底面である。本例の傾斜底部340は、収容タンク34の底にドレンを廃棄する廃棄口が設けられ、設けられた廃棄口に対して収容タンク34の底面を下り傾斜させている。
廃棄用配管342は、収容タンク34の内部から外部に、ドレンを廃棄するための配管である。本例の廃棄用配管342は、一方を収容タンク34の底にある廃棄口に接続され、他方を排水桝に配置される。
【0023】
次に、熱電発電ユニット30の詳細な構成を説明する。
図3は、
図2における熱電発電ユニット30の構成を例示する図である。
図4は、熱電発電ユニット30を例示する断面図である。
図3及び
図4に例示するように、熱電発電ユニット30は、ユニット本体300と、誘導部308とを有する。
ユニット本体300は、収容タンク34内にあるドレンからフラッシュ蒸発した水蒸気の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電ユニットである。ユニット本体300は、略直方体の形状であり、水平方向の長さより鉛直方向の長さが短い。具体的には、ユニット本体300は、ユニット本体300の短手方向を鉛直方向に向けて配置し、ユニット本体5の長手方向を水平方向に向けて配置している。また、ユニット本体300は、筐体302と、冷却用流路304と、熱電モジュール306とを含む。
【0024】
筐体302は、後述する冷却用流路304の外側に配置され、冷却用流路304の外側の一部を覆うよう構成されたユニット本体300の外装である。筐体302は、金属板で構成され、アルミニウム製、ステンレス製、炭素鉄鋼製又は銅製の板材を組み合わせてなる。筐体302は、加工性の良い材料であれば、アルミニウム製、又はステンレス製が好ましい。さらには、耐腐食性がよいステンレス製がより望ましい。また、筐体302は、略直方体の形状であり、水平方向の長さより鉛直方向の長さが短い。具体的には、筐体302は、筐体10の短手方向を鉛直方向に向けて配置し、筐体302の長手方向を水平方向に向けて配置している。後述する誘導部308が突出する位置のユニット本体300の筐体302の外壁面は、平らな面となっている。
【0025】
冷却用流路304は、ユニット本体300の長手方向の一方側から他方側に向かって、冷却用の媒体を通す管材である。ここで、冷却用の媒体は、液体でも気体でもよく、液体の場合は冷却水(水)であり、気体の場合は空気である。なお、本例の冷却用の媒体は、液体の冷却水である。冷却用流路304は、後述する熱電モジュール306を冷却する。冷却用流路304は、アルミニウム製、ステンレス製、炭素鉄鋼製又は銅製のパイプ材であり、その両端を閉扉すると共に、一方側の端部に冷却水注入口と、他方側の端部に冷却水排出口とを設けている。冷却用流路304は、加工性の良い材料であれば、アルミニウム製、又はステンレス製が好ましい。冷却用流路304は、ユニット本体5の長手方向において、筐体302を貫通して設けられ、筐体302の外側に両端(冷却水注入口及び冷却水排出口)が位置している。
【0026】
熱電モジュール306は、熱及び電気エネルギーを相互に変換する熱電素子を複数配列し、配列した熱電素子を電気的に接続したモジュールである。熱電モジュール306は、温度差を利用した発電を可能とする熱電素子を含むモジュールであれば、ビスマス・テルル系(Bi-Te系)、鉛・テルル系(Pb-Te系)、マグネシウム系(Mg-Si系、Mg-Si-Sn系、Mg-Ag-Sb系)、シリサイド系(Mn-Si、Fe-Si)、又は、シリコン・ゲルマニウム系(Si-Ge系)の熱電素子であってもよい。
また
図4に例示したように、熱電モジュール306は、筐体302と冷却用流路304との間に位置し、筐体302と管材冷却用流路304とに熱的に接触した状態で配置される。具体的には、熱電モジュール306は、熱電モジュール306の一方の面を筐体302に接触させ、熱電モジュール306の他方の面を冷却用流路304に接触させた状態で配置される。熱電モジュール306は、冷却用流路304と接触する面が低温側となり、筐体10の内壁面と接触する面が高温側となることで発電する。
また、熱電モジュール306は、熱伝導部材を介して、筐体302及び冷却用流路304に接触した状態となっている。熱伝導部材は、熱伝導率が高い材料であり、例えば熱伝導グリース、熱伝導接着材、液体金属系、又は、熱伝導シートであってもよい。熱伝導シートである場合、無機炭素を主成分とするもの、又は、高分子材料を主成分とするものがよい。熱伝導部材は、熱電モジュール306と冷却用流路304との間、及び熱電モジュール306と筐体302との間に位置し、その隙間を埋めることができる。
