(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166989
(43)【公開日】2024-11-29
(54)【発明の名称】フィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083470
(22)【出願日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大樹
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353HH12
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH40
5E353QQ03
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】変形が生じたテープリールがカバーエッジに引っ掛かるのを抑制してそのテープリールのスムースな回転を確保すること。
【解決手段】フィーダは、キャリアテープを搬送支持する搬送路を有するフィーダ本体と、フィーダ本体に設けられ、キャリアテープが巻回されたテープリールを回転可能に支持するリール保持軸と、リール保持軸に支持されたテープリールのフランジ部に対向してフランジ部の一部を覆いフィーダ本体との間にリール収容空間を形成し、リール保持軸の軸方向視においてフランジ部の少なくとも外縁に交差するエッジ部位にテープリールの回転中にフランジ部がリール収容空間の外側から内側へ進入するのを案内するガイド部が設けられたカバーと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープを搬送支持する搬送路を有するフィーダ本体と、
前記フィーダ本体に設けられ、前記キャリアテープが巻回されたテープリールを回転可能に支持するリール保持軸と、
前記リール保持軸に支持された前記テープリールのフランジ部に対向して前記フランジ部の一部を覆い前記フィーダ本体との間にリール収容空間を形成し、前記リール保持軸の軸方向視において前記フランジ部の少なくとも外縁に交差するエッジ部位に前記テープリールの回転中に前記フランジ部が前記リール収容空間の外側から内側へ進入するのを案内するガイド部が設けられたカバーと、
を備える、フィーダ。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記カバーの厚み方向にかけて丸みを帯びるように形成されている、請求項1に記載されたフィーダ。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記カバーの本体側と一体に形成されてヘミング曲げ又はカール曲げされた部位である、請求項1又は2に記載されたフィーダ。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記カバーの本体側から前記リール収容空間側に曲げられている、請求項3に記載されたフィーダ。
【請求項5】
前記カバーは、
金属製の本体部材と、
前記本体部材の表面をコーティングする樹脂製の被覆部材と、
を有し、
前記ガイド部は、前記被覆部材により形成されている、請求項1又は2に記載されたフィーダ。
【請求項6】
前記カバーは、
本体部材と、
前記本体部材とは別体に形成され、前記エッジ部位を覆うように前記本体部材に取り付けられた保護部材と、
を有し、
前記ガイド部は、前記保護部材により形成されている、請求項1又は2に記載されたフィーダ。
【請求項7】
前記テープリールは、前記リール保持軸に支持された状態で、前記キャリアテープを送り搬送する正転方向及び前記キャリアテープを戻し搬送する逆転方向の双方に回転可能であり、
前記ガイド部は、前記リール保持軸の軸方向視において前記フランジ部に交差する前記エッジ部位の全域に亘って設けられている、請求項1又は2に記載されたフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動フィーダのように、キャリアテープが巻回されたテープリールをフィーダ内に設けたリール収容空間に収容するフィーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィーダは、キャリアテープを搬送支持する搬送路を有するフィーダ本体と、フィーダ本体に設けられ、テープリールを回転可能に収容するリール収容部と、を備えている。リール収容部は、テープリールを回転可能に支持するリール保持軸と、フィーダ本体との間にリール収容空間を形成するカバーと、を有している。カバーは、リール保持軸に支持されたテープリールのフランジ部の一部を覆う閉状態と、リール収容空間へのテープリールの着脱を可能とする開状態と、の間で開閉することが可能である。
