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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166975
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20241122BHJP
   C08K 3/015 20180101ALI20241122BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20241122BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20241122BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20241122BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08K3/015
C08K5/5419
B32B27/38
B32B27/20 Z
H05K1/03 610L
H05K1/03 610R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083437
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤島 祥平
(72)【発明者】
【氏名】長岡 二朗
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 千晴
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AA00A
4F100AA20A
4F100AH07A
4F100AK42B
4F100AK53A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA02A
4F100CA23A
4F100EH46A
4F100EJ67A
4F100GB43
4F100JG04
4F100JG05
4F100JL11A
4F100JL14B
4F100YY00A
4J002CD031
4J002CD051
4J002CD061
4J002DE077
4J002DE097
4J002DE147
4J002DE187
4J002DE237
4J002DF017
4J002DG047
4J002DJ007
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002DJ057
4J002DK007
4J002DL007
4J002EH046
4J002EH146
4J002EX008
4J002FD146
4J002FD148
4J002GQ01
4J002GQ05
(57)【要約】
【課題】誘電特性が低く、ハローイング現象を抑制できる硬化物を得ることができる樹脂組成等の提供。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物、を含有する樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、
(B)活性エステル系硬化剤、
(C)無機充填材、及び
(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物、を含有する樹脂組成物。
【請求項2】
(C)成分が、(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材のいずれかを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(C)成分が、(C-1)中空無機充填材を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(C)成分が、(D)成分で表面処理されている、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(D)成分の含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
支持体と、該支持体上に設けられた、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む、接着フィルム。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
【請求項9】
請求項8に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、当該樹脂組成物を用いて得られる、接着フィルム、プリント配線板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。
【0003】
このような絶縁層に用いられるプリント配線板の絶縁材料として、例えば、特許文献1に樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/038893号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、比誘電率及び誘電正接が低い絶縁層を形成することができる樹脂組成物に対する要望が高まってきている。比誘電率及び誘電正接をまとめて誘電特性ということがある。
【0006】
絶縁層の誘電特性を低くするには、活性エステル系硬化剤等の誘電特性を低くする材料を含有させることが考えられる。しかし、誘電特性を低くする材料を含有する樹脂組成物の硬化物は、導通信頼性を低下させてしまうハローイング現象が生じることが分かってきた。ここで、ハローイング現象とは、ビアホールの周囲において絶縁層と内層基板との間で層間剥離が生じることをいう。このようなハローイング現象は、通常、ビアホールの形成時にビアホールの周囲の樹脂が劣化し、その劣化した部分が粗化処理時に浸食されて生じる。なお、前記の劣化した部分は、通常、変色部として観察される。
【0007】
本発明の課題は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、誘電特性が低く、ハローイング現象を抑制できる硬化物を得ることができる樹脂組成物、当該樹脂組成物を含む接着フィルム、当該樹脂組成物を用いて形成された絶縁層を備えるプリント配線板、及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物を組み合わせて含有させることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)エポキシ樹脂、
(B)活性エステル系硬化剤、
(C)無機充填材、及び
(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物、を含有する樹脂組成物。
[2] (C)成分が、(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材のいずれかを含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (C)成分が、(C-1)中空無機充填材を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (C)成分が、(D)成分で表面処理されている、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (D)成分の含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上5質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層とを含む、接着フィルム。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
[9] [8]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誘電特性が低く、ハローイング現象を抑制できる硬化物を得ることができる樹脂組成物、当該樹脂組成物を含む接着フィルム、当該樹脂組成物を用いて形成された絶縁層を備えるプリント配線板、及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物をシート状に硬化させて得た絶縁層を、内層基板と共に模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物をシート状に硬化させて得た絶縁層の、導体層とは反対側の面を模式的に示す平面図である。
図3図3は、本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物をシート状に硬化させて得た、粗化処理後の絶縁層を、内層基板と共に模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0013】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物を含有する。本発明では、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を組み合わせて含有させることで、誘電特性が低く、ハローイング現象を抑制できる硬化物を得ることができる。また、通常は、破断点伸度に優れる硬化物を得ることもできる。
【0014】
樹脂組成物は、(A)~(D)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(E)硬化剤((B)成分に該当するものは除く)、(F)硬化促進剤、(G)熱可塑性樹脂、(H)その他の添加剤、及び(I)溶剤等が挙げられる。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0015】
<(A)エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)エポキシ樹脂を含有する。(A)エポキシ樹脂を樹脂組成物に含有させることで、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得ることができる。(A)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0016】
(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
樹脂組成物は、(A)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(A)エポキシ樹脂100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0018】
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(A)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。
【0019】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0020】
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がさらに好ましい。
【0021】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YED216D」(アルキルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂がより好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0023】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0024】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR-991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
