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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166968
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20241122BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20241122BHJP
   B62J 27/00 20200101ALI20241122BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20241122BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B60W30/14
B60W40/04
B62J27/00
B62J45/00
G08G1/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083418
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】滝井 博将
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA08
3D241BA60
3D241BB06
3D241CA12
3D241CC01
3D241CC08
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB05Z
3D241DB09Z
3D241DB13Z
3D241DB15Z
3D241DB16Z
3D241DB32Z
3D241DB42Z
3D241DC02Z
3D241DC03Z
3D241DC28Z
3D241DC41Z
3D241DC51Z
3D241DD02Z
3D241DD14Z
5H181AA05
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】本発明は、鞍乗り型車両の安全性を向上させることができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【解決手段】本発明に係る制御装置及び制御方法では、制御装置の実行部が、自車両(1)と、自車両(1)が走行するレーンである自車レーン(L2)を走行する先行車両(2-4)との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両(1)の速度を自動で制御する位置関係調整動作を実行し、実行部は、自車両(1)が加速している状態で位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、先行車両(2-4)に対する自車両(1)の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、判定条件は、自車レーン(L2)に対して隣接する隣接レーン(L3)に複数の他車両(2)が存在する、との第1条件を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両(1)の挙動を制御する制御装置(20)であって、
自車両(1)と、前記自車両(1)が走行するレーンである自車レーン(L2)を走行する先行車両(2-4、2-12)との位置関係が目標位置関係に近づくように、前記自車両(1)の速度を自動で制御する位置関係調整動作を実行する実行部(22)を備え、
前記実行部(22)は、前記自車両(1)が加速している状態で前記位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、前記先行車両(2-4、2-12)に対する前記自車両(1)の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、
前記判定条件は、前記自車レーン(L2)に対して隣接する隣接レーン(L3)に複数の他車両(2)が存在する、との第1条件を含む、
制御装置。
【請求項2】
前記判定条件は、前記自車両(1)の速度状態情報が、前記自車両(1)の速度が第1基準速度より低いことを示す情報である、との第2条件をさらに含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定条件は、前記他車両(2)に対する前記自車両(1)の速度差状態情報が、前記他車両(2)に対する前記自車両(1)の速度差が第1基準速度差より小さいことを示す情報である、との第3条件をさらに含む、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判定条件は、前記他車両(2)に対する前記自車両(1)の速度差状態情報が、前記他車両(2)に対する前記自車両(1)の速度差が第2基準速度差より大きいことを示す情報である、との第4条件をさらに含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記判定条件は、前記速度差状態情報が、前記速度差が前記第2基準速度差よりも大きい第3基準速度差より小さいことを示す情報である、との第5条件をさらに含む、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記判定条件は、前記自車両(1)の速度状態情報が、前記自車両(1)の速度が第2基準速度より高いことを示す情報である、との第6条件をさらに含む、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記判定条件は、前記他車両(2)の速度状態情報が、前記他車両(2)の速度が第3基準速度より低いことを示す情報である、との第7条件をさらに含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記接近抑制動作は、前記目標位置関係を、前記判定条件が満たされない場合と比べて、前記自車両(1)が前記先行車両(2-4、2-12)から遠ざかった位置関係にする動作である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記接近抑制動作は、前記自車両(1)に生じる加速度を、前記判定条件が満たされない場合よりも低くする動作である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記接近抑制動作は、前記自車両(1)に生じる加速度変化率を、前記判定条件が満たされない場合よりも低くする動作である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
鞍乗り型車両(1)の挙動を制御する制御方法であって、
制御装置(20)の実行部(22)が、自車両(1)と、前記自車両(1)が走行するレーンである自車レーン(L2)を走行する先行車両(2-4、2-12)との位置関係が目標位置関係に近づくように、前記自車両(1)の速度を自動で制御する位置関係調整動作を実行し、
前記実行部(22)は、前記自車両(1)が加速している状態で前記位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、前記先行車両(2-4、2-12)に対する前記自車両(1)の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、
