(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166985
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】テルピリジン化合物の製造方法およびC-グリコシド化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20241122BHJP
C07D 493/04 20060101ALI20241122BHJP
B01J 31/32 20060101ALI20241122BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241122BHJP
B01J 31/24 20060101ALN20241122BHJP
【FI】
C07D401/14
C07D493/04 101C
B01J31/32 Z
C07B61/00 300
B01J31/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083466
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 務
【テーマコード(参考)】
4C063
4C071
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063CC12
4C063DD12
4C063EE10
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC13
4C071DD06
4C071EE04
4C071FF15
4C071GG03
4C071GG05
4C071JJ05
4C071JJ06
4C071KK11
4C071LL05
4C071LL10
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BB08C
4G169BC62B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC66C
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC68C
4G169BC72B
4G169BD01B
4G169BD04B
4G169BD07B
4G169BD13A
4G169BD13B
4G169BD13C
4G169BE16A
4G169BE16B
4G169BE16C
4G169BE27B
4G169CB25
4G169CB62
4G169DA02
4H039CA42
4H039CD20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法の提供。
【解決手段】下記式(1):
で表される第1の原料化合物と、下記式(2):
で表される第2の原料化合物とを、触媒の存在下で反応させることによって、下記式(3):
で表されるテルピリジン化合物を合成する反応工程を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、またはカルボキシル基を示し、nは0~4の整数である。但し、nが0の場合、ピリジン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
2は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される第1の原料化合物と、
下記式(2):
【化2】
(式(2)中、R
3は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、またはカルボキシル基を示し、mは0~3の整数である。但し、mが0の場合、ベンゼン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を示す。)
で表される第2の原料化合物とを、触媒の存在下で反応させることによって、
下記式(3):
【化3】
(式(3)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、R
3およびmは、式(2)と同様である。)
で表されるテルピリジン化合物を合成する反応工程を含む、テルピリジン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記反応工程で得られた前記式(3)で表されるテルピリジン化合物を、第三級アミンを含む展開液を用いたクロマトグラフ法によって分取する、精製工程を含む、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記第三級アミンが、トリアルキルアミンである、請求項2に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項4】
前記反応工程で得られた前記式(3)で表されるテルピリジン化合物を、塩基性カラムを用いたクロマトグラフ法によって分取する、精製工程を含む、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項5】
前記式(3)で表されるテルピリジン化合物が、下記式(4):
【化4】
(式(4)中、pは、それぞれ独立して、1、2、または3である。)
で表される化合物である、請求項1に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
【請求項6】