(A)成分として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1~1:20、より好ましくは1:0.15~1:10、特に好ましくは1:0.2~1:5である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
【0026】
(A)成分のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分な硬化体をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0027】
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100~5000、より好ましくは150~3000、さらに好ましくは200~1500である。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0028】
(A)成分の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。上限は、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。
【0029】
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値であり、不揮発成分とは、樹脂組成物中の溶剤を除く不揮発成分全体を意味する。
【0030】
(A)成分の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0031】
なお、本発明において、樹脂組成物中の樹脂成分とは、樹脂組成物の不揮発成分のうち(C)無機充填材を除いた成分を表す。
【0032】
<(B)活性エステル系硬化剤>
樹脂組成物は、(B)成分として、(B)活性エステル系硬化剤を含有する。この(B)成分としての(B)活性エステル系硬化剤には、上述した(A)成分に該当するものは含めない。(B)活性エステル系硬化剤は、通常、(A)エポキシ樹脂との反応により結合を形成して、樹脂組成物を硬化させうる。(A)成分と(B)活性エステル系硬化剤とを組み合わせて樹脂組成物に含有させることで誘電特性が低い硬化物を得ることができる。(B)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(B)活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0034】
具体的には、(B)成分としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤等が挙げられ、ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤が好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤が好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
【0035】
(B)成分の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル系硬化剤として「HP-B-8151-62T」、「EXB9416-70BK」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150L-65T」、「EXB-8150-65T」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」(DIC社製)、「PC1300-02-65T」(エア・ウォーター社製);りん含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);「EXB-8500-65T」(DIC社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
【0036】
(B)成分の活性エステル基当量は、誘電正接を低くできるとともに、ピール強度に優れた硬化物を得る観点から、好ましくは50g/eq.~500g/eq.、より好ましくは50g/eq.~400g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性エステル基当量は、1当量の活性エステル基を含む活性エステル系硬化剤の質量である。
【0037】
(A)エポキシ樹脂と(B)活性エステル系硬化剤との量比は、[活性エステル系硬化剤の活性基の合計数]/[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]の比率で、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「活性エステル系硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する活性エステル系硬化剤の不揮発成分の質量を活性エステル基当量で除した値を全て合計した値である。エポキシ樹脂と活性エステル系硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることが可能になる。
【0038】
(B)成分の含有量は、誘電特性に優れた硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。また、上限は好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0039】
(B)成分の含有量は、誘電特性に優れた硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0040】
<(C)無機充填材>
樹脂組成物は、(C)成分として、(C)無機充填材を含有する。(C)無機充填材を樹脂組成物に含有させることで誘電特性が低い硬化物を得ることができる。(C)無機充填材は、通常、粒子の状態で樹脂組成物に含まれる。(C)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。
【0042】
(C)無機充填材は、内部に空孔を有する(C-1)中空無機充填材と、内部に空孔を有さない(C-2)中実無機充填材とに分類できる。(C)無機充填材は、(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材のいずれかを含むことが好ましく、誘電特性を低い硬化物を得る観点から、(C-1)中空無機充填材を含むことがより好ましい。
【0043】
(C-1)中空無機充填材は、粒子内部に1個の空孔のみを有する単中空粒子であってもよく、粒子内部に2個以上の空孔を有する多中空粒子であってもよく、単中空粒子と他中空粒子との組み合わせであってもよい。
【0044】
(C-1)中空無機充填材は、空孔を有するので、通常、0体積%より大きい空孔率を有する。(C-1)中空無機充填材の空孔率は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上、特に好ましくは20体積%以上である。また、樹脂組成物の硬化物の機械的強度の観点から、(C-1)中空無機充填材の空孔率は、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下、特に好ましくは70体積%以下である。
【0045】
無機充填材の空孔率P(体積%)は、粒子の外面を基準とした粒子全体の体積に対する粒子内部に1個又は2個以上存在する空孔の合計体積の体積基準割合(空孔の合計体積/粒子の体積)として定義され、例えば、無機充填材の実際の密度の測定値D(g/cm)、及び無機充填材を形成する材料の物質密度の理論値D(g/cm)を用いて、下記式(1)により算出される。
【数1】
【0046】
(C-1)中空無機充填材は、一般に、粒子内に形成された空孔と、この空孔を囲む無機材料で形成された外殻部とを有する。通常、空孔は、外殻部によって粒子外部から区画されている。この際、空孔は、粒子外部とは連通していないことが好ましい。よって、外殻部は、空孔と粒子外部とを連通する孔を有さない無気孔の殻であることが好ましい。外殻部が無気孔であることは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認できる。
【0047】
(C-1)中空無機充填材の平均粒径は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
【0048】
粒子の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、粒子の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。無機充填材の測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0049】
(C-1)中空無機充填材のBET比表面積は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは5m/g以上であり、好ましくは100m/g以下、より好ましくは50m/g以下、特に好ましくは30m/g以下である。粒子のBET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
【0050】
(C-1)中空無機充填材は、市販品を用いてもよい。市販の(C-1)中空無機充填材としては、例えば、太平洋セメント社製「MG-005」、宇部エクシモ社製「LHP-208」等が挙げられる。
【0051】
また、(C-1)中空無機充填材は、例えば、特許第5940188号公報に記載の方法又はこれに準ずる方法により製造してもよい。具体例を挙げると、(C-1)中空無機充填材の一例としての中空シリカ粒子は、空孔を形成しうる物質及び塩基性化合物を含む水溶液を用意する工程;前記水溶液とアルコキシシランとを混合し、撹拌して、シリカ粒子を析出させる工程;シリカ粒子から、空孔を形成しうる物質を除去して、中空シリカ前駆体を得る工程;並びに、中空シリカ前駆体を焼成する工程;を含む方法によって、製造できる。
【0052】
また、(C-1)中空無機充填材は、例えば、特許第5864299号公報に記載の方法又はこれに準ずる方法により製造してもよい。具体例を挙げると、(C-1)中空無機充填材の一例としての中空シリカ粒子は、中空部を形成可能な物質、及び塩基性化合物を含む水溶液を調整する(a)工程;前記水溶液にアルコキシシランを添加して0℃~100℃で撹拌し、シリカ粒子を析出させる(b)工程;(b)工程により得られたシリカ粒子から中空部を形成可能な物質を除去し、中空シリカ前駆体を得る(c)工程;(c)工程により得られた中空シリカ前駆体を900℃を超える温度で焼成し、中空シリカを得る工程;を含む方法によって、製造できる。
【0053】
(C-1)中空無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、後述する(D)成分以外の表面処理剤で処理されていてもよい。(D)成分以外の表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0054】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0055】
(D)成分以外の表面処理剤による表面処理の程度は、分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~8質量%の(D)成分以外の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~5質量%の(D)成分以外の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~3質量%の(D)成分以外の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
【0056】
(D)成分以外の表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