また、熱電モジュール306は、ユニット本体5の長手方向において、互いに等間隔を開けて複数配置しており、本例の熱電モジュール306は、熱電発電ユニットのうち、収容部34の内部となる位置にて、3~5個を配置している。
【0027】
誘導部308は、ユニット本体300の長手方向に長尺な板状であり、ユニット本体300の筐体302における外壁面302Aより外側に突出して設けた部材である。誘導部308は、基端をユニット本体300の短手方向下方、すなわち筐体302の短手方向下方に接続され、先端を外壁面302Aより外側に突出して設けている。さらに誘導部308は、誘導部308は、板面308Aと筐体302の外壁面302Aとが連続するよう設けている。
また、誘導部308は、ユニット本体300の筐体302における外壁面302Aと、誘導部308の板面308Aとの間の角度Xが鈍角となるよう設けられる。外壁面302Aと板面308Aとの間の角度Xは、例えば140度以上160度以下の角度であり、本例では150度である。すなわち、外壁面302Aと板面308Aとの間の角度Xは、蒸気を凝縮した凝縮水が外壁面310Aから誘導部308の板面308Aにスムーズに移動できる角度である。これにより、筐体302の外壁面302Aから凝縮水を素早く移動させることができると共に、筐体302のつなぎ目等に凝縮水が溜まらないようにすることができる。
【0028】
次に、管理サーバ2の詳細な構成を説明する。
図5は、管理サーバ2のハードウェア構成を例示する図である。
図5に例示するように、管理サーバ2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び、入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラムやその他のデータファイル(例えば、過去の上流側の配管の表面温度や下流側の配管の表面温度)を格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、通信ユニット37との通信を実現する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0029】
次に、ドレンを収容したときにおける熱電発電装置3の内部状態を説明する。
図6は、発電時における熱電発電装置3の内部状態を説明する図である。
図6に例示するように、スチームトラップSTから排出された高温のドレンは、液体であり、一部がフラッシュ蒸発することで気体(水蒸気)となる。すなわち、スチームトラップSTから排出されたドレンは、液体と気体とを含む気液混合の状態となっている。この気液混合の状態のドレンは、収容タンク34に収容されることで、液体状のドレンと、気体状のドレンとに分離する。すなわち、収容タンク34は、ドレンを液体と気体に分離した状態で収容する。
収容された液体状のドレンは、収容タンク34の傾斜底部340に溜まり、廃棄用配管342を経由して排水桝に排出される。
また、収容された気体状のドレンは、収容タンク34内を上昇し、熱電発電ユニット30に熱を供給する。熱を供給された熱電発電ユニット30は、気体状のドレンの熱を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換(熱電発電)する。熱を供給した液体状のドレンは、復水し濃縮水となり降下して、液体状のドレンとなって傾斜底部340に溜まり、廃棄用配管342を経由して排水桝に排出される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態における熱電発電システム1によれば、水蒸気を利用する既存設備から排出されるドレンを利用して発電するため、エネルギーを有効に活用することができる。さらに、発電した電力でスチームトラップの作動状態に関する情報を取得できるため、現場に出向くことなく、遠隔地であっても作動状態を把握することができる。
また、熱電発電システム1によれば、熱電発電ユニット300と収容タンク34とを一体とすることにより、スチームトラップから排出された気液混合状態のドレンを、収容タンク34内で気液分離して、気体のドレンのみを利用して発電することができるため、別途、調整弁やバルブ等の機器の必要がないため、経済的である。
【符号の説明】
【0031】
1…熱電発電システム
2…管理サーバ
3…熱電発電装置
5…温度センサ
7…ネットワーク
30…熱電発電ユニット
300…ユニット本体
302…筐体
304…冷却用流路
306…熱電モジュール
308…誘導部
32…温度測定ユニット
34…収容タンク
340…傾斜底部
342…廃棄用配管
5…温度センサ
50…第1温度センサ
52…第2温度センサ
7…ネットワーク