【0003】
更に、上記のフィーダは、リール収容空間に収容するテープリールをフィーダ本体に対して幅方向に移動させる変位機構を備えている。この変位機構は、リール収容部のカバーをフィーダ本体に対して幅方向に移動させることにより、リール保持軸に支持されたテープリールをカバーと一体で幅方向に移動させる。この構造によれば、テープリールのリール幅が通常よりも幅広であったときにも、変位機構によってフィーダ本体に対するカバーの幅方向位置を変えることにより、テープリールをリール収容空間に収容することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、テープリールには、段ボールなどの変形し易い素材で形成されたものがある。このようなテープリールにおいては、フィーダのリール収容空間への着脱が繰り返され或いは液体などが付着すると、そのフランジ部(特に、その外縁部)に初期の所望状態からの変形(特に、軸方向外側に飛び出るような変形)が生じ易くなる。このテープリールがリール保持軸に支持されてリール収容空間に収容された状態で回転すると、そのテープリールの変形したフランジ部がフィーダのカバーに接触することがある。特に、リール幅が幅広であるテープリールがリール収容空間に収容されているときは、そのフランジ部がカバーに接触し易い。
【0006】
フィーダのカバーは、金属などで薄い板状に形成されており、テープリールの回転時にそのフランジ部の回転方向に対して交差する方向に延びるエッジ部位を有する。この構造では、テープリールのフランジ部がリール回転に伴うカバーとの接触時にそのカバーのエッジ部位に引っ掛かるおそれがある。かかる引っ掛かりは、テープリールの回転を阻害するので、キャリアテープの搬送不良の要因となりかねない。
【0007】
本明細書は、変形が生じたテープリールがカバーエッジに引っ掛かるのを抑制してそのテープリールのスムースな回転を確保することが可能なフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、キャリアテープを搬送支持する搬送路を有するフィーダ本体と、前記フィーダ本体に設けられ、前記キャリアテープが巻回されたテープリールを回転可能に支持するリール保持軸と、前記リール保持軸に支持された前記テープリールのフランジ部に対向して前記フランジ部の一部を覆い前記フィーダ本体との間にリール収容空間を形成し、前記リール保持軸の軸方向視において前記フランジ部の少なくとも外縁に交差するエッジ部位に前記テープリールの回転中に前記フランジ部が前記リール収容空間の外側から内側へ進入するのを案内するガイド部が設けられたカバーと、を備える、フィーダを開示する。
【0009】
本開示によれば、変形が生じたテープリールがカバーエッジに引っ掛かるのを抑制してそのテープリールのスムースな回転を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るフィーダをセットする部品装着機のフィーダセット台の斜視図である。
【
図2】キャリアテープが巻回されたテープリールの斜視図である。
【
図4】実施形態のフィーダが備えるカバーの要部の斜視図である。
【
図5】実施形態のフィーダが備えるカバーを
図4に示す平面Sで切断した際の斜視断面図である。
【
図6】実施形態のフィーダ(同図(B)に示す)による効果を対比形態のフィーダ(同図(A)に示す)と対比して説明するための図である。
【
図7】一変形形態に係るフィーダが備えるカバーの構造を表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1-
図7を用いて、本開示に係るフィーダの実施形態について説明する。
【0012】
1.フィーダをセットする部品装着機の構成
一実施形態に係るフィーダ20は、基板に装着する部品を部品供給位置Pへ供給する装置である。フィーダ20は、部品装着機1に着脱可能に組み込まれる。部品装着機1は、基板生産ライン上に設けられており、フィーダ20の部品供給位置Pにある部品を吸着又は把持して基板に装着する。部品装着機1は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置などにより構成されている。
【0013】
部品装着機1は、フィーダセット台10を備えている。フィーダセット台10は、複数のフィーダ20をセットすることが可能な台である。フィーダセット台10は、