【0057】
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0058】
(C-1)中空無機充填材の含有量(質量%)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0059】
(C-1)中空無機充填材の含有量(体積%)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、さらに好ましくは50体積%以下である。
【0060】
(C-1)成分の比重は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは3.50g/cm以下、より好ましくは3.00g/cm以下、さらに好ましくは2.50g/cm以下であり、好ましくは0.05g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上、さらに好ましくは1.0g/cm以上である。比重の測定は後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。
【0061】
(C-2)中実無機充填材は、空孔率が0体積%の無機充填材である。(C-2)中実無機充填材は市販品を用いてもよい。(C-2)中実無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルスフィアーズ」「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」、「BA-1」などが挙げられる。
【0062】
(C-2)中実無機充填材の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。(C-2)成分の平均粒径は、(C-1)中空無機充填材の平均粒径と同様の方法にて測定することができる。
【0063】
(C-2)中実無機充填材のBET比表面積は、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上であり、好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下、さらに好ましくは40m/g以下である。(C-2)成分のBET比表面積は、(C-2)成分のBET比表面積と同様の方法にて測定することができる。
【0064】
(C-2)中実無機充填材は、(C-1)中空無機充填材と同じく、(D)成分以外の表面処理剤で処理されていてもよい。(D)成分以外の表面処理剤、及びその表面処理の程度、カーボン量等は上記したとおりである。
【0065】
(C-2)中実無機充填材の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0質量%でもよく、0質量%より多くてもよく、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
【0066】
(C-2)中実無機充填材の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、0体積%でもよく、0体積%より多くてもよく、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは20体積%以上であり、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。
【0067】
(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材の両方を包含した(C)無機充填材全体に含まれる空孔の割合は、(C)無機充填材の空孔率(体積%)として求められる。(C)無機充填材の空孔率(体積%)は、(C)無機充填材の体積に占める空孔の割合を体積基準で表す代表値であり、「空孔の合計体積/(C)無機充填材の合計体積」で表される。(C)無機充填材の空孔率の具体的な範囲は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上、さらに好ましくは20体積%以上であり、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70体積%以下、さらに好ましくは60体積%以下である。
【0068】
(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材の両方を包含した(C)無機充填材全体の平均粒径は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
【0069】
(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材の両方を包含した(B)無機充填材全体のBET比表面積は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、さらに好ましくは5m/g以上であり、好ましくは100m/g以下、より好ましくは50m/g以下、さらに好ましくは30m/g以下である。
【0070】
(C)成分が、(C-1)中空無機充填材及び(C-2)中実無機充填材の両方を包含する場合、全無機充填材に占める(C-1)中空無機充填材の含有量(体積%)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、全無機充填材の含有量を100体積%とした場合、好ましくは0体積%、より好ましくは0体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上であり、好ましくは100体積%、より好ましくは100体積%以下、さらに好ましくは75体積%以下である。
【0071】
(C)無機充填材の含有量(質量%)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
【0072】
(C)無機充填材の含有量(体積%)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上であり、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下、特に好ましくは70体積%以下である。
【0073】
<(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物>
樹脂組成物は、(D)成分として、(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物を含有する。この(D)成分としての(D)環構成原子としてケイ素原子を有するシラン化合物は、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)成分を樹脂組成物に含有させることで、ハローイング現象を抑制することができる。(D)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0074】
(D)成分としては、環状構造を有し、該環状構造を構成する環構成原子としてケイ素原子を含む化合物を用いることができる。環状構造は、単環、多環、又は縮合環であってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、単環が好ましい。また、環状構造は、飽和環状構造であってもよく、不飽和環状構造であってもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、飽和環状構造が好ましい。環状構造は、3~10員環が好ましく、4~6員環がより好ましく、5又は6員環がさらに好ましく、5員環が特に好ましい。
【0075】
環状構造は、環構成原子としてケイ素原子に加えて炭素原子を有する。また、環構成原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。(D)成分は、本発明の効果を顕著に得る観点から、環構成原子として、ケイ素原子、炭素原子、及び窒素原子を有することが好ましく、(D)成分は、環状シラザン化合物であることが好ましい。
【0076】
環構成原子としてのケイ素原子数は、好ましくは1~5、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。また、環構成原子としてヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
【0077】
(D)成分は、1分子中に1~3個の環状構造を有することが好ましく、1又は2個の環状構造を有することが好ましく、1個の環状構造を有することがさらに好ましい。
【0078】
(D)成分における、環構成原子としてケイ素原子は、アルコキシ基と結合していることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。中でも、アルコキシ基としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、メトキシ基が好ましい。
【0079】
(D)成分としては、式(D-1)で表される化合物が好ましい。
【化1】
式中、R及びRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の1価の炭化水素基を表し、Aは、ヘテロ原子を表す。nは1~4の整数を表す。
【0080】
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の1価の炭化水素基を表す。炭素原子数1~20の1価の炭化水素基は、炭素原子数1~15の1価の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~10の1価の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1~6の1価の炭化水素基がさらに好ましい。この炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めない。1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよく、好ましい炭素原子数は上記したとおりである。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基等が挙げられる。アルケニル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよく、好ましい炭素原子数は上記したとおりである。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、メタリル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基等が挙げられる。アリール基が好ましく、Rは、本発明の効果を顕著に得る観点から、アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。またRは、本発明の効果を顕著に得る観点から、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0081】
及びRが表す1価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、-OH、-O-C1-6アルキル基、-N(C1-10アルキル基)、C1-20アルキル基、C2-30アルケニル基、C2-30アルキニル基、C6-10アリール基、-NH、-CN、-C(O)O-C1-10アルキル基、-COOH、-C(O)H、-NO等が挙げられる。ここで、「Cp-q」(p及びqは正の整数であり、p<qを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がp~qであることを表す。例えば、「C1-10アルキル基」という表現は、炭素原子数1~10のアルキル基を示す。これら置換基は、互いに結合して環を形成していてもよく、環構造は、スピロ環や縮合環も含む。
【0082】
