(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166958
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】稼働状況管理装置、稼働状況管理システム、プログラム及び稼働状況管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/13 20060101AFI20241122BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241122BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241122BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241122BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241122BHJP
【FI】
G08G1/13
G01C21/26 B
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083405
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亜耶
(72)【発明者】
【氏名】原田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】丹保 建哉
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB26
2F129CC16
2F129CC19
2F129DD15
2F129DD39
2F129EE02
2F129EE26
2F129EE36
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF57
2F129FF71
2F129HH12
5H181AA07
5H181BB03
5H181BB05
5H181BB08
5H181FF03
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181MB01
(57)【要約】
【課題】シャーシの利用可否及び整備要否を管理できる稼働状況管理装置、稼働状況管理システム、プログラム及び稼働状況管理方法が提供される。
【解決手段】稼働状況管理装置(10)は、牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシ(20)の稼働状況を管理する稼働状況管理装置であって、シャーシの位置情報と、地図情報と、を取得する取得部(131)と、位置情報に基づいてシャーシの移動中及び停止中を含む稼働状況を判定する判定部(132)と、シャーシの位置及び判定された稼働状況が地図上に示される表示情報を生成する表示情報生成部(133)と、表示情報を出力する出力部(134)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシの稼働状況を管理する稼働状況管理装置であって、
前記シャーシの前記位置情報と、地図情報と、を取得する取得部と、
前記位置情報に基づいて前記シャーシの移動中及び停止中を含む前記稼働状況を判定する判定部と、
前記シャーシの位置及び判定された前記稼働状況が地図上に示される表示情報を生成する表示情報生成部と、
前記表示情報を出力する出力部と、を備える、稼働状況管理装置。
【請求項2】
前記表示情報生成部は、停止中と判定された前記シャーシのみの位置が地図上に示される前記表示情報を生成する、請求項1に記載の稼働状況管理装置。
【請求項3】
前記表示情報生成部は、前記シャーシの表示態様が停止期間に応じて異なるように前記表示情報を生成する、請求項2に記載の稼働状況管理装置。
【請求項4】
前記表示情報生成部は、前記シャーシが停止してから第1期間の後及び前記第1期間より長い第2期間の後の少なくとも1つのタイミングで、停止中の表示が地図上に示されるように、前記表示情報を生成する、請求項1又は2に記載の稼働状況管理装置。
【請求項5】
前記表示情報生成部は、前記シャーシの移動開始時及び前記移動開始時から第3期間の後の少なくとも1つのタイミングで、移動中の表示が地図上に示されるように、前記表示情報を生成する、請求項1に記載の稼働状況管理装置。
【請求項6】
前記表示情報生成部は、前記シャーシの前記位置情報の履歴に基づいて所定期間の走行距離を算出し、前記所定期間の走行距離が地図上に示される前記表示情報を生成する、請求項1又は2に記載の稼働状況管理装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の稼働状況管理装置と、
前記車載通信部と、を備え、
前記車載通信部は、
前記シャーシに取り付けられたGPS受信機が出力した座標情報を含む前記位置情報を送信し、