前記判定条件は、前記自車レーン(L2)に対して隣接する隣接レーン(L3)に複数の他車両(2)が存在する、との第1条件を含む、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、鞍乗り型車両の安全性を向上させることができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータサイクル等の鞍乗り型車両のライダーによる運転を支援する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、走行方向又は実質的に走行方向にある障害物を検出するセンサ装置により検出された情報に基づいて、不適切に障害物に接近していることをモータサイクルのライダーへ警告する運転者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-116882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の運転を支援するための技術として、自車両と、自車両が走行するレーンである自車レーンを走行する先行車両との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両の速度を自動で制御する位置関係調整動作がある。そして、上記の位置関係調整動作を鞍乗り型車両に適用することが考えられる。ここで、鞍乗り型車両では、四輪の自動車等と比べて車体挙動が不安定であり機敏に変化しやすい。それにより、自車レーンに対して隣接する隣接レーンに存在する他車両の運転者は、加速中の自車両の位置を見誤りやすく、隣接レーンに存在する他車両による自車レーンへの車線変更が不意に行われる場合がある。ゆえに、位置関係調整動作によって鞍乗り型車両の速度が自動で制御されている状況下において、安全性を向上させることが特に望まれる。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、鞍乗り型車両の安全性を向上させることができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、鞍乗り型車両の挙動を制御する制御装置であって、自車両と、前記自車両が走行するレーンである自車レーンを走行する先行車両との位置関係が目標位置関係に近づくように、前記自車両の速度を自動で制御する位置関係調整動作を実行する実行部を備え、前記実行部は、前記自車両が加速している状態で前記位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、前記先行車両に対する前記自車両の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、前記判定条件は、前記自車レーンに対して隣接する隣接レーンに複数の他車両が存在する、との第1条件を含む。
【0007】
本発明に係る制御方法は、鞍乗り型車両の挙動を制御する制御方法であって、制御装置の実行部が、自車両と、前記自車両が走行するレーンである自車レーンを走行する先行車両との位置関係が目標位置関係に近づくように、前記自車両の速度を自動で制御する位置関係調整動作を実行し、前記実行部は、前記自車両が加速している状態で前記位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、前記先行車両に対する前記自車両の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、前記判定条件は、前記自車レーンに対して隣接する隣接レーンに複数の他車両が存在する、との第1条件を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、制御装置の実行部が、自車両と、自車両が走行するレーンである自車レーンを走行する先行車両との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両の速度を自動で制御する位置関係調整動作を実行し、実行部は、自車両が加速している状態で位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、先行車両に対する自車両の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、判定条件は、自車レーンに対して隣接する隣接レーンに複数の他車両が存在する、との第1条件を含む。それにより、隣接レーンに複数の他車両が存在する状況下、つまり、他車両による自車レーンへの車線変更が行われやすい状況下において、位置関係調整動作による加速走行がその車線変更によってライダーにとって不意に不安定になることが、接近抑制動作によって未然に抑制され得る。ゆえに、鞍乗り型車両の安全性が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両の周囲の交通状況の第1の例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両の周囲の交通状況の第2の例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御装置について説明しているが(図1中の鞍乗り型車両1を参照)、本発明に係る制御装置の制御対象となる車両は、二輪のモータサイクル以外の他の鞍乗り型車両であってもよい。鞍乗り型車両は、ライダーが跨って乗車する車両を意味する。鞍乗り型車両には、例えば、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、自転車、バギー等が含まれる。モータサイクルには、エンジンを動力源とする車両、電気モータを動力源とする車両等が含まれる。モータサイクルには、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な車両を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0012】
また、以下では、駆動輪を駆動するための動力を出力可能な駆動源としてエンジン(具体的には、後述される図1中のエンジン11)が搭載されている場合を説明しているが、駆動源としてエンジン以外の他の駆動源(例えば、電気モータ)が搭載されていてもよく、複数の駆動源が搭載されていてもよい。
【0013】
また、以下では、車輪に生じる制動力の制御ユニットとして、ブレーキ液の液圧を制御する制御ユニット(具体的には、後述される図1中の液圧制御ユニット12)が採用される場合を説明しているが、車輪に生じる制動力の制御ユニットとして、車輪の制動部自体の位置を電気的信号によって制御する制御ユニット(いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ)が採用されてもよい。
【0014】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0015】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0016】
<鞍乗り型車両の構成>
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る鞍乗り型車両1の構成について説明する。
【0017】
図1は、鞍乗り型車両1の概略構成を示す模式図である。鞍乗り型車両1は、本発明に係る鞍乗り型車両の一例に相当する二輪のモータサイクルである。図1に示されるように、鞍乗り型車両1は、エンジン11と、液圧制御ユニット12と、入力装置13と、周囲環境センサ14と、前輪車輪速センサ15と、後輪車輪速センサ16と、制御装置(ECU)20とを備える。なお、本明細書では、鞍乗り型車両1を自車両1とも呼ぶ。
【0018】
エンジン11は、鞍乗り型車両1の駆動源の一例に相当し、駆動輪(具体的には、後輪)を駆動するための動力を出力可能である。例えば、エンジン11には、内部に燃焼室が形成される1又は複数の気筒と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグとが設けられている。燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより燃焼室内に空気及び燃料を含む混合気が形成され、当該混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。それにより、気筒内に設けられたピストンが往復運動し、クランクシャフトが回転するようになっている。また、エンジン11の吸気管には、スロットル弁が設けられており、スロットル弁の開度であるスロットル開度に応じて燃焼室への吸気量が変化するようになっている。
【0019】