Aは、ヘテロ原子を表し、ヘテロ原子については上記したとおりである。
【0083】
nは1~4の整数を表し、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
【0084】
(D)成分としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-メチルジメトキシシリルメチルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-メチルジエトキシシリルメチルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル
)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-メチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-ブチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-シクロヘキシル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(2-メトキシカルボニル-2-メチル)エチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-トリメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-メチルジメトキシシリルメチルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-メチルジメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-ジメチルメトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-トリエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-トリエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-メチルジエトキシシリルメチルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-メチルジエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-メチルジエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジ
メトキシ-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-ジメチルエトキシシリルメチル-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(3-ジメチルエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ-2-メチル-1-(4-ジメチルエトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、テトラキス(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ビス(3-グリシジルオキシプロピル)-ヘキサアルキルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
【0085】
(D)成分は市販品を用いてもよい。市販品としては、信越化学工業社製「X-88-398」(2,2-ジメトキシ-1-フェニル-1-アザ-2-シラシクロペンタン)、信越シリコーン社製の「KR-470」、「X-40-2678」、「X-40-2728」等が挙げられる。
【0086】
本発明の樹脂組成物中に含まれる(D)成分の態様は特に限定されないが、下記(i)~(iii)の態様のいずれかで樹脂組成物中に含有することが好ましく、(ii)及び(iii)の態様のいずれかで樹脂組成物中に含有することがより好ましく、(iii)の態様で樹脂組成物中に含有することがさらに好ましい。
(i)(D)成分単独で樹脂組成物中に含有。
(ii)(D)成分が(C)無機充填材の表面処理剤として含有。
(iii)(D)成分が(C)無機充填材の表面処理剤として含有しているとともに、(D)成分単独で樹脂組成物中に含有。
【0087】
「(D)成分が(C)無機充填材の表面処理剤として含有」とは、(C)無機充填材が(D)成分で表面処理されていることを表す。この場合、(D)成分は通常、(C)無機充填材の表面に存在する。また、「(D)成分単独で樹脂組成物中に含有」とは、(D)成分が(C)無機充填材の表面処理剤として含有していないことを表す。なお、(D)成分が(C)無機充填材の表面処理剤として含有していない場合は、(D)成分は樹脂組成物中に遊離している。本発明では、(D)成分により、(C)無機充填材の表面を均一に表面処理を行うことができるので、ハローイング現象を効果的に抑制可能になる。
【0088】
(D)成分が(C)成分の表面処理剤として含有する場合、(D)成分の含有量は、ハローイング現象を抑制する観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0089】
(D)成分が(C)成分の表面処理剤として含有する場合、(D)成分の含有量は、ハローイング現象を抑制する観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0090】
(D)成分が(C)成分の表面処理剤として含有する場合、(D)成分による表面処理の程度((D)成分の含有量)は、ハローイング現象を抑制する観点から、(C)無機充填材100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、又は0.6質量%以上であり、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
【0091】
樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(B)成分の含有量(質量%)をbとし、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の(D)成分の含有量(質量%)をdとしたとき、b/dは、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、20以下、15以下、又は10以下である。b/dを斯かる範囲内となるように(B)成分及び(D)成分の含有量を調整することで、誘電特性が低い硬化物を得ることができるとともに、ハローイング現象を抑制することもできる。
【0092】
<(E)硬化剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、さらに(E)硬化剤を含有していてもよい。この(E)成分としての(E)硬化剤には、上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。(E)硬化剤としては、(A)成分と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する化合物を用いることができ、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤などが挙げられる。中でも、(E)硬化剤は、本発明の効果を顕著に得る観点から、フェノール系硬化剤を含むことが好ましい。(E)硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0093】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。
【0094】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA3018-50P」、「EXB-9500」、「KA-1163」等が挙げられる。
【0095】
カルボジイミド系硬化剤は、1分子中にカルボジイミド基(-N=C=N-)を1個以上有する化合物であり、カルボジイミド系硬化剤は、1分子中にカルボジイミド基を2個以上有する化合物が好ましい。
【0096】
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、市販のカルボジイミド系硬化剤としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライトV-03(カルボジイミド基当量:216g/eq.、V-05(カルボジイミド基当量:262g/eq.)、V-07(カルボジイミド基当量:200g/eq.);V-09(カルボジイミド基当量:200g/eq.);ラインケミー社製のスタバクゾールP(カルボジイミド基当量:302g/eq.)が挙げられる。
【0097】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
【0098】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0099】
(A)成分と(E)成分との量比は、[(A)成分のエポキシ基の合計数]:[(E)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:10の範囲が好ましく、1:0.05~1:8がより好ましく、1:0.08~1:5がさらに好ましい。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(A)成分の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「(E)成分の活性基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(E)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(E)成分として、(A)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0100】
(A)成分と(B)成分及び(E)成分との量比は、[(A)成分のエポキシ基の合計数]:[(B)成分及び(E)成分の活性基の合計数]の比率で、1:0.01~1:10の範囲が好ましく、1:0.3~1:5がより好ましく、1:0.4~1:4がさらに好ましい。ここで、「(B)成分及び(E)成分の活性基の合計数」とは、樹脂組成物中に存在する(B)成分及び(E)成分の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(A)成分と(B)成分及び(E)成分との量比をかかる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0101】
(E)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。上限は、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0102】
(E)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0103】
<(F)硬化促進剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、さらに、(F)成分として硬化促進剤を含有していてもよい。この(F)成分としての(F)硬化促進剤には、上述した(A)~(E)成分に該当するものは含めない。(F)成分を含有させることで、(A)成分の硬化をより促進させることが可能となる。(F)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
(F)成分としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、アミン系硬化促進剤、及び金属系硬化促進剤から選ばれる硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤が特に好ましい。