ハロゲン化グリコンと、ハロゲン化含窒素複素環式化合物とを、Fe系触媒、Ni系触媒、および請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法により得られた前記式(3)で表されるテルピリジン化合物の存在下で反応させて、C-グリコシド化合物を製造する方法。
【請求項7】
前記式(3)で表されるテルピリジン化合物が、前記Fe系触媒および前記Ni系触媒の少なくとも1種の配位子である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記Fe系触媒が、ハロゲン化鉄である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記Ni系触媒が、ハロゲン化ニッケルである、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ハロゲン化グリコンが、ピラノース環およびフラノース環の少なくとも1種を有する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ピラノース環が、グルコピラノース、マンノピラノース、ガラクトピラノース、キシロピラノース、およびフコピラノースからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記フラノース環がグルコフラノース、マンノフラノース、ガラクトフラノース、キシロフラノース、およびフコフラノースからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記ハロゲン化含窒素複素環式化合物が、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、キナゾリン環、キノキサリン環、シンノリン環、ベンゾイミダゾール環、およびベンゾチアゾール環からなる群から選択される少なくとも1種を有する、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルピリジン化合物の製造方法に関する。また、本発明は、C-グリコシド化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テルピリジン化合物は、例えば、蛍光体や金属錯体の配位子等の様々な原料に幅広く使用されている化学物質である。
【0003】
例えば、特許文献1では、原料としてt-ブチルピリジンおよび触媒としてアルカリ金属分散体を用いたビピリジン化合物の合成方法が開示されている。しかし、当該合成方法では、テルピリジン化合物は、副生成物としてわずか数%の収率で得られるに過ぎなかった。そのため、反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法の開発が望まれている。
【0004】
また、C-グリコシド結合は、O-グリコシド結合と異なり、加水分解等の代謝分解を受けにくいため、糖分子が結合した配糖体、糖鎖を認識する酵素、蛋白質を標的とした医薬品で重要な結合である。そのため、入手容易で安価な原料から、立体選択的なC-グリコシド結合を有する化合物(「C-グリコシド化合物」)の合成触媒およびその製造方法の開発が望まれている。
【0005】
例えば、非特許文献1では、原料としてハロゲン化グリコンおよびアリール金属化合物、ならびに触媒として特定の鉄触媒を用いたアリールC-グリコシド化合物の合成方法が開示されている。当該合成方法では、触媒として、塩化鉄と嵩高いジホスフィン配位子(TMS-SciOPP)からなる鉄錯体を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.2017,139,10693~10701
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1では、グリコンに結合させる対象の化合物としてアリール金属化合物が開示されているに過ぎず、合成方法の対象化合物の適用範囲が狭かった。また、使用された触媒は、高価であり、反応効率に改善の余地があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、グリコンに結合させる対象化合物の適用範囲を広げ、かつ、反応効率に優れ、製造コストを低減できるC-グリコシド化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、反応工程を工夫することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 下記式(1):
【化1】
(式(1)中、R
1は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、またはカルボキシル基を示し、nは0~4の整数である。但し、nが0の場合、ピリジン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
2は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される第1の原料化合物と、
下記式(2):
【化2】
(式(2)中、R
3は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、またはカルボキシル基を示し、mは0~3の整数である。但し、mが0の場合、ベンゼン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を示す。)
で表される第2の原料化合物とを、触媒の存在下で反応させることによって、
下記式(3):
【化3】