液圧制御ユニット12は、車輪に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。例えば、液圧制御ユニット12は、マスタシリンダとホイールシリンダとを接続する油路上に設けられ、ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するためのコンポーネント(例えば、制御弁及びポンプ)を含む。液圧制御ユニット12のコンポーネントの動作が制御されることによって、車輪に生じる制動力が制御される。なお、液圧制御ユニット12は、前輪及び後輪の双方に生じる制動力をそれぞれ制御するものであってもよく、前輪及び後輪の一方に生じる制動力のみを制御するものであってもよい。
【0020】
入力装置13は、ライダーによる各種操作を受け付ける。入力装置13は、例えば、ハンドルに設けられ、ライダーの操作に利用される押しボタン等を含む。入力装置13を用いたライダーの操作に関する情報は、制御装置20に出力される。
【0021】
周囲環境センサ14は、鞍乗り型車両1の周囲の環境に関する周囲環境情報を検出する。具体的には、周囲環境センサ14は、鞍乗り型車両1の前部に設けられており、鞍乗り型車両1の前方の周囲環境情報を検出する。周囲環境センサ14により検出された周囲環境情報は、制御装置20に出力される。
【0022】
周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報は、鞍乗り型車両1の周辺に位置する被検体までの距離又は方位に関連する情報(例えば、相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度等)であってもよく、また、鞍乗り型車両1の周辺に位置する被検体の特徴(例えば、被検体の種別、被検体自体の形状、被検体に付されているマーク等)であってもよい。周囲環境センサ14は、例えば、レーダー、Lidarセンサ、超音波センサ、カメラ等である。
【0023】
なお、周囲環境情報は、他車両に搭載される周囲環境センサ、又は、インフラストラクチャ設備によっても検出され得る。つまり、制御装置20は、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して、周囲環境情報を取得することもできる。
【0024】
前輪車輪速センサ15は、前輪の車輪速(例えば、前輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。前輪車輪速センサ15が、前輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪車輪速センサ15は、前輪に設けられている。
【0025】
後輪車輪速センサ16は、後輪の車輪速(例えば、後輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。後輪車輪速センサ16が、後輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪車輪速センサ16は、後輪に設けられている。
【0026】
制御装置20は、鞍乗り型車両1の挙動を制御する。例えば、制御装置20の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置20の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置20は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0027】
図2は、制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示されるように、制御装置20は、例えば、取得部21と、実行部22とを備える。制御装置20は、鞍乗り型車両1の各装置(例えば、エンジン11、液圧制御ユニット12、入力装置13、周囲環境センサ14、前輪車輪速センサ15及び後輪車輪速センサ16)と通信する。また、制御装置20は、鞍乗り型車両1の各装置(例えば、エンジン11及び液圧制御ユニット12)の動作を制御することができる。
【0028】
取得部21は、鞍乗り型車両1の各装置から情報を取得し、実行部22へ出力する。例えば、取得部21は、入力装置13、周囲環境センサ14、前輪車輪速センサ15及び後輪車輪速センサ16から情報を取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出又は生成(例えば、演算)等が含まれ得る。
【0029】
実行部22は、鞍乗り型車両1の各装置の動作を制御することによって、各種制御を実行する。実行部22は、例えば、エンジン11及び液圧制御ユニット12の動作を制御する。
【0030】
特に、実行部22は、位置関係調整動作を実行することができる。位置関係調整動作は、自車両1と先行車両との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両1の速度を自動で制御する動作である。先行車両は、自車両1が走行するレーンである自車レーンを走行する他車両である。なお、実行部22は、位置関係調整動作において、自車両1と、車両以外の対象(例えば、信号機等)との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両1の速度を自動で制御してもよい。
【0031】
以下では、位置関係調整動作として、アダプティブクルーズコントロールが実行される例を説明する。ただし、位置関係調整動作は、自車両1と先行車両との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両1の速度を自動で制御する動作であればよく、アダプティブクルーズコントロール以外の動作であってもよい。例えば、位置関係調整動作は、ライダーによるアクセル操作が行われても解除されず、アクセル操作の操作量に応じて目標位置関係が変化する動作であってもよい。
【0032】
実行部22は、例えば、入力装置13を用いたライダーによる操作をトリガとしてアダプティブクルーズコントロールを開始する。アダプティブクルーズコントロールでは、実行部22は、ライダーによる加減速操作(つまり、アクセル操作及びブレーキ操作)によらずに自車両1の速度を自動で制御する。実行部22は、例えば、前輪の車輪速、及び、後輪の車輪速に基づいて取得される自車両1の速度の情報に基づいて、自車両1の速度を制御することができる。実行部22は、自車両1の速度の制御において、例えば、エンジン11の動作を制御することによって、自車両1に自動で加速度を生じさせ、液圧制御ユニット12の動作を制御することによって、自車両1に自動で減速度を生じさせることができる。なお、アダプティブクルーズコントロールは、ライダーによるブレーキ操作等の特定の操作が行われた場合に解除される。
【0033】
アダプティブクルーズコントロールでは、例えば、自車両1と先行車両との車間距離の目標値である目標車間距離が設定されており、実行部22は、自車両1と先行車両との車間距離が目標車間距離に維持されるように、自車両1の速度を制御する。つまり、自車両1と先行車両との車間距離が目標車間距離になる位置関係が目標位置関係に相当する。なお、車間距離は、車線(具体的には、自車両1が走行するレーン)に沿う方向の距離を意味してもよく、直線距離を意味してもよい。例えば、取得部21は、自車両1の周囲環境情報に基づいて自車両1と先行車両との車間距離を取得し、実行部22は、そのように取得される車間距離に基づいて、上記のように自車両1の速度を制御することができる。
【0034】
ただし、アダプティブクルーズコントロールでは、例えば、通過時間差(具体的には、現時点から自車両1が先行車両の現在位置を通過するまでにかかる時間)の目標値である目標通過時間差が設定されており、実行部22は、通過時間差が目標通過時間差に維持されるように、自車両1の速度を制御してもよい。この場合、通過時間差が目標通過時間差になる位置関係が目標位置関係に相当する。例えば、取得部21は、自車両1の周囲環境情報に基づいて通過時間差を取得し、実行部22は、そのように取得される通過時間差に基づいて、上記のように自車両1の速度を制御することができる。