【0105】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
【0106】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
【0107】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0108】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
【0109】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2MZA-PW」、「2PHZ-PW」、「C11Z-A」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0110】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0111】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。
【0112】
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
【0113】
(F)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0114】
(F)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0115】
<(G)熱可塑性樹脂>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、さらに(G)熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。この(G)成分としての(G)熱可塑性樹脂には、上述した(A)~(F)成分に該当するものは含めない。
【0116】
(G)熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。(G)熱可塑性樹脂は、一実施形態において、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、フェノキシ樹脂を含むことがより好ましい。また、熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0117】
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
【0118】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
【0119】
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
【0120】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
【0121】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
【0122】
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0123】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0124】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0125】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0126】
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
【0127】
ポリカーボネート樹脂としては、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
【0128】
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0129】
(G)熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を顕著に得る観点から好ましくは5,000以上、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
【0130】
(G)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0131】
(G)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0132】
<(H)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。(H)その他の添加剤としては、例えば、ラジカル重合性化合物;エラストマー;重合開始剤;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤;第三級アミン類等の光重合開始助剤;ピラリゾン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類等の光増感剤;が挙げられる。(H)その他の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0133】
<(I)溶剤>
樹脂組成物は、上述した不揮発成分以外に、揮発性成分として、さらに任意の溶剤を含有していてもよい。(I)溶剤としては、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではなく、有機溶剤であることが好ましい。(I)溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(I)溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0134】
樹脂組成物は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物の全成分100質量%に対して、0.5質量%以上6質量%以下の(I)溶剤を含むことが好ましい。具体的には、(I)溶剤は、樹脂組成物の全成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上含むことが好ましい。
【0135】
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合・分散する方法などが挙げられる。
【0136】
<樹脂組成物の物性、用途>
本発明の樹脂組成物を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を得ることができる。この絶縁層にビアホールを形成し、粗化処理を施した場合に、ハローイング現象を抑制することができる。以下、これらの効果について、図面を参照して説明する。
【0137】
図1は、本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物をシート状に硬化させて得た絶縁層100を、内層基板200と共に模式的に示す断面図である。この図1においては、ビアホール110のボトム120の中心120Cを通り且つ絶縁層100の厚み方向に平行な平面で、絶縁層100を切断した断面を示す。
【0138】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る絶縁層100は、導体層210を含む内層基板200上に形成された樹脂組成物層を硬化させて得られた層であって、前記樹脂組成物層の硬化物からなる。また、絶縁層100には、ビアホール110が形成されている。ビアホール110は、一般に、導体層210とは反対側の絶縁層100の面100Uに近いほど径が大きく、導体層210に近いほど径が小さい順テーパ状に形成され、理想的には、絶縁層100の厚み方向において一定の径を有する柱状に形成される。このビアホール110は、通常、導体層210とは反対側の絶縁層100の面100Uにレーザー光を照射して、絶縁層100の一部を除去することで、形成される。
【0139】
前記のビアホール110の導体層210側のボトムを、適宜「ビアボトム」と呼び、符号120で示す。そして、このビアボトム120の径を、ボトム径Lbと呼ぶ。また、ビアホール110の導体層210とは反対側に形成された開口を、適宜「ビアトップ」と呼び、符号130で示す。そして、このビアトップ130の径を、トップ径Ltと呼ぶ。通常、ビアボトム120及びビアトップ130は、絶縁層100の厚み方向から見た平面形状が円形状に形成されるが、楕円形状であってもよい。ビアボトム120及びビアトップ130の平面形状が楕円形状である場合、そのボトム径Lb及びトップ径Ltは、それぞれ、前記の楕円形状の長径を表す。
【0140】
このとき、ボトム径Lbをトップ径Ltで割って得られるテーパー率Lb/Lt(%)が100%に近いほど、そのビアホール110の形状は良好である。本発明の樹脂組成物層を用いれば、ビアホール110の形状を容易に制御することが可能であるので、テーパー率Lb/Ltが100%に近いビアホール110を実現することができる。
【0141】
例えば、樹脂組成物を100℃で30分間加熱し、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100に、マスク径1mm、パルス幅16μs、エネルギー0.2mJ/ショット、ショット数2、バーストモード(10kHz)の条件でCOレーザー光を照射して、トップ径Ltが約70μmのビアホール110を形成した場合、そのビアホール110のテーパー率Lb/Ltを、好ましくは75%~100%、より好ましくは80%~100%、特に好ましくは85%~100%にできる。
【0142】
ビアホール110のテーパー率Lb/Ltは、ビアホール110のボトム径Lb及びトップ径Ltから計算できる。また、ビアホール110のボトム径Lb及びトップ径Ltは、FIB(集束イオンビーム)を用いて、絶縁層100を、当該絶縁層100の厚み方向に平行で且つビアボトム120の中心120Cを通る断面が現れるように削り出した後、その断面を電子顕微鏡で観察することにより、測定できる。
【0143】
図2は、本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物をシート状に硬化させて得た絶縁層100の、導体層210(図2では図示せず。)とは反対側の面100Uを模式的に示す平面図である。
【0144】
図2に示すように、ビアホール110を形成された絶縁層100を見ると、このビアホール110の周囲に、絶縁層100が変色した変色部140が観察されることがある。この変色部140は、ビアホール110の形成時における樹脂劣化によって形成されうるもので、通常、ビアホール110から連続して形成される。また、多くの場合、変色部140は、白化部分となっている。
【0145】
図3は、本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物をシート状に硬化させて得た、粗化処理後の絶縁層100を、内層基板200と共に模式的に示す断面図である。この図3においては、ビアホール110のビアボトム120の中心120Cを通り且つ絶縁層100の厚み方向に平行な平面で、絶縁層100を切断した断面を示す。
【0146】
図3に示すように、ビアホール110が形成された絶縁層100に粗化処理を施すと、ハローイング現象が生じて、変色部140の絶縁層100が導体層210から剥離し、ビアボトム120のエッジ150から連続した間隙部160が形成されることがある。この間隙部160は、通常、粗化処理の際に変色部140が浸食されて形成される。
【0147】
本発明の樹脂組成物を用いることにより、前記のハローイング現象を抑制できる。そのため、導体層210からの絶縁層100の剥離を抑制することができるので、間隙部160のサイズを小さくできる。
【0148】