(式(3)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、R
3およびmは、式(2)と同様である。)
で表されるテルピリジン化合物を合成する反応工程を含む、テルピリジン化合物の製造方法。
[2] 前記反応工程で得られた前記式(3)で表されるテルピリジン化合物を、第三級アミンを含む展開液を用いたクロマトグラフ法によって分取する、精製工程を含む、[1]に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[3] 前記第三級アミンが、トリアルキルアミンである、[2]に記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[4] 前記反応工程で得られた前記式(3)で表されるテルピリジン化合物を、塩基性カラムを用いたクロマトグラフ法によって分取する、精製工程を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[5] 前記式(3)で表されるテルピリジン化合物が、下記式(4):
【化4】
(式(4)中、pは、それぞれ独立して、1、2、または3である。)
で表される化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載のテルピリジン化合物の製造方法。
[6] ハロゲン化グリコンと、ハロゲン化含窒素複素環式化合物とを、Fe系触媒、Ni系触媒、および[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法により得られた前記式(3)で表されるテルピリジン化合物の存在下で反応させて、C-グリコシド化合物を製造する方法。
[7] 前記(3)で表されるテルピリジン化合物が、前記Fe系触媒および前記Ni系触媒の少なくとも1種の配位子である、[6]に記載の製造方法。
[8] 前記Fe系触媒が、ハロゲン化鉄である、[6]または[7]に記載の製造方法。
[9] 前記Ni系触媒が、ハロゲン化ニッケルである、[6]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 前記ハロゲン化グリコンが、ピラノース環およびフラノース環の少なくとも1種を有する、[6]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 前記ピラノース環が、グルコピラノース、マンノピラノース、ガラクトピラノース、キシロピラノース、およびフコピラノースからなる群から選択される少なくとも1種である、[10]に記載の製造方法。
[12] 前記フラノース環がグルコフラノース、マンノフラノース、ガラクトフラノース、キシロフラノース、およびフコフラノースからなる群から選択される少なくとも1種である、[10]または[11]に記載の製造方法。
[13] 前記ハロゲン化含窒素複素環式化合物が、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、キナゾリン環、キノキサリン環、シンノリン環、ベンゾイミダゾール環、およびベンゾチアゾール環からなる群から選択される少なくとも1種を有する、[6]~[12]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、反応効率に優れ、製造コストを低減できるテルピリジン化合物の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該テルピリジン化合物を用いて、反応効率に優れ、製造コストを低減できるC-グリコシド化合物の製造方法を提供することができる。特に、本発明によれば、ハロゲン化グリコンとハロゲン化含窒素複素環式化合物を原料として効率的にC-グリコシド化合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で合成したテルピリジン化合物の
1H-NMRスペクトルである。
【
図2】実施例1で合成したC-グリコシド化合物の
13C-NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[テルピリジン化合物の製造方法]
本発明によるテルピリジン化合物の製造方法は、下記の第1の原料化合物と、下記の第2の原料化合物とを触媒の存在下で反応させて、下記のテルピリジン化合物を合成する反応工程を含むものである。
【0015】
(第1の原料化合物)
本発明で用いる第1の原料化合物は、下記式(1):
【化5】
(式(1)中、R
1は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、またはカルボキシル基を示し、nは0~4の整数である。但し、nが0の場合、ピリジン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
2は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される。
上記式(1)中、R
1は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~4のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示し、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のアルコキシ基を示し、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキル基を示し、さらにより好ましくは炭素数3~4のアルキル基を示す。