図1に示す如く、スロット11を有している。スロット11は、フィーダ20を着脱可能に差し込むための隙間部である。スロット11は、フィーダ20を縦置き支持できる形状に形成されている。スロット11は、フィーダセット台10において複数並んで配置されている。フィーダセット台10におけるスロット11の数は、例えば20個などである。
【0014】
フィーダセット台10は、
図1に示す如く、各スロット11に対応して、フィーダ20が嵌るクランプ溝12と、フィーダ20の電源線や信号線が接続するコネクタ13と、を有している。また、フィーダセット台10は、部品を収納するキャリアテープ2(
図2参照)のうち廃棄テープを排出するためのテープ排出口14を有している。
【0015】
フィーダ20は、キャリアテープ2を搬送することが可能である。フィーダ20が供給対象とする部品は、電子回路を構成するトランジスタやダイオード,抵抗などの電子部品である。この部品としては、例えば0201サイズ(0.2mm×0.1mm)などの微小部品やコンデンサなどの大型の部品が含まれる。
【0016】
2.キャリアテープ及びテープリールの構成
キャリアテープ2は、長尺状に形成されている。キャリアテープ2は、一般的には、予め規格として定められた例えば4mm,8mm,12mm,16mm,24mm幅などのテープ幅を有している。キャリアテープ2は、テープ長手方向に所定間隔で並んで部品を収納する部品収納部を有するベーステープと、ベーステープの部品取出開口を塞ぐカバーテープと、を有している。
【0017】
部品は、カバーテープがベーステープに接合されているときは部品収納部に収納されており、カバーテープがベーステープから剥がされた際に部品収納部から露出して外部に取り出し可能となる。尚、キャリアテープ2は、ベーステープの部品収納部が下方に突出したエンボス型のテープであってもよいし、表面に溝状の部品収納部が設けられた紙テープであってもよい。キャリアテープ2は、テープリール3に巻回されている。
【0018】
テープリール3は、
図2に示す如く、円盤状に形成されている。テープリール3は、例えば段ボール製や樹脂製などである。テープリール3は、保持孔3aと、フランジ部3bと、を有している。保持孔3aは、テープリール3をフィーダ20に保持するのに必要な貫通孔である。保持孔3aは、回転軸方向に延びる軸体に設けられており、回転軸方向に貫通している。フランジ部3bは、保持孔3aを中心にして円盤状に広がる部位である。保持孔3aは、フランジ部3bの軸心に配置されている。尚、テープリール3に巻回されるキャリアテープ2のテープ幅方向は、テープリール3のリール幅方向(以下、リール幅方向Yと称す。)に一致する。
【0019】
フランジ部3bは、リール幅方向Yに離れて一対設けられている。一対のフランジ部3bは、巻回されるキャリアテープ2を挟み込むように配置形成されている。一対のフランジ部3bは、巻回対象とするキャリアテープ2のテープ幅以上の隙間が形成されるようにリール幅方向Yに離れている。尚、テープリール3としては、一般的には、一対のフランジ部3bがリール幅方向Yに離れる距離(すなわち、リール幅)が予め規格(例えばJIS規格)として定められたものが用いられるが、規格外のものが用いられてもよい。
【0020】
3.フィーダの構成
フィーダ20は、テープリール3を収容可能な例えばカセット式のテープフィーダである。フィーダ20は、
図3に示す如く、フィーダ本体21と、リール保持軸22と、カバー23と、テープガイド24と、テープ搬送機構25と、カバーテープ排出機構26と、収容幅変更機構27と、を備えている。
【0021】
フィーダ本体21は、リール保持軸22と、カバー23、テープガイド24、テープ搬送機構25、カバーテープ排出機構26、及び収容幅変更機構27を取り付ける骨格部位や部品装着機1のスロット11に取り付けられる取付部位を含む本体部材のことである。フィーダ本体21は、部品装着機1のスロット11に着脱可能な扁平形状に形成されている。
【0022】
フィーダ本体21は、キャリアテープ2を搬送支持する搬送路を有している。この搬送路は、キャリアテープ2の下面に接してキャリアテープ2を下方から支持する。搬送路は、リール保持軸22側から部品供給位置P側までのテープ搬送方向Xに沿って延びており、上方に向く水平壁やリール幅方向Y両側の立壁の上端でキャリアテープ2を支持する。
【0023】
リール保持軸22及びカバー23は、テープリール3を回転可能かつ着脱可能に収容するリール収容部をなす部材である。リール保持軸22は、テープリール3をフィーダ本体21側に回転可能に支持する軸部位である。リール保持軸22は、フィーダ本体21のリール幅方向Yに向いた片側の側壁(例えば、フィーダ20をテープ搬送方向X上流側から下流側へ向いたときに左側に位置する側壁)の内面に設けられている。リール保持軸22は、フィーダ本体21の側壁の内面から後述のリール収容空間側に円柱状に突出している。