ビアボトム120のエッジ150は、間隙部160の内周側の縁部に相当する。よって、ビアボトム120のエッジ150から、間隙部160の外周側の端部(即ち、ビアボトム120の中心120Cから遠い側の端部)170までの距離Wbは、間隙部160の面内方向のサイズに相当する。ここで、面内方向とは、絶縁層100の厚み方向に垂直な方向をいう。また、以下の説明において、前記の距離Wbを、ビアホール110のビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbということがある。このビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbにより、ハローイング現象の抑制の程度を評価できる。具体的には、ビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbが小さいほど、ハローイング現象を効果的に抑制できたと評価できる。
【0149】
例えば、樹脂組成物を含む樹脂組成物層を100℃で30分間加熱し、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100に、マスク径1mm、パルス幅16μs、エネルギー0.2mJ/ショット、ショット数2、バーストモード(10kHz)の条件でCOレーザー光を照射して、トップ径Ltが約70μmのビアホール110を形成する。その後、膨潤液に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液に80℃で10分間浸漬し、次いで、中和液に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥する。
【0150】
ビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbは、FIB(集束イオンビーム)を用いて、絶縁層100を、当該絶縁層100の厚み方向に平行で且つビアボトム120の中心120Cを通る断面が現れるように削り出した後、その断面を電子顕微鏡で観察することにより、測定できる。
【0151】
また、本発明の樹脂組成物を用いることにより、粗化処理前の絶縁層100のビアホール110の形状を容易に制御できるので、通常は、粗化処理後の絶縁層100でも、ビアホール110の形状を容易に制御することが可能である。よって、粗化処理後においても、粗化処理前と同じく、ビアホール110の形状を良好にできる。したがって、本発明の樹脂組成物を用いれば、粗化処理後の絶縁層において、テーパー率Lb/Ltが100%に近いビアホール110を実現することができる。
【0152】
例えば、樹脂組成物層を100℃で30分間加熱し、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100に、マスク径1mm、パルス幅16μs、エネルギー0.2mJ/ショット、ショット数2、バーストモード(10kHz)の条件でCOレーザー光を照射して、トップ径Ltが約70μmのビアホール110を形成する。その後、膨潤液に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液に80℃で10分間浸漬し、次いで、中和液に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥する。本発明の樹脂組成物を用いれば、このようにして得られた絶縁層100に形成されたビアホール110のテーパー率Lb/Ltを、好ましくは76%~100%、より好ましくは80%~100%、特に好ましくは85%~100%にできる。
【0153】
ビアホール110のテーパー率Lb/Ltは、ビアホール110のボトム径Lb及びトップ径Ltから計算できる。また、ビアホール110のボトム径Lb及びトップ径Ltは、FIB(集束イオンビーム)を用いて、絶縁層100を、当該絶縁層100の厚み方向に平行で且つビアボトム120の中心120Cを通る断面が現れるように削り出した後、その断面を電子顕微鏡で観察することにより、測定できる。
【0154】
さらに、本発明者の検討によれば、一般に、ビアホール110の径が大きいほど、変色部140のサイズが大きくなり易いので、間隙部160のサイズも大きくなり易い傾向があることが判明している。よって、ビアホール110の径に対する間隙部160のサイズの比率によって、ハローイング現象の抑制の程度を評価できる。例えば、ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbにより、評価ができる。ここで、ビアホール110のボトム半径Lb/2とは、ビアホール110のビアボトム120の半径をいう。また、ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbとは、ビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbを、ビアホール110のボトム半径Lb/2で割って得られる比率である。ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbが小さいほど、ハローイング現象を効果的に抑制できたことを表す。
【0155】
例えば、樹脂組成物を100℃で30分間加熱し、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100に、マスク径1mm、パルス幅16μs、エネルギー0.2mJ/ショット、ショット数2、バーストモード(10kHz)の条件でCOレーザー光を照射して、トップ径Ltが30μm±2μmのビアホール110を形成する。その後、膨潤液に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液に80℃で10分間浸漬し、次いで、中和液に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥する。本発明の樹脂組成物を用いれば、このようにして得られた絶縁層100に形成されたビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbを、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下にできる。
【0156】
ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbは、ビアホール110のボトム径Lb、及び、ビアホール110のビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbから計算できる。
【0157】
さらに、通常は、本発明の樹脂組成物を用いることにより、ビアホール110の形成時の変色部140の形成を抑制できる。そのため、図2に示すように、変色部140のサイズを小さくでき、理想的には変色部140を無くすことができる。変色部140のサイズは、ビアホール110のビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtによって評価できる。
【0158】
ビアトップ130のエッジ180は、変色部140の内周側の縁部に相当する。ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtとは、ビアトップ130のエッジ180から、変色部140の外周側の縁部190までの距離を表す。ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtが小さいほど、変色部140の形成を効果的に抑制できたと評価できる。
【0159】
ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtは、光学顕微鏡による観察によって測定できる。
【0160】
また、本発明者の検討によれば、一般に、ビアホール110の径が大きいほど、変色部140のサイズが大きくなり易い傾向があることが判明している。よって、ビアホール110の径に対する変色部140のサイズの比率によって、変色部140の形成の抑制の程度を評価できる。例えば、ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htにより、評価ができる。ここで、ビアホール110のトップ半径Lt/2とは、ビアホール110のビアトップ130の半径をいう。また、ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htとは、ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtを、ビアホール110のトップ半径Lt/2で割って得られる比率である。ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htが小さいほど、変色部140の形成を効果的に抑制できたことを表す。
【0161】
例えば、樹脂組成物層を100℃で30分間加熱し、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100に、マスク径1mm、パルス幅16μs、エネルギー0.2mJ/ショット、ショット数2、バーストモード(10kHz)の条件でCOレーザー光を照射して、トップ径Ltが約70μmのビアホール110を形成した場合、ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htを、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下にできる。
【0162】
ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htは、ビアホール110のトップ径Lt、及び、ビアホール110のビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtから計算できる。
【0163】
プリント配線板の製造過程において、ビアホール110は、通常、導体層210とは反対側の絶縁層100の面100Uに別の導体層(図示せず)が設けられていない状態で、形成される。そのため、プリント配線板の製造過程が分かれば、導体層210側にビアボトム120があり、導体層210とは反対側にビアトップ130が開口している構造が、明確に認識できる。しかし、完成したプリント配線板では、絶縁層100の両側に導体層が設けられている場合がありうる。この場合、導体層との位置関係によってビアボトム120とビアトップ130とを区別することが難しいことがありえる。しかし、通常、ビアトップ130のトップ径Ltは、ビアボトム120のボトム径Lb以上の大きさである。したがって、前記の場合、径が大きさによって、ビアボトム120とビアトップ130とを区別することが可能である。
【0164】
本発明の樹脂組成物は、ハローイング現象を抑制すること以外に、誘電特性が低い硬化物を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物を硬化させることで、通常は、破断点伸度に優れる絶縁層を得られる。
【0165】
樹脂組成物を200℃で90分間熱硬化させた硬化物は、誘電正接が低いという特性を示す。よって、前記硬化物は、誘電正接が低い絶縁層をもたらす。誘電正接は、好ましくは0.008以下、より好ましくは0.005以下、さらに好ましくは0.004以下である。誘電正接の下限値は、0.0001以上等とし得る。誘電正接の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0166】
樹脂組成物を200℃で90分間熱硬化させた硬化物は、比誘電率が低いという特性を示す。よって、前記硬化物は、比誘電率が低い絶縁層をもたらす。比誘電率は、好ましくは4以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3以下である。比誘電率の下限値は、1以上等とし得る。比誘電率の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0167】