nは、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数であり、さらに好ましくは1である。
R
2は、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数3~4のアルキル基である。
【0016】
第1の原料化合物の好ましい実施形態としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。本明細書中、化学式中のMeはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Prはプロピル基を示し、nBuはノルマルブチル基を示し、tBuはターシャリーブチル基を示す。第1の原料化合物は、1種単独でも用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化6】
【0017】
第1の原料化合物の製造方法は、特に限定されないが、本発明の好ましい実施態様によれば、下記式:
【化7】
(式中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、好ましい態様も式(1)と同様である。)
で表される化合物を、少なくともハロゲン化有機スズおよび有機リチウム化合物の存在下で、反応させることによって得ることができる。ハロゲン化有機スズおよび有機リチウム化合物の添加量は、原料の種類や反応条件に応じて適宜調節することができる。
【0018】
上記のハロゲン化有機スズとしては、ハロゲン化トリアルキルスズを用いることが好ましい。ハロゲン化トリアルキルスズのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。アルキル基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。ハロゲン化トリアルキルスズとしては、例えば、塩化トリメチルスズ、塩化トリエチルスズ、塩化トリブチルスズ(塩化トリn-ブチルスズ、塩化トリsec-ブチルスズ、塩化トリt-ブチルスズ)等が挙げられる。ハロゲン化トリアルキルスズの中でも、反応性の観点から、塩化トリn-ブチルスズを用いることが好ましい。
【0019】
上記の有機リチウム化合物としては、アルキルリチウムを用いることが好ましい。アルキルリチウムのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。アルキル基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。アルキルリチウムとしては、例えば、メチルリチウム、ブチルリチウム(n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム)等が挙げられる。ブチルリチウムの中でも、反応性の観点から、n-ブチルリチウムを用いることが好ましい。
【0020】
第1の原料化合物の合成反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o-,m-,p-キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、グライム、ジグライム等のエーテル系溶媒;ヘキサフルオロベンゼン、m-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、p-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α,α-トリフルオロメチルベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン等の含フッ素有機溶媒等を用いることができる。これらの中でも、ベンゼン、トルエン、o-,m-,p-キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジオキサン、THF(テトラヒドロフラン)、ヘキサフルオロベンゼン、m-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、p-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α,α-トリフルオロメチルベンゼン等、及びこれらの混合物が好ましい。
【0021】
第1の原料化合物の合成反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくは-100℃以上60℃以下であり、より好ましくは-90℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは-80℃以上40℃以下であり、さらにより好ましくは-75℃以上30℃以下である。なお、反応温度は段階的に変化させてもよい。
反応時間は、特に制限されないが、好ましくは1時間以上10時間以下であり、より好ましくは2時間以上8時間以下であり、さらに好ましくは4時間以上6時間以下である。
【0022】
(第2の原料化合物)
本発明で用いる第2の原料化合物は、下記式(2):
【化8】
(式(2)中、R
3は、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたアミノ基、またはカルボキシル基を示し、mは0~3の整数である。但し、mが0の場合、ベンゼン環の水素原子は置換されていないことを示す。
R
4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を示す。)