【0024】
尚、テープリール3は、リール保持軸22に支持された状態で、フィーダ20に取り付けられた操作レバーへの操作によりそのリール保持軸22を中心にして回転可能であってよい。この場合において、テープリール3は、キャリアテープ2をテープ搬送方向Xのうち順方向に送り搬送する正転方向R+(
図3参照)、及び、キャリアテープ2をテープ搬送方向Xのうち逆方向に戻し搬送する逆転方向R-(
図3参照)の双方に回転可能であってよい。
【0025】
カバー23は、リール保持軸22に支持されたテープリール3のフランジ部3bを覆う部位である。カバー23は、板状に形成されている。カバー23は、例えばSUS301-CSP(1/2H)などの金属により形成されている。カバー23は、フィーダ本体21のうちリール幅方向Yの何れか片側(例えば、フィーダ20をテープ搬送方向X上流側から下流側へ向いたときの右側)に配置されている。カバー23は、リール保持軸22が設けられたフィーダ本体21の側壁に対向して配置されている。カバー23は、フィーダ本体21の側壁との間にテープリール3を収容するリール収容空間を形成する。
【0026】
カバー23は、テープリール3のフランジ部3bの一部(例えば
図3に示す如く、そのフランジ部3bの下部)をリール幅方向Yの外側から覆う。このため、テープリール3がリール保持軸22に支持された状態では、テープリール3の一部がリール収容空間の内側に位置してフィーダ20の外側から隠れる一方、そのテープリール3の他部がカバー23よりも上方において外部に露出してリール収容空間の外側に位置した状態になる。尚、リール保持軸22は、フィーダ本体21に設けられることに代えて、カバー23の裏面に設けられていてもよい。
【0027】
カバー23は、ガイド部23aを有している。ガイド部23aは、テープリール3の回転中にそのテープリール3のフランジ部3bがリール収容空間の外側から内側へ進入するのを案内する部位である。ガイド部23aは、カバー23の縁をなすエッジ部位23bに設けられている。ガイド部23aは、カバー23におけるすべてのエッジ部位23bのうち、リール保持軸22の軸方向視においてテープリール3のフランジ部3bの少なくとも外縁に交差する箇所に設けられている。
【0028】
尚、ガイド部23aが軸方向視でテープリール3のフランジ部3bの外縁に交差する箇所に設けられるのは、その外縁付近がテープリール3の回転中に移動速度の最も大きな部位であると共に最も変形が生じ易い部位であるからである。
【0029】
エッジ部位23bは、例えば
図3に示す如く、リール保持軸22に支持されたテープリール3の回転中にリール保持軸22の軸方向視でそのテープリール3のフランジ部3bをなす面上の各部と交差する方向に延在する箇所を含む。ガイド部23aは、カバー23におけるその延在方向に亘るエッジ部位23bのうちその全域に亘って設けられていてもよい。
【0030】
尚、ガイド部23aは、上記のエッジ部位23bのうち少なくとも、テープリール3がキャリアテープ2をテープ搬送方向Xのうち順方向に送り搬送する正転方向R+(
図3参照)に回転するときにそのフランジ部3bがリール収容空間の外側から内側へ進入する箇所に設けられているのが好適である。また、ガイド部23aは、テープリール3がキャリアテープ2をテープ搬送方向Xのうち逆方向に戻し搬送する逆転方向R-(
図3参照)に回転するときにフランジ部3bがリール収容空間の外側から内側へ進入する箇所にも設けられていてよい。
【0031】
ガイド部23aは、カバー23においてガイド部23aが設けられておらず互いに直交する面により形成された角部をなすエッジ部位23b(
図6(A)参照)と比較して、テープリール3の変形したフランジ部3bが引っ掛かり難く、テープリール3の回転中にそのフランジ部がリール収容空間の外側から内側へ進入し易いものであればよい。具体的には、ガイド部23aは、リール幅方向Yすなわちカバー23の厚み方向にかけて丸みを帯びるように形成されている(
図6(A)参照)。
【0032】
ガイド部23aは、例えば
図4、
図5、及び
図6に示す如く、カバー23の板状をなす本体側と一体に形成されており、ヘミング曲げ又はカール曲げされている。ヘミング曲げとは、カバー23の端部を180°折り曲げて両板の間に隙間を空けたオープンヘミング又はその隙間を空けたタイトヘミングなどであって両板を平に押しつぶした加工のことである。また、カール曲げとは、カバー23の端部を丸めた加工のことである。
【0033】