樹脂組成物を200℃で90分間熱硬化させた硬化物は、通常、破断点伸度が高いという特性を示す。よって、前記硬化物は、破断点伸度が高い絶縁層をもたらす。破断点伸度は、JIS K7127に準拠した引っ張り試験により行われる。破断点伸度は、好ましくは1%以上、より好ましくは1.3%以上、さらに好ましくは1.7%以上である。破断点伸度の上限は10%以下等とし得る。破断点伸度の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0168】
本発明の樹脂組成物は、誘電特性が低く、ハローイング現象を抑制できる硬化物を得ることが可能になる。さらに、破断点伸度に優れる硬化物を得ることが可能となる。したがって、本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として好適に使用することができる。具体的には、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。
【0169】
また、後述する多層プリント配線板において、多層プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(多層プリント配線板の絶縁層形成用樹脂組成物)、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。
【0170】
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本発明の樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用の樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適に使用することができる。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に更に再配線層を形成してもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
【0171】
[接着フィルム]
本発明の接着フィルムは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
【0172】
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
【0173】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0174】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0175】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0176】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0177】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0178】
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0179】
一実施形態において、接着フィルムは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0180】
接着フィルムは、例えば、溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。溶剤については上記したとおりである。
【0181】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0182】
接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。接着フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0183】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
【0184】
プリント配線板は、例えば、上述の接着フィルムを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、接着フィルムの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
【0185】
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用し得る。
【0186】
内層基板と接着フィルムの積層は、例えば、支持体側から接着フィルムを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。接着フィルムを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を接着フィルムに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に接着フィルムが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0187】
内層基板と接着フィルムの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
【0188】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0189】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された接着フィルムの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0190】
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
【0191】
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0192】
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
【0193】
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間)予備加熱してもよい。
【0194】
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(II)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
【0195】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0196】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」、「スウェリングディップ・セキュリガントP」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に1分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0197】
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0198】
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0199】
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0200】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0201】
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0202】
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0203】
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
【0204】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【0205】
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0206】
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
【実施例0207】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、別途明示のない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
【0208】
<無機充填材の平均粒径の測定>
無機充填材100mg、及びメチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散した。レーザー回折式粒径分布測定装置(堀場製作所社製「LA-960」)を使用して、使用光源波長を青色および赤色とし、フローセル方式で無機充填材の粒径分布を体積基準で測定した。得られた粒径分布から、メディアン径として、無機充填材の平均粒径を算出した。
【0209】
<無機充填材の平均空孔率の測定>
無機充填材の密度を、真密度測定装置(QUANTACHROME社製「ULTRAPYCNOMETER1000」)を用いて測定した。この測定では、窒素を測定ガスとして用いた。その後、測定された密度(測定値)D(g/cm)と、無機充填材を形成する無機材料(シリカ)の物質密度(理論値)D(g/cm)とを用いて、上記式(I)に従い、無機充填材の平均空孔率を測定した。上記式(I)において、無機材料としてのシリカの物質密度(理論値)は2.2g/cmとした。
【0210】
<合成例1:中空シリカ粒子1の製造>
特許第5864299号の記載に従い、中空シリカ粒子1を合成した。得られた中空シリカ粒子1の平均粒径は2.0μm、空孔率は50体積%であった。
【0211】
<実施例1>
中実シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO-C2」)280部とアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)1.68部を、MEK100部およびソルベントナフサ20部と混合して60℃で2時間加熱攪拌した後、室温にまで冷却した。これにより、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した中実シリカを含む攪拌液を得た。その攪拌液に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180g/eq.)30部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、エポキシ当量約269g/eq.)30部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151g/eq.、不揮発成分50%の2-メトキシプロパノール溶液)14部、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)40部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX6954BH30」、不揮発成分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部、硬化促進剤(「DMAP」、4-ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液)6部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
【0212】
支持体としてアルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離形処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚さ38μm)を用意した。該支持体の離型層上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように樹脂ワニスをダイコーターにて均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で4分間乾燥させて、接着フィルムを作製した。