前記シャーシの動きを検出するセンサからの検出信号を取得し、
前記GPS受信機及び前記センサとともにバッテリーで駆動され、
前記検出信号に基づいて前記シャーシの動きに応じて前記位置情報を送信するタイミングを調整する、稼働状況管理システム。
【請求項8】
牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシの稼働状況を管理する稼働状況管理装置に、
前記シャーシの前記位置情報と、地図情報と、を取得することと、
前記位置情報に基づいて前記シャーシの移動中及び停止中を含む前記稼働状況を判定することと、
前記シャーシの位置及び判定された前記稼働状況が地図上に示される表示情報を生成することと、
前記表示情報を出力することと、を実行させる、プログラム。
【請求項9】
牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシの稼働状況を管理する稼働状況管理方法であって、
前記シャーシの前記位置情報と、地図情報と、を取得することと、
前記位置情報に基づいて前記シャーシの移動中及び停止中を含む前記稼働状況を判定することと、
前記シャーシの位置及び判定された前記稼働状況が地図上に示される表示情報を生成することと、
前記表示情報を出力することと、を含む、稼働状況管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、稼働状況管理装置、稼働状況管理システム、プログラム及び稼働状況管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナの輸送において、自走できない台車であるシャーシ(トレーラ)が使用されている。シャーシは、動力を有する牽引車(例えばトラクターヘッド)に連結されて使用される。シャーシの上に搬送物を収納するコンテナが搭載されて、牽引車に連結されて輸送が行われる。コンテナが目的地まで輸送されると、シャーシは牽引車から切り離されて、次の輸送で使用されるまで待機場所に残されることがある。
【0003】
ここで、牽引車などの車両では、車両に搭載された運行記録計などから情報を取得する運行管理システムなどによって、車両位置が管理されることが多い。一方、シャーシは、電源供給装置を備えないこともあり、位置の管理が行われないことが多い。そのため、シャーシの紛失などが発生することがある。この問題に対して、特許文献1のシャーシ用位置管理システムでは、GPS(Global Positioning System)受信機、送信手段及びバッテリーを収容する防水性の収容ケースをシャーシに取り付ける。そして、送信手段が送信する位置情報に基づいてシャーシの現在位置が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、シャーシについて、紛失を防止するだけでなく、利用可否及び整備要否についても管理できるシステムが求められている。シャーシが利用できるか、整備が必要かを判断するために、シャーシの稼働状況を把握する必要がある。しかし、特許文献1のシステムは現在位置を地図上に表示するだけであって、シャーシの稼働状況を示すものでない。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、シャーシの利用可否及び整備要否を管理できる稼働状況管理装置、稼働状況管理システム、プログラム及び稼働状況管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の一実施形態に係る稼働状況管理装置は、
牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシの稼働状況を管理する稼働状況管理装置であって、
前記シャーシの前記位置情報と、地図情報と、を取得する取得部と、
前記位置情報に基づいて前記シャーシの移動中及び停止中を含む前記稼働状況を判定する判定部と、
前記シャーシの位置及び判定された前記稼働状況が地図上に示される表示情報を生成する表示情報生成部と、
前記表示情報を出力する出力部と、を備える。
この構成により、ユーザは、シャーシの稼働状況を容易に把握でき、シャーシの利用可否及び整備要否を管理できる。
【0008】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記表示情報生成部は、停止中と判定された前記シャーシのみの位置が地図上に示される前記表示情報を生成する。
この構成により、ユーザは、利用可能なシャーシを容易に把握することができる。
【0009】
(3)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記表示情報生成部は、前記シャーシの表示態様が停止期間に応じて異なるように前記表示情報を生成する。
この構成により、ユーザは、整備が必要なシャーシを容易に判別することができる。