で表される。
上記式(2)中、R
3は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、または炭素数1~4のアルキル基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、またはカルボキシル基を示す。
mは、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数であり、さらに好ましくは1である。
R
4は、それぞれ独立して、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0023】
第2の原料化合物の好ましい実施形態としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。第2の原料化合物は、1種単独でも用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化9】
【0024】
第2の原料化合物の製造方法は、特に限定されないが、本発明の好ましい実施態様によれば、下記式:
【化10】
(式中、R
3およびmは、式(2)と同様であり、好ましい態様も式(2)と同様である。)
で表される化合物を、少なくとも有機ハロゲン化合物および有機リチウム化合物の存在下で、反応させることによって得ることができる。有機ハロゲン化合物および有機リチウム化合物の添加量は、原料の種類や反応条件に応じて適宜調節することができる。
【0025】
上記の有機ハロゲン化合物としては、上記式で表される化合物をハロゲン化できるものであれば特に限定されないが、例えば、ハロゲン化アルキルを用いることが好ましい。ハロゲン化アルキルのアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。アルキル基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。ハロゲン原子の数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは3~6であり、さらに好ましくは4~6である。有機ハロゲン化合物としては、例えば、四塩化炭素、ヘキサクロロアセトン、クロロホルム、ヘキサクロロエタン、ボスゲン、塩化チオニル、塩化スルフリル、トリクロロメチルベンゼン等が挙げられる。有機ハロゲン化合物の中でも、反応性の観点から、ヘキサクロロエタンを用いることが好ましい。
【0026】
上記の有機リチウム化合物としては、アルキルリチウムを用いることが好ましい。アルキルリチウムとしては、例えば、上記の第1の原料化合物の合成反応と同様のものを用いることができる。
【0027】
第2の原料化合物の合成反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、上記の第1の原料化合物の合成反応と同様のものを用いることができる。
【0028】
第2の原料化合物の合成反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくは-100℃以上60℃以下であり、より好ましくは-90℃以上50℃以下であり、さらに好ましくは-80℃以上40℃以下であり、さらにより好ましくは-75℃以上30℃以下である。なお、反応温度は段階的に変化させてもよい。
反応時間は、特に制限されないが、好ましくは1時間以上10時間以下であり、より好ましくは2時間以上8時間以下であり、さらに好ましくは4時間以上6時間以下である。
【0029】
(テルピリジン化合物)
上記の反応工程により得られるテルピリジン化合物は、下記式(3):
【化11】
(式(3)中、R
1およびnは、式(1)と同様であり、好ましい態様も式(1)と同様であり、
R
3およびmは、式(2)と同様であり、好ましい態様も式(2)と同様である。)
【0030】
テルピリジン化合物としては、下記式(4):
【化12】
(式(4)中、pは、それぞれ独立して、1、2、または3である。)
で表される。
上記式(4)中、pは好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
【0031】
テルピリジン化合物の好ましい実施形態としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【化13】
【0032】
テルピリジン化合物の合成反応で用いる触媒としては、例えば、パラジウム触媒またはニッケル触媒を用いることができる。
パラジウム触媒としては、例えば、Pd(dppf)Cl2、Pd(PPh3)4、およびPd2(dba)3等が挙げられる。式中、Phはフェニル基を示し、dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを示し、dbaはジベンジリデンアセトンを示す。これらのパラジウム(II)化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ニッケル触媒としては、例えば、Ni(acac)2、Ni(Ac)2、NiF2、NiCl2、NiBr2、NiI2、Ni(OTf)2、Ni(BF4)2、Ni(OTs)2、Ni(グリム)Cl2、Ni(グリム)Br2、Ni(ジグリム)Cl2、Ni(ジグリム)Br2、Ni(NO3)2、およびNi(OR3)2(式中、R3は、-C(O)-C1~C6アルキルであり、C1~C6アルキルはハロゲン原子で置換されてもよい)等が挙げられる。なお、これらの化合物中、acacはアセチルアセトナートを示し、Acはアセチルを示し、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基を示し、Tsはトシル基を示し、グリムはエチレングリコールジメチルエーテルを示し、ジグリムはジエチレングリコールジメチルエーテルを示す。これらのニッケル(II)化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、これらの触媒には、触媒作用を促進するために配位子を共存させてもよい。配位子としては、例えば、ジクロロエタンが挙げられる。