【0035】
<制御装置の動作>
図3図5を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置20の動作について説明する。
【0036】
上記のように、制御装置20の実行部22は、アダプティブクルーズコントロールを実行することができる。ここで、鞍乗り型車両1では、四輪の自動車等と比べて車体挙動が不安定であり機敏に変化しやすい。それにより、自車両1が走行する自車レーンに対して隣接する隣接レーンに存在する他車両の運転者は、加速中の自車両1の位置を見誤りやすく、隣接レーンに存在する他車両による自車レーンへの車線変更が不意に行われる場合がある。
【0037】
図3は、鞍乗り型車両1の周囲の交通状況の第1の例を示す図である。図3の例では、レーンL1、レーンL2及びレーンL3の3つのレーンを含む道路において、自車両1及び複数の他車両2が走行している。図3の例では、具体的には、他車両2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6、2-7、2-8の8台の他車両2が自車両1の周囲に存在する。なお、図3の例では、四輪の自動車が他車両2として示されているが、他車両2は四輪の自動車以外の車両(例えば、モータサイクル等)であってもよい。
【0038】
レーンL1は、3つのレーンのうち最も右側のレーンであり、追い越しレーンである。レーンL2は、3つのレーンのうち中央側のレーンである。レーンL3は、3つのレーンのうち最も左側のレーンである。図3では、ETC(Electronic Toll Collection System)ゲート3の周辺の様子が示されている。ETCゲート3の近傍では、レーンL1、レーンL2及びレーンL3の3つのレーンが存在しており、ETCゲート3より前方(図3では右側)において、レーンL3が途切れ、レーン数が減っている。
【0039】
図3の例では、レーンL1において、他車両2-1、2-2、2-3が、前方から順に走行している。また、レーンL2において、他車両2-4及び自車両1が、前方から順に走行している。また、レーンL3において、他車両2-5、2-6、2-7、2-8が、前方から順に走行している。レーンL2は、自車両1が走行するレーンである自車レーンに相当する。以下では、レーンL2を自車レーンL2とも呼ぶ。また、レーンL1及びレーンL3は、自車レーンL2に対して隣接する隣接レーンに相当する。
【0040】
図3の例では、自車レーンL2において自車両1の前方を走行する先行車両である他車両2-4が、アダプティブクルーズコントロールにおける位置関係の調整対象となっている。ゆえに、実行部22は、アダプティブクルーズコントロールにおいて、自車両1と他車両2-4との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両1の速度を自動で制御する。
【0041】
ところで、ETCゲート3より前方では、レーンL3を走行する他車両2は順にレーンL2への合流を行うため、レーンL3において渋滞が生じやすい。図3の例では、隣接レーンであるレーンL3において、渋滞が発生しており、他車両2-5、2-6、2-7が互いに接近した状態で低速で走行している。そして、他車両2-5がレーンL2における自車両1の前方に向けて車線変更を開始している。一方、自車レーンL2において、自車両1は、低速で走行している。このように、図3の例では、自車両1の速度が低い状態で、他車両2-5による自車両1の前方への車線変更が行われる。この場合、自車両1と先行車両である他車両2-4との車間距離が短くなっており、他車両2-5による自車レーンL2への車線変更は、自車両1のライダーにとって不意な車線変更となり、自車両1のライダーの反応が遅れると、他車両2-5と自車両1との接触又は急接近が生じるおそれがある。
【0042】
図4は、鞍乗り型車両1の周囲の交通状況の第2の例を示す図である。図4の例では、図3の例と同様に、レーンL1、レーンL2及びレーンL3の3つのレーンを含む道路において、自車両1及び複数の他車両2が走行している。図4の例では、具体的には、他車両2-9、2-10、2-11、2-12、2-13、2-14、2-15、2-16、2-17、2-18、2-19の11台の他車両2が自車両1の周囲に存在する。なお、図4の例では、図3の例と同様に、四輪の自動車が他車両2として示されているが、他車両2は四輪の自動車以外の車両(例えば、モータサイクル等)であってもよい。
【0043】
図3の例と同様に、レーンL1は、3つのレーンのうち最も右側のレーンであり、追い越しレーンである。レーンL2は、3つのレーンのうち中央側のレーンである。レーンL3は、3つのレーンのうち最も左側のレーンである。図4では、レーンL3がサービスエリア等の駐車可能なエリアに向けて分岐している分岐箇所4の周辺の様子が示されている。分岐箇所4より後方(図4では左側)では、レーンL1、レーンL2及びレーンL3の3つのレーンが同一方向に延在して並んでおり、分岐箇所4において、レーンL3が、レーンL2から離れ、レーンL1及びレーンL2と異なる方向に向かって延びている。
【0044】
図4の例では、レーンL1において、他車両2-9、2-10、2-11が、前方から順に走行している。また、レーンL2において、他車両2-12及び自車両1が、前方から順に走行している。また、レーンL3において、他車両2-13、2-14、2-15、2-16、2-17、2-18、2-19が、前方から順に走行している。図3の例と同様に、レーンL2は、自車両1が走行するレーンである自車レーンに相当し、レーンL1及びレーンL3は、自車レーンL2に対して隣接する隣接レーンに相当する。
【0045】
図4の例では、自車レーンL2において自車両1の前方を走行する先行車両である他車両2-12が、アダプティブクルーズコントロールにおける位置関係の調整対象となっている。ゆえに、実行部22は、アダプティブクルーズコントロールにおいて、自車両1と他車両2-12との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両1の速度を自動で制御する。
【0046】
ところで、分岐箇所4の近傍では、レーンL3の行き先であるサービスエリア等が混んでいること等に起因して、レーンL3において渋滞が生じやすい。図4の例では、隣接レーンであるレーンL3において、渋滞が発生しており、他車両2-13、2-14、2-15、2-16、2-17、2-18、2-19が互いに接近した状態で低速で走行している。そして、他車両2-16がレーンL2における自車両1の前方に向けて車線変更を開始している。一方、自車レーンL2において、自車両1は、他車両2-12に対して長い車間距離を空けて走行している。このように、図4の例では、自車両1と先行車両である他車両2-4との車間距離が長い状態で、他車両2-16による自車両1の前方への車線変更が行われる。この場合、他車両2-16に対する自車両1の速度差が大きくなっており、他車両2-16による自車レーンL2への車線変更は、自車両1のライダーにとって不意な車線変更となり、自車両1のライダーの反応が遅れると、他車両2-16と自車両1との接触又は急接近が生じるおそれがある。なお、他車両2に対する自車両1の速度差は、自車両1の速度から他車両2の速度を減じた値を意味する。
【0047】
上記のように、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が不意に行われた場合、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、アダプティブクルーズコントロールによって自車両1の速度が自動で制御されている状況下において、安全性を向上させるために、実行部22は、接近抑制動作を実行可能となっている。接近抑制動作は、後述されるように、先行車両に対する自車両1の接近を抑制する動作である。以下、制御装置20が行う接近抑制動作に関する処理について説明する。
【0048】