【0010】
(4)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記表示情報生成部は、前記シャーシが停止してから第1期間の後及び前記第1期間より長い第2期間の後の少なくとも1つのタイミングで、停止中の表示が地図上に示されるように、前記表示情報を生成する。
この構成により、ユーザは、シャーシの稼働状況を適切なタイミングで把握することができる。
【0011】
(5)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記表示情報生成部は、前記シャーシの移動開始時及び前記移動開始時から第3期間の後の少なくとも1つのタイミングで、移動中の表示が地図上に示されるように、前記表示情報を生成する。
この構成により、ユーザは、シャーシの稼働状況を適切なタイミングで把握することができる。
【0012】
(6)本開示の一実施形態として、(1)から(5)のいずれかにおいて、
前記表示情報生成部は、前記シャーシの前記位置情報の履歴に基づいて所定期間の走行距離を算出し、前記所定期間の走行距離が地図上に示される前記表示情報を生成する。
この構成により、ユーザは、計画的にシャーシを整備することができる。
【0013】
(7)本開示の一実施形態に係る稼働状況管理システムは、
(1)から(6)のいずれかの稼働状況管理装置と、
前記車載通信部と、を備え、
前記車載通信部は、
前記シャーシに取り付けられたGPS受信機が出力した座標情報を含む前記位置情報を送信し、
前記シャーシの動きを検出するセンサからの検出信号を取得し、
前記GPS受信機及び前記センサとともにバッテリーで駆動され、
前記検出信号に基づいて前記シャーシの動きに応じて前記位置情報を送信するタイミングを調整する。
この構成により、バッテリーの電力消費が低減されて、車載通信部は長期間の位置情報の送信が可能になる。
【0014】
(8)本開示の一実施形態に係るプログラムは、
牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシの稼働状況を管理する稼働状況管理装置に、
前記シャーシの前記位置情報と、地図情報と、を取得することと、
前記位置情報に基づいて前記シャーシの移動中及び停止中を含む前記稼働状況を判定することと、
前記シャーシの位置及び判定された前記稼働状況が地図上に示される表示情報を生成することと、
前記表示情報を出力することと、を実行させる。
この構成により、ユーザは、シャーシの稼働状況を容易に把握でき、シャーシの利用可否及び整備要否を管理できる。
【0015】
(9)本開示の一実施形態に係る稼働状況管理方法は、
牽引車と連結可能であり、位置情報を送信する車載通信部を備えるシャーシの稼働状況を管理する稼働状況管理方法であって、
前記シャーシの前記位置情報と、地図情報と、を取得することと、
前記位置情報に基づいて前記シャーシの移動中及び停止中を含む前記稼働状況を判定することと、
前記シャーシの位置及び判定された前記稼働状況が地図上に示される表示情報を生成することと、
前記表示情報を出力することと、を含む。
この構成により、ユーザは、シャーシの稼働状況を容易に把握でき、シャーシの利用可否及び整備要否を管理できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、シャーシの利用可否及び整備要否を管理できる稼働状況管理装置、稼働状況管理システム、プログラム及び稼働状況管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る稼働状況管理装置を含む稼働状況管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の稼働状況管理システムの構成例を示す別の図である。
【
図3】
図3は、表示情報を説明するための図である。
【
図4】
図4は、稼働状況管理装置が実行する稼働状況管理方法の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る稼働状況管理装置10(
図1参照)、稼働状況管理システム1(
図1参照)、プログラム及び稼働状況管理方法が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0019】
図1及び
図2は、稼働状況管理システム1の構成例を示す図である。稼働状況管理システム1は、稼働状況管理装置10を含む。
図1は稼働状況管理装置10の内部構成例を含むブロック図である。
図2は稼働状況管理システム1の全体構成を示す。
【0020】
稼働状況管理装置10はシャーシ20の稼働状況を管理する。稼働状況は、移動中及び停止中といったシャーシ20の使用に関する状況を含む。また、稼働状況は、シャーシ20の停止期間及び所定期間の(例えば前回整備からの)走行距離などをさらに含んでよい。稼働状況管理装置10は、稼働状況の管理に関連して、シャーシ20の位置も管理する。
