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特開2024-16697水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法
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  • 特開-水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法 図1
  • 特開-水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法 図2
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  • 特開-水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016697
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20240131BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20240131BHJP
   B28B 1/26 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D11/13
B28B1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119004
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】田之上 雄二
(72)【発明者】
【氏名】木村 聖司
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤村 守
【テーマコード(参考)】
2D039
4G052
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD00
2D039AD04
4G052BA02
4G052CB11
4G052CC02
4G052CC12
4G052CC24
(57)【要約】
【課題】切れや、割れなどの発生を抑制すること。
【解決手段】実施形態に係る水洗大便器は、ボウル部と、トラップ部と、スカート部とを備える。ボウル部は、汚物を受ける。トラップ部は、ボウル部の汚物を排出するようにボウル部に連通する。スカート部は、ボウル部の外側に形成される。スカート部は、外装を形成する外壁を有する。外壁には、ラップ部の形状に沿った段部の上方に開口部が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を受けるボウル部と、
前記ボウル部の汚物を排出するように前記ボウル部に連通するトラップ部と、
前記ボウル部の外側に形成されるスカート部と
を備え、
前記スカート部は、外装を形成する外壁を有し、
前記外壁には、前記トラップ部の形状に沿った段部の上方に開口部が形成される、水洗大便器。
【請求項2】
前記開口部は、前記段部と、前記トラップ部の上方に設けられる幕板との境界に形成される、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
汚物を受けるボウル部と、
前記ボウル部の汚物を排出するように前記ボウル部に連通するトラップ部と、
前記ボウル部の外側に形成されるスカート部とを有する水洗大便器の製造方法であって、
第1の成形型と、第2の成形型とが組み合わされた型内に泥漿を注入する注入工程と、
前記第1の成形型の成形面、および、前記第2の成形型の成形面に泥漿を着肉させる着肉工程と、
前記成形型に着肉していない泥漿が前記成形型から排出される排泥工程と、
前記第1の成形型、および、前記第2の成形型を離型し、成形体を脱型させる離型工程と
を有し、
前記着肉工程では、
前記第1の成形型と前記第2の成形型との両方の型に着肉する二重鋳込み部と、
前記第1の成形型、または、前記第2の成形型のいずれかの型に着肉する一重鋳込み部と、
前記二重鋳込み部と前記一重鋳込み部とが連結しないように、前記二重鋳込み部と前記一重鋳込み部との間に形成され、前記第1の成形型、および、前記第2の成形型に着肉しない非着肉部とが形成される、水洗大便器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台座部の内側の形成される内壁部に開口部を設けた水洗大便器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-63972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記する水洗大便器は、開口部を設けて、製造工程において乾燥速度を均一にすることで、製造工程における亀裂の発生を抑制している。しかしながら、上記する水洗大便器は、製造工程における切れや、割れなどの発生の抑制についてさらなる改善の余地がある。
【0005】
実施形態の一態様は、切れや、割れなどの発生を抑制する水洗大便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る水洗大便器は、ボウル部と、トラップ部と、スカート部とを備える。ボウル部は、汚物を受ける。トラップ部は、ボウル部の汚物を排出するようにボウル部に連通する。スカート部は、ボウル部の外側に形成される。スカート部は、外装を形成する外壁を有する。外壁には、ラップ部の形状に沿った段部の上方に開口部が形成される。