触媒の添加量は、原料の種類や反応条件に応じて適宜調節することができる。
【0033】
テルピリジン化合物の合成反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、上記の第1の原料化合物の合成反応と同様のものを用いることができる
【0034】
テルピリジン化合物の合成反応では、第1の原料化合物と第2の原料化合物の物質量モル比は、好ましくは2:1.3~2:0.7であり、より好ましく2:1.2~1:0.8であり、さらに好ましくは2:1.1~1:0.9であり、最も好ましくは2:1.05~2:0.95である。第1の原料化合物と第2の原料化合物の物質量モル比を調節することで、反応効率を向上させることができる。
【0035】
テルピリジン化合物の合成反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくは25℃以上200℃以下であり、より好ましくは50℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上120℃以下であり、さらにより好ましくは90℃以上110℃以下である。なお、反応温度は段階的に変化させてもよい。
反応時間は、特に制限されないが、好ましくは1時間以上36時間以下であり、より好ましくは4時間以上24時間以下であり、さらに好ましくは6時間以上12時間以下である。
【0036】
(用途)
本発明のテルピリジン化合物の製造方法により得られたテルピリジン化合物は、例えば、触媒用の金属錯体の配位子として好適に使用することができる。特に、C-グリコシド化合物の合成反応におけるの鉄触媒および/またはニッケル触媒の配位子として好適に使用することができる。
【0037】
(精製工程)
本発明のテルピリジン化合物の製造方法は、上記で合成したテルピリジン化合物をさらに精製する工程を含んでもよい。精製方法は、特に限定されず、従来公知の精製方法を適用することができる。精製方法としては、例えば、クロマトグラフ法、再結晶、分液、減圧ろ過、溶媒留去、溶媒による洗浄、および超音波洗浄等が挙げられる。
【0038】
精製工程としては、単離収率の観点から、上記の中でもクロマトグラフ法によってテルピリジン化合物を分取することが好ましい。特に、第三級アミンを含む展開液を用いたクロマトグラフ法(カラムクロマト)であれば、テルピリジン化合物の第三級アミンへの吸着性を利用することで、単離収率を向上させることができる。
第3級アミンとしてはトリアルキルアミンを用いることができる。トリアルキルアミンのアルキル基の炭素数は好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4であり、さらに好ましくは1~2である。トリアルキルアミンとしては、トリエチルアミンを用いることが特に好ましい。
【0039】
[C-グリコシド化合物の製造方法]
本発明によるC-グリコシド化合物の製造方法は、ハロゲン化グリコンと、ハロゲン化含窒素複素環式化合物とを、Fe系触媒、Ni系触媒、および上記式(3)で表されるテルピリジン化合物の存在下で反応させて、C-グリコシド化合物を合成する反応工程を含むものである。
【0040】
上記のハロゲン化グリコンは、ピラノース環およびフラノース環の少なくとも1種を有するものが好ましい。
ピラノース環としては、例えば、グルコピラノース、マンノピラノース、ガラクトピラノース、キシロピラノース、およびフコピラノースが挙げられる。これらのピラノース環は、1種または2種以上を含むものであってもよい。
フラノース環としては、例えば、グルコフラノース、マンノフラノース、ガラクトフラノース、キシロフラノース、およびフコフラノースが挙げられる。これらのフラノース環は、1種または2種以上を含むものであってもよい。
【0041】
ハロゲン化グリコンのハロゲン原子は、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0042】
上記のハロゲン化含窒素複素環式化合物は、例えば、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサジン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、キナゾリン環、キノキサリン環、シンノリン環、ベンゾイミダゾール環、およびベンゾチアゾール環からなる群から選択される少なくとも1種を有する化合物である。
【0043】
上記のハロゲン化含窒素複素環式化合物の好ましい実施形態としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。式中、Bnはベンジル基を示し、Bocはt-ブトキシカルボニル基を示し、Tsはp-トルエンスルホニル基(トシル基)を示す。
【化14】
【0044】
C-グリコシド化合物の合成反応においては、触媒としてFe系触媒およびNi系触媒の少なくとも1種を用いる。本発明においては、反応効率の観点から、Fe系触媒およびNi系触媒を併用することが好ましく、マンガン系触媒をさらに併用してもよい。