ガイド部23aは、フィーダ20のリール幅方向Yの厚さが大きくならないように、カバー23の本体側からリール幅方向Yの軸方向内側すなわちリール収容空間側に曲げられている。尚、ガイド部23aがカバー23の本体側内面に対してリール収容空間側に飛び出る量は、テープリール3の回転中にガイド部23aのリール収容空間側の端部がテープリール3のフランジ部3bに接触してテープリール3の回転が妨げられることが生じ難いように設定されている。
【0034】
カバー23は、フィーダ本体21に対して開閉可能である。具体的には、カバー23は、フィーダ本体21の側壁と一体になってリール収容空間を閉じる閉状態と、フィーダ本体21の側壁から離れてリール収容空間を開放する開状態と、に切り替わることが可能である。カバー23は、フィーダ本体21に対して例えばヒンジにより回動し又はレールに沿ってスライドすることにより開閉する。テープリール3は、カバー23の開状態でリール保持軸22に対して着脱される。
【0035】
テープガイド24は、搬送路上で搬送されるキャリアテープ2を案内する案内部材である。テープガイド24は、キャリアテープ2の搬送路上方に配置されている。テープガイド24は、フィーダ本体21におけるテープ搬送方向X下流側かつ上側に着脱可能に装着されている。テープガイド24は、キャリアテープ2の上面及び側面に当接可能に断面コの字状に形成されている。キャリアテープ2は、テープ搬送方向Xへの搬送時にテープガイド24の上壁及び側壁に接して案内される。テープガイド24は、キャリアテープ2のベーステープから剥がされたカバーテープをそのベーステープとは反対側に折り返す折返部を有している。
【0036】
テープ搬送機構25は、キャリアテープ2の搬送を担う機構である。テープ搬送機構25は、回転によりキャリアテープ2を搬送する円板状のスプロケットと、スプロケットを回転させる動力を発生する例えば電気モータなどの駆動モータと、を有している。スプロケット及び駆動モータは、搬送路の下方に配置されている。スプロケットの係合突起がキャリアテープ2の送り孔に挿入された状態で駆動モータが駆動されると、その駆動モータの駆動に合わせてキャリアテープ2が搬送される。
【0037】
尚、テープ搬送機構25のスプロケットは、フィーダ20におけるカバーテープの剥離位置や部品供給位置Pに近接して配置されていることがキャリアテープ2におけるテープ幅方向Yの位置ズレなどを防止するうえで好ましい。また、駆動モータは、キャリアテープ2をテープ搬送方向Xに送り搬送する方向にのみスプロケットを回転させるだけでなく、その送り搬送の方向とは逆方向にスプロケットを回転させるものであることが、例えばキャリアテープ2におけるテープ搬送方向Xの位置調整を行ううえで或いはその位置決め精度を向上させるうえで好ましい。
【0038】
カバーテープ排出機構26は、キャリアテープ2のベーステープから剥がしたカバーテープをフィーダ本体21外へ排出する機構である。カバーテープ排出機構26は、フィーダ20の部品供給位置Pよりもテープ搬送方向X上流側でベーステープから剥離されると共に搬送路の上方を通るように折り返されたカバーテープを、フィーダ本体21の側面に沿って下降させて排出させる。カバーテープ排出機構26は、キャリアテープ2のテープ搬送方向Xへの搬送に同期して回転することによりカバーテープを排出させる巻取ギアや巻取モータなどを有している。
【0039】
収容幅変更機構27は、テープリール3を収容するリール収容空間のリール収容幅を変更する機構である。リール収容幅とは、リール収容空間のリール幅方向Yの長さ、すなわち、フィーダ本体21の側壁の内面とカバー23の裏面との間の距離のことである。収容幅変更機構27は、フィーダ本体21に対してリール収容部30のカバー23をテープ幅方向Yであるリール幅方向Yに移動させることにより、上記のリール収容幅を変更する。
【0040】
収容幅変更機構27は、例えば、一般的な規格のテープリール3に対応したリール収容幅が比較的狭い幅狭状態と、段ボール製などの規格外のテープリール3に対応したリール収容幅が比較的広い幅広状態と、の間でリール収容幅を変更することが可能であってよい。尚、収容幅変更機構27は、リール収容幅を幅狭状態と幅広状態との間で二段階に変更するものであってもよいが、多段階やリニアに変更するものであってもよい。
【0041】
収容幅変更機構27は、カバー23をフィーダ本体21に対してリール幅方向Yに移動させることができる機構であればよく、例えばフィーダ本体21とカバー23とを繋ぐリンク機構であってよい。また、収容幅変更機構27は、作業者の手動によりカバー23をフィーダ本体21に対してリール幅方向Yに移動させるものであってもよいし、或いは、モータ駆動によりカバー23をフィーダ本体21に対してリール幅方向Yに移動させるものであってもよい。
【0042】