【0007】
これにより、水洗大便器は、トラップ部の上方に開口部を設けることで、製造工程において、トラップ部に切れや、割れの発生を抑制することができる。
【0008】
また、開口部は、段部と、トラップ部の上方に設けられる幕板との境界に形成される。
【0009】
これにより、水洗大便器は、製造工程において、トラップ部に切れや、割れの発生を抑制することができる。
【0010】
実施形態の一態様に係る水洗大便器の製造方法は、汚物を受けるボウル部と、ボウル部の汚物を排出するようにボウル部に連通するトラップ部と、ボウル部の外側に形成されるスカート部とを有する水洗大便器の製造方法である。水洗大便器の製造方法は、注入工程と、着肉工程と、排泥工程と、離型工程とを有する。注入工程では、第1の成形型と、第2の成形型とが組み合わされた型内に泥漿が注入される。着肉工程では、第1の成形型の成形面、および、第2の成形型の成形面に泥漿が着肉される。排泥工程では、成形型に着肉していない泥漿が成形型から排出される。離型工程では、第1の成形型、および、第2の成形型が離型され、成形体が脱型される。着肉工程では、二重鋳込み部と、一重鋳込み部と、非着肉部とが形成される。二重鋳込み部は、第1の成形型と第2の成形型との両方の型に着肉する。一重鋳込み部は、第1の成形型、または、第2の成形型のいずれかの型に着肉する。非着肉部は、二重鋳込み部と一重鋳込み部とが連結しないように、二重鋳込み部と一重鋳込み部との間に設けられ、第1の成形型、および、第2の成形型に着肉しない。
【0011】
これにより、着肉工程において、二重鋳込み部と一重鋳込み部とが連結しない非着肉部を形成することで、成形体におけるくびれの発生が抑制される。そのため、くびれに起因する切れや、割れの発生が抑制される。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、切れや、割れなどの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る水洗大便器の平面図である。
図2図2は、実施形態に係る水洗大便器の側面図である。
図3図3は、水洗大便器の便器本体の製造工程を説明するフローチャートである。
図4図4は、便器本体の成形体と、各成形型とを示す分解図である。
図5図5は、第1成形型と第2成形型とが組み合わされた状態を示す図である。
図6図6は、非着肉部が設けられない箇所における着肉状態を示す模式図である。
図7図7は、非着肉部が設けられた箇所における着肉状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水洗大便器、および、水洗大便器の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
実施形態に係る水洗大便器1は、図1、および、図2を参照して説明される。図1は、実施形態に係る水洗大便器1の平面図である。図2は、実施形態に係る水洗大便器1の側面図である。
【0016】
また、図1などには、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。直交座標系では、X軸正方向が左方、および、X軸負方向が右方として規定される。また、Y軸正方向が前方、および、Y軸負方向が後方として規定される。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。
【0017】
水洗大便器1は、トイレ室に設置される。水洗大便器1は、便器本体2を備える。水洗大便器1は、便器本体2に取り付けられる機能部を備える。機能部は、たとえば、便座、衛生洗浄装置、貯水タンク、および、加圧ポンプなどを含む。
【0018】
便器本体2は、陶器製である。便器本体2は、ボウル部3と、リム部4と、トラップ部5と、スカート部6とを備える。
【0019】
ボウル部3は、使用者の汚物を受ける。リム部4は、ボウル部3の上縁に形成される。リム部4には、ボウル部3に洗浄水を吐水する吐水口が形成される。
【0020】
トラップ部5は、ボウル部3の底部に連通する。トラップ部5は、ボウル部3の底部から延びて、ボウル部3内の汚物を排出する。トラップ部5は、排水ソケットを介して排水管に接続される。
【0021】
スカート部6は、ボウル部3の外側に設けられる。スカート部6は、ボウル部3の外側を覆うように設けられる。スカート部6は、水洗大便器1の外装を形成する外壁10を有する。外壁10は、段部11と、幕板12とを有する。
【0022】
段部11は、上方側のトラップ部5の形状に沿って設けられる。段部11は、トラップ部5の一部を形成する。
【0023】
幕板12は、段部11の上方に設けられる。すなわち、幕板12は、トラップ部5の上方に設けられる。幕板12は、水洗大便器1にかかる上方からの荷重、および、自重を支えるように設けられる。たとえば、幕板12は、水洗大便器1の左右方向の中央に設けられる。幕板12は、前後方向、および、上下方向に延びるように設けられる。
【0024】
外壁10には、開口部13が形成される。開口部13は、左右方向に貫通する貫通孔である。開口部13は、段部11の上方に形成される。開口部13は、幕板12に形成される。開口部13は、段部11と、幕板12との境界に形成される。なお、段部11と、幕板12との境界は、仮想的な境界を意味する。すなわち、開口部13が設けられていない場合に形成される段部11と幕板12との境界を意味する。
【0025】