Fe系触媒は、例えば、ハロゲン化鉄であり、好ましくは臭化鉄または塩化鉄であり、より好ましくは臭化鉄である。
Ni系ニッケル触媒としては、例えば、ハロゲン化ニッケル、Ni(acac)2、Ni(Ac)2、、Ni(OTf)2、Ni(BF4)2、Ni(OTs)2、Ni(グリム)Cl2、Ni(グリム)Br2、Ni(ジグリム)Cl2、Ni(ジグリム)Br2、Ni(NO3)2、およびNi(OR3)2(式中、R3は、-C(O)-C1~C6アルキルであり、C1~C6アルキルはハロゲン原子で置換されてもよい)等が挙げられる。なお、これらの化合物中、acacはアセチルアセトナートを示し、Acはアセチルを示し、Tfはトリフルオロメチルスルホニル基を示し、Tsはトシル基を示し、グリムはエチレングリコールジメチルエーテルを示し、ジグリムはジエチレングリコールジメチルエーテルを示す。これらのニッケル(II)化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。Ni系触媒は、好ましくハロゲン化ニッケルであり、より好ましくは臭化ニッケルである。
Mn系触媒は、例えば、マンガンである。
触媒の添加量は、原料の種類や反応条件に応じて適宜調節することができる。
【0045】
上記式(3)で表されるテルピリジン化合物は、好ましい態様は、上記のテルピリジン化合物で説明した通りである。
【0046】
C-グリコシド化合物の合成反応においては、反応効率の観点から、上記式(3)で表されるテルピリジン化合物は、Fe系触媒およびNi系触媒の少なくとも1種の配位子であることが好ましく、特にNi系触媒の配位子であることが好ましい。本発明においては、上記式(3)で表されるテルピリジン化合物(好ましくは上記式(4)で表されるテルピリジン化合物)が、Fe系触媒およびNi系触媒の少なくとも1種(特にNi系触媒)と錯体を形成することで、グリコンに結合させる対象化合物の適用範囲を広げることができ、グリコンと含窒素複素環式化合物の炭素-炭素結合を可能にし、C-グリコシド化合物を得ることができる。
【0047】
C-グリコシド化合物の合成反応において、Fe系触媒、Ni系触媒、Mn系触媒を併用し、テルピリジン化合物を配位子として用いた場合、反応メカニズムは下記サイクルで進行すると推察される。但し、本発明のC-グリコシド化合物の製造方法は、当該反応メカニズムに束縛されるものではない。
(Fe系触媒サイクル)
1.ハロゲン化グリコンが、Fe系触媒によりグリコシルラジカルを形成する。
(Ni系触媒サイクル)
1.TTP配位子がNi系触媒を活性化して、0価のNiを生成する。
2.0価のNiがハロゲン化含窒素複素環式化合物に酸化的付加して、中間体を生成する。
3.上記中間体と上記グリコシルラジカルが反応して、前駆体を形成する。
4.前駆体の還元的離脱により、C-グリコシド化合物を形成する。
(同時に、Mn還元で0価のNiを生成し、触媒反応が進行する。)
【0048】
C-グリコシド化合物の合成反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限されず、慣用の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、上記の第1の原料化合物の合成反応と同様のものを用いることができる
【0049】
C-グリコシド化合物の合成反応では、ハロゲン化グリコンとハロゲン化含窒素複素環式化合物の物質量モル比は、好ましくは2:1.3~2:0.7であり、より好ましく2:1.2~1:0.8であり、さらに好ましくは2:1.1~1:0.9であり、最も好ましくは2:1.05~2:0.95である。第1の原料化合物と第2の原料化合物の物質量モル比を調節することで、反応効率を向上させることができる
【0050】
C-グリコシド化合物の合成反応は、不活性ガス(窒素;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくはー20℃以上60℃以下であり、より好ましくは0℃以上40℃以下であり、さらに好ましくは10℃以上30℃以下である。
反応時間は、特に制限されないが、好ましくは1時間以上36時間以下であり、より好ましくは4時間以上24時間以下であり、さらに好ましくは6時間以上12時間以下である。
【0051】
本発明のC-グリコシド化合物の製造方法により得られるC-グリコシド化合物の好ましい実施形態としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。式中、Glyはグリコンを示す。
【化15】
【0052】
(精製工程)
本発明のC-グリコシド化合物の製造方法は、上記で合成したC-グリコシド化合物をさらに精製する工程を含んでもよい。精製方法は、特に限定されず、従来公知の精製方法を適用することができる。精製方法としては、例えば、クロマトグラフ法、再結晶、分液、減圧ろ過、溶媒留去、溶媒による洗浄、および超音波洗浄等が挙げられる。
【実施例0053】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
<分析条件>
下記で得られたテルピリジン化合物の構造は、下記条件で1H-NMRを用いて分析した。
(1H-NMR条件)
・NMR測定装置:BRUKER JAPAN社製
・1H-NMR測定条件:周波数600.03MHz
・本化合物の検出ピーク(TMS内部基準):8.74(d,J=1.96Hz,2H)、8.63(d,J=5.2Hz,2H)、8.48(s,2H)、7.34(dd,J=5.2,2.0Hz,2H)、1.47(s,9H)、1.44(s,18H)