【0021】
稼働状況管理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。制御部13は、取得部131と、判定部132と、表示情報生成部133と、出力部134と、を備える。稼働状況管理装置10は、ハードウェア構成として、例えばコンピュータであってよい。稼働状況管理装置10の構成要素の詳細については後述する。
【0022】
稼働状況管理装置10は、ネットワーク40で接続されるシャーシ20に搭載される装置(データ収集部70及び車載通信部80)の少なくとも1つとともに、稼働状況管理システム1を構成してよい。ネットワーク40は例えばインターネットである。また、ネットワーク40は、例えば一部においてLAN(Local Area Network)を含んで構成されてよい。また、省電力化の観点から、ネットワーク40は、例えば一部においてLPWA(Low Power Wide Area-network)を含んで構成されてよい。ここで、稼働状況管理システム1は、さらにユーザが表示情報を見ることができる表示装置50を含んで構成されてよい。ユーザは例えばシャーシ20の管理者であってよい。表示装置50は、ユーザが使用するスマートフォン又はタブレット端末などのコンピュータ装置のディスプレイであってよいが、特定の種類に限定されない。本実施形態において、表示装置50は、ユーザが使用するタブレット端末のタッチパネルディスプレイであるとする。ユーザはタッチパネルディスプレイに触れることによって稼働状況管理装置10に対して指示(入力)も可能である。また、別の例として、表示装置50はコンピュータである稼働状況管理装置10に接続されるLCD(Liquid Crystal Display)であってよい。また、稼働状況管理システム1は、さらにネットワーク40で接続される情報提供装置を備えて構成されてよい。情報提供装置は、例えば地図情報などを提供するコンピュータであってよい。
【0023】
ここで、シャーシ20は、牽引車と連結可能であって、車両の一部として機能するタイヤを備える台車である。牽引車は例えばトラクターヘッドである。
図2に示すように、シャーシ20の上に搬送物を収納するコンテナが搭載されて、牽引車に連結されて輸送が行われる。コンテナが目的地まで輸送されると、シャーシ20は牽引車から切り離されて、次の輸送で使用されるまで待機場所に残されて、停止中の状態となることがある。また、シャーシ20はコンテナを搭載した状態で船によって運ばれて、ある港から別の港まで移動することもある。この場合に、移動先で別の牽引車に連結されて目的地まで移動することがある。このように、シャーシ20は広範囲を移動するが、牽引車と違って電源供給装置(例えば鉛蓄電池)を備えない。そのため、運行記録計などの装置を備えることが困難である。
【0024】
本実施形態において、シャーシ20はデータ収集部70及び車載通信部80を備える。ここで、シャーシ20は自走できないが、
図2に示すように牽引車と連結されて車両の一部として機能する。そのため、シャーシ20に搭載される装置についても「車載」の言葉を用いることがある。
【0025】
データ収集部70は、シャーシ20の位置及び走行に関するデータを収集して車載通信部80に出力する。本実施形態において、データ収集部70はGPS受信機及びシャーシ20の動きを検出するセンサを含む。シャーシ20の動きを検出するセンサは、例えば加速度センサ又は速度センサであってよい。また、GPS受信機及びセンサはシャーシ20に取り付けられている。GPS受信機は座標情報を含むシャーシ20の位置情報を出力する。センサはシャーシ20の動きを示す検出信号を出力する。例えばセンサが速度センサである場合に、検出信号はシャーシ20の移動速度を示し、ゼロであればシャーシ20が停止しており、ゼロでなければシャーシ20が移動している。
【0026】
車載通信部80は、GPS受信機が出力した座標情報を含むシャーシ20の位置情報を送信する。また、車載通信部80はシャーシ20に取り付けられている。車載通信部80は例えば無線通信モジュールで構成されてよいが、特定の装置に限定されない。ただし、省電力化の観点から、車載通信部80はLPWAに対応する無線通信モジュールで構成されることが好ましい。本実施形態において、車載通信部80は、ネットワーク40を介して、稼働状況管理装置10と通信可能であるように構成される。稼働状況管理装置10に出力されたシャーシ20の位置情報は記憶部12に蓄積される。ここで、
図1及び