図5は、制御装置20が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5に示される制御フローは、アダプティブクルーズコントロールが実行されている場合に開始する。図5におけるステップS101は、図5に示される制御フローの開始に対応する。図5におけるステップS111は、図5に示される制御フローの終了に対応する。
【0049】
以下で説明するように、実行部22は、自車両1が加速している状態でアダプティブクルーズコントロールが行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、接近抑制動作を実行する。そして、判定条件には、各種条件が含まれ得る。例えば、以下の例では、判定条件に含まれ得る条件として、第1条件、第2条件、第3条件、第4条件、第5条件、第6条件及び第7条件等の条件が挙げられている。
【0050】
図5に示される制御フローが開始されると、ステップS102において、実行部22は、自車両1が加速しているか否かを判定する。
【0051】
ステップS102では、実行部22は、例えば、自車両1の速度状態情報に基づいて、自車両1が加速しているか否かを判定する。自車両1の速度状態情報は、自車両1の速度の状態に関する情報であり、例えば、当該速度自体を示す情報であってもよく、当該速度の程度が数段階で表現されたラフな情報であってもよく、それらの情報に実質的に換算可能な情報であってもよい。取得部21は、例えば、前輪車輪速センサ15及び後輪車輪速センサ16の検出結果に基づいて、上記の自車両1の速度状態情報を取得できる。なお、取得部21は、自車両1が追従している先行車両の速度が自車両1の速度に略一致するとみなし、上記の自車両1の速度状態情報を推定してもよい。
【0052】
自車両1が加速していないと判定された場合(ステップS102/NO)、ステップS102が繰り返される。一方、自車両1が加速していると判定された場合(ステップS102/YES)、ステップS103に進む。
【0053】
ステップS102でYESと判定された場合、ステップS103において、実行部22は、第1条件が満たされているか否かを判定する。第1条件は、自車レーンL2に対して隣接する隣接レーンに複数の他車両2が存在する、との条件である。つまり、ステップS103において、実行部22は、隣接レーンに複数の他車両2が存在するか否かを判定する。
【0054】
ステップS103では、実行部22は、例えば、周囲環境センサ14の検出結果に基づいて、隣接レーンに複数の他車両2が存在するか否かを判定することができる。例えば、図3の例、又は、図4の例では、取得部21は、周囲環境センサ14の検出結果に基づいて、隣接レーンであるレーンL3に複数の他車両2が存在することを示す情報を周囲環境情報として取得できる。ゆえに、実行部22は、隣接レーンであるレーンL3に複数の他車両2が存在しており、第1条件が満たされていると判定できる。
【0055】
第1条件が満たされていない(つまり、隣接レーンに複数の他車両2が存在していない)と判定された場合(ステップS103/NO)、ステップS102に戻る。一方、第1条件が満たされている(つまり、隣接レーンに複数の他車両2が存在している)と判定された場合(ステップS103/YES)、ステップS104に進む。
【0056】
ステップS103でYESと判定された場合、ステップS104において、実行部22は、第7条件が満たされているか否かを判定する。第7条件は、他車両2の速度状態情報が、隣接レーンに存在する他車両2の速度が第3基準速度より低いことを示す情報である、との条件である。つまり、ステップS104において、実行部22は、他車両2の速度状態情報が、隣接レーンに存在する他車両2の速度が第3基準速度より低いことを示す情報であるか否かを判定する。
【0057】
他車両2の速度状態情報は、他車両2の速度の状態に関する情報であり、例えば、当該速度自体を示す情報であってもよく、当該速度の程度が数段階で表現されたラフな情報であってもよく、それらの情報に実質的に換算可能な情報であってもよい。取得部21は、例えば、周囲環境センサ14の検出結果に基づいて取得される他車両2に対する自車両1の速度差と、自車両1の速度とに基づいて、他車両2の速度を上記の他車両2の速度状態情報として取得できる。なお、取得部21は、隣接レーンに存在する複数の他車両2の速度の平均値を上記の他車両2の速度状態情報として取得してもよく、隣接レーンに存在する複数の他車両2のうちの特定の1台の他車両2の速度を上記の他車両2の速度状態情報として取得してもよい。
【0058】
なお、取得部21は、他車両2の走行位置の情報に基づいて、他車両2の速度状態情報を取得してもよい。例えば、他車両2の走行位置がETCゲート3の近傍である場合、取得部21は、他車両2が低い速度で走行しているとみなして他車両2の速度状態情報を取得してもよい。例えば、他車両2の走行位置が分岐箇所4の近傍である場合、取得部21は、他車両2が高い速度で走行しているとみなして他車両2の速度状態情報を取得してもよい。また、取得部21は、道路標識により示される制限速度の情報に基づいて、他車両2の速度状態情報を取得してもよい。
【0059】
ステップS104の第3基準速度は、例えば、複数の他車両2が存在している隣接レーンにおいて、渋滞が発生しており、複数の他車両2が互いに接近した状態で低速で走行していると判断できる程度に低い速度に設定される。隣接レーンに存在する他車両2の速度が第3基準速度より低い場合は、当該隣接レーンにおいて渋滞が発生している場合に相当する。
【0060】
第7条件が満たされていない(つまり、他車両2の速度状態情報が、隣接レーンに存在する他車両2の速度が第3基準速度より低いことを示す情報ではない)と判定された場合(ステップS104/NO)、ステップS102に戻る。一方、第7条件が満たされている(つまり、他車両2の速度状態情報が、隣接レーンに存在する他車両2の速度が第3基準速度より低いことを示す情報である)と判定された場合(ステップS104/YES)、ステップS105に進む。
【0061】
ステップS104でYESと判定された場合、ステップS105において、実行部22は、第2条件が満たされているか否かを判定する。第2条件は、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第1基準速度より低いことを示す情報である、との条件である。つまり、ステップS105において、実行部22は、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第1基準速度より低いことを示す情報であるか否かを判定する。
【0062】
ステップS105の第1基準速度は、例えば、自車両1と先行車両との車間距離が短くなっており、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図3の例のような状況が生じている)と判断できる程度に低い速度に設定される。自車両1の速度が第1基準速度より低い場合は、図3の例のような状況が生じている可能性が高い場合に相当する。
【0063】
なお、取得部21は、上述したように、例えば、自車両1の速度自体を示す情報、当該速度の程度が数段階で表現されたラフな情報、又は、それらの情報に実質的に換算可能な情報等を自車両1の速度状態情報として取得する。ここで、取得部21は、自車両1の走行位置の情報に基づいて、自車両1の速度状態情報を取得してもよい。例えば、自車両1の走行位置がETCゲート3の近傍である場合、取得部21は、自車両1が低い速度で走行しているとみなして自車両1の速度状態情報を取得してもよい。例えば、自車両1の走行位置が分岐箇所4の近傍である場合、取得部21は、自車両1が高い速度で走行しているとみなして自車両1の速度状態情報を取得してもよい。また、取得部21は、道路標識により示される制限速度の情報に基づいて、自車両1の速度状態情報を取得してもよい。
【0064】
第2条件が満たされていない(つまり、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第1基準速度より低いことを示す情報ではない)と判定された場合(ステップS105/NO)、ステップS108に進む。一方、第2条件が満たされている(つまり、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第1基準速度より低いことを示す情報である)と判定された場合(ステップS105/YES)、ステップS106に進む。