収容幅変更機構27は、テープリール3のリール幅に応じてリール収容幅を変更する。尚、収容幅変更機構27は、リール収容幅の変更を、テープリール3がリール収容部30に収納されたときにそのテープリール3のリール幅に合わせて自動的に行うものであってもよいし、或いは、リール収容部30に収納される予定のテープリール3のリール幅に合わせて手動的に行うものであってもよい。
【0043】
また、収容幅変更機構27は、カバー23の移動をスムースなものとするために移動中のカバー23をガイドするガイド部を有することとしてもよい。また、収容幅変更機構27は、カバー23をフィーダ本体21の側壁側に付勢して常態で幅狭状態を保持するスプリングなどの付勢部材を有することとしてもよい。更に、収容幅変更機構27は、フィーダ本体21に対するカバー23のリール幅方向Yの位置を任意の位置(例えば、上記の幅狭状態と上記の幅広状態との何れか一方)にロックさせるためのロック機構を有することとしてもよい。
【0044】
4.フィーダによる作用効果
上記した本実施形態のフィーダ20においては、カバー23の開状態でテープリール3がリール保持軸22に支持されてそのカバー23が閉じられると、テープリール3の一部がカバー23に覆われてリール収容空間に収容された状態でそのテープリール3が回転可能になる。かかる状態でそのテープリール3からキャリアテープ2が引き出されると、そのキャリアテープ2は、フィーダ本体21の搬送路に支持されながらテープガイド24に案内され、キャリアテープ2の送り孔がテープ搬送機構25のスプロケットに係合するようにセットされる。また、キャリアテープ2のカバーテープは、部品供給位置Pよりもテープ搬送方向X上流側の折返部を起点にしてベーステープから全剥がしされ、所定排出経路に沿ったうえでカバーテープ排出機構26の巻取ギアに係合するようにセットされる。
【0045】
上記したキャリアテープ2のセット状態でスプロケットがキャリアテープ2の送り搬送側に回転すると、そのスプロケットの回転に伴ってテープリール3がリール保持軸22に支持されながら正転方向に回転する。かかる正転方向の回転が生じると、キャリアテープ2がテープ搬送方向X上流側から下流側へ送られると共に、そのキャリアテープ2の搬送に連動してカバーテープがベーステープから剥がされつつフィーダ20の外側に向けて排出される。この過程においては、キャリアテープ2における部品収納部内の部品が取り出し可能に露出する。部品は、その露出後、部品供給位置Pに達した以後に部品装着機1の吸着ノズルなどに保持されて基板へ移載される。
【0046】
また、上記したキャリアテープ2のセット状態で操作レバーへの操作などによりテープリール3がリール保持軸22に支持されながらキャリアテープ2を戻し搬送する逆転方向に回転すると、キャリアテープ2がテープリール3に巻き戻される。この場合において、フィーダ20のカバー23が開けられると、キャリアテープ2が巻き戻されたテープリール3がフィーダ20から取り外し可能となる。
【0047】
また、フィーダ20においては、テープリール3がリール保持軸22に支持されると共にそのテープリール3の一部がカバー23により外側から覆われた状態でテープリール3が回転する際、その回転中のテープリール3のフランジ部3bがリール保持軸22の軸方向視でカバー23のエッジ部位23bに交わる。具体的には、そのフランジ部3bの一部(
図3において右側)は、リール収容空間の外側から内側へ進入すると共に、そのフランジ部3bの他部(
図3において左側)は、リール収容空間の内側から外側へ進出する。
【0048】
フィーダ20において、カバー23のエッジ部位23bには、テープリール3の回転中にそのフランジ部3bがリール収容空間の外側から内側へ進入するのを案内するガイド部23aが設けられている。ガイド部23aは、エッジ部位23bのうち、テープリール3の回転中にそのフランジ部3bがリール収容空間の外側から内側へ進入する箇所に設けられており、軸方向視においてテープリール3のフランジ部3bの少なくとも外縁に交差する箇所に設けられている。
【0049】
このため、テープリール3のフランジ部3b(特に、変形が生じ易いその外縁付近の部位)が初期の所望状態からリール幅方向Yの軸方向外側に飛び出るような変形が生じた状態でそのテープリール3が回転してそのフランジ部3bの変形部分3c(
図6参照)がリール収容空間の外側から内側への進入時にカバー23に接触しても、その変形部分3cがガイド部23aに案内される。
【0050】
また、ガイド部23aは、カバー23の厚み方向にかけて丸みを帯びるように形成されている。このため、カバー23におけるテープリール3のフランジ部3bの変形部分3cが接触し得るエッジ部位23bに、その変形部分3cが引っ掛かり易くなるような大きな凹凸が存在しない。