図2において重複して図示することを回避するため、シャーシ20が1つだけ示されているが、稼働状況管理装置10は複数のシャーシ20から位置情報を受け取る。本実施形態において、稼働状況管理装置10の記憶部12は、複数のシャーシ20の位置情報を、シャーシ20のそれぞれを表す識別子と関連付けて、時系列データとして蓄積する。ここで、シャーシ20のそれぞれを表す識別子は、本実施形態において個体識別番号が用いられる。例えば車載通信部80は、取り付けられているシャーシ20の個体識別番号を記憶しており、位置情報及び個体識別番号を送信してよい。また、例えば車載通信部80は、車載通信部80に固有の識別子とともに位置情報を送信してよい。この場合に、稼働状況管理装置10が、車載通信部80の識別子とシャーシ20の個体識別番号との対応を記憶しており、記憶部12に蓄積する際にシャーシ20の個体識別番号と位置情報とを対応付けてよい。ここで、シャーシ20の個体識別番号は検索に利用されてよい。例えば稼働状況管理装置10は、ユーザによるシャーシ20の個体識別番号の選択又は入力に基づいて、シャーシ20の位置情報を出力又は表示してよい。
【0027】
上記のように、シャーシ20は、牽引車と違って電源供給装置を備えない。そのため、車載通信部80は、GPS受信機及びセンサとともにバッテリーで駆動される。バッテリーは、シャーシ20に取り付けられており、例えば二次電池であってよいが、本実施形態において一次電池である。牽引車は例えば数秒毎に位置情報を送信することが多い。車載通信部80は、バッテリーの電力消費を抑えるために、例えば数分毎又はそれより長い間隔で位置情報を送信する。本実施形態において車載通信部80は、さらにバッテリーの電力消費を抑えるために、シャーシ20の動きに応じて位置情報を送信するタイミングを調整する。シャーシ20の動きは、センサの検出信号に基づいて判定される。車載通信部80は、シャーシ20が停止している場合に、位置情報に変化がないため、送信頻度を大きく減らしてよい。例えば車載通信部80は、シャーシ20が停止してから第1期間の後及び第2期間の後の少なくとも1つのタイミングで、位置情報を送信してよい。ここで、第1期間は例えば5分から10分であってよい。また、第2期間は第1期間より長い期間であって例えば1日から数日であってよい。車載通信部80は、シャーシ20が移動している場合に、停止中よりも送信頻度を増やしてよい。例えば車載通信部80は、シャーシ20の移動開始時及び移動開始時から第3期間の後の少なくとも1つのタイミングで、位置情報を送信してよい。ここで、第3期間は少なくとも第2期間より短い期間であって、例えば1時間から数時間であってよい。位置情報を送信するタイミングを調整することによって、バッテリーの電力消費が低減されて、車載通信部80は長期間(例えば数年)の位置情報の送信が可能になる。ここで車載通信部80は、定期通信として、少なくとも上記の第2期間毎に位置情報を送信してよい。定期通信が行われることによって、稼働状況管理装置10が誤ってシャーシ20が紛失した又は送信不能となったと判定することを回避することができる。また車載通信部80は、好ましくは位置情報の送信時に、バッテリー残量に関するデータも送信してよい。稼働状況管理装置10は、シャーシ20の個体識別番号とバッテリー残量に関するデータとを対応付けて、記憶部12に蓄積してよい。また、稼働状況管理装置10は、バッテリー残量に関するデータに基づいて、残量が少ないことのアラートを出力してよい。
【0028】
以下、稼働状況管理装置10の構成要素の詳細が説明される。通信部11は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信モジュールを含んで構成される。通信部11は、例えば4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。通信部11は、例えば無線又は有線のLAN規格に対応する通信モジュールを含んでよい。
【0029】
記憶部12は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部12は、例えば稼働状況管理装置10に内蔵されるが、任意のインターフェースを介して稼働状況管理装置10によって外部からアクセスされる構成も可能である。
【0030】
記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出において使用される各種のデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出の結果及び中間データを記憶してよい。
【0031】
本実施形態において、記憶部12は、通信部11を介して取得された複数のシャーシ20の位置情報をシャーシ20の個体識別番号と対応付けて時系列データとして蓄積する。シャーシ20の位置情報の時系列データを、以下において「履歴」と称することがある。また、記憶部12はネットワーク40、通信部11を介して取得された地図情報を記憶してよい。
【0032】
制御部13は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部13は、稼働状況管理装置10の全体の動作を制御する。
【0033】