【0065】
ステップS105でYESと判定された場合、ステップS106において、実行部22は、第3条件が満たされているか否かを判定する。第3条件は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第1基準速度差より小さいことを示す情報である、との条件である。つまり、ステップS106において、実行部22は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第1基準速度差より小さいことを示す情報であるか否かを判定する。
【0066】
他車両2に対する自車両1の速度差状態情報は、他車両2に対する自車両1の速度差の状態に関する情報であり、例えば、当該速度差自体を示す情報であってもよく、当該速度差の程度が数段階で表現されたラフな情報であってもよく、それらの情報に実質的に換算可能な情報であってもよい。取得部21は、例えば、周囲環境センサ14の検出結果に基づいて、他車両2に対する自車両1の速度差を上記の速度差状態情報として取得できる。
【0067】
なお、取得部21は、隣接レーンに存在する複数の他車両2のうち自車両1が単位時間あたりに追い越した他車両2の台数を、上記の速度差状態情報として取得してもよい。取得部21は、例えば、周囲環境センサ14の検出結果に基づいて、隣接レーンに存在する複数の他車両2のうち自車両1が単位時間あたりに追い越した他車両2の台数を示す情報を取得できる。
【0068】
ステップS106の第1基準速度差は、例えば、自車両1と先行車両との車間距離が短くなっており、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図3の例のような状況が生じている)と判断できる程度に小さい速度差に設定される。隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が第1基準速度差より小さい場合は、図3の例のような状況が生じている可能性がより高い場合に相当する。
【0069】
第3条件が満たされていない(つまり、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第1基準速度差より小さいことを示す情報ではない)と判定された場合(ステップS106/NO)、ステップS102に戻る。一方、第3条件が満たされている(つまり、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第1基準速度差より小さいことを示す情報である)と判定された場合(ステップS106/YES)、ステップS107に進む。
【0070】
ステップS106でYESと判定された場合、ステップS107において、実行部22は、接近抑制動作を実行し、図5に示される制御フローは終了する。なお、実行部22は、例えば、接近抑制動作を開始した後に、所定時間経過した場合、接近抑制動作を終了する。その後、図5に示される制御フローが再度開始される。
【0071】
ステップS105及びステップS106でYESと判定された場合は、自車両1と先行車両との車間距離が短くなっており、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図3の例のような状況が生じている)と想定される場合に相当する。この場合、接近抑制動作の判定条件には、自車両1が加速しているとの条件に加えて、第1条件、第2条件、第3条件及び第7条件が含まれる。
【0072】
なお、図5のフローチャートでは、後述されるように、実行部22は、図4の例のような状況が生じていると想定される場合(具体的には、後述されるステップS108、ステップS109及びステップS110でYESと判定された場合)にも、接近抑制動作を実行する。
【0073】
上述したように、接近抑制動作は、先行車両に対する自車両1の接近を抑制する動作である。実行部22は、接近抑制動作において、例えば、エンジン11及び液圧制御ユニット12の動作を制御することによって、アダプティブクルーズコントロールにおける位置関係の調整対象となっている先行車両に対する自車両1の接近を抑制する。例えば、図3の例では、実行部22は、接近抑制動作において、先行車両2-4に対する自車両1の接近を抑制する。また、例えば、図5の例では、実行部22は、接近抑制動作において、先行車両2-12に対する自車両1の接近を抑制する。
【0074】
接近抑制動作は、例えば、自車両1と先行車両との目標位置関係を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて、自車両1が先行車両から遠ざかった位置関係にする動作であってもよい。以下、このような動作を第1動作とも呼ぶ。
【0075】
例えば、実行部22は、第1動作において、アダプティブクルーズコントロールにおける目標車間距離を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて長くする。それにより、自車両1と先行車両との目標位置関係が、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて、自車両1が先行車両から遠ざかった位置関係になる。
【0076】
また、例えば、実行部22は、第1動作において、アダプティブクルーズコントロールにおける目標通過時間差を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて長くする。それにより、自車両1と先行車両との目標位置関係が、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて、自車両1が先行車両から遠ざかった位置関係になる。
【0077】
また、接近抑制動作は、例えば、自車両1に生じる加速度を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合よりも低くする動作であってもよい。以下、このような動作を第2動作とも呼ぶ。
【0078】
例えば、実行部22は、アダプティブクルーズコントロールにおいて、自車両1に生じる加速度を加速度上限値以下になるように制御する。そして、実行部22は、第2動作において、加速度上限値を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて、小さくする。それにより、自車両1に生じる加速度が、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合よりも低くなる。
【0079】
ただし、実行部22は、第2動作において、加速度上限値を低減する以外の方法によって、自車両1に生じる加速度を低くしてもよい。例えば、実行部22は、第2動作において、自車両1に生じる加速度の目標値自体を低減することによって、自車両1に生じる加速度を低くしてもよい。
【0080】
また、接近抑制動作は、例えば、自車両1に生じる加速変化率度を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合よりも低くする動作であってもよい。以下、このような動作を第3動作とも呼ぶ。
【0081】
例えば、実行部22は、アダプティブクルーズコントロールにおいて、自車両1に生じる加速度変化率を加速度変化率上限値以下になるように制御する。そして、実行部22は、第3動作において、加速度変化率上限値を、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合と比べて、小さくする。それにより、自車両1に生じる加速度変化率が、接近抑制動作の判定条件が満たされない場合よりも低くなる。
【0082】
ただし、実行部22は、第3動作において、加速度変化率上限値を低減する以外の方法によって、自車両1に生じる加速度変化率を低くしてもよい。例えば、実行部22は、第3動作において、自車両1に生じる加速度変化率の目標値自体を低減することによって、自車両1に生じる加速度変化率を低くしてもよい。
【0083】