開口部13は、幕板12を貫通するように形成される。具体的には、開口部13は、段部11のうち高さが最も低い箇所の直上において、段部11と幕板12と連結しないように、幕板12を貫通して形成される。
【0026】
次に、水洗大便器1の便器本体2の製造工程について、図3のフローチャートを参照し説明する。図3は、水洗大便器1の便器本体2の製造工程を説明するフローチャートである。
【0027】
ステップS100において、泥漿調製工程が行われる。泥漿調製工程では、便器本体2の原料である泥漿が調製される。
【0028】
ステップS101において、注入工程が行われる。注入工程は、複数の成形型によって形成される型内に泥漿が注入される。成形型は、樹脂によって構成される樹脂型、または、石膏によって構成される石膏型を含む。
【0029】
ステップS102において、着肉工程が行われる。着肉工程では、成形型の成形面において泥漿に含まれる水分が脱水されて、成形型の成形面に泥漿が着肉する。
【0030】
成形型が、樹脂型である場合、成形型を加圧することで、泥漿から水分が押し出されて脱水される。そして、水分が減少した泥漿が成形型の表面に着肉する。
【0031】
成形型が、石膏型である場合、泥漿の水分が石膏に吸われることで、泥漿から水分が脱水される。そして、水分が減少した泥漿が成形型の成形面に着肉する。
【0032】
ステップS103において、排泥工程が行われる。排泥工程では、成形型に着肉していない泥漿が成形型から排出される。
【0033】
ステップS104において、離型工程が行われる。離型工程では、成形型を離型し、成形体が脱型される。すなわち、離型工程では、成形型に着肉した泥漿が成形体として、成形型から外される。
【0034】
なお、ステップS101~ステップS104は、便器本体2を構成するパーツ毎に行われる。便器本体2は、複数のパーツを含む成形体として成形される。たとえば、ボウル部3、トラップ部5、および、スカート部6を含む成形体と、リム部4とは異なる成形体として成形される。
【0035】
ステップS105において、接合工程が行われる。接合工程では、複数のパーツが接着されて、便器本体2の成形体が成形される。なお、複数のパーツが接着されない場合、つまり一つのパーツからなる場合、離型工程によって、便器本体2の成形体が成形される。ここで、注入工程であるステップS101から排泥工程であるステップS103までを所望の形状の成形体を成形するための成形工程とする(ステップS110)。
【0036】
ステップS106において、乾燥工程が行われる。乾燥工程では、便器本体2の成形体が乾燥される。
【0037】
ステップS107において、施釉工程が行われる。施釉工程では、乾燥した便器本体2の成形体に釉薬が塗布される。
【0038】
ステップS108において、焼成工程が行われる。焼成工程では、釉薬が塗布された便器本体2の成形体が焼成される。
【0039】
以上の工程によって、便器本体2が製造される。上記するように、便器本体2を構成する成形体は、複数の成形型によって泥漿を成形型に着肉させて成形される。
【0040】
たとえば、便器本体100を成形する場合、図4に示すように、第1成形型101、第2成形型102、第3成形型103、および、第4成形型104を用いて、便器本体100に対応する型が形成される。図4は、便器本体100の成形体と、各成形型101~104とを示す分解図である。
【0041】
複数の成形型を用いて成形する場合、成形体は、2つの成形型に着肉して形成される二重鋳込み部40(図6図7参照)と、1つの成形型に着肉して形成される一重鋳込み部41(図6図7参照)と含む。
【0042】
たとえば、図5に示すように、第1成形型20(第1の成形型)と、第2成形型21(第2の成形型)とが組み合わされた型において、第1成形型20と第2成形型21とによって挟まれた厚さが小さい隙間30では、泥漿は、第1成形型20、および、第2成形型21によって水分が脱水される。すなわち、第1成形型20の成形面と、第2成形型21の成形面とに着肉し、成形体が形成される。このように形成された成形体が、二重鋳込み部40(図6図7参照)である。たとえば、二重鋳込み部40は、幕板12である。図5は、第1成形型20と第2成形型21とが組み合わされた状態を示す図である。
【0043】
また、第1成形型20と、第2成形型21とが組み合わされた型において、第1成形型20と第2成形型21とによって挟まれた厚さが大きい箇所31では、泥漿は、第1成形型20、または、第2成形型21のいずれかによって水分が脱水される。すなわち、第1成形型20の成形面、または、第2成形型21の成形面のいずれかに着肉し、成形体が形成される。このように形成された成形体が、一重鋳込み部41(図6図7参照)である。第1成形型20と第2成形型21とによって挟まれた厚さが大きい箇所31は、第1成形型20、または、第2成形型21に着肉する泥漿の厚さよりも長い箇所である。たとえば、一重鋳込み部41は、トラップ部5を形成する壁部である。一重鋳込み部41は、段部11を含む。
【0044】
また、第1成形型20と、第2成形型21とが組み合わされた型において、第1成形型20と第2成形型21とが当接する箇所32では、2つの成形型の間に泥漿が流入しない。そのため、第1成形型20、および、第2成形型21に着肉しない非着肉部42(図7、参照)が形成される。非着肉部42は、二重鋳込み部40と、一重鋳込み部41とが連結しないように、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41との間に形成される。非着肉部42は、成形体において貫通孔となる。すなわち、非着肉部42は、開口部13となる。