ここで、稼働状況管理装置10は、以下のようなソフトウェア構成を有してよい。稼働状況管理装置10の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御部13のプロセッサによって読み込まれると、プロセッサを取得部131、判定部132、表示情報生成部133及び出力部134として機能させる。
【0034】
取得部131はシャーシ20の位置情報を取得する。詳細に述べると、取得部131は記憶部12から複数のシャーシ20のそれぞれについての位置情報の履歴を取得する。また、取得部131は地図情報を取得する。
【0035】
判定部132は、取得部131によって取得された位置情報に基づいて、シャーシ20の移動中及び停止中を含む稼働状況を判定する。判定部132は、位置情報に変化があれば移動中と、変化がなければ停止中と判定してよい。
【0036】
表示情報生成部133は、シャーシ20の位置及び判定部132によって判定された稼働状況が地図上に示される表示情報を生成する。本実施形態において表示情報は、表示装置50に表示される画面の情報である。
図3は、表示情報生成部133が生成する表示情報を説明するための図である。以下に詳細を説明するが、
図3のような表示情報によって、ユーザは、シャーシ20の稼働状況を容易に把握できる。
【0037】
図3の例のように、表示情報は、地図上にシャーシ20を稼働状況に応じたアイコンで示すものであってよい。c1~c7はそれぞれ7つのシャーシ20の位置及び稼働状況を示すアイコンである。内部に三角形が付されているアイコンは、移動中のシャーシ20を示す。
図3の例において、c1及びc2で示されるシャーシ20は移動中である。また、内部に四角形が付されているアイコンは、停止中のシャーシ20を示す。
図3の例において、c3~c7で示されるシャーシ20は停止中である。
【0038】
ここで、ユーザは停止中(使用されていない状態)であって直ちに利用可能なシャーシ20を探すことがある。つまり、移動中のシャーシ20の情報を必要としないことがある。表示情報生成部133は、例えばユーザの指示に応じて、停止中と判定されたシャーシ20のみの位置が地図上に示される表示情報を生成してよい。
図3の例で説明すると、c1及びc2のアイコンが表示されず、c3~c7のアイコンのみが示される表示情報が生成されてよい。停止中のシャーシ20のみが表示されることによって、ユーザは、利用可能なシャーシ20を容易に把握することができる。
【0039】
また、表示情報生成部133は、シャーシ20の表示態様が停止期間に応じて異なるように表示情報を生成してよい。シャーシ20の表示態様が異なるとは、具体例として、形状、色などが違うアイコンが表示されることである。
図3の例において、c6で示されるシャーシ20の停止期間は一定期間(一例として半年)以上である。一方、c3~c5で示されるシャーシ20の停止期間は一定期間未満である。そのため、c6のアイコンの色は、c3~c5のアイコンと異なる色で表示されている。一定期間以上停止中である(放置されている)シャーシ20は、利用の前に整備が必要であって、直ちに利用できない可能性がある。シャーシ20の表示態様が異なって表示されることによって、ユーザは、整備が必要なシャーシ20を容易に判別することができる。また、ユーザは、シャーシ保有台数の適正化が可能となる。
【0040】
また、表示情報生成部133は、シャーシ20の表示態様が用途制限に応じて異なるように表示情報を生成してよい。
図3の例において、c7で示されるシャーシ20は危険物専用の台車である。そのため、c7のアイコンの色は、危険物専用でないシャーシ20を示すアイコンと異なる色で表示されている。この場合に、ユーザは、特定の用途のシャーシ20を容易に判別することができる。
【0041】
ここで、アイコンで示されるシャーシ20の詳細な情報が示されることが好ましい。
図3の例において、ポップアップ表示で詳細な情報が示されている。ポップアップ表示は、例えばユーザがアイコンをタップすることによって現れてよい。詳細な情報は、稼働状況、シャーシ20の個体識別番号、最新の位置情報を取得したタイミングである最終受信などを含んでよい。本実施形態においては、上記の第1期間、第2期間及び第3期間に対応して、ユーザの指示の有無に関係なく、所定のタイミングでポップアップ表示によって稼働状況が示される。すなわち、表示情報生成部133は、シャーシ20が停止してから第1期間の後及び第1期間より長い第2期間の後の少なくとも1つのタイミングで、停止中の表示が地図上に示されるように、表示情報を生成する。また、表示情報生成部133は、シャーシ20の移動開始時及び移動開始時から第3期間の後の少なくとも1つのタイミングで、移動中の表示が地図上に示されるように、表示情報を生成する。ユーザは、シャーシ20の稼働状況を適切なタイミング、すなわち最新の位置情報を受け取ったタイミングで把握することができる。
【0042】