【0051】
従って、フィーダ20によれば、テープリール3の回転中にそのフランジ部3bがカバー23のエッジ部位23bに引っ掛かるのを抑制することができる。これにより、テープリール3に変形が生じた場合でも、そのテープリール3のスムースな回転を確保することができる。
【0052】
特に、ガイド部23aは、カバー23の本体側と一体に形成されてヘミング曲げ又はカール曲げされている。この構成においては、カバー23のエッジ部位23bがカバー23の厚み方向にかけて曲線状に丸みを帯びる。このため、テープリール3のフランジ部3bがカバー23に引っ掛かるのを抑えることができると共に、カバー23のエッジ部位23bを補強することができ或いはそのエッジ部位23bにおける安全性を向上させることができる。
【0053】
また、ガイド部23aは、カバー23の本体側からリール幅方向Yの軸方向外側すなわちリール収容空間側に曲げられている。この構成においては、ガイド部23aがカバー23の本体側の軸方向端面からリール幅方向Yの軸方向外側に飛び出ることが回避される。このため、カバー23にガイド部23aを設けるうえでフィーダ20のリール幅方向Yの厚さが増大するのを防止することができ、これにより、フィーダセット台10において互いに隣接するフィーダ20同士の干渉を防止することができる。
【0054】
尚、ガイド部23aは、カバー23におけるリール保持軸22の軸方向視でテープリール3のフランジ部3bに交差するエッジ部位23bの全域に亘って設けられていることが望ましい。この構成においては、テープリール3の正転時及び逆転時の双方でそのフランジ部3bがリール収容空間の外側から内側へ進入するのが案内される。このため、テープリール3の正転中及び逆転中の双方においてそのフランジ部3bがカバー23のエッジ部位23bに引っ掛かるのを抑制することができ、これにより、変形が生じたテープリール3のスムースな回転を常時確保することができる。
【0055】
5.変形形態
ところで、上記の実施形態においては、テープリール3のフランジ部3bを案内するカバー23のガイド部23aがカバー23の本体側と一体に形成されている。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、ガイド部23aが、カバー23のエッジ部位23bに設けられるものであれば、カバー23の本体部材23cとは別体の被覆部材や保護部材により形成されていてもよい。
【0056】
すなわち、
図7に示す如く、カバー23が、本体部材23cと、その本体部材23cの表面をコーティングする被覆部材、或いは、本体部材23cとは別体に形成され、エッジ部位23bを覆うように本体部材23cに取り付けられた保護部材(以下、これらの被覆部材及び保護部材を総称して別体部材23dと称す。)と、を有するものとし、テープリール3のフランジ部3bを案内するガイド部23aがその別体部材23dにより形成されていてもよい。
【0057】
尚、被覆部材や保護部材の別体部材23dは、カバー23の厚み方向にかけて丸みを帯びるように形成されるのがテープリール3のフランジ部3bを案内するうえで好ましい。また、本体部材23cへの別体部材23dの取り付けは、接着や貼り付け,ビス止めなどであってよい。また、本体部材23cは金属製であってよい。更に、別体部材23dは、
図7に示す如く樹脂製であってもよいし、或いは、フィルム状に形成されていてもよい。
【0058】
この変形形態においても、テープリール3のフランジ部3bがカバー23に引っ掛かるのを抑えることができると共に、カバー23のエッジ部位23bにおける安全性を向上させることができる。
【0059】
更に、上記の実施形態においては、フィーダ20がカセット式のテープフィーダである。しかし、本開示は、これに限定されるものではなく、フィーダ20が、テープリール3を収納可能であればカセット式以外のテープフィーダに適用されることとしてもよい。
【0060】
尚、本開示は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。また、本開示は、出願当初に各請求項に記載された引用関係で示される技術思想を開示するだけでなく、各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0061】
1:部品装着機、2:キャリアテープ、3:テープリール、3b:フランジ部、3c:変形部分、10:フィーダセット台、11:スロット、20:フィーダ、21:フィーダ本体、22:リール保持軸、23:カバー、23a:ガイド部、23b:エッジ部位、23c:本体部材、23d:別体部材(被覆部材又は保護部材)。