なお、実行部22は、上述した第1動作、第2動作及び第3動作接の全ての動作を接近抑制動作として実行してもよく、第1動作、第2動作及び第3動作接のうちの任意の一部の動作のみを接近抑制動作として実行してもよい。
【0084】
ステップS105でNOと判定された場合、ステップS108において、実行部22は、第4条件が満たされているか否かを判定する。第4条件は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差より大きいことを示す情報である、との条件である。つまり、ステップS108において、実行部22は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差より大きいことを示す情報であるか否かを判定する。
【0085】
ステップS108の第2基準速度差は、例えば、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が大きくなっており、自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図4の例のような状況が生じている)と判断できる程度に大きい速度差に設定される。隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差より大きい場合は、図4の例のような状況が生じている可能性が高い場合に相当する。
【0086】
第4条件が満たされていない(つまり、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差より大きいことを示す情報ではない)と判定された場合(ステップS108/NO)、ステップS102に戻る。一方、第4条件が満たされている(つまり、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差より大きいことを示す情報である)と判定された場合(ステップS108/YES)、ステップS109に進む。
【0087】
ステップS108でYESと判定された場合、ステップS109において、実行部22は、第5条件が満たされているか否かを判定する。第5条件は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差よりも大きい第3基準速度差より小さいことを示す情報である、との条件である。つまり、ステップS109において、実行部22は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第3基準速度差より小さいことを示す情報であるか否かを判定する。
【0088】
ステップS109の第3基準速度差は、例えば、自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が過度に大きいため、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が行われないと判断できる程度に大きい速度差に設定される。隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が第3基準速度差より大きい場合は、図4の例のように自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が行われないと想定される場合に相当する。
【0089】
第5条件が満たされていない(つまり、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第3基準速度差より小さいことを示す情報ではない)と判定された場合(ステップS109/NO)、ステップS102に戻る。一方、第5条件が満たされている(つまり、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第3基準速度差より小さいことを示す情報である)と判定された場合(ステップS109/YES)、ステップS110に進む。
【0090】
ステップS109でYESと判定された場合、ステップS110において、実行部22は、第6条件が満たされているか否かを判定する。第6条件は、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第2基準速度より高いことを示す情報である、との条件である。つまり、ステップS110において、実行部22は、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第2基準速度より高いことを示す情報であるか否かを判定する。
【0091】
ステップS110の第2基準速度は、例えば、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が大きくなっており、自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図4の例のような状況が生じている)と判断できる程度に高い速度に設定される。自車両1の速度が第2基準速度より高い場合は、図4の例のような状況が生じている可能性がより高い場合に相当する。
【0092】
第6条件が満たされていない(つまり、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第2基準速度より高いことを示す情報ではない)と判定された場合(ステップS110/NO)、ステップS102に戻る。一方、第6条件が満たされている(つまり、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第2基準速度より高いことを示す情報である)と判定された場合(ステップS110/YES)、ステップS107に進む。
【0093】
ステップS110でYESと判定された場合、ステップS107において、実行部22は、接近抑制動作を実行し、図5に示される制御フローは終了する。
【0094】
ステップS108、ステップS109及びステップS110でYESと判定された場合は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差が大きくなっており、自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図4の例のような状況が生じている)と想定される場合に相当する。この場合、接近抑制動作の判定条件には、自車両1が加速しているとの条件に加えて、第1条件、第4条件、第5条件、第6条件及び第7条件が含まれる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、制御装置20の実行部22は、自車両1が加速している状態で位置関係調整動作(上記の例では、アダプティブクルーズコントロール)が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、先行車両に対する自車両1の接近を抑制する接近抑制動作を実行する。そして、判定条件は、自車レーンL2に対して隣接する隣接レーンに複数の他車両2が存在する、との第1条件を含む。それにより、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が不意に行われた場合であっても、接近抑制動作によって先行車両に対する自車両1の接近を事前に抑制することができるので、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近を抑制することができる。ゆえに、鞍乗り型車両1の安全性を向上させることができる。
【0096】
上記では、図5のフローチャートを参照して、制御装置20が行う処理例について説明した。ただし、制御装置20が行う処理は、上記で説明した処理例に対して変更が加えられた処理であってもよい。
【0097】