また、表示情報生成部133は、シャーシ20の位置情報の履歴に基づいて所定期間の走行距離を算出し、所定期間の走行距離が地図上に示される表示情報を生成する。
図3の例において、ポップアップ表示に含まれる詳細な情報として走行距離が示されている。所定期間は、例えばシャーシ20が前回整備を行った後の期間であってよい。一般に所定期間の走行距離が長いほど、早めに整備を実行する必要がある。所定期間の走行距離が示されることによって、ユーザは、計画的にシャーシ20を整備することができる。
【0043】
ここで、ポップアップ表示に含まれる詳細な情報として、シャーシ20のタイヤ点検結果が示されてよい。タイヤ点検結果は、例えば摩耗状態、内圧情報などを含んでよい。また、シャーシ20の整備の計画が記憶部12などに記憶されてよい。この場合に、ポップアップ表示に含まれる詳細な情報として、シャーシ20の整備に関する使用可否(例えば車検予定である旨と車検で使用できない時期)が示されてよい。さらに、シャーシ20のコンテナ等の積載有無に関する情報が表示されてよい。例えばデータ収集部70が重量センサを含むことによって、車載通信部80はコンテナ等の積載有無を示す検出信号を取得できる。この場合に、車載通信部80は位置情報とともに積載有無を示す情報を稼働状況管理装置10に出力してよい。表示情報生成部133は、積載有無を示す情報に基づいて、コンテナ等の積載有無を含む表示情報を生成してよい。また、情報を稼働状況管理装置10が牽引車の位置情報も取得できる場合に、表示情報生成部133は、牽引車の位置も含む表示情報を生成してよい。
【0044】
また、表示情報生成部133は、
図3に示すように、表示範囲外のシャーシ20(例えば遠くにあるシャーシ20)の数を含む表示情報を生成してよい。この場合に、さらに稼働状況毎の数が示されてよい。表示情報生成部133は、
図3に示すように、位置情報が取得できなかったシャーシ20の数(位置情報未取得数)を含む表示情報を生成してよい。この場合に、さらにシャーシ20の個体識別番号が示されてよい。また、見やすさの観点から、表示情報生成部133は、複数のシャーシ20が地図上で重なる場合に、アイコンとは別に重なったシャーシ20の数及び個体識別番号を表示するように、表示情報を生成してよい。
【0045】
また、ユーザが特定のシャーシ20を示すアイコンをタップすることによって、特定のシャーシ20が常に追跡されるように設定可能であってよい。この場合に、表示情報生成部133は、特定のシャーシ20の位置情報が常に表示範囲に含まれるように表示情報を生成してよい。
【0046】
出力部134は、表示情報生成部133によって生成された表示情報を、表示装置50に出力する。例えば表示装置50に表示された表示情報を見たシャーシ20の管理者は、シャーシ20のアイコンなどによって、利用可否を直ちに把握することができる。また、シャーシ20の管理者は、シャーシ20のアイコンなどによって、整備要否を判断することができる。
【0047】
図4は、稼働状況管理装置10の制御部13が実行する稼働状況管理方法の処理を例示するフローチャートである。
【0048】
取得部131はシャーシ20の位置情報と地図情報を取得する(ステップS1)。ここで、取得部131は、地図情報を既に取得している場合に、地図情報の取得を省略して、シャーシ20の位置情報だけを取得してよい。
【0049】
判定部132は、取得部131によって取得された位置情報に基づいて、シャーシ20の稼働状況を判定する(ステップS2)。
【0050】
表示情報生成部133は、上記のように、シャーシ20の位置及び判定された稼働状況が地図上に示される表示情報を生成する(ステップS3)。
【0051】
出力部134は、表示情報生成部133によって生成された表示情報を、表示装置50に出力する(ステップS4)。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る稼働状況管理装置10、稼働状況管理システム1、プログラム及び稼働状況管理方法は、上記の構成によって、シャーシ20の稼働状況をユーザに示して、シャーシ20の利用可否及び整備要否を管理できるようにする。
【0053】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献】
【0054】
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本開示の一実施形態は「No.9 産業と技術革新の基盤をつくろう」等に貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0055】
1 稼働状況管理システム
10 稼働状況管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 シャーシ
40 ネットワーク
50 表示装置
70 データ収集部
80 車載通信部
131 取得部
132 判定部
133 表示情報生成部
134 出力部