【0055】
下記で得られたC-グリコシド化合物の構造は、下記条件で13C-NMRを用いて分析した。
(13C-NMR条件)
・NMR測定装置:BRUKER JAPAN社製
・13C-NMR測定条件:周波数150.89MHz、CDCl3溶媒
・本化合物の検出ピーク(TMS内部基準):δ153.6、144.0、143.9、143.4、112.9、109.2、85.1、84.4、82.0、81.1、73.5、66.8、26.9、26.2、25.1、24.7
【0056】
[実施例1]
<第1の原料化合物の合成>
まずは反応容器の中に、t-ブチルピリジン0.400g(1等量)、2-(ジメチルアミノ)エタノール0.528g(2等量)、n-ブチルリチウム7.40mL(4等量)のヘキサン溶液(濃度15質量%、約1.6モル/L品)を配合して、-20℃で1.5時間反応させた。続いて、塩化トリn-ブチルスズ1.926g(2等量)を加え、窒素雰囲気下で、-70℃で2時間反応させ、さらに室温(20℃)で1時間反応させて、粗生成物(t-BuPy-Sn-n-Bu
3)を得た(下記反応式I)。
【化16】
【0057】
得られた粗生成物を水洗浄、酢酸エチル溶媒による抽出、脱水、濃縮処理等の精製工程を経て、第1の原料化合物(t-BuPy-Sn-n-Bu3)を得た。第1の原料化合物の収率は、51%であった。
【0058】
<第2の原料化合物の合成>
第一工程として、まずは反応容器の中に、t-ブチルピリジン0.500g(1等量)、2-(ジメチルアミノ)エタノール0.658g(2等量)、n-ブチルリチウム9.30mL(4等量)のヘキサン溶液(濃度15質量%、約1.6モル/L品)を配合して、-20℃で1.5時間反応させた。続いて、ヘキサクロロエタン1.752g(2等量)および脱水THF3mLを加え、窒素雰囲気下で、-70℃で2時間反応させ、さらに室温(20℃)で1時間反応させて、粗生成物(t-BuPy-Cl)を得た(下記反応式II)。その後、粗生成物を、水洗浄、酢酸エチル溶媒による抽出、脱水、濃縮処理等の精製工程を経て、精製した中間体(t-BuPy-Cl)を得た。
【0059】
続いて、第二工程として、反応容器の中に前記精製した中間体(t-BuPy-Cl)0.626g(1等量)、2-(ジメチルアミノ)エタノール0.658g(2等量)、n-ブチルリチウム9.30mL(4等量)のヘキサン溶液(濃度15質量%、約1.6モル/L品)を配合して、-20℃で1.5時間反応させた。続いて、ヘキサクロロエタン1.752g(2等量)および脱水THF3mLを加え、窒素雰囲気下で、-70℃で2時間反応させ、さらに室温(20℃)で1時間反応させ、粗生成物(t-BuPy-Cl
2)を得た(下記反応式II)。
【化17】
【0060】
得られた粗生成物を水洗浄、酢酸エチル溶媒による抽出、脱水、濃縮処理等の精製工程を経て、第2の原料化合物(t-BuPy-Cl2)を得た。第2の原料化合物の収率は、44%であった。
【0061】
<テルピリジン化合物の合成>
反応容器の中に、上記で得た第1の原料化合物(t-BuPy-Sn-n-Bu
3)394mg(実質として200mg:2等量)、第2の原料化合物(t-BuPy-Cl
2)53mg(1等量)、Pd錯体触媒(Pd(dppf)Cl
2・CH
2Cl
2触媒)10.6mg(0.005等量)、およびトルエン(溶媒)2mlを加えて、窒素雰囲気下、100℃で8時間反応させて、粗生成物(テルピリジン化合物:TTP)を得た(下記反応式III)。
【化18】
【0062】
得られた粗生成物を水洗浄、有機溶媒抽出、および脱水処理等を行った後、5%トリエチルアミンを含む展開液を用いたクロマトグラフ法によって、テルピリジン化合物を分取した。テルピリジン化合物の単離収率は52%であった。精製後のテルピリジン化合物を上記の分析条件で
1H-NMR測定を行い、
図1に示す
1H-NMRスペクトルを得た。スペクトル解析の結果、上記式のテルピリジン化合物であることを確認した。
【0063】
<C-グリコシド化合物の合成>
反応容器の中に、マンノフラノース1.042g(1等量)、トリホスゲン0.593g(0.5等量)、ピリジン0.40mLおよび脱水THF20mLを加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で1時間反応させて、粗生成物(塩化マンノフラノース)を得た。得られた粗生成物について、ピリジン塩のろ過除去および分取クロマトグラフの精製処理を行って、目的の塩化マンノフラノースを分取した。塩化マンノフラノースの収率は、89%であった。
【0064】
反応容器の中に、塩化マンノフラノース112mg(2等量)、塩化ピラジン22.8mg(1等量)、臭化鉄8.6mg(0.2等量)、臭化ニッケルジエチレングリコールジメチルエーテル錯体7.0mg(0.2等量)、上記で合成したテルピリジン化合物(配位子、TTP、0.15等量)12.0mg、マンガン33.0mg(3等量)、およびジメチルアセトアミド(溶媒)2mlを加え、窒素雰囲気下、室温(20℃)で12時間反応させて、粗生成物(C-グリコシド化合物)を得た(下記反応式IV)。この反応転化率は77%であった。
【化19】
【0065】
また、得られた粗生成物を分取クロマトの精製処理を行って、C-グリコシド化合物を分取した。このC-グリコシド化合物について、上記の分析条件で
13C-NMR測定を行い、
図2に示す
13C-NMRスペクトルを得た。スペクトル解析の結果、上記式のC-グリコシド化合物であることを確認した。