【0213】
<実施例2>
実施例1において、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した中実シリカを含む攪拌液を、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した中実シリカ及びアミノシランカップリング剤で表面処理した中空シリカを含む攪拌液に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0214】
アミノシラン系カップリング剤で表面処理した中実シリカ及びアミノシランカップリング剤で表面処理した中空シリカを含む攪拌液は、以下の方法により得た。
中実シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO-C2」)140部と、中空シリカ(平均粒径0.5μm、空孔率50体積%、宇部エクシモ社製「LHP-208」)70部と、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)2.24部を、MEK100部およびソルベントナフサ20部と混合して60℃で2時間加熱攪拌した後、室温にまで冷却した。これにより、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した中実シリカ及びアミノシランカップリング剤で表面処理した中空シリカを含む攪拌液を得た。
【0215】
<実施例3>
実施例2において、
1)中空シリカ(平均粒径0.5μm、空孔率50体積%、宇部エクシモ社製「LHP-208」)70部を、中空シリカ粒子1(平均粒径2.0μm、空孔率50体積%)70部に変え、
2)シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)の量を2.24部から3.08部に変えた。
以上の事項以外は実施例2と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0216】
<実施例4>
実施例1において、
1)中実シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO-C2」)280部を、中空シリカ粒子1(平均粒径2.0μm、空孔率50体積%)140部に変え、
2)シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)の量を1.68部から4.48部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0217】
<実施例5>
実施例1において、シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)の量を1.68部から0.84部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0218】
<実施例6>
実施例4において、シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)の量を4.48部を2.24部に変えた。以上の事項以外は実施例4と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0219】
<比較例1>
実施例1において、シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)1.68部を、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)1.68部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0220】
<比較例2>
実施例4において、シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)4.88部を、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)4.48部に変えた。以上の事項以外は実施例4と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0221】
<比較例3>
実施例4において、シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)4.88部を、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)8.96部に変えた。以上の事項以外は実施例4と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0222】
<比較例4>
実施例1において、シラン系カップリング剤(信越化学工業社製「X-88-398」)4.88部を用いなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂ワニス、接着フィルムを作製した。
【0223】
<評価用硬化物の作製>
実施例および比較例で作製した厚さ40μmの接着フィルムを、200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、支持体を剥離した。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。
【0224】
<比誘電率および誘電正接の測定>
評価用硬化物を、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて比誘電率および誘電正接を測定した。2本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
【0225】
<破断点伸度の測定>
評価用硬化物について、日本工業規格(JIS K7127)に準拠して、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製「RTC-1250A」)により引っ張り試験を行い、破断点伸度を測定した。
【0226】
<ハローイングの評価用サンプルの作製>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.4mm、パナソニック社製R1515A)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製CZ8101)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
【0227】
(2)支持体付き接着フィルムのラミネート
バッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製、MVLP-500)を用いて、作製した各接着フィルムを内層回路基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
【0228】
(3)樹脂組成物層の硬化
ラミネートされた接着フィルムを130℃、30分続けて170℃、30分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成した。
【0229】
(4)ビアホール形成
COレーザー加工機(日立ビアメカニクス社製、LC-2E21B/1C)を使用し、マスク径1.60mm、フォーカスオフセット値0.050、パルス幅25μs、パワー0.66W、アパーチャー13、ショット数2、バーストモード(10kHz)の条件で絶縁層を穴あけして、絶縁層表面におけるビアホールのトップ径(直径)が約50μmとなるようにビアホールを複数形成した。その後、支持体を剥離した。
【0230】
(5)粗化処理
絶縁層を形成した内層回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン社製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスウェリングディップ・セキュリガントP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションショリューシン・セキュリガントP(硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬し、その後80℃で30分間乾燥した。この基板を評価用基板と称する。
【0231】
<粗化処理後のビアホールの寸法、ハローイング距離、及びハローイング比の測定>
評価用基板について、FIB-SEM複合装置(SIIナノテクノロジー社製「SMI3050SE」)を用いて、断面観察を行った。詳細には、FIB(集束イオンビーム)を用いて、絶縁層を、当該絶縁層の厚み方向に平行で且つビアホールのビアボトムの中心を通る断面が現れるように削り出した。この断面をSEMによって観察した。観察された画像から、ビアホールのボトム径、及びトップ径を測定した。
【0232】
また、SEMによって観察された画像には、ビアボトムのエッジから連続して、絶縁層が内層基板の銅箔層から剥離して形成された間隙部が見られた。そこで、観察された画像から、ビアボトムの中心からビアボトムのエッジまでの距離(間隙部の内周半径に相当)r1と、ビアボトムの中心から前記間隙部の遠い側の端部までの距離(間隙部の外周半径に相当)r2とを測定し、これら距離r1と距離r2との差(r2-r1)を、その測定地点のビアボトムのエッジからのハローイング距離として算出した。
【0233】
前記の測定を、無作為に選んだ5か所のビアホールで行った。そして、測定された5箇所のビアホールのトップ径の平均を、そのサンプルの粗化処理後のトップ径Ltとして採用した。また、測定された5箇所のビアホールのボトム径の平均を、そのサンプルの粗化処理後のボトム径Lbとして採用した。さらに、測定された5箇所のビアホールのハローイング距離の平均を、そのサンプルのビアボトムのエッジからのハローイング距離Wbとして採用した。
【0234】
前記測定結果から、テーパー率(粗化処理後のビアホールのトップ径Ltとボトム径Lbとの比「Lb/Lt」)と、ハローイング比Hb(粗化処理後のビアボトムのエッジからのハローイング距離Wbと、粗化処理後のビアホールのビアボトムの半径(Lb/2)との比「Wb/(Lb/2)」)を算出し、以下の基準で評価した。
〇:ハローイング比Hbが35%以下。
△:ハローイング比Hbが35%より大きく50%以下。
×:ハローイング比Hbが50%より大きい。
【0235】
【表1】
*表中、(C)成分の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の含有量を表し、(C)成分の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合の含有量を表す。(D)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合の含有量を表す。
【0236】
実施例1~6において、(E)成分~(G)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの、上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。
【符号の説明】
【0237】
100 絶縁層
100U 導体層とは反対側の絶縁層の面
110 ビアホール
120 ビアボトム
120C ビアボトムの中心
130 ビアトップ
140 変色部
150 ビアボトムのエッジ
160 間隙部
170 端部
180 ビアトップのエッジ
190 外周側の端部
200 内層基板
210 導体層(第1の導体層)
Lb ビアホールのボトム径
Lt ビアホールのトップ径
Wt ビアトップのエッジからのハローイング距離
Wb ビアボトムのエッジからのハローイング距離
図1
図2
図3