【0045】
たとえば、非着肉部42が設けられず、図6に示すように、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41とが連結する場合、二重鋳込み部40では第1成形型20、および、第2成形型21によって泥漿の水分が脱水される。図6は、非着肉部42が設けられない箇所における着肉状態を示す模式図である。図6では、第1成形型20、および、第2成形型21における泥漿の水分の流れが、矢印で示される。
【0046】
二重鋳込み部40では、一重鋳込み部41よりも水分が早く脱水されるため、二重鋳込み部40に向けた泥漿の流れが形成される。そのため、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41との連結箇所においてくびれ45が発生する。
【0047】
発生したくびれ45は、焼成時の収縮に伴う引っ張り破壊によって切れが発生し易い。また、発生したくびれ45は、成形体に荷重がかかった場合の曲げ破壊によって割れが発生し易い。
【0048】
これに対し、非着肉部42が設けられた場合、図7に示すように、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41とが非着肉部42によって連結されない。そのため、二重鋳込み部40に向けた泥漿の流れが形成されず、くびれ45が発生しない。従って、切れの発生、および、割れの発生が抑制される。図7は、非着肉部42が設けられた箇所における着肉状態を示す模式図である。図7では、第1成形型20、および、第2成形型21における泥漿の水分の流れが、矢印で示される。
【0049】
成形体のくびれ45による切れや、割れは、トラップ部5で生じ易い。そのため、水洗大便器1は、トラップ部5の形状に沿った段部11の上方に開口部13を設けるように、製造工程において非着肉部42を形成し、切れや、割れの発生を抑制することとした。
【0050】
水洗大便器1は、ボウル部3と、トラップ部5と、スカート部6とを備える。ボウル部3は、汚物を受ける。トラップ部5は、ボウル部3の汚物を排出するようにボウル部3に連通する。スカート部6は、ボウル部3の外側に形成される。スカート部6は、外装を形成する外壁10を有する。外壁10には、トラップ部5の形状に沿った段部11の上方に開口部13が形成される。
【0051】
これにより、水洗大便器1は、トラップ部5の上方に開口部13を設けることで、製造工程において、トラップ部5に切れや、割れの発生を抑制することができる。
【0052】
開口部13は、段部11と、トラップ部5の上方に設けられる幕板12との境界に形成される。
【0053】
これにより、水洗大便器1は、製造工程において、トラップ部5に切れや、割れの発生を抑制することができる。
【0054】
水洗大便器1の製造方法は、注入工程と、着肉工程と、排泥工程と、離型工程とを有する。注入工程では、第1成形型20と、第2成形型21とが組み合わされた型内に泥漿が注入される。着肉工程では、第1成形型20の成形面、および、第2成形型21の成形面に泥漿が着肉される。排泥工程では、成形型20、21に着肉していない泥漿が成形型20、21から排出される。離型工程では、第1成形型20、および、第2成形型21を離型し、成形体が脱型される。着肉工程では、二重鋳込み部40と、一重鋳込み部41と、非着肉部42とが形成される。二重鋳込み部40は、第1成形型20と第2成形型21との両方の型に着肉して形成される。一重鋳込み部41は、第1成形型20、または、第2成形型21のいずれかの型に着肉して形成される。非着肉部42は、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41とが連結しないように、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41との間に形成され、第1成形型20、および、第2成形型21に着肉しない。
【0055】
これにより、着肉工程において、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41とが連結しない非着肉部42を形成することで、成形体におけるくびれ45の発生が抑制される。そのため、くびれ45に起因する切れや、割れの発生が抑制される。なお、くびれ45の発生が抑制される理由としては、着肉工程において、各成形型20、21に着肉する量を均等にできるからであると考えられる。非着肉部42の位置について、水洗大便器1のトラップ部5の形状に沿った段部11の上方に開口部13となるように設けられるが、この位置以外に設けてもよい。すなわち、水洗大便器1を製造する際、着肉工程において、二重鋳込み部40と一重鋳込み部41とが連結する部分がある場合は、この部分に非着肉部42を形成するようにすることにより、成形体におけるくびれ45の発生を抑制することができる。
【0056】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 水洗大便器
2 便器本体
3 ボウル部
4 リム部
5 トラップ部
6 スカート部
10 外壁
11 段部
12 幕板
13 開口部
20 第1成形型(第1の成形型)
21 第2成形型(第2の成形型)
40 二重鋳込み部
41 一重鋳込み部
42 非着肉部
45 くびれ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7