例えば、上記では、接近抑制動作の判定条件に含まれ得る条件として、第1条件、第2条件、第3条件、第4条件、第5条件、第6条件及び第7条件が用いられている。ただし、接近抑制動作の判定条件は、少なくとも第1条件を含めばよく、第2条件、第3条件、第4条件、第5条件、第6条件及び第7条件のうちの任意の一部、又は、全部が用いられなくてもよい。換言すると、第2条件の判定処理であるステップS105、第3条件の判定処理であるステップS106、第4条件の判定処理であるステップS108、第5条件の判定処理であるステップS109、第6条件の判定処理であるステップS110、及び、第7条件の判定処理であるステップS104のうちの任意の一部、又は、全部が図5のフローチャートから省略されてもよい。例えば、図3の例のような状況が生じている可能性の判定に関するステップS105及びステップS106のうちの一部の処理が省略されてもよい。また、例えば、図4の例のような状況が生じている可能性の判定に関するステップS108、ステップS109及びステップS110のうちの一部の処理が省略されてもよい。また、例えば、図3の例のような状況が生じている可能性の判定に関する処理、及び、図4の例のような状況が生じている可能性の判定に関する処理の一方が省略されてもよい。
【0098】
<制御装置の効果>
本発明の実施形態に係る制御装置20の効果について説明する。
【0099】
制御装置20は、自車両1と、自車両1が走行するレーンである自車レーンL2を走行する先行車両(例えば、図3の他車両2-4、又は、図4の他車両2-12)との位置関係が目標位置関係に近づくように、自車両1の速度を自動で制御する位置関係調整動作(例えば、アダプティブクルーズコントロール)を実行する実行部22を備える。そして、実行部22は、自車両1が加速している状態で位置関係調整動作が行われている状況下において、判定条件が満たされた場合に、先行車両に対する自車両1の接近を抑制する接近抑制動作を実行し、判定条件は、自車レーンL2に対して隣接する隣接レーン(例えば、図3の例、又は、図4の例におけるレーンL3)に複数の他車両2が存在する、との第1条件を含む。それにより、隣接レーンに複数の他車両2が存在する状況下、つまり、他車両2による自車レーンL2への車線変更が行われやすい状況下において、位置関係調整動作による加速走行がその車線変更によってライダーにとって不意に不安定になることが、接近抑制動作によって未然に抑制され得る。ゆえに、鞍乗り型車両1の安全性が向上し得る。
【0100】
好ましくは、制御装置20において、判定条件は、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第1基準速度より低いことを示す情報である、との第2条件をさらに含む。それにより、自車両1と先行車両との車間距離が短くなっており、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図3の例のような状況が生じている)場合に、接近抑制動作を実行することが適切に実現される。ゆえに、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近を抑制し、鞍乗り型車両1の安全性を向上させることが適切に実現される。
【0101】
好ましくは、制御装置20において、判定条件は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第1基準速度差より小さいことを示す情報である、との第3条件をさらに含む。それにより、自車両1と先行車両との車間距離が短くなっており、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図3の例のような状況が生じている)場合に、接近抑制動作を実行することがより適切に実現される。ゆえに、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近を抑制し、鞍乗り型車両1の安全性を向上させることがより適切に実現される。
【0102】
好ましくは、制御装置20において、判定条件は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差より大きいことを示す情報である、との第4条件をさらに含む。それにより、自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図4の例のような状況が生じている)場合に、接近抑制動作を実行することが適切に実現される。ゆえに、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近を抑制し、鞍乗り型車両1の安全性を向上させることが適切に実現される。
【0103】
好ましくは、制御装置20において、判定条件は、隣接レーンに存在する他車両2に対する自車両1の速度差状態情報が、当該他車両2に対する自車両1の速度差が第2基準速度差よりも大きい第3基準速度差より小さいことを示す情報である、との第5条件をさらに含む。それにより、図4の例のように自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が行われないと想定される場合に、接近抑制動作が不要に実行されることを抑制できる。
【0104】
好ましくは、制御装置20において、判定条件は、自車両1の速度状態情報が、自車両1の速度が第2基準速度より高いことを示す情報である、との第6条件をさらに含む。それにより、自車両1と先行車両との車間距離が長いものの、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が自車両1のライダーにとって不意な車線変更となる(つまり、図4の例のような状況が生じている)場合に、接近抑制動作を実行することがより適切に実現される。ゆえに、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近を抑制し、鞍乗り型車両1の安全性を向上させることがより適切に実現される。
【0105】
好ましくは、制御装置20において、判定条件は、隣接レーンに存在する他車両2の速度状態情報が、当該他車両2の速度が第3基準速度より低いことを示す情報である、との第7条件をさらに含む。それにより、隣接レーンにおいて渋滞が発生しており、隣接レーンに存在する他車両2による自車レーンL2への車線変更が行われる可能性が高い場合に、接近抑制動作を実行することが適切に実現される。ゆえに、隣接レーンから自車レーンL2へ車線変更する他車両2と、自車両1との接触又は急接近を抑制し、鞍乗り型車両1の安全性を向上させることが適切に実現される。
【0106】
好ましくは、制御装置20において、接近抑制動作は、自車両1と先行車両との目標位置関係を、判定条件が満たされない場合と比べて、自車両1が先行車両から遠ざかった位置関係にする動作である。それにより、先行車両に対する自車両1の接近を接近抑制動作によって抑制することが適切に実現される。
【0107】
好ましくは、制御装置20において、接近抑制動作は、自車両1に生じる加速度を、判定条件が満たされない場合よりも低くする動作である。それにより、先行車両に対する自車両1の接近を接近抑制動作によって抑制することが適切に実現される。
【0108】
好ましくは、制御装置20において、接近抑制動作は、自車両1に生じる加速度変化率を、判定条件が満たされない場合よりも低くする動作である。それにより、先行車両に対する自車両1の接近を接近抑制動作によって抑制することが適切に実現される。
【0109】
本発明は実施形態の説明に限定されない。例えば、実施形態の一部のみが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 鞍乗り型車両(自車両)、2 他車両、2-1 他車両、2-2 他車両、2-3 他車両、2-4 他車両(先行車両)、2-5 他車両、2-6 他車両、2-7 他車両、2-8 他車両、2-9 他車両、2-10 他車両、2-11 他車両、2-12 他車両(先行車両)、2-13 他車両、2-14 他車両、2-15 他車両、2-16 他車両、2-17 他車両、2-18 他車両、2-19 他車両、3 ETCゲート、4 分岐箇所、11 エンジン、12 液圧制御ユニット、13 入力装置、14 周囲環境センサ、15 前輪車輪速センサ、16 後輪車輪速センサ、20 制御装置、21 取得部、22 実行部、L1 レーン、L2 レーン(自車レーン)、L3 レーン(隣接レーン)。
図1
図2
図3
図4
図5